説明

補助リソースを使用したデータ通信

【課題】補助リソースが存在する状況でデータパケットの繰り返し(repetition)を最小限に抑える通信システムおよび方法を提供する。
【解決手段】制御メッセージの送信に使用されていない制御チャネルは、トラヒックデータを搬送するために動的に割り当てられる。トラヒックデータを備えるデータパケットはさまざまなスキームに従って処理され、生成されたサブパケットは、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信される一方で、最後のサブパケットの対応する符号化部分が使用可能な補助チャネルで送信されるように送信される。サブパケットが正しく復号化された場合は肯定応答(ACK:acknowledgement)メッセージが送信され、それ以外の場合は否定応答(NAK:negative acknowledgement)メッセージが送信される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
さまざまな通信システムの出現と移動体終端システム(mobile end systems)において増大する高度なアプリケーションの配備は、このような通信を円滑化するために使用できる周波数などの既存のリソースを圧迫してきた。この通信網内で増大するトラヒックをサポートするために、さまざまなアクセス技術が提案されている。周波数分割多重アクセス(FDMA:Frequency Division Multiple Access)はこうした技術の1つであり、さまざまなユーザ間で周波数の割り当てと再利用による通信を可能にする。多重アクセス技術の別の例は、スペクトル拡散(spread spectrum)技術を使用して広域スペクトル上でさまざまなユーザに同時に対応する符号分割多重(CDMA:Code Division Multiple Access)である。
【0002】
したがって、CDMAシステムの特徴はバースト性通信であり、通信チャネルはデータ伝送時は実装される(populated)がそれ以外のときは機能しない(silent)。これは、チャネルの柔軟な利用によって調整され、チャネルが必要性に基づいてさまざまなタスクに割り当てられる。このようにして、チャネルはデータ伝送の間のみユーザに接続され、送信されるデータがない時間は他のタスクに再割り当てされ、データ転送時に再接続される。
【0003】
通信システム内のチャネルは、物理チャネルと論理チャネルに分けることができる。ここで、物理チャネルは通信を搬送する周波数であり、論理チャネルは実行されるタスクに基づいてこのような周波数上に作成される模式的区分(schematic partitions)である。したがって、1つの物理チャネルは1つまたは複数の論理チャネルに分割できる。換言すると、論理チャネルは関連のタスクに基づいて物理的な周波数に割り当てられる別の名前である。
【0004】
物理チャネルは、通常はサービスの対象となるエンティティによって、専用チャネルと共通チャネルに分けられる。専用チャネルは、基地局と特定のユーザとの通信を円滑化するために割り当てられる。共通チャネルは、さまざまなユーザによって共有され、基地局のサービス対象となる地理的領域(セル)内のすべてのユーザに共通して伝達する信号を基地局から送信するために使用される。専用チャネルの例には、基本チャネル(FCH:fundamental channel)、専用制御チャネル(DCCH:dedicated control channel)、および補助チャネル(SCH:supplemental channel)が含まれる。FCHは、音声信号、データ信号、およびシグナリング信号(signaling signal)または制御信号を送信できる。DCCHは、より上のレイヤーから送信データが生成された場合にのみデータ送信が実行される不連続送信モードでデータ信号と制御信号を送信する。このことによって、DCCHはパケットサービスを効率的に提供するための制御チャネルにふさわしいものになる。SCHは、大量のデータを送信する必要がある場合にオプションで使用されるチャネルである。基地局から移動局への順方向リンク/ダウンリンクには、いくつかの例として、ページングチャネル、ブロードキャストチャネル、および順方向共通制御チャネル(forward common control channel)が含まれる。アクセスチャネル、エンハンスト(enhanced)アクセスチャネル、および逆方向共通制御チャネルは、逆方向リンク上の共通チャネルである。
【0005】
専用物理チャネル上に構築された論理チャネルには、専用シグナリングチャネル(DSCH:dedicated signaling channel)および専用トラヒックチャネル(DTCH:dedicated traffic channel)が含まれる。FCHおよびDCCH上にDSCHが割り当てられることによって基地局と移動局との間で制御信号を交換できる一方で、FCH、DCCH、およびSCH上にDTCHが構築されることによってユーザデータを交換できる。共通物理チャネルに割り当てられた共通論理チャネルには、基地局からユーザ/移動端末に肯定応答を送信するために使用される共通割り当てチャネル(common assignment channel)、制御信号を送信するための共通制御チャネル(CSCH:common control channel)、ユーザデータを送信するための共通トラヒックチャネル(CTCH:common traffic channel)が含まれる。共通論理チャネルは、順方向リンク上および逆方向リンク上に構築できる。
【0006】
ユーザが送信するデータが生成されると、構築された通信チャネルを経由してサービス要求が送信され、ネゴシエーション済みのサービスオプション/利用可能性(availability)に基づいて、ユーザにリソースが割り当てられる。それに応じて、さまざまな制御リソースおよびデータリソースが共通チャネル/専用チャネルに割り当てられる。たとえば、大量のデータが送信されると予想される場合、およびユーザに関連付けられたサービスオプションがこのような補助リソース(supplemental resources)の割り当てを許可している場合は、利用可能性に従って補助リソースが割り当てられてもよい。割り当てられる補助リソースに関する情報を含めてさまざまなリソースについて詳述したリソース割り当てメッセージは、リソース割り当て時に基地局からユーザに送信される。したがって、ユーザがデータ伝送を行うときに、データは割り当てられたリソースに基づいて復調される。
【0007】
範囲の制限や有害な効果(たとえば、移動中の端末におけるドップラー偏移(Doppler shift))などのさまざまな原因により、基地局からのリソース割り当てメッセージが消去される可能性がある。このことによって、特定の通信セッションにどのリソースが(ある場合)割り当てられたかわからないので、ユーザがメッセージを復調できない状況が発生する。たとえば、サービスオプションがこうした補助リソースの割り当てを許可している場合に、リソース割り当てメッセージが消去されると、補助リソースが割り当てられたかどうかをユーザが認識できなくなる。さらに、補助リソースの利用可能性によって、符号化ビット(coded bits)の不適切な繰り返しが発生する可能性がある。
【発明の概要】
【0008】
請求された主題のいくつかの態様について基本的な理解が得られるように、請求された主題の概要について以下で簡単に説明する。以下の説明は、請求された主題の広範囲にわたる概要を示すものではない。請求された主題の重要な要素または不可欠な要素を特定するものでも、請求された主題の範囲を限定するものでもない。その唯一の目的は、後述の「発明を実施するための形態」の準備として、請求された主題に関するいくつかの概念を簡略化した形で示すことである。
【0009】
本明細書で説明するさまざまな態様に従った通信システムでは、トラヒックデータを送信するための補助リソースの割り当てが可能である。通信システム内の制御チャネルは、制御チャネル用に予約されたチャネルノードにマップされるリンク割り当てブロック(LAB:Link Assignment Block)を備える。いずれかのLABが制御信号の搬送に利用されている場合に、このようなLABに関連付けられたチャネルノードはトラヒックデータを送信するための補助リソースとして使用されている。プロセッサは、トラヒックデータのデータパケットを処理して符号化データのS個のサブパケットを生成する。第1のサブパケットが順方向リンクで基地局から端末に搬送されると、端末はサブパケットが正しく復号化された場合に肯定応答(ACK)を生成し、サブパケットの復号化で誤りが発生した場合に否定応答(NAK)を生成する。基地局は、ACKメッセージまたはNAKメッセージを受信すると、第2のサブパケットを送信する。端末は、第2の送信を受信し、第1と第2のサブパケットを復号化し、復号化の結果によってACKまたはNAKを送信する。このようにして、基地局はパケットに関するACKが受信されるまで、またはすべてのサブパケットが送信されるまで、あるいはパケット送信が終了するまで、1度に1つのサブパケットを送信する。
【0010】
別の態様は、符号化ビットの繰り返しを最小限に抑えるような形でデータパケットの送信を円滑化する通信システムに関連する。本システムは、符号レート(code rate)P/QでQ個の符号化ビットに符号化されるP個の情報ビットを備えるデータパケットからサブパケットを生成するプロセッサを備えている。また、本システムはバッファもさらに備えており、生成されたサブパケットはこのバッファからQ個の符号化ビットを循環方式で取得することによって満たされる。サブパケット全体はトラヒックチャネルで送信される一方で、最後のサブパケットの対応する符号化部分は使用可能な補助リソースで送信され、したがって、通信システム内に補助リソースが存在することによって発生する符号化ビットの繰り返しが最小限に抑えられるような通信システムによって、サブパケットが送信される。
【0011】
別の態様により、送信データのサブパケットが正しく復号化されたかどうかを基地局に示すことを備える送信方法が開示される。本方法は、トラヒックデータが処理されて符号化データのサブパケットが生成されることで開始される。第1のサブパケットは順方向リンクで送信される。第1のサブパケットは、端末で受信され、復号化される。サブパケットが正しく復号化された場合は、肯定応答(ACK)が生成される。サブパケットが正しく復号化されなかった場合は、否定応答(NAK)が生成される。このようにして、サブパケットは、パケットのACKメッセージの少なくとも1つが受信されるまで、またはすべてのサブパケットが使用されるまで、あるいはパケット送信が終了するまで、1度に1つのサブパケットを送信する。
