製品管理システムと製品管理プログラムと記録媒体と製品管理方法
【課題】 主要な各種管理データを、管理カードで入力し、それを記録する処理を手作業無しで行う。
【解決手段】 所定の製品の製造ラインにおいて管理カード10から、管理対象を特定するための情報を含む管理データ20を無線により読み取るカードリーダライタ11と、その読み取った管理データ20を、記憶装置40に記憶する管理データ読み取り手段51と、記憶装置40に記憶され蓄積された管理データであって、管理カード10以外の管理カードからカードリーダライタ11により読み取ったものを、管理カード10に書き込む、管理データ書き込み手段52とを備える。管理カードには、その製品についての管理データが蓄積されるから、管理カードをサーバへのアップロード等に使用できる。
【解決手段】 所定の製品の製造ラインにおいて管理カード10から、管理対象を特定するための情報を含む管理データ20を無線により読み取るカードリーダライタ11と、その読み取った管理データ20を、記憶装置40に記憶する管理データ読み取り手段51と、記憶装置40に記憶され蓄積された管理データであって、管理カード10以外の管理カードからカードリーダライタ11により読み取ったものを、管理カード10に書き込む、管理データ書き込み手段52とを備える。管理カードには、その製品についての管理データが蓄積されるから、管理カードをサーバへのアップロード等に使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の製造ライン中で、製造管理のための管理データを簡便に入力し管理するための、製品管理システムと製品管理プログラムと記録媒体と製品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンタ等の電子機器は、基板と機構部とケースとを別々に生産してから組み立てを行い、検査を経て製品になる。こうしたラインの各工程における部品管理や品質管理のために、管理データの入力処理の自動化やコンピュータ−ネットワークを利用したデータ管理システムが採用されている(特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特表平9−510312号公報
【特許文献2】特開2002−333912号公報
【特許文献3】特開2004−334891号公報
【特許文献4】特開2005−108051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
従来のシステムでは、各工程で、作業者を識別する情報や、組み立てに使用する部品コードや、その他各種の管理データを入力するために、バーコードリーダやICタグ読み取り装置を設置する。さらに、これらの装置を、ネットワークを介してサーバに接続する。こうした従来の生産管理システムは、規模の大きな生産ラインでは、ネットワーク管理が複雑になるという問題があった。また、サーバのデータ通信プログラムに対しても大きな負担がかかるという問題があった。本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、管理データの入力操作を簡便にするとともに、ネットワークへの依存を可能な限り小さくした、製品管理システムと製品管理プログラムと記録媒体と製品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【0005】
所定の製品の製造ラインである製品について組み立てや加工が行われたとき、任意の管理カードから、その管理データが入力される。管理カードには、例えば、製品識別情報の管理、工程の管理、部品の管理のためのものがある。この管理データが記憶装置に蓄積されるとともに、それ以前に記憶装置に蓄積された管理データがその管理カードに書き込まれる。即ち、管理カードには、順次、その製品についての管理データが蓄積されるから、管理カードをサーバへのアップロード等に使用できる。また、各工程にサーバへデータを送信する端末装置等を配置する必要がなくなる。主要な各種管理データは管理カードで入力できるから、管理データを記録する処理を手作業無しで行うことができる。
【0006】
〈構成2〉所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した複数の管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶して蓄積する管理データ読み取り手段と、任意の管理カードが一括データ書き込み用として指定されたとき、上記記憶装置に記憶された管理データを当該管理カードに書き込む管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【0007】
任意の管理カードから無線により管理データが順次入力される。その管理データは記憶装置に順次蓄積記憶される。これらが、指定により特定の管理カードに一括書き込みされるから、その管理カードには全ての主要な管理データが記憶される。従って、様々な管理データをカードを利用して入力することができるとともに、いずれかの管理カードを管理データの記録媒体に指定して利用できる。
【0008】
〈構成3〉構成1又は2に記載の製品管理システムにおいて、上記カードリーダライタと上記記憶装置は、製造ラインで製造される製品の管理用サーバとは独立したコンピュータに接続されて制御され、上記記憶装置に記憶された管理データは、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存されることを特徴とする製品管理システム。
【0009】
管理データは全て管理カードに記憶されて、その後サーバ等にアップロードされる。記憶装置にバックアップ用として保存されていれば、管理カードに障害が発生したときに、復旧が可能である。これにより、管理カードを利用した簡便なデータ管理ができる。
【0010】
〈構成4〉構成1乃至3のいずれかに記載の製品管理システムにおいて、上記管理データ読み取り手段が、上記管理カードから工程識別情報を読み取って記憶装置に記憶させたとき、管理データ書き込み手段は、現在時刻情報を取得して、上記管理データに含めて記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理システム。
【0011】
例えば、製品を加工するある工程で作業開始時には、工程識別情報を記憶した管理カードをカードリーダライタに読み取らせる。このときは現在時刻が工程での処理開始時刻になる。一方、作業終了時に同様にして工程識別情報を記憶した管理カードをカードリーダライタに読み取らせると、このときは現在時刻が工程での処理終了時刻になる。これらのデータが工程の進捗管理等のために利用できる。
【0012】
〈構成5〉構成4に記載の製品管理システムにおいて、上記管理データ書き込み手段は、上記記憶装置に記憶された管理データを一括データ書き込み用の管理カードに書き込むとき、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、上記管理データに含めて上記記憶装置に記憶させ、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込むことを特徴とする製品管理システム。
【0013】
一括データ書き込み用の管理カードがカードリーダライタにセットされたとき、
記憶装置に記憶された管理データを管理カードに書き込む。その後そのカードは次工程に送られて次工程の管理データの入力に使用される。
【0014】
〈構成6〉コンピュータを、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、として機能させる製品管理プログラム。
【0015】
〈構成7〉コンピュータを、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、として機能させる製品管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0016】
〈構成8〉カードリーダライタが、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るステップと、管理データ読み取り手段が、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶するステップと、管理データ書き込み手段が、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込むステップ、とを含む製品管理方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、主要な各種管理データを管理カードで入力して、管理データを記録する処理を手作業無しで行うことができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の製品管理システムを示すブロック図である。
このシステムは、製造ラインの随所に配置される。カードリーダライタ11は、製造ライン中の各工程に配置されるとよい。カードリーダライタ11は、USB(Universal serial Bus)インタフェース31を介してカード制御装置30に接続されている。カード制御装置30のUSBインタフェース31には、複数の工程のカードリーダライタが接続されている。ここでは、1台のカードリーダライタ11のみを例示している。カード制御装置30は、記憶装置40と演算処理装置50とを備えるパーソナルコンピュータなどから構成される。カードリーダライタ11は、管理カード10からその管理カード10に記憶された管理データ20を無線により読み取り、さらに管理カード10に対して管理データ20を無線により書き込む機能を持つ。カードリーダライタ11は、鉄道の自動改札等に広く使用されているICカードの読み書き機能を備えるものであればよい。
