説明

製版方法、版胴、印刷方法、基板、製版装置、および、印刷装置

【課題】版胴に形成された凹部から印刷対象物上に転写された塗布液のプロファイルをコントロールできる技術を提供する。
【解決手段】グラビア印刷に用いられる版胴1を製造する製版装置2においては、まず、円周側面に被削層12が形成された版胴材10を準備する。続いて、被削層12に回転する工具31を当接させて被削層12を切削あるいは研削して、被削層12に、非平坦な底面132と底面132の周縁に連なる側壁131とを備える凹部13を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラビア印刷に用いられる版胴に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から知られている印刷手法の一つにグラビア印刷がある。グラビア印刷は、例えば円筒形状の版胴の円周側面に形成された凹状のセルに貯留されたインク等の塗布液を、印刷用紙等の印刷対象物に転写する印刷手法である。グラビア印刷は、画像の再現性が高く、凹部の深さに応じて厚みのある塗布膜の形成も容易であるという利点があり、近年においてはグラビア印刷法を用いて基板に回路パターンを印刷塗布する手法も提案されている。
【0003】
グラビア印刷に用いられる版胴を製造する技術として、例えば特許文献1には、円筒状の支持体に、有機珪素化合物、あるいは、有機フッ素加工物等の添加剤を含有する感光性樹脂硬化物層を形成し、当該感光性樹脂硬化物層にレーザ彫刻によりセルを形成する技術が開示されている。
【0004】
また例えば特許文献2には、ゴムあるいは樹脂からなるクッション層にネガ型感光性組成物層を積層して形成し、当該ネガ型感光性組成物層に対して露光、現像、エッチングの一連の工程を施すことによって、セルを形成する技術が開示されている。これと類似する技術として、例えば特許文献3には、銅メッキ層にネガ型感光性組成物層を積層して形成し、当該ネガ型感光性組成物層に対して露光、現像、エッチングの一連の工程を施すことによって、セルを形成する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許4475505号公報
【特許文献2】特開2009−93171号公報
【特許文献3】特開2009−90661号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したとおり、グラビア印刷においては、版胴に形成された凹部に貯留されたインク等の塗布液が印刷対象物に転写される。ここで、1個の凹部から印刷対象物に転写される塗布液の断面形状(プロファイル)は、凹部の断面形状と一致しないことが多い。その原因は様々である。例えば、印刷対象物上で塗布液が流れてしまうと、塗布液のプロファイルは、角がだれた形状となってしまう。また例えば、凹部の隅に塗布液の一部が残ってしまうと、塗布液のプロファイルは、角が欠落した形状となってしまう。このように、塗布液のプロファイルが、角がだれた(あるいは、角が欠落した)形状となってしまうと、印刷対象物上で塗布液の膜厚が不均一となり、濃度ムラ、鮮明度の低下等の原因となってしまう。特に、フラットパネルディスプレイの発光体や電極を印刷する場合等においては、塗布液の膜厚の高い均一性が要求されるところ、このような場合に実用に足る印刷品質が得られない可能性がある。
【0007】
このように、版胴に形成された凹部から印刷対象物に転写された塗布液のプロファイルが、凹部の断面形状とは異なる形状となってしまうことによって、求められる印刷性能が確実に担保されないおそれがあった。
【0008】
この発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、版胴に形成された凹部から印刷対象物上に転写された塗布液のプロファイルをコントロールできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版方法であって、a)円周側面に被削層が形成された版胴材を準備する工程と、b)前記被削層に回転する工具を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に、非平坦な底面と前記底面の周縁に連なる側壁とを備える凹部を形成する工程と、を備える。
【0010】
第2の態様は、第1の態様に係る製版方法であって、前記側壁が前記被削層の表面に対して垂直である。
【0011】
第3の態様は、第1または第2の態様に係る製版方法であって、前記底面が、周縁が中央部よりも深い位置にある表面形状である。
【0012】
第4の態様は、第3の態様に係る製版方法であって、前記底面が、中央部から周縁に向かって深さ方向に傾斜し、周縁に向かうにつれて傾斜角度が大きくなるように傾斜角度が変化する表面形状である。
【0013】
第5の態様は、第3の態様に係る製版方法であって、前記底面が、平坦な面領域と、前記平坦な面領域を取り囲み前記底面の周縁に向かって深さ方向に一定角度で傾斜する傾斜面領域と、を備える。
【0014】
第6の態様は、第3の態様に係る製版方法であって、前記底面が、平坦な第1面領域と、前記第1面領域を取り囲み前記第1面領域よりも深い位置にある平坦な第2面領域と、を備える。
【0015】
第7の態様は、第1から第6のいずれかの態様に係る製版方法であって、c)前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する工程、をさらに備える。
【0016】
第8の態様は、第7の態様に係る製版方法であって、前記被覆層を、プラズマイオン注入法により形成する。
【0017】
第9の態様は、第1から第8のいずれかの態様に係る製版方法であって、前記工具の刃先の回転軌跡の最大直径が、100μm以下である。
【0018】
第10の態様は、第1から第9のいずれかの態様に係る製版方法であって、前記被削層が樹脂により形成される。
【0019】
第11の態様は、第1から第10のいずれかの態様に係る製版方法であって、前記被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であり、前記被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有し、前記被削層の円周側面の円筒度が50μm以下である。
【0020】
第12の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴であって、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、を備え、前記凹部が、非平坦な底面と、前記底面の周縁に連なる側壁と、を備える。
【0021】
第13の態様は、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷方法であって、a)円周側面に凹部が形成された版胴の前記円周側面に塗布液を供給する工程と、b)前記版胴の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る工程と、c)前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる工程と、を備え、前記版胴が、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、を備え、前記凹部が、非平坦な底面と、前記底面の周縁に連なる側壁と、を備える。
【0022】
第14の態様は、第13の態様に係る印刷方法であって、前記印刷対象物が基板であり、前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、前記凹部に前記回路パターンを表現したセルが含まれる。