【0012】
さらに別の態様では、データパケットの送信方法が開示される。本方法は、符号レートP/Qで符号化されてQ個の符号化ビットとなるP個の情報ビットを備えるデータパケットからサブパケットを生成することを備えている。さらに、生成されたサブパケットにはQ個の符号化ビットが循環方式で満たされるので、Q番目のビットが満たされるともう一度最初のビットが満たされる。続いて、サブパケット全体はトラヒックチャネルで送信される一方で、最後のサブパケットの符号化部分は使用可能な補助チャネルで送信されるように、すべてのサブパケットが送信される。
【0013】
以下の説明と添付の図面は、請求された主題に関する特定の説明を目的とした態様を詳細に示している。ただし、このような態様は、請求された主題の原理を使用できるさまざまな方法の一部を示すにすぎず、請求された主題はこのような態様およびそれと同等のものをすべて含むことを意図するものとする。請求された主題のその他の利点と特徴的な機能は、以下に示す請求された主題の「発明を実施するための形態」を添付の図面に関連付けて考察することで明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本明細書で説明するさまざまな態様に従う1つの無線多重アクセス通信システム(wireless multiple-access communication system)を示す図。
【図2】1つの通信システムを示す図。
【図3】順方向リンクまたはダウンリンクによるチャネル構造の1つの実施形態を示す図。
【図4A】1つの態様に従ってLABから予約されたチャネルノードへのマッピングの1つの例を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返しを最小限に抑える通信システムであって、
1つまたは複数のデータパケットを処理して符号化ビットで満たされた複数のサブパケットを生成し、最後のサブパケットは符号化部分にさらに分割される処理コンポーネントと、
前記複数のサブパケットを送信する送信コンポーネントとを備えるシステム。
【請求項2】
メモリコンポーネントは、前記サブパケットに循環方式で満たされるように前記符号化ビットをバッファに格納する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記送信コンポーネントは前記複数のサブパケットを送信し、サブパケット全体はトラヒックチャネルで送信される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記送信コンポーネントは、さらに前記最後に生成されたサブパケットの符号化部分を割り当てられた補助リソースで送信する請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記処理コンポーネントは、制御メッセージの送信に利用されていない1つまたは複数の制御チャネルから前記補助リソースを割り当てる請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記処理コンポーネントは、制御メッセージを搬送していないリンク割り当てブロックを識別することによって前記利用されていない制御チャネルを決定する請求項5に記載のシステム。
【請求項7】
前記処理コンポーネントは、データメッセージ、音声メッセージ、またはビデオメッセージの1つまたは複数を備えるユーザが生成したメッセージに関連付けられたデータパケットを処理する請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
移動端末は受信されたサブパケットが正しく復号化された場合に肯定応答(ACK)メッセージを生成する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
移動端末は受信されたサブパケットが正しく復号化されなかった場合に否定応答(NAK)メッセージを生成する請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
通信システム内で繰り返しを最小限に抑える方法であって、
1つのデータパケットから複数のサブパケットを生成することと、
サブパケット全体をトラヒックチャネルで送信することと、
割り当てられた補助リソース上で最後のサブパケットの符号化部分を送信することとを備える方法。
【請求項11】
前記生成されたサブパケットのサイズは、前記トラヒックチャネルの送信能力によって決定され、前記トラヒックチャネルの送信能力に一致する請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記符号化部分のサイズは、前記割り当てられた補助リソースの容量に基づいて動的に変化する請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記トラヒックチャネルで送信されるサブパケットを前記トラヒックチャネルに関して選択された第1の変調スキームに従って変調し、前記補助リソースで送信される前記符号化部分を関連の制御チャネルに関して選択された第2の変調スキームを使用して変調する請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記制御チャネルにマップされた前記リンク割り当てブロックは制御メッセージの送信に利用されていない請求項13に記載の方法。
【請求項15】
割り当てメッセージを使用して伝達された情報に基づいて、制御メッセージを送信していない前記リンク割り当てブロックを決定する請求項14に記載の方法。
【請求項16】
送信されたサブパケットが正しく復号化された場合に肯定応答(ACK)を生成することをさらに備える請求項10に記載の方法。
【請求項17】
送信されたサブパケットが正しく復号化されなかった場合に否定応答(NAK)を生成する請求項10に記載の方法。
【請求項18】
補助リソースの存在によるデータの繰り返しを最小限に抑える通信システムであって、
1つのデータパケットから複数のサブパケットを生成するための手段と、
最後のサブパケットを処理してサブパケットの総数と同じ数の符号化部分を生成するための手段と、
前記サブパケット全体をトラヒックチャネルで送信し、前記最後のサブパケットの前記符号化部分を割り当てられた補助リソースで送信するための手段とを備えるシステム。
【請求項19】
前記受信したサブパケットを復号化するための手段をさらに備える請求項18に記載の通信システム。
【請求項20】
前記サブパケットの復号化の結果に基づいて、肯定応答(ACK)メッセージまたは否定応答(NAK)メッセージのいずれかを生成するための手段をさらに備える請求項18に記載のシステム。

【図4A】1つの態様に従って送信機の1つの実施形態を示す図。
【図4B】1つの態様に従って唯一の制御メッセージがLAB 1で送信される1つの例を示す図。
【図5】制御チャネルで送信される制御メッセージを搬送するために使用される制御チャネル割り当てメッセージのメッセージフォーマットの1つの実施形態を示す図。
【図6A】動的に割り当て可能な補助リソースを使用した1つのHARQ送信スキームを示す図。
【図6B】1つの態様に従う4つのHARQ送信を示す図。
【図7A】動的に割り当て可能な補助リソースを使用して実装されたHARQ送信スキームの1つの実施形態を示す図。
【図7B】1つの態様に従う4つのHARQ送信を示す図。
【図8A】動的に割り当て可能な補助リソースを使用して実装されたHARQ送信スキームの1つの実施形態を示す図。
【図8B】1つの態様に従う4つのHARQ送信を示す図。
【図9A】1つの態様に従う例示的なシナリオにおける初めの4つのHARQ送信を示す図。
【図9B】1つの態様に従う4つのHARQ送信を示す図。
【図10】通信網内の補助リソースを割り当てる1つの方法を説明する実施形態を示す図。
【図11】トラヒックデータを搬送するために割り当てられた補助リソースがある場合にどれかを決定する1つの方法を説明する実施形態を示す図。
【図12】トラヒックチャネルと補助リソースの両方を利用してデータパケットを搬送する1つのスキームを示す図。
【図13】補助リソースが使用可能な場合に利用できるデータパケット送信の別の方法を示す図。
【図14】補助リソースが使用可能な場合に利用できるデータパケット送信のさらに別の方法を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[関連出願のクロスリファレンス]
本出願は、参照により本明細書にその全体が組み込まれている2006年7月26日に出願した米国仮特許出願第60/833,627号「DATA TRANSMISSION WITH SUPPLEMENTAL RESOURCES」、および2006年7月27日に出願した米国仮特許出願第60/834,126号「DATA TRANSMISSION WITH SUPPLEMENTAL RESOURCE」の優先権を主張するものである。
【0016】
ここで、請求された主題について添付の図面に関連付けながら説明するが、全体を通して同称の要素を示す場合は同称参照番号が使用されている。以下の説明では、請求された主題に関する理解を深めるために、説明を目的として多くの具体的で詳細な要素が示されている。しかし、請求された主題はこのような具体的で詳細な要素がなくても実施できることは明らかであろう。他の事例では、請求された主題の説明を円滑化するために、周知の構造およびデバイスがブロック図に示されている。
【0017】