【0019】
管理データ20は、製造ライン中で管理の対象になっている様々な情報である。カード制御装置30の記憶装置40には、この管理カード10から読み取られた管理データ20が一時保存される。一つの工程で様々な管理カードが使用される。これらの管理カードから各種の管理データを読み込んだとき、それらのデータはこの記憶装置に記憶され蓄積される。読み取られた管理データは、例えば、製品別、工程別に整理された管理データ41として記憶装置40に記憶される。演算処理装置50は、管理データ読み取り手段51、管理データ書き込み手段52、一括転送制御手段53、現在時刻取得手段54、データ監視手段55などを備えている。これらの手段はいずれも、カード制御装置30のコンピュータに所定の機能を実行させるコンピュータプログラムである。
【0020】
管理データ読み取り手段51は、カードリーダライタ11により管理カード10から読み取った管理データ20を記憶装置40に記憶させる機能を持つ。管理データ書き込み手段52は、記憶装置40に記憶された、例えば、製品別、工程別に整理された管理データ41を管理カード10に書き込む機能を持つ。この発明では、管理カード10から管理データ20を読み取ると、これを記憶装置40に記憶する。さらに、それまで記憶装置40に蓄積された管理データ41を管理カード10に書き戻す処理を行う。従って、管理カード10からカード制御装置30に管理データを入力すると、管理カード10には、ある製品の工程別の管理データ一切が書き戻されることになる。その製品が完成後には、管理カード10を管理用サーバ60のカードリーダライタ61にセットし、管理用サーバ60に対して全ての管理データをアップロードすることができる。即ち、この発明では、管理カード10を、管理ノートや管理用の伝票代わりに使用する。カード制御装置30は、管理カード10の管理データを読み書き制御するために使用され、必ずしもネットワークに接続する必要がない。従って、カード制御装置30は任意の数だけ任意の場所に配置し、各工程のカードリーダライタ11と接続すればよい。
【0021】
一括転送制御手段53は、所定のタイミングで、管理データ書き込み手段52に対して、記憶装置40に記憶された、製品別工程別の管理データ41を該当する管理カード10に転送する要求を出力する機能を持つ。管理カード10は、後で説明するように様々な機能を持ち、様々な情報を蓄積している。製品の管理データ全てを蓄積するカードは1枚でよい。従って、ある工程で、多数の管理カードを使用して情報の入力を行ったとき、特定の1枚の管理カードにだけ全ての管理データを書き戻せば足りる。その1枚の管理カードを他の管理カードと区別するために、管理カード中に管理データ一括転送指示用の識別情報を記憶させておくとよい。もちろん、管理者が直接指示を入力してもよい。
【0022】
一括転送制御手段53は、上記の指示を認識して、そのカードに、記憶装置40に蓄積された管理データ41を転送するよう、管理データ書き込み手段52に要求する。該当する管理カードは、管理データを簡便に入力するためのツールだけでなく、管理データを蓄積し記録するツールとして利用することができる。その他の管理カードは、管理データを簡便に入力するためのツールとしてのみ使用される。現在時刻取得手段54は、工程の時間管理のための現在時刻を取得し、管理データ20に含める機能を持つ。現在時刻情報は、コンピュータ内蔵の時計から取得すればよい。ある工程での処理を開始して最初に取得した現在時刻情報は、処理開始時刻として取り扱われる。また、その工程で、ある管理カードに、製品別工程別の管理データ41を一括書き込みするときは、現在時刻情報は、処理終了時刻データとして取り扱うとよい。
【0023】
データ監視手段55は、製品別工程別管理データであって最後に管理カードに書き込むべきデータについて、その内容に過不足があるかどうかを判断する機能を持つ。一般によく使われているデータ入力エラーチェックプログラムである。この工程で入力すべき情報が不足している場合には、例えば、カードリーダライタ11に設けられているLEDなどを点滅させて、警告を発するとよい。また、例えば、管理カード10に管理データを一括転送したとき、管理カード10の残り記憶領域が少ない場合、次の工程での管理データ書き込みに支障が生じる。このような場合に、記憶領域不足というメッセージを出力するようにしてもよい。記憶領域が足りなくなった場合には、管理カード10を管理用サーバ60のカードリーダライタ11にセットし、記憶している管理データをアップロードして管理カードの記憶領域をクリアすればよい。なお、製品別(工程別)に蓄積された管理データは、所定期間カード制御装置30の記憶装置に蓄積しておき、万一管理カードが破損したようなときに、管理データを復旧させるために使用するとよい。
【0024】
カードリーダライタ11は、所定の製品の製造ライン中に配置される。工程毎に配置されることが好ましい。複数の工程に共通に使用されるように配置しても構わない。管理カード10には、例えば、製品の管理、工程の管理、部品の管理のための情報が記憶されている。これらの管理データ20は、その製品のその工程における処理内容を含むとよい。いくつもの管理カード20から読み込まれたデータがそのつど順次管理データ20に含められていく。従って、管理データには、製品識別情報、工程識別情報、作業担当者識別情報、処理開始時刻と処理終了時刻、組み込んだ部品の識別情報、検査記録等を含むとよい。管理カード10は無線通信機能とデータの記憶機能を持ったものであって、その形状は任意である。後で説明する実施例では、管理カード10の種類を、製品カード、工程カード、部品カードと例示したが、その名称は任意である。カードリーダライタ11は、管理カード10に対して、データの読み取り処理とデータの書き込み処理ができる無線通信機能を備えたものであればよい。
【0025】
カード制御装置30に設けられた記憶装置40は、データを必要な期間一時的に記憶する機能を持てばよい。記憶装置40には、次々に読み込まれる管理データ20が蓄積される。管理カード10から管理データ20を読み取ったときは、記憶装置40にそれまでに蓄積された管理データ20をその管理カード10に書き込む。これにより、管理カード10に、全ての主要な管理データ20が記憶される。記憶装置40に記憶された管理データ20は、例えば、製品識別情報を基準に整理されて記憶される。製品識別情報は管理カード10から入力されてもよいし、他の入力手段により入力されてもよい。なお、記憶装置40にそれまでに蓄積された管理データ20は、上記のようにして、特定の管理カード10に書き込むだけでもよい。一括データ書き込み用の管理カードを指定する方法は任意である。例えば、製品識別情報が記録されている管理カード10を、一括データ書き込み用とする。しかし、管理カード10に該当する任意の指定情報を記録しておいてもよい。また、カード制御装置30のキーボ−ドのように、別の入出力装置からその旨の指定情報が入力するようにしても構わない。
【0026】
管理用サーバ60は、製造ラインで製造される製品の管理をする。管理用サーバ60は、必要な全ての管理データ20を収集して処理する。このシステムでは、管理データ20を記憶した管理カード10から、管理用サーバ60が管理データ20を取得する。管理データ20を取得するタイミングは任意である。製品完成後でも良いし、中間でもよい。しかし、それまでに管理カード10が確実に必要なデータを記憶していることが重要である。データの消失事故は少なくない。そこで、カード制御装置の記憶装置40に記憶された管理データ20は、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存される。例えば、管理用サーバ60に必要な管理データ全てがアップロードされたときに、バックアップデータが消去されるようにするとよい。定期的に消去されてもよい。管理データ20は、管理用サーバ60とは独立したカード制御装置30により保存され制御される。管理データ20の保存先は管理カード10であるから、カード制御装置30は管理カード10に対するデータの読み書き管理のみを行えば足りる。管理用サーバ60と多数のカード制御装置30との間のデータ通信も不要である。従って、システムも簡単になり、通信障害等の問題も起きない。サーバの負荷も非常に軽くなる。
【0027】
図2は、製品の製造ラインの例を示す概略図である。
図に示すように、製造ライン中の工程1A、1B、1Cでは、それぞれ作業者2A、2B、2Cが製品の組立作業を行っている。各工程には、それぞれカードリーダライタ11が配置されている。これらのカードリーダライタは、図に示すようにUSBインタフェース31に接続されている。このUSBインタフェース31を介してカードリーダライタ11で読み取られた管理データが、カード制御装置30に転送される。
【0028】
図3は、カードリーダライタと管理カードの外観斜視図である。
図のように、カードリーダライタ11は、USBケーブル17によってUSBインタフェースに接続される。このカードリーダライタ11の近くに管理カードを近づけることによって、管理データの読み出しや書き込みができる。この図には、管理カードの例として、製品カード12、工程カード13、部品カード14、及び、試験カード15を示した。これらのカードを次々にカードリーダライタ11に近づけることによって、これらのカードに記録された管理対象となる情報を簡単に管理データに含めて登録することができる。製品カード12は、例えば、製品を特定するための製品識別情報を記憶している。工程カード13は、例えば、工程を特定するための工程識別情報を記憶している。部品カード14は、組み立てる製品に使用される各部品毎に用意され、各部品の部品番号やその他の情報を記憶している。試験カード15は、製品について性能試験などを行う際の試験項目やその試験結果、即ち、合否判定の結果などを記憶している。
