説明

製紙用表面サイズ剤、紙の表面サイジング方法および塗工紙

【課題】サイズ効果に優れ、表面サイジング工程における発泡が少なく、しかも得られる塗工紙をオフセット印刷(特に新聞用オフセット印刷)した際の、湿し水による紙表面のネッパリ現象発生を、好適に抑制できる、製紙用表面サイズ剤の提供。
【解決手段】炭素数8〜36のアルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸アルカリ塩(A)の存在下に、疎水性不飽和単量体(b1)、ヒドロキシル基含有不飽和単量体(b2)およびアミド系不飽和単量体(b3)を含む単量体混合物(B)を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有することを特徴とする製紙用表面サイズ剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は製紙用表面サイズ剤、該サイズ剤を用いる紙の表面サイジング方法および該サイジング方法を適用して得られる塗工紙に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の紙印刷技術における高速化、量産化、多色化などの諸要請に応えるべく、印刷方式は従来の凸版方式からオフセット(平版)方式へと推移しつつある。
【0003】
しかしオフセット印刷方式では、周知のように、印刷時に用いる湿し水が印刷用紙にも供給されるため、用紙が吸水して紙表面が粘着性を帯び印刷胴(ブランケット胴)に張り付くいわゆるネッパリ現象が生じ、パルプ剥けによる機器の汚れや印刷面の乱れや、ひどい場合には紙の断紙を起こすことがある。そこで、通常は印刷用紙の吸水度をコントロールするべくサイジングを施すことになる。
【0004】
しかし、パルプスラリーに内添サイズ剤を添加する内添サイジング方法では、パルプシートへの該サイズ剤の歩留りが悪いため、所望のサイズ効果を得るためには該サイズ剤を比較的多量に添加する必要があり、不経済となる。特に、近年需要が高まっているDIP(脱インクパルプ)を用いたパルプスラリーに内添サイジング方法を適用した場合には、サイズ効果が得られ難くなり、その結果、ンク着肉性などの印刷適性や、印刷画像の品質が低下する等の不利もある。
【0005】
そのため斯界では、内添サイズ剤を用いる内添サイジング方法から表面サイズ剤を用いる表面サイジング方法に置換する動きがある。すなわち、表面サイズ剤は印刷用紙表面にほぼ100%歩留るため優れたサイズ効果を発揮でき、経済的にも有利であり、更には抄紙系の汚れや抄紙温度変化に伴うサイズ効果の変動といった操業上の問題も少ないなどの利点があるためである。
【0006】
しかし、公知の表面サイズ剤を、オフセット印刷用紙(特に新聞用紙)の表面サイジングに適用した場合、前記の諸性能を十分に発現できないことは周知である。
【0007】
例えばオレフィン−マレイン酸系の水溶性共重合体を有効成分とする表面サイズ剤(特許文献1を参照)を用いると、印刷時のネッパリ現象を低減できるものの、塗工液の発泡性や成紙のサイズ効果の点で不満足である。
【0008】
また、アルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸塩の水溶液にアニオン性スチレン系ポリマーを配合してなる組成物を有効成分とする表面サイズ剤(特許文献2を参照)は、サイズ効果は高いものの、印刷時のネッパリ現象や塗工液の発泡性の点で不満足である。
【0009】
【特許文献1】特公昭57−4760号公報
【特許文献2】特許第3458589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、サイズ効果に優れ、表面サイジング工程における発泡が少なく、しかも得られる塗工紙をオフセット印刷(特に新聞用オフセット印刷)した際の、湿し水による紙表面のネッパリ現象発生を、好適に抑制できる、製紙用表面サイズ剤を提供することを主な課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の置換コハク酸アルカリ塩の存在下に、特定の不飽和単量体混合物を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有する製紙用表面サイズ剤によれば、前記課題をことごとく解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、炭素数8〜36のアルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸アルカリ塩(A)の存在下に、疎水性不飽和単量体(b1)、ヒドロキシル基含有不飽和単量体(b2)およびアミド系不飽和単量体(b3)を含む単量体混合物(B)を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有することを特徴とする製紙用表面サイズ剤;該製紙用表面サイズ剤と、疎水性不飽和単量体(c1)およびカルボキシル基含有不飽和単量体(c2)を重合させて得られる水溶性重合体(C)とを混合してなることを特徴とする製紙用表面サイズ剤;該製紙用表面サイズ剤を用いることを特徴とする紙の表面サイジング方法;および該サイジング方法を適用して得られることを特徴とする塗工紙に関する。