説明

製紙で用いられるアルキルケテン二量体及びアルキルコハク酸無水物を含有する被覆組成物

製紙のための添加剤がここに開示されている。特に、それら添加剤は、慣用的被覆に対するワックスを含まない代替物であり、ASA、AKDを含み、場合によりアクリル含有組成物も含む。その被覆には、陽イオン性粒子又は組成物のような他の添加剤を含有させてもよい。それら被覆は、カレンダースタック及び湿潤端部を含めた製紙過程中の種々の点で用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙技術に関し、特にグリース及び水に対する抵抗性が改良され、抗張力(引張強度)が増大し、然も、紙のリサイクルをし易くした紙の製造方法に関する。そのような紙(本明細書及び特許請求の範囲全体を通して、「紙」とは、新しい又はリサイクルされた紙、クラフト原料、及び同様な材料を含む)は、そのような改良された性質が望ましい容器製造分野で特に用途が見出されている。容器製造分野、特に段ボール容器、折り畳み式カートン、皿及び箱工業、の分野では、多くの天然木材資源が消費されている。従って、グリース及び水に対する抵抗性があり、改良された湿潤強度を有する紙を形成する新しい方法を開発するのみならず、紙が再パルプ化され、従ってリサイクルすることが可能になるように抗張力を増大することは有益であろう。
【0002】
本出願は、ここに参考のため全体的に入れる2002年10月24日出願の米国特許仮出願No.60/420,728の優先権を主張するものである。
【背景技術】
【0003】
「製紙」の技術は、キリスト生誕前の中国での発明に起源をもつ古くからの技術である。
【0004】
容器が必要になった遥か以前から、木材を使用することが最も普及し、最も長い歴史を有する。生産物、魚、肉、及び家禽のような湿潤産物を含めた多くの異なった種類の物質を運び且つ/又は貯蔵するために樽及び木枠箱(crate)の形をした容器が慣習的に用いられてきた。勿論、これは湿潤又は冷凍した生産物を包装する必要性に限定されるものではない。なぜなら、広い地理的領域に亙って配布するため熟成過程を遅らせるか又は生産物を新鮮に維持するために、水及び氷又は冷凍からの凝結物を含む更に多くの湿潤包装生産物が存在するからである。
【0005】
コストを削減するために、木製の枠箱は、出来るだけ多く何回も使用されてきた。或る生産物にとっては、これは健康問題を引き起こした。なぜなら、バクテリアが屡々木材の表面又は木材の亀裂の中で増殖するからである。その結果、適当な消毒が屡々行われないと、サルモネラのようなバクテリア又はウィルスの汚染の持ち越しが木枠箱毎に一般的になっていた。
【0006】
軽量品目のための選択された容器として、段ボールの使用は1930年代及び1940年代に普及しはじめた。一層重質又は厚い紙(又はライナー)から段ボール箱を製造する能力及び技術が進歩するに従って、段ボール箱の強度が増大した。紙の波形化による強度は、木製枠箱製造業者が予期しなかった強度を示していた。段ボール工業での革新的考えと共に段ボール供給業者はその確信から、木製枠箱に対抗して湿潤容器市場にも恐らく浸透できるという新しい概念を考えるようになった。このことがワックス被覆段ボール箱を導入することになった。もし250ポンドを越える垂直積層応力中でも生産物を安全に保持できるように、ワックスで被覆した段ボール箱を設計することができるならば、恐らくワックスは紙/ライナーを乾燥状態に保ち、それが今度は乾燥環境中にある場合と同じ位、箱の剛性及び強度を高く維持することになり、従って木製枠箱に置き換わることになるであろう。しかし慣用的段ボール箱の強度を増大するためには、一層重質で厚い紙を用いることが必要になった。
【0007】
段ボール容器の優れた性質の結果として、木製枠箱は徐々に姿を消して行った。木製枠箱は、段ボール箱が使用に適したどの市場からも締め出された。1940年代以来、ワックス被覆箱が生産物、魚、肉、及び家禽のような品物を貯蔵するための箱を供給する優れた仕事を行なってきた。
【0008】
最近の発達は、広く許容された長網抄紙法〔参考のため全体的にここに入れるカーク・オスマー(Kirk-Othmer)エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)出版社、ニューヨーク、1980年、第3版、第9巻、第846頁〜第847頁を一般的に参照〕に帰着し、その方法では、「完成紙料(furnish)」(「完成紙料」は、主として、例えば99.5重量%の水、及び0.5%の「原料(stock)」、即ち、木質繊維の新しい又はリサイクルされたパルプ、或は新しいものとリサイクルされたものとの混合パルプ、充填剤、サイジング剤、及び/又は染料である)を、ヘッドボックスから、紙を形成するための台として働く「すき網(wire)」(速く移動する有孔コンベヤーベルト又はスクリーン)の上に堆積させる。完成紙料が移動して行くに従って、すき網の下にある重力による吸引箱により水を抜き取る。材料の体積及び密度、及びそれがすき網上を流れる速度が、紙の最終的重量を決定する。
【0009】
典型的には、紙が製紙機のこの「湿潤端部(wet end)」を出た後、それは依然として多量の水を含んでいる。従って、紙を、一般に一連の回転する重い円筒を含むプレス領域へ入れ、それが紙から水を押し出し、更に、それを圧搾し、その水含有量を、典型的には70重量%まで減少する。
【0010】
然る後、紙は乾燥領域に入る。典型的には乾燥領域は製紙機の最も長い部分である。例えば、熱風又は水蒸気で加熱された円筒が紙の両面に接触し、水を蒸発して比較的低いレベル、例えば、紙の重量の10%以下、典型的には2〜8%、好ましくは5%にする。
【0011】
乾燥領域に続き、場合により紙はサイジング液を通過させ、紙を気孔の少ないものにし、印刷インクが紙の中に浸透してしまうのではなく表面上に留まり易くする。紙は更に別の乾燥器を通って行くこともあり、それら乾燥器は、サイジング剤及び被覆の中の全ての液体を蒸発する。カレンダー、即ち、研磨した鋼ロールは、紙を一層滑らかで、一層緻密なものにする。殆どのカレンダーは光沢を増大するが、或るカレンダーは鈍い又は艶消しの仕上げを生じさせるために用いられる。
【0012】
紙は、「親」リール上に巻かれ、製紙機から外される。
【0013】
親リール上の紙は、更にスリッター(slitter)/巻き取り機のようなもので処理し、一層小さな大きさのロールにするか、二つ折り紙又は枚葉裁断機(cut-size sheeter)のような紙裁断機へ送り、最終の印刷用の紙にするか、或はオフィス用の紙にさえすることができる。
【0014】
慣用的容器を製造するために、スリッター/巻き取り機により形成された(例えば、紙及びクラフト級のライナーの)ロールを解き、ワックスで被覆する。ワックスはライナーに耐水性及び湿潤強度を付与するために用いられているが、それらを含む使用済み容器のリサイクルを妨げるか、さもなければ阻害する。更に、慣用的ワックス被覆ライナーは、ホットメルト接着剤で容器の他の部材に接着させなければならない。殆どのホットメルト接着剤は、それらにワックス含有成分が用いられているため、形成された容器のリサイクルに対し更に障害となる。従って、優れた湿潤及び引っ張り強度を有し、水及びグリースに対する抵抗性を有するが、その再パルプ化及びリサイクルをし易くする紙を製造する必要性が依然として存在する。
【0015】
