説明

補綴歯およびその製造方法

重合性材料をモールドに射出成形して外側外部ポリマー層を形成すること、次に重合性材料をモールドに射出成形して、第1の外部層上に付けられる内側ポリマー層を形成すること、次に重合性材料をモールドに射出成形して、内側外部層上に付けられる固いコアを形成することを含む人工歯の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、数層から成るポリマー材料の補綴歯を成形するための、重合性材料の射出成形に関する。
【背景技術】
【0002】
Dehoff他は補綴歯を開示している。Rocmer他は、米国特許第4,396,476号および1999年6月15日出願の米国特許出願第09/333,727号において、歯製造用重合性組成物を開示している。Kura他は、米国特許第5,989,031号において、歯を成形するための、熱可塑性プラスチックの射出成形を開示している。DIN 13914によれば、歯科用補綴物(dental prostheses)を製造するための人工歯(artificial teeth)は、自然の歯に類似していることが望ましいことから、いくつかの層から成っていなければならない。このような多層からなる歯は従来、異なる色のプレス用材料をプレス用金型(tool)に手で入れて、プレス加工により独占的に製造されてきた。歯のプレス加工は非常に労働集約的である。適当な位置に手で置かれた層の分布は不規則であることを免れない。プレス加工に必要な余分な量のために、モールドの分割面にかなりのバリが生成する。このために後処理が必要となる。このように、従来の多層歯の製造にはかなりの製造労力が伴うので、これらの歯は比較的高価である。
【0003】
本発明は、製造を大幅に自動化でき、層の再現性のある配列構成が保証され、また特にバリの生成もまた最少化され、その結果製造コストが小さくなる、数層から成る人工歯を作り出すという課題に基づいている。
【0004】
本発明は、複数のパーツから成る歯科用歯モールドおよび厚さの均一なゾーンがあるエナメル層をもつ補綴歯を提供する。本発明の好ましい実施形態による補綴歯は、組(set)内で容易に咬合し、ファミリ内でもそれに応じてそうである。本発明による補綴歯は、総入れ歯/部分義歯(denture)を作るのに有用であり、また歯冠、インプラント歯および補綴歯がその上にあるシェードガイドとして有用である。
【0005】
歯のモールドは人工歯の作製に歯科産業で用いられている。精巧化ステップは、最終の仕上げの研磨ステップを含み、それにより、歯を作る材料をその中に入れて成形することにより作り出される人工歯の表面性が高度に精巧な(high definition)モールドが得られる。
【0006】
Dehoff他は、米国特許第5,452,219号(ケース1619)において、歯のモールド製造方法を開示している。Erdleは、オーストラリア特許第124,083号において、セラミック物品および材料ならびにそれらの着色またはシェーディング方法を開示している。Saffirは、米国特許第2,380,568号において、人工歯を開示している。Kellyは、米国特許第2,514,075号において、人工歯を開示している。Erdleは、米国特許第2,517,100号において、セラミック物品を成形し、また物品の異なる部分に沿って異なる色またはシェードを付ける方法を開示している。Budishは、米国特許第2,643,455号において、人工歯を開示している。Rydinは、米国特許第2,677,150号において、人工歯の製造方法を開示している。Slack,Jrは、米国特許第2,678,470号において、重合方法を開示している。Saffirは、米国特許第3,126,429号において、異なる色の層をもつ歯をキャスティングする方法を開示している。Connanは、米国特許第3,218,711号において、人工歯を開示している。Swinsonは、米国特許第3,861,044号において、歯と歯のインレーを合わせる方法を開示している。Heitlinger他は、米国特許第4,324,546号において、義歯の製造装置および方法を教示している。Tanakaは、米国特許第4,392,829号において、金属陶材による歯の修復および実施方法を開示している。Faunceは、米国特許第4,433,959号において、カラーシステムを含むコンポジットラミネート歯ベニアを開示している。Whiteは、米国特許第4,436,684号において、3次元モデルおよび内部体の構造体のモールドキャビティの製造方法を記載している。
【0007】
Tanakaは、米国特許第号4,481,227号において、焼き固めることができる陶材歯修復物の着色方法を開示している。Moermann他は、米国特許第4,575,805号において、個別対応の形状のインプラントを作製する方法および装置を開示している。
【0008】
Duret他は、米国特許第4,611,288号において、補綴物の製造のための本体部分の印象を取るシステムを記載している。
【0009】
Moermann他は、米国特許第4,615,678号において、米国特許第4,575,805号に開示される型の装置によりインプラントをそれから機械加工できる半加工品(blank)を教示している。Millerは、米国特許第4,617,159号において、歯のシェード試料を成形する方法を開示している。Amdur他は、米国特許第4,645,454号において、陶材製品と方法を開示している。Blair他は、米国特許第4,650,418号において、歯の修復シェーディングを開示している。Duret他は、米国特許第4,663,720号および4,742,464号において、歯科用補綴物の製造方法を開示している。Watanabe他は、米国特許第4,681,633号において、高強度リン酸カルシウムガラスセラミック材料を開示している。Corbettは、米国特許第4,722,689号において、被覆された一時的歯冠を開示している。Brandestini他は、米国特許第4,766,704号において、1回の操作で歯科用材料の半加工品から、個別対応の形状の歯の修復パーツを機械加工する方法および装置を開示している。Brabdestini他は、米国特許第4,837,732号において、調製された歯およびそれらの直近の3次元形状を定めるデータの獲得を容易にする方法を教示している。
【0010】
Rotsaertは、米国特許第4,970,032号において、人工歯および歯冠の製造方法を開示している。Grossman他は、米国特許第5,089,306号において、つやのある歯の構成体を開示している。Hasegawa他は、米国特許第5,127,834号において、人工歯およびそれらの製造方法を開示している。Rotsaertは、米国特許第5,151,044号において、人工歯および歯冠の作製用半加工品を開示している。Emmonsは、米国特許第5,308,243号において、天然のような歯科用陶材修復物を作り出す方法および組成物ならびにそのようにして作り出された歯科用陶材修復物を開示している。Odenは、米国特許第5,342,201号において、セラミック人工歯修復物の製造方法を開示している。
【特許文献1】Rocmer他、米国特許第4,396,476号
【特許文献2】Rocmer他、米国特許出願第09/333,727号(1999年6月15日出願)
【特許文献3】Kura他、米国特許第5,989,031号
【非特許文献1】DIN 13914
【特許文献4】Dehoff他、米国特許第5,452,219号(ケース1619)
【特許文献5】Erdle、オーストラリア特許第124,083号
【特許文献6】Saffir、米国特許第2,380,568号
【特許文献7】Kelly、米国特許第2,514,075号
【特許文献8】Erdle、米国特許第2,517,100号
【特許文献9】Budish、米国特許第2,643,455号
【特許文献10】Rydin、米国特許第2,677,150号
【特許文献11】Slack,Jr、米国特許第2,678,470号
【特許文献12】Saffir、米国特許第3,126,429号
【特許文献13】Connan、米国特許第3,218,711号
【特許文献14】Swinson、米国特許第3,861,044号
【特許文献15】Heitlinger他、米国特許第4,324,546号
【特許文献16】Tanaka、米国特許第4,392,829号
【特許文献17】Faunce、米国特許第4,433,959号
【特許文献18】White、米国特許第4,436,684号
【特許文献19】Tanaka、米国特許第4,481,227号
【特許文献20】Moermann他、米国特許第4,575,805号
【特許文献21】Duret他、米国特許第4,611,288号
【特許文献22】Moermann他、米国特許第4,615,678号
【特許文献23】米国特許第4,575,805号
【特許文献24】Miller、米国特許第4,617,159号
【特許文献25】Amdur他、米国特許第4,645,454号
【特許文献26】Blair他、米国特許第4,650,418号
【特許文献27】Duret他、米国特許第4,663,720号
【特許文献28】Duret他、米国特許第4,742,464号
【特許文献29】Watanabe他、米国特許第4,681,633号
【特許文献30】Corbett、米国特許第4,722,689号
【特許文献31】Brandestini他、米国特許第4,766,704号
【特許文献32】Brabdestini他、米国特許第4,837,732号
【特許文献33】Rotsaert、米国特許第4,970,032号
【特許文献34】Grossman他、米国特許第5,089,306号
【特許文献35】Hasegawa他、米国特許第5,127,834号
【特許文献36】Rotsaert、米国特許第5,151,044号
【特許文献37】Emmons、米国特許第5,308,243号
【特許文献38】Oden、米国特許第5,342,201号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
厚さが一定のゾーンがあるエナメル層をもつ人工歯を提供することが本発明の目的である。
【0012】
第1の唇側全長および第1の裏面長さをもつ歯の第1の組の第1の歯、ならびに第2の唇側全長および第2の裏面長さをもつ歯の第2の組の第2の歯を含み、第1と第2の唇側全長の比が実質的に第1と第2の裏面長さの比に等しい補綴歯のファミリを提供することが本発明の目的である。
【0013】
本体の切縁端部(incisal end)の本体の唇側の面の3つの曲がった隆起の間に2つのほぼ対称な曲がった溝がある歯本体を含み、溝は切縁端部で最も深く、また実質的に切縁端(incisal edge)から歯の全長の少なくとも約15パーセントまで延びる補綴歯を提供することが本発明の目的である。
【0014】
歯のそれぞれは歯の同じ組の同じ側からのものである、少なくとも1本の上側の歯および少なくとも1本の下側の歯の少なくとも一部分の画像を得て、その画像に対応する初期データを修正して修正データを生成し、修正データを用いて作られたモールドで修正補綴歯を成形することにより、咬合中、修正補綴歯が、初期データを用いるモールドで作られた補綴歯より、歯の表面のより大きな部分に渡って接触するようにすることが本発明の目的である。
【0015】
本明細書では、歯の組は、総義歯または部分義歯をとわず単一の入れ歯のように、同一の個人が使用する歯を表す。
【0016】
本明細書では、歯のファミリは、歯の大きさおよび/またはシェードは異なるが共通の形状を有する歯の組を表す。
【課題を解決するための手段】
【0017】
人工歯の製造方法は以下のことを含む:重合性材料をモールド内に射出成形して、外側外部ポリマー層を形成すること。次に、重合性材料をモールド内に射出成形して、最初の外側層上に適用された内側ポリマー層を形成すること。次に、重合性材料をモールド内に射出成形して、内側外部層に適用された固いコアを形成すること。
【0018】
高い成形圧と歯のシェーディングが限定されるという問題は、射出に低圧が用いられ、成形サイトでシェーディングを個別対応でブレンドできるということから、本発明により解決される。
【0019】
本発明は、射出成形は完全自働で行われ、したがってまた層の再現性のある配列構成を保証できるという理由で、射出成形技術によりかなりのコスト低減を実現できるという認識に依存している。これは多成分射出成形法を含み、材料成分が歯本体内部に層を形成するので、個々の材料成分を着色することにより天然の歯の外観に最も良く近づけることができる。
【0020】
厚さが実質的に一定のゾーンがあるエナメル層をもつ補綴歯。この歯は、補綴歯シェード層および/またはシェーダ(shader)モールドパーツ外側表面の歯のパターンを画像化すること、ならびにプログラムに導かれるフライス加工(milling)によりモールド内で歯のパターンを形作ることにより作製される歯科用の歯モールドパーツを用いて成形される。
