説明

製紙における添加剤としての第四級ビニルアミン含有ポリマー

アミン基がカチオン性官能基で置換されているビニルアミン含有ポリマーを開示する。かかるポリマーの製造方法、ならびにかかるポリマーを含む組成物も開示する。他の用途もある中で、これらのポリマーは、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留向上剤、濾水性向上剤、ならびにピッチおよび粘着物制御剤として製紙用途において使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミン基がカチオン性官能基で置換されているビニルアミン含有ポリマーおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部分的または完全に加水分解されたポリビニルホルムアミド(すなわち、ポリビニルアミン)は、両方とも、製紙における乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留向上剤(retention aid)および濾水性向上剤(drainage aid)として使用することができる。ポリビニルアミンは、線状の主鎖構造、および2つの炭素単位ごとに1つの第一級アミン基を有し、その第一級アミン官能基が高密度であることに起因して、水性系では高度にカチオン性である。これらのポリマーは、この高密度の第一級アミン基の結果として強い水素結合能力を有する。米国特許第2,721,140号は、高い湿潤強度を有する紙を製造するための添加剤としてのポリビニルアミンの使用を開示しており、一方、米国特許第5,961,782号は、架橋性のクレーピング用接着剤配合物を作製するためのポリビニルアミンの使用を開示している。米国特許第4,421,602号は、N-ビニルホルムアミド単位およびビニルアミン単位を含有する部分的に加水分解されたN-ビニルホルムアミドの水溶性ポリマーを開示している。この米国特許第4,421,602号は、ポリビニルアミン、および50%加水分解されたポリビニルホルムアミドの、製紙プロセスにおけるパルプ繊維の凝集効率、微細繊維保持率、および濾水率を高めるための使用も開示している。一方、米国特許第6,159,340号は、このようなポリマーの、紙および板紙製造における乾燥紙力増強剤および湿潤紙力増強剤としての使用を開示している。米国特許第6,616,807号および同第6,797,785号は、製紙における濾水性向上剤、凝集剤、および歩留向上剤としてのポリビニルアミンの使用を開示している。
【0003】
ポリビニルアミンは、一般に、N-ビニルホルムアミドモノマーの溶液ラジカル重合を行い、次いで、塩基触媒または酸触媒の作用によって加水分解し、それによってポリマー主鎖中の第一級アミンを脱保護してギ酸を放出させることによって製造される。米国特許第4,774,285号は、N-ビニルホルムアミドモノマーをさらなるビニルモノマー、例えば酢酸ビニルと共重合させ、その後加水分解して、製紙用の湿潤および乾燥紙力増強剤として使用することができるビニルアミンとビニルアルコールとの水溶性コポリマーを製造することができることを開示している。米国特許第5,630,907号は、ビニルアミンとアクリル酸単位との両方を含有するコポリマー組成物、およびその用途を開示している。米国特許第6,797,785号は、ビニルアミン単位を、ジアリルジメチルアンモニウム(クロライド)(DADMAC)単位またはアクリルアミド単位のいずれかとの組合せで含有する、逆乳化重合によるコポリマー、およびその製紙における凝集剤および凝固剤としての使用を開示している。EP0251182は、製紙において、濾水性向上剤、歩留向上剤、および紙製品の乾燥強度を増強するためのウェットエンド添加剤として使用するための、ビニルアミン単位とアクリロニトリル単位とを含有するコポリマーを開示している。一般に、これらのコポリマーは、炭素-炭素結合を介して直鎖状にランダムに一緒に結合したビニルアミン単位および追加のビニル単位を含有し、この追加のビニル単位は、ポリマー主鎖中のビニルアミン単位の密度を低下させ、それによってポリビニルアミンホモポリマーと比較してより低いカチオン電荷密度がもたらされる。
【0004】
ポリビニルアミンのアミン官能基は、反応性官能基を有する様々な化合物と反応することができる。ポリビニルアミンの重合後の官能基による化学変性は、変更された物理的性質および適用特性を有するポリビニルアミン誘導体を製造するための代替的手段である。米国特許第5,994,449号は、エピハロヒドリンと、ポリ(ビニルアミン-co-ビニルアルコール)コポリマーおよびポリアミノアミドの混合物との反応生成物である樹脂組成物、ならびにこれらの組成物のクレーピング用接着剤としての使用を開示している。米国特許第5,269,942号は、脱インキループ浄化のための第四級化したポリビニルアミンの使用を開示しており、米国特許第5,292,441号は、廃水浄化のための凝集剤としてのそれらの使用を開示している。これら2つの例における第四級化ポリビニルアミンは、ポリビニルアミンと、第四級化剤(例えば、塩化メチル、硫酸ジメチル、または塩化ベンジルなど)との反応から得られる。米国特許出願公開第2008/0009596号は、アミド、エステルおよび酸を含むα,β-不飽和アルキルカルボニル化合物によって変性されたポリビニルアミン含有ポリマーを開示している。特に、アクリルアミドにより変性されたポリビニルアミン含有ポリマーは、乾燥強度が改良された板紙製品のための製紙プロセスにおける添加剤として特段の有効性を示した。米国特許第6,864,330号は、PEGでグラフト化されたポリビニルアミン誘導体を開示しており、また、そのグラフトポリマーの第一級アミンを、第四級アンモニウム基を含有するエポキシドと反応させることによってさらにカチオン化することができることも開示している。このグラフトポリマーは、PEGの存在下でビニルホルムアミドをラジカル反応によって重合することによって調製され、ポリビニルアミンホモポリマーおよびコポリマーとは構造的に異なっている。ブチルグリシジルエーテルにより変性されたビニルアミン含有ポリマーが、米国特許第5,324,787号に記載されている。クロロ酢酸ナトリウムにより変性されたビニルアミン含有ポリマーが、米国特許第6,133,392号に記載されている。米国特許第5,430,110号は、第四級化されたビニルアミン含有ポリマーについて記載しているが、紙製品の乾燥紙力の増強または製紙システムの濾水性の向上にお
けるそれらの有用性については記載していない。特開平10-110010号は、第四級化ビニルアミン含有ポリマーについて記載しているが、どの特定の組成物が製紙システムの紙製品の乾燥紙力および濾水性に対して最も有用であるかを明確に述べてはいない。米国特許出願公開第12/221,220号は、第四級化ビニルアミン含有ポリマーについて記載している。本発明と比較して、米国特許出願公開第12/221,220号は、発明のより具体的に限定した部分を提示しており、そこでは、ポリビニルアミン含有ポリマーを特定の比率の第四級化剤と反応させることが好ましく、これにより、得られる変性されたビニルアミンを含有するポリマーに驚くほど高い正の電荷密度が与えられ、製紙用途において使用する場合に予想外の高められた乾燥紙力、濾水性、および固定性を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第2,721,140号
【特許文献2】米国特許第5,961,782号
【特許文献3】米国特許第4,421,602号
【特許文献4】米国特許第6,159,340号
【特許文献5】米国特許第6,616,807号
【特許文献6】米国特許第6,797,785号
【特許文献7】米国特許第4,774,285号
【特許文献8】米国特許第5,630,907号
【特許文献9】米国特許第6,797,785号
【特許文献10】EP0251182
【特許文献11】米国特許第5,994,449号
【特許文献12】米国特許第5,269,942号
【特許文献13】米国特許第5,292,441号
【特許文献14】米国特許出願公開第2008/0009596号
【特許文献15】米国特許第6,864,330号
【特許文献16】米国特許第5,324,787号
【特許文献17】米国特許第6,133,392号
【特許文献18】米国特許第5,430,110号
【特許文献19】特開平10-110010
【特許文献20】米国特許出願第12/221,220号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、第7版、(McGraw-Hill, New York, 1999)18〜78頁
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、式(I)または(II):
【0008】
【化1】