ワックスのような液体接着剤で箱又は他の紙製品を被覆するのに二つの方法が慣習的に用いられている。第一は、カーテン被覆法として認められている。この方式は、中判紙(medium)を取り入れ、それに熱いワックスを含浸させ、次にそれを段ボール箱にする。完成された、即ち組合せたボール紙を、「カーテン被覆」として製紙の分野で一般に知られている手順で熱いワックスのカーテンに通す。最初に一方の側を、次に反対側を熱いワックスで被覆する。しかし、カーテン被覆法を遂行するのに必要な条件のため、火が大きな危険になっている。
【0016】
別の慣用的紙被覆法は、「カスケード式」である。カスケード式ワックス法は、どのような形又は大きさの規則的波形の段ボール箱でも波形溝が垂直になるように端を下にして立て、全構造体に熱いワックスを浸透させるようにすることができ、ワックスが出荷のために積み重ね易い平坦な場所にある容器の周り及びそれを通って流れ落ちる点で、カーテン被覆法とは異なっている。カーテン被覆法とは対照的に、カスケード法はワックス又は他の液体添加剤を適用する前に箱を完全に形成する必要がある。これは、記載した二つの方法の中で一層良い箱ワックス掛け遂行方法であると考えられる。
【0017】
別の被覆方法は、米国特許第5,858,173号、第5,531,863号、第5,429,294号、及び第5,393,566号明細書(これらは、夫々参考のため全体的にここに入れてある)に記載されているもののように当分野でやはり知られており、例えば、両側のライナーの外側を保護するための表面被覆は、カーテン被覆法にかけた箱に似ている。
【0018】
更にワックス被覆の代替物も開発されて来た。例えば、米国特許第5,393,566号明細書には、製紙機にアクリルを用いて湿分障壁を形成させることが論じられている。その方式に含まれいる中判紙を用いて片面にライナーを被覆した場合でも、アクリル被覆箱は、カスケード法により被覆した慣用的ワックス被覆箱の性能に匹敵することがそこに記載されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
慣用的ワックス箱の最終的使用者は、箱廃棄物の$80/tを越えることがある廃棄手数料のために過大な出費に屡々直面している。本発明の被覆はどのような現存する製紙機にも適用することができるので、そのようなコストは$70/tの一時販売まで減少することができ、国内の食品雑貨商に重要な現在の価格で合計コストの節約は$150/tになる。これは、工業的に、約60年間信頼性のあるサービスが与えられてきたワックス掛け容器に対する解決法の必要性を高めるものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(本発明の概要)
本発明者は、添加剤として或る量のAKD又はASAは、単独でも又は他の既知の添加剤と組合せても、将来の無ワックス技術を創造することができるであろうことを発見した。
【0021】
慣用的紙被覆に伴われる問題を、依然として耐湿性を維持しながら解決するために、本発明は、アルキルケテン二量体(AKD)、及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)のような少なくとも一種類の炭化水素二量体を、例えば、サイジングプレス又はカレンダースタック(calendar stack)、最も頻繁には湿潤端部で添加することを含む。これにより、破裂及び引き裂き強度、及び耐水性についての実験室的試験でワックス掛けした中判紙よりも勝る中判紙が創り出される。ここで用いられる「AKD」は、上で論じたアルキルケテン二量体の外に、アルケニルケテン二量体でもよい。
【0022】
本発明の特定の被覆は、例えば、家禽包装のような冷凍又は他の湿潤強度を要する環境中で用いられる慣用的ワックス掛けした箱に等しいか又はそれよりも優れている。一般に、慣用的ワックス掛けした箱は、重い氷包装のような湿潤環境中で持続する日数は約6〜9日である。なぜなら、水障壁としてワックスを用いた場合でも、そのライナーは依然として時間と共に湿潤するようになるからである。しかし、製紙過程の湿潤端部でAKD及び/又はASAを含む被覆組成物を適用すると、ワックス掛けした箱の使用可能寿命に合うか又はそれを越える寿命を与える。更に、本発明の箱は、冷凍状態、例えば34°Fで、高湿度で、氷が無いような長期の貯蔵の場合に1〜2カ月長持ちすることができる。
【0023】
この成功から、本発明者はライナーのための製紙機で同じ配合物を考えるようになった。これは、効果的性及び全コスト構造の経済性を革新し、ワックス代替技術を、性能、コスト、及び環境について間違いのない選択にするであろう。
【0024】
以前にはこの方法を考えた人は誰もいなかった。なぜなら、典型的な製紙工場の技術者はライナー又は中判紙の水滴下性を試験し、そのような耐水性をもてば、先ず二枚のライナー及び中判紙に結合されなければならない水性トウモロコシ澱粉とボール紙を一緒にした場合には、誰もそのボール紙を波形にすることはできないと推測したであろうからである。本発明の被覆ボール紙は、乾燥ピン及び湿潤ピンのような試験にも合格する。湿潤ピンは、段ボールを室温の水中に24時間浸漬した後に試験され、一緒になったままになっているのみならず、引き抜きに対し測定可能な抵抗を与える。本発明者は通常のとうもろこし澱粉、じゃがいも澱粉、麦、及びタピオカのような澱粉を結合剤及びサイジング剤として用いることを研究した。このように一種類以上の添加剤と組合せて、AKD及び/又はASA処理材料は、慣用的ワックス掛けライナーに置き換えることができる。
【0025】
一つの態様として、本発明は、完成紙料をすき網の上の堆積し、脱水し、その完成紙料に、アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)を、単独又は、例えばアクリルのような他の添加剤又はサイジング剤と組合せて含むリサイクル可能なプラスチック被覆組成物を添加する製紙法に関する。
【0026】
別の態様として、本発明は、完成紙料をすき網の上に堆積し、脱水して紙を形成し、その脱水した紙を次に何回もプレスして更に紙の水含有量を減少させる製紙法において、アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)を含むリサイクル可能なプレス被覆組成物を、第一プレス工程の後の脱水された紙の少なくとも一方の側に添加することを特徴とする製紙方法に関する。
【0027】
更に別の態様として、本発明は、完成紙料をすき網の上に堆積し、脱水し、その脱水した紙を次にプレスして更に紙の水含有量を減少し、次にカレンダー掛けする製紙方法において、アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)を含むリサイクル可能なプレス被覆組成物を、プレス工程とカレンダー掛け工程との間で、紙の少なくとも一方の側に導入することを特徴とする製紙方法に関する。
【0028】
更に別の態様として、次の工程:
(a) すき網に完成紙料を適用し、
(b) 前記完成紙料を脱水し、水含有紙を得、
(c) 前記水含有紙をプレスして水含有量を減少し、
(d) 前記プレスした紙をカレンダー掛けし、
(e) 仕上げた紙を回収し、そして
(f) アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)を含むリサイクル可能なプラスチック被覆組成物を前記紙製造過程中の何れかの工程で添加する、
ことを特徴とする製紙方法を開示する。
【0029】
(発明の詳細な説明)
本発明による製紙機を図1の10で全体的に例示する。典型的には、製紙機1は、ヘッドボックス12、すき網13、及びプレス領域15を含む「湿潤端部」11、乾燥領域16、サイズプレス18、カレンダー領域20、及び親リール22を含む。場合により、ダンディーロール14をすき網の下方約2/3の所に配置し繊維を平坦にし、シートを一層均一なものにする。重力及び吸引箱(図示されていない)をすき網の下に配置し、完成紙料から水を除去する。
