説明

補助持上げ装置を備える突き固め機

軌道の下を突き固める突き固め機は、突き固めユニットの直前に位置決めされた軌道持上げユニットと、転轍器の、主軌道から分岐する分岐レール(20)を持ち上げるために構成された補助持上げ装置(19)とを備えて形成されている。この補助持上げ装置(19)は、機械長手方向(28)に対して垂直に延びる保持体(21)に固定されていて、レールヘッド(26)に接触可能な持上げ工具(27)を有する。機械長手方向(28)において互いに間隔をおいて位置していて1つの共通の回転平面(33)において回転可能な、前記レールヘッド(26)の第1の側面(34)に接触する円板形の2つの転動ローラ(32)が、前記補助持上げ装置(19)と結合されている。前記レールヘッド(26)の第2の側面(35)への接触及び前記レールヘッド(26)上への前記補助持上げ装置(19)の載置のために、フランジ付きローラ(36)が設けられている。前記補助持上げ装置(19)は、駆動装置(41)によって軸線(42)を中心にして前記保持体(21)に対して旋回可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、請求項1の上位概念部に記載された、軌道の下を突き固める突き固め機、すなわち、レール台車の間でかつ突き固め機の作業方向で見て突き固めユニットの直前に位置決めされた、駆動装置によって高さ調節可能な軌道持上げユニットであって、前記レール台車が走行する主軌道をレベリング(高低整正)及びライニング(通り整正)する軌道持上げユニットと、転轍器の、前記主軌道から分岐する分岐レールを持ち上げるために構成された補助持上げ装置であって、機械長手方向に対して垂直に延びる保持体に固定されていて、レールヘッドに接触可能な持上げ工具を有する補助持上げ装置と、を備える、軌道の下を突き固める突き固め機に関する。
【0002】
このような突き固め機は、例えばEP−A1143069に基づいて既に公知であり、軌道の直線区域のみならず、特に転轍器領域における軌道の突き固めのためにも適している。この場合、突き固めユニットに直に設けられた軌道持上げユニットによる主軌道の持上げに対して並列的に、分岐するレールストランドが、二重フランジ付きローラを介してレールストランド上を転動する補助持上げ装置を用いて同期的に一緒に持ち上げられる。そのために補助持上げ装置は、保持体に固定されていて軌道横方向及び鉛直方向に駆動装置によって調節可能な持上げ工具を有しており、この持上げ工具は、突き固め機が連続的に作業方向において前進運動する間、分岐するレールのレールヘッドに接触可能であり、これにより係合状態に保たれている。しかしながら転轍器の通過時には、かなりの箇所において問題の発生することがあり、つまり規定された転轍器構成部材の位置に起因して、補助持上げ装置を短時間レールヘッドから解離することが、必要になることもある。
【0003】
ゆえに本発明は、冒頭に述べた突き固め機を改良して、補助持上げ装置と転轍器との間隙のない接触を可能にする突き固め機を提供することである。
【0004】
この課題を解決するために本発明の構成では、請求項1の特徴部記載のように、すなわち、
イ)前記機械長手方向において互いに間隔をおいて位置していて1つの共通の回転平面において回転可能な、前記レールヘッドの第1の側面に接触する円板形の2つの転動ローラが、前記補助持上げ装置と結合されており、
ロ)前記レールヘッドの第2の側面への接触及び前記レールヘッド上への前記補助持上げ装置の載置のために、フランジ付きローラが設けられており、
ハ)前記補助持上げ装置は、駆動装置によって軸線を中心にして前記保持体に対して旋回可能であるようにした。
【0005】
このように構成された、突き固め機の補助持上げ装置は、機械長手方向において互いに間隔をおいて位置する2つの転動ローラに基づいて、著しく改善されたグリップ確実性の点で傑出しており、しかもこれによって同時に、大きなクランプ力をもレールヘッドに対して確実に伝達することができる。これにより、分岐部軌道のレールが持ち上げられている場合における、レールの滑落がより確実に防止され、ひいては作業確実性が全体として高められ、有利である。さらに2つの転動ローラが設けられていることによって、補助持上げ装置を支持するためのフランジ付きローラを従来のように二重フランジ付きローラとして形成する必要がなくなる。そして今や可能になる単純なフランジを備えた構成によって、補助持上げ装置を転轍器横断中にレール上に留まらせることが可能になる。最後に付言すれば、補助持上げ装置が保持体に対して旋回可能であることによって、主軌道に対して角度を成して延びている、分岐するレールの状態位置への問題のない適合が達成され、これによって特に、転轍器におけるレールへの補助持上げ装置の装着動作が、著しく簡単になる。