【0009】
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含む変性されたビニルアミンを含有するポリマーであり、前記ポリマーは、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、または(VIII):
【0010】
【化2】

【0011】
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を場合によってさらに含んでいてよく、式中、X-は、任意のアニオン、好ましくはCl-、Br-、またはI-であり;R1は、12個以下の炭素を含有し、場合によってヒドロキシルで置換されていてもよい直鎖または分枝アルキル基であり、好ましくは、R1は、-CH2CH(OH)CH2-または-CH2CH2-であり;R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくはCH3であり;R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくは、HまたはCH3、より好ましくはHであり;R5およびR6は、同じであるかまたは異なり、H、22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、-COOH、-COOR2、-CH2CO2H、-CH2CO2R2、-CH2NR2R3、-NR2R3、-CONR1R4、-OH、-OCOR2、-OR2、-NO2、-CN、-N+(CH3)3、アルケニル、アルキニル、またはアルカノキシル(alkanoxyl)であり;n1、n2、m1、m2、m3、m4、m5、およびm6は、前記ポリマー中に存在する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII)のランダムに分布した繰り返し単位のモルパーセントを示す負の数ではない0〜100の数であり、ここで、n1、n2、m1、m2、m3、m4、m5、およびm6は、独立に、0モルパーセントであってよく、n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超える。破線は、ポリマーの主鎖内の繰り返し単位に連結している結合を表す。
【0012】
前記ポリマーの一実施形態において、n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超え、10モルパーセント未満である。
【0013】
別の実施形態の製紙方法は、有効量の本発明のポリマーを抄紙機のウエットエンドに添加する工程を含み、前記ポリマーは、式(I)および(II)の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含む。
【0014】
本発明の別の実施形態は、ビニルアミン含有ポリマーを、カチオン性官能基およびアミン反応性官能基を含有するアルキル化剤からなる化合物と反応させる工程を含む、変性されたビニルアミン含有ポリマーの製造方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明において記載する組成物は、製紙プロセスにおける添加剤として使用する場合に、乾燥紙力、湿潤紙力、濾水性、および紙の固定性を高めるために使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本明細書で用いる単数形の語「ある(a)」および「その(the)」は、同義であり、文脈が明らかにそれと相容れない意味を示さない限り、「1つまたは複数」または「少なくとも1つ」と互換的に用いられる。したがって、例えば、本明細書または添付の特許請求の範囲において「(ある)化合物」は、単一の化合物または1つより多い化合物を指し得る。さらに、全ての数値は、特に指定しない限り、「約」の語によって修飾されているものと理解すべきである。
【0017】
本発明の1つの態様は、アミン基がカチオン性部分で置換されているビニルアミン含有ポリマーを対象とする。
【0018】
別段の指定をしない限り、本明細書において用いる「ビニルアミン含有ポリマー」の用語は、ビニルアミンのホモポリマー(例えば、ポリビニルアミンまたは完全に加水分解されたポリビニルホルムアミド)、ビニルアミンとその他のコモノマーとのコポリマー、部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミド、部分的に加水分解されたビニルホルムアミドコポリマー、ビニルアミンターポリマー、アクリルアミドポリマーのホフマン変性(Hoffmann modification)によって製造されたビニルアミンホモ-およびコポリマーを意味するものと理解すべきである。
【0019】
本発明は、重合後に化学的に変性されたビニルアミン含有ポリマーの変形に基づいている。
【0020】
本発明のポリマーは、式(I)および(II):
【0021】
【化3】

【0022】
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含み、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII):
【0023】
【化4】