【0030】
ヘッドボックス12へ供給された原料は、新しいパルプ、リサイクルパルプ、又は新しいパルプとリサイクルパルプとの混合物にすることができる。ヘッドボックス12では、原料を水と混合し、すき網13の上に堆積させる完成紙料を形成する。
【0031】
I. RPC
本発明では、アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)を含むリサイクル可能なプラスチック被覆組成物(RPC)を、製紙過程中導入する。本発明中及び本明細書及び特許請求の範囲に亙って、「被覆」とは、別に指示しない限り、「被覆」又は「含浸」を意味することを理解すべきである。
【0032】
A.アクリル酸含有材料
例えば、典型的なRPC組成物は、アルキルケテン二量体(AKD)及び/又はアルキルコハク酸無水物(ASA)と組合せた、エチレンアクリル酸共重合体のようなアクリル単独重合体又は共重合体を含むアクリル酸の単独重合体又は共重合体〔例えば、メタクリル酸、エチルアクリル酸、ポリアクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ペンテン酸、C(1−4)アルキル置換アクリル酸、及び他のアクリル酸、例えば、ブチル、アミル、オクチル、及びヘキサデシル、メチルアクリレート、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、イソブチレン、ビニルエーテル、アクリロニトリル、マレイン酸及びエステル、クロトン酸及びエステル、イタコン酸、及びニュージャージー州マウントオリーブのBASF社(BASF Corporation)から入手できるバソプラスト(BASOPLAST)400DS、バソプラスト250D、バソプラスト335D、及びバソプラスト265D〕樹脂系組成物、のような水性アクリル酸含有材料である。更に、BASF社から入手できるアクロナル(ACRONAL)NX4787、アクロナルS504、及びアクロナルS728のような、アクリルエステル共重合体の水性分散物も適当なアクリル含有成分として考えられている。明細書及び特許請求の範囲に全体に亙って用いられている「アクリル酸」及び「アクリル酸含有」と言う言葉は、少なくとも一つののアクリル又はアクリル酸部分を含む重合体、オリゴマー、又は単量体のような材料及び組成物を指す。他の典型的なアクリル酸含有溶液には、ウィスコンシン州ラシーンのジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズ(Johnson Wax SpecialtyChemicals)から夫々入手できるジョンクリル(JONCRYL)52、ジョンクリル56、ジョンクリル58、ジョンクリル61、ジョンクリル61LV、ジョンクリル62、ジョンクリル67、ジョンクリル74、ジョンクリル77、ジョンクリル80、ジョンクリル85、ジョンクリル87、ジョンクリル89、ジョンクリル91、ジョンクリル95、ジョンクリル503、及びジョンクリルM−74が含まれる。
【0033】
本発明で用いられるアクリル酸含有材料に関して、従来の知られているアクリル酸含有単量体、二量体、又はオリゴマーを、単独でも、又は他のアクリル酸含有又は非アクリル酸含有単量体、二量体、オリゴマーのどのような種類数のものと組合せても用いることができる。
【0034】
B.ケテン二量体
セルロース反応性サイジング剤として用いられるケテン二量体は、式:R(CH=C=O)(式中、Rは炭化水素ラジカルであり、例えば、少なくとも8個の炭素原子を有するアルキル、少なくとも6個の炭素原子を有するシクロアルキル、アリール、アラルキル、及びアルカリールである)を有する二量体、及びデシルケテン二量体である。適当なケテン二量体の例には、オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、テトラコシル、フェニル、ベンジル、β−ナフチル、及びシクロヘキシルケテン二量体の外、モンタン酸(montanic acid)、ナフテン酸、Δ9.10−デシレン酸、Δ9.10−ドデシレン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リシノレイン酸、リノレイン酸、及びエレオステアリン酸から製造されたケテン二量体、その外ココナァツ油、ババス油、パーム核油、パーム油、オリーブ油、ピーナッツ油、ナタネ油、牛脂、ラード(葉状脂肪)、及びトールオイルが含まれる。上述の脂肪酸の何れかの互いの混合物も用いることができる。そのようなケテン二量体は、参考のため全体的にここに入れる米国特許第4,407,994号明細書に記載されている。更に別の充分なケテン二量体が、デラウエア州ウイルミントンのハーキュレス社(Hercules, Inc.)により商標名アクアペル(AQUAPEL)として販売されている。更に別のケテン二量体には、アルキル、アルケニル、アリール、及びアルカリールケテン二量体が含まれる。場合により、ケテン二量体は、セルロース成分への結合を助けるために陽イオン性澱粉と共に与えられる。
【0035】
しかし、どのようなケテン二量体でも適切である。例えば、二量体は、簡単な13,−シクロブタジオン又は不飽和β−ラクトンでもよく、その例は、カーク・オスマー、エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー〔ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)出版社、ニューヨーク、1980年、第3版、第9巻、第882頁〜第887頁〕(これは参考のため全体的にここに入れてある)に与えられている。
【0036】
C.アルケニルコハク酸無水物
アルケニルコハク酸無水物は、オレフィンと無水マレイン酸との反応から製造されるのが典型的である。無水マレイン酸分子は、ASAに反応性無水物官能性を与えるが、長鎖アルキル部分は、その大きさに伴われる疎水性を与える。得られるコハク無水物基は、極めて反応性であり、セルロース、澱粉、及び水のヒドロキシル基と錯体を形成するであろう。その主な利点の幾つかを与えるのは、ASA分子の大きな反応性である。
【0037】
ASAの反応性により、ASAを配合した被覆組成物は、過大な乾燥をしなくても、或は促進剤を使用しなくても製紙機で容易に硬化するであろう。その結果、サイズプレスの前に殆どの硬化が達成され、酸性条件下で経験されるものと同様な湿分含有量でも機械を作動させることができ、これによりサイズプレスで澱粉取り込みの一層良好な制御を与えることが実現され、リールでの完全なサイジング及び改良された生産性をもたらすことができる。
【0038】
ASA分子が水と反応する傾向は、更に別の利点を与える。ASAは、分子の一方の端で親水性であり、他方の端で疎水性である二酸を形成する。この二酸は、水系統で屡々見出されるカルシウム又はマグネシウムのような金属イオンと反応する能力を有する。これらの反応の生成物は粘稠な沈澱物であり、製紙機の組織及び骨組み上に沈着する可能性を有するが、カルシウム塩がサイジングに寄与することができることが示されている。しかし、アルミニウム塩は遥かに粘着性が低く、系統中にアルミニウム源が存在することは結局大きな利点になる。これらの金属イオンと反応する能力は、或る製紙工場で、特に日本では活用されてきており、この場合、低分子量のASAのカリウム塩が形成され、次に、ロジンが用いられた場合と極めて類似したやり方で酸性pHでミョウバンを用いて繊維上に沈着させている。
【0039】