【0023】
第15の態様は、第14の態様に係る印刷方法により、前記回路パターンが形成された基板である。
【0024】
第16の態様は、グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版装置であって、円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層を切削あるいは研削する工具と、前記工具を回転させつつ前記工具の刃先を前記被削層に当接させて前記被削層を切削あるいは研削させて、前記被削層に、非平坦な底面と前記底面の周縁に連なる側壁とを備える凹部を形成させる切削制御部と、を備える。
【0025】
第17の態様は、グラビア印刷法により印刷対象物に対する印刷を行う印刷装置であって、円周側面に凹部が形成された版胴と、前記版胴の円周側面に塗布液を供給する塗布液供給部と、前記版胴の円周側面に当接して前記円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取るドクターブレードと、前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる駆動手段と、を備え、前記版胴が、円周側面に被削層が形成された版胴材と、前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、を備え、前記凹部が、非平坦な底面と、前記底面の周縁に連なる側壁と、を備える。
【発明の効果】
【0026】
第1〜第17の態様によると、版胴に形成される凹部が、非平坦な底面と側壁とを備える形状とされる。この構成によると、凹部に比較的深い部分と比較的浅い部分とが形成され、各部分に貯留される塗布液の量が不均一となる。これによって、凹部から印刷対象物に転写された塗布液のプロファイルをコントロールできる。
【0027】
特に、第3の態様によると、版胴に形成される凹部の底面が、周縁が中央部よりも深い位置にある表面形状とされる。この構成によると、当該周縁付近に中央部付近よりも多量の塗布液を貯留することができる。
【0028】
特に、第7の態様によると、凹部の上から被削層を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層が形成される。この構成によると、良好な印刷性能を担保できる版胴を簡易に形成できる。
【0029】
特に、第8の態様によると、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層をプラズマイオン注入法により形成するので、凹部が形成された非平坦な被削層の表面に対して簡易に均一な膜厚の被覆層を形成することができ、各凹部の内部にも隈無く均一な被覆層を形成することができる。
【0030】
特に、第9の態様によると、被削層に微細な凹部を形成することができる。
【0031】
特に、第10の態様によると、被削層が樹脂で形成されるので、切削あるいは研削による加工が容易となる。
【0032】
特に、第11の態様によると、被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であるので、実用に足る十分な深さの凹部を形成することが可能である。また、被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有するとともに、被削層の円周側面の円筒度が50μm以下であるので、良好な印刷性能を担保できる。
【0033】
特に、第14、第15の態様によると、各凹部から基板に転写された材料溶液の基板上でのプロファイルを適切にコントロールすることができる。したがって、基板上に適切な回路パターンを形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】版胴の構成例を模式的に示す断面図である。
【図2】第1の態様に係る底面を備える凹部の断面形状を模式的に示す図である。
【図3】凹部の底面の表面形状を説明するための図である。
【図4】凹部の底面の表面形状を説明するための図である。
【図5】第2の態様に係る底面を備える凹部の断面形状を模式的に示す図である。
【図6】第3の態様に係る底面を備える凹部の断面形状を模式的に示す図である。
【図7】図5、図6に示される各凹部の平面形状を模式的に示す図である。
【図8】製版装置が備える各機能部を説明するための図である。
【図9】凹部形成部の構成を模式的に示す図である。
【図10】制御部のハードウエア構成を示すブロック図である。
【図11】版胴を製造する処理の流れを示す図である。
【図12】パターン形成装置の構成を示す図である。
【図13】変形例に係る底面を備える凹部の断面形状を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0036】
<1.印刷版>
版胴1について、図1を参照しながら説明する。図1は、版胴1の構成例を模式的に示す断面図である。
【0037】
版胴1は、グラビア印刷の印刷版として用いられる部材であって、長尺円筒状の外形を有する。版胴1は、芯部11と、被削層12と、無数の凹部13と、被覆層14とを備える。
【0038】
芯部11は、中空の軸部を備える長尺円筒状の部材であり、例えば、鉄等の金属、樹脂、セラミック等により形成される。
【0039】
被削層12は、芯部11の円周側面の全域に形成された層であり、その厚みは、少なくとも後述する凹部13の深さよりも厚いものとされる。例えば、被削層12を、30μm(マイクロメートル)以上かつ100μm以下の厚みに形成しておけば、実用に足る十分な深さのセルを形成することが可能である。
【0040】
また、被削層12は、その表面ができるだけ平滑に形成されることが好ましく、表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有する滑らかな面となっていることが特に好ましい。さらに、被削層12の円周側面は、できるだけ真円筒に近い形状となっていることが好ましく、円筒度が50μm以下に形成されることが特に好ましい。
【0041】
また、被削層12には切削あるいは研削により無数の凹部13が形成されることになるため、被削層12は快削性に優れた材料(例えば、樹脂、金属等)で形成されることが好ましい。特に、版胴1が、比較的硬い印刷対象物(例えば基板)に対する印刷に用いられる場合、被削層12は、快削性だけでなく柔軟性にも優れた材料で形成されることが好ましい。この場合の被削層12の形成材料としては、例えば、樹脂が好適であり、シリコンゴム、エンジニアリングプラスチック、エポキシ樹脂等が特に好適な材料として挙げられる。樹脂により形成される被削層12の場合、その厚みを分厚くすることによって版胴1の弾力性を高めることも可能である。
【0042】
凹部13は、グラビア印刷において塗布液を溜めるための構成であり、後に明らかになるように、被削層12の円周側面に回転する工具31の刃先が当接されて被削層12が切削あるいは研削されることによって形成される。凹部13には、印刷対象物に転写するべき線画等を表現した無数のセル130が含まれる。また、凹部13にはセル130以外の例えば溝などが含まれてもよい。各セル130の形成位置は印刷対象物に転写するべき線画の形状に応じて規定されており、各セル130の容積(例えばセル130の平面視サイズ(被削層12の法線方向に沿って見た平面視におけるサイズ)、セル130の深さ等)は印刷対象物に転写するべき線画の濃度(トーン値)に応じて規定されている。なお、各セル130の最大サイズは、セル130間の配置ピッチよりも微少量だけ小さいものとされる。このように規定しておけば、最大サイズのセル130間同士が一体化せず、これらの間に仕切りとなる土手が形成される。このような土手が形成されていると、印刷時に、ドクターブレード(後述する)がこの土手に当接し、セル130内にはまり込まないように位置規制される。