【0024】
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を場合によってさらに含んでいてもよく、式中、X-は、任意のアニオン、好ましくはCl-、Br-、またはI-であり;R1は、12個以下の炭素を含有し、場合によってヒドロキシルで置換されていてもよい直鎖または分枝アルキル基であり、好ましくは、R1は、-CH2CH(OH)CH2-または-CH2CH2-であり;R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくはCH3であり;R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくは、HまたはCH3、より好ましくはHであり;R5およびR6は、同じであるかまたは異なり、H、22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、-COOH、-COOR2、-CH2CO2H、-CH2CO2R2、-CH2NR2R3、-NR2R3、-CONR1R4、-OH、-OCOR2、-OR2、-NO2、-CN、-N+(CH3)3、アルケニル、アルキニル、またはアルカノキシルであり;n1、n2、m1、m2、m3、m4、m5、およびm6は、前記ポリマー中に存在する式(I)、(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII)のランダムに分布した繰り返し単位のモルパーセントを示す負数ではない0〜100の数であり、ここで、n1、n2、m1、m2、m3、m4、m5、およびm6は、独立して0モルパーセントであってもよく、n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超える。式中の破線は、前記ポリマーの主鎖内の前記繰り返し単位に連結する結合を表す。
【0025】
本発明は、n1またはn2が0.1モルパーセントを超える場合には、エトキシ化ポリマーを含まない。
【0026】
本発明のポリマーの一実施形態において、n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超え、10モルパーセント未満であり、好ましくは0.2〜8モルパーセントである。
【0027】
本発明の一実施形態は、ビニルアミンを含有するポリマーが第四級アミン基を有するアルキル化剤によってカチオン化されている、式(I)のランダムに分布した繰り返し単位を含むポリマーである。この実施形態において、X-は、任意のアニオン、好ましくはCl-であり;R1は、12個以下の炭素を含有し、ヒドロキシルで場合によって置換されていてもよい直鎖または分枝アルキル基であり、好ましくは、R1は-CH2CH(OH)CH2-であり;R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくはCH3であり;R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくは、HまたはCH3、より好ましくはHであり;n1は、0.1、1、2、3、または5から8、10、20、30、40、50、60、70、または100モルパーセントまでの範囲であり;n1とn2の合計は、0.1、1、2、3、または5から8、10、20、30、40、50、60、70、または100モルパーセントまでの範囲、好ましくは、1〜70モルパーセントの範囲、より好ましくは、1.5〜60モルパーセントの範囲、より好ましくは、1.75〜50モルパーセントの範囲、より好ましくは、2〜40モルパーセントの範囲、より好ましくは、2.5〜30モルパーセントの範囲、最も好ましくは、3〜20モルパーセントの範囲である。
【0028】
本発明の一実施形態は、ビニルアミンを含有するポリマーが第四級アミン基を有するアルキル化剤によってカチオン化されている、式(II)のランダムに分布した繰り返し単位を含むポリマーである。この実施形態において、X-は、任意のアニオン、好ましくはCl-であり;R1は、12個以下の炭素を含有し、ヒドロキシルで場合によって置換されていてもよい直鎖または分枝アルキル基であり、好ましくは、R1は-CH2CH(OH)CH2-であり;R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくはCH3であり;R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、好ましくは、HまたはCH3、より好ましくはHであり;n2は、0.1、1、2、3、または5から8、10、20、30、40、50、60、70、または100モルパーセントまでの範囲であり;n1とn2の合計は、0.1、1、2、3、または5から8、10、20、30、40、50、60、70、または100モルパーセントまでの範囲、好ましくは、1〜70モルパーセントの範囲、より好ましくは、1.5〜60モルパーセントの範囲、より好ましくは、1.75〜50モルパーセントの範囲、より好ましくは、2〜40モルパーセントの範囲、より好ましくは、2.5〜30モルパーセントの範囲、最も好ましくは、3〜20モルパーセントの範囲である。
【0029】
本発明の別の実施形態は、ポリマーであって、このポリマーは、約4,000〜約2,000,000ダルトンの範囲の分子量、より好ましくは、約10,000〜約1,000,000ダルトンの範囲の分子量、より好ましくは、約20,000〜約800,000ダルトンの範囲の分子量、最も好ましくは、約75,000〜約600,000ダルトンの範囲の分子量を有する。本発明のポリマーは、4000ダルトンを超える、好ましくは、10,000ダルトンを超える、好ましくは、20,000ダルトンを超える、好ましくは、75,000ダルトンを超える分子量を有する。本発明のポリマーは、2,000,000ダルトン未満、好ましくは、1,000,000ダルトン未満の、最も好ましくは、800,000ダルトン未満の分子量を有する。
【0030】
本発明の別の実施形態は、ポリマーであって、このポリマーは、特定のMutek滴下法にしたがって、pH7.0において、少なくとも5.0ミリ当量/g、より好ましくは、少なくとも6.0ミリ当量/g、より好ましくは、少なくとも6.5ミリ当量/g、最も好ましくは、少なくとも7.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する。
【0031】
別の実施形態は、ビニルアミン含有ポリマーと、カチオン性官能基およびアミン反応性官能基を含有するアルキル化剤からなる群から選択される化合物とを反応させる工程を含む、変性されたビニルアミン含有ポリマーの製造方法である。
【0032】
本発明において有用なカチオン化剤またはアルキル化剤としては、これらだけに限定されないが、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、(2-クロロエチル)トリメチルアンモニウムクロライド、および、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル-アルキル-ジメチルアンモニウムクロライド(アルキル基が、ドデシル(ラウリル)、オクタデシル(ステアリル)、またはココアルキルであるもの)が挙げられる。
【0033】
本発明の一実施形態において、カチオン化剤は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0034】
第一級アミン部分に加えて、部分的に加水分解されたポリビニルホルムアミドとビニルアミンとのコポリマーは、典型的には、一般式(V)を有するランダムに分布したアミジン官能基を含む。アミジン官能基の量(level)は、加水分解条件(例えば、時間、温度、酸または苛性剤の処理および量など)およびその他の要因次第である。当業者であれば、式(I)のランダムに分布した繰り返しモノマー単位を生じさせる第一級アミン官能基のアルキル化が、アミジン官能基の窒素原子上でも起こり、X-、R1、R2、R3、およびR4が上で定義したとおりである式(II)のランダムに分布したモノマー単位がもたらされ得ることを理解するであろう。理論に拘束されることは望まないが、アルキル化工程が、式(III)のホルムアミド官能基に隣接する式(IV)の第一級アミン官能基の窒素原子上で起こる場合には、平衡化工程がその後に起こり、上述により定義したX-、R1、R2、R3、およびR4を有する式(II)のランダムに分布したモノマー単位ももたらされ得る。
【0035】
本発明の方法において使用するビニルアミン含有ポリマーは、ビニルアミンホモポリマー(すなわち、ポリビニルアミン)、ビニルアミンコポリマー、ビニルアミンターポリマー、または重合後化学的に変性されたビニルアミン含有ポリマーからなる群から好ましくは選択する。本発明の方法において使用するビニルアミン含有ポリマーは、最も好ましくはポリビニルアミンである。
【0036】
ビニルアミン含有ポリマーのペンダントアミンにカチオン性官能基含有置換基を付加することによって、得られるポリマーの総質量が増大し、それによってポリマーの分子量が増大し、さらに、得られるポリマーのカチオン電荷分布も変化する。本発明の方法において用いるカチオン性官能基およびアミン反応性官能基を有するアルキル化剤は、最も好ましくは、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドである。理論に拘束されることは望まないが、ポリマーのカチオン電荷密度は、アミン反応性変性剤を付加すると、低下することが予想される。本発明におけるポリマーのpH7.0でのカチオン電荷密度は、少なくとも5.0ミリ当量/g、より好ましくは、少なくとも6.0ミリ当量/g、より好ましくは、少なくとも6.5ミリ当量/g、最も好ましくは、少なくとも7.0ミリ当量/gである。
【0037】
カチオン性官能基およびアミン反応性官能基を含むアルキル化剤(例えば、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドなど)を用いるビニルアミン含有ポリマーのアルキル化は、一般に水中で行うが、水/有機溶媒混合物中で行うこともできる。これらのアルキル化は、2、4、6、8、9、または10から、11.5、12、12.5、13、または14までの範囲のpH、好ましくは2〜14の範囲のpH、より好ましくは4〜14、より好ましくは6〜14、より好ましくは8〜14、より好ましくは9〜13、より好ましくは10.0〜12.5、最も好ましくは11.5〜12.0の範囲のpHで行うことができる。これらのアルキル化は、10、20、30、40、または50℃から、60、70、80、85、または90℃までの範囲の温度、好ましくは10℃〜90℃の範囲の温度、より好ましくは20℃〜85℃、より好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは40℃〜70℃、最も好ましくは50℃〜60℃の範囲の温度で行うことができる。これらのアルキル化は、5、10、15、20、30、40、または60分から、1、2、3、4、5、10、12、または25時間までの範囲の時間、好ましくは5分〜25時間、より好ましくは15分〜12時間、より好ましくは15分〜10時間、より好ましくは15分〜5時間、より好ましくは20分〜4時間、より好ましくは30分〜3時間、より好ましくは40分〜2時間行うことができ、最も好ましくは1時間〜90分行う。これらのアルキル化は、反応媒体中の活性ビニルアミン含有ポリマーの含量が、1、3、5、8、または10%から、20、25、30、40、または50質量パーセントまでの水中のポリマー固形分の範囲で行うことができ、好ましくは1〜50質量パーセント、より好ましくは3〜40質量パーセント、より好ましくは5〜30質量パーセント、より好ましくは8〜25質量パーセント、最も好ましくは10〜20質量パーセントの水中の活性ビニルアミン含有ポリマー固形分の範囲の反応媒体中のポリマー含量で行う。理論に拘束されることは望まないが、1-(N,N,N-トリメチルアンモニウムクロライド)-2-ヒドロキシプロピルとビニルアミン部分との間の結合は、アルカリおよび高温の両方の条件下では比較的化学的に安定であるために、比較的広い範囲の反応条件が可能である。
【0038】
理論に拘束されることは望まないが、完全に加水分解されたビニルホルムアミドは、理論的には、ビニルアミンの繰り返し単位(すなわち、ビニルアミンホモポリマー)のみからなり、各ビニルアミン繰り返し単位は、第一級アミンを1個有し、43の分子量を有する。さらに、完全に加水分解されたビニルホルムアミド中のビニルアミン繰り返し単位の全てを、理論的には、カチオン基およびアミン反応性官能基を有するアルキル化剤によってアルキル化することができる。したがって、例えば、ポリビニルアミンの全ての第一級アミンの20%を3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドによってアルキル化する場合は、そのモル比は、1:4、すなわち0.20である。
【0039】
ビニルアミン含有ポリマーを、カチオン基およびアミン反応性官能基を含有するアルキル化剤によってアルキル化する場合、アルキル化剤のビニルアミン単位に対するモル比は、好ましくは0.001、0.01、0.02、0.03、0.05を超えるが0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、または1.0未満であり、好ましくは0.01を超えるが0.7未満であり、より好ましくは0.015を超えるが0.6未満であり、より好ましくは0.0175を超えるが0.5未満であり、より好ましくは0.02〜0.4の範囲であり、より好ましくは0.025〜0.3の範囲であり、最も好ましくは0.03を超えるが0.2未満である。
【0040】
本発明の一実施形態において、カチオン基およびアミン反応性基を含有するアルキル化剤は、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドである。
【0041】
理論に拘束されることは望まないが、本発明のポリマーの分子量は、紙製品の強度改善のための製紙用添加剤としてのその使用のために重要である。分子量が低過ぎる場合には、ポリマーが有するパルプ繊維に対する保持率が不十分であり得る。分子量が高過ぎる場合には、ポリマーはパルプ繊維を過剰に凝集させる傾向がある。これは、紙力増強剤としてのそのポリマーの有効性を低下させる可能性がある。製紙用途においては、本発明のポリマーを調製するために使用するビニルアミン含有ポリマーの質量平均分子量(MW)は、4,000、10,000、20,000、50,000、75,000、100,000、150,000、または200,000から400,000、450,000、500,000、600,000、700,000、800,000、または1,000,000まで、好ましくは4,000〜1,000,000ダルトン、より好ましくは10,000〜1,000,000ダルトン、より好ましくは20,000〜800,000ダルトンの範囲、より好ましくは50,000〜700,000ダルトンの範囲、より好ましくは75,000〜600,000ダルトンの範囲、より好ましくは100,000〜500,000ダルトンの範囲、より好ましくは150,000〜450,000ダルトンの範囲、最も好ましくは200,000〜400,000ダルトンの範囲である。本発明のポリマーのMwは、好ましくは100,000〜1,000,000ダルトンの範囲、より好ましくは200,000〜600,000ダルトンの範囲、最も好ましくは250,000〜500,000の範囲である。
【0042】
本発明の一実施形態において、本発明のポリマーのMwは、200,000〜600,000ダルトンの範囲、より好ましくは250,000〜500,000の範囲であり、R1は、-CH2CH(OH)CH2-であり、R2およびR3は、同じ-CH3である。
【0043】
理論に拘束されることは望まないが、ペンダント状でランダムに分布している第四級アンモニウム基を有する本発明のビニルアミン含有ポリマーの電荷密度は、その第四級アミン官能基に起因して、水性媒体中でpHの影響をあまり受けないと考えられる。さらに、このようなポリマーは、粘着物およびピッチの制御剤としてより適切であると考えられる。さらに、多くの用途のために、高い正電荷密度が最も効果的であることが見出されている。理論に拘束されることは望まないが、ビニルアミン含有ポリマーをカチオン部分によって変性すると、一般的には、ポリマーの質量が十分に増加して全体の正電荷密度が減少するが、一方で、前記カチオン部分を20モルパーセント未満のモル比で付加する場合には、生成物は、特定のMutek滴定法によって測定して、未変性のビニルアミン含有ポリマーより全体的に高い電荷密度を示し得ることが考えられる。
【0044】
式(I)を有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含むビニルアミン含有ポリマーは、質量パーセントで活性ポリマー量が同じである未変性のビニルアミン含有ポリマーと比較して、低減された粘度を示す。理論に拘束されることは望まないが、この低減された粘度が、ポリマーの減少した水締め能力(water binding ability)に寄与し得、あるいは、ポリマーへの追加的な電解質導入によって粘度が低下する可能性がある。
【0045】
1つの好ましい実施形態において、式(I)または(II)ならびに(III)、(IV)、または(V)を有するランダムに分布した繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーは、紙製品のための乾燥紙力増強剤として、パルプ繊維の濾水を促進するため、ならびに、製紙プロセス中のパルプ繊維による微細物および充填剤の保持を高めるために用いることが好ましい。理論に拘束されることは望まないが、このポリマーが、モル数基準で、少なくとも1%、より好ましくは少なくとも5%、最も好ましくは少なくとも10%の未反応のペンダント第一級アミン基をポリマー主鎖上に有することが好ましい。理論に拘束されることは望まないが、このポリマーは、pH7.0において少なくとも5.0ミリ当量/g、より好ましくは少なくとも6.0ミリ当量/g、より好ましくは少なくとも6.5ミリ当量/g、最も好ましくは少なくとも7.0ミリ当量/gのカチオン電荷密度を有することが望ましい。
【0046】
乾燥強度試験における良好な性能が、未変性ポリマー中のビニルアミンに対して理論的に30モルパーセント未満の第四級化で見られる。さらに、同じ質量パーセントのポリビニルアミンに対して標準化する場合には、25モルパーセント未満のアルキル化剤によって変性された、第四級アミン基を有するポリマーは、未変性のポリビニルアミンと比較して同等以上の乾燥強度効果を与える。
【0047】
式(I)、(II)、または、(I)および(II)を有するランダムに分布した繰り返し単位を含むビニルアミン含有ポリマーの組成物は、板紙製品に対する望ましい適用特性も提供する。これらのポリマーは、乾燥パルプを基準として、0.01、0.02、0.03、0.05、0.08、または0.1質量パーセントから、0.5、0.6、0.75、1.0、1.5、または2.0質量パーセントまで、好ましくは乾燥パルプを基準として0.01〜2.0質量パーセント、好ましくは0.02〜1.5質量パーセント、より好ましくは0.03〜1.0質量パーセント、より好ましくは0.05〜0.75質量パーセント、最も好ましくは0.05〜0.5質量パーセントの範囲の処理濃度(treatment level)で有効である。
【0048】
本発明のポリマーは、ポリマーの特性を改良するために他の組成物と組み合わせて使用することができる。本発明のポリマーと組み合わせて使用することができる組成物は、カチオン性、またはアニオン性、または両性、または非イオン性の合成または天然のポリマーであり得る。例えば、本発明のポリマーは、紙製品の強度特性を向上させるためにカチオン性デンプンまたは両性デンプンと共に使用することができる。本発明のポリマーは、また、アニオン性ポリマー(例えば、ポリアクリル酸、アクリルアミドとアクリル酸とのコポリマー、または高分子電解質複合体を形成させるためのカルボキシメチルセルロースなど)、カチオン性ポリマー(例えば、アクリルアミドと2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレートとのコポリマー、架橋したポリアミドアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド、またはポリアミンなど)と組み合わせて使用することもできる。本発明のポリマーは、また、ポリマー状のアルデヒド官能性化合物(例えば、グリオキサル化ポリアクリルアミド、アルデヒドセルロース、およびアルデヒド官能性ポリサッカライドなど)との組合せで使用することもできる。個々の組成物または異なる組成物の任意の組合せを、本発明のポリマーと一緒に適用することができ、あるいは、本発明のポリマーの適用の前または後に連続して適用することができる。個々の組成物を本発明のポリマーと一緒にブレンドして、ブレンドした組成物を使用前に形成させることができる。
【0049】
本発明の実施形態を以下の実施例において明らかにする。これらの実施例は説明のためにのみ提供するものであることを理解されたい。したがって、本明細書に示し、記載する態様に加えて本発明の様々な変態が上記記載から当業者には明らかであろう。本発明を、具体的な手段、材料、および実施形態に関して説明するが、本発明は開示する特定の態様に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内の全ての均等態様に及ぶことを理解すべきである。
【実施例】
【0050】
ポリビニルアミンをPVAmと略記する。以下の例において、カチオン性官能基を含有するアルキル化剤によりアルキル化したPVAmを、例えば、PVAm第四級アンモニウム(10)のように記載することができる。括弧内の数字は、ビニルアミン単位に対して、反応で用いた3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドのモル%を表している。反応効率が100%である場合、ポリビニルアミン中の10モル%のビニルアミン単位が3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライドによってアルキル化される。このポリビニルアミン誘導体中の残りの未反応のビニルアミン単位は90モル%ということになる。
【0051】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)を用いて分子量を測定した。この分析は、ゲル浸透カラム(CATSEC4000+1000+300+100)とWaters 515シリーズ・クラマトグラフ装置を、移動相としての50:50のH2O:CH3CN中の1%NaNO3/0.1%トリフルオロ酢酸の混合物とともに用いて行った。流速は1.0mL/分であった。検出器は、ヒューレットパッカード1047A示差屈折率計であった。カラム温度は40℃に設定し、検出器温度は35℃に設定した。ポリマーの数平均分子量(Mn)および質量平均分子量(Mw)を、市販されている狭分子量の標準ポリ(2-ビニルピリジン)と対比して算出した。
【0052】
本発明におけるイオン化したポリマーの電荷密度(Mutek)を、コロイド滴定法を用いてpH7.0で測定した。電荷密度(ミリ当量/g)は、単位質量当りのカチオン電荷の量であり、ポリマー活性固形分1グラム当りのミリ当量で表す。ポリマー試料を、ポリビニル硫酸カリウム(PVSK)を用い、自動滴定装置(Brinkmann Titrino)を使用して固定滴定速度(0.1mL/用量、5秒)で0 mV電位まで滴定し、Mutek粒子電荷検出装置(Model PCD 03, BTG, Mutek Analytic Inc., 2141 Kingston Ct., Marietta, GA, USA)を終点検出のために使用する。
【0053】
ブルックフィールド粘度(BV)をDV-EまたはDV-II粘度計(ブルックフィールド粘度研究所、Middleboro, MA)を使用して測定した。選択したスピンドル(3番)を装置に取り付け、これを30RPMの速度に設定した。反応溶液を特定の固形分含量に調製する。空気の気泡を取り込まないように、ブルックフィールド粘度スピンドルを注意深くこの溶液中に挿入し、次に上述した速度で3分間、24℃で回転させた。単位はセンチポアズ(cps)である。
【0054】
本発明のポリマー中の活性ポリマーは、乾燥量基準で、そのポリマーを調製するために用いた全てのモノマーおよび変性用化合物の合計質量を、溶液中の百分率として表す。例えば、PVAm第四級アンモニウム(8)の試料は、活性成分N-ビニルホルムアミド(ポリビニルアミンのためのモノマー前駆体、71.1の分子量)および3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(65%水溶液、188.1の分子量)をそれぞれ29.3gおよび9.5gの量で含有する。記載されている変性されたポリマー溶液が298gの質量を有する場合、この試料は、11.9%の活性ポリマーを含有する。
【0055】
(実施例1)-PVAm第四級アンモニウム(8)
1Lの反応フラスコ内のポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能性添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能、12%活性ポリマー、250g)に、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10〜1 2.0にまで上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手可能、65%活性成分、9.53g)を5分間かけて添加し、その間、50%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを10.0〜12.0の範囲に維持した。得られた混合物を50℃で3時間撹拌し、50%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5〜11.5の範囲に維持した。周囲温度にまで冷却した後、pHを塩酸水溶液で8.5に調節し、31.9%の全固形分、15.5%の合計活性ポリマーを有する最終生成物を得た。電荷密度は、pH7.0において9.76ミリ当量/gと測定された。ブルックフィールド粘度は443cpsであった。SEC:Mw:319,000、Mw/Mn:5.20。ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363)のSEC:Mw:306,000、Mw/Mn:4.62。
【0056】
表 Iの実施例1-1〜1-9を、様々なモル比の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat 188、Dow Chemical Company、65%活性成分)対ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能性添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能、12%活性ポリマー)を用いて、実施例1に記載したとおりに調製した。
【0057】
【表1】