どのようなASAでも本発明で用いることができる。ASA化合物に基づく市販のサイジング剤は、無水マレイン酸と一種類以上の適当なオレフィン、一般にはC(14)〜C(22)オレフィンとから製造されるのが典型的である。無水マレイン酸と、C(16)内部オレフィン、C(18)内部オレフィン、及びC(16)とC(18)の内部オレフィン混合物とから製造されたASA化合物は、米国特許第6,348,132号明細書(これは参考のため全体的にここに入れてある)に記載されているように、一層広く用いられているASA化合物の中にある。
【0040】
D.架橋剤
RPC中にアクリル酸含有材料が含まれている場合、場合により、アクリル酸含有材料を架橋するのに充分な量で架橋剤が与えられるのが典型的である。アクリル酸含有材料を少なくとも部分的に架橋することができるどのような物質でも充分であるが、屡々亜鉛、チタン、又はマグネシウムを含む有機又は無機物質が用いられる。しかし、好ましいのは酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化アンモニウム、酸化カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、イソステアリン酸塩(例えば、4−イソステアリン酸塩)、酸化第一錫、酸化タングステン、酸化チタン、及びそれら酸化物の一種類以上を含む種々の混合物、エマルジョン、及び組成物である。一つの態様として、架橋剤は、塩(ここに記載したような塩)+酪酸及び5炭素酸、例えば、イソバレリアン酸、2−メチル酪酸、及びn−バレリアン酸を含む。架橋剤として認められている他の典型的なFDAには、亜鉛オクトエート(zinc octoate)、脂肪酸の亜鉛塩、酸化ジルコニウム、イソステアリン酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム二水和物、脂肪酸のカルシウム塩、脂肪酸のマグネシウム塩、及び脂肪酸のアルミニウム塩が含まれる。一般に、脂肪酸は、動物及び/又は植物性脂肪及び油の脂肪酸であり、精製されたものに従っている必要はないであろう。なぜなら、動物油の潜在的な使用及び問題の動物の原物は特定できないからである。そのような場合、無機物質が好ましいであろう。架橋剤を形成するために二種類以上の物質を配合することは、本発明の範囲内に入ると考えられる。しかし、本明細書及び特許請求の範囲全体に亙って用いられている用語、架橋剤は、上述の組成物のみならず、アクリル含有樹脂に架橋反応を開始させるための熱、放射線、或は他の方法を含む。他の適当な架橋剤には、ウィスコンシン州ラシーンのジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズから夫々入手できる亜鉛溶液#1が含まれる。例えば、典型的な(RPC)組成物は、水性アクリル樹脂系組成物である。好ましい三分組成物は、ASA及び/又はAKDを添加することにより変性された、米国特許第5,393,566号明細書(今後「566特許」と呼ぶ)により開示されている組成物を含む。例えば、適合する組成物は、どの場合でも0〜100%のASA又はAKDと、「566特許」のアクリル酸樹脂含有組成物からなる残余を含んでいる。典型的な組成物は、重量%で、次のもの、0〜100%、典型的には25〜75%、一層典型的には25〜30%のASA;0〜100%、典型的には25〜75%、一層典型的には25〜30%のAKD;及び典型的には1〜99%、一層典型的には1〜10%、又は10〜40%の「566特許」のアクリル酸含有組成物である残余;を含むことができる。
【0041】
E.MEA
アクリルの樹脂及びエマルジョン及び分散物を混合/溶解/分散するためのpH調節剤として、NHOHをRPCへ添加してもよい。しかし、水酸化アンモニウムを用いて製造したRPCの望ましくない特性を除去するため、トール(toll)被覆機及び製紙機環境の両方のためにモノエタノールアミン(MEA)で置き換えることができる。製紙機の熱は、水酸化アンモニウムの揮発性を増大し、ワックス代替媒体及びライナーを製造するのを一層不安定にする。NHOHをMEAで1:1(重量)で置換すると、匂いが、除去されないとしても、減少し、性能は、僅かによくならないとしても同等である。しかし、1gのNHOH当たりのMEA重量で、0.5〜2.0:1、好ましくは1.5:1、即ち、50%以上のMEAをNHOHの代わりに置換することは、本発明の範囲内に入ると考えられる。一般に、NHOHは、28%の水溶液、即ち、市販されている最も高い濃度で供給されている。どのようなアルカノールアミンでも用いることができるが、MEAが好ましい。
【0042】
F.アルミナ・シリカ
更に、例えば、AlSi(アルミナ・シリカ)を含む粘土粉末を、本発明のワックスを含まない配合物への添加剤として用いることができる。配合物への鉱物の添加は、多くの面でその長所を示すことが判明している。第一に、水蒸気移動速度(MVTR、障壁を通る水蒸気の通過の尺度)数を、温度及び湿度の変化に敏感なコピー紙の長期保存に対しワックス又はポリエチレンの代替物として本発明の生成物を置換できるようにする範囲内へ低下する。連包装(ream wrap)及び厚い箱(bulk box)は、コピー紙を、それらが湿分のため変形し、コピー機で使用するには適さない紙になり、紙製造業者の信用問題になったりしないように保護することを対象としなければならない全体的に厳しい環境について、最も頻繁には湿分であるが、雰囲気の湿分容量は温度によって直接影響を受けるので、両方を判定しなければならない。アルミナ・シリカ、炭酸カルシウム、二酸化チタンは、この種の性能のため用いるのに全て充分なものである。鉱物添加剤がないと、MVTR規格は24時間で約30g/cmである。8%の鉱物を添加すると、最も好ましくはアルミナ/シリカで、MVTRは15g/cmより低い数値まで低下し、それは、同じ条件で作られ、同じ種類の性能を必要とする一層大きな規模のコピー紙及び他の紙についての連包装及び厚い箱に対する許容される目標である。アルミナ/シリカが好ましい。なぜなら、それはどのような鉱物でも同様に働き、本発明の配合物中で満足に懸濁し、市場で入手できる幾つかの鉱物の中でコストが最も低いからである。更に、波形機で結合している間、再び軟化する潜在的問題及び耐熱性の問題が著しく減少する。従って、架橋作用で発生するレベルよりも高い被覆表面の硬化により、波形機操作員による製品に対する容認性を一層大きくしている。この利点は、水性インクを受ける表面、低温硬化接着剤又はホットメルト接着剤の結合性能に悪影響を及ぼすことなく生ずる。
【0043】
II. RPCを適用する方法
本発明者は、本発明のRPCをクラフト、ライナーボード、又は媒体に添加し、湿潤終端部、完成紙料、カレンダー、又はプレス中で被覆として取り入れると、優れた防水性を有する生成物が得られることを発見した。一つの態様として、クラフト紙、ライナーボード、又は中判紙を用いた場合、向上した防水性を達成するため、屡々澱粉含有成分が配合されている。そのような澱粉含有成分は、通常のトウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、麦又はタピオカ澱粉を含んでいてもよい。段ボールのような製品の製造が、サイズプレス又は湿潤端部でのアクリル酸含有材料の使用を完全に除外できるだけの充分高い濃度まで導くことができるような場合、澱粉含有成分と共に本発明のRPCを用いても、澱粉の結合性能に影響を与えることはない。
【0044】