ここで、さまざまな実施形態について図面に関連付けながら説明するが、全体を通して同称の要素を示す場合は同称参照番号が使用されている。以下の説明では、1つまたは複数の態様に関する理解を深めるために、説明を目的として、多くの具体的で詳細な要素が示されている。しかし、このような実施形態(1つまたは複数)は、以下に示す具体的で詳細な要素がなくても実施できることは明らかであろう。他の事例では、1つまたは複数の実施形態の説明を円滑化するために、周知の構造およびデバイスがブロック図に示されている。本出願で使用する限り、「コンポーネント」、「モジュール」、「システム」などの用語は、コンピュータに関連するエンティティを示すものとし、ハードウェア、ファームウェア、ハードウェアとソフトウェアの組合せ、ソフトウェア、実行中のソフトウェア(software in execution)のいずれでもよい。たとえば、コンポーネントは、プロセッサで実行するプロセス、プロセッサ、オブジェクト、実行可能ファイル、実行のスレッド、プログラム、および/またはコンピュータのいずれでもよいが、これらに限定はされない。たとえば、コンピューティングデバイス上で動作するアプリケーションとこのコンピューティングデバイスはいずれもコンポーネントと言える。実行のプロセスおよび/またはスレッドには、1つまたは複数のコンポーネントが存在してもよい。また、コンポーネントは1台のコンピュータに集中することも、および/または2台またはそれ以上のコンピュータに分散することもできる。さらに、このようなコンポーネントは、さまざまなデータ構造を格納したさまざまなコンピュータ可読媒体から実行することもできる。コンポーネントは、ローカルプロセスおよび/またはリモートプロセスを介して、たとえば1つまたは複数のデータパケットを含む信号によって通信できる(たとえば、ローカルシステム内、分散システム内の別のコンポーネントと、かつ/またはインターネットのような通信網を経由して他のシステムと、信号を使用して対話するコンポーネントのデータ)。
【0018】
さらに、本明細書ではさまざまな実施形態について無線端末および/または基地局に関連して説明する。無線端末は、音声および/またはデータの接続性をユーザに提供するデバイスと言うことができる。無線端末は、ラップトップコンピュータやデスクトップコンピュータのようなコンピューティングデバイスに接続されてもよい。あるいは、携帯情報端末(PDA:personal digital assistant)のような内蔵型の(self contained)デバイスでもよい。また、無線端末は、システム、加入者装置(subscriber unit)、加入者局(subscriber station)、移動局、モバイル、リモートステーション(remote station)、アクセスポイント(access point)、リモート端末(remote terminal)、アクセス端末(access terminal)、ユーザ端末(user terminal)、ユーザエージェント(user agent)、ユーザデバイス(user device)、またはユーザ設備(user equipment)と呼ぶこともできる。無線端末は、加入者局、無線デバイス、携帯電話(cellular telephone)、PCS電話、コードレス電話(cordless telephone)、セッションイニシエーションプロトコル(SIP:Session Initiation Protocol)電話、無線ローカルループ(WLL:wireless local loop)局、携帯情報端末(PDA)、無線接続機能を備えるハンドヘルドデバイス、または無線モデムに接続されたそれ以外の処理デバイスでもよい。基地局(たとえばアクセスポイント)は、無線インターフェイス(air-interface)を介し、1つまたは複数のセクターを経て無線端末と通信するアクセス網内のデバイスと言うことができる。基地局は、受信した無線インターフェイスフレームをインターネットプロトコル(IP:Internet Protocol)パケットに変換することによって、無線端末とアクセス網(IPネットワークを含む)のそれ以外の部分とのルーターとして動作できる。また、基地局は、無線インターフェイスの属性の管理を調整する。さらに、本明細書で説明するさまざまな態様または機能は、標準的なプログラミングおよび/またはエンジニアリング技術を使用する方法、装置、または製品として実装できる。「製品」という用語は、本明細書で使用する限り、コンピュータ可読の任意のデバイス、キャリア(carrier)、または媒体からアクセスできるコンピュータプログラムを含むよう意図されている。たとえば、コンピュータ可読媒体には、磁気記憶装置(たとえば、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスク、磁気ストライプ(magnetic strips)...)、光ディスク(たとえば、コンパクトディスク(CD:compact disk)、デジタル多用途ディスク(DVD:digital versatile disk)...)、スマートカード、フラッシュメモリデバイス(たとえば、カード、スティック、キードライブ...)を含めることができるが、これらに限定はされない。
【0019】
さまざまな実施形態は、多くのデバイス、コンポーネント、モジュールなどを含むことができるシステムに関連して示されている。さまざまなシステムには、追加のデバイス、コンポーネント、モジュールなどを含めてもよく、かつ/または図に関連して説明するデバイス、コンポーネント、モジュールなどのすべてを含まなくてもよい。また、このようなアプローチの組合せを使用してもよい。
【0020】
ここで図を参照すると、図1はさまざまな態様に従う無線多重アクセス通信システムの説明図(illustration)である。1つの例では、無線多重アクセス通信システム100には複数の基地局110と複数の端末120が含まれている。システム100内の個々の基地局110および端末120は、システム100内の1つまたは複数の基地局および/または端末120との通信を円滑化するために1つまたは複数のアンテナを備えている。1つの例では、基地局110はブロードキャストサービス、マルチキャストサービス、および/またはユニキャストサービス用の複数のデータストリームを同時に送信することができる。ここで、データストリームは端末120にとって独立した受信の問題と言えるデータの流れである。ここで、基地局110のサービスエリア(coverage area)内の端末120は、基地局110から送信された1つまたは複数のデータストリームを受信できる。限定しない例として、基地局110は、アクセスポイント、ノードB、および/またはそれ以外の適切なネットワークエンティティでもよい。各基地局110は、特定の地理的領域102にサービスエリア(communication coverage)を提供する。「セル」という用語は、本明細書および当技術分野で使用される場合、この用語が使用されるコンテキストに応じて、基地局110および/またはそのサービスエリア102を示すことができる。システムの能力を向上するために、基地局110に対応するサービスエリア102は複数のより小さな領域(たとえば、領域104a、104b、および104c)に区分することができる。より小さな領域104a、104b、および104cのそれぞれは、個々の基地局伝送サブシステム(BTS:base transceiver subsystem、図示せず)がサービスすることができる。「セクター」という用語は、本明細書および当技術分野で使用される場合、この用語が使用されるコンテキストに応じて、BTSおよび/またはそのサービスエリアを示すことができる。複数のセクター104を備えるセル102では、セル102のすべてのセクター104のBTSはそのセル102の基地局110内に共存することができる。
【0021】
別の例では、システム100は1つまたは複数の基地局110に接続でき、基地局110の調整(coordination)と制御を行うシステムコントローラ130を使用することによって、集中型アーキテクチャを利用できる。代替の態様により、システムコントローラ130は唯一のネットワークエンティティでもネットワークエンティティの集合でもよい。さらに、システム100は分散型アーキテクチャを利用して基地局110同士が必要に応じて互いに通信できるようにしてもよい。1つの態様により、端末120はシステム100全体にわたって分散してもよい。各端末120は固定でも移動してもよい。限定しない例として、端末120はアクセス端末(AT:access terminal)、移動局、ユーザ設備、加入者局、および/またはそれ以外の適切なネットワークエンティティのいずれでもよい。端末は、無線デバイス、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、無線モデム、ハンドヘルドデバイスなどでもよい。1つの例では、端末120は基地局110または別の端末120にデータを送信できる。
【0022】
別の態様により、システム100は送信リソースをチャネルの形で生成できる。限定しない例として、このようなチャネルは符号分割多重(CDM)、周波数分割多重(FDM)、および時分割多重(TDM)の1つまたは複数を使用して生成できる。FDMの変形である直交周波数分割多重(OFDM:orthogonal frequency division multiplexing)を使用して、システム100の帯域幅全体を複数の直交サブキャリア(subcarriers)に効果的に区分でき、さらにサブキャリアをデータで変調できる。このようなサブキャリアは、トーン、ビン、および周波数チャネルと呼ぶこともできる。これに代わって、時分割ベースの技術では、個々のサブキャリアは順次的なタイムスライスまたはタイムスロットの一部を備えることができる。個々の端末120は、定義されたバースト期間またはフレームにおいて情報を送信または受信するための1つまたは複数のタイムスロット/サブキャリアの組合せを備えていてもよい。時分割技術では、シンボルレートホッピング(symbol rate hopping)スキームおよび/またはブロックホッピング(block hopping)スキームをさらに利用してもよい。
【0023】
別の例では、符号分割ベースの技術により、特定の範囲内でいつでも使用可能な多くの周波数を使用してデータの送信を円滑化できる。データはデジタル化されてシステム100の使用可能な帯域幅に拡散することにより、複数の端末120をチャネル上にオーバーレイでき、それぞれの端末120に一意のシーケンスコード(sequence code)を割り当てることができる。これで、端末120は同じ広帯域のスペクトル範囲内で送信できる。ここで、各端末120に対応する信号は、そのそれぞれの一意の拡散コード(spreading code)によって帯域幅全体に拡散する。1つの例では、この技術によって共有を実現でき、1つまたは複数の端末120が同時に送信し、受信することができる。このような共有は、たとえば、拡散スペクトルデジタル変調(spread spectrum digital modulation)によって実現できる。この場合、端末120に対応するビットストリームは符号化され、非常に広域のチャネル全体に疑似乱数方式(pseudo-random fashion)で拡散する。次に、基地局110は端末120に関連付けられたシーケンスコードを認識し、乱数化を元に戻し、特定の端末120のビットを一貫した方法で収集する。
