説明

製紙用パルプの酵素処理

本発明は、パルプを処理する方法、および紙材料、例えば、紙、厚紙、ライナーボード、波形板紙、ティッシュー、タオル、波形容器、箱、およびその他を製造する方法に関し、これらの方法はパルプをアルカリ処理し、ペクチンリアーゼおよび/またはペクチン酸リアーゼで処理し、必要に応じて、パルプを排水することを含んでなる。ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせ代わりに、ペクチンリアーゼを使用することができる。本発明は、また、製紙用パルプのアニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのキシラナーゼ、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、および/またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、紙材料を製造する方法、パルプを処理する方法、およびパルプを洗浄する方法に関し、これらの方法はパルプをアルカリ処理し、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理し、必要に応じて、パルプを排水することを含んでなる。本発明は、また、製紙用パルプのアニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのこれらの酵素、および/またはキシラナーゼの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
紙材料、例えば、紙、厚紙、ライナーボード、波形板紙、ティッシュー、タオル、波形容器または箱、およびその他は植物繊維から作られる。パルプはこのような繊維の水性混合物である。ペクチン、またはホモガラクツロナンは植物繊維の1構成成分、すなわち、α-1,4-結合ガラクツロン酸モノマーの主鎖をもつ植物細胞壁の多糖であり、その遊離カルボン酸基の一部分はメチルエステル化されている。
【0003】
パルプ化プロセス間に、特にアルカリ処理工程の結果として、ペクチンは繊維構造物から水性相の中に解放される。そしてそこで、それはアニオン廃物として知られている現象に対する主要な寄与成分として知覚される。アニオン廃物は、紙シート中の充填剤およびその他の保持を改良するために使用されるある種の添加剤、例えば、カチオン保持助剤、およびパルプ洗浄工程と関連して使用されるカチオン凝集剤と錯体を形成する。これらの非常に大きいポリマーの錯体は水分子を誘引し、これにより排水を障害する傾向がある。さらに、排水スクリーンおよびフィルターは詰る傾向がある。そして最後に、アニオン廃物はカチオン添加剤の過度の消費を引き起こす。
本発明はこれらの問題を解決することにある。
【0004】
背景の技術
WO 00/55309には、メカニカル製紙用パルプまたはリサイクル古紙の処理においてある種のペクチン酸リアーゼ酵素を使用することが記載されている。
米国特許第5,487,812号 (EP 512790) において、アルカリ処理されたパルプ中に酵素ペクチナーゼを添加することによって、ペクチンの存在による製紙の問題を解決することが提案されている。ペクチナーゼの他の名称はポリガラクツロナーセ (EC 3.2.1.15) である。ペクチンをモノマー、すなわち、ガラクツロン酸に分解できる場合、この系のカチオン要求量は排除できることが結論される。
【0005】
過酸化物漂白間にメカニカルパルプから解放されるポリガラクツロン酸の酵素分解は研究され、下記の文献に記載されている: Thornton、Tappi J. 1994、77(3); 161-167。
Reid 他、Enzyme and Microbial Technology 26 (2000) 115-123は、ペクチナーゼがカチオン要求量を低下させることができるというThorntonの発見を確認し、そして工業的規模で漂白されたパルプにそれが適用されることを示している。
キシラナーゼは紙およびパルプ産業において、なかでもパルプの漂白促進における使用について、よく知られている、例えば、EP 386888参照。
【0006】
本発明者らは、驚くべきことには、ガラクツロン酸が下記の酵素により触媒されるペクチン分解から生じない場合でさえ、他のペクチン分解酵素、すなわち、ペクチンリアーゼ (EC 4.2.2.10) およびペクチン酸リアーゼ (EC 4.2.2.2) をペクチナーゼの代わりに使用できることを発見した。さらに、驚くべきことには、上記EPおよび米国特許に記載されていることとは対照的に、酵素処理は事実アルカリ処理工程前に実施できる。
【0007】
ペクチンリアーゼならびにペクチン酸リアーゼは、トランス脱離反応によりペクチン中のガラクツロン酸モノマー間のグリコシド結合を切断し、非還元性末端に4,5炭素-炭素二重結合をもつ不飽和オリゴマーを発生させる。これらの分解生成物は235 nmにおいて明確なUV吸収を示す。この化合物4-デオキシ-L-スレオ-ヘキシ-4-エノピラノシルウロン酸は、このような分解生成物の一例である。これは飽和オリゴマーのサッカリド、例えば、ガラクツロン酸を加水分解生成物として発生させるポリガラクツロナーゼと対照的である。
【0008】
また、本発明者らは、驚くべきことには、キシラナーゼを、必要に応じて少なくとも1種のペクチン分解酵素、例えば、ポリガラクツロナーゼ (EC 3.2.1.15)、ペクチンリアーゼ (EC 4.2.2.10)、ペクチン酸リアーゼ (EC 4.2.2.2)、および/またはペクチンメチルエステラーゼ (EC 3.1.1.11) と組み合わせて、パルプ中のアニオン廃物の含有率を減少させるために使用できることを発見した。
【発明の開示】
【0009】
発明の要約
本発明は、製紙用パルプを処理する方法に関し、この方法はパルプのアルカリ処理、およびペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理を含んでなる。
ペクチン酸リアーゼ処理はアルカリ処理の前後に実施することができ、ペクチンリアーゼ処理はアルカリ処理後に実施するか、あるいはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理はアルカリ処理の前後に実施することができる。
【0010】
これらは本発明の追加の面である:
下記工程を含んでなる紙材料を製造する方法: アルカリ処理;ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理; およびパルプの排水。
【0011】
下記工程を含んでなるパルプ中のアニオン廃物の含有率および/またはカチオン要求量を減少する方法: アルカリ処理、およびパルプをi) キシラナーゼ、および/またはii) ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。キシラナーゼ処理はアルカリ処理の前後に実施し、ペクチン酸リアーゼ処理はアルカリ処理の前後に実施し、ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理を実施するか、あるいはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理はアルカリ処理の前後に実施する。特定の態様において、この方法は工程i) およびii) を含んでなる。
【0012】
下記工程を含んでなるパルプ洗浄方法: パルプをペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのパルプにおけるキシラナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ、および/またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせの使用。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
発明の詳細な説明
紙およびパルプ