【実施例2】
【0029】
図4は、カード制御装置のインタフェースの説明図である。
カード制御装置30は、例えばこの図に示すように、6口のUSBインタフェース61を備えている。各口にそれぞれ別々の工程のカードリーダライタ11を接続することができる。良く知られているように、コンピュータはUSBインタフェースの各口をそれぞれ区別して認識し制御することができる。従って、カード制御装置30は、各カードリーダライタから入力する管理データを別個独立に読み取り、さらに必要な管理データを区別しながら書き込む制御を実行できる。従って、多数の工程を一台のカード制御装置30で管理することができる。
【実施例3】
【0030】
図5は、インタフェースの変形例説明図である。
カード制御装置30には、多数のUSBインタフェースを接続することができる。図の例では、3本の延長ケーブル71、72、73を介して、それぞれ6口のUSBインタフェース63、64、65を接続した。延長ケーブル71、72、73の両端にはUSBエクステンダーあるいはUSBハブが接続されている。例えば、1台のパーソナルコンピュータで複数のOS(オペレーティングシステム)を同時に起動することもできる。ひとつのOSで6口のUSBインタフェースを制御できるとき、3つのOSを起動して、1台のコンピュータで18口のUSBインタフェースの制御が可能になる。こうした構成により、ライン毎に必要なコンピュータの台数を十分に少なくして、設備コストを低減できる。
【実施例4】
【0031】
図6は、上記のような各種管理カードをカードリーダライタに読み込ませた場合の動作説明図である。
まず、製品カード12には、製品識別情報21が記憶されている。製品組立の最初の工程で作業を開始する場合には、この製品カード12をカードリーダライタ11に読み込ませる。製品識別情報21が管理データ読み取り手段51により読み取られて記憶装置40に記憶される。これは、記憶装置40の管理データ41に含められる。なお、最初の製品製造開始時には、蓄積された管理データ41は存在しないでもよい。ここでは前工程の部品情報等が蓄積されていたと仮定して図示をしている。管理データ41は、製品識別情報21が書き加えられて更新される。これを管理データ書き込み手段52が読み取り、カードリーダライタ11を通じて製品カード12に書き込む。こうして製品カード12には、その製品に関する全ての管理データ41が書き込まれる。このように、管理カード41の読み取りのつど、全ての管理データを管理カードに書き戻してもよいし、いずれかの管理カードにのみ一括して管理データを書き戻すようにしてもよい。
【実施例5】
【0032】
図7は、工程カードを読み取らせた場合の動作説明図である。
工程カード13には工程識別情報22が記憶されている。ある製品について、その製品がある工程で加工されようとするとき、この工程カード13をカードリーダライタ11に読み取らせる。管理データ読み取り手段51は、工程識別情報22を読み取って記憶装置40に記憶させる。この工程識別情報22は、管理データ41に含められる。管理データ41は、管理データ書き込み手段52によって記憶装置40から読み取られ、カードリーダライタ11を通じて工程カード13に書き込まれる。なお、工程識別情報22を読み取ったときに、現在時刻取得手段54が動作して、現在時刻情報35を取得する。これを管理データ41に含める。工程カード13が最初に読み取られた場合には、現在時刻情報35は、工程開始時刻として管理データ41に含められる。なお、図6のように製品カード12をカードリーダライタ11に読み取らせた後に、工程カード13を同じカードリーダライタ11に読み取らせると、カード制御装置30の側では、同じカードリーダライタ11から連続して管理データが読み取られたと認識できる。同じカードリーダライタ11から連続して読み取られたデータは、共通の管理データに含めるように制御する。また、別の製品カードがカードリーダライタ11に読み取られたときは、管理対象が切り替わったものとして、制御するとよい。カードリーダライタ11の配置を変更しない限り、工程は同一であり、工程カード13は変わらない。このようにして、製品別工程別の管理データが個別に蓄積される。
【実施例6】
【0033】
図8は、部品カード14をカード制御装置に読み取らせた場合の動作説明図である。
部品カード14には、部品を識別する部品識別情報26が記憶されている。管理データ読み取り手段51は、この部品識別情報26を読み取って、記憶装置40に記憶させる。部品識別情報26は、これまで蓄積された管理データ41に含められる。管理データ書き込み手段52は、その管理データ41を部品カード14に書き込むよう動作する。これで、書き戻し処理で済む。この動作は図6で説明したものと同様である。図8の処理は、同一の工程で多数の部品が製品に組み込まれるときは繰り返し実行される。上記の図6、図7、図8の制御によれば、各カード12、13、14は、そのまま次の工程に持っていって必要な情報全てを伝達できる。
【0034】
作業時間管理のためには、工程毎に、その処理開始時刻や処理終了時刻を記録することが好ましい。この例では、工程識別情報22を工程カード13から読み取って記憶装置40に記憶させたとき、現在時刻情報35を取得した。最初に取得した現在時刻データを処理開始時刻データとし、最後に取得した現在時刻データを処理終了時刻データとして、記憶装置40中の管理データ41に含めて記憶させるとよい。
【0035】
一括書き込み制御をするときは、一括データ書き込み用の管理カードは、工程の作業終了時にカードリーダライタにセットされる。次工程に進む前に、現工程の管理データ全部を管理カードに保存する。このときに、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、管理データに含めて記憶装置に記憶させる。カード制御装置の記憶装置に記憶させるのはデータのバックアップのためである。さらに、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込む。処理開始時刻データは既に書き込まれている。こうして、処理開始時刻データと処理終了時刻データを書き込んで、工程の進捗管理等に利用する。
【実施例7】
【0036】
図9は、カード制御装置の記憶装置に蓄積される管理データの内容説明図である。
カード制御装置側には、この図に示すように、まず始めに製品カード12から例えば、製品識別情報21と半製品識別情報27が取得される。直前に何らかの半製品製造工程を経てある工程に製品が送り込まれたとき、このような内容で管理データが取得される。なお、半製品に関する詳細な管理データは、既に管理用サーバに転送され、製品カード12には、半製品識別情報27のみを記憶しているものとする。続いて工程カード13が読み取られる。この工程カード13には、例えば、工程識別情報22と作業者識別情報23とが記憶されているものとする。今、製品を加工しようとする工程で、作業者が特定されているときは、このような情報を一括して書き込む。さらに、工程カード13がカードリーダライタ11により読み取られたときは、図7を用いて説明したような要領で現在時刻情報35が取得され、これが作業開始時刻24として登録される。
【0037】
半製品識別情報27は、既に製品カード12から読み取られていた情報である。次に、その工程で様々な部品を取り付けたり、加工したりした場合には、部品識別情報26が順次追加される。別の半製品が組み込まれる場合もある。従って、部品識別情報26と半製品識別情報27とが任意の量だけ追加されることになる。これらも全て、部品カード14や図示していない半製品カードなどを用いて入力すれば入力作業が極めて容易になる。その後に例えば、再度、製品カード12をカードリーダライタ11に読み取らせる。製品カード12は、管理データを一括転送するべきカードというように予め指定しておく。こうすると、まず、その製品カードをカードリーダライタ11に読み取らせた時点で、現在時刻情報35が取得される。既に作業開始時刻が記録されているから、今取得された現在時刻情報は、作業終了時刻25と判断される。従って、作業終了時刻がここで追加される。
【0038】
この状態で製品カード12に対し、これらの管理データが一括して転送され、書き戻される。その製品カード12には、別の工程において、さらに管理データを追加するようにしてよい。この図の例では、製品の性能試験を行う工程に、この製品カード12が運び込まれる。ここで、試験情報28が追加される。このようにして製品カード12、あるいは、任意の管理カードに管理データを蓄積し、順次次の工程に送るので、管理カードによって製品管理のための様々な情報を蓄積し、所定のタイミングで管理用サーバにアップロードできる。
【0039】
図10は、管理カード10のハードウエアブロック図である。
例えば、この図に示すように、管理カード10は、バスライン110にCPU111、ROM112、RAM113、及び無線通信モジュール115を接続したものである。CPU111は、RAM113に対し管理データを書き込んだり、あるいは、書き込まれた管理データを読み出したりする制御を行う。ROM112には、その読み出し書き込み制御プログラムが格納されている。無線通信モジュール115は、カードリーダライタ11と通信を行って、該当する読み書きのための管理データを転送する機能を持つ。いずれの管理カードも同様の構成である。
【0040】
図11は、カード制御装置30のハードウエアブロック図である。