【0058】
第四級化PVAmの電荷密度は、変性の度合いが増すと共に連続的に減少することが予想された。表Iのデータは、第四級化の低い度合い(20モル%未満)において、測定された正電荷密度が、標準の未変性ポリビニルアミン含有ポリマー(Hercobond(登録商標) 6363)と比較したとき予想外に増加したことを示している。理論に拘束されることは望まないが、より高い電荷密度が測定された変性されたPVAmポリマーは、乾燥および湿潤強度試験において改良された性能を与えるようであり(表III参照)、このより高い電荷密度は、特に、前記ポリマーがPVAmポリマーに対して25モルパーセント未満で変性されたときにもたらされると考えられる。さらに、この変性されたポリマーは、ビニルアミン含有ポリマー主鎖の30モルパーセント以下のビニルアミン単位で変性された場合に著しく低い粘度を有する。この観察結果は、生成物中の活性ポリマーの割合が11.5パーセントから17.3パーセントに増えた場合でも維持され、その粘度は、未変性のビニルアミン含有ポリマーHercobond(登録商標) 6363の粘度より依然として際立って低い。
【0059】
(実施例2)-PVAmidine第四級アンモニウム(28)
1Lの反応フラスコ内の部分的に加水分解したポリビニルアミン溶液(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能性添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能、12%活性ポリマー、250g)に、水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10〜12.0に上げた。この反応混合物を50℃まで加熱し、次に3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat(登録商標)188、Dow Chemical Companyから入手可能、65%活性成分、36.1g)を、50%水酸化ナトリウム水溶液によりpHを10.0〜12.0の範囲に維持しながら5分間かけて添加した。得られた混合物を50℃で3時間撹拌し、50%水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHを9.5〜11.5の範囲に維持した。周囲温度にまで冷却した後、pHを塩酸水溶液で8.5に調節し、33.4%の全固形分、18.3%の合計活性ポリマーを有する最終生成物を生じさせた。電荷密度は、pH7.0において6.25ミリ当量/gと測定された。ブルックフィールド粘度は556cpsであった。SEC:Mw:319,000;Mw/Mn:5.46。
【0060】
表II中の実施例2-1および2-2を、様々なモル比の3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド(Quat 188、Dow Chemical Company、65%活性成分)対ポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能性添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能、12%活性ポリマー)を用いて実施例2に記載したとおりに調製した。
【0061】
【表2】