実験室的環境内は、ライナーボードは平均的製紙機中で処理されるパルプ化繊維のコンシステンシーと一致するまで再パルプ化された。この時点で繊維を四つの別々のビーカー中に分けて入れ、夫々が100gの繊維を持つようにした。番号1のビーカーには5.0gのRPC−1(下に記載する)を添加した。番号2のビーカーには、10.0gのRPC−1を添加した。番号3のビーカーには、20.0gのRPC−1を添加した。番号4のビーカーには、30.0gのRPC−1を添加した。
【0045】
種々のレベルのRPCと混合した繊維を撹拌した後、夫々のビーカーからの繊維を製紙機のすき網に類似したすき網へ適用し、製紙機上で流体の除去を開始する粒子真空作用により補助するか又は重力により繊維から水を流下させる。実験室的環境での重力及び圧搾により、1〜4までの夫々の試験試料の繊維から過剰の流体を除去した。製紙機の乾燥に類似させて、まだすき網上にある繊維を赤外線加熱により乾燥した。四つの試験試料全てを乾燥した後、表面をグリース抵抗及び耐水性について試験した。5番目の試料を再パルプ化し、網にかけ、対照としてRPCを何等用いずに乾燥した。1〜4の試料は、対照と比較すると、改良されたグリース抵抗及び耐水性を示した。最終段階は、1〜4の試料を再びパルプ化し、再び網にかけ、乾燥することであった。成功か否かを決定するためのその方法の最終工程は、顕微鏡で乾燥再形成した紙を調べ、再パルプ化の失敗を示すことになる未溶解異物が存在するか否かを決定することである。その試験は、未溶解物質は存在しないことを示しており、障壁を形成し、障壁を有することに成功したことを示し、1〜4の番号を付けたどのビーカーにも異物は存在せず、RPCは溶解したことを示していた。前述の実験は、製紙機のすき網上に堆積する前に、原料又は完成紙料にRPCを添加した場合を示している。
【0046】
実験室から商業的に実行することができる方法へ本発明を移行させる次の工程は、慣用的製紙機内の異なった場所でRPCを導入することであった。
【0047】
II. 試験操作
製紙機でヘッドボックス12の下流にある位置を選択し、製紙機の幅の約58.8cm(24in)の幅の紙の縁の上に液体RPCを、18.92リットル(5ガロン)の量で手動で「注い」だ。処理した紙のこの部分を製紙機を通って送り、製紙機の乾燥終端部から回収した。この回収部分をグリース抵抗及び耐水性及び湿潤強度について試験し、夫々の領域で更に改良を示していた。
【0048】
次にRPCを噴霧棒で適用し、最低値であるが、ライナー又は中判紙に認めることができる増大を生ずるのに充分な値から、紙の約40重量%までの適用率で適用した。pHは5.5から8.0まで変化させた。
【0049】
26#中判紙の走行中、シートの上側に噴霧して適用することにより、湿潤端部でRPCを適用した。試験スプレーヘッドは次の所に配置した:
(1)すき網上の湿潤/乾燥ライン、及び
(2)第二プレスの後で、乾燥機の前。
【0050】
次に、69#の特殊ライナーにカレンダー原料処理によりRPC−1を適用した。この試験の目的は、一方の側に二つの冷却缶を用いた適用技術の有効性を確かめることであった。後者の試験の結果を表Iに示す。
【0051】
【表1】

【0052】
別法として、図2に示したように、移動する紙ウエブ24の両面の被覆を、ローラー26、28のニップ間にウエブ24を通すことにより行なうことができる。そこには、RPCの堆積物30が見られ、ウエブ24の片面にRPCが適用される。遊びロール32の上を通過した後、ウエブ24の他方の側を堆積物40及びローラー36、38、により被覆することができる。被覆の更に別の層を、付加的ローラー46、48、56、58、及び堆積物50及び60によりウエブ24の一方又は両方の面に一回以上適用してもよい。付加的遊びロール42、52を、ウエブ24を運び、張力を加えるために与えてもよい。図2の装置は、図1のサイズプレス18の前に、又はその後に、又はその代わりに用いることができる。希望するだけ多くの付加的RPC層を適用するために、付加的ローラー(図示されていない)、堆積物(図示されていない)、及び遊びロール(図示されていない)さえも、用いることができることは理解されるべきである。更に、サイジング剤を一つ以上のRPC堆積物中に配合してもよい。
【0053】
前述の試験は、全て再パルプ化可能な紙を生じた。従って、段ボール箱及びその部品は、そのような箱が水及びグリースに対し抵抗性のあるものにされた時でも、即ち、本発明のRPCと一緒にされた場合でも、リサイクルすることができる。さらに、RPCの添加は、繊維強度を劇的に増大するように見える。RPCで処理したリサイクル繊維を100%用いて繊維強度が増大し、新しい繊維の90%の強度を与えるのに対し、通常のリサイクル繊維は、新しい繊維の約60%である。しかし、商業的態様として、乾燥重量で、RPCは、紙1t当たり約0.5〜10ポンド、典型的には約1〜5ポンド/t、好ましくは約3ポンド/tのような量で用いることができる。中判紙のためには製紙機の湿潤端部へ、乾燥重量で約3.5ポンド配合することができ、ライナーの商業的製造操作では、乾燥重量で約7.0ポンド/t用いることができる。このように、本発明者は、アクリル酸含有組成物の使用を完全に排除することができるように、一層多量のAKD及び/又はASAができることを発見した。
【0054】
製紙法は、ヘッドボックスの所(又は原料を充填剤、サイジング剤、又は染料と混合する場合にはヘッドボックスの上流でもよい)、第一プレスの後の何れかの点でのプレス領域中、及び乾燥領域の後で、或いはサイズプレスの所で、或はその代わりに、カレンダーの前に、RPC添加を含ませるように修正することができる。
【0055】
前記方法により被覆された紙は、続く工業、ラベル工業、特に60ポンド/3000ftラベル工業、折り畳みカートン、皿及び箱(全て厚紙重量)、及び水、ソーダー、及びミルクのような液体パック、アイスクリーム、ヨーグルト及び調製食料品持ち運び容器として特別な用途を有する。
【0056】
感光紙又は金属化紙又は写真プレートの間に入れる介在紙及び障壁容器のための精密な紙工業でも、本発明により利益を得ることができる。
【0057】
被覆配合物を製紙機へ適用する本発明を用いることにより、次の利点が達成される;
(1)仕上げられた被覆/含浸ライナー又は紙の全コストが減少する。
(2)製紙機(法)へその技術を組み込むことにより、その技術が最大限の可能性に到達させることができるであろう。
【0058】
本発明の被覆材料は、縁吸引試験(Edge Wick Test)にも合格する。試験すべき中判紙又はライナーの帯を1インチ×6インチ平方に切断し、1/8インチの水中に立てる。慣用的中判紙はその構造体中に水を吸い込むが、ASA及び/又はAKD、及び場合によりアクリル酸含有物質を配合すると、そのような「縁吸引」を起こさないか、又は著しく減少する。乾燥繊維は湿潤繊維よりも強くなることが知られているので、水を吸収しないことにより、本発明の中判紙は湿潤環境中でもその強度を維持することができることを示している。
【0059】
更に本発明の被覆材料は、従来のワックス被覆材料と少なくとも同じ位大きな積み重ね強度を有する。積み重ね強度は縁破壊試験(Edge Crush Test)により測定する。この場合材料を高湿度低温環境の中に入れ、TAPPI試験法T811「段ボール繊維板の縁圧縮強度(短カラム試験)」[Edgewise compressive strength of corrugatedfiberboard (short column test)](これは参考のため全体的にここに入れてあり、付録Iとして入れてある)により記載されているような試験設備を用いて破壊する。この試験は表IIIに記載のデーターを与える結果になり、湿分にかけた後の垂直強度について得られた保持%及び段ボール紙の縁破壊を示している。
【0060】
【表2】

【0061】