カード制御装置30の内部バス210には、CPU(中央処理装置)211と、ROM(リードオンリメモリ)212と、RAM(ランダムアクセスメモリ)213と、HDD(ハードディスク)214と、入出力インタフェース215と、USBインタフェース217とが接続されている。入出力インタフェース215には、ディスプレイ2とキーボード4とマウス5が接続されている。USBインタフェース217には、カードリーダライタ11が接続されている。これらのハードウエアは、既知のパーソナルコンピュータに備えられている。なお、この発明の説明に不要なキャッシュメモリ等の詳細なハードウエアの説明は省略する。図1に示した記憶装置40は、ROM212やRAM213やHDD214により構成される。図1に示した演算処理装置50は、CPU211、ROM212、RAM213等により構成される。各種の情報は主としてHDD214に記憶されて保存される。CPU211が実行するコンピュータプログラムは、ROM212に記憶され、あるいはRAM213に適時ロードされる。
【実施例8】
【0041】
図12は、管理データの読み取り動作例フローチャートである。
管理カードをカードリーダライタ11に近づけると、ステップS11で、新たな管理カードを検出する。ステップS12では、管理カードの読み取りをする。ステップS13で、管理データ読み取り手段51が管理データを取得する。そして、ステップS14で、その管理データを記憶装置40へ書き込む。こうして、管理カードに記録された管理データを、これまで蓄積された管理データに追加できる。その後、ステップS15で、その管理カードが一括書き込み用の管理カードかどうかの判断をする。例えば、一括転送制御手段53は、データ読み出しの対象となった管理カードが製品カードであるとき、一括書き込み用の管理カードと判断する。
【0042】
一括書き込み用の管理カードと判断されるとステップS16に進み、その他一般の管理カードの場合には、管理データの取得だけで処理を終了する。ステップS16では、記憶装置40に蓄積され記憶された管理データ41の読み出しをする。この処理は53が実行する。読み出した管理データはデータ監視手段55に渡される。データ監視手段55は、ステップS17で、管理データの過不足点検処理をする。ステップS18では、不足データを検出したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS19の処理に移行し、ノーのときはステップS20の処理に移行する。ステップS19では、警報出力をする。既に説明したように、例えば、カードリーダライタ11に設けられたLEDを点滅制御する。
【0043】
ステップS20で、管理データ書き込み手段52は、管理カードの記憶容量の点検処理をする。点検処理の結果、ステップS21で、記憶容量不足かどうかの判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS22の処理に移行し、ノーのときはステップS23の処理に移行する。ステップS22では、警報出力をする。この警報は、例えば、「次の工程では管理データの記憶容量が不足します。管理データをサーバにアップロードして下さい。」といった内容になる。各工程での管理データ量はほぼ一定で予測できるから、次の工程で管理データを記憶できるかどうかを判断するのが適する。従って、この警報が出た場合も出ない場合もステップS23で、管理データを管理カードに書き込む処理を実行するとよい。
【実施例9】
【0044】
図13は工程カードによる工程の作業時間管理を含む動作フローチャートである。
この実施例では、工程カードをカードリーダライタに読み込ませて、当該工程の作業時間を示す情報を管理データに含める処理を実行する。まず、ステップS31では、新たな管理カードを検出する。この管理カードは工程カードである。ステップS32では、管理カードの読み取りをする。ステップS33では、読み取った結果から管理データを取得する。ステップS34では、この管理データに工程識別情報が含まれていることを認識する。このときは、ステップS35で、現在時刻情報の取得をする。そして、自動的に、ステップS36で、現在時刻情報を処理開始時刻に設定する。この段階で、ステップS37で、現在時刻情報は書き込み済みかどうかという判断をする。
【0045】
工程カードは工程の作業開始時と作業終了時にカードリーダライタに読ませる。既に現在時刻情報が書き込み済みならば、作業終了時と判断する。この判断の結果がイエスのときはステップS38の処理に移行し、ノーのときはステップS39の処理に移行する。ステップS38では、現在時刻情報を処理終了時刻に変更する。ステップS39では、現在時刻情報を記憶装置へ書き込む。さらに、ステップS40で、管理データを記憶装置へ書き込む。工程での作業開始時にはここまでの処理で構わない。また、工程カードに常に管理データを書き戻すときはステップS41からステップS44の処理を実行する。また、工程終了時には、ステップS41からステップS44の処理を必ず実行する。ステップS41では、記憶装置に記憶された管理データを読み出す。ステップS42では、管理データの過不足点検処理をする。予め参照用のデータを準備しておき、そのデータと比較して、入力不足の項目を検出して表示するとよい。次にステップS43で、管理カードの記憶容量点検処理をする。その動作は図12の説明と変わらない。ステップS44では、管理データを管理カードに書き込み、全ての処理を終了する。これにらり、管理カードに工程の作業開始から終了までの時刻情報を含む管理データが記憶されて、次の工程に進められる。
【0046】
なお、上記の演算処理装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1の製品管理システムを示すブロック図。
【図2】製品の製造ラインの例を示す概略図。
【図3】カードリーダライタと管理カードを示す斜視図。
【図4】カード制御装置のインタフェースの説明図。
【図5】インタフェースの変形例を示す説明図。
【図6】各種管理カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図7】工程カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図8】部品カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図9】記憶装置に蓄積される管理データの内容説明図。
【図10】管理カードのハードウエアブロック図。
【図11】カード制御装置のハードウエアブロック図。
【図12】管理データの読み取り動作例フローチャート。
【図13】工程カードによる工程の動作フローチャート。
【符号の説明】
【0048】
11 カードリーダライタ、31 USBインタフェース、30 カード制御装置、40 記憶装置、50 演算処理装置、10 管理カード、20 管理データ、41 製品別、工程別に整理された管理データ、51 管理データ読み取り手段、52 管理データ書き込み手段、53 一括転送制御手段、54 現在時刻取得手段、55 データ監視手段、60 管理用サーバ、61 カードリーダライタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、製品の製造ライン中で、製造管理のための管理データを簡便に入力し管理するための、製品管理システムと製品管理プログラムと記録媒体と製品管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、プリンタ等の電子機器は、基板と機構部とケースとを別々に生産してから組み立てを行い、検査を経て製品になる。こうしたラインの各工程における部品管理や品質管理のために、管理データの入力処理の自動化やコンピュータ−ネットワークを利用したデータ管理システムが採用されている(特許文献1〜4参照)。
【特許文献1】特表平9−510312号公報
【特許文献2】特開2002−333912号公報
【特許文献3】特開2004−334891号公報
【特許文献4】特開2005−108051号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、従来の技術には、次のような解決すべき課題があった。
従来のシステムでは、各工程で、作業者を識別する情報や、組み立てに使用する部品コードや、その他各種の管理データを入力するために、バーコードリーダやICタグ読み取り装置を設置する。さらに、これらの装置を、ネットワークを介してサーバに接続する。こうした従来の生産管理システムは、規模の大きな生産ラインでは、ネットワーク管理が複雑になるという問題があった。また、サーバのデータ通信プログラムに対しても大きな負担がかかるという問題があった。本発明は以上の課題を解決するためになされたもので、管理データの入力操作を簡便にするとともに、ネットワークへの依存を可能な限り小さくした、製品管理システムと製品管理プログラムと記録媒体と製品管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の各実施例においては、それぞれ次のような構成により上記の課題を解決する。
〈構成1〉所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【0005】
所定の製品の製造ラインである製品について組み立てや加工が行われたとき、任意の管理カードから、その管理データが入力される。管理カードには、例えば、製品識別情報の管理、工程の管理、部品の管理のためのものがある。この管理データが記憶装置に蓄積されるとともに、それ以前に記憶装置に蓄積された管理データがその管理カードに書き込まれる。即ち、管理カードには、順次、その製品についての管理データが蓄積されるから、管理カードをサーバへのアップロード等に使用できる。また、各工程にサーバへデータを送信する端末装置等を配置する必要がなくなる。主要な各種管理データは管理カードで入力できるから、管理データを記録する処理を手作業無しで行うことができる。
【0006】