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る製紙用表面サイズ剤によれば、原紙に優れたサイズ効果を付与でき、該サイズ剤塗工時の発泡を低減でき、表面サイジング工程における優れた操業性を維持することができ、しかも得られる塗工紙をオフセット印刷(特に新聞用オフセット印刷)した際のネッパリ現象発生を効果的に抑制できるなど、特有の効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
まず、本発明に係る製紙用表面サイズ剤の有効成分である水性エマルジョン組成物について説明する。
【0015】
本発明に係る製紙用表面サイズ剤は、炭素数8〜36のアルキル基又はアルケニル基を有する置換コハク酸アルカリ塩(A)(以下、成分(A)という)の存在下に、疎水性不飽和単量体(b1)(以下、単量体(b1)という)、ヒドロキシル基含有不飽和単量体(b2)(以下、単量体(b2)という)およびアミド系不飽和単量体(b3)(以下、単量体(b3)という)を含む単量体混合物(B)(以下、成分(B)という)を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有してなるものである。
【0016】
成分(A)である、炭素数8〜36のアルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸アルカリ塩は、成分(B)である単量体混合物を乳化重合させる際に不可欠のものであり、乳化剤(保護コロイド)としての作用を奏し得るものである。成分(A)としては、炭素数が8〜36、好ましくは12〜36、特に好ましくは12〜20のアルキル基または、炭素数が8〜36、好ましくは12〜36、特に好ましくは12〜20のアルケニル基(いずれも、直鎖、分岐鎖または環状であってよい)を置換基として有するコハク酸のアルカリ金属塩、該コハク酸のアンモニウム塩、および該コハク酸の有機アミン塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。本発明においては、成分(A)を存在させることにより、得られる水性エマルジョン組成物の機械安定性が改善されるとともに、本発明の製紙用表面サイズ剤を用いてなる塗工紙(印刷用紙)のサイズ効果が良好となり、かつゲートロールなどの塗工マシンを用いて表面サイジングする際の塗工液の発泡を効果的に抑制できる利点がある。
【0017】
成分(A)の使用量は、上記の諸性能を考慮して適宜に決定されるが、成分(B)の全重量に対し、通常は100重量程度%以下、好ましくは2〜60重量%程度、特に好ましくは5〜30重量%である。成分(A)の使用量が過剰である場合には、得られる塗工紙のサイズ効果がむしろ低下する傾向があり、また該使用量が過少である場合には、塗工時のエマルジョン安定性が低下する傾向がある。
【0018】
単量体(b1)としては、分子内にヒドロキシル基やアミド構造を有しない疎水性単量体であれば特に限定されず、各種公知のものを使用することができる。
スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン類といった芳香族系不飽和単量体;直鎖または分岐鎖のアルキル基(いずれも炭素数が6〜22程度)を有するα−オレフィン(例えば、ジイソブチレン(2,2,4−トリメチル−1−ペンテン)、1−オクテン等);直鎖または分岐鎖のアルキル基(いずれも炭素数が1〜18程度)を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル類((メタ)アクリル酸とは、アクリル酸および/またはメタクリル酸をいう。以下、同様。);ベンジル基、アリル基等の置換基を有する各種(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;アルキル(炭素数1〜22程度)を有するビニルエーテル等が挙げられる。なお、単量体(b1)に係るアルキル基は、直鎖、分岐鎖または環状のいずれであってもよく、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、パルミチル基、ステアリル基等が挙げられる。これら単量体(b1)は1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、サイズ効果に優れるという理由から、スチレン類および/またはアクリル酸アルキルエステル類が好ましい。
【0019】