【0062】
(実施例3)- 製紙用途における乾燥紙力増強剤としての評価
上記実施例のポリビニルアミン誘導体を用いて作製した紙の乾燥強度を、基準(benchmark)の乾燥強度用樹脂であるポリビニルアミン(Hercobond(登録商標)6363、紙用機能性添加剤、Hercules Incorporatedから入手可能)を用いて作製した紙の乾燥強度と比較する。
【0063】
抄紙機械を使用して段ボール用ライナ紙を製造した。紙パルプは、50ppmの硬度、25ppmのアルカリ度、2.5%のGPC D15Fおよび2000μS/cmの導電率を有する100%リサイクルした媒体であった。この系のpHは7.0であり、パルプ濾水度はストック温度52℃で約380 CSFであった。基本質量は3000 ft2(279 m2)当り100 lbs(45.4 kg)(163 g/m2)であった。上記実施例で調製したポリビニルアミン誘導体を、乾燥紙力増強剤として、乾燥紙パルプに対して0.3質量%の活性ポリマーの濃度で抄紙機械のウェットエンドに添加した。別段示しない限り、OptiPlus 1030両性デンプン(National Starch, Bridgewater, NJ)およびPerForm(登録商標) PC 8713凝集剤(Hercules Incorporated, Wilmington, DE)を、それぞれ乾燥パルプの0.5%および0.0125%の量で、抄紙機のウェットエンドに添加した。リングクラッシュ試験、乾燥Mullen破裂試験、乾燥引張試験、および湿潤引張試験を用いて、乾燥強度の効果を測定した。
【0064】
乾燥強度試験の結果を下記表IIIに示す。ポリビニルアミン誘導体の性能を、乾燥強度用樹脂なしで製造した紙の乾燥強度の百分率として表す。高い数字ほど、これらの強度データに対するより良好な性能を示している。
【0065】
【表3】

