説明

製紙用表面サイズ液および印刷用紙

【課題】表面サイジングの際にマシン汚れが生じにくく、かつ発泡が少なく、しかも印刷用紙に紙すべりを殆ど生じさせない、新規な製紙用表面サイズ液を提供すること。
【解決手段】アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含み、(メタ)アクリルアミド類を含まない単量体群(a)を共重合させてなる水溶性共重合体塩(A)、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含む単量体群(b)の共重合物(B)、界面活性剤(C)、および必要に応じて不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)を構成成分とするエマルジョン(1)と、アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)と、前記(A)以外の水溶性ポリマー(3)とを含有することを特徴とする、製紙用表面サイズ液、を用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製紙用表面サイズ液および印刷用紙に関する。
【背景技術】
【0002】
製紙用表面サイズ液には各種あり、それぞれに特長がある。例えばアルキルケテンダイマーのエマルジョンを含む製紙用表面サイズ液によれば、各種サイズ効果(ステキヒトサイズ、ペン書きサイズ等)に優れる印刷用紙が得られる(例えば特許文献1を参照)。しかし、当該製紙用表面サイズ液は、該エマルジョンが加水分解し易くまた機械的安定性に劣ることから、マシン汚れを生じやすく、例えば抄紙機に凝集物が多量に付着することがある。この問題は、特に硬水が用いられる場合において深刻化する。ほかにも、サイジングしてなる印刷用紙が紙すべりを生じやすい等の問題がある。
【0003】
そこで業界では、マシン汚れの軽減等を目的として、カルボキシル基含有不飽和単量体および疎水性不飽和単量体からなる水溶性共重合体と、アルキルケテンダイマーのエマルジョンとを併用した製紙用表面サイズ液が用いられることがある(例えば特許文献2を参照)。しかし、当該製紙用表面サイズ液は、表面サイジングの際に多量の泡を生ずるため、操業性の点で問題がある。
【0004】
なお、低発泡性タイプの製紙用表面サイズ液としては、ポリアクリルアミド系水溶性共重合体の存在下で疎水性不飽和単量体を乳化重合してなるエマルジョンと、アルキルケテンダイマーのエマルジョンとを含むものが知られている(例えば特許文献3を参照)。しかし、当該製紙用表面サイズ液は、前記マシン汚れや、特に前記紙すべりの点で不十分である。
【特許文献1】特開2007−31909号公報
【特許文献2】特開2003−221795号公報
【特許文献3】特開平11−217795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、表面サイジングの際にマシン汚れが生じにくく、かつ発泡が少なく、しかも印刷用紙に紙すべりを殆ど生じさせない、新規な製紙用表面サイズ液を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、下記製紙用表面サイズ液によれば前記課題を解決できることを見出した。即ち本発明は、
【0007】
1.アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含み、(メタ)アクリルアミド類を含まない単量体群(a)を共重合させてなる水溶性共重合体塩(A)、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含む単量体群(b)の共重合物(B)、界面活性剤(C)、ならびに必要に応じて不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)を構成成分とするエマルジョン(1)と、アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)と、前記(A)以外の水溶性ポリマー(3)とを含有することを特徴とする、製紙用表面サイズ液、
【0008】
2.前記エマルジョン(1)が、前記界面活性剤(C)および必要に応じて前記不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)の存在下で前記単量体群(b)を乳化重合させることにより得られる、前記共重合物(B)を含有する乳化物と、前記水溶性共重合体塩(A)とを混合してなるものである、前記1に記載の製紙用表面サイズ液、
【0009】
3.前記エマルジョン(1)が、前記水溶性共重合体塩(A)、前記界面活性剤(C)および必要に応じて前記不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)の存在下で前記単量体群(b)を乳化重合させることにより得られる、前記共重合物(B)を含有する乳化物である、前記1に記載の製紙用表面サイズ液、
【0010】
4.前記単量体群(a)において、アニオン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸であり、かつ、疎水性不飽和単量体がスチレンである、前記1または2に記載の製紙用表面サイズ液、
【0011】
5.前記単量体群(a)が、アニオン性不飽和単量体を20〜80重量%、および疎水性不飽和単量体を80〜20重量%含有するものである、前記1〜4のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【0012】
6.前記水溶性共重合体塩(A)のガラス転移温度が50〜120℃である、前記1〜5のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【0013】