【0024】
別の例では、システム100は1つまたは複数の多重アクセススキーム(たとえば、CDMA、TDMA、FDMA、OFDMA、シングルキャリア(Single-Carrier)FDMA(SC−FDMA)、および/またはそれ以外の適切な多重アクセススキーム)を利用できる。OFDMAは、直交周波数分割多重(OFDM)を利用しており、SC−FDMAはシングルキャリア周波数分割多重(SC−FDM)を利用している。さらに、システム100は多重アクセススキーム(たとえばOFDMAやCDMA)の組合せを利用してもよい。さらに、システム100はさまざまなフレーミング構造(framing structures)を利用してデータおよび信号が順方向リンクおよび逆方向リンクで送信される方法を指定してもよい。システム100は、さらに1つまたは複数のスケジューラ(図示せず)を利用して帯域幅およびそれ以外のシステムリソースを割り当ててもよい。1つの例では、基地局110、端末120、およびシステムコントローラ130の1つまたは複数でスケジューラを使用してもよい。
【0025】
図2は、MIMOシステム200内の送信機システム210(アクセスポイントとも呼ばれる)と受信機システム250(アクセス端末とも呼ばれる)の1つの実施形態を示すブロック図である。送信機システム210で、多くのデータストリームのトラヒックデータはデータソース212から送信(TX)データプロセッサ214に提供される。
【0026】
1つの実施形態では、各データストリームはそれぞれの送信アンテナから送信される。TXデータプロセッサ214は、このデータストリーム用に選択された特定の符号化スキームに基づいて、各データストリームのトラヒックデータをフォーマットし、符号化し、さらにインターリーブすることによって符号化データを提供する。
【0027】
各データストリームの符号化データは、OFDM技術を使用してパイロットデータで多重化されてもよい。パイロットデータは、通常は既知の方法で処理される既知のデータパターンであり、受信機システムでチャネル応答を評価するために使用できる。さらに、各データストリームの多重化パイロットと符号化データは、このデータストリーム用に選択された特定の変調スキーム(たとえば、BPSK、QSPK、M−PSK、またはM−QAM)に基づいて変調され(すなわちシンボルにマップされ)、変調シンボル(modulation symbols)を提供する。各データストリームのデータ転送速度(data rate)、符号化、および変調は、プロセッサ230で実行される命令によって決定されてもよい。
【0028】
これで、すべてのデータストリームの変調シンボルがTX MIMOプロセッサ220に提供され、ここで変調シンボルをさらに処理することもできる(たとえば、OFDM用に)。TX MIMOプロセッサ220は、さらに、N変調シンボルストリームをN送信機(TMTR)222a〜222tに提供する。特定の実施形態では、TX MIMOプロセッサ220はデータストリームのシンボルとシンボルが送信されるアンテナにビーム形成(beamforming)の重みを適用する。
【0029】
各送信機222は、それぞれのシンボルストリームを受信し、処理することによって、1つまたは複数のアナログ信号を提供し、さらにこのアナログ信号を調整(たとえば、増幅、フィルタ、アップコンバート(downconverts))することによって、MIMOチャネルからの送信に適した変調信号を提供する。ここで、送信機222a〜222tからのN変調信号は、それぞれNアンテナ224a〜224tから送信される。
【0030】
受信機システム250で、送信された変調信号はNアンテナ252a〜252rで受信され、各アンテナ252から受信した信号はそれぞれの受信機(RCVR)254a〜254rに提供される。各受信機254は、それぞれの受信信号を調整(たとえば、フィルタ、増幅、ダウンコンバート(downconverts))し、調整された信号をデジタル化してサンプルを提供し、さらにこのサンプルを処理して対応する「受信」シンボルストリームを提供する。
【0031】
ここで、RXデータプロセッサ260は、特定の受信機処理技術に基づいてNR受信機254からN受信シンボルストリームを受信して処理し、N「検出」シンボルストリームを提供する。次に、RXデータプロセッサ260は、個々の検出シンボルストリームを復調し、デインターリーブ(deinterleaves)し、さらに復号化することによって、データストリームのトラヒックデータを回復する。RXデータプロセッサ260による処理は、送信機システム210でTX MIMOプロセッサ220とTXデータプロセッサ214によって実行される処理とは相補的である。
【0032】
プロセッサ270は、どのプリコーディング行列(pre-coding matrix)を使用するかを定期的に決定する(後述)。プロセッサ270は、行列の添え字の部分とランク値の部分を備える逆方向リンクメッセージを作成する。
【0033】
この逆方向リンクメッセージは、通信リンクおよび/または受信データストリームに関するさまざまなタイプの情報を備えていてもよい。この逆方向リンクメッセージは、ここでデータソース236から多くのデータストリームのトラヒックデータも受信するTXデータプロセッサ238によって処理され、変調器280によって変調され、送信機254a〜254rによって調整され、さらに送信機システム210に返送される。
【0034】
送信機システム210で、受信機システム250からの変調信号がアンテナ224で受信され、受信機222で調整され、復調器240で復調され、さらにRXデータプロセッサ242で処理されることによって、受信機システム250から送信された逆方向リンクメッセージを抽出する。プロセッサ230は、ここでビーム形成の重みを決定するためにどのプリコーディング行列(pre-coding matrix)を使用するかを決定してから、抽出されたメッセージを処理する。
【0035】
本明細書で説明するデータ送信技術は、符号分割多重アクセス(CDMA)システム、周波数分割多重アクセス(FDMA)システム、時分割多重アクセス(TDMA)システム、空間分割多重アクセス(SCMA:Spatial Division Multiple Access)システム、直交FDMA(O−FDMA)システム、およびシングルキャリア周波数分割多重(SC−FDM)システムなどのさまざまな通信システムに使用できる。OFDMAシステムは、直交周波数分割多重(O−FDM)を利用している。SC−FDMAシステムは、シングルキャリア周波数分割多重(SC−FDM)を利用している。OFDMおよびSC−FDMは、システム帯域幅をトーン、ビンなどとも呼ばれる複数(K個)の直交サブキャリアに区分する。個々のサブキャリアは、データで変調されてもよい。一般に、変調シンボルは、周波数ドメインではOFDMを使用して、時間ドメインではSC−FDMを使用して送信される。明確にするために、この技術はOFDMAシステムについて説明されている。
【0036】
システムは、物理チャネルを定義して使用可能なシステムリソースの割り当てと使用を円滑化することもできる。物理チャネルは物理レイヤーでデータを送信するための手段である。トラヒックデータ(またはユーザデータ)を送信するために使用される物理チャネルは、トラヒックチャネルと呼ばれる。制御データを送信する(すなわちシグナリング)のために使用される物理チャネルは制御チャネルと呼ばれる。物理チャネルは、サブキャリア、時間間隔、コードシーケンス(code sequences)など、任意のタイプのシステムリソースに関して定義できる。
【0037】
図3は、順方向リンクまたはダウンリンクのチャネル構造300の実施形態を示している。チャネル構造300には、さまざまなシステムリソースに関連付けられたN個のチャネルノードが含まれる。ただし、Nは任意の整数値でよい。たとえば、N個のチャネルノードはマッピングスキームに基づいてN個の異なるタイル(tiles)にマップされてもよい。個々のタイルは、あらかじめ指定された数(たとえば8個)のシンボル期間内のあらかじめ指定された数(たとえば16個)のサブキャリアに対応してもよい。チャネルノードは、チャネルツリーのベースノードに対応してもよい。
【0038】
図3に示す実施形態では、制御チャネル用にM個のチャネルノードが予約されている。ただし、一般に1<M<Nである。制御チャネルは、端末に制御メッセージを送信するために使用できる。制御メッセージには、特定の端末に送信され、順方向リンクおよび/または逆方向リンクのリソース割り当て、アクセス許可などに使用されるユニキャストメッセージを含めてもよい。1つの実施形態において、個々の制御メッセージはサイズがあらかじめ指定されており(たとえば特定の情報ビット数)、特定の符号化スキームおよび変調スキームで処理されて特定の数の変調シンボルを生成する。この実施形態では、さまざまな制御メッセージとその変調シンボルは同数である。M個のチャネルノードは、たとえば肯定応答チャネル(ACKCH:acknowledgement channel)、電力制御チャネル(PCCH:power control channel)などの信号チャネルに使用してもよい。このような他の信号チャネル用に指定されたリソースは、場合によっては恒久的であり、他の目的には利用されない。
【0039】
制御チャネル用に予約するチャネルノードの数(M)(したがってシステムリソースの量)は、指定されたフレームまたは時間間隔内に制御チャネルで送信できる制御メッセージ数の最大値(L)、制御メッセージあたりの変調シンボルの数、および各チャネルノードの送信能力によって決定される。Lは、(1)スケジューラが効率的に動作でき、信号の制限によって制約されないように、かつ(2)制御チャネルのオーバーヘッドができるだけ低くなるように選択することができる。ここで、Mは選択されたLとそれ以外のパラメータに基づいて決定されてもよい。LとMは設定可能な(すなわち準静的)システムパラメータでもよい。また、これらのパラメータの設定値は、ブロードキャストチャネルで送信されてもよい。例示的な実施形態では、Mはほぼ3または4であり、個々のチャネルは約40個の変調シンボルを搬送でき、さらに制御チャネルに約120〜160個の変調シンボルが割り当てられる。M個の予約チャネルノードで指定されたフレーム内で、最大L個の制御メッセージを制御チャネルで送信できる。さまざまな態様により、リソースがATに割り当てられるのと同様に、割り当てメッセージを使用して制御ノードがATに明示的に割り当てられる。