この試験及びここに記載した全ての試験で、「ワックス浸漬」とは、従来の完全にワックスを含浸させたキャベツ箱を指し、「カーテン被覆」とは、慣用的ワックス含有被覆で両面をカーテン被覆したベル(bell)コショウ箱を指すが、試料1〜3は、本発明による紙製品の3つの別々の実験である。
【0062】
本発明による紙製品は、試験法T821om−96「選択分離による段ボール厚紙のピン接着」(Pin Adhesion of Corrugated Board by SelectiveSeparation)(これは参考のため全体的にここに入れてある)により測定した時、表IVのデーターで示したように、同様なピン接着性も示す。
【0063】
【表3】

【0064】
表III及びIVで用いたように、試料1は、両面に69#ライナーを有する26#中判紙である。試料2は、両面に74#ライナーを有する35#中判紙である。試料3は、両面に90#ライナーを有する25#中判紙である。それらライナーの各々は、上に記載したように被覆又は処理され、RPC−1を乾燥重量で2.0〜2.2ポンド/1000ft付与された。表VIIの中判紙は、RPC−1が乾燥重量で0.5〜1.0ポンド/1000ft付与されていた。
【0065】
厚紙のリング破壊試験(RCT)(参考のため全体的にここに入れてあるTAPPI試験法822により記載されている試験)は、本発明により形成された26#100%リサイクル中判紙は、表Vに機械方向(MD)に配向した繊維について、表VIにそれを横切る方向(CD)に配向した繊維について示したように、未処理中判紙よりも優れた性質を示していた。夫々の試験について、試験装置により特定のリング型保持機に1/2″×6″試料を挟み込み、破壊した。
【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
このように、RPC−1を26#100%リサイクル中判紙に添加すると、MD及びCDの両方のリング破壊試験で著しい改良が行われる。特に、RPCを用いると、何等処理を行わない工業的標準のものよりも30%の増大を観察することができる。更に、表Vは、抗張力に19.1%の予期しない著しい増大を示している。
【0069】
本発明に従って処理した中判紙を達成するためには、二工程法が好ましい。特に、湿潤端部でAKDを、好ましくは原料1t当たり乾燥重量で1〜10、典型的には3.5ポンドの量で添加する。典型的なAKDは、スウェーデン、ボーアスのEKAケミカルズ(EKA Chemicals)から入手することができるマイクロ粒子及びナノ粒子系で用いるために特別に配合された陽イオン性澱粉で安定化されたアリルケテン二量体であるキイダイム(KEYDIME)C125として市場で市販されている。この特別なAKDも自己保持特性及び高効率を示し、上昇した湿潤端部温度に耐える。
【0070】
前記方法中の後の方で、例えば、サイズプレス又はカレンダースタックで、第二処理を行ってもよい。好ましい態様としてこの第二処理は、アクリレート(製造される紙について0.5〜2ポンド/1000ft、典型的には1ポンド/1000ft)と、合成ポリエチレン(1〜20重量%、典型的には10重量%)、架橋剤、例えば、酸化亜鉛(0.1〜10重量%、典型的には3重量%)との混合物を適用することを含んでいる。第二処理で用いられる添加剤の残余は、典型的には、溶媒、好ましくは水である。典型的なアクリレートには、ニュージャージー州、ギレットのゲルナー・アンド・カンパニー(Gellner & Co.)から入手できるゲルナーK−21として販売されているメチルメタクリレートが含まれる。典型的な再パルプ化可能な合成ポリエチレンは、ウィスコンシン州ラシーヌのジョンソン・ワックス・スペシャルテイ・ケミカルズ(Johnson Wax SpecialtyChemicals)から夫々入手できるジョンワックス(JONWAX)22、ジョンワックス26、ジョンワックス28、及びジョンワックス120の商標名で販売されている。
【0071】
しかし、修正された湿潤端部用途(WEGP)に都合がよいように、サイズプレス又はカレンダースタックでの適用を除外することも更に本発明の範囲以内に入ると考えられる。一つの態様として、アクリル含有樹脂(例えば、乾燥重量で10〜40ポンド/t)及びAKD(乾燥重量で1〜20ポンド/t)を、湿潤端部で添加する。好ましいWEGPは、アクリル樹脂としてゲルナーK−21(乾燥重量で20又は35ポンド/t)及びAKD成分としてキイダイム125C(乾燥重量で7/ポンドt)を含む。他の典型的なWEGP組成物は、乾燥重量で約15〜40ポンド/tのゲルナーK−21含有樹脂及び乾燥重量で約2〜10ポンド/tのAKD、例えば、キイダイム125C、例えば、乾燥重量で35又は20ポンド/tのアクリル含有樹脂及び7ポンド/tのAKDを含む。
【0072】
この方法で処理された中判紙は、慣用的カスケードワックス被覆した中判紙と少なくとも同じ位大きい耐湿性を示すことが、実験により示されている。更に、「湿潤端部でのみ」処理した中判紙(WEGP)は、「湿潤端部+カレンダースタック」処理された上述の中判紙と比較して、耐湿性に関して同等の性能を有する。Cobb試験(参考のため全体的にここに入れてあるTAPPI T441参照)、リング破壊試験、及びコンコラー(Concora)試験(参考のため全体的にここに入れてあるTAPPI T809参照)により測定してg/mで表して、例えば30秒を越える表面水吸収性を示している。更に、カレンダースタック処理を除外することにより、製紙機を一層速い速度で作動させることができる。なぜなら、RPCを湿潤端部に添加し、カレンダー又はサイズプレスでは添加しないと、機械の速度を2倍にすることができるからである。下の表VIIでは、WEGP化学的媒体が比較されており、その場合、各試験は、夫々参考のため全体的にここに入れてある各TAPPI試験法に記載されている標準に従って行われている。
【0073】
【表6】

【0074】
表VIIの「WEGP AKDサイズプレス」例では、次のRPC(RPC−2)を用いた;ジョンクリル(JONCRYL)82(重量で、60%);ジョンクリル61LV(20%);酸化亜鉛(3%)、水酸化アンモニウム(3%);ジョンワックス28(5%)、及び残余の、希望の粘度まで希釈するための水。ジョンワックス82は、ジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズから入手できる耐熱性重合体である。ジョンクリル61LVは、ジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズから入手できるアクリル酸含有樹脂組成物であり、ジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズから入手できるジョンクリル678(35.0重量%)、アンモニア28%、(7.5重量%)、エチレングリコール(0.15重量%)、イソプロピルアルコール(5.0重量%)、水(51.0重量%)を含み、及び場合により一種類以上のアクリル酸含有樹脂と混合されている。
【0075】
表VIIの「WEGP AKD」例では、次のRPC(RPC−3)を用いた:ゲルナーK−21(乾燥重量で35ポンド/t)及びキイダイムC125(乾燥重量で7ポンド/t)。
【0076】
表VIIで用いたようなWEGP AKDを、それが陽イオン性であるため、製紙過程の湿潤端部で用いる。これに対し、サイズプレス組成物は、サイズプレスで用いられるように非イオン性重合体を用いる。従って、WEGPサイズプレス中判紙は、WEGP AKD中判紙と比較すると、Cobb試験で一層低い水吸収性を示し、ガーレー試験では一層低い多孔度を示し、坪量及び基礎重量結果では僅かに一層高くなっている。