〈構成2〉所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した複数の管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶して蓄積する管理データ読み取り手段と、任意の管理カードが一括データ書き込み用として指定されたとき、上記記憶装置に記憶された管理データを当該管理カードに書き込む管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【0007】
任意の管理カードから無線により管理データが順次入力される。その管理データは記憶装置に順次蓄積記憶される。これらが、指定により特定の管理カードに一括書き込みされるから、その管理カードには全ての主要な管理データが記憶される。従って、様々な管理データをカードを利用して入力することができるとともに、いずれかの管理カードを管理データの記録媒体に指定して利用できる。
【0008】
〈構成3〉構成1又は2に記載の製品管理システムにおいて、上記カードリーダライタと上記記憶装置は、製造ラインで製造される製品の管理用サーバとは独立したコンピュータに接続されて制御され、上記記憶装置に記憶された管理データは、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存されることを特徴とする製品管理システム。
【0009】
管理データは全て管理カードに記憶されて、その後サーバ等にアップロードされる。記憶装置にバックアップ用として保存されていれば、管理カードに障害が発生したときに、復旧が可能である。これにより、管理カードを利用した簡便なデータ管理ができる。
【0010】
〈構成4〉構成1乃至3のいずれかに記載の製品管理システムにおいて、上記管理データ読み取り手段が、上記管理カードから工程識別情報を読み取って記憶装置に記憶させたとき、管理データ書き込み手段は、現在時刻情報を取得して、上記管理データに含めて記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理システム。
【0011】
例えば、製品を加工するある工程で作業開始時には、工程識別情報を記憶した管理カードをカードリーダライタに読み取らせる。このときは現在時刻が工程での処理開始時刻になる。一方、作業終了時に同様にして工程識別情報を記憶した管理カードをカードリーダライタに読み取らせると、このときは現在時刻が工程での処理終了時刻になる。これらのデータが工程の進捗管理等のために利用できる。
【0012】
〈構成5〉構成4に記載の製品管理システムにおいて、上記管理データ書き込み手段は、上記記憶装置に記憶された管理データを一括データ書き込み用の管理カードに書き込むとき、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、上記管理データに含めて上記記憶装置に記憶させ、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込むことを特徴とする製品管理システム。
【0013】
一括データ書き込み用の管理カードがカードリーダライタにセットされたとき、
記憶装置に記憶された管理データを管理カードに書き込む。その後そのカードは次工程に送られて次工程の管理データの入力に使用される。
【0014】
〈構成6〉コンピュータを、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、として機能させる製品管理プログラム。
【0015】
〈構成7〉コンピュータを、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、として機能させる製品管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【0016】
〈構成8〉カードリーダライタが、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、上記管理データを無線により読み取るステップと、管理データ読み取り手段が、上記カードリーダライタにより読み取った上記管理データを、記憶装置に記憶するステップと、管理データ書き込み手段が、上記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、上記管理カード以外の管理カードから上記カードリーダライタにより読み取ったものを、上記管理カードに書き込むステップ、とを含む製品管理方法。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明では、主要な各種管理データを管理カードで入力して、管理データを記録する処理を手作業無しで行うことができる。以下、本発明の実施の形態を実施例毎に詳細に説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は、実施例1の製品管理システムを示すブロック図である。
このシステムは、製造ラインの随所に配置される。カードリーダライタ11は、製造ライン中の各工程に配置されるとよい。カードリーダライタ11は、USB(Universal serial Bus)インタフェース31を介してカード制御装置30に接続されている。カード制御装置30のUSBインタフェース31には、複数の工程のカードリーダライタが接続されている。ここでは、1台のカードリーダライタ11のみを例示している。カード制御装置30は、記憶装置40と演算処理装置50とを備えるパーソナルコンピュータなどから構成される。カードリーダライタ11は、管理カード10からその管理カード10に記憶された管理データ20を無線により読み取り、さらに管理カード10に対して管理データ20を無線により書き込む機能を持つ。カードリーダライタ11は、鉄道の自動改札等に広く使用されているICカードの読み書き機能を備えるものであればよい。
【0019】
管理データ20は、製造ライン中で管理の対象になっている様々な情報である。カード制御装置30の記憶装置40には、この管理カード10から読み取られた管理データ20が一時保存される。一つの工程で様々な管理カードが使用される。これらの管理カードから各種の管理データを読み込んだとき、それらのデータはこの記憶装置に記憶され蓄積される。読み取られた管理データは、例えば、製品別、工程別に整理された管理データ41として記憶装置40に記憶される。演算処理装置50は、管理データ読み取り手段51、管理データ書き込み手段52、一括転送制御手段53、現在時刻取得手段54、データ監視手段55などを備えている。これらの手段はいずれも、カード制御装置30のコンピュータに所定の機能を実行させるコンピュータプログラムである。
【0020】
管理データ読み取り手段51は、カードリーダライタ11により管理カード10から読み取った管理データ20を記憶装置40に記憶させる機能を持つ。管理データ書き込み手段52は、記憶装置40に記憶された、例えば、製品別、工程別に整理された管理データ41を管理カード10に書き込む機能を持つ。この発明では、管理カード10から管理データ20を読み取ると、これを記憶装置40に記憶する。さらに、それまで記憶装置40に蓄積された管理データ41を管理カード10に書き戻す処理を行う。従って、管理カード10からカード制御装置30に管理データを入力すると、管理カード10には、ある製品の工程別の管理データ一切が書き戻されることになる。その製品が完成後には、管理カード10を管理用サーバ60のカードリーダライタ61にセットし、管理用サーバ60に対して全ての管理データをアップロードすることができる。即ち、この発明では、管理カード10を、管理ノートや管理用の伝票代わりに使用する。カード制御装置30は、管理カード10の管理データを読み書き制御するために使用され、必ずしもネットワークに接続する必要がない。従って、カード制御装置30は任意の数だけ任意の場所に配置し、各工程のカードリーダライタ11と接続すればよい。
【0021】
一括転送制御手段53は、所定のタイミングで、管理データ書き込み手段52に対して、記憶装置40に記憶された、製品別工程別の管理データ41を該当する管理カード10に転送する要求を出力する機能を持つ。管理カード10は、後で説明するように様々な機能を持ち、様々な情報を蓄積している。製品の管理データ全てを蓄積するカードは1枚でよい。従って、ある工程で、多数の管理カードを使用して情報の入力を行ったとき、特定の1枚の管理カードにだけ全ての管理データを書き戻せば足りる。その1枚の管理カードを他の管理カードと区別するために、管理カード中に管理データ一括転送指示用の識別情報を記憶させておくとよい。もちろん、管理者が直接指示を入力してもよい。
【0022】
一括転送制御手段53は、上記の指示を認識して、そのカードに、記憶装置40に蓄積された管理データ41を転送するよう、管理データ書き込み手段52に要求する。該当する管理カードは、管理データを簡便に入力するためのツールだけでなく、管理データを蓄積し記録するツールとして利用することができる。その他の管理カードは、管理データを簡便に入力するためのツールとしてのみ使用される。現在時刻取得手段54は、工程の時間管理のための現在時刻を取得し、管理データ20に含める機能を持つ。現在時刻情報は、コンピュータ内蔵の時計から取得すればよい。ある工程での処理を開始して最初に取得した現在時刻情報は、処理開始時刻として取り扱われる。また、その工程で、ある管理カードに、製品別工程別の管理データ41を一括書き込みするときは、現在時刻情報は、処理終了時刻データとして取り扱うとよい。
【0023】