【0040】
図3は、さらに制御チャネル300の実施形態を示している。この実施形態では、制御チャネルはあらかじめ指定されたマッピングスキームに基づいてM個の予約チャネルノードにマップされるL個のリンク割り当てブロック(LAB)を備える。L個のLABは、L個の制御メッセージ(LABごとに1つの制御メッセージ)を搬送するために使用できる。
【0041】
残りのN−M個のチャネルノードは、トラヒックチャネルおよび/またはそれ以外の物のチャネル(たとえば、ブロードキャストチャネル、パイロットチャネルなど)に使用できる。図3に示す例では、トラヒックチャネル1はチャネルノードM+1〜M+3に割り当てられ、トラヒックチャネル2はチャネルノードM+4とM+5に割り当てられる(以下同様)。一般に、各トラヒックチャネルには任意の数のチャネルノードを割り当てることができる。
【0042】
1つの実施形態では、1つまたは複数のトラヒックチャネルが制御チャネル用のM個の予約チャネルノードに関連付けられる。一般に、指定されたトラヒックチャネルには任意の数および任意の1つの予約チャネルノードを割り当てることができる。M個の予約チャネルノードには、任意の数と任意の1つのトラヒックチャネルを割り当てることができる。トラヒックチャネルと予約チャネルノードとの関連は準静的でよい。たとえば、制御チャネル用の予約チャネルノードが設定された場合はいつでも、かつ/またはトラヒックチャネルが端末に割り当てられた場合はいつでも決定することができる。図3に示す例では、トラヒックチャネル1は予約チャネルノードMに関連付けられる。それ以外の予約チャネルノードは、他のトラヒックチャネルに関連付けられてもよい(簡単にするために図3には示されていない)。
【0043】
別の実施形態では、1つまたは複数のトラヒックチャネルは制御チャネルのL個のLABに関連付けられる。一般に、トラヒックチャネルまたはトラヒックチャネルのシステムリソース(たとえばチャネルノード)は、さまざまな方法で制御チャネルのシステムリソースに割り当てることができる。
【0044】
トラヒックチャネルに関連付けられた予約チャネルノードまたはLAB(1つまたは複数)は、一時的にトラヒックデータを搬送するために割り当てられる補助リソースと見なすことができる。関連付けられた予約チャネルノード(1つまたは複数)の任意の部分または関連付けられたLAB(1つまたは複数)が制御メッセージを送信するために使用されない場合は、関連付けられた予約チャネルノード(1つまたは複数)の使用されていない部分または使用されていないLAB(1つまたは複数)がトラヒックチャネルに割り当てられた端末でトラヒックデータを送信するために利用できる。たとえば、図3では、予約チャネルモードMは制御メッセージの搬送に利用されていないリンク割り当てブロックLAB 3に関連付けられている。したがって、予約チャネルノードMをトラヒックデータの搬送用に割り当てることができる。
【0045】
図4Aは、LABから予約チャネルノードへのマッピングの1つの例を示している。別の実施形態では、各LABが1つまたは複数の予約チャネルノードにマップされ、各チャネルノードは唯一のLABに使用できる。この実施形態では、各予約チャネルノードは全体がトラヒックチャネルを搬送するために使用可能である。しかし、指定されたフレーム内で使用されるLABの数の平均はLより小さい。指定されたLABが指定されたフレーム内で使用されない場合は、そのLABに割り当てられたM個の予約チャネルノードをトラヒックデータの搬送に使用できる。
【0046】
図4Bは、唯一の制御メッセージがLAB 1で送信される1つの例を示している。この例では、LAB 1で送信された制御メッセージの要素B11〜B1Mはそれぞれ予約チャネルノード1〜Mの部分にマップされる。各予約チャネルノードには、制御メッセージの搬送に使用されない部分、したがってトラヒックデータの搬送に使用できる部分がある。
【0047】
図4Aと4Bに示す実施形態では、一部のLABが指定されたフレーム内で使用されない場合に、各予約チャネルノードには制御メッセージに使用されない部分がある。各予約チャネルノードの使用されていない部分は、その予約チャネルノードに関連付けられたトラヒックチャネルのトラヒックデータを搬送するために使用できる。たとえば、指定されたフレーム内でLABの半分だけが使用されている場合は、各予約チャネルノードのほぼ半分(場合によってはそれ以下)はトラヒックデータの搬送に使用できる。このようにして、使用されていない制御チャネルリソースは、LABごとでなく予約チャネルノードごとに、トラヒックデータを搬送するために動的に割り当てることができる。
【0048】
図4Aと4Bは、制御チャネルでの制御メッセージ送信の実施形態を示している。制御メッセージは他の手段で送信されてもよい。
【0049】
図5は、制御チャネルで送信される制御メッセージを搬送するために使用される制御チャネル割り当てメッセージ500のメッセージフォーマットの実施形態を示す図である。この実施形態では、割り当てメッセージ500には、メッセージタイプフィールド502、ビットマップ504、および巡回冗長検査(CRC:cyclic redundancy check)フィールド506が含まれる。メッセージタイプフィールド502は、このメッセージを制御チャネル割り当てメッセージとして識別するための固有の値を搬送する。別のメッセージには別のメッセージタイプの値を割り当てることができる。ビットマップフィールドはL個のLABのそれぞれについてビットを搬送する。たとえば、ビットマップの第lビットをt番目のLABに関連付けることができる。ビットマップフィールド504のサイズは、固定すなわちLmaxビットでもよい。ただし、Lmaxは使用可能なLの最大値である。ビットマップの各ビットは、関連のLABが制御メッセージの送信に使用されているかどうかを示している。図5に示す例では、制御メッセージはLAB 2、3、...、Lで送信されており、LABS 1、4、...L−1では送信されていない。また、搬送されるビットマップフィールドのサイズは設定可能でもよい。たとえば、割り当てメッセージ(図3には示されていない)のビットマップサイズフィールドで伝達してもよい。また、ビットマップは複数のメッセージとして搬送されてもよい。その場合は、各メッセージにはそのメッセージでビットマップのどの部分が搬送されているかを示す順序IDが含まれる。CRCフィールドは、端末で割り当てメッセージが正しく復号化されたか誤りが発生したかを確認するために使用するCRCの値を搬送する。また、どのLABが使用されているか、または使用されていないかを伝達する情報は、他の方法で他のメッセージフォーマットを使用して送信されてもよい。
【0050】
1つの実施形態では、割り当てメッセージ500は他の制御メッセージとともに制御チャネルで送信される。たとえば、割り当てメッセージは制御チャネルのLAB 0で送信されてもよい。1つの実施形態では、割り当てメッセージはセクター識別子(ID)、ブロードキャストMAC ID、および/またはそれ以外のパラメータの関数である疑似乱数(PN)列でスクランブルされる(scrambled)。セクターIDは、メッセージを送信する基地局を識別する。ブロードキャストMAC ID(Media Access Control)は、メッセージがすべての端末向けであることを示している。この実施形態により、端末は割り当てメッセージを受信し、どのLABを処理して制御メッセージを回復するかを確認する。割り当てメッセージは、ブロードキャストチャネルおよび/またはその他の方法で送信されてもよい。
【0051】
割り当てメッセージ500は、フレームごとにブロードキャストされ、そのフレーム内のどのLABが制御メッセージの搬送に使用されるかを伝達することができる。割り当てメッセージ500は、どのLABが制御メッセージに使用されていないかも伝達する。使用されているLABは、各予約チャネルノードのどの部分が制御データに使用されているかを決定する。使用されていないLABは、各予約チャネルノードのどの部分が制御データに使用されていないか、したがってトラヒックデータに使用できるかを決定する。端末は、割り当てメッセージ500に基づいて各予約チャネルノードの使用されている部分と使用されていない部分を確認できる。基地局は、割り当てられたトラヒックチャネル302とそのトラヒックチャネルに関連付けられた各予約チャネルノードの使用されていない部分304でトラヒックデータを送信できる。
【0052】
トラヒックデータの送信には、ハイブリッド自動再送信(HARQ:hybrid automatic retransmission)を伴っても伴わなくてもよい。HARQを使用すると、データ送信の信頼性を向上できる。順方向リンクでHARQを送信する場合は、基地局はデータパケットを処理(たとえば、フォーマット、符号化、インターリーブ)して符号データのS個のサブパケットを生成する。ただし、Sは任意の整数値でよい。
【0053】
基地局は、第1のサブパケット(SP1)を順方向リンクで端末に送信する。端末はこの送信を受信し、サブパケットSP1を復号化し、サブパケット(SP1)が正しく復号化された場合に肯定応答(ACK)を送信し、サブパケットの復号化で誤りが発生した場合に否定応答(NAK)を送信する。端末がNAKを送信すると、基地局は第2のサブパケット(SP2)を送信する。端末はこの送信を受信し、第1と第2のサブパケットを復号化し、復号化の結果に基づいてACKまたはNAKを送信する。このようにして、基地局はパケットのACKが受信されるまで、またはすべてのサブパケットが送信されるまで、あるいは他の何らかの原因でパケット送信が終了するまで、1度に1つのサブパケットを送信してもよい。
【0054】