パルプ (または製紙用パルプ) は植物由来の繊維の水性混合物である。このパルプの乾燥物質含有率(コンシステンシー = 乾燥固体、w/w) は広い限界内で変化することがあり、そしてパルプおよび製紙の分野において知られているように、パルプは種々の他の成分を含有することがある。
パルプは新鮮な、いわゆるバージンパルプであるか、あるいはリサイクル源から誘導されるか、あるいはそれらの混合物であることができる。パルプは木材パルプ、非木材パルプ、古紙から作られたパルプ、またはそれらの混合物であることができる。
【0014】
非木材パルプは、例えば、バガス、大麻、竹、綿またはケナフから作ることができる。
古紙パルプは、古紙、例えば、新聞紙、混合オフィス廃棄物、コンピュータのプリントアウト、白色元帳、雑誌、ミルクカートン、紙カップ、およびその他を再パルプ化することによって製造することができる。リサイクルされた繊維組成物の主要な等級は、例えば、MOW (混合オフィス廃棄物)、SOW (分類されたオフィス廃棄物)、ONP (古い新聞紙)、WM (廃棄雑誌) およびOCC (古い波形容器) である。
【0015】
木材パルプは、軟材、例えば、マツ、セコイア、モミ、トウヒ、ヒマラヤスギ、およびカナダツガから、または硬木、例えば、カエデ、ハンノキ、カンバ、ヒッコリー、ブナノキ、ヤマナラシ、アカシアおよびユーカリから作ることができる。木材パルプはメカニカルパルプ (例えば、砕木パルプ、GP、またはGW、またはGWP)、化学パルプ (例えば、クラフトパルプまたは亜硫酸パルプ)、セミケミカルパルプ(SCP)、サーモメカニカルパルプ (TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ (CTMP)、または漂白ケミサーモメカニカルパルプ (BCTMP) であることができる。
【0016】
メカニカルパルプは粉砕および精製方法により製造され、ここで生材料を周期的圧力インパルスに暴露する。TMPはサーモメカニカルパルプであり、GWPは砕木パルプであり、PGW、またはPGWPは加圧砕木パルプであり、RMPは精製メカニカルパルプであり、PRMPは加圧精製メカニカルパルプであり、そしてCTMPはケミサーモメカニカルパルプである。
【0017】
化学パルプはアルカリ蒸煮により製造され、ここでリグニンおよびヘミセルロース成分の大部分は除去される。クラフトパルプ化および硫酸塩蒸煮において、硫化ナトリウムおよび/または (好ましくは) 水酸化ナトリウムを主要な蒸煮化学物質として使用する。クラフトパルプは漂白クラフトパルプであることができ、これは軟材漂白クラフト (SWBK、またNBKP (Nadel Holz Bleached Kraft Pulp) と呼ばれる)、および/または硬木漂白クラフト (HWBK、またLBKP (Laub Holz Bleached Kraft Pulp) と呼ばれる) から成ることができる。他の型の化学パルプはセミケミカルパルプ (SCP)、および漂白ケミサーモメカニカルパルプ (BCTMP) である。
【0018】
特定の態様において、本発明の方法において使用するパルプはメカニカルパルプ、例えば、GWP、SCP、TMP、CTMP、またはBCTMPである。
他の特定の態様において、本発明の方法において使用するパルプは古紙パルプ、例えば、ONPである。
前述したように、製紙用パルプはリサイクル紙およびバージンパルプの両方を含んでなることができる。このパルプは高い (18%以上)、中程度 (7〜18%)、または低い (7%以下) のコンシステンシーを有することができる。特定の態様において、本発明の方法および使用は高い、中程度または低いパルプのコンシステンシーで実施される。
【0019】
なお特定の態様において、本発明の方法において使用すべきパルプはメカニカルパルプまたは化学パルプまたはそれらの組み合わせの懸濁液である。例えば、本発明の方法において使用すべきパルプは0%、10〜20%、20〜30%、30〜40%、40〜50%、50〜60%、60〜70%、70〜80%、80〜90%、または90〜100%の化学パルプを含んでなることができる。特定の態様において、化学パルプは紙材料の製造に使用されるパルプの一部分を形成する。本発明の関係において、表現「の一部分を形成する」は、本発明の方法において使用すべきパルプにおいて、化学パルプの百分率が1〜99%の範囲内にあることを意味する。特定の態様において、化学パルプの百分率は2〜98%、3〜97%、4〜96%、5〜95%、6〜94%、7〜93%、8〜92%、9〜91%、10〜90%、15〜85%、20〜80%、25〜75%、30〜70%、40〜60%、または45〜55%の範囲内にある。
【0020】
なおそれ以上の特定の態様において、本発明の方法において使用すべきパルプは化学パルプ、例えば、クラフトパルプと、古紙パルプとの組み合わせである。この混合パルプは50〜99%、60〜99%、70〜99%、80〜99%、85〜99%、または90〜99%の古紙パルプを含んでなることができる。この混合パルプは1〜50%、1〜40%、1〜30%、1〜25%、1〜20%、1〜15%、または1〜10%の化学パルプ、例えば、クラフトパルプを含んでなることができる。
用語 「紙材料」 は、パルプから作られた製品、例えば、紙、厚紙、ライナーボード、波形板紙、ティッシュー、タオル、波形容器または箱、およびその他を意味する。
【0021】
紙材料を製造する方法は、生ずる繊維を必要な紙材料に形成する追加の工程を含んでなることができる。この方法は、また、引き続く乾燥工程を含んでなることができる。
排水または脱水工程の効果は、製紙用パルプから水を除去する (コンシステンシーを増加する) ことである。通常、排水工程は抄紙機、ティッシュー機械または他の形成装置において実施される。排水前に、パルプを通常0.1〜2.0%のコンシステンシーに希釈する。特定の態様において、パルプのコンシステンシーは排水前に0.1〜1.8、0.1〜1.6、0.1〜1.4、0.1〜1.2、0.1〜1.0%である。排水後のパルプのコンシステンシーは通常15〜45%、または20〜40%、または25〜25%である。
【0022】
ペクチンはパルプ化プロセスの種々の段階において、顕著にはアルカリ性条件下に水性相にパルプから解放させることができる。アルカリ性条件は、例えば、パルプのアルカリ処理と関連して起こる。アルカリ処理の例は次の通りである: 漂白、特に過酸化物漂白、例えば、アルカリ性過酸化水素漂白; 古紙パルプのアルカリ性再パルプ化; およびアルカリ性ヒドロ亜流酸塩の漂白または増白。
【0023】
本発明のアルカリ処理工程の特定の態様において、パルプのpHは7.0、7.5、8.0、8.5、9.0、9.5、10.0、10.5以上、または11.0以上である。他の特定の態様において、アルカリ処理工程のpHはpH 7.5〜11.5、8.0〜11.5、8.5〜11.5、9.0〜11.5、9.5〜11.5または10.0〜11.5である。
本発明は、製紙用パルプを処理する方法、紙材料を製造する方法、およびパルプにおけるカチオン要求量および/またはアニオン廃物の含有率を減少する方法に関し、これらの方法は下記の工程を含んでなる: a) パルプのアルカリ処理、b) 種々の酵素を使用するパルプの処理; および、必要に応じて、パルプの排水。
【0024】
これらの方法およびこの方法の特定の態様において、(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施する; (ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施する; (iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施する; (iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理後にアルカリ処理工程を実施する; または(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用する処理を実施する。