データ監視手段55は、製品別工程別管理データであって最後に管理カードに書き込むべきデータについて、その内容に過不足があるかどうかを判断する機能を持つ。一般によく使われているデータ入力エラーチェックプログラムである。この工程で入力すべき情報が不足している場合には、例えば、カードリーダライタ11に設けられているLEDなどを点滅させて、警告を発するとよい。また、例えば、管理カード10に管理データを一括転送したとき、管理カード10の残り記憶領域が少ない場合、次の工程での管理データ書き込みに支障が生じる。このような場合に、記憶領域不足というメッセージを出力するようにしてもよい。記憶領域が足りなくなった場合には、管理カード10を管理用サーバ60のカードリーダライタ11にセットし、記憶している管理データをアップロードして管理カードの記憶領域をクリアすればよい。なお、製品別(工程別)に蓄積された管理データは、所定期間カード制御装置30の記憶装置に蓄積しておき、万一管理カードが破損したようなときに、管理データを復旧させるために使用するとよい。
【0024】
カードリーダライタ11は、所定の製品の製造ライン中に配置される。工程毎に配置されることが好ましい。複数の工程に共通に使用されるように配置しても構わない。管理カード10には、例えば、製品の管理、工程の管理、部品の管理のための情報が記憶されている。これらの管理データ20は、その製品のその工程における処理内容を含むとよい。いくつもの管理カード20から読み込まれたデータがそのつど順次管理データ20に含められていく。従って、管理データには、製品識別情報、工程識別情報、作業担当者識別情報、処理開始時刻と処理終了時刻、組み込んだ部品の識別情報、検査記録等を含むとよい。管理カード10は無線通信機能とデータの記憶機能を持ったものであって、その形状は任意である。後で説明する実施例では、管理カード10の種類を、製品カード、工程カード、部品カードと例示したが、その名称は任意である。カードリーダライタ11は、管理カード10に対して、データの読み取り処理とデータの書き込み処理ができる無線通信機能を備えたものであればよい。
【0025】
カード制御装置30に設けられた記憶装置40は、データを必要な期間一時的に記憶する機能を持てばよい。記憶装置40には、次々に読み込まれる管理データ20が蓄積される。管理カード10から管理データ20を読み取ったときは、記憶装置40にそれまでに蓄積された管理データ20をその管理カード10に書き込む。これにより、管理カード10に、全ての主要な管理データ20が記憶される。記憶装置40に記憶された管理データ20は、例えば、製品識別情報を基準に整理されて記憶される。製品識別情報は管理カード10から入力されてもよいし、他の入力手段により入力されてもよい。なお、記憶装置40にそれまでに蓄積された管理データ20は、上記のようにして、特定の管理カード10に書き込むだけでもよい。一括データ書き込み用の管理カードを指定する方法は任意である。例えば、製品識別情報が記録されている管理カード10を、一括データ書き込み用とする。しかし、管理カード10に該当する任意の指定情報を記録しておいてもよい。また、カード制御装置30のキーボ−ドのように、別の入出力装置からその旨の指定情報が入力するようにしても構わない。
【0026】
管理用サーバ60は、製造ラインで製造される製品の管理をする。管理用サーバ60は、必要な全ての管理データ20を収集して処理する。このシステムでは、管理データ20を記憶した管理カード10から、管理用サーバ60が管理データ20を取得する。管理データ20を取得するタイミングは任意である。製品完成後でも良いし、中間でもよい。しかし、それまでに管理カード10が確実に必要なデータを記憶していることが重要である。データの消失事故は少なくない。そこで、カード制御装置の記憶装置40に記憶された管理データ20は、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存される。例えば、管理用サーバ60に必要な管理データ全てがアップロードされたときに、バックアップデータが消去されるようにするとよい。定期的に消去されてもよい。管理データ20は、管理用サーバ60とは独立したカード制御装置30により保存され制御される。管理データ20の保存先は管理カード10であるから、カード制御装置30は管理カード10に対するデータの読み書き管理のみを行えば足りる。管理用サーバ60と多数のカード制御装置30との間のデータ通信も不要である。従って、システムも簡単になり、通信障害等の問題も起きない。サーバの負荷も非常に軽くなる。
【0027】
図2は、製品の製造ラインの例を示す概略図である。
図に示すように、製造ライン中の工程1A、1B、1Cでは、それぞれ作業者2A、2B、2Cが製品の組立作業を行っている。各工程には、それぞれカードリーダライタ11が配置されている。これらのカードリーダライタは、図に示すようにUSBインタフェース31に接続されている。このUSBインタフェース31を介してカードリーダライタ11で読み取られた管理データが、カード制御装置30に転送される。
【0028】
図3は、カードリーダライタと管理カードの外観斜視図である。
図のように、カードリーダライタ11は、USBケーブル17によってUSBインタフェースに接続される。このカードリーダライタ11の近くに管理カードを近づけることによって、管理データの読み出しや書き込みができる。この図には、管理カードの例として、製品カード12、工程カード13、部品カード14、及び、試験カード15を示した。これらのカードを次々にカードリーダライタ11に近づけることによって、これらのカードに記録された管理対象となる情報を簡単に管理データに含めて登録することができる。製品カード12は、例えば、製品を特定するための製品識別情報を記憶している。工程カード13は、例えば、工程を特定するための工程識別情報を記憶している。部品カード14は、組み立てる製品に使用される各部品毎に用意され、各部品の部品番号やその他の情報を記憶している。試験カード15は、製品について性能試験などを行う際の試験項目やその試験結果、即ち、合否判定の結果などを記憶している。
【実施例2】
【0029】
図4は、カード制御装置のインタフェースの説明図である。
カード制御装置30は、例えばこの図に示すように、6口のUSBインタフェース61を備えている。各口にそれぞれ別々の工程のカードリーダライタ11を接続することができる。良く知られているように、コンピュータはUSBインタフェースの各口をそれぞれ区別して認識し制御することができる。従って、カード制御装置30は、各カードリーダライタから入力する管理データを別個独立に読み取り、さらに必要な管理データを区別しながら書き込む制御を実行できる。従って、多数の工程を一台のカード制御装置30で管理することができる。
【実施例3】
【0030】
図5は、インタフェースの変形例説明図である。
カード制御装置30には、多数のUSBインタフェースを接続することができる。図の例では、3本の延長ケーブル71、72、73を介して、それぞれ6口のUSBインタフェース63、64、65を接続した。延長ケーブル71、72、73の両端にはUSBエクステンダーあるいはUSBハブが接続されている。例えば、1台のパーソナルコンピュータで複数のOS(オペレーティングシステム)を同時に起動することもできる。ひとつのOSで6口のUSBインタフェースを制御できるとき、3つのOSを起動して、1台のコンピュータで18口のUSBインタフェースの制御が可能になる。こうした構成により、ライン毎に必要なコンピュータの台数を十分に少なくして、設備コストを低減できる。
【実施例4】
【0031】
図6は、上記のような各種管理カードをカードリーダライタに読み込ませた場合の動作説明図である。
まず、製品カード12には、製品識別情報21が記憶されている。製品組立の最初の工程で作業を開始する場合には、この製品カード12をカードリーダライタ11に読み込ませる。製品識別情報21が管理データ読み取り手段51により読み取られて記憶装置40に記憶される。これは、記憶装置40の管理データ41に含められる。なお、最初の製品製造開始時には、蓄積された管理データ41は存在しないでもよい。ここでは前工程の部品情報等が蓄積されていたと仮定して図示をしている。管理データ41は、製品識別情報21が書き加えられて更新される。これを管理データ書き込み手段52が読み取り、カードリーダライタ11を通じて製品カード12に書き込む。こうして製品カード12には、その製品に関する全ての管理データ41が書き込まれる。このように、管理カード41の読み取りのつど、全ての管理データを管理カードに書き戻してもよいし、いずれかの管理カードにのみ一括して管理データを書き戻すようにしてもよい。
【実施例5】
【0032】
図7は、工程カードを読み取らせた場合の動作説明図である。
工程カード13には工程識別情報22が記憶されている。ある製品について、その製品がある工程で加工されようとするとき、この工程カード13をカードリーダライタ11に読み取らせる。管理データ読み取り手段51は、工程識別情報22を読み取って記憶装置40に記憶させる。この工程識別情報22は、管理データ41に含められる。管理データ41は、管理データ書き込み手段52によって記憶装置40から読み取られ、カードリーダライタ11を通じて工程カード13に書き込まれる。なお、工程識別情報22を読み取ったときに、現在時刻取得手段54が動作して、現在時刻情報35を取得する。これを管理データ41に含める。工程カード13が最初に読み取られた場合には、現在時刻情報35は、工程開始時刻として管理データ41に含められる。なお、図6のように製品カード12をカードリーダライタ11に読み取らせた後に、工程カード13を同じカードリーダライタ11に読み取らせると、カード制御装置30の側では、同じカードリーダライタ11から連続して管理データが読み取られたと認識できる。同じカードリーダライタ11から連続して読み取られたデータは、共通の管理データに含めるように制御する。また、別の製品カードがカードリーダライタ11に読み取られたときは、管理対象が切り替わったものとして、制御するとよい。カードリーダライタ11の配置を変更しない限り、工程は同一であり、工程カード13は変わらない。このようにして、製品別工程別の管理データが個別に蓄積される。
【実施例6】
【0033】
図8は、部品カード14をカード制御装置に読み取らせた場合の動作説明図である。