【0043】
被覆層14は、被削層12に形成された凹部13の上から被削層12の全域を覆うように形成された被覆であり、ダイヤモンドライクカーボン(DiamondLike Carbon:DLC)により形成される。被覆層14の膜厚は、例えば約1μm〜3μmとされることが好ましい。ダイヤモンドライクカーボンは、ダイヤモンド結合とグラファイト結合とが混在した緻密な非晶質(アモルファス)構造を有するため、耐膨潤性、耐溶剤性、耐摩耗性、表面平滑性が高く表面摩擦抵抗が小さい、耐薬品性、耐熱性、硬質性、耐腐食性、化学物質に対する不活性、等の優れた特徴を有している。
【0044】
<2.凹部13の形状>
次に、版胴1に形成される各凹部13の形状について、図2を参照しながら説明する。図2は、版胴1に形成される各凹部13を拡大して示す断面図である。
【0045】
凹部13は、側壁131と底面132とを備える。
【0046】
側壁131は、被削層12の表面に対して垂直に形成され、凹部13の深さ方向の端部において底面132の周縁に連なっている。
【0047】
底面132は、その周縁において側壁131と連なる非平坦な面である。版胴1は、各凹部13の底面132の表面形状によって、各凹部13から印刷対象物に転写される塗布液の断面形状(プロファイル)をコントロールしている。すなわち、各凹部13の底面132の表面形状は、当該凹部13から印刷対象物に転写される塗布液のプロファイルが、理想とされる形状(あるいは、これに近い形状)になるような非平坦形状とされている。底面132の表面形状について、図3、図4を参照しながら具体的に説明する。
【0048】
底面132の表面形状は、目標プロファイルK0と基準プロファイルK1とに応じて規定される。ここで、「目標プロファイルK0」とは、凹部13から印刷対象物に転写された塗布液の理想的なプロファイルを規定する形状であり、印刷目的等に応じて規定される。この実施の形態においては、印刷対象物(例えば基板W)上に塗布液が均一な膜厚で転写されることが要求されるとし、図3に示されるように、厚みが変化しない矩形状のプロファイルが目標プロファイルK0とされる。一方、「基準プロファイルK1」とは、底面が平坦な凹部(以下「基準凹部」という)80から印刷対象物に転写される塗布液のプロファイルを規定する形状であり、印刷条件等に応じて規定される。この実施の形態においては、基準プロファイルK1は、図3に示されるように、周縁部の膜厚が中央部よりも薄くなる形状であるとする。例えば、塗布液の粘性が比較的低いと、印刷対象物上で塗布液が流れて周縁部の膜厚が中央部よりも薄くなる。また、基準凹部80の隅に塗布液の一部が残ってしまう場合に、印刷対象物上の塗布液は、角が欠落した形状となる。つまり、このような各場合において、基準プロファイルK1は、図3に示されるような、周縁部の膜厚が中央部よりも薄い形状となる。
【0049】
いま、基準プロファイルK1の上端縁を目標プロファイルK0の上端縁に対して反転させた形状を「反転形状」とする。底面132の表面形状は、その断面形状が、凹部13の開口を印刷対象物に向けた状態において、この反転形状と傾向が一致するような形状とされる。いま、目標プロファイルK0は厚みが変化しない形状であり、基準プロファイルK1は周縁部の膜厚が中央部よりも薄くなる形状である。したがって、この場合、底面132は、図4に示されるように、周縁が中央部よりも深い位置となるような表面形状とされる。
【0050】
上述したように、印刷対象物上で塗布液が流れやすい、あるいは、凹部の隅に塗布液の一部が残りやすい、といった印刷条件の場合、凹部13の底面132を、周縁が中央部よりも深い位置にあるような非平坦形状としておけば、凹部13の周縁付近に中央付近よりも多量の塗布液を貯留できるため、印刷対象物上で塗布液が流れることによって、あるいは、凹部13の隅に塗布液の一部が残ることによって、塗布液のプロファイルが目標プロファイルK0に近い形状となる。
【0051】
周縁が中央部よりも深い位置にある表面形状を備える底面132の具体例を、以下に3つ説明する。版胴1に形成される凹部13の底面132としては、以下に説明するどの態様が採用されてもよい。
【0052】
<第1の態様>
第1の態様に係る底面132(底面132a)は、図2に示されるように、底面132aの中央部(好ましくは、底面132aの平面視形状(被削層12の法線方向に沿って見た平面視形状)における幾何学中心)から底面132aの周縁に向かって凹部13の深さ方向に傾斜し、周縁に向かうにつれて傾斜角度が大きくなるように連続的に傾斜角度が変化するなだらかな傾斜面51を備える形状とされる。
【0053】
第1の態様に係る底面132aは、その断面形状が、基準プロファイルK1の上端縁を目標プロファイルK0の上端縁に対して反転させた反転形状と非常に近い形状となっている。したがって、このような底面132aを備える凹部13から印刷対象物に転写される塗布液のプロファイルは、目標プロファイルK0と良好に一致した形状となる。
【0054】
<第2の態様>
第2の態様に係る底面132(底面132b)は、図5に示されるように、底面132bの中心(平面視形状の幾何学中心)を含む平坦な面領域(中央面領域)52と、中央面領域52を取り囲む傾斜した面領域(傾斜面領域)53とを備える。傾斜面領域53は、底面132bの周縁に向かって凹部13の深さ方向に一定角度で傾斜する。なお、中央面領域52は、好ましくは、底面132bの平面視形状と相似形状とされる。例えば、図7に例示されるように、底面132bの平面視形状が例えば矩形状の場合、中央面領域52は、好ましくは、底面132bの平面視形状と相似の矩形状とされる。この場合、中央面領域52の角部は角丸形状とされてもよい。
【0055】
第2の態様に係る底面132bは、その断面形状が、基準プロファイルK1の上端縁を目標プロファイルK0の上端縁に対して反転させた反転形状と傾向と傾向が一致しており、このような底面132bの凹部13から印刷対象物に転写される塗布液のプロファイルは、目標プロファイルK0と近い形状となる。また、底面132bには曲面領域がないので、加工しやすいという利点がある。
【0056】
<第3の態様>
第3の態様に係る底面132(底面132c)は、図6に示されるように、底面132cの中心(平面視形状の幾何学中心)を含む平坦な面領域(第1面領域)54と、第1面領域54を取り囲み第1面領域54よりも深い位置にある平坦な面領域(第2面領域)55とを備える。また、第1面領域54と第2面領域55との境界を形成する段差部56は、側壁131と平行に延在する。なお、第1面領域54は、好ましくは、底面132cの平面視形状と相似形状とされる。例えば、図7に例示されるように、底面132cが例えば矩形状の場合、第1面領域54は、好ましくは、底面132cの平面視形状と相似の矩形状とされる。この場合、第1面領域54の角部は角丸形状とされてもよい。
【0057】
第3の態様に係る底面132cは、第2の態様に係る底面132bと同様、その断面形状が、基準プロファイルK1の上端縁を目標プロファイルK0の上端縁に対して反転させた反転形状と傾向と傾向が一致しており、このような底面132cの凹部13から印刷対象物に転写される塗布液のプロファイルは、目標プロファイルK0と近い形状となる。また、底面132cには、曲面領域も傾斜面もないので、特に加工しやすいという利点がある。
【0058】
<3.製版装置2>
次に、版胴1の製造に用いられる製版装置2について説明する。
【0059】
<3−1.構成>
製版装置2の構成について、図8を参照しながら説明する。図8は、製版装置2が備える各機能部を説明するための図である。
【0060】