7.エマルジョン(1)における前記水溶性共重合体塩(A)の含有量が、固形分換算で2〜80重量%である、前記1〜6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液、
【0014】
8.前記単量体群(b)が、アニオン性不飽和単量体を1〜20重量%、および疎水性不飽和単量体を80〜99重量%含有するものである、前記1〜7のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液、
【0015】
9.前記水溶性ポリマー(3)が澱粉類である、前記1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液、
【0016】
10.前記1〜9のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液を塗工してなる、印刷用紙、に関する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の製紙用表面サイズ液は、機械的安定性に優れることから、これを用いて表面サイジングをする際にマシン汚れが生じにくい。また、表面サイジングをする際の発泡も少ない。また、該製紙用表面サイズ液でサイジングした印刷用紙は紙すべりが殆ど生じず、しかも各種サイズ効果に優れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の表面サイズ液は、特定のエマルジョン(1)と、アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)と、特定の水溶性ポリマー(3)とを必須成分として含有することを特徴とする。
【0019】
当該エマルジョン(1)は、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含み、(メタ)アクリルアミド類を含まない単量体群(a)を共重合させてなる水溶性共重合体塩(A)(以下、(A)成分という)と、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含む単量体群(b)の共重合物(B)(以下、(B)成分という)と、界面活性剤(C)(以下、(C)成分という)と、必要に応じて不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)(以下、(D)成分という)とを構成成分とする。なお、以下、(メタ)アクリルとは、アクリルまたはメタクリルをいう。
【0020】
当該(A)成分は、該エマルジョン(1)の保護コロイドとして用いられる。これを用いることで、該エマルジョン(1)の機械的安定性が向上し、前記マシン汚れが生じ難くなる。また、(メタ)アクリルアミド類を用いないことにより、前記紙すべりの問題が生じ難くなる。
【0021】
該単量体群(a)のうち、該アニオン性不飽和単量体としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、不飽和カルボン酸類〔(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸等〕、不飽和スルホン酸類〔ビニルスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホン化スチレン等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、前記不飽和カルボン酸類、特に(メタ)アクリル酸を用いると、前記サイズ効果が良好になるため好ましい。
【0022】
該単量体群(a)のうち、該疎水性不飽和単量体としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類〔(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ノルマルブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸2エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等〕、スチレン類〔スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン等〕、ビニルエステル類〔酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等〕、および炭素数6〜22の直鎖または分岐鎖のα−オレフィン類などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、前記スチレン類、特にスチレンを用いると、印刷用紙の紙すべりがより発生し難くなるため好ましい。
【0023】
該単量体群(a)における、該アニオン性不飽和単量体と該疎水性不飽和単量体の使用量比は特に制限されないが、前者が通常20〜80重量%程度(好ましくは30〜60重量%)、後者が通常80〜20重量%程度(好ましくは70〜40重量%)含まれる場合には、前記サイズ効果が良好になるため好ましい。
【0024】
(A)成分の製造方法は特に制限されないが、例えば、以下の方法を利用できる。
【0025】
(ア)ラジカル重合触媒および必要により連鎖移動剤の存在下、有機溶剤中で、単量体群(a)を、60〜120℃で1〜10時間共重合させた後、有機溶媒を留去し、得られた共重合体を、水系溶媒中で中和する方法
【0026】
(イ)ラジカル重合触媒および必要により連鎖移動剤の存在下、水系溶媒中で、単量体群(a)を、60〜95℃で1〜10時間共重合させた後、得られた共重合体を中和する方法
【0027】