【0025】
この方法の特定の態様において、(vi) アルカリ処理工程後にキシラナーゼ処理を実施する; または (vii) キシラナーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施する。
種々の酵素、紙材料、パルプ、アルカリ処理工程、排水工程およびその他と関連して使用する用語 「a」 は、「少なくとも1つ」、すなわち、1、2、3またはなおそれ以上の問題の酵素およびその他を意味する。例えば、2以上のペクチン酸リアーゼを工程b) において使用することができ、そして紙材料を製造する全体の方法は2以上のアルカリ処理工程、およびその他を含んでなることができる。
【0026】
用語 「後に」 は、問題の2つの工程が同時よりも早く起こらないことを意味する。例えば、態様 (i) において、ペクチン酸リアーゼ処理はアルカリ処理と同時よりも早く起こらず、そして態様 (iii) において、アルカリ処理はペクチンリアーゼ処理と同時よりも早く起こらない。酵素処理工程とアルカリ処理工程との間に追加の、非特定の、工程が存在することができる。
【0027】
したがって、本発明のプロセスおよび方法の特定の態様において、パルプを下記処理に付す:
アルカリ処理およびその後のペクチン酸リアーゼ処理;
アルカリ処理および付随的にまたは少なくとも部分的にそれと重複するペクチン酸リアーゼ処理;
ペクチン酸リアーゼ処理およびその後のアルカリ処理;
ペクチンリアーゼ処理およびその後のアルカリ処理;
ペクチンリアーゼ処理および付随的にまたは少なくとも部分的にそれと重複するアルカリ処理;
【0028】
ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせた処理およびその後のアルカリ処理;
ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせた処理および付随的にまたは少なくとも部分的にそれと重複するアルカリ処理;
アルカリ処理およびその後のペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせた処理;
アルカリ処理およびその後のキシラナーゼ処理;
アルカリ処理および付随的にまたは少なくとも部分的にそれと重複するキシラナーゼ処理;
キシラナーゼ処理およびその後のアルカリ処理。
【0029】
本発明に従い使用する酵素の固有の共通の特徴は、非還元性末端中に4,5炭素-炭素二重結合をもつ不飽和オリゴマーがペクチンの酵素促進的分解から生成することである。これらの分解生成物は235 nmにおいて明確なUV吸収を示す。本発明の方法の工程b) において使用する酵素/酵素の組み合わせの各々について、そのようなことが起こる。
【0030】
特定の態様において、本発明による方法の工程b) において使用する酵素は次のように特性決定することができる: 350 nmにおける吸収に関する235 nmにおける吸収の比 (A235/A350) は、下記の反応条件下に、30、35、40、45、50、55以上、または60以上である: 1 g/lのポリガラクツロン酸ナトリウム塩基質、40 mgの酵素調製物、60分の処理時間。実施例1の方法をこの測定に好都合に用途できるが、pHおよび温度は問題の酵素の特性を反映すべきである。適当なpH値の例は、3、4、5、6、7、8、9または10、例えば、pH 7である。適当な反応温度の例は、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、または70℃、例えば、55℃である。
【0031】
酵素を任意の保持槽に、例えば、パルプ貯蔵容器 (貯蔵室)、貯蔵塔、混合室または計量室に好都合に添加することができる。
【0032】
ペクチンリアーゼを使用する処理、ならびにペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとを使用する組み合わせた処理は、パルプの漂白前後に、および/またはパルプ漂白プロセスと組み合わせて実施することができる。ペクチン酸リアーゼを使用する処理は、パルプの漂白の前後におよび/または漂白プロセス間に実施することができる。パルプの漂白と組み合わせて実施するとき、酵素は漂白化学物質、例えば、過酸化水素と一緒に添加することができる。また、酸素ガスき、過酸化水素またはオゾンまたはそれらの組み合わせを使用して、パルプを漂白することができる。また、酵素調製物をこれらの物質と一緒に添加することができる。
【0033】
酵素は、また、漂白から生ずる循環プロセス水 (白水) およびメカニカルまたはケミメカニカルパルプ化プロセスから生ずるプロセス水に添加することができる。
【0034】
本発明の関係において、用語 「プロセス水」 は、なかでも、1) 本発明のプロセスに原料として添加される水; 2) プロセスの任意の工程から生ずる中間的水生成物; ならびに3) プロセスの排出物または副生物としての廃水を含む。特定の態様において、プロセス水は循環 (再循環) 、すなわち、プロセスの他の工程において再使用される、された、されている、またはされることを意図される。引き続いて、用語 「水」 は、任意の水性媒質、溶液、懸濁液、例えば、通常の水道水、およびこれらのプロセスにおいて普通に使用される種々の添加剤およびアジュバントと混合した水道水を意味する。特定の態様において、プロセス水は低い含有率の固体 (乾燥) 物質、例えば、20%、18%、16%、14%、12%、10%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%の乾燥、0.5%、0.25%、または0.1%以下の乾燥物質 (w/w) を有する。
【0035】
本発明のプロセス、方法、および使用は、紙およびパルプのプロセシングにおいて慣用の条件下に実施することができる。プロセス条件は、1種または2種以上の酵素、反応時間および所定の条件の関数であろう。
本発明の酵素は有効量で添加されるべきである。用語 「有効量」 は、必要な、期待する効果を達成するために十分な量を意味する。特定の態様において、酵素は約0.1 mgの酵素タンパク質〜約100,000 mgの酵素タンパク質 (各酵素の) /トンの紙パルプの量で投与される。
【0036】
特定の態様において、カチオン要求量は、非酵素処理された対照に比較して、少なくとも2%、4%、5%、8%、9%、10%、12%、14%、16%、18%、20%、22%、24%、26%、28%、30%、32%、または少なくとも34%だけ減少する。実施例2に記載されている方法は、このような測定において使用するために好ましい方法である。
本発明のそれ以上の特定の態様において、酵素の量は0.00001〜20または0.0001〜20 mgの酵素 (純粋な酵素タンパク質として計算して) /g (乾燥重量) のリグノセルロース物質の範囲、例えば、0.0001〜10 mg/g、0.0001〜1 mg/g、0.001〜1 mg/g、0.001〜0.1、または0.01〜0.1 mgの酵素/gのリグノセルロース物質である。再び、これらの量は各酵素の量を意味する。
【0037】
酵素処理は慣用のコンシステンシー、例えば、0.1〜10%の乾燥物質において実施することができる。特定の態様において、コンシステンシーは0.1〜45%、0.1〜40%、0.1〜35%、0.1〜30%、0.1〜25%、0.1〜20%、0.1〜15%、0.1〜10%、0.1〜85%、0.1〜65%、または0.1〜5%の乾燥物質の範囲内である。他の特定の態様において、コンシステンシーは0.2〜20%、0.2〜18%、0.2〜15%、0.3〜15%、0.3〜12%、0.3〜10%、0.5〜10%、0.5〜8%、または0.5〜5%の範囲内である。
【0038】
酵素処理は約10〜約100℃の温度において実施することができる。温度範囲のそれ以上の例 (すべて「約-〜約」) は次の通りである: 20〜100℃、30〜100℃、35〜100℃、37〜100℃、40〜100℃、50〜100℃、60〜100℃、70〜100℃、10〜90℃、10〜80℃、10〜70℃、10〜60℃、および30〜60℃、ならびに高い値と低い値との任意の組み合わせが示される。典型的な温度は約20〜90℃、または20〜95℃、好ましくは約40〜70℃、または40〜75℃である。