製版装置2は、版胴材10の円周側面に凹部13を形成する凹部形成部21と、版胴材10の円周側面に被覆層14を形成する被覆層形成部22と、これら各部を制御する制御部23とを備える。
【0061】
ここで、「版胴材10」とは、円筒状の芯部11と、その円周側面に形成された被削層12とを備える部材である。版胴材10は、例えば、必要な厚みをもったシート状の形成材料(例えばシリコンゴム)であって一方の主面に例えば接着剤が塗布されたものを、当該接着剤が塗布された側を円筒状の芯部11の円周側面に対向させるようにして芯部11の円周側面に巻き付けてこれに固定し、必要な場合は、さらに当該シリコンゴム層の円周側面の平滑度が所定値(例えば0.01μm)以下となるように、また、当該円周側面の円筒度が所定値(例えば50μm)以下となるように、シリコンゴム層の円周側面に研磨等を施して被削層12を形成したものである。ただし、前述のとおり、被削層12はシリコンゴム以外の材料で形成されてもよい。
【0062】
<凹部形成部21>
凹部形成部21の構成例について、図8に加え、図9を参照しながら具体的に説明する。図9は、凹部形成部21の構成例を模式的に示す図である。
【0063】
凹部形成部21は、版胴材10の被削層12に回転する工具31の刃先を当接させて被削層12を切削あるいは研削して、被削層12に凹部13を形成する機能部である。凹部形成部21は、工具31と、これを駆動する加工装置32とを備える。
【0064】
工具31は、軸線A31の延在方向に沿う一端に形成された硬質な刃先を備える部材であり、刃先を加工対象面(ここでは、被削層12)に当接させた状態で軸線A31を中心に回転されることによって、加工対象面を切削、研削、あるいは研磨する。工具31は、例えば、マイクロエンドミル、マイクロエンド砥石等のマイクロツールにより構成することができる。なお、工具31の刃先の形状はどのようなものであってもよく、例えばスクエアエンドミル、特に一枚刃の直刃タイプのエンドミルを用いることができる。
【0065】
工具31は、その刃先の回転軌跡(軸線A31を中心に回転された際の回転軌跡)の最大直径が小さいほど微細な加工を行うことができる。例えば、基板Wに形成される回路パターンのような微細な線画を表現したセル130を形成する場合、工具31として、その刃先の回転軌跡の最大直径が100μm以下のものが用いられることが好ましい。
【0066】
加工装置32は、工具31を駆動して例えば、数値制御(NC)による機械加工を実行する装置であり、加工対象面(ここでは、被削層12)に、回転する工具31の刃先を当接させるとともにこれを加工対象面に対して相対移動させながら、工具31に加工対象面を切削あるいは研削(以下「切削等」という)させて、被削層12に凹部13を形成する。加工装置32は、例えば、加工対象物である版胴材10を、回転(軸線A1を中心とした回転)可能に支持する支持部(図示省略)と、支持部に支持された版胴材10を回転させる回転駆動部321と、当該版胴材10の軸線A1の延在方向に沿って工具31を移動させる直動駆動部322と、工具31を駆動して当該版胴材10の円周側面を切削等させる工具駆動部323と、これら各部を制御する切削制御部324とを備える。
【0067】
回転駆動部321は、支持部に支持された版胴材10を、軸線A1を中心として所定の回転方向に回転させる機能部であり、例えばモータとモータの駆動力を版胴材10に伝達する伝達機構とを含む構成とすることができる。
【0068】
直動駆動部322は、例えば、工具31および工具駆動部323が配設されたベース部3221と、支持部に支持された版胴材10の軸線A1の延在方向に沿って延在する一対のガイドレール3222と、ベース部3221と連結されたボールネジ3223と、ボールネジ3223を駆動するモータ3224とを含む構成とすればよい。この場合、ボールネジ3223がモータ3224によって回動されると、ベース部3221がガイドレール3222に沿って移動することになる。
【0069】
工具駆動部323は、工具31をその軸線A31を中心に回転させるとともに、その軸線A31の延在方向に一つの軸を有する3次元直交座標系内における定められた位置に、回転する工具31を移動させる。工具駆動部323の駆動を受けて、回転する工具31が、支持部に支持される版胴材10の円周側面に沿って微小距離だけ移動されつつ、版胴材10の径方向に沿って進退移動されることによって、版胴材10の円周側面に形成された被削層12が切削等され、凹部13が形成されることになる。
【0070】
切削制御部324は、セルデータ生成部3241と、駆動制御部3242とを備える。なお、切削制御部324は、例えば、製版装置2が備える制御部23において、例えばCPU231がプログラムPに従って所定の演算処理を行うことによって、あるいは、専用の論理回路等でハードウエア的に実現される(図10)。
【0071】
セルデータ生成部3241は、例えば外部記憶装置234(図10)に格納された画像データ(印刷対象物に転写するべき線画を表現した二次元の濃度データ)90を、その濃度(トーン値)がセルの容積(具体的には、セル130の深さ、セル130の平面視サイズ、あるいは、セル130の深さと平面視サイズとの両方)で表現された3次元のCADデータ(以下「セルデータ」という)901に変換する。ただし、被削層12に彫刻されたセル130は後に被覆層14でコーティングされるため、セル130の平面視サイズは、最終的には、被削層12に彫り込まれた時点のサイズよりも被覆層14の膜厚分だけ一回り小さいものとなる。そこで、セルデータ生成部3241は、セルデータ901において、被削層12に形成するべき各セル130の平面視サイズを、必要な平面視サイズよりも被覆層14の膜厚分だけ一回り大きいものとする。なお、セルデータ生成部3241は、画像データ90からセルデータ901を生成する際に、印刷に必要な各種の情報(例えば、位置合わせに用いられるトンボ等)の付加等も行う。また、セルデータ生成部3241は、画像データ90からセルデータ901を生成する際に、必要な場合は、溝などの凹形状の記述もセルデータ901に含める。ただし、セルデータ901において、各セル130およびその他の各凹形状は、いずれも、上述したとおり、非平坦な底面132と底面132の周縁に連なる側壁131とを備える形状として記述される。底面132の具体的な表面形状は、上述したとおりである。
【0072】
駆動制御部3242は、セルデータ生成部3241が生成したセルデータ901を各駆動部(回転駆動部321、直動駆動部322、および、工具駆動部323)の駆動信号に変換してこれら各部321,322,323を駆動制御する。すなわち、回転駆動部321および直動駆動部322を駆動制御して、工具31および工具駆動部323が配置されたベース部3221を版胴材10の円周側面に対して相対移動させつつ、工具駆動部323を駆動制御して工具31に当該円周側面に形成された被削層12を切削等させる。これによって、被削層12に、画像データ90に記述される線画を表現した無数のセル130を含む無数の凹部13(すなわち、非平坦な底面132と側壁131とをそれぞれ備える無数の凹部13)が形成されることになる。
【0073】
<被覆層形成部22>
再び図8を参照する。被覆層形成部22は、凹部13の上から被削層12を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層14を、被削層12の全域に形成する。被覆層形成部22は、ダイヤモンドライクカーボンの被覆を、プラズマイオン注入法(Plasma-based ion implantation and deposition:PBIID)により形成する。
【0074】