前記中和に用いる化合物(以下、中和剤という)としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、揮発性アミン類〔モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、モノブチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン、アリールアミン、アルカノールアミン等〕、アルカリ(土類)金属化合物〔水酸化ナトリウム、水酸化カリウム塩等〕、アンモニアなどが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、中和剤としてアンモニアを用いると、前記サイズ効果が良好になるため好ましい。また、中和度は通常、80〜100%程度である。
【0028】
前記有機溶剤としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン等)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン等)、低級アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等)、酢酸エチル、クロロホルム、ジメチルホルムアミドなどが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、前記低級アルコール類等を用いることもできる。該有機溶剤は、共重合反応の後に、反応系から留去するのが望ましい。
【0029】
前記水系溶媒としては、水および、水と低級アルコール類との混合液が挙げられる。なお、該低級アルコール類は、共重合反応の後に、反応系から留去するのが望ましい。
【0030】
前記ラジカル重合触媒としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、アゾ系触媒(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルプロピオナミジンジヒドロクロリド等)、有機過酸化物触媒(ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド等)過硫酸塩系触媒(過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等)、該過硫酸塩類と還元剤を組合せてなるレドックス系重合触媒、などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、該ラジカル重合触媒の使用量は、前記単量体群(a)100重量部に対して、通常0.01〜5重量部程度である。
【0031】
前記連鎖移動剤としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、ノルマル−オクチルメルカプタン、ターシャリードデシルメルカプタン、ノルマル−ドデシルメルカプタン、ノルマル−オクタデシルメルカプタン、およびノルマル−ヘキサデシルメルカプタンなどが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、該連鎖移動剤の使用量は、前記単量体群(a)100重量部に対して、通常0〜5重量部程度である。
【0032】
得られた(A)成分の物性は特に限定されないが、通常、アニオン性官能基の量が130〜620mgKOH/g程度、固形分濃度が10〜30重量%程度、B型粘度計による粘度(20重量%、25℃)が30〜10,000mPa・s程度、pHが7〜12程度、ガラス転移温度が50〜120℃程度である。なお、当該ガラス転移温度はいわゆるFOXの計算値をいい、以下の式から得られる。
【0033】
1/Tg=w/Tg+w/Tg・・・+w/Tg
【0034】
Tg、Tg、・・・、Tg:それぞれ、(A)成分を構成する一の単量体からなるホモポリマーのガラス転移温度(K)を表す。
、w、・・・、w:それぞれ、(A)成分を構成する当該一の単量体のホモポリマーの重量分率(%)を表す。
【0035】
また、他の物性としては、例えば重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法におけるポリスチレン換算値をいう)が通常5,000〜200,000程度である。
【0036】
エマルジョン(1)における当該(A)成分の重量%(固形分換算)は、(A)成分〜(D)成分の含有量が100重量%(固形分換算)となる限りにおいて、特に制限されない。例えば、エマルジョン(1)の機械的安定性の観点からは、該(A)成分の含有量は通常2〜80重量%程度、好ましくは9.8〜55重量%であるのがよい。
【0037】
前記(B)成分は、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含む単量体群(b)をラジカル重合してなる共重合物である。
【0038】
該単量体群(b)のうち、該アニオン性不飽和単量体と該疎水性不飽和単量体は、それぞれ前記したものと同一であってよい。なお、該アニオン性不飽和単量体として前記不飽和カルボン酸類、特に前記(メタ)アクリル酸を用いると、前記サイズ効果が良好になるため好ましい。また、該疎水性不飽和単量体として前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および/または前記スチレン類を用いると、同様にサイズ効果が良好になるため好ましい。
【0039】
なお、単量体群(b)は、単量体群(a)から除かれる(メタ)アクリルアミド類を含んでいてもよい。該(メタ)アクリルアミド類としては、具体的には、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ターシャリーブチル(メタ)アクリルアミド、N−ラウリル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル置換アルキル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。なお、前記(メタ)アクリルアミドを用いると、エマルジョン(1)の機械的安定性が向上するため好ましい。