【0039】
酵素処理は約2〜約12のpHにおいて実施することができる。pH範囲のそれ以上の例 (すべて「約-〜約」) は次の通りである: 3〜12、4〜12、5〜12、6〜12、7〜12、8〜12、9〜12、2〜11、2〜10、2〜9、2〜8、4〜10、5〜8、ならびに高い値と低い値との任意の組み合わせが示される。典型的なpH範囲は約2〜11、好ましくは約4〜9.5、または6〜9である。
【0040】
酵素処理の適当な期間は、数秒〜数時間、例えば、約30秒〜約48時間、または約1分〜約24時間、または約1分〜約18時間、または約1分〜約12時間、または約1分〜約5時間、または約1分〜約2時間、または約1分〜約1時間、または約1分〜約30分の範囲であることができる。典型的な時間は約10分〜3時間、10分〜10時間、好ましくは15分〜1時間、または15分〜2時間である。
【0041】
種々の添加剤を本発明のプロセス、方法、または使用において使用することができる。界面活性剤および/または分散剤はしばしば製紙用パルプ中に存在し、および/または製紙用パルプに添加される。こうして、本発明のプロセス、方法、または使用は、製紙用パルプにおいて慣用されているアニオン、非イオン、カチオンおよび/または双生イオン界面活性剤および/または分散剤の存在下に実施することができる。アニオン界面活性剤の例は、アルキル、置換アルキルまたはアリールのカルボキシレート、サルフェート、スルホネートまたはホスフェートである。脂肪酸はアルキルカルボキシレートの例である。非イオン界面活性剤の例は、ポリオキシエチレン化合物、例えば、アルコールエトキシレート、プロポキシレートまたは混合エトキシ/プロポキシレート、ポリグリセロールおよび他のポリオール、ならびにある種のブロックコポリマーである。
【0042】
カチオン界面活性剤の例は、水溶性カチオンポリマー、例えば、第四級アンモニウムサルフェートおよびある種のアミン、例えば、エピクロロヒドリン/ジメチルアミンポリマー (EPI-DMA) およびそれらの架橋溶液、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド (DADMAC)、DADMAC/アクリルアミドコポリマー、およびイオネンポリマー、例えば、米国特許第5,681,862号および米国特許第5,575,993号に開示されているものである。双生イオンまたは両性界面活性剤の例は、ベタイン、グリシネート、アミノプロピオネート、イミノプロピオネートおよび種々のイミダゾリン誘導体である。また、米国特許第5,256,252号に開示されているポリマーを使用できる。
【0043】
酵素
キシラナーゼ (EC 3.2.1.8)、公式名エンド-1,4-ベータ-キシラナーゼ、別名1,4-ベータ-D-キシランキシラノヒドロラーゼは、キシラン中の1,4-ベータ-D-キシロシド結合のエンド加水分解を触媒する。
【0044】
種々のペクチン分解酵素が知られている:
ポリガラクツロナーゼ (EC 3.2.1.15) は、ペクテートおよび他のガラクツロナン中の1,4-アルファ-D-ガラクトシドウロン結合のランダム加水分解を触媒する。他の名称の例は次の通りである: ペクチンデポリメラーゼ; ペクチナーゼ; エンドポリガラクツロナーゼ; エンド-ポリガラクツロナーゼ; およびエンド-ガラクトウロナーゼ。体系名は、ポリ(1,4-アルファ-D-ガラクツロニド)グリカノヒドロラーゼである。
【0045】
ペクチンリアーゼ (EC 4.2.2.10) は、非還元性末端に4-デオキシ-6-O-メチル-アルファ-D-ガラクト-4-エンウロノシル基をもつオリゴサッカリドを生ずる (1,4)- アルファ-D-ガラクツロランメチルエステルの排除的切断を触媒する。他の名称の例は次の通りである: ペクチントランスエリミナーゼ; ポリメチルガラクツロントランスエリミナーゼ; およびペクチンメチルトランスエリミナーゼ。体系名は、(1,4)- 6-O-メチル-アルファ-D-ガラクツロナンリアーゼである。
【0046】
ペクチン酸リアーゼ (EC 4.2.2.2) は、非還元性末端に4-デオキシ-アルファ-D-ガラクト-4-エンウロノシル基をもつオリゴサッカリドを生ずる (1,4)- アルファ-D-ガラクツロランの排除的切断を触媒する。他の名称の例は次の通りである: ペクチン酸トランスエリミナーゼ; ポリガラクツロントランスエリミナーゼ; およびエンドペクチンメチルトランスエリミナーゼ。体系名は、(1,4)-アルファ-D-ガラクツロナンリアーゼである。
ペクチンエステラーゼ (EC 3.1.1.11) は次の反応を触媒する: ペクチン + n H2O = nメタノール + ペクテート。他の名称の例は次の通りである: ペクチンデメトキシラーゼ; ペクチンメチルエステラーゼ; およびペクチン メチル エステラーゼ。体系名はペクチンペクチルヒドロラーゼである。
【0047】
ペクチン酸二糖リアーゼ (EC 4.2.2.9) は、ペクテートの還元性末端からの4-(4-デオキシ-アルファ- D-ガラクト-4-エンウロノシル)-D-ガラクツロネートの排除的切断を触媒する、すなわち、脱エステル化ペクチン。他の名称の例は次の通りである: ペクチン酸エキソ-リアーゼ; エキソペクチン酸トランスエリミナーゼ; エキソペクチン酸リアーゼ; およびエキソポリガラクツロン酸トランスエリミナーゼ。体系名は (1,4)-アルファ-D-ガラクツロナン還元性末端二糖リアーゼである。
【0048】
ECナンバリングは下記に従う: 酵素触媒反応の命名および分類に関する生化学および分子生物学の国際連合の命名委員会の推奨 (the Recommendations of the Nomenclature Committee of the International Union of Biochemistry and Molecular Biology on the Nomenclature and Classification of Enzyme-Catalysed Reactions) 発表: Enzyme Nomenclature 1992 (Academic Press、カリフォルニア州サンディエゴ、Supplement 1 (1993)、Supplement 2 (1994)、Supplement 3 (1995) Supplement 4 (1997)、およびSupplement 5 (Eur. J. Biochem. 1994、223、1-5; Eur. J. Biochem. 1995、232、1-6; Eur. J. Biochem. 1996、237、1-5; Eur. J. Biochem. 1997、250、1-6、およびEur. J. Biochem. 1999、264、610-650; それぞれ)。
【0049】
本発明のプロセスおよび方法において使用する酵素は次の通りである: メチル化ホモガラクツロナンを分解できる任意のペクチンリアーゼ、非メチル化ホモガラクツロナンを分解できる任意のペクチン酸リアーゼ、およびメチル化ホモガラクツロナンを脱メチル化できる任意のペクチンエステラーゼ。
特定の態様において、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼおよび/またはペクチンエステラーゼは下記の最適pH範囲を有する: 3-11、4-11、5-11、6-11、7-11、8-11、9-11; 3-10、4-10、5-10、6-10、7-10、8-10; 3-9、4-9、5-9、6-9、7-9; 3-8、4-8、5-8、6-8; 3-7、4-7; または5-7。
【0050】