【0066】
これらのデータは、未変性ビニルアミン含有ポリマーHercobond(登録商標) 6363およびHercobond(登録商標) 6350の乾燥強度を、第四級化によって改善または維持することができることを示している。さらに、ポリマー変性剤の添加により、ポリマーの総原価が低減され、同量のポリビニルアミンに基づく未変性ポリビニルアミンと比較して同等以上の乾燥強度効果がもたらされる。
【0067】
湿潤引張のデータは、同じポリビニルアミン含量を基準として、第四級化の度合いが高くなるにしたがって連続的に低下すると予想された。表III中のデータは、低度の第四級化(15モルパーセント以下)において、測定された湿潤引張強度が、活性ポリマーを基準として、標準の未変性ポリビニルアミン含有ポリマー(Hercobond(登録商標) 6363)と比較した場合にほぼ維持されていることを示している。その後、25モルパーセントの変性に至るまで、湿潤引張強度が漸減している。理論に拘束されることは望まないが、湿潤引張性能は、ポリマーが20モルパーセント未満の第四級化により変性される場合に最大となるようであり、ポリビニルアミン含量に対して標準化した場合には、20モルパーセント未満の第四級化により変性されたポリマーは幾分高めの湿潤強度性能を示し得る。同様に、表IIIは、ビニルアミン含有樹脂の第四級化のさまざまな度合いが、それらの生成物を用いて製造した段ボール用ライナの乾燥強度に対して及ぼす効果を示している。理論に拘束されることは望まないが、乾燥強度試験における最良の性能は、樹脂が、未変性ポリマー中でビニルアミンに対して理論的に30モルパーセント未満で変性されているときに観察される。さらに、同量のポリビニルアミンを基準として、25モルパーセント未満の第四級化により変性されたポリマーは、未変性のポリビニルアミンと比較して同等以上の乾燥強度効果を与える。より高い数字はこれらの強度データについてのより良好な性能を示す。
【0068】
【表4】

