説明

補修作業用テンプレート及び補修塗料梱包箱

【課題】補修作業を行う作業者の注意を喚起し、補修すべき箇所を目立たないように塗装させることができる補修作業用テンプレートを提供する。
【解決手段】基材1に打入された釘2又は螺入されたネジ3の頭4を前記基材1と同系色の補修塗料5で塗装して補修する作業に用いられる補修作業用テンプレート6に関する。前記補修塗料5で塗装すべき範囲を示す図形状の目安部7が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材に釘を打入した箇所やネジを螺入した箇所の補修作業を行う際に用いられる補修作業用テンプレート、及びこの補修作業用テンプレートを一体に又は別体として備えた補修塗料梱包箱に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、住宅の外観については美観を重視する傾向にあるため、窯業系外装材を金具留めにより設置することが普及している。他方、価格を抑えるため釘留めにより設置したいという要望も依然として多い。そのため、今後も釘留め用の窯業系外装材のシェアは半数を占めると予想されている。例えば、家屋などの外壁形成用の外装材を釘打ちやビス止めなどにより柱などに固定することが行われている(例えば、特許文献1参照)。また、金具留め用の窯業系外装材であっても、全ての箇所を金具で留めることは実際上困難であるため、住宅の最上段に設置する窯業系外装材や、窯業系外装材に形成された開口部の周辺箇所は釘で留めるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−61307号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されているように、外装材を釘打ちやビス止め等により固定する場合において、外装材の色と釘やビス等の頭の色とが著しく相違していると、釘やビス等の頭が目立ち、美観を損なうおそれがある。そのため、図4のように釘2やビス等の頭4を外装材(基材1)と同系色の補修塗料5で塗装して補修する作業を行う必要がある。
【0005】
しかし、上記のような補修作業を行う場合、本来、図4(b)のように補修塗料5が釘2やビス等の頭4をごくわずかに超える程度で塗装すべきところ、作業者は漫然と塗装しがちになるため、図4(c)のように補修塗料5が釘2やビス等の頭4を大きく超えて周囲に広がることが多く、かえって補修箇所が目立ち、美観を損なうという問題がある。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、補修作業を行う作業者の注意を喚起し、補修すべき箇所を目立たないように塗装させることができる補修作業用テンプレート及び補修塗料梱包箱を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る補修作業用テンプレートは、基材に打入された釘又は螺入されたネジの頭を前記基材と同系色の補修塗料で塗装して補修する作業に用いられる補修作業用テンプレートであって、前記補修塗料で塗装すべき範囲を示す図形状の目安部が形成されていることを特徴とするものである。
【0008】
前記補修作業用テンプレートにおいて、前記目安部が打ち抜かれて形成されていることが好ましい。
【0009】
本発明に係る補修塗料梱包箱は、前記補修塗料を梱包する補修塗料梱包箱であって、前記補修作業用テンプレートが前記補修塗料梱包箱に一体に形成されていることを特徴とするものである。
【0010】
前記補修塗料梱包箱において、前記補修作業用テンプレートが取り外し自在に形成されていることが好ましい。
【0011】
本発明に係る補修塗料梱包箱は、前記補修塗料を梱包する補修塗料梱包箱であって、請求項1又は2に記載の補修作業用テンプレートが前記補修塗料と共に同梱されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る補修作業用テンプレートによれば、補修作業を行う作業者の注意を喚起し、補修すべき箇所を目立たないように塗装させることができるものである。また、必要以上に補修箇所が大きくなることを抑制することで、補修塗料の使用量を削減することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は本発明に係る補修作業用テンプレートの一例を示す平面図、(b)は本発明に係る補修作業用テンプレートの他の一例を示す平面図である。
【図2】本発明に係る補修塗料梱包箱の一例を示すものであり、(a)は蓋を閉じた状態を示す斜視図、(b)は蓋を開けた状態を示す斜視図、(c)は中間仕切りを示す平面図である。
【図3】補修塗料等の一例を示すものであり、(a)は1色セットの斜視図、(b)は2色セットの斜視図である。
【図4】補修作業後の補修箇所を示すものであり、(a)は断面図、(b)は良い例の平面図、(c)は悪い例の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0015】
図1(a)は本発明に係る補修作業用テンプレート6の一例を示すものである。この補修作業用テンプレート6は、図4に示すように、基材1に打入された釘2又は螺入されたネジ3(ビスも含む)の頭4を基材1と同系色の補修塗料5で塗装して補修する作業(タッチアップ)に用いられるものである。なお、図4(a)では胴縁22に通気防水シート23を介して外装材として基材1を設置し、胴縁22に到達するまで基材1に釘2を打入又はネジ3を螺入して基材1を胴縁22に固定する例を示している。