単量体(b2)としては、ヒドロキシアルキル基(炭素数が2〜4程度)を有する(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。具体的には、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら単量体(b2)は1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、水性エマルジョン組成物の機械安定性という理由から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0020】
単量体(b3)としては、単量体(b1)および単量体(b2)以外の単量体であって、分子内にアミド構造を有する単量体であれば、特に限定されず、公知のものを使用することができる。アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミドおよびN−シクロヘキシル置換アルキル(メタ)アクリルアミド等のN−置換モノアルキル(メタ)アクリルアミド類;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジラウリル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジターシャリーオクチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N−ジシクロヘキシル(メタ)アクリルアミド等のN−置換ジアルキル(メタ)アクリルアミド類;ダイアセトンアクリルアミド等が挙げられる。これら単量体(b3)は1種を単独で、または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でも、水性エマルジョン組成物の硬水系における希釈安定性に優れるという理由から、アクリルアミドが好ましい。
【0021】
成分(B)における前記単量体(b1)、(b2)および(b3)の各使用量は、格別限定はされないが、通常は単量体(b1)が70〜99.8重量%程度、好ましくは80〜98重量%であり、単量体(b2)が0.1〜15重量%程度、好ましくは1〜10重量%であり、単量体(b3)が0.1〜15重量%程度、好ましくは1〜10重量%である。単量体(b1)の使用量が70重量%に満たない場合にはサイズ効果が不十分となる傾向があり、99.8重量%を超えると前記水性エマルジョン組成物の機械安定性が低下する傾向にある。また、単量体(b2)の使用量が0.1重量%に満たない場合には水性エマルジョン組成物の機械安定性が低下する傾向にあり、10重量%を超えるとサイズ効果が低下する傾向にある。また、単量体(b3)の使用量が0.1重量%に満たない場合には、特に、硬水系における希釈安定性および機械的安定性が低下する傾向にあり、10重量%を超えるとサイズ効果が低下する傾向にある。
【0022】
なお、成分(B)には、前記単量体(b1)〜(b3)の他にも、必要に応じてビニルピロリドン等のノニオン性不飽和単量体や(メタ)アクリル酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等のアニオン性不飽和単量体またはその塩(例えば、アルカリ塩)などを含有させることができる。それらの使用量は、得られる製紙用表面サイズ剤のサイズ性能を低下させない範囲であれば特に限定されないが、通常、成分(B)の全重量に対して10重量%程度以下である。
【0023】
本発明に係る水性エマルジョン組成物の製造方法は特に限定されず、各種公知の手段を利用できる。例えば、加熱装置や撹拌機等を備えた適当な反応容器に、前記成分(A)の水溶液を仕込み、次いで成分(B)とラジカル重合開始剤を加え、次いで水、有機溶剤および必要に応じて乳化剤を仕込み、攪拌下に加温して乳化重合する方法が挙げられる。なお、前記成分(B)の仕込み方法は特に制限されず、一括仕込みや分割滴下のいずれの方法でもよく、またラジカル重合開始剤とともに滴下してもよい。また、重合温度は通常40〜150℃程度、反応時間は2〜12時間程度である。また、反応系は、必要に応じて窒素等の不活性ガスでパージしてもよい。
【0024】
ラジカル重合開始剤の種類は特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の無機過酸化物、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等の有機過酸化物、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2´−アゾビスイソブチレート等のアゾ系化合物等が挙げられる。なお、ラジカル重合開始剤の使用量は、成分(B)100重量部に対して、通常0.01〜5重量部程度である。なお、ラジカル重合開始剤の場合は亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム等の還元剤を併用して反応系をレドックス系としてもよい。また重合度を調節して水性エマルジョン組成物を所望の粘度とするために、N−ドデシルメルカプタン、2−メルカプトベンゾチアゾール、ブロムトリクロルメタン等の連鎖移動剤を用いることもできる。該使用量は、成分(B)100重量部に対し、通常0.01〜5重量部程度である。