プラズマイオン注入法は、プラズマに浸した基材(ここでは、凹部形成部21により凹部13が形成された後の版胴材10)にマイナスの高電圧パルスを印加して、基材表面に形成されるシース電場でイオン(ここでは、炭素イオン)を加速して注入するものである。具体的には、例えば、凹部形成部21により凹部13が形成された後の版胴材10をチャンバー内に配置し、このチャンバー内に、原料となるガス(メタン、エタン、プロパン、ベンゼン、トルエン、ベンジルアルコール等)を導入して、高周波やマイクロ波、直流放電等によってプラズマを発生させる。続いて、プラズマ中に配置された版胴材10に、マイナスの高電圧パルスを印加することによって、炭素イオンを連続的に加速させて、これを版胴材10の表面に堆積・製膜させる。これによって、版胴材10の円周側面にダイヤモンドライクカーボンの被覆層(DLC層)14が形成されることになる。
【0075】
このプラズマイオン注入法は、イオン注入法とプラズマCVD法とを融合させた手法であり、複雑な形状に均一な膜厚で被覆できるという利点がある。したがって、微小な凹部13が無数に形成された非平坦な被削層12の表面に対して簡易に均一な膜厚の被覆層14を形成することができる。また、各凹部13の内部(各凹部13の側壁131および底面132)も、均一な膜厚の被覆層14で隈無くコーティングすることができる。また、加速電圧はパルス的に印加されるため、プラズマ発生と加速電圧とのデューティー比を制御することにより、版胴材10の温度上昇を抑制して常温で製膜することが可能となる(すなわち、成膜中の温度上昇を抑えられる)という利点がある。したがって、被覆層14の成膜中に、熱的影響を受けて凹部13に変形が生じる、といった事態も生じにくい。
【0076】
なお、ダイヤモンドライクカーボンは、その原材料を選択することによってある程度ぬれ性をコントロール可能である。上記の処理工程においては、印刷に用いられる予定の塗布液の種類を考慮して、これをはじかないような適切なぬれ性を有する被覆層14を形成できるよう、チャンバー内に封入される原材料等が適切に選択されるものとする。
【0077】
<制御部23>
制御部23は、製版装置2が備える各部21,22と電気的に接続されており、各種の演算処理を実行しつつ製版装置2の各部21,22の動作を制御する。
【0078】
図10は、制御部23のハードウエア構成を示すブロック図である。制御部23は、例えば、CPU231、ROM232、RAM233、外部記憶装置234等がバスライン235を介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている。ROM232は基本プログラム等を格納しており、RAM233はCPU231が所定の処理を行う際の作業領域として供される。外部記憶装置234は、フラッシュメモリ、あるいは、ハードディスク装置等の不揮発性の記憶装置によって構成されている。外部記憶装置234にはプログラムPが格納されており、このプログラムPに記述された手順に従って、主制御部としてのCPU231が演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。プログラムPは、通常、予め外部記憶装置234等のメモリに格納されて使用されるものであるが、CD−ROMあるいはDVD−ROM、外部のフラッシュメモリ等の記録媒体に記録された形態(プログラムプロダクト)で提供され(あるいは、ネットワークを介した外部サーバからのダウンロードなどにより提供され)、追加的または交換的に外部記憶装置234等のメモリに格納されるものであってもよい。なお、制御部23において実現される一部あるいは全部の機能は、専用の論理回路等でハードウエア的に実現されてもよい。
【0079】
なお、外部記憶装置234には、上述したとおり、印刷対象物に転写するべき線画を表現した画像データ90が格納される(図9)。制御部23は、版胴1を製造する一連の処理に先立って画像データ90を取得して外部記憶装置234に格納する。なお、画像データ90の取得は、例えばネットワーク等を介して接続された外部端末装置から受信することにより行われてもよいし、記録媒体から読み取ることにより行われてもよい。
【0080】
また、制御部23では、入力部236、表示部237、通信部238もバスライン235に接続されている。入力部236は、各種スイッチ、タッチパネル等により構成されており、オペレータから各種の入力設定指示を受け付ける。表示部237は、液晶表示装置、ランプ等により構成されており、CPU231による制御の下、各種の情報を表示する。通信部238は、LAN等を介したデータ通信機能を有する。
【0081】
<3−2.動作>
製版装置2を用いて版胴1を製造する処理の流れについて、図11を参照しながら説明する。図11は、当該処理の流れを示す図である。
【0082】
はじめに、版胴材10が準備される(ステップS1)。版胴材10は、前述のとおり、円筒状の芯部11と、その円周側面に形成された被削層12とを備える部材であり、例えば、円筒状の芯部11の円周側面にシート状のシリコンゴム等を巻き付け固定し、必要な場合はシリコンゴム層の円周側面にさらに研磨等を施して被削層12を形成したものである。版胴材10を準備する工程の全てあるいは一部は、製版装置2において機械的に行われてもよいし、作業者により行われてもよい。
【0083】
続いて、凹部形成部21が、版胴材10の被削層12に回転する工具31を当接させて被削層12を切削等して、被削層12に凹部13を形成する(ステップS2)。具体的には、まず、セルデータ生成部3241が、外部記憶装置234に格納された画像データ90に基づいてセルデータ901を生成する。続いて、駆動制御部3242が当該生成されたセルデータ901に基づいて、回転駆動部321、直動駆動部322、および、工具駆動部323を駆動制御する。この制御に応じて、回転駆動部321および直動駆動部322が工具31および工具駆動部323が配置されたベース部3221を版胴材10の円周側面に対して相対移動させるとともに、工具駆動部323が工具31に当該円周側面に形成された被削層12を切削等させることによって、被削層12に、画像データ90に記述される線画を表現した無数のセル130を含む無数の凹部13が形成される。ただし、各凹部13は、上述したとおり、非平坦な底面132と側壁131とを備える形状とされる。
【0084】
上述したとおり、被削層12は快削性に優れた材料により形成されているので、切削等の加工が容易である。したがって、微細な凹部13であってもこれを難なく形成できる。また、その底面132の形状が複雑であってもこれを難なく形成できる。また、版胴材10においては、比較的硬質の芯部11に被削層12が積層して形成されるので、工具31により被削層12が切削等される間も被削層12の円筒度が良好に維持される。したがって、凹部13の形成位置にずれが生じにくく、目標位置に目標形状の凹部13を確実に形成することができる。
【0085】
続いて、被覆層形成部22が、ステップS2で形成された凹部13の上から被削層12を覆う被覆層14を形成する(ステップS3)。具体的には、被覆層形成部22において、まず、凹部13が形成された後の版胴材10がチャンバー内に配置された状態とされる。続いてチャンバー内に原料となるガスが導入され、高周波等によってプラズマが発生される。続いて、プラズマ中に配置された版胴材10にマイナスの高電圧パルスが印加される。これによって、チャンバー内の炭素イオンが連続的に加速されて版胴材10の表面(すなわち、凹部13が形成された被削層12の表面)に堆積して被覆層14が形成される。以上の一連の処理によって、版胴1が得られる。
【0086】
<4.パターン形成装置4>
次に、版胴1を用いてグラビア印刷を行う態様について説明する。ここでは、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷装置の一態様である「パターン形成装置4」において、版胴1を用いてグラビア印刷を行う態様を説明する。