部品カード14には、部品を識別する部品識別情報26が記憶されている。管理データ読み取り手段51は、この部品識別情報26を読み取って、記憶装置40に記憶させる。部品識別情報26は、これまで蓄積された管理データ41に含められる。管理データ書き込み手段52は、その管理データ41を部品カード14に書き込むよう動作する。これで、書き戻し処理で済む。この動作は図6で説明したものと同様である。図8の処理は、同一の工程で多数の部品が製品に組み込まれるときは繰り返し実行される。上記の図6、図7、図8の制御によれば、各カード12、13、14は、そのまま次の工程に持っていって必要な情報全てを伝達できる。
【0034】
作業時間管理のためには、工程毎に、その処理開始時刻や処理終了時刻を記録することが好ましい。この例では、工程識別情報22を工程カード13から読み取って記憶装置40に記憶させたとき、現在時刻情報35を取得した。最初に取得した現在時刻データを処理開始時刻データとし、最後に取得した現在時刻データを処理終了時刻データとして、記憶装置40中の管理データ41に含めて記憶させるとよい。
【0035】
一括書き込み制御をするときは、一括データ書き込み用の管理カードは、工程の作業終了時にカードリーダライタにセットされる。次工程に進む前に、現工程の管理データ全部を管理カードに保存する。このときに、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、管理データに含めて記憶装置に記憶させる。カード制御装置の記憶装置に記憶させるのはデータのバックアップのためである。さらに、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込む。処理開始時刻データは既に書き込まれている。こうして、処理開始時刻データと処理終了時刻データを書き込んで、工程の進捗管理等に利用する。
【実施例7】
【0036】
図9は、カード制御装置の記憶装置に蓄積される管理データの内容説明図である。
カード制御装置側には、この図に示すように、まず始めに製品カード12から例えば、製品識別情報21と半製品識別情報27が取得される。直前に何らかの半製品製造工程を経てある工程に製品が送り込まれたとき、このような内容で管理データが取得される。なお、半製品に関する詳細な管理データは、既に管理用サーバに転送され、製品カード12には、半製品識別情報27のみを記憶しているものとする。続いて工程カード13が読み取られる。この工程カード13には、例えば、工程識別情報22と作業者識別情報23とが記憶されているものとする。今、製品を加工しようとする工程で、作業者が特定されているときは、このような情報を一括して書き込む。さらに、工程カード13がカードリーダライタ11により読み取られたときは、図7を用いて説明したような要領で現在時刻情報35が取得され、これが作業開始時刻24として登録される。
【0037】
半製品識別情報27は、既に製品カード12から読み取られていた情報である。次に、その工程で様々な部品を取り付けたり、加工したりした場合には、部品識別情報26が順次追加される。別の半製品が組み込まれる場合もある。従って、部品識別情報26と半製品識別情報27とが任意の量だけ追加されることになる。これらも全て、部品カード14や図示していない半製品カードなどを用いて入力すれば入力作業が極めて容易になる。その後に例えば、再度、製品カード12をカードリーダライタ11に読み取らせる。製品カード12は、管理データを一括転送するべきカードというように予め指定しておく。こうすると、まず、その製品カードをカードリーダライタ11に読み取らせた時点で、現在時刻情報35が取得される。既に作業開始時刻が記録されているから、今取得された現在時刻情報は、作業終了時刻25と判断される。従って、作業終了時刻がここで追加される。
【0038】
この状態で製品カード12に対し、これらの管理データが一括して転送され、書き戻される。その製品カード12には、別の工程において、さらに管理データを追加するようにしてよい。この図の例では、製品の性能試験を行う工程に、この製品カード12が運び込まれる。ここで、試験情報28が追加される。このようにして製品カード12、あるいは、任意の管理カードに管理データを蓄積し、順次次の工程に送るので、管理カードによって製品管理のための様々な情報を蓄積し、所定のタイミングで管理用サーバにアップロードできる。
【0039】
図10は、管理カード10のハードウエアブロック図である。
例えば、この図に示すように、管理カード10は、バスライン110にCPU111、ROM112、RAM113、及び無線通信モジュール115を接続したものである。CPU111は、RAM113に対し管理データを書き込んだり、あるいは、書き込まれた管理データを読み出したりする制御を行う。ROM112には、その読み出し書き込み制御プログラムが格納されている。無線通信モジュール115は、カードリーダライタ11と通信を行って、該当する読み書きのための管理データを転送する機能を持つ。いずれの管理カードも同様の構成である。
【0040】
図11は、カード制御装置30のハードウエアブロック図である。
カード制御装置30の内部バス210には、CPU(中央処理装置)211と、ROM(リードオンリメモリ)212と、RAM(ランダムアクセスメモリ)213と、HDD(ハードディスク)214と、入出力インタフェース215と、USBインタフェース217とが接続されている。入出力インタフェース215には、ディスプレイ2とキーボード4とマウス5が接続されている。USBインタフェース217には、カードリーダライタ11が接続されている。これらのハードウエアは、既知のパーソナルコンピュータに備えられている。なお、この発明の説明に不要なキャッシュメモリ等の詳細なハードウエアの説明は省略する。図1に示した記憶装置40は、ROM212やRAM213やHDD214により構成される。図1に示した演算処理装置50は、CPU211、ROM212、RAM213等により構成される。各種の情報は主としてHDD214に記憶されて保存される。CPU211が実行するコンピュータプログラムは、ROM212に記憶され、あるいはRAM213に適時ロードされる。
【実施例8】
【0041】
図12は、管理データの読み取り動作例フローチャートである。
管理カードをカードリーダライタ11に近づけると、ステップS11で、新たな管理カードを検出する。ステップS12では、管理カードの読み取りをする。ステップS13で、管理データ読み取り手段51が管理データを取得する。そして、ステップS14で、その管理データを記憶装置40へ書き込む。こうして、管理カードに記録された管理データを、これまで蓄積された管理データに追加できる。その後、ステップS15で、その管理カードが一括書き込み用の管理カードかどうかの判断をする。例えば、一括転送制御手段53は、データ読み出しの対象となった管理カードが製品カードであるとき、一括書き込み用の管理カードと判断する。
【0042】
一括書き込み用の管理カードと判断されるとステップS16に進み、その他一般の管理カードの場合には、管理データの取得だけで処理を終了する。ステップS16では、記憶装置40に蓄積され記憶された管理データ41の読み出しをする。この処理は53が実行する。読み出した管理データはデータ監視手段55に渡される。データ監視手段55は、ステップS17で、管理データの過不足点検処理をする。ステップS18では、不足データを検出したかどうかという判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS19の処理に移行し、ノーのときはステップS20の処理に移行する。ステップS19では、警報出力をする。既に説明したように、例えば、カードリーダライタ11に設けられたLEDを点滅制御する。
【0043】
ステップS20で、管理データ書き込み手段52は、管理カードの記憶容量の点検処理をする。点検処理の結果、ステップS21で、記憶容量不足かどうかの判断をする。この判断の結果がイエスのときはステップS22の処理に移行し、ノーのときはステップS23の処理に移行する。ステップS22では、警報出力をする。この警報は、例えば、「次の工程では管理データの記憶容量が不足します。管理データをサーバにアップロードして下さい。」といった内容になる。各工程での管理データ量はほぼ一定で予測できるから、次の工程で管理データを記憶できるかどうかを判断するのが適する。従って、この警報が出た場合も出ない場合もステップS23で、管理データを管理カードに書き込む処理を実行するとよい。
【実施例9】
【0044】
図13は工程カードによる工程の作業時間管理を含む動作フローチャートである。
この実施例では、工程カードをカードリーダライタに読み込ませて、当該工程の作業時間を示す情報を管理データに含める処理を実行する。まず、ステップS31では、新たな管理カードを検出する。この管理カードは工程カードである。ステップS32では、管理カードの読み取りをする。ステップS33では、読み取った結果から管理データを取得する。ステップS34では、この管理データに工程識別情報が含まれていることを認識する。このときは、ステップS35で、現在時刻情報の取得をする。そして、自動的に、ステップS36で、現在時刻情報を処理開始時刻に設定する。この段階で、ステップS37で、現在時刻情報は書き込み済みかどうかという判断をする。
【0045】