【0016】
具体的には、補修作業用テンプレート6は、例えば、厚紙又は板紙等を用いて板状又はシート状に形成されている。また、図1(a)に示す補修作業用テンプレート6は、略矩形状に形成されているが、この形状に限定されるものではない。
【0017】
そして、補修作業用テンプレート6には、目安部7が形成されている。この目安部7は、補修塗料5で塗装すべき範囲を示す図形状に設けられている。例えば、釘2又はネジ3の頭4は直径約5mm程度の円形であり、この場合、補修塗料5で塗装すべき範囲は釘2又はネジ3の頭4を含む直径約7mm程度の円形内の範囲であるから、目安部7は、直径約7mm程度の円形状に描いて設けることができる。このような目安部7は、補修塗料5と略同色に塗装してもよいが、打ち抜かれて形成されていることが好ましい。このように打ち抜かれていると、補修作業を行う作業者が、補修塗料5で塗装すべき範囲を視覚により確認することができるのみならず、実際に目安部7を指で触るなどして上記の範囲をあらかじめ触覚により確認しておくこともできるものである。また、図示省略しているが、目安部7は、打ち抜きにより補修作業用テンプレート6の端縁において開口する略半円状に形成してもよい。このような目安部7を補修箇所に当てると、補修塗料5で塗装すべき範囲を容易に見極めることができ、この範囲を大きく超えないように塗装することができるものである。また、目安部7は、長さ約7mm程度の目盛りによって形成してもよい。また、目安部7の近傍の余白に例えば「※釘頭補修サイズ(φ7mm)の目安にご利用下さい。」という注意書きを記載してもよい。
【0018】
図1(b)は本発明に係る補修作業用テンプレート6の他の一例を示すものである。この補修作業用テンプレート6は、図2に示すような補修塗料梱包箱8に一体に形成されている以外は、図1(a)に示す補修作業用テンプレート6と同様に形成されている。
【0019】
補修塗料梱包箱8は、図3に示すような補修塗料5を梱包するものであり、補修塗料5のほか、補修作業に関する説明書9やハケ10等が梱包されていてもよい。補修塗料梱包箱8は、厚紙又は板紙等を用いて図2(a)のように直方体状に形成され、図2(b)のように上面に開口を設けて形成されている。開口の一辺には蓋11が開閉自在に設けられ、この蓋11の先端には差込片12が設けられている。また、蓋11が設けられた開口の一辺に隣り合う二辺にはフラップ13が対向して設けられている。そして、各フラップ13を開口側に倒した後、蓋11が設けられた開口の一辺に対向する辺に沿って差込片12を開口内に差し込むことによって、図2(a)のように蓋11を閉じることができるものであり、逆に差込片12を開口内から引き抜くことによって、図2(b)のように蓋11を開けることができるものである。このように、図2に示す補修塗料梱包箱8はいわゆるB式のものであるが、これに限定されるものではない。なお、補修塗料梱包箱8の側面14及び蓋の上面15には、会社名、品番、セット数、使用期限、ロット、梱包内容、注意書き、危険有害性情報、タッチアップのポイント等を記載してもよい。
【0020】
そして、図1(b)に示す補修作業用テンプレート6は、例えばフラップ13として補修塗料梱包箱8に一体に形成されている。そのため、補修作業用テンプレート6を補修塗料5等と共に補修現場に携行することができるものである。さらに補修作業用テンプレート8は、図1(b)に示すように、ミシン目16を切断補助手段として設けることによって取り外し自在に形成されている。そのため、必要に応じてミシン目16で切り離すことによって、補修作業用テンプレート6を補修塗料梱包箱8から容易に取り外して用いることができるものである。なお、補修塗料梱包箱8が紙のようにカッターや手などによって容易に切断できる材料で形成されている場合には、ミシン目16や薄肉部(図示省略)などの切断補助手段を設けなくてもよいものである。
【0021】
また、図1(a)に示す補修作業用テンプレート6であっても、補修塗料5等と共に補修塗料梱包箱8に同梱されていれば、補修作業用テンプレート6を補修塗料5等と共に補修現場に携行することができるものである。この場合、図1(b)に示す補修作業用テンプレート6が追加的に補修塗料梱包箱6に一体に形成されていてもよい。
【0022】
補修塗料5としては、基材1と同系色のものであれば特に限定されるものではないが、例えば、一液性の上塗り剤や、図3(a)に示すような二液性で1色の上塗り剤17(主剤17a及び硬化剤17bの組が1組)や、図3(b)に示すような二液性で2色の上塗り剤17,18(主剤17a,18a及び硬化剤17b,18bの組が2組)等を用いることができる。補修塗料5の色数は基材1の種類に応じて増減する。そして、図3(a)に示すものは、1色の上塗り剤17、プライマー19、これらの専用のハケ10、説明書9によって1色セットが構成され、図3(b)に示すものは、2色の上塗り剤17,18、プライマー19、これらの専用のハケ10、説明書9によって2色セットが構成されている。このような補修塗料5は、図2(c)に示すような中間仕切り20を用いて補修塗料梱包箱8に梱包することができる。中間仕切り20は、例えば、厚紙又は板紙等を用いて板状又はシート状に形成され、略円形状のミシン目21を複数設けて形成されている。各ミシン目21は、その直径が補修塗料5のビンの外径に略等しくなるように設けられている。上記のように形成された中間仕切り20は、補修塗料梱包箱8の内部において補修塗料5のビンの高さよりも低い位置に設置されている。そして、補修塗料5のビンの数に応じてミシン目21で囲まれた箇所を打ち抜いて挿入口を形成し、この挿入口に補修塗料5のビンを挿入することによって、補修塗料5のビンを倒れないように固定して補修塗料梱包箱8に梱包することができる。なお、本発明の実施の形態においては、二液性で1色の上塗り剤17や二液性で2色の上塗り剤17,18以外にプライマー19を補修塗料梱包箱8に梱包する例について説明しているが、プライマー19を使用することなく一液性や二液性の上塗り剤(色数は問わない)のみで補修作業を行う場合には、プライマー19は補修塗料梱包箱8に梱包する必要はないものである。