【0025】
前記有機溶剤の種類は特に限定されず、各種公知のものを使用できる。具体的には、例えば、エチルアルコール、プロピルアルコール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等の低級ケトン類、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミド等が挙げられ、これらはいずれかを単独でまたは2種以上を適宜に組み合わせて使用できる。但し、これらの有機溶剤は、乳化重合を終了した後に、各種の蒸留方法(水蒸気蒸留、減圧蒸留等)により留去するのが好ましい。
【0026】
なお、乳化重合の際には、本発明の目的を損なわない範囲において、各種公知のノニオン性やアニオン性の界面活性剤を適宜に選択して使用できる。該界面活性剤の使用量は、成分(B)の全重量に対して通常10重量%程度以下、好ましくは5重量%以下である。該使用量が10重量%を越える場合は、得られる水性エマルジョン組成物の泡立ち性が強くなり、塗工時の発泡が生じやすくなる場合がある。
【0027】
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。前記アニオン性界面活性剤としては、例えばアルキル硫酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルフォン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩エステル、α―オレフィンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩等が挙げられる。
【0028】
また、下記一般式1、2で示される、重合性基を有するノニオン性またはアニオン性界面活性剤等を使用してもよい。なお、カチオン性界面活性剤は、乳化重合中に凝集物が発生するため、使用することはできない。
【0029】
一般式1:
【0030】
【化1】

【0031】
(式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20の炭化水素基;Xは炭素−炭素二重結合を含有する共重合性の官能基;(AO)のうち、Aは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基;nは1〜100の整数;Bは水素原子、スルホン酸基、リン酸基、スルホコハク酸基およびこれらの塩、ならびにスルホコハク酸基エステルから選ばれる少なくとも一つを示す。)
【0032】
一般式2:
【0033】
【化2】

【0034】
(式中、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、または、少なくとも一つの炭素数1〜20の炭化水素基により置換された芳香環;Xは炭素―炭素二重結合を含有する共重合性の官能基;(AO)のうちAは炭素数2〜4のアルキレン基もしくは置換アルキレン基;lは1〜100の整数;Bは水素原子、スルホン酸基、リン酸基、スルホコハク酸基およびこれらの塩、ならびにスルホコハク酸基エステルから選ばれる少なくとも一つ;mは0または1の整数を示す。)
【0035】
こうして得られた水性エマルジョン組成物は、通常、黄白濁状の概観を呈しており、また、固形分濃度25重量%において通常pHが6.5〜10.0程度、粘度が5〜30mPa・s程度(25℃)、粒子径が40〜200nm程度である。当該水性エマルジョン組成物は、そのまま本発明の製紙用表面サイズ剤として利用できるが、具体的には、塗工液の固形分濃度に換算して通常0.001〜3重量%程度、好ましくは0.05〜2.0重量%の範囲となるようにして、実用に供される。
【0036】
本発明では、前記製紙用表面サイズ剤と、疎水性不飽和単量体(c1)(以下、単量体(c1)という)およびカルボキシル基含有不飽和単量体(c2)(以下、単量体(c2)という)を重合させて得られる水溶性重合体(C)(以下、成分(C)という)とを混合したものを製紙用表面サイズ剤として用いることができる。当該水溶性重合体(C)を用いることにより、水性エマルジョン組成物の機械安定性を一層向上させることができる。
【0037】
単量体(c1)としては、前記単量体(b1)が相当し、前掲したものの中からいずれか1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、単量体(c2)としては、(メタ)アクリル酸、(無水)マレイン酸、マレイン酸半アルキルエステル、イタコン酸、イタコン酸半アルキルエステル、シトラコン酸、フマル酸等のアニオン性不飽和単量体や、これらのアルカリ金属、アンモニア、有機アミン塩等が挙げられる。なお、アルキルエステルを構成するアルキル基としては、単量体(b1)の項目で説明したものと同様である。
【0038】