【0069】
表IVに、8モルパーセント第四級化されたポリビニルアミン含有ポリマーおよび部分的に加水分解された未変性ポリビニルアミンHercobond(登録商標) 6350紙用機能性添加剤剤(Hercules Incorporatedから入手可能)を使用して製造した紙の強度データを示す。Hercobond(登録商標) 6350の強度特性は、一般に、Hercobond(登録商標) 6363の強度特性と同様であると考えられる。これらのデータは、異なる標準を用いる表IIIにおけるデータから推測される傾向を裏付けていると考えられる。
【0070】
(実施例4)-製紙用途における濾水性向上剤および歩留向上剤としての評価
上記実施例において調製したカチオン性基でアルキル化されたポリビニルアミン誘導体の濾水効率および歩留/固定特性を、カナダ標準濾水度(CSF)試験法を用いて、Hercobond(登録商標) 6363および6350乾燥強度用樹脂ならびにブランクと比較した。濾水工程の性能の評価のための別の方法は、真空濾水試験(VDT)である。その装置の構成は、様々な濾過の参考書(例えば、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook、第7版、(McGraw-Hill, New York, 1999)18〜78頁参照)に記載されているブフナー漏斗試験と同様である。VDTは、300mlの磁気ゲルマンフィルター付き漏斗、250mlのメスシリンダー、急速継ぎ手、水トラップ、ならびに真空計および調節装置を備えた真空ポンプからなる。このVDT試験は、最初に真空度を10インチHg(34 kPa)にセットし、漏斗をシリンダーに適切に取り付けることによって行った。次に250gの0.5質量%のペーパーストックをビーカーに入れ、次に処理プログラムに従って、このストックに、必要な添加剤(例えば、デンプン、ビニルアミン含有ポリマー、凝集剤)を、上部に備えられたミキサーによる撹拌下で加えた。次いで、このストックをフィルター漏斗に注ぎ、真空ポンプを作動させ、同時にストップウォッチを始動させた。濾水効率は、230mLの濾液を得るために必要とされる時間として記録する。2回の濾水試験の結果を標準化し、ビニルアミン含有ポリマーを含まない系と対比して観察された濾水能力の百分率として表した。
【0071】
濾液の濁度も、ポリマーの固定性を評価するために測定した。全ての添加剤に対する活性ポリマーの用量を、0.3%とした。結果を表Vにまとめる。これらの組成物の濾水性能を、ブランクに対する百分率の増加として表す。これらの評価は、CFS試験を用いて実施した。組成物の固定性を、樹脂が存在しないコントロールの残留濁度に対する残留濁度の百分率として表す。この百分率が低いほど、その組成物は固定剤としてより効果的である。したがって、濾水/濾水度のデータについては、より高い数字がより良好な性能を示し、濁度のデータに対してはより低い数字がより良好な性能を示す。
【0072】
【表5】

【0073】
表Vにおいて、濾水性向上剤なしで試験した試料に対するより高い百分率の濾水度およびより低い百分率の濁度は、より良好な性能を示している。この評価は、カチオン性基でアルキル化されたPVAm誘導体の全てが、採用した条件下で、未処理の試料に対してパルプの濾水性能を29%〜81%改良したことを示している。いくつかの試料(実施例1-1、1-3、1-4、1-6、および1-7)は、未変性のポリビニルアミンHercobond(登録商標) 6363より同程度以上に機能している。注目すべきは、性能がHercobond(登録商標) 6363の基準未満の実施例においてさえ、その実施例は、Hercobond(登録商標) 6363と比較して改良された費用対効果を有し、同じポリビニルアミン含量基準では改良された有効性を有することである。実施例2-2を除く全ての試料は、Hercobond(登録商標) 6363より良好な固定性を示している。試験した条件下で、15モルパーセントのビニルアミン単位により理論的に第四級化されている実施例1-4は、最良の固定性を示している。高い数字ほど、より良好な性能を示す。
【0074】
【表6】

【0075】
表VIに、8モルパーセント第四級化されたポリビニルアミン含有ポリマーおよび部分的に加水分解した未変性ポリビニルアミンHercobond(登録商標)6350紙用機能性添加剤(Hercules Incorporatedから入手可能)を使用して製造したパルプの濾水データを示す。Hercobond(登録商標) 6350の濾水特性は、一般に、Hercobond(登録商標) 6363の濾水特性と同様であると考えられる。これらのデータは、異なる標準を用いる表Vにおけるデータから推測される傾向を裏付けていると考えられる。第四級化ポリビニルアミン含有ポリマーは、未変性のポリビニルアミンポリマーに対して優れた濾水特性を有し得る。
【0076】
(実施例5)-第四級化ビニルアミン含有ポリマーの強度特性および濾水特性の比較
表VIIに、一連の第四級化ポリマーを標準としてのHercobond(登録商標) 6350と対比して評価した、パイロット抄紙機試験の強度データおよび濾水データを示す。同じポリマーを、上記のVDT試験を用いて、この試験の濾水時間をビニルアミン含有ポリマーなしで濾水したパルプと比較して、濾水性向上剤として評価した。ここでは、パイロット抄紙機試験においてウェットエンド用デンプンは使用しなかった(すなわち、OptiPlus 1030は使用しなかった)。より高い数字は、濾水および強度の両方のデータについてのより良好な性能を示す。
【0077】
【表7】