【0021】
本発明は、歯の第1の組の第1の歯が第1の唇側全長および第1の裏面長さをもち、また歯の第2の組の第2の歯が第2の唇側全長および第2の裏面長さをもつことを含む、補綴歯のファミリを提供する。第1の唇側全長と第2の唇側全長の比が実質的に第1の裏面長さと第2の裏面長さの比に等しい。好ましくは、第1の歯は第1のシェード長さをもち、第2の歯は第2のシェード長さをもち、第1のシェード長さと第1の唇側全長の比は、第2のシェード長さと第2の唇側全長の比に実質的に等しい。
【0022】
本発明は、本体の切縁端部の本体の唇側表面の3つの曲がった隆起の間にほぼ対称な2つの曲がった溝がある歯本体を含む補綴歯を提供する。この溝は切縁端部で最も深く、切縁端から歯の全長の少なくとも約15パーセントまで延びる。
【0023】
本発明は、歯の同じ組の同じ側からの、少なくとも1本の上側の歯および少なくとも1本の下側の歯の少なくとも一部分の画像を表示し、次にその画像に対応する初期データを修正して修正データを生成し、修正データを用いて作られたモールドで容易に咬合する補綴歯を成形することにより、咬合中、容易に咬合する補綴歯が、初期データを用いるモールドで作られた補綴歯より、歯の表面のより大きな部分に渡って接触する、容易に咬合する補綴歯の製造方法を提供する。
【0024】
本発明は、添付図に示される実施形態に基づいてより詳細に説明されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
図では、本発明による人工歯の同一の部位には同じ参照番号が付けられている。
図1および2から分かるように、本発明による歯は固いコア1をもつ歯本体から成る。固いコア1は歯の基礎的要素をなし、その上にさらなる外部層2および3が積み重ねられる。これに関連して、固いコア1の基部側4は露出したままであり、歯の口蓋側5、唇側6および切縁側7は外部層2、3により形作られている。固いコア1は基部側4の反対側が丸くされたほぼ円錐台の形状に作り上げられている。固いコア1に直接被さる外部層2は、基部側4の端の部分では厚さが薄くなっており、歯の基部では、例えば0.2mmに相当する薄い厚さで形作られている。しかし、歯の切縁側7の方に向かって、外部層2は厚さをかなり増し、そして固いコア1と共に、それが事実上歯の基本構造を成すように形作られている。最外層3は表面の至るところで本質的に同じ厚さであり、示されるように、口蓋側5は外部層3によりさらに成形されており、他方、外部層3は、図2に示されるように、他の部分がそうであるように、唇側6の部分ではほぼ一定の厚さをもつ。めくら穴8は、大きさは個々の歯の大きさに合わせられており、またその直径および深さはそれぞれほぼ2〜3mmおよびほぼ4〜6mmであり、固いコア1の基部側4に歯軸に沿って形作られている。めくら穴8は、滑らかな壁面で形作られているので、如何なる鋭い角も存在せず、したがってまた引っ張りクラックは生じ得ない。めくら穴8は、一方では、射出成形工程を実施するために、固いコア1を射出型内に取り付けるのに、また他方で歯科用補綴物を作る際に出来上がった歯をプラスチック床に固定するのに役立つ。本発明による歯を作製するための材料として、DIN 13931またはISO 3336の要件を満たす透明(アモルファス)プラスチックを用いることができる。特に、透明ポリマーを用いることができる。適切なプラスチック材料はポリメチルメタクリレート(PMMA)および/またはそのコポリマーである。耐衝撃性の変性PMMAを使用することが有利である。屈折率が等しいプラスチックの混合物を用いることもまた本発明では実施できるであろう。このような混合物は、標準的なPMMAと耐衝撃性の変性PMMAからなり、標準的PMMAが30%で耐衝撃性変性PMMAが70%の混合比が実用的である。しかし、ポリメタクリルメチルイミド(PMMI)とメチルメタクリレート−スチレンコポリマーの混合物を用いることもまた可能であり、60%のPMMIと40%のメチルメタクリレート−スチレンコポリマーが存在すれば実用的である。60%を超えるメチルメタクレレート含量をもつメチルメタクリレートとスチレンのコポリマーの混合物を用いることもまた本発明では可能である。
【0026】
バインダとしての役を果たすプラスチック添加剤を含む、AlまたはZrOなどのセラミック粉末から成る射出成形可能なセラミック材料(mass)が製造原料として使用されればまた本発明では利点がありうる。
【0027】
この射出成形可能なセラミック材料は、射出成形機で加工され、射出成形された歯は、射出成形機から所謂グリーン生成物として取り出される。そのバインダはバインダ除去オーブンでグリーン生成物から取り除かれる、すなわち、バンダとして用いられたプラスチック添加剤は追い出され、その結果バインダは、形状の如何なる変化も、ありうるとしても可能な限り回避された状態で、成形物(casting)からできるだけ完全に除去される。次に、焼成オーブンでの焼成工程、必要とされる何らかの仕上げ作業がある。
【0028】
本発明によれば、固いコア1および外部層は異なる着色をされる。例えば、固いコア1は有利には、暗く着色され、透光性の外部層2はいくらかより明るく着色され、また最外層3は明るく透光性である。より一層透光性の外部層を設けることもまた実用的でありうる。層2、3の被覆構造により、天然の歯に最も良く合致する色調の外観を実現できる。このことにより、言うまでもなく、分離線のない色調の移り変わりが可能になる。本発明による歯にめくら穴8を形成することにより、固定穴を後で穿つ必要がないので、クラックを生じる鋭い角を作り出す危険が除かれる。
【0029】
特に、多成分射出成形法が、本発明による歯を作るために用いられる。3層の歯、すなわち図1および2の歯が作られる場合、固いコア1のコア材料は第1の金型キャビティへの第1ステップである。その後、金型は開き、射出成形された固いコア1がある方の半金型(tool half)は120度回転する。ここで、使用されるタイプのプラスチック材料は可塑性であるが、形が安定なコンシステンシがすでにあり、ほぼそのガラス転位温度まで冷却されている。金型を閉じると、固いコア1は、外部層2を射出するための第2の、いくらかより大きいキャビティに移動する。ここでは、コアと外部層2の間の界面に、2つの層が融合しうる温度がある。コアの回りに外部層2を射出した後、金型は開き、移動式半金型はさらに120度回転して、射出被覆された固いコア1は、金型が閉じるときには第3のキャビティに移動している。仕上げられた歯の形状寸法に対応するこのキャビティ内で、外側層3が歯の上に射出される。十分に冷めた後、金型は開き仕上がった歯が放出される。外部層3を外部層2の上に射出する際の温度条件は、プラスチック層2を固いコア1上に射出する際のものと同じである。仕上がった歯が放出された後、移動式半金型はさらに120度回転して、金型はその最初の位置に戻る。全射出サイクルは完全に自働的に進むもので、作製される本発明による歯の層は、この方法により各サイクルにおいて同一である。層1、2、3は、好ましくは、同じプラスチック材料からなり、これらの材料は有利には異なる着色が施されている。順次追加される個々の層の射出は非常に迅速に行われるので、下の層との接触表面に生じる接触温度は個々のプラスチックの軟化温度より高い。
【0030】
いくつかの歯、例えば歯の完全な組を、一度に射出成形するように、本発明に従って使用される射出成形型を構成することができる。
【0031】
本発明による製造プロセスのための別法として、歯の本体の適切に層化された構造が、異なる着色を施された材料の計量供給のみによって達成され、そのためその歯の外形をもつキャビティだけが必要とされる多成分射出成形法を用いることもまた可能である。この場合、例えば3台の可塑化ユニットを用いて、最外層3用の成分および外部層2用の成分が、射出モールドの供給機チャネルに次々に計量供給され、それから、固いコア1用の次の成分がある第3の可塑化ユニットに切り替えた後、3つ全部が、モールドの充填が膨張流動で起こるような仕方で金型に射出される。溶融した先端が進むにつれ、先端の材料の一部分が低温のモールド壁面に固着して外部層3を形成する。計量供給は、この成分の材料が、モールドが完全に充填されるまで流れの先端にあるように選択されるべきである。モールドの壁面に垂直な温度勾配のために、続く成分は最初のものに類似の挙動を示し、中間の外部層2を形作り、コア材料1を包み込む。基部側からの射出の場合、図1および2に示されるものに似た層構造が得られるが、固いコア1はその基部側も外部層2および3により包み込まれる、図5を参照。方法の特性により、外部層2、3の厚さは基部側から切縁に向かってわずかに増加し、このことは歯の外観を向上させる。計量供給される量、材料温度、金型温度および射出速度などの加工パラメータの選択により、外部層2および3の厚さに影響を与えることができる。射出可能なセラミック材料は、射出成形機での加工で、充填プラスチックに類似の仕方で振舞うので、射出成形可能なセラミック材料を用いる場合でさえも、前記の利点のある方法を適用することができる。
【0032】
本発明に従って作られる側面の歯は、原則的に、図1および2による前歯と同じ層の積み重ねをもつが、側面の歯の形のために、固いコア1ならびに外部層2および3の基本的な構造に相違がある。この場合、咬合側7が切縁側7に代わり、頬側6が唇側6に代わる。
【0033】
図3および4に、射出成形され仕上がった歯本体を射出モールドから取り出す際に、その分割面の位置のために作り出された、本発明による側面の歯のモールドマークの筋道が示されている。本発明によれば、挿入された状態ではヒトの口でそれらが見えないように、モールドマークが仕上がった歯の本体上で走っているようにすることができる。図3の舌側からの斜視図に示される、本発明による側面の歯の歯本体では、舌側のモールドマーク10は、歯本体の舌側11および咬合表面12の間の変わり目を走っていることが認められる。本発明による側面の歯の頬側からの図を示す図4において、頬側のモールドマーク13は、歯本体の頬側14および基部15の間の変わり目にあることが認められる。図3および4から、歯本体の2つの側面17、18上のモールドマーク16はそれぞれ、舌側のモールドマーク10と頬側のモールドマーク13の端部を結んでほぼ対角線状に走っていることもまた明らかである。
【0034】
前歯として成形された、本発明による歯要素では、モールドマークは、それらが歯本体の基部から歯の切縁に走るように、歯本体の2つの側面上中央に配置される。
【0035】
以下に、本発明は図6〜13をより詳細に参照して説明される。本発明の好ましい実施形態による補綴歯100は、図6に示されるように、唇側の面104およびシェーダ面106があるエナメル層102、エナメル面110および裏面112があるシェード層108ならびにシェーダ面116がある裏面層114を含む。本明細書では、歯全長(TL)は、歯の切縁端の先端(I)から、切縁端(I)から最も離れた、裏面114の端上の位置(BE)までの、歯の長い中心軸(E)に沿って測られる長さを表す。
【0036】
本明細書では、唇側全長(L)は、図6に示されるように、歯の切縁端の先端(I)から、歯頚(neck of the tooth)の最も高い位置と最も低い位置の間の中間の、歯頚の外側面上の位置(PL)までの、歯の長い中心軸(E)に沿って測られる長さを表す。
【0037】
本明細書では、裏面長さ(B)は、図6に示されるように、歯の切縁端の先端(I)から、歯頚上の好ましくは最も高い位置あたりにある、第2の裏面層の端部(PB)までの、歯の長い中心軸(E)に沿って測られる長さを表す。裏面長さ(B)の中間点(PMB)でのシェード層の厚さ(ST)は、好ましくは、約0.09インチである。
【0038】
本明細書では、シェード層長さ(S)は、図6に示されるように、歯の切縁端先端(I)から、エナメル層が減少から一定の厚さに転じる位置(PS)までの、歯の長い中心軸(E)に沿って測られる長さを表す。シェード層長さ(S)の中間点(PMS)でのエナメルの厚さ(ET)は、好ましくは約0.031インチである。
【0039】
歯頚から唇側表面の中心まで、一定高さでの横断面(latitudinal cross section)内でエナメル層の厚さが一様な多層歯が提供される。この一様なエナメルの厚さは、前歯の唇側表面のコピーをオフセットして得て、エナメル表面のオフセットコピーから曲がった表面を部分的に形作ってシェード層外側表面の画像を形成することにより画像化される。シェーダモールドパーツは、後に材料、好ましくは金属の固体ブロックに刻まれて、シェード層の外側表面の画像に対応するモールド表面を与える。
【0040】