【0023】
次に補修作業について説明する。補修現場における補修箇所は、図4に示すように基材1に釘2を打入した箇所やネジ3を螺入した箇所である。基材1としては、窯業系等の外装材及び内装材等を例示することができるが、これらに限定されるものではない。そして、補修作業用テンプレート6を一体に備えた補修塗料梱包箱8が補修現場に運び込まれ、補修作業を開始する作業者がこの蓋11を開けると、例えばフラップ13として形成された補修作業用テンプレート6がまず作業者の目に入る。補修作業用テンプレート6を別体として備えた補修塗料梱包箱8の場合も同様である。補修作業用テンプレート6には普段見たことのない目安部7が形成されているので、この目安部7によって補修作業を行う作業者の注意を喚起することができる。そして、まず補修箇所を清掃乾燥すると共に、主剤17a及び硬化剤17bを混合攪拌することによって上塗り剤17を調合しておく。次に、基材1に打入された釘2又は螺入されたネジ3の頭4にプライマー19を専用のハケ10で塗布する。このとき作業者は、補修作業を開始する際に補修作業用テンプレート6の目安部7を見たばかりであるので、プライマー19が釘2やネジ3の頭4を大きく超えないようにプライマー19の塗布を慎重に行うようになる。ここで、補修塗料梱包箱8が補修作業用テンプレート6を一体に備えるものである場合に、補修作業用テンプレート6が取り外し自在に形成されていれば、作業者は、補修作業用テンプレート6を取り外して別体とし、これに形成された目安部7と補修箇所とを見比べながらプライマー19の塗布をさらに慎重に行うようになる。補修作業用テンプレート6が最初から別体として備えられた補修塗料梱包箱8の場合も同様である。そして、塗布したプライマー19が乾燥すると、この箇所に基材1と同系色の上塗り剤17を専用のハケ10で塗布する。このとき作業者は、プライマー19の塗布を補修作業用テンプレート6の目安部7を意識しながら行ったばかりであるので、上塗り剤17が釘2やネジ3の頭4を大きく超えないように上塗り剤17の塗布も慎重に行うようになる。このとき補修作業用テンプレート6が別体となっていれば、作業者は、再度補修作業用テンプレート6の目安部7と補修箇所とを見比べながら上塗り剤17の塗布をさらに慎重に行うようになる。その結果、補修作業後の補修箇所は、図4(b)のように補修塗料5が釘2やネジ3の頭4をごくわずかに超える程度で塗装されることになる。もちろん補修塗料5が釘2やネジ3の頭4のみに塗装されていてもよい。このように、補修作業用テンプレート6の目安部7によって、補修すべき箇所を目立たないように作業者に塗装させることができるものである。また、必要以上に補修箇所が大きくなることを抑制することで、補修塗料の使用量を削減することができるものである。なお、本発明の実施の形態においては、基材1に釘2を打入した箇所やネジ3を螺入した箇所を補修箇所とする補修作業について説明しているが、この補修箇所と同程度の大きさのキズ等を補修する場合にも、補修作業用テンプレート及び補修塗料梱包箱を適用することができるものである。
【符号の説明】
【0024】
1 基材
2 釘
3 ネジ
4 頭
5 補修塗料
6 補修作業用テンプレート
7 目安部
8 補修塗料梱包箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材に打入された釘又は螺入されたネジの頭を前記基材と同系色の補修塗料で塗装して補修する作業に用いられる補修作業用テンプレートであって、前記補修塗料で塗装すべき範囲を示す図形状の目安部が形成されていることを特徴とする補修作業用テンプレート。
【請求項2】
前記目安部が打ち抜かれて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の補修作業用テンプレート。
【請求項3】
前記補修塗料を梱包する補修塗料梱包箱であって、請求項1又は2に記載の補修作業用テンプレートが前記補修塗料梱包箱に一体に形成されていることを特徴とする補修塗料梱包箱。
【請求項4】
前記補修作業用テンプレートが取り外し自在に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の補修塗料梱包箱。
【請求項5】
前記補修塗料を梱包する補修塗料梱包箱であって、請求項1又は2に記載の補修作業用テンプレートが前記補修塗料と共に同梱されていることを特徴とする補修塗料梱包箱。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−188911(P2012−188911A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55832(P2011−55832)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(503367376)ケイミュー株式会社 (467)
【Fターム(参考)】