【0006】
本発明の別の有利な構成は、従属請求項及び図面を参照した記載に記載されている。
【0007】
次に図面を参照しながら、本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明による突き固め機を著しく簡単化して示す側面図である。
【図2】図1の矢印IIの方向から見た断面図である。
【図3】本発明による補助持上げ装置を軌道長手方向において断面して示す拡大図である。
【図4】本発明による補助持上げ装置を軌道横方向において断面して示す拡大図である。
【0009】
レール2と枕木3とから形成された軌道4の下を突き固める、図1に略示されたタンピングマシーンとも呼ばれる突き固め機1は、レール台車5に支持された機械フレーム6を有する。モータ7及び走行駆動装置8並びに運転キャビン9によって、突き固め機1は、矢印で示された作業方向10において走行可能である。突き固め機1の種々様々な作業ユニットを運転および制御するために、作業キャビン11内にある制御装置12が働く。
【0010】
突き固め機1は、機械フレーム6に固定された突き固めユニット13を備えて構成されており、この突き固めユニット13は駆動装置14によって高さ及び横方向調節可能に、かつ軌道4の下を突き固めるために、この場合特に転轍器15における使用のために、構成されている。走行方向10で見て突き固めユニット13の直前において、レール台車5の間には、駆動装置16によって高さ及び横方向調節可能な軌道持上げユニット17が設けられていて、この軌道持上げユニット17は、レール台車5が走行する軌道4の主軌道18(図2)のレベリング及びライニングのために働く。
【0011】
図2からより正確に分かるように、軌道持上げユニット17には突き固め機1の長手方向両側にそれぞれ1つの補助持上げ装置19が配設されており、この補助持上げ装置19は、転轍器15の、主軌道18から分岐する分岐レール20を持ち上げるために形成されている。補助持上げ装置19は、機械長手方向28(図1)に対して垂直に延びるビーム状の保持体21に固定されており、この保持体21はジョイント23によって、機械フレーム6の、機械長手方向28に延びる軸24と枢着され、かつ駆動装置22によって高さ調節可能もしくは旋回可能である。保持体21の、ジョイント23から離れた端部に配置された補助持上げ装置19を調節するために、保持体21は別の駆動装置25を用いて、機械長手方向28に対して垂直な方向に延長可能に形成されている。さらに補助持上げ装置19は駆動装置41を用いて、軸線42を中心にして保持体21に対して相対的に旋回可能である。
【0012】
図3及び図4の拡大図から分かるように、補助持上げ装置19は、分岐レール20のレールヘッド26に接触可能な持上げ工具27を備えている。この持上げ工具27は主として、駆動装置29によってレールヘッド26の下側面31に向かって内方旋回可能でかつ回転可能な持上げローラ30から成っている。さらに補助持上げ装置19には、機械長手方向28において互いに間隔をおいて位置する円板形の2つの転動ローラ32が結合されており、両転動ローラ32は、1つの共通の回転平面33において回転可能であり、かつレールヘッド26の第1の側面34に接触するように形成されている。レールヘッド26の、反対側に位置する第2の側面35への接触のためには、フランジ付きローラ36が設けられており、このフランジ付きローラ36は、分岐レール20に補助持上げ装置19を載置するために働き、かつ分岐レール20上において作業中連続的に転動する。
【0013】
両転動ローラ32及びフランジ付きローラ36は、それぞれ互いに平行に方向付けられている回転軸線37;38を有している。これらの回転軸線37,38の方向で見て、フランジ付きローラ36(もしくはそのフランジ)と持上げ工具27とはレールヘッド26を挟んで互いに向かい合って位置するように配置されている。この場合転動ローラ32の回転軸線37はフランジ付きローラ36の回転軸線38に対して、鉛直方向において高い位置に位置決めされている。転動ローラ32の直径Dは、フランジ付きローラ36の直径dに比べて少なくとも40%大きく形成されている。
【0014】