図6および6Aに示されるように、補綴歯100はエナメルの厚さが実質的に一定のゾーンZがあるエナメル層102を含む。唇側の面104上に選択された任意の点、例えば位置150で、歯の中心軸Eに垂直に延びるエナメルの厚さは、選択された点の0.005インチ内の任意の他の点での厚さの0.003インチ以内にある。本発明の好ましい実施形態では、エナメルの厚さには平均の厚さがあり、前記の平均の厚さの変動は、前記のゾーン内では20%より小さく、また前記ゾーンは、少なくとも0.01インチの直径をもつ円形である。厚さが実質的に一定のゾーンは、好ましくは、歯の唇側全長の少なくとも20パーセントと75パーセントの間に広がっている。好ましくは、実質的に一定のエナメルの厚さの変動は、シェード層に垂直に延び重なる任意のエナメルゾーン内で25%より小さく、そのゾーンは少なくとも2mm、より好ましくは少なくとも4mm、最も好ましくは少なくとも8mmである。より好ましくは、実質的に一定のエナメルの厚さの変動は、ゾーン内で20%より小さい。好ましくは、ゾーンの領域は実質的に円形である。好ましくは、エナメルの厚さは約0.003と約0.03インチの間である。好ましくは、エナメルの厚さは、歯の切縁端部の近くで、約0.08と0.03インチの間である。好ましくは、エナメルの厚さは、歯の裏面端部近くで0.003インチより小さい。好ましくは、歯は歯頚部材(neck member)をもつ。好ましくは、歯は、歯の全長の0と20パーセントの間の、本体の切縁端部で、本体の唇側の面上の3つの実質的により厚い領域の間に、全体として対称な2つの領域を含む。
【0041】
好ましくは、歯のファミリの中で、一定の寸法比をもつ多層前歯が提供される。これらの寸法は、図6および11に示されるように、歯のファミリからの歯の長手方法横断面で測られる。
【0042】
一定の寸法比をもつ前歯が本発明により提供される。このような歯のファミリ内のすべての歯は義歯を作るに際して類似の特性を示す。本発明に従って作られた上側および下側の歯の咬合は、従来技術による歯の場合より容易で完全である。ファミリ内の、小、中および大きな歯は全て同じ咬合特性を示す。
【0043】
3次元の歯の表面、歯の層、および/または歯のモールドパーツパターンは保存、編集および/またはデジタル化されたデータから、ビデオディスプレイモニタに表示される。オペレータは、歯のモールドに望まれる、歯の大きさと形状ならびに唇側の線紋(striation)などの表面パターンの性質を調査、測定および/または修正する。視覚的分析と、歯の既知の形状寸法の値、例えば長さ、幅、厚みとの比較により、オペレータはキーボードなどの入力デバイスによりデータを追加および/または省略するかを決定する。望ましい3次元表面パターンはこうして作り出され表示される。
【0044】
表示される3次元表面パターンに使用されるデータは、CAMあるいはコンピュータ支援製造により利用されて、歯のモールド作製のための工具軌跡プログラムを作り出す。この工具軌跡プログラムは機械工具を誘導し制御するために使用される。機械は好ましくは多軸のものである。プログラムは、適切な基材、例えばスチール、ニッケル、アルミニウム、セラミック、プラスチックあるいは何らかの機械加工できる材料の、歯のモールドのフライス加工において、1つまたは複数のフライスを誘導する。スチールが好ましい基材である。モールドが刻まれた後、歯パスプログラムは、好ましくは、モールドに対する仕上げ研磨の実施を誘導し制御する。仕上げ研磨ステップは表面仕上げを良くし、モールドは人工歯の作製に適したものとなる。最後の手による仕上げ研磨ステップは任意である。
【0045】
人工歯作製用の歯のモールドには、歯の上に唇側の線紋またはマーキングを作り出すために高度の輪郭の精巧さが必要であり、複数の金型が、人工歯に天然の外観を与えることができる色のブレンド生み出すために必要である。
【0046】
エナメル、シェーダ、ならびに裏面および第2の裏面のモールドパーツの画像化が、本発明の好ましい実施形態では、中切、側切、および犬歯の補綴歯を作るためのモールドパーツ作製に役立つ。歯のファミリをもつ、歯の異なる組のための、画像化されたエナメル、裏面シェーダおよび第2の裏面についての寸法配分は、ファミリ内の歯に比例的な整合性を与える。特定の点が選ばれ、それらの間の長さは、歯のファミリ内では一定の比に保たれる。好ましくは、厚み寸法は、歯の形状およびエナメルの厚さの整合性を保つために、表面のトポグラフィから測定される。
【0047】
本発明の好ましい実施形態では、シェーダおよび第2の裏面は、最初に歯の唇側全長(L)を求めることにより画像化される。シェーダの位置および第2の裏面のブレンド開始位置、PSおよびPBはそれぞれ、歯の唇側全長(L)に、歯のファミリのそれぞれの歯の組で異なる定数を掛けることにより求められる。このとき裏面長さ(B)は、それぞれ、歯のファミリ内のそれぞれの歯の組に対する定数により表される部分に分けられる。中切および側切歯シェーダモールド表面輪郭の形状と位置および/またはブレンドの厚さが求められ、また/または発展させられる。
【0048】
ディスプレイ202上のエナメルモールドパーツ200およびエナメル層200Aの画像が図7に示されている。シェーダモールドパーツ300およびシェーダ層300Aの画像が図8に示されており、第2の裏面モールドパーツ330および第2の裏面層330Aの画像が図4に示されている。裏面モールドパーツ350および裏面層350Aの画像が図10に示されている。ディスプレイ202はコンピュータシステム204に接続されている。好ましくは、歯エナメルモールドパーツ208は、コンピュータ支援製造システム206により金属基材でフライス加工される。モールドパーツ208、308、332および352は、図7から10により示されるように、コンピュータ支援製造システム206により、複数の成形サイト209、309、334および354をもつように削られる。好ましくは、シェーダ層画像300に対応する、シェーダ層108のようなシェーダ層がある歯100のような歯科用補綴歯は、シェーダモールドパーツ308のようなシェーダモールドパーツの成形サイトで形作られる。それぞれのモールドパーツは、そこに複数の成形サイトをもつように、コンピュータ支援製造システム206により削られて、各サイトは層の画像に対応する歯の層を形作れるようになっている。好ましくは、成形加工は、工具パスプログラムを用いて、歯のモールドパーツの直接的な機械削りおよび/または仕上げ研磨を誘導することを含む。好ましくは、重合性のアクリレート材料が、一対のモールドパーツの間に順次挿入されて、エナメル、シェーダ、第2の裏面および裏面層をもつ補綴歯を次々に形作る。このように、本発明の好ましい実施形態により、図1に示されるように、エナメル層、シェーダ層、第2の裏面層および裏面層を含む補綴歯が提供される。
【0049】
シェーダ層300は、図8に示されるように、歯の切縁端部のシェーダ層の唇側の面に、隆起イメージ314、316および318に対応する3つの曲がった隆起の間に、溝イメージ310および312に対応するほぼ対称な曲がった2つの溝をもつ。この溝は切縁端部で最も深く、切縁端から歯の全長の少なくとも約15%まで実質的に延びている。それぞれの溝310および312は実質的に滑らかな底がある。溝310および312の側面は、切縁端部320に対向する溝の端部で、隆起31、316および318の頂上の面と交差する。溝310および312は、シェーダ層300の長さの少なくとも約5%延びている。好ましくは、歯は、歯シェーダ層および歯エナメル層を含む。好ましくは、それぞれの溝の深さは、それぞれの溝の幅の約0.5から1.5倍である。好ましくは、シェーダモールドパーツの、切縁端に隣接する上側表面の横断面は正弦曲線を形作る。
【0050】
図10Aに示されるように、容易に交合する補綴歯を作るためのモールドは、少なくとも1本の上側の歯と少なくとも1本の下側の歯の、少なくとも一部分の画像を表示することにより作られる。それぞれの歯は、歯の同じ組の同じ側からのものである。画像に対応するデータは修正されて、少なくとも1本の少なくとも一部分は、他の歯のイメージの少なくとも一部分に、よりよく対応するようになる。歯はこのデータを用いて作製されたモールドで成形される。成形されたこれらの補綴歯の咬合中、成形された上側および下側の補綴歯は、歯の画像を表示して前もって修正しない場合に接触するであろうものより、それぞれの歯の表面のより大きな部分に渡って接触する。
【0051】
本発明の好ましい実施形態では、表面モールドパーツの唇側表面画像から、シェーダモールドパーツの外側表面を画像化すること、工具軌跡プログラムを用いてシェーダモールドパーツを削ること、およびシェーダモールドパーツをもつモールドでシェードパターンをもつ歯を成形することを含む、歯にシェードパターンを徐々に厚くする(fanning)方法が提供される。
【0052】
本発明の好ましい実施形態では、第1のファミリの第1の歯および第2のファミリの第2の歯を含む歯のファミリが提供される。第1の歯は、歯の全長と、歯の歯頚の唇側表面上の最も深い点から歯の切縁端までの長さとの第1の比をもつ。第2の歯は、歯の全長と、歯の歯頚の唇側表面上の最も深い点から歯の切縁端までの長さとの第2の比をもつ。第1および第2の比は実質的に等しい。このような補綴歯は、好ましくは、第1の外側表面をもつ第1の歯および第2の外側表面をもつ第2の歯を含む組として提供される。
【0053】
図11に示される本発明の好ましい実施形態では、補綴歯400のファミリが提供される。歯400のファミリは、歯の、402、404および406の組を含む。歯の406の組は、前歯408および後歯410を含む。歯の404の組は、前歯412および後歯414を含む。歯の406の組は、前歯416および後歯418を含む。前歯408は、上側の歯420および下側の歯422を含む。後歯410は、上側の歯424および下側の歯426を含む。前歯412は、上側の歯428および下側の歯430を含む。後歯414は、上側の歯432および下側の歯434を含む。前歯416は、上側の歯436および下側の歯438を含む。後歯418は、上側の歯440および下側の歯442を含む。上側中央の前歯444および446は、互いに鏡像となる形状をもつ。上側前歯428は、互いに鏡像となる形状をもつ中央の歯452および454を含む。下側前歯中央の歯448および450は、互いに鏡像となる形状をもつ。下側中央の歯456および458は、互いに鏡像となる形状をもつ。下側中央の歯464および466は、互いに鏡像となる形状をもつ。
【0054】
歯の402の組の歯444は、第1の唇側全長、および第1の裏面長さをもつ。歯の404の組の歯452は、第2の唇側全長、および第2の裏面長さをもつ。第1の唇側全長と第2の唇側全長の比は、第1の裏面長さと第2の裏面長さの比に実質的に等しい。歯404は、第1のシェーダ長さをもち、歯452は第2のシェーダ長さをもち、第1のシェーダ長さと第1の唇側全長の比は、第2のシェーダ長さと第2の唇側全長の比に実質的に等しい。好ましくは、これらの比のこの一致は、ファミリ400内の異なる組の対応する臼歯、切歯および犬歯に存在する。好ましくは、裏面長さは唇側全長と実質的に同じ乃至その94パーセントである。好ましくは、シェーダ長さは唇側全長と実質的に同じ乃至その68パーセントである。
【0055】
好ましくは、本発明の補綴歯のエナメルの厚さの変動は、厚さに等しい直径をもつ円形ゾーン内で20%より小さい。より好ましくは、エナメルの厚さの変動は、エナメルの厚さの2倍に等しい直径をもつ円形ゾーン内で15%より小さい。最も好ましくは、エナメルの厚さの変動は、エナメルの厚さの3倍に等しい直径をもつ円形ゾーン内で25%より小さい。
【0056】
好ましくは、歯の唇側全長の20パーセントと75パーセントの間の唇側表面上の選択された点でのエナメルの厚さは、その選択された点の0.005インチ以内の他の任意の点での厚さの0.003インチ以内にある。好ましくは、エナメルの外側表面ならびにシェード層とエナメルの境界面は、厚さが一定のエナメルゾーン内で同一の輪郭をもつ。
【0057】
歯100のような補綴歯は、総入れ歯および/または部分義歯、歯冠、インプラント歯およびシェードガイドを作るのに役立つ。図12は補綴歯502を支えるシェードガイドアーム500を示す。アーム500にはベンド504および506がある。歯502はコネクタ508によりアーム500に連結されている。図8に示されるように、インプラント歯冠601には、実質的に一定の厚さのゾーンをもつエナメル層602およびシェード層603がある。歯冠601はコア604により支えられている。コア604はポスト606に連結している。ポスト606はスリーブ608により支えられている。スリーブ608はカーボンインプラント610に接着される。
【0058】