他の特定の態様において、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼおよび/またはペクチンエステラーゼは下記の最適温度範囲を有する: 20-100℃、30-100℃、40-100℃、50-100℃、60-100℃、70-100℃、80-100℃; 20-90℃、30-90℃、40-90℃、50-90℃、60-90℃、70-90℃; 20-80℃、30-80℃、40-80℃、50-80℃、60-80℃; 20-70℃、30-70℃、40-70℃、50-70℃; 20-60℃、30-60℃、40-60℃; 20-50℃、30-50℃; または20-40℃。
【0051】
最適pHおよび最適温度を決定する方法はこの分野において知られている。メチル化ホモガラクツロナンおよび非メチル化ホモガラクツロナンは、このような方法において使用するために適当な基質の例である (それぞれ、ペクチンリアーゼならびにペクチンエステラーゼについて、およびペクチン酸リアーゼについて)。
【0052】
特定の態様において、問題の酵素は十分に規定されており、ただ1つの主要な酵素成分が存在することを意味する。これは、例えば、適当なサイズ排除カラム上の分画により、推定することができる。このような十分に規定された、または精製された、または高度に精製された、酵素は、この分野においてよく知られているようにして、および/または問題の特定の酵素に関して刊行物に記載されているようにして得ることができる。
【0053】
本発明の目的に対して、ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼおよびペクチンエステラーゼを包含する上記酵素の源は重大ではなく、例えば、酵素は植物、動物、または微生物、例えば、細菌または真菌、例えば、フィラメント状真菌または酵母から得ることができる。酵素は、例えば、これらの源から、この分野において知られているように、組換えDNA技術を使用することによって得ることができる。酵素は天然または野生型酵素であるか、あるいは関係する酵素活性を示すそれらの任意の突然変異体、変異型、またはフラグメント、ならびに合成酵素、例えば、シャッフルド酵素、およびコンセンサス酵素であることができる。
【0054】
このような遺伝子操作された酵素はこの分野において一般に知られているように、例えば、位置指定突然変異誘発により、PCR (PCR反応におけるプライマーの1つとして必要な突然変異を含有するPCRフラグメントを使用する) により、またはランダム突然変異誘発により製造することができる。コンセンサスタンパク質の製造は、例えば、EP 897985に記載されている。
【0055】
種々のキシラナーゼは既知であり、例えば、真菌または細菌由来である。細菌のキシラナーゼはバシラス (Bacillus) の株、例えば、下記の株から誘導されることができる: バシラス・ハロヅランス (Bacillus halodurans) 、バシラス・ピュミルス (Bacillus pumilus) 、バシラス・アガラドヘレンス (Bacillus agaradhaerens) 、バシラス・サーキュラン (Bacillus circulans) 、バシラス・ポリミクサ (Bacillus polymyxa) 、バシラス (Bacillus) 種、バシラス・ステアロサーモフィルス (Bacillus stearothermophilus) 、またはバシラス・サチリス (Bacillus subtilis);
【0056】
これに対して酵母および糸状真菌のキシラナーゼを包含する真菌のキシラナーゼは、例えば、下記の真菌属から誘導することができる: アスペルギルス (Aspergillus) 、アウレオバシジウム (Aureobasidium) 、エメリセラ (Emericella) 、フザリウム (Fusarium) 、ゲウマンノマイセス (Gaeumannomyces) 、フミコラ (Humicola) 、レンチヌラ (Lentinula) 、マグナポルテ (Magnaporthe) 、ネオカイリマスチックス (Neocailimastix) 、ノカルジオプシス (Nocardiopsis) 、オルピノマイセス (Orpinomyces) 、ペシロマイセス (Paecilomyces) 、ペニシリウム (Penicillium) 、ピキア (Pichia) 、シゾフィルム (Schizophyllum) 、タラロマイセス (Talaromyces) 、テルモマイセス (Thermomyces) 、またはトリコデルマ (Trichoderma); 例えば、WO 94/01532、EP 686193、EP 716702、およびEP 628080に記載されているキシラナーゼ。
【0057】
アスペルギルス・アクレアツス (Aspergillus aculeatus) に由来するペクチンリアーゼはWO 94/21786に記載されている。種々のペクチンリアーゼは、WO 99/27083、WO 99/27084、米国特許第6,280,995号、米国特許第6,284,524号、およびWO 00/55309に記載されている。アスペルギルス・アクレアツス (Aspergillus aculeatus) およびメリピルス・ギアンテウス (Meripilus giganteus) に由来するペクチンエステラーゼは、それぞれ、WO 94/25575およびWO 97/31102に記載されている。ペクチン酸リアーゼ変異型はWO 02/06442に記載されている。ペクチン酸二糖リアーゼは、エルウィニア (Erwinia) (例えば、Swiss-Prot Q05526) の株から誘導することができる。ポリガラクツロナーゼは、例えば、アスペルギルス (Aspergillus) (例えば、Swiss-Prot no. P26213) の株から誘導することができる。
【0058】
これらの酵素の他の例は、CAZy(ModO) サイトにおいて見出すことができる: Coutinho P. M. およびHenrissat B. (1999) Carbohydrate-Active Enzymes server at URL: http//afmb.cnrs-mrs.fr/-cazy/CAZY/Index.html。また、下記の文献を参照のこと: Coutinho P. M. およびHenrissat B. (1999) Carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach、“Recent Advances in Carbohydrate Bioengineering”、H. J. Gilbert、G. Davies、B. HenrissatおよびB. Svensson 編、The Royal Society of Chemistry、Cambridge、pp. 3-12; およびCoutinho P. M. およびHenrissat B. (1999) The modular structure of cellulases and other carbohydrate-active enzymes: an integrated database approach、“Genetics, Biochemistry and Ecology of Cellulose Degradation”、K. Ohmiya、K. Hayashi、K. Sakka、Y. Kobayashi、S. KaritaおよびT. Kimura 編、Uni Publishers Co.、Tokyo、pp. 15-23。
【0059】
ペクチン酸リアーゼおよびペクチンリアーゼはエントリー多糖リアーゼ下に見出され、そしてペクチンエステラーゼはエントリー炭水化物エステラーゼ下に見出される。ペクチンリアーゼは多糖リアーゼの科1の中に分類され、そしてペクチン酸リアーゼは多糖リアーゼの科1、10、2、3、および9の中に分類される。ペクチンエステラーゼは炭水化物エステラーゼの科8の中に分類される。
【0060】
特定の態様において、本発明に従い使用するキシラナーゼはバシラス (Bacillus) に由来する。他の特定の態様において、キシラナーゼはトリコデルマ (Trichoderma) 、アスペルギルス (Aspergillus) 、フミコラ (Humicola) 、またはテルモマイセス (Thermomyces) に由来する。