【0087】
<4−1.構成>
パターン形成装置4の構成について、図12を参照しながら説明する。図12は、パターン形成装置4の構成を示す図である。
【0088】
パターン形成装置4は、版胴1を用いて、グラビア印刷法によって、基板W(例えば、液晶表示装置等に用いられるガラスの基板)上に、パターン形成用の材料溶液(例えば、ITO(酸化インジウムスズ)等の微粒子を含む溶液)を印刷塗布することによって、基板W上に回路パターンを形成する装置であり、版胴1と、版胴支持部41と、回動機構42と、塗布液供給部43と、ドクターブレード44と、ステージ45と、ステージ移動機構46と、制御部47とを主として備える。
【0089】
版胴支持部41は、版胴1を、回転(軸線A1を中心とした回転)可能に支持する。
【0090】
回動機構42は、版胴支持部41に支持された版胴1を、軸線A1を中心として所定の回転方向に回転させる機能部であり、例えばモータとモータの駆動力を版胴1に伝達する伝達機構とを含む構成とすることができる。
【0091】
塗布液供給部43は、版胴支持部41に支持された版胴1の円周側面に、塗布液であるパターン形成用の材料溶液を供給する。塗布液供給部43は、例えば、長尺長さが版胴1の長尺長さと略同一の長尺状のスリットノズル431と、これに塗布液を供給する塗布液供給源432とを含む構成とすることができる。この構成の場合、スリットノズル431は、その長尺方向を版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)に沿わせるとともに、スリット部分を版胴1の円周側面に近接対向させた状態で配置される。この状態で、塗布液供給源432がスリットノズル431に塗布液を供給すると、スリットノズル431から版胴1の円周側面に一定量の塗布液が供給されることになる。
【0092】
ドクターブレード44は、版胴支持部41に支持された版胴1の回転方向に沿って塗布液供給部43の下流側に設けられ、版胴1の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る。ドクターブレード44は、具体的には、長尺長さが版胴1の長尺長さと略同一の長尺状の薄板状部材であり、その長尺方向を版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)に沿わせるとともに、その長尺方向に沿う端辺を版胴1の円周側面に当接させた状態で配置される。この構成において、版胴1が回転されると、ドクターブレード44の主面によって版胴1の円周側面から余分な塗布液が掻き取られ、凹部13内にのみ塗布液が充填された状態とされる。なお、ドクターブレード44の表面には、ダイヤモンドライクカーボンの被覆が形成されていてもよい。
【0093】
ステージ45は、平板状の外形を有し、その上面に、印刷対象物である基板Wを水平姿勢に載置して保持する。ステージ45の上面には、例えば複数の吸引孔(図示省略)が形成されており、この吸引孔に負圧(吸引圧)を形成することによって、基板Wを固定保持できるようになっている。
【0094】
ステージ移動機構46は、版胴支持部41に支持された版胴1の下方空間において、印刷対象物である基板Wを載置したステージ45を、版胴1の軸線A1の延在方向(X方向)と直交する方向(Y方向)に沿って水平移動させる。ステージ移動機構46は、例えば、ステージ45の下面に取り付けられた移動子と基台40上に敷設された固定子とにより構成されたリニアモータ(図示省略)と、基台40に敷設されたY方向に延びる一対のガイド部材461と、各ガイド部材461とステージ45との間に設けられたスライドユニット462等を含む構成とすることができる。この構成の場合、リニアモータを動作させると、ステージ45はガイド部材461に案内された状態でY方向に沿って移動する。
【0095】
制御部47は、上述した製版装置2が備える制御部23と同様、CPU、ROM、RAM、外部記憶装置、入力部、表示部、通信部等がバスラインを介して相互接続された一般的なコンピュータによって構成されている(図10参照)。ここでも、外部記憶装置に格納されたプログラムに記述された手順に従って、主制御部としてのCPUが演算処理を行うことにより、各種機能が実現されるように構成されている。
【0096】
<4−2.動作>
パターン形成装置4の動作について、引き続き図12を参照しながら説明する。以下の動作は、制御部47の制御下で各部が動作することにより実行される。
【0097】
まず、版胴1が版胴支持部41に支持された状態とされる。ただし、この版胴1の円周側面に形成されている無数の凹部13には、基板Wに転写するべき回路パターンを表現した無数のセル130が含まれている。また、各凹部13は、非平坦な底面132と側壁131とをそれぞれ備える形状とされ、底面132の表面形状は、上述したとおり、印刷目的等から規定される目標プロファイルK0と、印刷条件等から規定される基準プロファイルK1とに応じて規定された非平坦形状(周縁が中央部よりも深い位置にあるような非平坦形状)となっている。
【0098】
続いて、ステージ45の上面に、基板Wが保持された状態とされる。
【0099】
続いて、ステージ45に保持された基板Wに対するグラビア印刷が実行される。具体的には、塗布液供給部43が版胴1に塗布液であるパターン形成用の材料溶液を供給する一方で、回動機構42が版胴1を回転させるとともに、版胴1の回転速度に応じて互いに速度差が生じないように、ステージ移動機構46が基板Wを保持したステージ45をY方向に沿って移動させる。回転される版胴1の円周側面の任意の領域部分に着目すると、当該領域部分は、版胴1の回転方向の上流側において、まず塗布液供給部43から塗布液の供給を受ける。版胴1がさらに回転されると、当該領域部分にドクターブレード44が当接されて不要な塗布液(凹部13内以外の塗布液)が掻き取られる。版胴1がさらに回転されると、当該領域部分は基板Wと当接され、ここで、凹部13に貯留された塗布液が基板W上に転写される。これによって、版胴1の円周側面に形成されたセル130に応じたパターンが基板W上に印刷塗布され(すなわち、グラビア印刷が行われ)、基板W上に回路パターンが形成される。
【0100】
上述したとおり、版胴1に形成された各凹部13の底面132の表面形状は、目標プロファイルK0と基準プロファイルK1とに応じて規定された非平坦形状とされており、凹部13から基板Wに転写される塗布液のプロファイルは、目標プロファイルK0、あるいはこれに近い形状となる。すなわち、各凹部13から基板Wに転写される塗布液のプロファイルは、膜厚が均一な形状となる。したがって、基板W上には厚みが均一な回路パターンが形成されることになる。
【0101】
<5.効果>
上記の実施の形態においては、版胴1に形成される凹部13が、非平坦な底面132と側壁131とを備える形状とされる。この構成によると、凹部13に比較的深い部分と比較的浅い部分とが形成され、各部分に貯留される塗布液の量が不均一となる。これによって、凹部13から印刷対象物に転写された塗布液のプロファイルをコントロールできる。
【0102】
例えば、印刷対象物上で塗布液が流れやすい、あるいは、凹部の隅に塗布液の一部が残りやすい、といった印刷条件において均一な膜厚で塗布液を転写したい場合、上述したように、凹部13の底面132は、周縁が中央部よりも深い位置にあるような非平坦形状とされる。すると、当該周縁付近に中央部付近よりも多量の塗布液が貯留されるため、印刷対象物上で塗布液が流れることによって、あるいは、凹部の隅に塗布液の一部が残ることによって、塗布液のプロファイルが目標プロファイルK0に近い形状となる。すなわち、均一な膜厚で塗布液を転写できる。これによって、濃度ムラが抑制され、鮮明な印刷を行うことが可能となる。特に、フラットパネルディスプレイの発光体や電極を印刷する場合等において、ムラを抑えて高い印刷品質を担保することができる。