本発明の好ましい実施形態では、歯エナメル外側表面を表すデジタル情報またはデータが、CAD/CAソフトウェアプログラム搭載コンピュータ、例えばコネチカット州サウスウィンザのGerber Systems Technology,Incが市販するSabre 5000 CAD/CAM Systemのメモリから作製される、あるいは引き出される。データはCAD/CAMシステムを用いて編集され、2および/または3次元の(複数の)モデルがビデオディスプレイモニタ上に表示される。次にオペレータはエナメル外側表面のコピーをオフセットして得て、そのコピーを編集してシェーダ外側表面をデザインする。受け入れられる表面パターンが得られると、ソフトウェアが使われて、歯のモールドを作製するための工具軌跡プログラムを生成する。工具軌跡プログラムの数値座標の形態のデータは、メモリディスクに集められフロッピディスクにダウンロードするか、あるいは移される。
【0059】
本発明の好ましい実施形態では、フロッピディスクは、フライス加工、駆動、穿孔および輪郭形成機、例えばマサチューセッツ州ミルフォードのBoston Digital Corporationが市販する、BostoMatic Model 312−1S垂直CNCベッド型精密フライス加工、ドリル加工、穿孔および輪郭形成機、のハードディスクドライブにダウンロードされる。工具軌跡プログラムは、歯のモールド作製で機械を誘導し制御するのに使用される。平均送り速度は、寸法が小さくなるミルによる連続4回のパスで、30,000rpmで、6インチ/分(レンジ4.5〜10インチ/分)である。4分の1インチのエンドミル(Bassett)の次に、8分の1インチのエンドミル(Bassett)、次に16分の1インチのホール(hall)エンドミル(Bassett)、次に32分の1インチのボールエンドミル(TSC Carbide)が使われる。工具経路の精度は0.0002インチであり、ステップオーバレンジは0.0005〜0.001インチである。この機械は4軸が可能であるが、3軸だけがモールドの作製に用いられた。モールドは416快削ステンレル鋼のブロックに削られる。得られたモールドは、7倍の倍率で熟練した目で、そのモールドからの石膏印象(stone impression)をアルミニウムブロンズマスターダイと比較する主観的目視評価により、表面仕上げの品質について試験される。機械加工されたモールドはマスターダイの表面ディテールおよび仕上げの約95%を包含する。モールドは、試験成形のために標準のアルミニウムモールドフレームに装着されるクーポン(coupon)である。
【0060】
仕上げの研磨は、例えば仕上げ研磨工具を用いる工具軌跡仕上げプログラムで実施される。仕上げ研磨工具はハードウッド研磨棒を備え、ダイヤモンドペーストと共に用いられる;仕上げ研磨ステップは可能な限り完全な許容できる表面ディテールと仕上げに近づけるために行われる。歯科用ハンドピース(パワーツール)、ブラシ(合成剛毛)、および高級ベンガラを用いて、最終の手による研磨ステップを実施してもよい。
【0061】
裏面モールドパーツの作製では、アルミニウムブロンズマスターダイのスキャンによるデジタル化された情報が、フライス加工機のハードディスクドライブにダウンロードしてもよい状態になるまで処理される。シェーダモールドパーツの作製では、軟らかいバビット(Babbitt)マスターシェーダダイ(グレアフリー(glarefree)の物質でコーティングされていない)が、回転支持台の上に置かれ、前記のアルミニウムブロンズマスターダイの場合と同様に処理される。データは、アルミニウムブロンズマスターダイの情報の場合と同様に、フライス加工機のハードディスクドライブにダウンロードしてもよい状態になるまで処理される。データは編集中にスクリーン上で滑らかにされて、シェーダモールドパーツを表面モールドパーツに確実にフィットさせる。
【0062】
本発明の好ましい実施形態では、成形されたエナメル層(コーティング)を各々がもつ、高度に輪郭の精巧な歯科用歯を繰返し成形する方法が提供される。この方法は、任意に、歯科用の歯のモデルのスキャニングを含む。この方法は、少なくとも3つのモールドパーツを作製するためのフライス加工を含む。それぞれのパーツは、第1のミルを用いて、第1の工具軌跡に沿って材料を除去する第1のパスを実施することによってフライス加工して、複数の歯科用補綴歯を成形できるようになっている複数のキャビティがあるモールドパーツを作製するために第1の金属ブロックに複数のキャビティを形作る。フライス加工は編集されたデータを用いるフライス加工プログラムにより誘導管理される。編集されたデータはデザインプログラムを用いて反射データを編集することにより得られる。反射データは歯のモデルの表面を表わすものである。編集されたデータは歯科用人工歯の表面を表わすものである。編集データは、フライス加工プログラムにより、工具軌跡に沿ってフライス加工を誘導するように改変される。モールドパーツは、成形されたエナメル層(コーティング)を各々がもつ高度に輪郭の精巧な歯科用人工歯を繰返し成形するのに使用される。モデルのスキャニングが行われるとき、それぞれの前記キャビティは、モールドで成形される歯科用歯のモデルの一部分とは反対の凹凸をもつものである。プログラムは、歯科用モデルの表面の輪郭を画像化すること、およびモデルの表面輪郭の画像化に応じてデータの読み取り値を生成することからなるステップにより作り出される。
【0063】
本発明の実施形態では、成形されたエナメル層(コーティング)および高度に輪郭の精巧な唇側の線紋を各々がもつ歯科用人工歯を作る方法が提供される。任意に、スキャンされる歯科用歯のモデルが供用される。歯のモデルからの反射が受け取られ、電気信号に変えられ、次にそれが反射データに変換される。反射データは、デザインプログラムを用いて高度に輪郭の精巧な唇側線紋を加えるために編集されて、編集データとなり、歯の金属モールドパーツが作製される。作製ステップ(工程)は、前記の歯のモールドパーツのフライス加工機を誘導するための編集データを用いることを含む。フライス加工は、第1のミルで第1のパスを行い、第2のミルで第2のパスを行い、第1のミルは第1のミルエンドをもち、第2のミルは第2のミルエンドをもち、第2のミルエンドは、寸法では第1のミルエンドより小さい。高度に輪郭の精巧な人工歯は、モールドパーツを用いて繰返し成形される。それぞれの歯は、成形されたエナメル層(コーティング)と高度に輪郭の精巧な唇側線紋をもつ。スキャニングは、歯科用の歯のモデル上にレーザ光線を当てることを含みうる。任意のスキャニングステップには、前記の当てるステップおよび受け取るステップの間、歯科用の歯のモデルを回転することが含まれていてもよい。歯のモデルは、歯のレプリカを含む3次元ワックスまたは金属であろう。
【0064】
モデルにはけばけばしさのないコーティングが施されていてもよい。処理ステップは、編集データから、歯のモデルの編集された3次元表面パターンを作り出すこと、歯科用の歯のモデルの表面パターンを評価すること、および編集データから工具軌跡プログラムを作り出すことを含むであろう。評価ステップは、歯科用の歯のモデルの表面パターンの目視による分析ならびに歯のモデルの既知の形状寸法との比較を含むであろう。作製ステップは、歯科用の歯のモールドパーツを仕上げ研磨するための、前記の工具軌跡プログラムを用いることを含んでいてもよい。
【0065】
本発明の好ましい実施形態では、成形された被覆(coating)および唇側の線紋を各々がもつ歯科用人工歯の成形方法が提供される。この方法は、任意に、3次元表面ロケーションをもつ歯の3次元レプリカを、このレプリカを回転させながら、スキャンすることを含む。前記レプリカからの反射は受け取られ、電気信号に変えられ、それらはデジタル化されて反射データとなる。反射データは、CAD/CAMプログラムを用いるコンピュータで、高度に輪郭の精巧な唇側線紋を加えるために編集される。工具軌跡プログラムが編集されたデータを用いて作り出される。歯のモールドは、工具軌跡プログラムを用いて、第1、第2および第3の歯科用人工歯の金属モールドパーツの機械フライス加工を誘導して作製される。第1の金属部分からの第1の金属モールドパーツのフライス加工は、第1のミルで第1のパスを行い、第2のミルで第2のパスを行って第1の金属部分をフライス加工することを含む。第1のミルは第1のミルエンドをもつ。第2のミルは第2のミルエンドをもつ。第2のミルエンドは寸法では第1のミルエンドより小さい。
【0066】
第2の金属部分からの第2の金属モールドパーツのフライス加工は、第1のミルで第1のパスを行い、第2のミルで第2のパスを行って第2の金属部分をフライス加工することを含む。
【0067】
第3の金属部分からの第3の金属モールドパーツのフライス加工は、第1のミルで第1のパスを行い、第2のミルで第2のパスを行って第3の金属部分をフライス加工することを含む。
【0068】
作製ステップでは、モールドパーツの機械仕上げ研磨を誘導するために、工具軌跡プログラムが使用されるであろう。好ましくは、モールドパーツの少なくとも1つの研磨は、仕上げ工具軌跡プログラムにより誘導される。好ましくは、モールドを作るための、歯科用補綴歯の層のパターンのフライス加工は、編集データを用いるフライス加工プログラムにより誘導される。編集データは、好ましくは、デザインプログラムを用いて反射データを編集することにより得られる。反射データは歯のモデルの表面を表わすものである。編集データは、前記の編集された歯科用補綴歯の表面を表わすものである。データはフライス加工プログラムによりフライス加工を誘導するように改変される。
【0069】
研磨は、好ましくは、仕上げ工具軌跡および仕上げ研磨工具、例えばウッドの工具を用いる仕上げ研磨を含む。工具は、好ましくは、ペースト、例えばダイヤモンドペーストと共に使用される。
【0070】
本発明の好ましい実施形態では、成形されたエナメル層(コーティング)および唇側の線紋を各々がもつ歯科用人工歯の成形方法が提供される。この方法は、モールド作製用材料の第1および第2の部分に、人工歯の複数の層のパターンをフライス加工して第1および第2のモールドパーツを作製することを含む。フライス加工は、編集データを用いるフライス加工プログラムにより誘導される。編集データは、デザインプログラムを用いて反射データを編集することにより得られる。反射データは歯のモデルの表面を表わすものである。編集データは人工歯の表面を表わすものである。編集データは、フライス加工プログラムにより、前記の第1および第2のモールドパーツのフライス加工を誘導するように改変される。第1のモールドパーツのフライス加工は、第1のミルで第1のパスを行い、第2のミルで第2のパスを行うことを含む。第1のミルは第1のミルエンドをもつ。第2のミルは第2のミルエンドをもつ。第2のミルエンドは、寸法では第1のミルエンドより小さい。第2のモールドパーツのフライス加工は、第3のミルで第1のパスを行い、第4のミルで第2のパスを行うことを含む。第3のミルは第3のミルエンドをもつ。第4のミルは第4のミルエンドをもつ。第3のミルエンドは、寸法では第4のミルエンドより小さい。モールドで重合性材料を繰返し成形することにより、成形された重合性材料エナメル層(コーティング)及び唇側線紋を各々がもつ、高度に輪郭の精巧な歯科用人工歯が形作られる。
【0071】
好ましくは、モールド作製材料は、容易に機械加工および研磨のできるものであり、例えば鋼、ニッケル、アルミニウム、セラミックまたはプラスチックである。
【0072】
好ましくは、モールド作製材料は、鋼、ニッケル、アルミニウム、セラミックまたはプラスチックである。好ましくは、フライス加工は、第2のミルエンドをもつ第2のミルを用いて、工具軌跡に沿って第2のパスを行うことを含む。第2のミルエンドは、寸法では第1のミルエンドより小さい。好ましくは、フライス加工は、第3のミルエンドをもつ第3のミルを用いて、工具軌跡に沿って第3のパスを行うことを含む。第3のミルエンドは、寸法では第2のミルエンドより小さい。好ましくは、フライス加工は、第4のミルエンドをもつ第4のミルを用いて、工具軌跡に沿って第4のパスを行うことを含む。第4のミルエンドは、寸法では第3のミルエンドより小さい。好ましくは、モールドパーツは、表面モールドパーツ、シェーダモールドパーツ、第2の裏面モールドパーツまたは裏面モールドパーツである。好ましくは、第2のパーツとの接触点はモールドの表面パターンを用いて与えられる。好ましくは、第1のミルによるフライス加工は、第2の工具軌跡に沿って第1のパスを実行して材料を除去し、第2のブロックに複数のキャビティを形成して、複数のキャビティをもつ第2のモールドパーツを作製することによる。好ましくは、第2のミルによるフライス加工は、第2の工具軌跡に沿って第2のパスを実行して、第2のブロックから材料を除去することによる。
【0073】
好ましい射出成形組成物が以下の説明と実施例により提供される。
一般に、本発明の新規な組成物は、歯科用装具(appliance)、人工歯、口蓋補綴物、ならびに類似の物品の成形、組立て、および修理に役立つ。さらに、これらの組成物を、歯の詰め物に、また口腔補綴物との接着を実施するか、あるいは天然の歯を侵食、損傷またはう蝕から守るかの何れかのために、その表面コーティングに利用できる。