成分(C)は、各種公知の方法で製造できる。例えば、適当な反応容器に、前記単量体(c1)と単量体(c2)を仕込み、更には前記ラジカル重合開始剤と必要に応じて前記有機溶剤とを仕込み、通常20〜150℃において、2〜12時間程度重合反応を行えばよい。こうして得られる成分(C)は、溶液状の概観を呈し、固形分濃度25重量%においてpH7.0〜9.0程度、粘度100〜5000mPa・s程度(25℃)を有するものである。
【0039】
なお、成分(C)として、オレフィン−マレイン酸系水溶性重合体を用いた場合には、本発明に係る水性エマルジョン組成物の機械安定性の向上はもとより、湿し水に対する瞬時のサイズ効果を向上させることができる。なお、このような瞬時のサイズ効果は、印刷用紙表面に水滴を滴下した直後の、用紙に対する水滴の接触角を測定することによりある程度予測できる。
【0040】
成分(C)は、本発明に係る製紙用表面サイズ剤100重量部(固形分換算)に対して、通常300重量部(固形分換算)未満、好ましくは5〜200重量部(固形分換算)となるように用いるのがよい。該使用量が300重量部を超えると、サイズ効果の低下や、塗工液の発泡性が増大し操業性が悪化する傾向にある。
【0041】
本発明の製紙用表面サイズ剤は、単独で使用することができることはもちろんのこと、酸化澱粉、アルギン酸ソーダ、カルボキシメチルセルロ−ス、アクリルアミド系ポリマー、ポリビニルアルコール等と併用することもできる。また、本発明に係る表面サイズ剤には、塗工時の泡立ちを低減させるための消泡剤や、各種の防腐剤を予め配合することもできる。
【0042】
本発明に係る表面サイジング方法は、前記各製紙用表面サイズ剤を用いることを特徴としており、具体的には、これらを各種公知の塗工手段により各種用紙に塗工することにより実施できる。塗工方法としては、含浸法、サイズプレス法、ゲートロール法、バーコーター法、カレンダー法、スプレー法等が挙げられるが、特にゲートロール法を用いた場合には、優れたサイズ効果が得られる。また、塗布量は、通常、0.001〜2g/m(固形分換算)、好ましくは0.005〜0.5g/m(固形分換算)である。なお、本発明の製紙用表面サイズ剤によれば、水性エマルジョン組成物としての機械安定性が良好であることから、マシン汚れ等の操業上のトラブルが殆ど生じない。
【0043】
本発明に係る塗工紙は、各種の用紙に前記表面サイジング方法を適用し、これを公知手段で乾燥することにより得られるものである。具体的には、前記製紙用表面サイズ剤を各種の用紙に前記塗工量で塗布し、これを公知手段で乾燥することにより得られるものである。用紙の種類は特に制限されず、例えばPPC用紙、インクジェットまたはトナープリンター用紙、感熱紙等の情報用紙;感圧紙、筆記用紙、コート原紙、書籍用紙等の上質紙・中質紙・中質コート原紙;包装用紙、クラフト紙、ライナー、板紙、石膏ボード原紙、新聞用紙等に適用可能である。また、紙は酸性、中性のいずれであってもよい。これらの中でも、本発明に係る製紙用表面サイズ剤によれば特に古紙を原料に用いる新聞用紙や、筆記用紙において好適なサイズ効果が得られる。
【0044】
なお、上記各用紙をなす原紙の種類も特に制限されず、本発明の製紙用表面サイズ剤は、パルプ、填料、内添サイズ剤、内添紙力増強剤、歩留まり向上剤等の原料および内添薬品による影響、および抄紙pH、抄紙温度、抄紙マシンの形式等抄紙条件の影響は殆ど受けない。
【実施例】
【0045】
以下、実施例および比較例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお各例中、部および%は特記しない限りすべて重量基準である。
【0046】
合成例1(成分(C):オレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体の製造)
攪拌機、冷却管、2つの滴下ロート、窒素導入管および温度計を備えた反応容器に、マレイン酸のイソブチルアルコール半エステル68.8部、マレイン酸58.8部およびトルエン75.2部を仕込み、窒素気流下に攪拌しながら110℃まで昇温した。次いで、ジイソブチレン(2,2,4−トリメチル−1−ペンテンの含有率76%)73.7部および1−オクテン56部を仕込んだ一方の滴下ロートと、t-ブチルパーオキシベンゾエート12.0部およびトルエン35部を仕込んだ他方の滴下ロートより、約1.5時間を要して各内容物を反応容器内へ滴下し、還流下に約2時間保温した。その後、t−ブチルパーオキシベンゾエート4.8部およびトルエン15部を約30分要して滴下し、さらに同温度で1時間保温して重合を完結させた。次いで、トルエンを減圧留去し、重合物を水酸化ナトリウム13.3部、所定量の水および28%アンモニア水87.4部で中和することによりオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体を得た。このものの固形分濃度は20.5%、pHは9.0、25℃粘度は80mPa・sであった。
【0047】