サブパケットのサイズは、通常はトラヒックチャネルの送信能力によって決定され、それに一致する。これで、各サブパケットはその全体をトラヒックチャネルで送信することができる。しかし、補助リソースを動的に割り当てることができ、トラヒックデータに使用できる場合は、送信能力は送信ごとに変化してもよい。後述のように、HARQと可変の送信能力を使用してパケットを効率的に送信することができる。
【0055】
図6Aは、動的に割り当て可能な補助リソースを使用したHARQ送信スキーム610を示す図である。データパケットが処理されてS個のサブパケットが生成される(簡単にするために、初めの4つのサブパケット1〜4のみが図6Aに示されている)。個々のサブパケット(SPn)には、第1の符号化部分(SPna)と第2の符号化部分(SPnb)が含まれている。このスキームでは、サブパケットの第1の符号化部分(SPna)はトラヒックチャネルで送信でき、サブパケットの第2の符号化部分(SPnb)は補助リソースで送信できる(使用可能な場合)。第1の符号化部分は、トラヒックチャネルの容量によって決定される。第2の符号化部分は、使用可能な場合に補助リソースの容量によって決定される。
【0056】
図6Aに示す例のシナリオは、初めの4つのHARQ送信を示している。このシナリオでは、補助リソースは、第1と第4のHARQ送信では使用不可能であり、第2と第3のHARQ送信では使用可能である。第1のHARQ送信では、第1のサブパケットの第1の符号化部分(SP1a)がトラヒックチャネルで送信される。このパケットは、第1のHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第2のHARQ送信では、第2のサブパケットの第1の符号化部分(SP2a)がトラヒックチャネルで送信され、第2のサブパケットの第2の符号化部分(SP2b)のすべてまたは一部が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの2つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第3のHARQ送信では、第3のサブパケットの第1の符号化部分(SP3a)がトラヒックチャネルで送信され、第3のサブパケットの第2の符号化部分(SP3b)のすべてまたは一部が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの3つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第4のHARQ送信では、第4のサブパケットの第1の符号化部分(SP4a)がトラヒックチャネルで送信される。
【0057】
図6Bは、4つのHARQ送信で送信される符号化データを示している。このスキームでは、サブパケットの第2の符号化部分は、補助リソースが使用不可能な場合は送信されない。図6Bには示されていないが、サブパケットの第2の符号化部分は、すべての補助リソースが使用不可能な場合はその全体が送信されない。このスキームでは、(1)補助リソースが使用不可能な場合は一部の符号化データが送信されないこと、または(2)補助リソースで送信される符号化データがたとえばビットマップ検出誤りなどによって受信されないことによって、符号化利得の損失が発生する可能性がある。
【0058】
図7Aは、動的に割り当て可能な補助リソースを使用したHARQ送信スキーム710の1つの実施形態を示す図である。図6Aについて前述したように、データパケットが処理されてS個のサブパケットが生成される。ただし、この実施形態では、サブパケット全体はトラヒックチャネルで送信でき、サブパケットの第2の符号化部分(SPxb)のすべてまたは一部は関連の予約チャネルノード(1つまたは複数)の使用されていない部分による補助リソースで送信できる。
【0059】
図7Aは、さらに図6Aについて前述した例示的なシナリオによる初めの4つのHARQ送信を示している。第1のHARQ送信では、第1のサブパケット全体(SP1)がトラヒックチャネルで送信される。このパケットは、第1のHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第2のHARQ送信では、第2のサブパケット全体(SP2)がトラヒックチャネルで送信され、第1のサブパケットの第2の符号化部分(SP1b)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの2つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第3のHARQ送信では、第3のサブパケット全体(SP3)がトラヒックチャネルで送信され、第2のサブパケットの第2の符号化部分(SP2b)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの3つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第4のHARQ送信では、第4のサブパケット全体(SP4)がトラヒックチャネルで送信される。このようにして、この送信スキームにより、サブパケットごとに、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、後続の送信でそのサブパケットの1つの符号化部分が補助チャネルで送信される。
【0060】
図7Bは、4つのHARQ送信で送信される符号化データを示している。この実施形態では、個々のサブパケットの符号化データのすべてがトラヒックチャネルで送信されている。符号化データの1つ部分は、補助リソース(使用可能な場合)で繰り返し送信される可能性がある。この実施形態では、第1と第4のHARQ送信でなく指定された任意のHARQ送信で、基地局は前のHARQ送信で送信された一部の符号化データを補助リソース(使用可能な場合)に割り当てる(使用可能な場合)。第1のHARQ送信では、基地局は次のHARQ送信で送信される一部の符号化データを補助リソース(使用可能な場合)に割り当てる。
【0061】
図7Aと図7Bに示す実施形態では、補助リソースの恩恵を受けない端末の符号化効率を保証し、これらの端末で図6A、6Bに関連して説明したスキームに伴う符号化利得の損失が発生しないことを保証する。これらの端末は、さまざまな原因によって補助リソースの恩恵を受けることができない。たとえば、補助リソースはすべてのLABが制御メッセージの送信に使用されている場合はどのHARQ送信にも使用不可能である。別の例として、一部またはすべてのHARQ送信でトラヒックデータは補助リソースで送信されたが、端末は制御チャネル割り当てメッセージの受信で誤りが発生し、補助リソースで送信されたトラヒックデータを失う可能性がある。この実施形態では、送信された個々のサブパケットの符号化データは少なくともトラヒックチャネルで受信できる。
【0062】
図8Aは、動的に割り当て可能な補助リソースを使用したHARQ送信スキーム810の1つの実施形態を示している。図6Aについて前述したように、データパケットが処理されてS個のサブパケットが生成される。この実施形態では、サブパケット全体(SPn)はトラヒックチャネルで送信でき、次のサブパケットの符号化部分(SP(n+l)x)のすべてまたは一部は補助リソースで送信できる。
【0063】
図8Aは、さらに図6Aについて前述したシナリオによる初めの4つのHARQ送信を示している。第1のHARQ送信では、第1のサブパケット全体(SP1)がトラヒックチャネルで送信される。このパケットは、第1のHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第2のHARQ送信では、第2のサブパケット全体(SP2)がトラヒックチャネルで送信され、次のサブパケット(SP3)の1つの符号化部分(SP3x)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの2つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第3のHARQ送信では、第3のサブパケット全体(SP3)がトラヒックチャネルで送信され、次のサブパケットの1つの符号化部分(SP4x)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの3つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第4のHARQ送信では、第4のサブパケット全体(SP4)がトラヒックチャネルで送信される。このようにして、この送信スキームにより、サブパケットごとに、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、次のサブパケットの1つの符号化部分が同時に補助チャネルで送信される。
【0064】
図8Bは、4つのHARQ送信で送信された符号化データを示している。この実施形態では、各サブパケットの符号化データのすべてがトラヒックチャネルで送信されている。サブパケットの符号化データの1つの部分は、サブパケットがトラヒックチャネルを経由して送信される前に補助リソース(使用可能な場合)で繰り返し送信される可能性がある。この実施形態では、指定された任意のHARQ送信で、基地局は将来のHARQ送信で一部の符号化データを補助リソース(使用可能な場合)に割り当てている。
【0065】
図7A〜8Bに示す実施形態では、サブパケットの符号化データは、前または次のHARQ送信で補助リソース(使用可能な場合)を使用して繰り返し送信される可能性がある。
【0066】
一般に、符号化データは補助リソース(使用可能な場合)を使用してデータの繰り返しを遅らせるような形で送信できる。データパケットは、P個の情報ビットを含めることができ、符号レートP/Q(たとえば、符号レート1/5)でQ個の符号化ビットに符号化できる。次に、Q個の符号化ビットからS個のサブパケットが生成される。サブパケットを満たすために、Q個の符号化ビットがバッファから循環方式で取得され、以下のように、Q番目の符号化ビットが使用されると、次に最初の符号化ビットが取得される。
【0067】
1,2,3,...,Q−2,Q−1,Q,1,2,3,...,Q−2,Q−1,Q,...
サブパケットの数(S)とサブパケットのサイズに応じて、指定された符号化ビットはゼロ、1つ、または複数個のサブパケットの形で使用できる。また、補助リソース用の符号化データは、以下のように逆循環方式で取得することもできる。
【0068】
Q,Q−1,Q−2,...,3,2,1,Q,Q−1,Q−2,...,3,2,1,...