【0074】
本発明の好ましい形態により、通常の従来技術の歯科用アクリル装具のものよりかなり改良された化学的および物理的性質をもつ歯科用補綴装具に、既知の技術により容易に簡便に成形しうる硬化性歯科用組成物が提供される。特に、例えば、本発明に従って調製された前駆体ブレンド組成物から作られた補綴歯などの歯科用装具は、今日市場で販売されている通常のプラスチックの歯の耐グラインド性より6倍も大きい耐グラインド性により特徴づけられる。さらに、通常のアクリルプラスチックの歯は、グラインディングで、溶融しねじ曲がり、軟らかいプラスチックの破片を生成する傾向があるが、本発明に従って作り出された歯は、グラインディングで、陶材の歯が生成するのとほとんど同じ仕方で、細かい砂のような破片を生じる。
【0075】
さらに、本発明の前駆体ブレンド組成物から作られた補綴歯は、通常のアクリルプラスチックの歯の耐化学薬品性をはるかに凌ぎ、また陶材の歯のそれに近い耐化学薬品性により特徴づけられる。本発明の補綴歯の耐溶剤性は、例えば、本発明の前駆体ブレンドから作られた補綴歯は、メチルメタクリレートモノマーに3週間浸漬した後に元のままであり、一方、従来のアクリルプラスチックの歯では、メチルメタクリレートにより通常24時間以内に構造的な品質低下が起こるという事実により示されるように、市販のアクリルの歯のそれをはるかに凌ぐ。
【0076】
優れた耐化学薬品性をもつにもかかわらず、本発明に従って作られた補綴歯は、予想外にも、標準の処理方法を用いて、市販の義歯床システムと非常に強い化学的接着を形成することが見出された。このように、本発明に従って作られた歯は、それらが義歯床とよく接着し、歯と義歯床の間へのしみ込みを無くするので、不潔な臭気と周辺の変色を防ぐという点で、陶材の歯より優れている。
【0077】
陶材の歯との比較では、本発明に従って作られた補綴歯は、義歯処理中の耐破砕性と義歯が図らずも陶器の洗面台にまたは床へ落下した場合の耐衝撃性に特徴がある。本明細書に記載される歯はまた、義歯同志で咬合時に、陶材の歯がそうであるように、カチカチという音を出すこともない。通常のアクリルの歯との比較では、本発明に従って作られた補綴歯は、抜群の耐モノマー性および耐溶剤性;抜群の熱安定性、向上した硬度、密度、および耐変色性;ならびに優れた加水分解安定性;により特徴づけられる。本発明の前駆体ブレンド組成物のあるものはまた、固有の性質として乳白色である歯を与える。この特徴は歯の外観を向上させ、通常のアクリルプラスチックの歯よりも歯の外観をより「天然のもののよう」にする。最後に、本発明の硬化性組成物から作られた歯は、成形されると、光沢が優れている。義歯作製中、これらの歯の光沢は、優れた耐化学薬品性により、通常のプラスチックの歯のそれより、より元のままに保たれる。
【0078】
このように成形された補綴歯は、均一な微細構造をもつものとしてさらに特徴づけられるであろう。このような微細構造は、本発明の実施により成形された物品の優れた物理的性質に機能的に関連づけられると考えられており、物品の見本の適切な調製後に、適当な拡大手段によりそれを確かめることができる。
【0079】
手短に言えば、本発明の歯科用硬化性組成物は、後により詳細に記載されるように、特定の比率で組合わせ、寝かし熟成させると、補綴歯および他の歯科用デバイスに成形できる前駆体ブレンドを生成する成分のブレンドを含む。この前駆体ブレンドは、架橋されたポリマーとモノマー、前記モノマーの架橋剤、および任意の未架橋ポリマーおよび/または開始剤を合わせることにより、そして前記の組合せを寝かしあるいは熟成させることにより、本発明に従って生成される。架橋ポリマーは、約0.001ミクロンから約500ミクロンの範囲の平均直径をもつ独立した粒子の形態にある。前記粒子の少なくとも50重量%が、好ましくは約150ミクロンより小さく、より好ましくは100ミクロンより小さい直径をもつのが好ましい。望ましければ、2種以上の異なる架橋ポリマーを用いてもよい。架橋ポリマーの特徴は、それが、前駆体ブレンドの調製に用いられる液体の重合性モノマー成分に溶けないであろうが、これを吸収するかまたは吸い込むであろうということである。未架橋ポリマーは、用いられる場合、液体の重合性モノマーに溶解しうるもの、あるいはそれに分散するものとして特徴づけられるであろう。本発明の組成物の液体重合性モノマー成分は、本発明の実施に用いられる、このような未架橋ポリマーを溶解または分散させ、架橋剤を溶解させるかまたはそれと混和し、また架橋ポリマーの粒子を膨潤させる能力があるモノマーである。望ましければ、2種以上のこのような液体重合性モノマーの混合物を用いてもよい。
【0080】
本発明に従って生成される前駆体ブレンドの成分の相対的比率は、それから作り出される最終の硬化または固化生成物に望ましい性質、特に、耐グラインド性、耐摩耗性、接着強度、耐衝撃性、モノマーおよび他の溶剤に対する耐性、耐変色性、熱安定性、および加水分解安定性を持たせるために重要であるということが見出された。こうして、約10から約70重量パーセントの架橋ポリマー、約0から約50重量パーセントの未架橋ポリマー、約20から約66重量パーセントの重合性モノマー、および約0.01から約27重量パーセントの前記モノマーの架橋剤、ならびにこれらと共に少量の開始剤およびある場合にはこの開始剤の活性化剤のブレンドが、当技術分野で現在使用されている通常のアクリルシステムのものよりはるかに優れた性質により特徴づけられる補綴歯および義歯床の作製に特に有用であるブレンドを提供するということが見出された。抜群の耐グラインド性、耐摩耗性、モノマーおよび他の溶剤に対する耐性、耐変色性、熱安定性、および加水分解安定性がある補綴歯を、13から52重量パーセントの架橋ポリマー、13から34重量パーセントの未架橋ポリマー、25から55重量パーセントの重合性モノマー、7から22重量パーセントの架橋剤、および約2重量パーセントまでの開始剤を含む前駆体ブレンドから本発明に従って作製することができる。
【0081】
一般に、本発明の実施に有用な架橋ポリマーは、モノマーまたはモノマーのブレンドと適正な比率の架橋剤とを合わせて形成される。本発明の実施に有用な架橋ポリマーの製造に使用するのに適するモノマーは、通常、例えばアクリルおよび低級アルキルアクリル酸エステル、N−ビニルラクタム、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、アルケン、およびウレタンなどの多様なモノマーの何れかを含むであろう。同様に、これらの架橋ポリマーを得るのに、2種以上のモノマーの混合物を用いてもよい。
【0082】
本発明の架橋ポリマーの調製に有用な好ましいモノマー化学種には、##STR1##の構造に一般に従うアクリル酸、低級アルキルアクリル酸エステルが含まれる:Rは水素または1から約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、またRは、(a)1から約20個、好ましくは1から約6個の炭素原子を含むアルキルまたはシクロアルキル基;(b)フェニル;および(c)アルキル基が1から約6個の炭素原子を含むアルキル基置換フェニルの何れかである。様々な置換基が基RおよびRの何れかあるいは両方に存在してもよい。したがって、ヒドロキシ、アミノ、チオールおよびハロゲン(例えば、フッ素、塩素など)官能基が存在してもよく、後者が好ましい。フッ素は特に適した有用な置換基である。
【0083】
本発明の実施に用いられる架橋ポリマーの製造に有用なモノマーの特に好ましい例には、メチル−、エチル−、イソプロピル−、tert−ブチルオクチル−、ドデシル−、シクロヘキシル−、クロロメチル−、テトラクロロエチル−、ペルフルオロオクチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−、ヒドロキシブチル−、3−ヒドロキシフェニル−、4−ヒドロキシフェニル−、アミノエチル−、アミノフェニル−、およびチオフェニル−、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、プロパクリレート、ブタクリレートおよびクロロメタクリレート、ならびにビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、および2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)プロパンのアクリル酸同族体モノエステルが含まれる。他の適切な化学種は、当分野の技術者には明らかであろう。望ましければ、本発明の実施に有用な架橋ポリマーを得るために、2種以上の異なるモノマーの混合物を用いてもよい。
【0084】
本発明の架橋ポリマー成分の製造に有用な架橋剤は、モノマー化学種を架橋できる多様な2−または多官能性の構造部分を含む。一般に、このような架橋で活性サイトとして機能する反応性官能基はエチレン性官能基であるが、後に記載されるように、反応性があり有効な他の架橋性官能基も同様に有用である。ポリマーの配合に架橋剤を用いることは当分野の技術者にはよく知られており、彼らは、このような架橋剤は少なくとも2つの反応性官能基をもっていなければならないということを同様に認識している。
【0085】
適切な架橋剤を、当分野の技術者には明らかであるように、アクリルおよび低級アクリルアクリル酸ジエステル、アルコールから生成されるアクリルおよび低級アルキルアクリル酸エステルでそのアルコールが第2の反応性官能基をもつもの、ウレタンジアクリレートおよびジメタクリレート、ポリビニル化合物、ジビニル芳香族化合物などの多官能性モノマーの数多くの族から選択することができる。
【0086】
好ましくは、架橋剤は不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、プロパクリル酸、ブタクリル酸など、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、マロン酸、またはアコニット酸などのエステル含む。他の不飽和酸は、当分野の技術者には容易に明らかとなるであろう。これらの酸は、好ましくは、不飽和または多価アルコールの何れかと反応して、本発明の架橋ポリマーの配合に役立つ、有効な多官能性架橋剤であるエステルを生成する。通常、これらのアルコールは1個または複数のヒドロキシ官能基をもち、2から約30個の炭素原子をもつ。例えば、有用なアルコールには、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ビニルアルコール、ブテニルアルコール、イソブテニルアルコールおよび類似の不飽和アルコール、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、グリセロール、1,3,3−トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジヒドロキシフェノール、およびビスフェノールAなどのアルキリデンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのポリオールが含まれる。
【0087】
本発明の実施に好ましい架橋剤には、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート(メタクリレートおよびCからC20の同族体)、ジメタリルフマラート、N−アリルアクリルアミド、クロチルアクリレート、アリルクロトナート、アリルシンナメート、ジアリルマレアートなどの、一塩基または二塩基不飽和酸と不飽和一価アルコールとのエステルが含まれる。他の好ましい化学種は、エチレン「グリコール」ジアクリレート(ジメタクリレートおよびC〜C40同族体)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ならびにビスフェノールAのジアクリレートおよびジメタクリレートエステルなどの、多価アルコールのジ−、トリ−、およびよりエステル基の多いエステル、さらに一般式、##STR2##に対応し、RおよびRは同一であっても異なっていてもよく、水素または1から約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、nは1から約10の整数である、アクリレートおよびアルキルアクリレートエステルである。別法として、架橋剤は式、##STR3##に従うものでもよく、RおよびRは同一であっても異なっていてもよく、水素または1から約6個の炭素原子を含むアルキル基であり、またAは、(a)ビフェニル、1から約6個の炭素原子をそのアルキリデン部分に含むジフェニルアルキリデン、ジフェニルスルホン、ジフェニルスルホキシド、ジフェニルエーテル、およびジフェニルスルフィド;(b)(a)群のジグリシジル誘導体;および(c)(a)群または(b)群の何れかのジウレタン誘導体;からなる群から選択される芳香族部分である。さらに、架橋剤はグリシジルアクリレートもしくはアリルアクリレート、ジビニル(トリビニルまたはよりビニル基の多い同族体)ベンゼン、置換ジビニルベンゼン、および類似の化合物であってもよい。さらに、2種以上の架橋剤の混合物は本発明の実施に有用である。