【0103】
また、上記の実施の形態においては、凹部13は、工具31を用いた切削等により形成される。この形成態様によると、凹部13の側壁131を被削層12の表面に対して約90度をなすように立設した形状とすることも容易であり、底面132の表面形状を非平坦な形状に加工することも容易である。例えばレーザ彫刻により凹部を形成する態様では、このような形状の凹部13を形成することは難しい。すなわち、レーザ光はビームプロファイル(レーザ光を断面からみたときの強度分布)がガウシアン形状となるため、これで形成される凹部の断面形状は、ガウシアン形状と類似の形状となってしまう。このため、被削層の表面に対して約90度をなすような側壁を形成することは非常に困難であり、底面を定められた非平坦形状に加工することも非常に困難である。
【0104】
また、凹部13を、工具31を用いた切削等により形成する態様によると、工具31の刃先の回転軌跡の最大直径と同径の微細な凹部を形成することができる。すなわち、回転軌跡の最大直径が小さな工具31を用いれば、いくらでも微細な凹部13を形成することが可能であり、印刷対象物に微細な線画を印刷塗布することが可能となる。例えばレーザ彫刻により凹部を形成する態様では、形成されるセル直径は、必ずレーザ光のスポットサイズより大きくなり、これ以下の凹部13を形成することはできないが、工具31を用いた切削等による形成態様にはこのような制限はない。
【0105】
また、上記の実施の形態においては、凹部13の上から被削層12を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層14が形成される。この構成によると、良好な印刷性能を担保することができる。すなわち、版胴1の円周側面を覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層14が形成されると、版胴1が耐膨潤性に優れたものとなる。したがって、塗布液として供給されたパターン形成材料を版胴1が吸収して膨潤して凹部13が変形するといった事態が生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、耐溶剤性にも優れる。したがって、塗布液により版胴1が変化するといった事態も生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、耐摩耗性にも優れるため、ドクターブレード44が当接されても摩耗しにくい。したがって、版胴1がドクターブレード44によって削られて、印刷物の汚染の原因となるパーティクルが発生する、といった事態も生じにくい。また、ダイヤモンドライクカーボンにより形成される被覆層14は、摩擦抵抗も小さいため、ドクターブレード44が版胴1の円周側面にスムースに接触することができる。したがって、不要な塗布液がドクターブレード44に掻き取られずに残存するといった事態も生じにくい。なお、ドクターブレード44にもダイヤモンドライクカーボンの被覆を形成しておけば、被覆層14とドクターブレード44との間の摩擦抵抗をさらに低減することができる。
【0106】
さらに、被削層12にこれを覆うダイヤモンドライクカーボンの被覆層14を形成する構成とすれば、被削層12の材質の選定において、耐摩耗性、耐膨潤性、耐溶剤性等を考慮する必要がなく、材料選択の自由度が高くなる。したがって、被削層12を、快削性(必要な場合は、快削性および柔軟性)に優れた材料(例えば、樹脂)を用いて形成することも可能となり、これによって、凹部13の加工を極めて簡易に行うことが可能となる。また、凹部13においては、その側壁131が被削層12に対して直角となるため、凹部13の内壁全体を隈無く覆う被覆を形成しづらいという難点があるが、ダイヤモンドライクカーボンは複雑な形状の被覆対象物であってもこれを確実に被膜できるとともに、高い密着性も有するため、凹部13の内壁の全体に隈無く被覆層14を形成することができる。
【0107】
<6.変形例>
上記の実施の形態において、周縁が中央部よりも深い位置にある表面形状とされる底面132の形状について3種の具体例を説明したが、当該形状は、上述した3種の具体例以外の各種の態様によって実現してもよい。例えば、第1の態様に係る底面132aは、中央部から周縁に向かって傾斜角度が大きくなるように連続的に傾斜角度が変化する形状であったが、中央部から周縁に向かって傾斜角度が大きくなるように非連続的に傾斜角度が変化する形状であってもよい。また例えば、第2の態様に係る底面132bにおいて、傾斜面領域53の傾斜角度が、底面132bの周縁に向かうにつれて大きくなるように連続的(あるいは、非連続的)に変化する形状とされてもよい。また例えば、第3の態様に係る底面132cは、同心に配置された2個の平面領域に分断される構成としたが、同心に配置された3個以上の面領域に分断し、周縁に近い面領域ほど深い位置に形成される構成としてもよい。また、この構成においては、3個以上の面領域の全てが平坦面とされてもよいし、少なくとも1個の面領域が中央部から周縁に向かって深さ方向に傾斜する傾斜面とされてもよい。
【0108】
また、上記の実施の形態においては、目標プロファイルK0は厚みが変化しない形状であり、基準プロファイルK1は周縁部の膜厚が中央部よりも薄くなる形状であるとしたが、目標プロファイル、基準プロファイルの各形状は必ずしもこれらに限られるものではない。
【0109】
例えば、印刷条件によっては、基準プロファイルが、周縁部の膜厚が中央部よりも厚くなる形状となることもある。この場合、目標プロファイルが、厚みが変化しない形状であるとすると、図13に示されるように、凹部13の底面132(132d)は、中央部が周縁よりも深い位置にあるような非平坦形状とされる。より具体的には、例えば、底面132dの周縁から底面132dの中央部(好ましくは、平面視形状の幾何学中心)に向かって凹部13の深さ方向に傾斜し、中央部に向かうにつれて傾斜角度が小さくなるように傾斜角度が変化する傾斜面61を備える形状とすればよい。このような凹部13においては、その中央部付近に外縁部付近よりも多量の塗布液を貯留できるため、塗布液のプロファイルが目標プロファイルに近い形状となる。
【0110】
また、上記の実施形態に係る版胴1は、芯部11と被削層12と被覆層14との3層構造を備えていたが、芯部11および被覆層14の少なくとも一方を設けない構成としてもよい。ただし、芯部11を設ける構成とすれば、版胴1が変形しにくいという利点が得られる。また、被覆層14も必ずしも設ける必要はない。ただし、被覆層14を設ける構成とすれば、上述したように、良好な印刷性能を担保することができる。
【0111】
また、上記の実施の形態においては、被覆層形成部22は、プラズマイオン注入法で被覆層14を形成する構成としたが、被覆層14は、これ以外の方法(例えば、熱CVD法などの化学蒸着、イオンプレーティング法などの物理蒸着等の各種の薄膜形成方法)によって形成してもよい。
【0112】
また、上記の実施形態においては、シート状のシリコンゴム等を芯部11の円周側面に巻き付け固定してさらに必要な場合は研磨等を施すことによって被削層12を形成していたが、被削層12を形成する態様はこれに限らない。例えば、液状の樹脂を芯部11の円周側面に塗布することにより被削層12を形成してもよい。
【0113】
また、上記の実施形態においては、芯部11の軸部は中空(空芯)状としたが、芯部11は軸部が中実に形成されてもよい。ただし、版胴1の軽量化のためには、芯部11の軸部は中空とされることが好ましい。
【0114】