特定の態様において、本発明に従い使用するペクチン酸リアーゼはバシラス (Bacillus) に由来する。他の特定の態様において、本発明に従い使用するペクチンリアーゼはアスペルギルス (Aspergillus) に由来する。両方の態様は野生型酵素、ならびに酵素活性を保持するそれらの突然変異体、変異型およびフラグメントを包含する。
【0061】
下記の実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものと解釈すべきでない。
記載されかつ特許請求されている本発明は本明細書において開示する特定の態様によりその範囲を限定されない。なぜなら、これらの態様は本発明のいくつかの面の例示を意図するからである。任意の同等の態様は本発明の範囲内に入ることを意図する。事実、本明細書中に示しかつ記載した変更に加えて、本発明の種々の変更は前述の説明から当業者にとって明らかとなるであろう。また、このような変更は添付された特許請求の範囲の範囲内に入ることを意図する。矛盾する場合、定義を含む本発明の開示はそれをコントロールするであろう。
【0062】
種々の参考文献は本明細書中に引用され、それらの開示は引用することによって本明細書の一部とされる。
【0063】
種々の態様
本発明の特定の態様は次の通りである:
下記の工程を含んでなる、紙材料を製造する方法: a) パルプのアルカリ処理、b) ペクチン酸リアーゼを使用するパルプの処理、およびc) パルプの排水、ここで工程a) 後に工程b) を実施する。
下記の工程を含んでなる、紙材料を製造する方法: a) パルプのアルカリ処理、b) ペクチン酸リアーゼを使用するパルプの処理、およびc) パルプの排水、ここで工程b) 後に工程a) を実施する。
【0064】
下記の工程を含んでなる、紙材料を製造する方法: a) パルプのアルカリ処理、b) ペクチンリアーゼを使用するパルプの処理、およびc) パルプの排水、ここで工程b) 後に工程a) を実施する。
下記の工程を含んでなる、紙材料を製造する方法: a) パルプのアルカリ処理、b) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとを使用するパルプの組み合わせた処理、およびc) パルプの排水、ここで工程b) 後に工程a) を実施する。
下記の工程を含んでなる、紙材料を製造する方法: a) パルプのアルカリ処理、b) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとを使用するパルプの組み合わせた処理、およびc) パルプの排水、ここで工程a) 後に工程b) を実施する。
【0065】
下記工程を含んでなるパルプ中のアニオン廃物の含有率を減少する方法: a) パルプのアルカリ処理、およびb) ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用するパルプの処理、ここで好ましくは
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施し、または
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。
【0066】
下記工程を含んでなるパルプのカチオン要求量を減少する方法: a) パルプのアルカリ処理、およびb) ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用するパルプの処理、ここで好ましくは
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施し、または
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。
【0067】
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのパルプ中におけるペクチン酸リアーゼの使用。
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するための、パルプのアルカリ処理前におけるペクチンリアーゼの使用。
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するための、パルプのアルカリ処理前後におけるペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせた使用。
【0068】
下記工程を含んでなるパルプを洗浄する方法: ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせを使用するパルプの処理、この方法は好ましくはパルプを増粘する追加の工程をさらに含んでなる。
下記工程を含んでなるパルプ中のアニオン廃物の含有率を減少する方法: a) パルプのアルカリ処理、およびb) キシラナーゼを使用するパルプの処理、この方法は好ましくは下記工程をさらに含んでなる: c) ペクチン分解酵素でパルプを処理する。
好ましくはペクチン分解酵素でパルプの使用をさらに含んでなる、アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのパルプ中におけるキシラナーゼの使用。
【実施例】
【0069】
実施例1ペクチン酸リアーゼおよびペクチナーゼを使用するペクチンの分解
1 gのポリガラクツロン酸ナトリウム塩 (Sigma、P3850、最小純度85%) を1リットルの脱イオン (DI) 水中に溶解した。この溶液のアリコートをNOVOZYMTM 51019ペクチン酸リアーゼ、およびペクチナーゼ調製物PECTINEXTM ULTRA SP-L、およびPECTINEXTM 3X-L (すべてはNovozymes A/S、デンマーク国DK-2880バグスヴェルド、クログショエジベジ36から商業的に入手可能である) で処理した。処理をpH 7.0および55℃において60分間実施した。酵素の投与量は、それぞれ、40 mg/Lの3つの調製物であった。処理後、溶液を8%(w/w) のリン酸でpH 2.0に酸性化した。溶液をDI水で10倍に希釈し、次いでUVスペクトルをUV-Vis分光計で測定した。
【0070】
図1に示すように、235 nmにおける特徴的な強いUV吸収により証明されるように、2つのペクチナーゼに比較して、ペクチン酸リアーゼ処理は異なる分解生成物に導く。ペクチナーゼはペクチンをガラクツロン酸に分解するが、ペクチン酸リアーゼは脱メチル化ペクチンをベータ-排除反応により不飽和4-デオキシ-L-スレオ-ヘキシ-4-エノピラノシルウロン酸基に分解する。C-5上のカルボキシル基との二重結合の共役は、235 nmにおいて非常に強い吸収を発生させる。
【0071】
実施例2アルカリ処理後のカチオン要求量に対するペクチン酸リアーゼの効果
サーモメカニカルパルプ (TMP) の試料を2%のNaOH中で60℃において1時間処理した。次いで処理したパルプをBrit Jar (200メッシュのスクリーン) に通して濾過し、濾液を0.1 N H2SO4でpH 7に中和した。濾液を異なる投与量のNOVOZYMTM 51019ペクチン酸リアーゼで55℃において2時間処理した。
【0072】
すべての試料についてMutek粒子装入検出器および自動滴定装置を使用して、カチオン要求量を測定した。1.0 mlの試料を20 mlのDI水の中に希釈し、この懸濁液を0.001 Nのカチオン保持助剤ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド (poly-DADMAC、Aldrichから商業的に入手可能である) で処理した。
【0073】
【表1】

【0074】
実施例3アルカリ処理前の酵素処理-カチオン要求量に対する効果