【0088】
ビス−GMA、ならびにヒドロキシエチルメタクリレートと2,2,4−トリメチルヘキシル−1,6−ジイソシアネートとの反応で生成するウレタンジアクリレートのような化合物は特に有用であり、ジアリルマレアート、エチレン「グリコール」ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびビスフェノールAのジメタクリレートエステルも同様である。
【0089】
架橋ポリマーは、前記の、1種のモノマーまたは複数のモノマーと1種の架橋剤または複数の架橋剤の混合物を重合させることにより生成される。本発明の実施に用いられる架橋ポリマーの製造に使用される架橋剤の量は重要な因子である。こうして製造されたポリマー粒子がモノマー成分で膨潤するか、またはそれを吸収して本発明の前駆体ブレンドを生成する能力は、このような架橋ポリマーの製造に使用される架橋剤の量に直接関係するということが見出された。
【0090】
本発明の実施に有用な架橋ポリマーの物理化学的性質が、前記の適切な架橋ポリマーの配合に用いられるモノマーと架橋剤の相対的比率を決める。このような架橋ポリマーは、本発明の前駆体ブレンドのモノマー成分に曝されたとき、それらの構造的同一性を実質的に維持するように、十分によく架橋されていなければならない。同時に、それらは、モノマー成分で膨潤できないか、またはそれを吸収できないほど完全に架橋されていてはならない。したがって、架橋剤の比率を、それがどうであるかではなくその結果により記述する方が都合がよい。後により詳細に説明されるように、架橋ポリマーは細かい粒子の形態で用いられるということを考慮して、そこに用いられる架橋剤の最少量を、架橋ポリマー粒子が本発明のモノマー成分に曝された際にその粒子としての独立性を失うことにならないのに十分であるような量であるとして定めるのが好都合である。同様に、そこに用いられる架橋剤の最大量は、それを超えると、得られる架橋ポリマー粒子がモノマー成分に曝されたときに、その有意な量で膨潤できないか、またはそれをさらに吸収することができないような量である。この点に関して、架橋ポリマー粒子の大多数が、架橋ポリマー粒子がそれ自身の重量の少なくとも10%の量のモノマー成分で膨潤するか、またはそれだけ吸収した場合に、それは有意な割合のモノマー成分で膨潤する、またはそれを吸収すると言われるであろう。好ましくは、架橋剤の量は、それ自体の重量の約10から約500パーセントのモノマー成分を吸収する能力がある架橋ポリマーが得られるように用いられる。
【0091】
本発明の架橋ポリマーに含めるのに適切な架橋剤の比率の最小値および最大値は、成分モノマーと架橋剤の化学物質が何であるかにより変わるであろうということが、当分野の技術者には明らかであろう。しかし、通常、架橋剤は、得られる架橋ポリマーの、少なくて約0.01重量%、多くて約30重量%、好ましくは約0.2重量%から約10重量%含まれる。どのようなモノマー−架橋剤システムでも、前記の要求を考慮して架橋剤の最適な比率を突き止めることは、十分に当分野の技術者の通常の知識の範囲内にある。
【0092】
モノマーおよび架橋剤からの、本発明の実施に有用な架橋ポリマーの製造を、当分野の技術者に知られている多くの方法の何れかによって実施することができる。例えば、開始剤を添加して、あるいは添加しないで、成分の混合物を重合が起こるのに十分な温度に加熱することにより、ポリマーを生成させることができる。この目的では、過酸化ベンゾイル、過酸化ジクミルおよび当分野の技術者によく知られている他の物質などの過酸化物型の開始剤を用いることができ、いくつかの配合では活性化剤を使用すると利点がある。別法として、光または高エネルギー放射線を利用する、光化学または放射線開始反応により、構成成分から本発明の架橋ポリマーを生成させることができる。光化学開始反応では、当分野の技術者によく知られている方法で、全体の重合効率を上げるために、光化学増感剤またはエネルギー移動化合物を用いてもよい。
【0093】
架橋ポリマーの重合は多様な方法で実施することができ、その全ては当分野の技術者に知られている。例えば、Grimの米国特許第2,673,194号に教示される懸濁重合、乳化重合、塊状重合または他の有用で都合のよい何らかの方法により、それらを生成させることができる。後により詳細に記載されるように、細かく粒子化された顆粒またはビーズの形態で利用できる架橋ポリマーを得ることが望ましいので、懸濁重合が特に好都合である。しかし、塊状に生成したポリマーの塊を粉砕して有用な生成物とすることもできる。架橋ポリマー粒子の大きさは本発明にとって重要である。指摘されたように、架橋ポリマーは、小さな個別の粒子またはビーズの形態であることが望ましい。平均の粒径は約0.001ミクロンから約500ミクロンであるべきである。少なくとも50重量%の粒子が150ミクロン未満であることが好ましく、100ミクロン未満であることがより好ましい。
【0094】
前記の架橋ポリマーに加えて、前駆体ブレンドのポリマー成分は、未架橋ポリマーを含んでいてもよい。このような未架橋ポリマーは、本発明の実施に用いられる架橋ポリマーの調製に有用であるとしてすでに開示された、単官能性モノマー化学種の何れかから生成される。例えば、前記の式Iに従うモノマー化学種、その1から約20個の炭素原子をもつ脂肪族アルコールまたはフェノールのアクリルおよびCからCの低級アルキルアクリルエステル、あるいはそれらの混合物が適切であり、フッ化ビニリデンも同様である。ポリメリックメチルメタアクリレートおよびメチルアクリレートが好ましい。式Iに従う部類が最も好ましいが、架橋ポリマーに含めるのに適切な単官能性モノマーであるとして開示された他の物質のそれぞれおよび組合せも、未架橋ポリマーの配合に用いるのに適切な材料である。モノマーの混合物もまた全く有用である。当分野の技術者に知られている何れかの重合手法によって、モノマーから未架橋ポリマーを生成させることができる。例えば、開始剤、増感剤、活性化剤、または連鎖移動剤を用いて、または用いないで、熱または光化学重合を用いることができる。同様に、塊状または懸濁重合を利用することもできる。好ましくは、未架橋ポリマーは、平均分子量が約100,000から約2,000,000g/mol、特に約500,000から約900,000g/molであるとして特徴づけられるべきである。ポリマーは粒子の形態で使用されるが、架橋ポリマーと異なり、未架橋ポリマーでは粒径分布は重要ではないという点で、それらは架橋ポリマーと違っている。したがって、約500ミクロンのような、大きさが都合よく小さいどのようなポリマー粒子またはビーズでも用いることができる。大きさがより小さいものはモノマーを吸収し、それに一層容易に溶解するので好ましいが、より大きいものも同様に用いることができる。
【0095】
本発明の実施に用いられる未架橋ポリマーは架橋ポリマーと全く性質が異なる。架橋ポリマーは、本発明の前駆体ブレンドのモノマー成分で膨潤するか、またはそれを吸収しうるものとして、またこのような膨潤でそれらの独立した粒子の個別性を失わないような物理的および物理化学的構造をもつものとして定義された。この物理的定義は、同様に、それに含まれる架橋剤の比率に関係づけられた。比較して、未架橋ポリマー粒子は、モノマー成分に曝されたときそれらの粒子的分離性を保たず、十分な時間とモノマー成分が与えられるとそれに溶解する。
【0096】
本発明の前駆体ブレンド配合に用いるのに適する重合性モノマーは、多様なモノマーの何れかを含みうる。こうして、アクリルおよび低級アルキルアクリル酸エステル、N−ビニルラクタム、アクリルアミド、アクリロニトリル、スチレン、アルケン、ウレタンアクリレートまたはメタクリレート、ならびに他のモノマー化学種を本発明の実施に用いることができる。
【0097】
好ましいモノマー化学種は、一般に前記の式Iに従うと分かるアクリルおよび低級アルキルアクリル酸エステルである。本発明の実施に有用な重合性モノマーの特に好ましい例には、メチル−、エチル−、イソプロピル−、tert−ブチル、オクチル−、ドデシル−、シクロヘキシル−、クロロメチル−、テトラクロロエチル−、ペルフルオロオクチル−、ヒドロキシエチル−、ヒドロキシプロピル−、ヒドロキシブチル−、3−ヒドロキシフェニル−、4−ヒドロキシフェニル−、アミノエチル−、アミノフェニル−、およびチオフェニル−、アクリレート、メタクリレート、エタクリレート、プロパクリレート、ブタクリレートおよびクロロメタクリレート、ならびにビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシビフェニル、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、および2,2−ビス(4−ヒドロキシ−2,3,5,6−テトラフルオロフェニル)プロパンの同族体モノアクリル酸エステルが他の適切な化学種は、当分野の技術者には明らかであろうし、彼らはさらに、2種以上の異なる重合性モノマーの混合物を用いることもできることを認めるであろう。
【0098】
すでに記載したように、本発明の前駆体ブレンドの重合性モノマー成分は、室温で通常液体であり、前駆体ブレンドをさらに構成する、未架橋ポリマーを溶解または分散させ、また架橋ポリマーを膨潤させるか、またはそれにより吸収される能力をもつ。さらに、重合性モノマーは後に記載される架橋剤により架橋されうる。
【0099】
本発明の実施に有用な重合性モノマーの架橋剤は、モノマー化学種を架橋できる多様な二−または多官能性の構造部分を含む。一般に、この架橋で活性サイトとして機能する反応性官能基はエチレン性官能基であるが、他の架橋性の反応性官能基も同じ様に有用である。ポリマーの配合および製造に架橋剤を用いることは当分野の技術者にはよく知られており、彼らは、このような架橋剤は少なくとも2つの反応性官能基をもっていなければならないということを同様に理解するであろう。適切な架橋剤を、当分野の技術者には明らかであるように、アクリルおよび低級アルキルアクリル酸ジエステル、アルコールから生成するアクリルおよび低級アルキルアクリル酸エステルでそのアルコールが第2の反応性官能基をもつもの、ウレタンジアクリレートおよびジメタクリレート、ポリビニル化合物、ジビニル芳香族化合物などの多官能性モノマーの数多くの族から選択することができる。
【0100】
好ましくは、重合性モノマーの架橋剤は、不飽和酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、プロパクリル酸、ブタクリル酸など、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、マロン酸、またはアコニット酸などのエステル含む。他の不飽和酸は、当分野の技術者には容易に明らかとなるであろう。これらの酸は、好ましくは、不飽和または多価アルコールの何れかと反応して、本発明の実施に有用なモノマー化学種の有効な多官能性架橋剤であるエステルを生成する。例えば、有用なアルコールには、アリルアルコール、メタリルアルコール、クロチルアルコール、ビニルアルコール、ブテニルアルコール、イソブテニルアルコールおよび類似の不飽和アルコール、ならびにエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、グリセロール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジヒドロキシフェノール、ビスフェノールAなどのアルキリデンビスフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、ジヒドロキシジフェニルエーテル、ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、レゾルシノール、ヒドロキノンなどのポリオールが含まれる。
【0101】