また、上記の実施形態に係るパターン形成装置4において、塗布対象とされる基板Wは、半導体基板、プリント基板、カラーフィルタ用基板、プラズマ表示装置に具備されるフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、磁気ディスク用ガラス基板(セラミック基板)、光ディスク用ガラス基板(セラミック基板)、太陽電池用パネルなどの各種基板であってもよい。また、パターン形成装置4において、塗布液として用いられる溶剤は、ITO(酸化インジウムスズ)等の微粒子を含む溶液に限られるものではなく、各種の金属粒子等を含む溶液を塗布液として用いることができる。
【0115】
また、上記の実施の形態に係るパターン形成装置4においては、回転される版胴1に対して基板Wを載置したステージ45を水平移動させることによって、回転される版胴1と基板Wとを相対移動させる構成としたが、当該相対移動させる構成はこれに限らない。例えば、ステージ45を固定するとともに、回転される版胴1を水平移動させる構成であってもよいし、ステージ45と回転される版胴1とをともに水平移動させながら両者を相対移動させる構成であってもよい。
【0116】
また、上記の実施形態においては、版胴1を用いて、グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷装置の一態様としてパターン形成装置4を例示したが、版胴1を用いて印刷対象物に印刷を行う態様はこれに限られるものではない。例えば、上述したパターン形成装置4において、印刷対象物は基板Wであり、塗布液はパターン形成材料であったが、印刷対象物が印刷用紙であり、塗布液がインクであってもよい。すなわち、版胴1は、印刷用紙にインクで塗布印刷を行うグラビア印刷装置の版胴として用いられてもよい。
【符号の説明】
【0117】
1 版胴
2 製版装置
4 パターン形成装置
10 版胴材
11 芯部
12 被削層
13 凹部
14 DLC層
31 工具
32 加工装置
21 凹部形成部
22 被覆層形成部
23 制御部
130 セル
131 側壁
132,132a,132b,132c,132d 底面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版方法であって、
a)円周側面に被削層が形成された版胴材を準備する工程と、
b)前記被削層に回転する工具を当接させて前記被削層を切削あるいは研削して、前記被削層に、非平坦な底面と前記底面の周縁に連なる側壁とを備える凹部を形成する工程と、
を備える製版方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製版方法であって、
前記側壁が前記被削層の表面に対して垂直である、製版方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製版方法であって、
前記底面が、周縁が中央部よりも深い位置にある表面形状である、製版方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製版方法であって、
前記底面が、中央部から周縁に向かって深さ方向に傾斜し、周縁に向かうにつれて傾斜角度が大きくなるように傾斜角度が変化する表面形状である、製版方法。
【請求項5】
請求項3に記載の製版方法であって、
前記底面が、
平坦な面領域と、
前記平坦な面領域を取り囲み前記底面の周縁に向かって深さ方向に一定角度で傾斜する傾斜面領域と、
を備える製版方法。
【請求項6】
請求項3に記載の製版方法であって、
前記底面が、
平坦な第1面領域と、
前記第1面領域を取り囲み前記第1面領域よりも深い位置にある平坦な第2面領域と、
を備える製版方法。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載の製版方法であって、
c)前記凹部の上から前記被削層を覆う、ダイヤモンドライクカーボンの被覆層を形成する工程、
をさらに備える製版方法。
【請求項8】
請求項7に記載の製版方法であって、
前記被覆層を、プラズマイオン注入法により形成する、製版方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれかに記載の製版方法であって、
前記工具の刃先の回転軌跡の最大直径が、100μm以下である、製版方法。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の製版方法であって、
前記被削層が樹脂により形成される、製版方法。
【請求項11】
請求項1から10のいずれかに記載の製版方法であって、
前記被削層の厚みが30μm以上かつ100μm以下であり、
前記被削層が表面の凹凸が0.01μm以下の平滑度を有し、
前記被削層の円周側面の円筒度が50μm以下である、
製版方法。
【請求項12】
グラビア印刷に用いられる版胴であって、
円周側面に被削層が形成された版胴材と、
前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
を備え、
前記凹部が、
非平坦な底面と、
前記底面の周縁に連なる側壁と、
を備える、版胴。
【請求項13】
グラビア印刷法により印刷対象物に印刷を行う印刷方法であって、
a)円周側面に凹部が形成された版胴の前記円周側面に塗布液を供給する工程と、
b)前記版胴の円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取る工程と、
c)前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる工程と、
を備え、
前記版胴が、
円周側面に被削層が形成された版胴材と、
前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
を備え、
前記凹部が、
非平坦な底面と、
前記底面の周縁に連なる側壁と、
を備える、印刷方法。
【請求項14】
請求項13に記載の印刷方法であって、
前記印刷対象物が基板であり、
前記塗布液が前記基板に形成すべき回路パターンの材料溶液であり、
前記凹部に前記回路パターンを表現したセルが含まれる、印刷方法。
【請求項15】
請求項14に記載の印刷方法により、前記回路パターンが形成された基板。
【請求項16】
グラビア印刷に用いられる版胴を製造する製版装置であって、
円周側面に被削層が形成された版胴材の前記被削層を切削あるいは研削する工具と、
前記工具を回転させつつ前記工具の刃先を前記被削層に当接させて前記被削層を切削あるいは研削させて、前記被削層に、非平坦な底面と前記底面の周縁に連なる側壁とを備える凹部を形成させる切削制御部と、
を備える製版装置。
【請求項17】
グラビア印刷法により印刷対象物に対する印刷を行う印刷装置であって、
円周側面に凹部が形成された版胴と、
前記版胴の円周側面に塗布液を供給する塗布液供給部と、
前記版胴の円周側面に当接して前記円周側面に供給された余分な塗布液を掻き取るドクターブレードと、
前記版胴の円周側面を前記印刷対象物と近接または当接させて、前記円周側面に形成された前記凹部に貯留された前記塗布液を前記印刷対象物に転写させる駆動手段と、
を備え、
前記版胴が、
円周側面に被削層が形成された版胴材と、
前記被削層に回転する工具の刃先が当接されて前記被削層が切削あるいは研削されることによって前記被削層に形成された凹部と、
を備え、
前記凹部が、
非平坦な底面と、
前記底面の周縁に連なる側壁と、
を備える、印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−71279(P2013−71279A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210386(P2011−210386)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】