HARQ送信ごとにバッファから逆方向に取得する符号化ビットの数は、補助リソースの容量によって決定され、送信ごとに変化してもよい。
【0069】
図9Aは、さらに図6Aについて前述した例示的なシナリオによる初めの4つのHARQ送信を示している。第1のHARQ送信では、第1のサブパケット全体(SP1)がトラヒックチャネルで送信される。このパケットは、第1のHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第2のHARQ送信では、第2のサブパケット全体(SP2)がトラヒックチャネルで送信され、最後のサブパケットの1つの符号化部分(SPSa)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの2つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第3のHARQ送信では、第3のサブパケット全体(SP3)がトラヒックチャネルで送信され、最後のサブパケットの1つの符号化部分(SPSb)が補助リソースで送信される。このパケットは、初めの3つのHARQ送信後に復号化で誤りが発生する。第4のHARQ送信では、第4のサブパケット全体(SP4)がトラヒックチャネルで送信される。このようにして、この送信スキームにより、サブパケットごとに、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、最後のサブパケットの符号化部分が補助チャネルで送信される。
【0070】
図9Bは、4つのHARQ送信で送信される符号化データを示している。この実施形態では、各サブパケットの符号化データのすべてがトラヒックチャネルで送信される。追加の(おそらく新しい)符号化データは、補助リソース(使用可能な場合)を使用して送信できる。この実施形態では、基地局は、指定された任意のHARQ送信で、前に送信されていないであろう一部の符号化データを補助リソース(使用可能な場合)に割り当てる。一般に、トラヒックデータはトラヒックチャネルと補助リソースを使用して、以下の目標を達成するような形で送信できる。
【0071】
1.端末で補助リソースの恩恵を受けない符号化ビットの無駄を避け、すべての符号化ビットが使用されるまでトラヒックチャネルで符号化ビットの繰り返しを開始しないこと
2.補助リソースの存在によって発生する符号化ビットの繰り返しの量を減らすこと
3.補助リソースをサポートしないAT、またはリソース割り当てメッセージを復号化できない(消失イベント)ATで、補助リソース以外を使用して受信したデータを処理できるようにすること
前述のすべて実施形態は、目標3を満足している。図5A〜9Bに示す実施形態は、目標1を達成している。図7A〜8Bに示す実施形態は、第2のHARQ送信から開始して補助リソース(使用可能な場合)による繰り返しを使用している。図9A〜9Bに示す実施形態は、補助リソースの存在による繰り返しをできるだけ長く遅らせている。
【0072】
この実施形態では、補助リソースの恩恵を受ける端末ではすべての符号化ビットが使用されるまで繰り返しは発生しない。データパケットに関して生成されたQ個の符号化ビットは、誤り訂正機能に関して同じ値をとることができ、符号化ビットの生成に使用される符号の構造によって異なる値をとることができる。Q個の符号化ビットが同じ値の場合は、図9Aと9Bに示す実施形態は図7A〜8Bに示す実施形態より高いパフォーマンスを提供できる。Q個の符号化ビットの値が異なる場合は(たとえば、埋め込みレート(embedded rate)1/3の符号を含むレート1/5の符号)、補助リソースの符号化ビットは、符号化ビットの相対的な値、繰り返しによって低下する可能性のある符号化利得などのさまざまな因子を考慮することによって選択してもよい。
【0073】
図7A〜9Bに示す実施形態は、補助リソースの恩恵を受ける端末と補助リソースの恩恵を受けない端末との適切な比較(good comprise)を提供する。1つの実施形態では、トラヒックチャネルで送信される符号化データは、トラヒックチャネルについて選択された第1の変調スキームを使用して変調(シンボルマッピング)される。補助リソースで送信される符号化データは、制御チャネルについて選択された第2の変調スキームを使用して変調される。第1の変調スキームは、第2の変調スキームと同じでも異なってもよい。この実施形態では、補助リソースを使用して送信されるトラヒックデータは、関連のトラヒックチャネルで使用する変調スキームにかかわらず、制御メッセージと同じ変調スキームを使用して変調される。
【0074】
別の実施形態では、トラヒックデータはトラヒックチャネルと補助リソースの両方に関する同じ変調スキームを使用して送信される。一般に、トラヒックチャネルで送信されるトラヒックデータと補助リソースで送信されるトラヒックデータには、同じ符号化スキームを使用しても異なる符号化スキームを使用してもよいし、同じ変調スキームも使用しても異なる変調スキームを使用してもよい。
【0075】
図10は、通信網内の補助リソースを割り当てる1つの方法1000を説明する実施形態である。本方法は、1002で開始され、ここでN個のチャネルノードをN個の異なるタイルにマップすることによって、N個のチャネルノードがシステムリソースに関連付けられる。1004で、N個のチャネルノードからM個のノードが制御メッセージを送信するために予約される。ただし、M<Nである。残りのN−M個のチャネルは、トラヒックデータを搬送するために割り当てることができる。他の実施形態では、N個のチャネルのすべてが制御メッセージを送信できる。この場合にトラヒックチャネルは存在しない。1006で、M個のチャネルノードに関連付けられたL個のリンク割り当てブロック(LAB)のすべてが制御メッセージを搬送しているかどうかを判断する。L個のLABのすべてが制御メッセージの送信に関与する場合は、使用可能な補助リソースがないと判断され、1012に示すように、ユーザトラヒックはトラヒックチャネルを経由して送信される。N個のチャネルノードのうち制御メッセージの搬送に関与しないチャネルノード(M+1,....N)があると判断された場合は、1008でこのようなチャネルが識別される。1010で、識別されたチャネルノードは補助リソースとしてトラヒックデータの搬送に割り当てられる。1つの実施形態では(図示せず)、補助リソースを割り当てる前に、ユーザのサービスオプションが補助リソースの割り当てを許可するかどうかが判断されてもよい。
【0076】
図11は、トラヒックデータを搬送するために割り当てられた補助リソースがある場合に、どれかを決定する1つの方法を説明する実施形態である。1102で、端末は基地局からブロードキャストされたメッセージを受信する。メッセージは、メッセージタイプフィールド、ビットマップ、および巡回冗長検査(CRC)フィールドを備えることができる。受信されたメッセージは、1104でメッセージタイプフィールドを審査することによって、制御チャネル割り当てメッセージとして識別される。1106で、ビットマップフィールドが審査され、どのLABが制御メッセージの送信に使用されているか、またどのLABが制御メッセージの送信に使用されていないかを識別する。1108で、CRCフィールドを使用してメッセージが正しく復号化されたことを確認する。1110で、制御メッセージの送信に使用されていない制御チャネルは補助リソースとしてデータトラヒックの搬送に利用される。
【0077】
補助リソースとしてデータトラヒックの搬送に使用できるチャネルを識別すると、以下で詳述するように、さまざまなスキームを使用して専用のトラヒックチャネルと補助リソースチャネルを経由してデータパケットを送信できる。図12は、トラヒックチャネルと補助リソースの両方を使用してデータパケットを搬送するこのような1つのスキームを示している。1202で、データパケットが処理されてサブパケットが生成される。1204で、個々のサブパケットは第1の符号化部分と第2の符号化部分に分割される。1206で、補助リソースが使用可能かどうかの判断が行われる。補助リソースが使用可能でない場合は、1208でデータパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。補助リソースが使用可能な場合は、1210で、第1の符号化部分はトラヒックチャネルで送信される一方で、第2の符号化部分は予約制御チャネルから得られる補助リソースで送信される。1212で、送信されるパケットが他にもあるかどうかが判断される。このようにして、すべてのデータパケットについてこのプロセスが繰り返される。前述のように、このスキームでは、(1)補助リソースが使用不可能な場合は一部の符号化データが送信されないこと、または(2)補助リソースで送信された符号化データがたとえばビットマップ検出誤りなどによって受信されないことによって、符号化利得の損失が発生する可能性がある。
【0078】
図13は、補助リソースが使用可能な場合に利用できるデータパケット送信の別の方法を示している。1302で、データパケットが処理されてサブパケットが生成される。1304で、個々のサブパケットは第1の符号化部分と第2の符号化部分に分割される。1306で、補助リソースが使用可能かどうかの判断が行われる。補助リソースが使用可能でない場合は、1308でデータパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。補助リソースが使用可能な場合は、1310で第1のHARQ送信で第1のサブパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。1312の第2の送信では、第2のサブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、第1のサブパケットの1つの符号化部分が使用可能な補助リソースで繰り返し送信される。13I4で、送信されるパケットが他にもあるかどうかが判断される。このようにして、すべてのサブパケットについてこのプロセスが繰り返される。したがって、この方法は、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、後続の送信でそのサブパケットの符号化部分が使用可能な補助リソースを使用して繰り返し送信される送信スキームに関連する。
【0079】
図14は、補助リソースが使用可能な場合に利用できるデータパケット送信の別の方法を示している。1402で、データパケットが処理されてサブパケットが生成される。1404で、個々のサブパケットは第1の符号化部分と第2の符号化部分に分割される。1406で、補助リソースが使用可能かどうかの判断が行われる。補助リソースが使用可能でない場合は、1408でデータパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。補助リソースが使用可能な場合は、1410で第1のHARQ送信で第1のサブパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。1412の第2の送信では、第2のサブパケット全体がトラヒックチャネルで送信され、第3のサブパケットの1つの符号化部分が使用可能な補助リソースで送信される。1414で、第3のサブパケット全体がトラヒックチャネルを経由して送信される。1416で、送信されるサブパケットが他にもあるかどうかが判断される。このようにして、すべてのデータパケットについてこのプロセスが繰り返される。したがって、この方法、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信される一方で、前の送信でそのサブパケットの1つの符号化部分が使用可能な補助リソースを使用して繰り返し送信される送信スキームに関連する。