合成例2(比較用表面サイズ剤の製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素導入管付きの反応容器に、軟水100部およびイソプロピルアルコール75部を仕込み、窒素気流下に撹拌しながら加熱して80℃まで昇温した。次いで、成分(B)としてスチレン50部、アクリル酸50部を混合した単量体混合物と、過硫酸カリウム5部を水120部に溶解した重合開始剤水溶液とを約3時間かけて系内に滴下し、更に2時間保温して反応を完結させた。次いで、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後28%アンモニア水溶液46.4部(アクリル酸に対して100モル%)を加え、水で希釈して共重合体濃度が20%、25℃の粘度が1100mPa・sであるアニオン性スチレン系ポリマーを得た。
【0048】
合成例3(比較用表面サイズ剤(特許文献2記載の表面サイズ剤に相当)の製造)
前記合成例2で得たアニオン性スチレン系ポリマー100部(固形分換算)と、炭素数18のアルケニル無水コハク酸(商品名「サイズパインSA−864」:荒川化学工業(株)製)の100%ナトリウム塩水溶液(不揮発分40%、pH13.0)37.5部(成分(B)の全量に対して15重量%に相当)を混合し、更には水で希釈することにより、固形分濃度が20%、25℃の粘度が300mPa・sである組成物を得た。
【0049】
製造例1(水性エマルジョン組成物の製造)
合成例2と同様の反応容器に、水300部と、成分(A)として前記「サイズパインSA−864」の100%ナトリウム塩水溶液(固形分濃度40%、pH13.0)37.5部(成分(B)の全量に対して15重量%(固形分換算)に相当する)と、成分(B)としてα−メチルスチレン10部、スチレン30部、ブチルメタクリレート50部、2−ヒドロキシエチルアクリレート5部、およびアクリルアミド5部と、Nドデシルメルカプタン0.5部と、アニオン性界面活性剤(商品名「ネオハイテノールS−70」、第一工業製薬(株)製)4部とを仕込んだ。次いで、反応系内の酸素を窒素で充分に置換した後、撹拌しながら系内を70℃まで昇温した。次いで、反応容器にラジカル重合開始剤(過硫酸アンモニウム2部を水8部に溶解した水溶液)を投入し、20分間乳化重合させた後、更に80℃まで昇温して、80〜85℃の温度範囲で4時間保持することにより、乳化重合反応を完結させた。得られた水性エマルジョン組成物はpH8.0、固形分濃度25.5%、粘度10mPa・s/25℃であった。
【0050】
製造例2〜16、比較製造例1〜3(水性エマルジョン組成物の製造)
表1に示す原料を用いた以外は製造例1と同様にして、各種の水性エマルジョン組成物を得た。得られた各水性エマルジョンの一般恒数(固形分濃度、粘度、pH)を表1に示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1中、(A)の欄における数値は、成分(A)の、成分(B)に対する重量%(固形分換算)を意味する。また(B)の欄における数値は、成分(B)に占める各単量体の重量%を意味する。
【0053】
表1中、各記号は以下の意味である。
NV;水性エマルジョン組成物の固形分濃度(重量%)
粘度;25℃におけるブルックフィールド型粘度計で測定した値(mPa・s)
ODSA;炭素数18のアルキル基(オクタデシル基)で置換された無水コハク酸
DDSA;炭素数12のアルキル基(ドデシル基)で置換された無水コハク酸
HDSA;炭素数16のアルキル基(ヘキサデセニル基)で置換された無水コハク酸
低分子量乳化剤;ハーフエステル型スルホコハク酸ナトリウム(商品名「ネオハイテノールS−70」;第一工業製薬(株)製)
αSt;α−メチルスチレン
St;スチレン
BMA;メタアクリル酸ブチル
HEMA;メタクリル酸2−ヒドロキシエチル
AM;アクリルアミド
【0054】
<塗工液の調製>
まず、酸化澱粉(商品名「王子エースA」:王子コーンスターチ(株)製)を固形分濃度10%で糊化を行った(以下、酸化澱粉というときは、かかる糊化処理をしたものをいう。)。次いで、これと前記製造例1で得られた水性エマルジョン組成物(表面サイズ剤)とを混合し、塗工液1を調製した。
なお、塗工液1中の表面サイズ剤の固形分濃度は1%、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0055】
製造例2〜16、比較製造例1〜3の各水性エマルジョン組成物についても塗工液1と同様にして、塗工液2〜16、比較塗工液1〜3を調製した。
なお、塗工液2〜16、比較塗工液1〜3のそれぞれにおいて、該表面サイズ剤の固形分濃度は1%、該酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0056】
また、製造例1で得た水性エマルジョン組成物(表面サイズ剤)と、前記オレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体(表面サイズ剤)と、前記酸化澱粉とを混合し、塗工液17を調製した。