本発明の実施に好ましい架橋剤には、アリルアクリレート、アリルメタクリレート、ビニルアクリレート(メタクリレートおよび同族体)、ジメタリルフマラート、N−アリルアクリルアミド、クロチルアクリレート、アリルクロトナート、アリルシンナメート、ジアリルマレアートなどの、二塩基不飽和酸モノマーと不飽和一価アルコールとのエステルが含まれる。他の好ましい化学種は、エチレン「グリコール」ジアクリレート(ジメタクリレートおよびC〜C同族体)、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ならびにビスフェノールAのジメタクリレートエステルなどの、多価アルコールのジ−、トリ−、およびよりエステル基の多いエステル、さらに前記の式IIに対応する、他のアクリレートおよびアルキルアクリレートエステルである。別法として、架橋剤は前記の式IIIに従うものでもよい。さらに、重合性モノマーの架橋剤は、グリシジルアクリレートもしくはアリルアクリレート、ジビニル(トリビニルまたはよりビニル基の多い同族体)ベンゼン、置換ジビニルベンゼン、および類似の化合物でありうる。さらに、2種以上の架橋剤の混合物は本発明の実施に有用である。
【0102】
ビス−GMA、ならびにヒドロキシエチルメタクリレートまたはアクリレートと2,2,4−トリメチルヘキシル−1,6−ジイソシアネートとの反応で生成するウレタンジメタクリレート(以後「ウレタンジメタクリレート」または「ジアクリレート」と呼ばれる)のような化合物は特に有用であり、エチレン「グリコール」ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレートおよびビスフェノールAのジメタクリレートエステルも同様である。対応するアクリレートは同様に有用であり、ジアリルマレアートも同様である。
【0103】
前記の成分に加えて(すなわち、架橋ポリマー、未架橋ポリマー、重合性モノマーおよび重合性モノマー用の架橋剤)、前駆体ブレンドは、任意の追加成分をさらに含んでいてもよい。これらには、当分野の技術者が思い浮かべるであろうように、開始剤、活性化剤、顔料、充填材、放射線不透過剤(radiopaquingagent)、接着性向上剤および他の材料が含まれるであろう。例えば、本発明の前駆体ブレンドに遊離基または光化学開始剤を含めてその硬化反応速度(kinetics)を変化させることは有用である。この点に関して、過酸化ジクミルまたはベンゾイルなどの過酸化物型開始剤は有用である。同様に、得られる歯科用装具の外観、密度、および物理的性質を変えるために、顔料および充填材を加えてもよい。無機材料、特にシリカおよびチタニアは、有用な充填材および顔料であるが、多様な他の有用な顔料および充填材が、当分野の技術者には明らかであろう。一般に、充填材および放射線不透過剤は、本発明の前駆体ブレンド組成物の重量の主な部分をなし、開始剤、活性化剤、顔料、および接着性向上剤は、全体としても、これらがその一部分である本発明の前駆体ブレンド組成物の重量のわずかな部分を成すであろう。
【0104】
本発明の前駆体ブレンドは、成分化学種を適正な比率で合わせて混合し、その後エージングまたは熟成させることにより形成される。いくつかの技法がこのために利用でき、他の技法も当分野の技術者には明らかであろう。例えば、架橋ポリマー、未架橋ポリマー、重合性モノマーおよび前記重合性モノマー用の架橋剤を、例えば過酸化物開始剤および顔料をそれと一緒に含めて、適正な比率で合わせることが可能である。次に、この組合せを入念に混合し、寝かせて一様な外観の前駆体ブレンドが得られる。このブレンドは、その望みの用途に応じて、ドウ(dough)のコンシステンシがあるか、あるいは多少流動性があってもよい。こうして生成された前駆体ブレンドを、型を用いる成形、押出し、ブラシ塗り、成形、工作のどれかで、あるいは通常の別の何らかの方法で形作り、重合または硬化させて優れた性質をもつ固い歯科用装具とすることができる。この重合または硬化のために、通常、熱または放射エネルギーを用いることが必要とされる。
【0105】
前駆体ブレンドを、補綴デバイスに含めるための人工歯に成形することが特に有用である。しかし、前駆体ブレンドは、詰め物、歯、ブリッジ、歯冠、前装、ピットおよび裂溝のシーラント、義歯床および歯科用裏装材料、矯正治療スプリント材料、ならびに矯正治療装具の接着剤を含めて、非常に広範な歯科用途に適するということが理解されるべきである。補綴置換あるいは骨などの様々な硬い身体構造体の修理に、また手術、特に口腔手術中の再建のために、本発明の材料を利用することもできる。
【0106】
本発明の前駆体ブレンドの成分間の化学的および物理的関係の本質が本発明の実施にとって重要である。これらの関係の中の主たるものは、架橋ポリマー粒子が、本発明のモノマー成分で膨潤するか、またはそれを吸収しうるという必要性である。同じ様に重要なのは、未架橋ポリマーが含まれる場合、モノマー成分に溶解しうるという要求である。本発明によれば、前記の有用な技法の何れかにより生成された前駆体ブレンドは、架橋ポリマーが、モノマー−架橋剤混合物で実質的に十分に膨潤し、それにより完全に浸透された状態になるか、あるいはそれを実質的に吸収したということ、および未架橋ポリマーが使用された場合、それに実質的に溶解したということが確実となるのに十分な時間、寝かされる。このように、本明細書では、「寝かされる」または「エージング」は、重合性モノマーとそれに溶けた架橋剤の混合物で架橋ポリマー粒子を実質的に十分に膨潤させるのに十分な期間、前駆体ブレンド成分をブレンド内で互いに関連させて保持することを表す。しばしば、エージング過程は、平衡に近づく際の混合物のコンシステンシの変化に現れる。このような平衡にほぼ達するのに必要な時間は、ブレンド技法、材料の相対的比率、粒径およびポリマーの分子量ならびに混合物の実際の温度により変動するであろう。一般に、1から7日のエージング時間が、望ましい平衡にほぼ達するのに適切であることが見出された。前記の考察を考慮して、ある配合の最適なエージング時間を突き止めることは、十分に当分野の技術者の能力の範囲内にあることが理解されるべきである。
【0107】
本発明の前駆体ブレンドの配合に特に有用な別の技法は、予備膨潤法と呼ばれ、架橋ポリマー粒子を、最終の前駆体ブレンドの最後の混合から遠く離れた前の時点で、重合性モノマーおよび前記モノマーの架橋剤の混合物で膨潤するか、またはそれを吸収させるようにする。この好ましい技法によれば、架橋ポリマー粒子は、重合性モノマーおよび架橋剤(前記モノマーに溶けている)の混合物とブレンドされる。次に、このブレンドは、架橋ポリマー粒子が、モノマー−架橋剤混合物で、実質的に十分に膨潤するか、あるいはそれにより完全に浸透されるのに十分な時間、寝かせられる。通常、モノマーの量として、モノマーが、それと合わせられている架橋粒子により完全に吸収されるであろうと思われる量が選択される。次に、この「予備膨潤させた」架橋ポリマー−モノマーの組合せを、未架橋ポリマーならびに追加量の重合性モノマーおよび架橋剤と混合して前駆体ブレンドとすることができる。この技法は、エージングが最終の混合に先立って行われているという事実により、本発明の前駆体ブレンドの配合の時間を節約させ、また配合をより簡便にする。こうして生成された前駆体ブレンドを、型を用いる成形、ブラシ塗り、押出し、成形、工作のどれかで、あるいはバッチ混合技法で有用なそれらに類似する別の方法で形作って、類似の有用な物品を作り出すことができる。他の技法は後の例に記載されており、さらに別の技法が当分野の技術者には明らかであろう。
【0108】
前駆体ブレンドの重合で、相互侵入高分子網目またはIPNと呼んでよい3次元構造体が生成されると考えられている。こうして生成すると想定されるIPN構造体は、本発明の実施により作られる物品により示される、思わぬ発見によって得られた、優れた化学的および物理化学的性質の組合せに寄与する主な要因であると考えられている。相互侵入高分子網目は、従来のグラフトポリマーに関連はあるが異なっている。一般に、第2のポリマーが、第1のポリマーと直に接触する状態で合成されたとき、得られる材料は、一方のポリマーの他方への実際の化学的グラフトの程度に関わらず、グラフトポリマーとして知られている。しかし、IPNは、第2のポリマーの生成前に第1のポリマーが3次元網目へと実質的に架橋されている場合、またその第2のポリマーが、それもまた3次元網目へと実質的に架橋されるような仕方で生成される場合に、形成されると考えられる。
【0109】
このように、IPNを、同じ空間部分に共存するが、如何なる共有結合も共有している必要はない、架橋され、したがってまた3次元的に配列された2つ以上の高分子網目からなるものとして見ることができる。2つの網目は、実際に、それらの間の共有結合をそれらがもつ必要がないという意味で独立している;それらは物理的に、一方の中に他方がトラップされており、共有結合を破壊しないではどのような物理的操作によっても分離できない。
【0110】
相互侵入高分子網目の理解にとって中心となるのは、IPNはそれ自体では物質ではなく、むしろ構造を記述する用語であるという認識である。一般的なIPNの本性の検討には、L.H,Sperling等による最近の論文、Macromolecules、vol.9、No.4(1976);Macromolecules、vol.9、No.5(1976);J.Polymer Science、vol.12、141ページ(1977);およびJ.Polymer Science、vol.16、583ページ(1978);ならびにそこに引用された文献を参照。また、Klepner et al、J.Elastoplast、vol.5、196ページ(Oct.1973)も参照。
【0111】
両方のポリマーの架橋はしっかりしたものであることが望ましいように思われるが、様々な度合いの架橋が、予備成形ポリマーおよびin situで生成されるポリマーのいずれでも可能である。さらに最初と第2のポリマーが同じ原料で生成されたときでさえ、IPNを形成することができることが認識されるべきである。例えば、適切に架橋された、2つの独立なポリメタクリレートの網目は互いに侵入してIPNを形成することができる。同様に、IPNは、2種以上のポリマーを最初のポリマーとして用いうるように、2つの網目だけに限定される必要はなく、また2種以上のモノマーを第2の高分子網目を形成するために用いることもできる。2種以上の架橋剤の混合物を、それぞれの網目の形成に用いてもよい。
【0112】
本発明では、相互侵入高分子網目が形成されうると考えられている。
したがって、粒子状の架橋ポリマーが、架橋剤と混合されたモノマーで膨潤するか、またはかかるモノマーを吸収したとき、そして吸収された、モノマーと架橋剤の混合物が、続いて重合されたとき、相互侵入高分子網目が粒子状架橋ポリマーの領域内で形成されたとみなすことができる。本発明に従って形成された物品に優れた化学的および物理化学的性質を付与するのは、粒子状架橋ポリマーの膨潤および前駆体ブレンドの重合の後に生成する粒子塊に局在するこの相互侵入高分子網目構造であると考えられている。本発明の前駆体ブレンドの調製で行われるエージング処理は、架橋ポリマーによる、モノマー−架橋剤での実質的に十分な膨潤、それによる完全な浸透、あるいはその実質的に完全な吸収を実現するために、またその平衡にほぼ達するために必要であると考えられている。しかし、相互侵入高分子網目および本発明へのそれらの応用に関する前記の検討は、本発明を限定する要素であると解釈されるべきではなく、むしろ本発明のケースに適用しうるものとして提案されたメカニズムとして解釈されるべきである。
【0113】
指摘されたように、本発明の組成物は優れた化学的および物理化学的性質を示す。したがって、本発明の組成物で作られた物品は優れた耐グラインド性、耐モノマー性、および義歯床への接着強度を示す。さらに、このような物品は独特の微細構造を示す。
補綴歯
【実施例1】
【0114】
前駆体ブレンドを次の組成物から調製した:
47.83% メチルメタクリレート
0.17% 過酸化ベンゾイル
12.00% 2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン
25.80% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(98.4:1.6)
12.40% ポリ(メチルメタクリレート)
1.80% 顔料
100.00%
【0115】
架橋ポリマーは粒子の形態であり、その46重量%は74ミクロン未満の大きさであり、残りは約500ミクロン未満の大きさであった。ポリ(メチルメタクリレート)の平均分子量は80,000g/moleであった。
【0116】
過酸化ベンゾイルおよび2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)−プロパンを室温でメチルメタクリレートに溶解してモノマー溶液とした。ポリマーおよび顔料をモノマー溶液の入っている遊星運動型ドウミキサに投入し、目で見て均一になるまで内容物を攪拌した。補綴歯を、歯の本体が外側から内側へ積み重なっていくように、重合性材料の計量された射出により射出成形した。外側および内側外部層を、ポリマーは除かれた前駆体ブレンドから最初に成形する。コアを、前駆体ブレンド混合物を室温で7日間寝かせた後に得られたものから成形する。得られた歯は、グラインドで粉末状の細かい破片を生じ、義歯床に接着し、耐衝撃性および耐摩耗性である。