サーモメカニカルパルプ (TMP) の試料を異なる投与量のNOVOZYMTM 51019ペクチン酸リアーゼ、それとNOVOSHAPETMペクチンエステラーゼ、およびペクチナーゼ調製物PECTINEXTM ULTRA SP-L (すべてはNovozymes A/S、デンマーク国DK-2880バグスヴェルド、クログショエジベジ36から商業的に入手可能である) との組み合わせで処理した。酵素処理前に、パルプの懸濁液をpH 7.0に調節した。他の酵素処理条件は次の通りであった: 55℃、4%のコンシステンシー、2時間。次いで、パルプの試料を2% NaOHで60℃において1時間さらに処理した。次いで、処理したパルプをBrit Jar (200メッシュのスクリーン) に通して濾過し、濾液を0.1 N H2SO4でpH 7に中和した。
【0075】
すべての試料についてMutek粒子装入検出器および自動滴定装置を使用して、カチオン要求量を測定した。1.0 mlの試料を20 mlのDI水の中に希釈し、この懸濁液を0.001 Nのカチオン保持助剤ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド (poly-DADMAC、Aldrichから商業的に入手可能である) で処理した。
【0076】
【表2】

【0077】
実施例4カチオン要求量に対するキシラナーゼの効果
この実施例において使用するキシラナーゼは、PULPZYME HCTMキシラナーゼ (Novozymes A/S、デンマーク国DK-2880バグスヴェルド、クログショエジベジ36から商業的に入手可能である) であった。
非漂白CTMPパルプを使用した。
【0078】
下記の化学物質を示した量で使用して、パルプをまず10.5〜11.0で開始するpHおよび65〜85℃の温度において過酸化物漂白剤の形態で60分間アルカリ処理した: NaOH (100%) 20 ポンド/トンのパルプ; H2O2 (100%) 20 ポンド/トンのパルプ; ケイ酸ナトリウム溶液 (工業銘柄、40〜42°ボーメ、Fisher Scientific) 2 ポンド/トンのパルプ; およびDTPA (ジエチレントリアミン五酢酸、Fisher Scientific) 2 ポンド/トンのパルプ。
【0079】
アルカリ処理工程に引き続いて、キシラナーゼ処理工程 (1 kgの酵素/トンのパルプ) を50℃およびpH 7において1時間実施した。次いで、温度を85℃に増加し、30分間保持することによって、酵素を分解した。
こうして処理されたパルプを0.1 N H2SO4でpH 5に中和した。パルプスラリーを200メッシュのスクリーン (BTG Mutekにより供給され、推奨された) に通して、パルプの濾液を収集した。5.0 mlの濾液を下記の検出器の測定セルに添加し、この懸濁液を0.001 Nのカチオン保持助剤ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド (poly-DADMAC、BTG Mutekから商業的に入手可能である) で処理した。
【0080】
PCD-03 粒子装入検出器およびPCD-2滴定装置 (BTG Mutek製、PCD-03 粒子装入検出器およびPCD-2滴定装置の操作マニュアルに従う) を使用して、カチオン要求量を測定した。
キシラナーゼを添加しない以外、同一方法で処理した試料を対照として含めた。キシラナーゼを使用しないで、対照をpH 7および50℃に1時間保持した。
結果を下記表3に示す。
【0081】
【表3】

【0082】
実施例5カチオン要求量に対するキシラナーゼおよびペクチン酸リアーゼの効果
キシラナーゼの効果に加えて、ペクチン酸リアーゼを使用する処理の効果を試験した以外、この実験を実施例4に記載するように実施した。
試験したペクチン酸リアーゼ酵素は、NOVOZYMTM 51019ペクチン酸リアーゼ (Novozymes A/S、デンマーク国DK-2880バグスヴェルド、クログショエジベジ36から商業的に入手可能である) であった。また、ペクチン酸リアーゼ調製物を1 kg/トンのパルプで投与した。
結果を下記表4に示す。
【0083】
【表4】

【0084】
他のペクチン酸リアーゼ (下記において「ペクチン酸リアーゼII」と表示する)、すなわち、バシラス・サチリス (Bacillus subtilis) ペクチン酸リアーゼ (WO 02/092741) は、改良された性能、すなわち、15.0%のカチオン要求量の減少を示した。ペクチン酸リアーゼII変異型はWO 03/095638の表6に記載されており、下記の変異型が列挙されている:
【0085】
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P;
K139I+Q146H+S337C;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+S340P;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+K334E+S337K+S340P;
M64F+K139I+Q146H+S337C;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+N189D+K213T+K218P+T258I+S298N+A305P+S331P+S337R;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+S337K;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+S337R;
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K148E+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+S337R; および
D48P+M64F+T105P+K139I+Q146H+K213T+K218P+T258I+A305P+S331P+S337K+S340P。
【0086】
実施例6上昇した温度におけるカチオン要求量に対するキシラナーゼおよびペクチン酸リアーゼの効果
この実験は実施例4および5に記載するように実施したが、ただし酵素処理工程を50℃代わりに70℃において実施した。酵素を変化する投与量で適用した (下記を参照)。結果を表5に示す。
【0087】
【表5】

【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】図1は、ペクチン酸リアーゼを使用するペクチン分解から生ずる生成物がペクチナーゼを使用するペクチン分解から生ずる生成物と235 nmにおいて明確なUV吸収により異なることを、UV分光測定を使用することによって図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程:
a) パルプをアルカリ処理し、そして
b) 前記パルプをペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する、
を含んでなる製紙用パルプを処理する方法。
【請求項2】
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施するか、あるいは
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c) パルプを排水する、をさらに含んでなる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
紙材料を製造する方法である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程b) の酵素処理が非還元性末端中に4,5炭素-炭素二重結合をもつ不飽和オリゴマーの生成に導き、235 nmにおいて明確なUV吸収を示す分解生成物を生ずる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程a) およびb) 後に工程c) を実施する、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