なお、塗工液17中の両表面サイズ剤の合計固形分濃度は1%(そのうち、水性エマルジョン組成物とオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体の固形分重量比は100:50である)、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0057】
また、製造例1で得た水性エマルジョン組成物(表面サイズ剤)と、前記オレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体(表面サイズ剤)とを、前記酸化澱粉とを混合し、塗工液18を調製した。
なお、塗工液18中の両表面サイズ剤の合計固形分濃度は1%(そのうち、水性エマルジョン組成物とオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体の固形分重量比は100:1である)、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0058】
また、製造例1で得た水性エマルジョン組成物(表面サイズ剤)と、前記オレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体(表面サイズ剤)と、前記酸化澱粉とを混合し、塗工液19を調製した。
なお、塗工液19中の両表面サイズ剤の合計固形分濃度は1%(そのうち、水性エマルジョン組成物とオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体の固形分重量比は100:300である)、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0059】
前記合成例1で得たオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体(表面サイズ剤)と、前記酸化澱粉とを混合し、比較塗工液4を調製した。
なお、比較塗工液4の表面サイズ剤の固形分濃度は1%、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0060】
合成例2で得たアニオン性スチレン系ポリマー(表面サイズ剤)と、前記酸化澱粉とを混合し、比較塗工液5を調製した。
なお、比較塗工液5の表面サイズ剤の固形分濃度は1%、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0061】
合成例3で得た組成物(表面サイズ剤)(アニオン性スチレン系ポリマーと炭素数18のアルケニル無水コハク酸との混合物)と、前記酸化澱粉とを、酸化澱粉の固形分濃度が8%、該表面サイズ剤のそれが1%となるように混合し、比較塗工液6を調製した。
【0062】
前記比較製造例3で得た水性エマルジョン組成物(表面サイズ剤)と、前記「サイズパインSA−864」100%ナトリウム塩水溶液(表面サイズ剤)と、前記酸化澱粉とを混合し、比較塗工液7を調製した。
なお、比較塗工液7中の両表面サイズ剤の合計固形分濃度は1%(そのうち、水性エマルジョン組成物とサイズパインSA−864の固形分重量比は100:50である)、酸化澱粉の固形分濃度は8%である。
【0063】
<試験用紙の作成:酸性新聞塗工紙>
1μlドロップサイズ度が4秒、坪量43g/m2の酸性新聞紙を原紙に用い、ゲートロールテストコーター(エスエムテー(株)製、PM−9002GC型)を用いて、液温を40℃に調整した前記各塗工液を該原紙に塗工し、回転ドライヤーにて105℃で1分間乾燥した。なお、原紙への製紙用表面サイズ剤の付着量は、固形分換算で約0.08g/m、澱粉の付着量は約0.64g/mであった。
【0064】
<試験用紙の作成:中性紙>
ステキヒトサイズ度が4秒、坪量60g/mの上質中性紙を原紙に用い、前記ゲートロールテストコーターを用いて、液温を40℃に調整した前記各塗工液を該原紙に塗工し、回転ドライヤーにて105℃で1分間乾燥した。なお、原紙への製紙用表面サイズ剤の付着量は固形分換算で約0.08g/m、澱粉の付着量は約0.64g/mであった。
【0065】
実施例1〜19、比較例1〜7
(サイズ度の測定:ドロップサイズ度)
前記方法で得られた各試験用紙を用い、Japan TAPPI No.33に準拠した方法に基づき、紙表面に水5μlを滴下し、水滴が紙面に吸収されるまでの時間を測定し、表面サイズ(ドロップサイズ)度(秒)を測定した。なお、ドロップサイズの測定は、用紙がオフセット輪転機で湿し水が付着してから印刷物として排出されるまでの間の時間の用紙挙動を示すものと考えられる。数値が高い(長い秒数)であるほど、サイズに優れる。結果を表2、3に示す。
【0066】
(サイズ度の測定:接触角の測定)
前記方法で得られた各試験用紙を用い、Dynamic Adsorption Tester 1100DAT(Fibro社製)を用いて、用紙表面に1μlの水滴を滴下し、滴下0.1秒後の接触角を測定した。なお、この接触角は実際の新聞のオフセット印刷機における胴と胴との間での短時間の用紙挙動を示すものと考えられる。接触角(度)が大きいほど、サイズに優れる。結果を表2、3に示す。