各転動ローラ32はローラ保持体39を用いて補助持上げ装置19と結合されていて、ローラ保持体39に対して回転軸線37の方向において移動可能に形成されている(図4における小さな矢印参照)。そのために、例えば転動ローラ32の、回転軸線37を形成する軸40は、ローラ保持体39における異なったポジションにおいて固定可能に形成されている。このように構成されていると、補助持上げ装置19は使用開始に際して、迅速かつ簡単に、実際の使用時に現れる、異なった寸法の幅を有するレールヘッド26に、調節することができる。同時に、補助持上げ装置19が軸線42を中心にして保持体21に対して旋回可能であることによって、転動ローラ32の回転平面33の位置を、特に作業開始時における軌道への補助持上げ装置19の装着時に、転轍器15の分岐レール20の、主軌道18に対して角度を成して延びる位置に、適合するように調節することが可能である。軌道への装着(Eingleisen)時におけるエラーを回避するためのこのような調節は、作業キャビン11内の作業員によって駆動装置41を用いて遠隔制御により行うことができ、有利である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レール台車(5)の間でかつ突き固め機(1)の作業方向(10)で見て突き固めユニット(13)の直前に位置決めされた、駆動装置(16)によって高さ調節可能な軌道持上げユニット(17)であって、前記レール台車(5)が走行する主軌道(18)をレベリング及びライニングする軌道持上げユニット(17)と、
転轍器(15)の、前記主軌道(18)から分岐する分岐レール(20)を持ち上げるために構成された補助持上げ装置(19)であって、機械長手方向(28)に対して垂直に延びる保持体(21)に固定されていて、レールヘッド(26)に接触可能な持上げ工具(27)を有する補助持上げ装置(19)と、
を備える、軌道(4)の下を突き固める突き固め機(1)であって、
イ)前記機械長手方向(28)において互いに間隔をおいて位置していて1つの共通の回転平面(33)において回転可能な、前記レールヘッド(26)の第1の側面(34)に接触する円板形の2つの転動ローラ(32)が、前記補助持上げ装置(19)と結合されており、
ロ)前記レールヘッド(26)の第2の側面(35)への接触及び前記レールヘッド(26)上への前記補助持上げ装置(19)の載置のために、フランジ付きローラ(36)が設けられており、
ハ)前記補助持上げ装置(19)は、駆動装置(41)によって軸線(42)を中心にして前記保持体(21)に対して旋回可能である
ことを特徴とする、突き固め機。
【請求項2】
前記転動ローラ(32)の回転軸線(37)と前記フランジ付きローラ(36)の回転軸線(38)とは、互いに平行に配置されている、請求項1記載の突き固め機。
【請求項3】
前記フランジ付きローラ(36)と前記持上げ工具(27)とは、前記回転軸線(37,38)の方向において前記レールヘッド(26)を挟んで互いに向かい合って配置されている、請求項2記載の突き固め機。
【請求項4】
前記転動ローラ(32)の前記回転軸線(37)は、前記フランジ付きローラ(36)の前記回転軸線(38)に比べて、鉛直方向において高い位置に位置決めされている、請求項2記載の突き固め機。
【請求項5】
前記転動ローラ(32)の直径(D)は、前記フランジ付きローラ(36)の直径(d)よりも少なくとも40%だけ大きく形成されている、請求項4記載の突き固め機。
【請求項6】
前記転動ローラ(32)は、前記補助持上げ装置(19)に結合されたローラ保持体(39)に対して前記回転軸線(37)の方向で移動可能であり、かつ種々異なったポジションにおいて固定可能である、請求項2記載の突き固め機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−521418(P2013−521418A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555315(P2012−555315)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/000537
【国際公開番号】WO2011/107201
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(390014421)フランツ プラツセル バーンバウマシーネン−インズストリーゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (29)
【氏名又は名称原語表記】Franz Plasser Bahnbaumaschinen−Industriegesellschaft m.b.H.
【住所又は居所原語表記】Johannesgasse 3,Wien,Austria
【Fターム(参考)】