【0077】
本発明に従って製造される典型的なライナーを、棒被覆第一工程及び上表面被覆第二工程にかける。第一工程では、1ポンド/1000ftと50%スチレン・ブタジエンゴムラテックス(50重量%)との混合物を次の組成物と共に添加する:
成分
ジョンクリル82 40〜70%、好ましくは60%(重量)
アクリル 5〜30%、好ましくは20%
架橋剤 0.5〜10%、好ましくは3%
水酸化アンモニウム 0.5〜10%、好ましくは3%
ポリエチレン 0.5〜10%、好ましくは5%
水 残余
【0078】
然る後、上表面被覆工程を、第一工程で用いたRPCと同様なRPCを用いて行う。特に、第二工程のRPCはラテックスを欠いている。
【0079】
典型的なアクリルは、ジョンソン・ワックス・スペシャルティー・ケミカルズからのジョンクリル61LV、アクリル樹脂の33%アンモニア溶液である。上で論じた架橋剤は典型的には酸化亜鉛であるが、ポリエチレンは好ましくはジョンワックス28、再パルプ化可能な微細粒子ポリエチレンエマルジョンであり、製品を機械で処理する時のための単なるスリップ利点のために添加される。多くの合成ポリエチレンが「ワックス」として分類されているが、本発明により添加される低レベルのポリエチレンは、慣用的ワックスとしての性能を果たすのには不充分である。これとは対照的に、慣用的ワックス被覆は、パラフィンワックスのような天然ワックスを遥かに高いレベル、屡々乾燥重量で6ポンド/tより大きな量で用いている。
【0080】
次ぎのものは第一工程で用いられる典型的なRPC(今後RPC−1と呼ぶ)である:メチルメタクリレート(乾燥重量で35ポンド/t)、酸化亜鉛(3重量%)、及びキイダイム125C(乾燥重量で3.5ポンド/t)。好ましくはRPC−1の使用に続き10重量%のジョンワックス22合成再パルプ化可能ワックスを適用する。場合によりトウモロコシ澱粉のような澱粉を4重量%まで含有させる。
【0081】
上で詳細に述べたように、本発明による被覆組成物に陽イオン性粒子を含有させることは有利である。そのような陽イオン性粒子は無機(例えば塩)又は有機(例えば、単量体又は重合体)でもよい。更に、陽イオン性の人工的帯電を与えた非イオン性及び陰イオン性重合体を用いることもできる。換言すれば、非陽イオン性材料を湿潤端部へ導入する場合、保持助剤を、典型的には非陽イオン性材料と予め混合し、陽イオン性粒子の懸濁及び陰イオン帯電繊維への結合活性化を行うために用いられることがある天然陰イオン性繊維とそれとの結合を一層よく成功させることができる。そのような帯電粒子系は、上で詳細に述べたアクリル含有樹脂及び/又はASA/AKD添加剤として、又はそれと組合せて、又はその代わりに用いてもよく、製紙過程のどの段階で適用してもよく、例えば、湿潤端部で、又はカレンダースタックで、又は紙製品の製造に続く被覆として適用することができる。従って、陽イオン性重合体を使用することは、即ち、保持助剤を用いずにそれを使用することは、そのような保持助剤を必要とするそのような典型的な製品よりも一層効果的である製品を与える結果になる。典型的な粒子は、約10,000〜100,000、典型的には約30,000〜50,000の数平均分子量を有する。しかし、好ましい陽イオン性材料は、ゲルナー・アンド・カンパニーからのゲルナー・オットポル(OTTOPOL)K21、アクリル共重合体、及びニューヨークのゲンコール(GenCor)又はチェスター(Chester)からの高密度ポリエチレンの陽イオン性エマルジョンである、ポリエマルジョン(Poly Emulsion)392C30である。
【0082】
例えば、陽イオン性材料は、アクリル含有樹脂を含んでいてもよい。適当な陽イオン性アクリル樹脂には、日本の三菱ユカ・ファイン(Yuka Fine)により製造されているSTH−55、及びニュージャージー州マウントオリーブのBASF社(BASF Corporation)から入手できるバソプラスト(BASOPLAST)265Dが含まれる。
【0083】
更に、陽イオン性材料は、湿潤端部で発生した耐湿性を向上するための陽イオン性ワックスでもよい。そのような配合物は実質的にRPC−1と同様であり、この場合、配合物の約1〜約20%が合成ワックスポリエチレンのような陽イオン性ワックスである。陽イオン性ワックスは、RPCの約2〜約18、一層好ましくは約4.0〜約16.0%を構成するのが好ましい。
【0084】
本発明を特定の態様について記述してきたが、特許請求の範囲及びそれと同等のものから離れることなく、それら態様に従って種々の修正を行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、本発明は、ここに開示した特定の態様に限定されるものと解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】図1は、典型的な製紙機の模式的斜視図である。
【図2】図2は、別の被覆法の模式的側面図である。
【符号の説明】
【0086】
10 製紙機
11 湿潤端部
12 ヘッドボックス
13 すき網
14 ダンディロール
15 プレス領域
16 乾燥領域
18 サイズプレス
20 カレンダー領域
22 親リール
32 遊びロール
30、40、50、60 堆積物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
完成紙料をすき網の上に堆積させ、脱水する製紙方法において:
アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分を含む有効な量の混合物、及び場合によりアクリル酸含有組成物を含む混合物を前記完成紙料に添加することを含むことを改良点とする製紙方法。
【請求項2】
混合物がアクリル酸含有組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
混合物が、更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに充分な量で架橋剤を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
架橋剤が有機化合物を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
架橋剤が、酸化亜鉛、酸化アンモニウム、酸化カルシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、酸化アルミニウム、イソステアリン酸塩、酸化マグネシウム、酸化第一錫、酸化タングステン、タングステン酸ナトリウム、タングステン酸ナトリウム二水和物、酸化チタン、ステアリン酸アルミニウム、亜鉛オクトエート、脂肪酸の亜鉛塩、酸化ジルコニウム、イソステアリン酸カルシウム、脂肪酸のカルシウム塩、脂肪酸のマグネシウム塩、及び脂肪酸のアルミニウム塩からなる群から選択された少なくとも一種類である、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
製造される紙が、クラフト紙、ライナーボード、及び中判紙からなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
更に、澱粉含有成分を完成紙料に添加する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
完成紙料が、原料、リサイクルされた繊維を含む原料を含み、前記リサイクルされた繊維がアクリル酸含有組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