【0078】
表VIIは、ポリマーが、第四級化のかなり広い範囲にわたって、Hercobond(登録商標) 6350と比較した場合に優れた強度特性を与えるが、その濾水性向上剤としての有効性は、第四級化が増すと共に低下することを示している。したがって、強度と濾水性向上剤とが組み合わされた最大の価値を有するビニルアミン含有ポリマーは、25モル%未満第四級化されたポリマーである。とはいえ、この量(level)より多く第四級化されたビニルアミン含有ポリマーは、低コストである第四級化剤が材料全体のコストを低下させるため、依然として価値を有する。しかし、使用する第四級化剤がさらに増加するにしたがって、性能に悪影響が及ぶ。
【0079】
表VIIIは、第四級化ビニルアミン含有ポリマーの範囲を再び示しており、今回は標準としてHercobond(登録商標) 6363と比較している。Stalok 300カチオン性デンプン(Tate & Lyle PLC, London, UK)を、OptiPlus 1030両性デンプンの代わりに添加し、やはり乾燥パルプの0.5%で使用した。より高い数字は、濾水および強度の両方のデータについてのより良好な性能を示す。
【0080】
【表8】

【0081】
表VIIIは、これまでの結果が再び当てはまり、かなり広い範囲にわたって第四級化が紙に乾燥強度を与える一方、紙の湿潤強度は、第四級化されていないビニルアミン含有ポリマー(Hercobond(登録商標) 6363)を使用して製造した紙と比較して、第四級化の量が多くなるにしたがって低下することを示している。濾水性の結果は、これらのポリマーの濾水特性は第四級化の量が多くなるにしたがって低下するため、25モル%未満でのビニルアミン含有ポリマーの第四級化の価値が再び反映されている。これらの結果により、本明細書で請求している範囲を超えて第四級化されたビニルアミンを含有するポリマーの減少した価値が、比較例1-11によってさらに明らかに示されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量のポリマーを抄紙機のウェットエンドに添加する工程を含む製紙方法であって、前記ポリマーが、式(I)および(II):
【化1】

(式中、
X-は、アニオンであり、
R1は、場合によってヒドロキシルで置換されていてもよい、12個以下の炭素を含有する直鎖または分枝アルキル基であり、
R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、
R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、
n1およびn2は、独立に、0モルパーセントであってよく、
n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超え、40モルパーセント未満である)
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含む、方法。
【請求項2】
前記ポリマーが、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII):
【化2】

(式中、
R5およびR6は、同じであるかまたは異なり、H、22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、-COOH、-COOR2、-CH2CO2H、-CH2CO2R2、-CH2NR2R3、-NR2R3、-CONR1R4、-OH、-OCOR2、-OR2、-NO2、-CN、-N+(CH3)3、アルケニル、アルキニル、またはアルカノキシルであり、
m1、m2、m3、m4、m5、およびm6は、それぞれ、前記ポリマー中の式III、IV、V、VI、VIIおよびVIIIのモル分率を表す)
の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
R1が-CH2CH(OH)CH2-である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
R2およびR3が-CH3であり、n1とn2の合計が2〜40モルパーセントの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
R1が-CH2CH2-であり、n1とn2の合計が2〜40モルパーセントの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
R1が-CH2CH2CH3-であり、n1とn2の合計が2〜40モルパーセントの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
n1とn2の合計が、3〜20モルパーセントの範囲内である、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマーが、約20,000〜約800,000ダルトンの範囲内の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマーが、約75,000〜約600,000ダルトンの範囲内の分子量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
n1とn2の合計が、3〜20モルパーセントの範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記ポリマーが、pH7.0において少なくとも5.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリマーが、pH7.0において少なくとも7.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
R1が-CH2CH(OH)CH2-であり、R2およびR3が、-CH3であり、n1とn2の合計が、3〜20モルパーセントの範囲内であり、前記ポリマーが、約75,000〜約600,000ダルトンの範囲内の分子量を有し、前記ポリマーが、pH7.0において少なくとも5.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記ポリマーが、pH7.0において少なくとも7.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
R1が-CH2CH2-であり、R2およびR3が-CH3であり、n1とn2の合計が、3〜20モルパーセントの範囲内であり、前記ポリマーが約75,000〜約600,000ダルトンの範囲内の分子量を有し、前記ポリマーがpH7.0において少なくとも5.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
式(I)および(II):
【化3】

の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を含むポリマーであって、前記ポリマーが、式(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、および(VIII):
【化4】

の少なくとも1つを有するランダムに分布した繰り返しモノマー単位を場合によってさらに含んでいてもよい、ポリマー
(式中、
X-は、任意のアニオンであり、
R1は、12個以下の炭素を含有し、場合によってヒドロキシルで置換されていてもよい直鎖または分枝アルキル基であり、
R2およびR3は、同じであるかまたは異なり、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、
R4は、H、または22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキルであり、
R5およびR6は、同じであるかまたは異なり、H、22個以下の炭素を含有する直鎖もしくは分枝アルキル、-COOH、-COOR2、-CH2CO2H、-CH2CO2R2、-CH2NR2R3、-NR2R3、-CONR1R4、-OH、-OCOR2、-OR2、-NO2、-CN、-N+(CH3)3、アルケニル、アルキニル、またはアルカノキシルであり、
n1およびn2は、独立に、0モルパーセントであってよく、
n1とn2の合計は、0.1モルパーセントを超え、10モルパーセント未満である)。
【請求項17】
前記ポリマーが、pH7.0において少なくとも7.0ミリ当量/gの正電荷密度を有する、請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
n1とn2の合計が、0.2モルパーセント〜8モルパーセントである、請求項16に記載のポリマー。
【請求項19】
R1が、- CH2CH2-、-CH2CH2CH3-、および-CH2CH(OH)CH2-からなる群から選択される、請求項16に記載のポリマー。
【請求項20】
R1が、-CH2CH(OH)CH2-を含む、請求項16に記載のポリマー。

【公表番号】特表2012−506958(P2012−506958A)
【公表日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−533454(P2011−533454)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/022522
【国際公開番号】WO2010/088473
【国際公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(591020249)ハーキュリーズ・インコーポレーテッド (75)
【氏名又は名称原語表記】HERCULES INCORPORATED
【Fターム(参考)】