【実施例2】
【0117】
実施例1に記載された方法を用いて、以下の組成の前駆体ブレンドを調製し、それで補綴歯を成形した。
組成物:
27.83% メチルメタクリレート
.17% 過酸化ベンゾイル
2.11% 2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート
2.37% エチレン「グリコール」ジメタクリレート
1.52% ウレタンジアクリレート
43.30% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(98.8:1.2)
21.65% ポリ(メチルメタクリレート)
1.05% 顔料
100.00%
室温で24時間のエージング後に、補綴歯の成形に適するゲル状のコンシステンシが得られた。
【実施例3】
【0118】
以下の組成物は、実施例1の技法に従って処理された後、補綴歯に成形しうる前駆体ブレンドとなった:
47.83% メチルメタクリレート
0.17% 過酸化ベンゾイル
12.00% ビス−GMA
25.80% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(70:30)
12.40% ポリ(メチルメタクリレート)
1.80% 顔料
100.00%
【実施例4】
【0119】
2ステップの「予備膨潤」混合法を用いて、以下の組成の前駆体ブレンドを調製し、それで補綴歯を成形した:
ステップ1
42.40% メチルメタクリレート
0.25% 過酸化ベンゾイル
6.00% ウレタンジアクリレート
1.50% 2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン
49.85% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(90:10)
100.00%
【0120】
架橋ポリマーは粒子の形態であり、その50重量%は100ミクロン未満の大きさであり、残りは約500ミクロン未満の大きさであった。
ステップ2
28.14% ポリ(メチルメタクリレート)
60.43% メチルメタクリレート
0.36% 過酸化ベンゾイル
10.20% 2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン
0.87% 顔料
100.00%
ポリ(メチルメタクリレート)の分子量は、850,000g/moleであった。
【0121】
この実施例では、ステップ1とステップ2の材料の重量比は、1.14対1.00である。ステップ1を、モノマー、架橋剤および開始剤の溶液を調製し、架橋ポリマーを加えることにより実施した。この混合物を約2分間攪拌してポリマーを濡らし、モノマーが失われないように蓋をして、室温に1週間置いた。架橋コポリマーは、1週間の「予備膨潤」期間中に、モノマー溶液を完全に吸収した。このコポリマーはこの処理で膨潤したが、個々のコポリマー粒子の一体性は保たれた。この「予備膨潤」混合物はゲル状ではなかったが、容易にくずれる、ゴム状でスポンジ状の塊のコンシステンシがあった。
【0122】
ステップ2を、ステップ1で得た「予備膨潤されたもの」を、遊星運動型ドウミキサに投入し、「予備膨潤」塊をバラバラに(fine consistency)壊すように十分に混合することにより実施した。ポリ(メチルメタクリレート)および顔料をミキサに入れ、均一な分散体が得られるまで混合を続けた。ステップ2の組成物に記載されたモノマーおよび開始剤の溶液をミキサに投入し、均一なゲルのコンシステンシとなるまで混合を続けた。ゲル状混合体を保存容器に移し、補綴歯の成形に適するコンシステンシが得られるまで、約3日間、室温で寝かせた。
【実施例5】
【0123】
実施例4に記載された2ステップの「予備膨潤」法を用いて、以下の組成の前駆体ブレンドを調製し、それで補綴歯を成形した。
ステップ1
39.90% メチルメタクリレート
0.24% 過酸化ベンゾイル
9.98% 2,2−ビス(4−メタクリロキシフェニル)プロパン
49.88% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(98:2)
100.00%
ステップ2
36.37% ポリ(メチルメタクリレート)
49.92% メチルメタクリレート
.32% 過酸化ベンゾイル
12.19% 2,2−ビス(4−メタクリロキシエトキシフェニル)プロパン
1.20% 顔料
100.00%
この実施例では、ステップ1とステップ2の材料の重量比は、0.46対1.00である。室温で24時間のエージング後に、補綴歯の成形に適するゲル状のコンシステンシが得られた。
【実施例6】
【0124】
前駆体ブレンドを次の組成から調製した:
24.67% メチルメタクリレート
0.25% 過酸化ベンゾイル
24.67% エチレン「グリコール」ジメタクリレート
49.70% ポリ(メチルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)
(99.8:0.2)
0.71% 顔料
100.00%
【0125】
メチルメタクリレート、過酸化ベンゾイル、およびエチレン「グリコール」ジメタクリレートを室温で混合しモノマー溶液とした。ポリマーおよび顔料を、モノマー溶液が入っている遊星運動型ドウミキサに投入し、次に目で見て均一になるまで混合した。ポリマーはモノマー溶液を室温の密封容器内での最初の7日間の接触で完全に吸収し、エージングを成形の前に7日間続けた。一体となった補綴前歯を次の一連の工程でトランスファ成形した。
1.3分、138℃、290psi
2.2分、138℃、1300psi
3.5分、1300psiで冷却
4.3時間、118℃
【0126】
得られた補綴歯は、グラインドで細かい粉末状の破片を生じ、磨くと優れた光沢をもち、耐摩耗性であり、メチルメタクリレートおよび他の溶剤に対する耐性があり、加水分解安定性があり、220℃で1時間加熱しても認められる品質の低下あるいは歪みを全く示さず、また義歯床材料によく接着する。
【0127】
特許請求の範囲に記載されたその範囲から逸脱することなく、様々な変更および変化が本発明の実施および使用においてなされうるといことが、当分野の技術者には明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】前歯として本発明に従って作製された人工歯を横切る矢状面の断面を示す図である。
【図2】図1の歯を横切る正面の断面を示す図である。
【図3】本発明による側面の歯の斜視図である。
【図4】本発明による側面の歯の斜視図である。
【図5】本発明による歯のさらなる実施形態の、図2と同じ断面を示す図である。
【図6】本発明による補綴歯の概略的側面図である。
【図6A】本発明による補綴歯の部分的な概略的側面図である。
【図7】本発明による、エナメル層およびエナメルモールドパーツを表示するシステムの概略的全体図である。
【図8】本発明による、シェード層およびシェーダモールドパーツを表示するシステムの概略的全体図である。
【図9】本発明による、第2の裏面層および第2の裏面モールドパーツを表示するシステムの概略的全体図である。
【図10】本発明による、裏面層および裏面モールドパーツを表示するシステムの概略的全体図である。
【図10A】本発明による、上側および下側臼歯を表示するシステムの概略的全体図である。
【図11】本発明による補綴歯の組のファミリの概略図である。
【図12】本発明によるシェードガイド部材の概略図である。
【図13】本発明によるインプラント歯冠の概略的横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合性材料を射出成形して、外側外部ポリマー層(3)を形成すること、
重合性材料を射出成形して、第1の外部層(3)上に適用された内側ポリマー層(2)を形成すること、および
重合性材料を射出成形して、内側外部層(2)上に適用された固いコア(1)を形成すること
を含む人工歯の製造方法。
【請求項2】
歯の本体が外側から内側に積み重なるように、いくつかの重合性成分の制御され計量された射出による1回の射出工程で歯が製造される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の歯が1つの射出成形用具により射出成形されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
補綴歯のファミリが前記方法で成形され、前記補綴歯のファミリが、シェード層長さ(S)と裏面長さ(B)の第1の比をもつ歯の第1の組の第1の歯、およびシェード層長さと裏面長さの第2の比をもつ歯の第2の組の第2の歯を含み、前記第1の比および第2の比が実質的に等しい請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記第1および第2の歯の端部が切縁であり、前記第1の比が5パーセント以内で前記第2の比に等しい請求項4に記載のファミリ。
【請求項6】
補綴歯のファミリが前記方法で成形され、前記補綴歯のファミリが、
第1の唇側全長(L)および第1の裏面長さ(B)をもつ歯の第1の組の第1の歯、なばびに第2の唇側全長および第2の裏面長さをもつ歯の第2の組の第2の歯を含み、
第1の唇側全長と第2の唇側全長の比が、第1の裏面長さと第2の裏面長さの比に実質的に等しい請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の歯が第1のシェーダ長さをもち、前記第2の歯が第2の長さをもち、前記第1のシェーダ長さと前記第1の唇側全長の比が、前記第2のシェーダ長さと前記第2の唇側全長の比に実質的に等しい請求項6に記載の補綴歯のファミリ。
【請求項8】
前記歯のそれぞれが臼歯である請求項7に記載の歯のファミリ。
【請求項9】
前記歯のそれぞれが切歯である請求項7に記載の歯のファミリ。
【請求項10】
前記歯のそれぞれが犬歯である請求項7に記載の歯のファミリ。
【請求項11】
前記第1のシェーダ長さが、前記第1の唇側全長の68パーセントに実質的に等しい請求項7に記載の歯のファミリ。
【請求項12】
第1の唇側全長と第2の唇側全長の比が5パーセント以内で第1の裏面長さと第2の裏面長さの比に等しい請求項6に記載の歯のファミリ。
【請求項13】
前記歯のそれぞれが切歯である請求項6に記載の歯のファミリ。
【請求項14】
前記歯のそれぞれが犬歯である請求項6に記載の歯のファミリ。
【請求項15】
前記第1の裏面長さが前記第1の唇側全長の94パーセントに実質的に等しい請求項6に記載の歯のファミリ。
【請求項16】
前記重合材料が、
(A)0%から約50%の、成分(B)に溶解しうる未架橋ポリマー;
(B)約20%から約66%の、一官能性重合性モノマー;
(C)約10%から約70%の、約500ミクロンまでの平均直径をもつ独立した粒子の形態の、前記モノマーに膨潤しうる架橋ポリマー;および
(D)約7%から約27%の、前記重合性モノマーと反応性がある二−または多官能性架橋剤;
のブレンドを含み、前記パーセンテージは前記組成物中のA、B、CおよびDの全重量に対してのものであり、前記組成物は硬化して水に感受性のない物品となりうる請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記架橋ポリマーが約13重量%から約52重量%の量で存在する請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記未架橋ポリマーが約13重量%から約34重量%の量で存在する請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記重合性モノマーが約25重量%から約55重量%の量で存在する請求項16に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図6A】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図10A】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2006−503639(P2006−503639A)
【公表日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−546638(P2004−546638)
【出願日】平成14年10月23日(2002.10.23)
【国際出願番号】PCT/US2002/033819
【国際公開番号】WO2004/037112
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(590004464)デンツプライ インターナショナル インコーポレーテッド (85)
【Fターム(参考)】