完成紙料をすき網の上に堆積し、脱水して紙を形成し、その脱水した紙を次に何回もプレスして更に紙の水含有量を減少させる製紙法において、アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分を含む組成物、及び場合によりアクリル酸含有組成物を含む組成物である有効な量の組成物を含む混合物を、第一プレス工程の後の脱水された紙の少なくとも一方の側に添加することを含むことを改良点とする製紙方法。
【請求項11】
組成物がアクリル酸含有組成物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
混合物が、更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに有効な量で架橋剤を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
混合物を、第一プレス工程の後の脱水された紙の両面に適用する、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
完成紙料をすき網の上に堆積し、脱水して紙を形成し、その脱水した紙を次にプレスして更に紙の水含有量を減少し、次にカレンダー掛けする製紙方法において、アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分を含む組成物、及び場合によりアクリル酸含有組成物である組成物を有効な量含む混合物を、プレス工程とカレンダー掛け工程との間で、紙の少なくとも一方の側に導入することを含むことを改良点とする製紙方法。
【請求項16】
混合物が、更にアクリル酸含有組成物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
混合物が、更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに有効な量で架橋剤を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
混合物を、紙の両面に導入する、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
次の工程:
(A) すき網に完成紙料を適用し、
(B) 前記完成紙料を脱水し、水含有紙を得、
(C) 前記水含有紙をプレスして水含有量を減少し、
(D) 前記プレスした紙をカレンダー掛けし、
(E) 仕上げた紙を回収し、そして
(F) アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分、及び場合によりアクリル酸含有組成物を有効な量含む被覆を添加する、
工程を含む製紙方法。
【請求項21】
被覆が、アクリル酸含有組成物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
被覆が、更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに有効な量で架橋剤を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
工程(G)での被覆の添加が、更に澱粉含有組成物を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
被覆を、製紙過程中に2回以上添加する、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項20に記載の方法。
【請求項26】
アルキルケテン二量体及びアルキレンコハク酸無水物からなる群から選択された少なくとも一種類の成分;
アクリル酸含有組成物;及び
場合により木質繊維:
を含む組成物。
【請求項27】
更に、木質繊維を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに充分な量で架橋剤を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項29】
架橋剤が、酸化亜鉛、酸化アンモニウム、酸化カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、イソステアリン酸塩、ステアリン酸カルシウム、酸化第一錫、酸化タングステン、酸化チタン、亜鉛オクトエート、ステアリン酸アルミニウム、酸化アルミニウム、脂肪酸の亜鉛塩、酸化ジルコニウム、イソステアリン酸カルシウム、脂肪酸のカルシウム塩、脂肪酸のマグネシウム塩、及び脂肪酸のアルミニウム塩からなる群から選択された少なくとも一種類である、請求項28に記載の組成物。
【請求項30】
更に、澱粉含有組成物を含む、請求項26に記載の組成物。
【請求項31】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
紙又はクラフト原料を与え;
前記紙又は原料に、被覆として水性樹脂含有組成物を希望の被覆量を越える量で適用し;
然も、前記水性被覆組成物は、アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分、及び場合によりアクリル酸含有組成物を含み;
前記過剰量の被覆材料で被覆された前記紙又は原料から望ましくない被覆材料を計量し、前記被覆に対し流体の流れを向けることにより除去し;
前記紙又は原料上の被覆を固化し;そして
被覆された紙又はクラフト原料を得る:
工程を含む被覆された紙又はクラフト原料を製造する方法。
【請求項33】
水性被覆組成物が、更に澱粉含有組成物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項34】
水性組成物が、アクリル酸含有組成物を含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
水性組成物が、更に、アクリル酸含有組成物を架橋するのに充分な量で架橋剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
流体が、方向付けされた空気流である、請求項32に記載の方法。
【請求項37】
望ましくない被覆材料を回収し、少なくとも幾らかの前記回収材料を再び混合し、前記紙又は原料に適用する、請求項32に記載の方法。
【請求項38】
被覆が、重合可能陽イオン性組成物を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項39】
完成紙料をすき網の上に堆積し、脱水する製紙方法において:
アルキルケテン二量体(AKD)及びアルキルコハク酸無水物(ASA)からなる群から選択された少なくとも一種類の成分、及び場合により重合可能な陽イオン性組成物を含む組成物を有効な量含む混合物を前記完成紙料に添加することを含むことを改良点とする製紙方法。
【請求項40】
混合物が、重合可能な陽イオン性組成物を含む、請求項39に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−521474(P2006−521474A)
【公表日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547118(P2004−547118)
【出願日】平成15年10月24日(2003.10.24)
【国際出願番号】PCT/US2003/033743
【国際公開番号】WO2004/037930
【国際公開日】平成16年5月6日(2004.5.6)
【出願人】(505151977)スペクトラ − コテ コーポレイション (1)
【Fターム(参考)】