下記の追加工程の少なくとも1つを含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の方法: d) 皮むき、e) チッピング、f) 精製、g) スクリーニング、h) クリーニング、i) 増粘、j) 貯蔵、k) 紙材料の形成、および/またはl) 紙材料の乾燥。
【請求項8】
アルカリ処理が過酸化水素またはヒドロ亜流酸塩の漂白、またはリサイクルパルプの再パルプ化である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
パルプをさらにポリガラクツロナーゼおよび/またはペクチン酸二糖リアーゼで処理する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
酵素を洗浄廃棄物、白水、プロセス水、および/または排水に添加する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
酵素を錯化剤および/または界面活性剤と一緒に添加する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
下記工程を含んでなるパルプ中のカチオン要求量および/またはアニオン廃物の含有率を減少する方法: a) パルプをアルカリ処理する、およびb) パルプをi) キシラナーゼ、および/またはii) ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。
【請求項13】
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施し、
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理し、
(vi) アルカリ処理工程後にキシラナーゼ処理を実施し、および/または
(vii) キシラナーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程b) がパルプをペクチナーゼで処理することを含む、請求項12〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのパルプにおけるキシラナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ、および/またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせの使用。
【請求項16】
ペクチナーゼの使用をさらに含んでなる請求項15に記載の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程:
a) パルプをアルカリ処理し、そして
b) 前記パルプをペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する、
ここで、前記パルプは木材パルプ、廃紙から作ったパルプ、又はこれらの混合物である、
を含んでなる製紙用パルプを処理する方法。
【請求項2】
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施するか、あるいは
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c) パルプを排水する、をさらに含んでなる請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
紙材料を製造する方法である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程b) の酵素処理が非還元性末端中に4,5炭素-炭素二重結合をもつ不飽和オリゴマーの生成に導き、235 nmにおいて明確なUV吸収を示す分解生成物を生ずる、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
工程a) およびb) 後に工程c) を実施する、請求項3〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
下記の追加工程の少なくとも1つを含んでなる請求項1〜6のいずれかに記載の方法: d) 皮むき、e) チッピング、f) 精製、g) スクリーニング、h) クリーニング、i) 増粘、j) 貯蔵、k) 紙材料の形成、および/またはl) 紙材料の乾燥。
【請求項8】
アルカリ処理が過酸化水素またはヒドロ亜流酸塩の漂白、またはリサイクルパルプの再パルプ化である、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
パルプをさらにポリガラクツロナーゼおよび/またはペクチン酸二糖リアーゼで処理する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
酵素を洗浄廃棄物、白水、プロセス水、および/または排水に添加する、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
酵素を錯化剤および/または界面活性剤と一緒に添加する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
下記工程を含んでなるパルプ中のカチオン要求量および/またはアニオン廃物の含有率を減少する方法: a) パルプをアルカリ処理する、およびb) パルプをi) キシラナーゼ、および/またはii) ペクチンリアーゼ、ペクチン酸リアーゼ、またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理する。
【請求項13】
(i) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼ処理を実施し、
(ii) ペクチン酸リアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iii) ペクチンリアーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施し、
(iv) ペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理した後、アルカリ処理工程を実施し、
(v) アルカリ処理工程後にペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせで処理し、
(vi) アルカリ処理工程後にキシラナーゼ処理を実施し、および/または
(vii) キシラナーゼ処理後にアルカリ処理工程を実施する、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
工程b) がパルプをペクチナーゼで処理することを含む、請求項12〜13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
アニオン廃物を減少しおよび/またはカチオン要求量を減少するためのパルプにおけるキシラナーゼ、ペクチン酸リアーゼ、ペクチンリアーゼ、および/またはペクチン酸リアーゼとペクチンエステラーゼとの組み合わせの使用。
【請求項16】
ペクチナーゼの使用をさらに含んでなる請求項15に記載の使用。

【図1】
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【公表番号】特表2006−523781(P2006−523781A)
【公表日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504350(P2006−504350)
【出願日】平成16年4月5日(2004.4.5)
【国際出願番号】PCT/DK2004/000245
【国際公開番号】WO2004/092479
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(500586299)ノボザイムス アクティーゼルスカブ (164)
【出願人】(500132074)ノボザイムス ノース アメリカ,インコーポレイティド (16)
【Fターム(参考)】