【0080】
図13と図14に示す方法では、すべての符号化ビットが使用されるまで繰り返しを開始しないことによって、補助リソースの恩恵を受けない端末の符号化ビットの無駄を回避するが、補助リソースの存在による繰り返しを最小限に抑えてはいない。これは、図15に示されるスキームを採用することによって実現できる。ここでは、補助リソースの存在によって発生する符号化ビットの繰り返しの量を最小限に抑えるような形でデータパケットが送信されるデータパケット送信の方法が示されている。このように、図15に示されるスキームに従って、補助リソースの恩恵を受ける端末ではすべての符号化ビットが使用されるまで繰り返しは発生しない。
【0081】
最初に、1502で、送信されるべきP個の情報ビットは符号レートP/QでQ個の符号化ビットに符号化される。1504で、Q番目の符号化ビットが使用されると、次に最初の符号化ビットが取得されるように、バッファから循環方式で取得されたQ個の符号化ビットでサブパケットを満たすことによってS個のサブパケットが生成される。1506で、最後のサブパケット、すなわちサブパケットSは多くの符号化部分に分割される。符号化部分のサイズは、多くの要因に基づいて動的に変化してもよい。たとえば、使用可能な補助リソースの容量は動的に決定でき、最後のサブパケットはそれに応じて分割できる。補助リソースの存在を仮定すると、1508で、サブパケットはその全体がトラヒックチャネルで送信される一方で、最後のサブパケットの符号化部分が補助リソースで送信される。たとえば、第1のHARQ送信では、第1のサブパケットはその全体がトラヒックチャネルで送信される一方で、最後(S番目)のサブパケットの第1の符号化部分は使用可能な補助リソースで送信される。1510ですべて(S−1個)のサブパケットについてこのプロセスが繰り返され、サブパケット全体がトラヒックチャネルで送信される一方で、最後のサブパケットの符号化部分は補助リソースで送信される。このようにして、このプロセスにより、符号化ビットの繰り返しを最小限に抑え、すべてのサブパケットに含まれるすべての符号化ビットが一度だけ送信/読み出しされるようにするのが理想的である。
【0082】
図16は、1つの態様に従って、補助リソースの存在によるデータの繰り返しを最小限に抑える通信システム1600を示す概略的ブロック図である。本システムは、前述のさまざまなスキームに従ってデータを送信/受信するように設定された第1の通信コンポーネント1602と第2の通信コンポーネント1620を備える。
【0083】
第1の通信コンポーネント1602は、システム内で使用可能な1つまたは複数の能力(トラヒックチャネルの容量など)に基づいてトラヒックデータを処理してサブパケットを生成する処理コンポーネント1604をさらに備える。第1の通信コンポーネントは、処理コンポーネントに接続して動作でき、符号ビットをバッファに格納し、サブパケットに符号ビットを満たすることによってサブパケットの生成を円滑化するメモリコンポーネント1606をさらに備える。前述のさまざまなスキームに従って、サブパケットは逐次的に、または循環方式などで満たされことができる。さらに、送信コンポーネント1608も第1の通信コンポーネントに含まれており、送信コンポーネントは処理コンポーネント1604によって決定されるさまざまな送信スキームに基づいてデータパケット/サブパケットを送信する。1つの態様に従って、処理コンポーネント1604は制御メッセージの搬送に利用されていない予約制御チャネルをトラヒックデータの搬送用の補助リソースとしてトラヒックチャネルに割り当てることができる。このようにして、送信コンポーネントは1つまたは複数のデータパケット、サブパケット、サブパケットの符号化部分、またはそれらの組合せを、さまざまなスキームに従ってさまざまな周波数で送信するように設定されている。
【0084】
また、通信システム1600は、第1の通信コンポーネントから送信されたサブパケットを受信できる第2の通信コンポーネント1620も備えている。第2の通信コンポーネントも、処理コンポーネント1622、メモリコンポーネント1624、および送信コンポーネント1626を備えることができる。第2の通信コンポーネント1620は、第1の通信コンポーネント1602からブロードキャストされたチャネル割り当てメッセージに基づいて、受信したデータパケットを復調できる。チャネル割り当てメッセージは、さらに受信したデータパケット/サブパケットが正しく復号化されたかどうかの判断を円滑化する。正しく復号化された場合に第2の通信コンポーネントは肯定応答(ACK)メッセージを生成し、それ以外の場合は否定応答(NAK)メッセージを生成する。受信した肯定応答メッセージのタイプに基づいて、第1のコンポーネント1602は、データパケットのACKメッセージが受信されるまで、またはすべてのサブパケットが送信されるまで、あるいは他の原因で通信セッションが終了するまで、1度に1つのサブパケットを送信できる。
【0085】
本明細書で説明するデータ送信技術は、さまざまな手段によって実装できる。たとえば、このような技術は、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、あるいはこれらの組合せによって実装できる。ハードウェアで実装する場合に、送信機でのデータ送信または受信機でのデータ受信に使用される処理装置は、本明細書で説明する機能を実現するように設計された1つまたは複数の特定用途向け集積回路(ASIC:application specific integrated circuit)、デジタルシグナルプロセッサ(DSP:digital signal processor)、デジタル信号処理装置(DSPD:digital signal processing device)、プログラマブルロジックデバイス(PLD:programmable logic device)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA:field programmable gate array)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、電子デバイス、その他の電子ユニット、またはこれらの組合せのいずれで実装してもよい。
【0086】
ファームウェアおよび/またはソフトウェアで実装する場合に、本技術は、本明細書で説明する機能を実現するモジュール(たとえば、プロシージャ、関数など)によって実装できる。ファームウェアコードおよび/またはソフトウェアコードは、メモリ内に格納し、プロセッサで実行することができる。メモリは、プロセッサに内蔵されても外付けされてもよい。
【0087】
開示された実施形態に関する以上の説明により、すべての当業者は本開示を構築し、利用できる。こうした実施形態へのさまざまな変更については当業者には自明であり、本明細書で定義する一般的な原理は本開示の精神と範囲を逸脱することなく他の実施形態に適用できる。したがって、本開示は、本明細書に示す実施形態に限定されるものでなく、本明細書で開示する原理と新機能に適合する最大限の範囲を網羅するものとする。
【0088】
本明細書で説明した一般に補助リソースのデータ選択に関連する技術には、データチャネルや制御チャネルを含むさまざまなRLチャネルが含まれる。1つの実施形態では、本技術は、処理でき、送信できる逆方向リンクRL制御チャネル(Channel Quality Indicator Channel(CQICH、上りチャネル品質表示チャネル)、Request Channel(REQCH、割り当て要求チャネル)、Pilot Channel(PICH、パイロットチャネル)、Acknowledgement Channel(ACKCH、肯定応答チャネル)、Beamforming Feedback Channel(BFCH、ビーム形成フィードバックチャネル)、Subband Feedback Channel(SFCH)など)に使用できる。また、本技術は、チャネライゼーションコード(channelization code)を使用して拡散され、スクランブルされる時分割多重(TDM)パイロットにも使用できる。
【0089】
以上で説明した内容には、さまざまな実施形態の例が含まれる。本実施形態について説明するために、コンポーネントまたは方法のあらゆる組合せについて説明するのはもちろん不可能であるが、他にも多くの組合せや置き換えが可能であることは当業者には理解されるであろう。したがって、「発明を実施するための形態」は添付の「特許請求の範囲」の精神と範囲を逸脱しない代替、変更、変形のすべてを包括すること意図している。
【0090】
特に前述のコンポーネント、デバイス、回路、システムなどで実行するさまざまなむ機能に関して、こうしたコンポーネントを表すのに使用される用語(「手段」という表現を含む)は、特に指示のない限り、記述するコンポーネントの特定の機能を実現する(すなわち機能的に同等の)すべてのコンポーネントに対応するものとする。ただし、本発明書で説明する本実施形態の例示的な態様の機能を実現する開示された構造と構造上同等でなくてもよい。この点について、本実施形態にはシステムおよびさまざまな方法の動作および/またはイベントを実行するためのコンピュータ実行可能命令を格納するコンピュータ可読媒体が含まれることも理解されるであろう。
【0091】
さらに、特定の機能をいくつかの実装の1つに関連してのみ開示したが、指定された任意のアプリケーションまたは特定のアプリケーションにとって望ましい場合または有利な場合は、このような機能に他の実装の他の機能を1つまたは複数組み合わせてもよい。さらに、「特許請求の範囲」と「発明を実施するための形態」のいずれかで使用する「含む」「含まれる」という用語およびその変形の範囲は、用語「備える」と同様に包括的な意味を表すものとする。
【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−9393(P2013−9393A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−173230(P2012−173230)
【出願日】平成24年8月3日(2012.8.3)
【分割の表示】特願2009−522002(P2009−522002)の分割
【原出願日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【出願人】(595020643)クゥアルコム・インコーポレイテッド (7,166)
【氏名又は名称原語表記】QUALCOMM INCORPORATED
【Fターム(参考)】