【0067】
(ネッパリ強度の測定)
前記方法で得られた各塗工紙を用い、各試験用紙2枚を水に1秒間浸漬した後引き上げ、それぞれの面と面とを張り合わせた状態で線圧980N/cmのロールに通し、得られた試験用紙を風乾させた後に、引っ張り試験機(商品名「LRX」(商品名「LRX」:(株)安田精機商会製)を用いてT字剥離強度(N/m)を測定した。得られた測定値をネッパリ強度とする。数値が高いほどネッパリが強いことを示す。結果を表2、3に示す。
【0068】
(発泡性の試験)
実施例1〜19、比較例1〜7に記載の塗工液を、50℃に加温し、家庭用ミキサーで2分間処理した後に、処理直後の液面の高さを測定した。処理前の液面高さは60mmである。結果を表2、3に示す。
【0069】
(硬水を用いた際の機械安定性の測定)
実施例1〜19、比較例1〜3、7に記載の塗工液を、硬度0°dHの水を用いて3倍希釈し、酸化澱粉の固形分濃度が2.7重量%、エマルジョンの固形分濃度が0.33重量%とした液を、2本ロールのラボサイズプレスを用いて一時間循環し、凝集物の発生および2本のロールの汚れを以下の規準にて目視評価した。また、硬度20°dHを用いて同様の試験を行った。結果を表2、3に示す
◎:機械的安定性に極めて優れる(凝集物は確認できず、ロールの汚れもない)
○:機械的安定性に優れる(凝集物は確認できないが、ロールが微妙に汚れる)
△:機械的安定性がやや劣る(少量の凝集物の発生、ロールが汚れる)
×:機械的安定性が劣る(多量の凝集物の汚れ、著しくロールが汚れる)
【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【0072】
なお表3中、比較例4、5、6において塗工液の機械安定性の評価(−)とは、比較塗工液4〜6が水性エマルジョンでないため当該評価を割愛したことを意味する。
【0073】
(サイズ度の測定:ペン書きサイズ度)
前記方法で得られた各塗工紙を用い、J.Tappi No.12に準拠して、ペン書きサイズ度を測定した。数字が大きいほど良好なサイズ度を表す。結果を表4、5に示す。
【0074】
(サイズ度の測定:ステキヒトサイズ度)
前記方法で得られた各塗工紙を用い、JIS P 8122に準拠してステキヒトサイズ度を測定した。結果を表4、5に示す。
【0075】
【表4】

【0076】
【表5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭素数8〜36のアルキル基またはアルケニル基を有する置換コハク酸アルカリ塩(A)の存在下に、疎水性不飽和単量体(b1)、ヒドロキシル基含有不飽和単量体(b2)およびアミド系不飽和単量体(b3)を含む単量体混合物(B)を乳化重合して得られる水性エマルジョン組成物を含有することを特徴とする製紙用表面サイズ剤。
【請求項2】
前記置換コハク酸アルカリ塩(A)の使用量が、前記単量体混合物(B)の全重量に対して100重量%以下である請求項1に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項3】
ヒドロキシル基含有不飽和単量体(b2)が単量体混合物(B)の全重量に対して0.1〜15重量%である請求項1または2に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項4】
アミド系不飽和単量体(b3)が単量体混合物(B)の全重量に対して0.1〜15重量%である請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤と、疎水性不飽和単量体(c1)およびカルボキシル基含有不飽和単量体(c2)を重合させて得られる水溶性重合体(C)とを混合してなることを特徴とする製紙用表面サイズ剤。
【請求項6】
前記水溶性重合体(C)がオレフィン−マレイン酸系水溶性共重合体である請求項5に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項7】
前記水溶性重合体(C)の使用量が、請求項1〜4のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤100重量部(固形分換算)に対し、300重量部(固形分換算)未満である請求項5または6に記載の製紙用表面サイズ剤。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の製紙用表面サイズ剤を用いることを特徴とする紙の表面サイジング方法。
【請求項9】
請求項8の表面サイジング方法を適用して得られることを特徴とする塗工紙。

【公開番号】特開2007−70791(P2007−70791A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−214130(P2006−214130)
【出願日】平成18年8月7日(2006.8.7)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】