工程カードは工程の作業開始時と作業終了時にカードリーダライタに読ませる。既に現在時刻情報が書き込み済みならば、作業終了時と判断する。この判断の結果がイエスのときはステップS38の処理に移行し、ノーのときはステップS39の処理に移行する。ステップS38では、現在時刻情報を処理終了時刻に変更する。ステップS39では、現在時刻情報を記憶装置へ書き込む。さらに、ステップS40で、管理データを記憶装置へ書き込む。工程での作業開始時にはここまでの処理で構わない。また、工程カードに常に管理データを書き戻すときはステップS41からステップS44の処理を実行する。また、工程終了時には、ステップS41からステップS44の処理を必ず実行する。ステップS41では、記憶装置に記憶された管理データを読み出す。ステップS42では、管理データの過不足点検処理をする。予め参照用のデータを準備しておき、そのデータと比較して、入力不足の項目を検出して表示するとよい。次にステップS43で、管理カードの記憶容量点検処理をする。その動作は図12の説明と変わらない。ステップS44では、管理データを管理カードに書き込み、全ての処理を終了する。これにらり、管理カードに工程の作業開始から終了までの時刻情報を含む管理データが記憶されて、次の工程に進められる。
【0046】
なお、上記の演算処理装置で実行されるコンピュータプログラムは、機能ブロックで図示した単位でモジュール化されてもよいし、複数の機能ブロックを組み合わせて一体化されてもよい。また、上記のコンピュータプログラムは、既存のアプリケーションプログラムに組み込んで使用してもよい。本発明を実現するためのコンピュータプログラムは、例えばCD−ROMのようなコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、任意の情報処理装置にインストールして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】実施例1の製品管理システムを示すブロック図。
【図2】製品の製造ラインの例を示す概略図。
【図3】カードリーダライタと管理カードを示す斜視図。
【図4】カード制御装置のインタフェースの説明図。
【図5】インタフェースの変形例を示す説明図。
【図6】各種管理カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図7】工程カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図8】部品カードを読み取らせた場合の動作説明図。
【図9】記憶装置に蓄積される管理データの内容説明図。
【図10】管理カードのハードウエアブロック図。
【図11】カード制御装置のハードウエアブロック図。
【図12】管理データの読み取り動作例フローチャート。
【図13】工程カードによる工程の動作フローチャート。
【符号の説明】
【0048】
11 カードリーダライタ、31 USBインタフェース、30 カード制御装置、40 記憶装置、50 演算処理装置、10 管理カード、20 管理データ、41 製品別、工程別に整理された管理データ、51 管理データ読み取り手段、52 管理データ書き込み手段、53 一括転送制御手段、54 現在時刻取得手段、55 データ監視手段、60 管理用サーバ、61 カードリーダライタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【請求項2】
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した複数の管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶して蓄積する管理データ読み取り手段と、
任意の管理カードが一括データ書き込み用として指定されたとき、前記記憶装置に記憶された管理データを当該管理カードに書き込む管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品管理システムにおいて、
前記カードリーダライタと前記記憶装置は、製造ラインで製造される製品の管理用サーバとは独立したコンピュータに接続されて制御され、
前記記憶装置に記憶された管理データは、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存されることを特徴とする製品管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の製品管理システムにおいて、
前記管理データ読み取り手段が、前記管理カードから工程識別情報を読み取って記憶装置に記憶させたとき、管理データ書き込み手段は、現在時刻情報を取得して、前記管理データに含めて記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の製品管理システムにおいて、
前記管理データ書き込み手段は、前記記憶装置に記憶された管理データを一括データ書き込み用の管理カードに書き込むとき、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、前記管理データに含めて前記記憶装置に記憶させ、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込むことを特徴とする製品管理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、
として機能させる製品管理プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、
として機能させる製品管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
カードリーダライタが、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るステップと、
管理データ読み取り手段が、前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶するステップと、
管理データ書き込み手段が、前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込むステップ、
とを含む製品管理方法。
【請求項1】
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【請求項2】
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した複数の管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶して蓄積する管理データ読み取り手段と、
任意の管理カードが一括データ書き込み用として指定されたとき、前記記憶装置に記憶された管理データを当該管理カードに書き込む管理データ書き込み手段とを備えたことを特徴とする製品管理システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の製品管理システムにおいて、
前記カードリーダライタと前記記憶装置は、製造ラインで製造される製品の管理用サーバとは独立したコンピュータに接続されて制御され、
前記記憶装置に記憶された管理データは、バックアップ用として、予め定められた期間以上保存されることを特徴とする製品管理システム。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれかに記載の製品管理システムにおいて、
前記管理データ読み取り手段が、前記管理カードから工程識別情報を読み取って記憶装置に記憶させたとき、管理データ書き込み手段は、現在時刻情報を取得して、前記管理データに含めて記憶装置に記憶させることを特徴とする製品管理システム。
【請求項5】
請求項4に記載の製品管理システムにおいて、
前記管理データ書き込み手段は、前記記憶装置に記憶された管理データを一括データ書き込み用の管理カードに書き込むとき、現在時刻情報を取得して、処理終了時刻データを生成して、前記管理データに含めて前記記憶装置に記憶させ、当該処理終了時刻データを含む管理データを管理カードに書き込むことを特徴とする製品管理システム。
【請求項6】
コンピュータを、
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、
として機能させる製品管理プログラム。
【請求項7】
コンピュータを、
所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るカードリーダライタと、
前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶する管理データ読み取り手段と、
前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込む、管理データ書き込み手段、
として機能させる製品管理プログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。
【請求項8】
カードリーダライタが、所定の製品の製造ライン中に配置されたものであって、管理対象を特定するための情報を含む管理データを記憶した管理カードから、前記管理データを無線により読み取るステップと、
管理データ読み取り手段が、前記カードリーダライタにより読み取った前記管理データを、記憶装置に記憶するステップと、
管理データ書き込み手段が、前記記憶装置に記憶され蓄積された管理データであって、前記管理カード以外の管理カードから前記カードリーダライタにより読み取ったものを、前記管理カードに書き込むステップ、
とを含む製品管理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2007−72935(P2007−72935A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−261720(P2005−261720)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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