【0040】
前記単量体群(b)における、該アニオン性不飽和単量体と該疎水性不飽和単量体の使用量比は特に制限されないが、前者が通常1〜20重量%程度(好ましくは1〜10重量%)、後者が通常99〜80重量%程度(好ましくは90〜99重量%)である。また、前記(メタ)アクリルアミド類が含まれる場合には、その量は通常、該アニオン性不飽和単量体と該疎水性不飽和単量体の総重量に対して0〜5重量%程度である。
【0041】
エマルジョン(1)における当該(B)成分の重量%(固形分換算)は、(A)成分〜(D)成分の含有量が100重量%(固形分換算)となる限りにおいて、特に制限されない。例えば、サイズ効果の観点からは、該(B)成分の含有量は通常20〜98重量%程度、好ましくは44.8〜90重量%であるのがよい。
【0042】
前記(C)成分は、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、アニオン性界面活性剤〔アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルスルホコハク酸塩、リグニンスルホン酸塩、ナフタリンスルホン酸ホルマリン縮合物等〕、ノニオン性界面活性剤〔ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、シュガーエステル等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。これらの中でもアニオン性界面活性剤を用いると、エマルジョン(1)の機械的安定性が良好になるため好ましい。
【0043】
エマルジョン(1)における当該(C)成分の重量%(固形分換算)は、(A)成分〜(D)成分の含有量が100重量%(固形分換算)となる限りにおいて、特に制限されない。例えば、サイジングの際の発泡の観点からは、該(C)成分の含有量は通常0.05〜5重量%程度、好ましくは0.2〜2重量%であるのがよい。
【0044】
本発明では、エマルジョン(1)の構成成分として、さらに不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)(以下、(D)成分という)を用いることにより、エマルジョン(1)の機械的安定性をより向上させることができる。該(D)成分としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、前記したアニオン性不飽和単量体のうち、特に不飽和カルボン酸類(好ましくは(メタ)アクリル酸)と、各種ロジン類(ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジン、不均化ロジン等)と、多価アルコール類(グリセリン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等)との反応物を、前記中和剤で中和したものなどを用いることができる(特開2005-171418号等参照)。なお、当該反応物として、酸価が通常60〜400程度、軟化点が通常100〜200℃程度のものを用いると、エマルジョン(1)の機械的安定性が良好になる。
【0045】
エマルジョン(1)における当該(D)成分の含有量(固形分換算)は、各成分の合計値が100重量%(固形分換算)となる限りにおいて特に制限されない。例えば、エマルジョン(1)の機械的安定性の観点からは、該(D)成分の含有量は通常0〜50重量%程度、好ましくは5〜20重量%であるのがよい。
【0046】
エマルジョン(1)の製造方法は特に制限されないが、例えば、以下の方法を利用できる。
【0047】
(ア’)前記(C)成分および必要に応じて前記(D)成分の存在下、前記単量体群(b)を乳化重合させることにより、前記(B)成分を含有する乳化物を得、これと前記(A)成分とを混合して、エマルジョン(1)とする方法
【0048】
(イ’)前記(A)成分、(C)成分および必要に応じて前記(D)成分の存在下、前記単量体群(b)を乳化重合させることによって、前記(B)成分を含有する乳化物を得、これをそのままエマルジョン(1)とする方法
【0049】
なお、いずれの方法においても前記ラジカル重合触媒や連鎖移動剤を利用することができる。また、いずれの方法においても、乳化重合は前記水系溶媒の存在下、通常60〜95℃で1〜10時間程度行えばよい。
【0050】
得られたエマルジョン(1)の物性は特に限定されないが、通常、B型粘度計による粘度(20重量%、25℃)が5〜1,000mPa・s程度、およびpHが7〜12程度である。なお、他の物性としては、例えば粒径が通常50〜300nm程度である。
【0051】
本発明の表面サイズ液に含まれる前記アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、下記一般式で示されるアルキルケテンダイマー化合物をエマルジョンとしたものを用いうる。
【0052】
【化1】

【0053】
式中、RとRはそれぞれ炭素数8〜24の炭化水素基を表し、両者は同一でも異なっていてもよい。また、該炭化水素基としては、例えば、アルキル基(オクチル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシル、エイコシル等)、アルケニル基(オクテニル、デセニル、ドデセニル、テトラデセニル、ヘキサデセニル、オクタデセニル、エイコセニル等)などを例示できる。なお、当該アルキルケテンダイマー化合物は、1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0054】
アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)の製造方法は特に制限されないが、例えば、各種公知の界面活性剤(分散剤)の存在下、前記アルキルケテンダイマー化合物を熱水溶媒中に分散させることにより得ることができる。分散機としては、ホモミキサーや、高圧吐出型ホモジナイザー、超音波乳化機等を用いうる。
【0055】
該界面活性剤としては、前記したアニオン性界面活性剤やノニオン性界面活性剤を用いうるほか、各種カチオン性分散剤〔カチオン化澱粉、植物由来カチオン化澱粉等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。
【0056】
前記した、(A)成分以外の水溶性ポリマー(3)(以下、単に水溶性ポリマー(3)という)としては、各種公知のものを特に制限なく用いることができる。具体的には、例えば、澱粉類〔生澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、エステル化澱粉、カチオン化澱粉、植物由来カチオン化澱粉、酵素変性澱粉等〕、水溶性セルロース類〔カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース等〕、天然水溶性高分子誘導体類〔アルギン酸、グアーガム、キサンタンガム、プルラン等〕、合成水溶性高分子類〔ポリビニルアルコール、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等〕などが挙げられ、これらは1種を単独で、あるいは2種以上を組合わせて用いることができる。これらのなかでも、前記澱粉類、特に酸化澱粉を用いると、マシン汚れがいっそう生じにくくなる。
【0057】
なお、当該製紙用表面サイズ液には、その他、防滑剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤、粘度調整剤、染料、顔料等を含ませることができる。
【0058】
本発明に係る製紙用表面サイズ液を調製する方法は特に制限されないが、例えば、前記エマルジョン(1)と前記水溶性ポリマー(3)とを混合した後、更に前記アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)を混合する方法によれば、特にマシン汚れが生じにくい製紙用表面サイズ液が得られる。
【0059】
なお、該製紙用表面サイズ液における、前記エマルジョン(1)と前記アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)との固形分重量比〔(1)/(2)〕は特に限定されないが、通常0.2〜20程度である。
【0060】
また、該製紙用表面サイズ液における、前記水溶性ポリマー(3)の含有量は特に限定されないが、通常、該製紙用表面サイズ液の固形分を100重量%とした場合において、1〜15重量%程度となる範囲である。
【0061】
本発明に係る印刷用紙は、当該製紙用表面サイズ液(通常、0.1〜5重量%程度)を原紙に塗工してなるものである。なお、塗工量は通常、固形分換算で通常0.001〜1g/m、好ましくは0.01〜0.5g/mである。
【0062】
印刷用紙の原紙に使用されるパルプとしては、クラフトパルプ及びサルファイトパルプなどの晒又は未晒化学パルプ、砕木パルプ、機械パルプ及びサーモメカニカルパルプなどの晒又は未晒高収率パルプ、並びに新聞古紙、雑誌古紙、段ボール古紙、及び脱墨古紙などの古紙パルプ等が挙げられる。
【0063】
なお、該原紙には、填料、染料、酸性抄紙用ロジン系サイズ剤、アルキルケテンダイマー系中性抄紙用サイズ剤、アルケニルコハク酸無水物系中性抄紙用サイズ剤、及び中性抄紙用ロジン系サイズ剤等のサイズ剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、歩留り向上剤、濾水性向上剤、並びに消泡剤などの添加物が含まれていてもよい。
【0064】
塗工手段としては、サイズプレス、フィルムプレス、ゲートロールコーター、シムサイザー、ブレードコーター、キャレンダー、バーコーター、ナイフコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター等が挙げられる。
【0065】
本発明に係る印刷用紙の用途としては、例えば、PPC用紙、インクジェット記録用紙、レーザープリンター用紙、フォーム用紙、熱転写用紙、記録用紙、アート紙、キャストコート紙、上質コート紙、クラフト紙、純白ロール紙、ノート用紙、書籍用紙、印刷用紙、新聞用紙等が挙げられる。
【実施例】
【0066】
以下、実施例、比較例および参照例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお各例中、部とは特記しない限りすべて重量基準である。
【0067】
比較調製例1(ポリアクリルアミド系共重合体の製造)
攪拌器、還流冷却管、窒素導入管付きの反応容器に、窒素気流下に、水400部、イソプロピルアルコール465部、アクリルアミド111.9部、アクリル酸シクロヘキシル42.8部を仕込み、攪拌下に反応溶液とした。次いで、当該反応溶液に硫酸を少量添加し、そのpHを4.5とした。次いで、当該反応溶液中に窒素ガスを吹き込み、その溶存酸素濃度を1ppm以下とした後、液温を40℃に保った。次いで、この温度にて、過硫酸アンモニウム1.6部を水5部に溶解してなる水溶液と、亜硫酸水素ナトリウム0.6部を水5部に溶解してなる水溶液とを順に加えた。その後、発熱により液温が約80℃に到達した後、加熱を開始し、約85℃にて3時間、還流を行った。次いで、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に、固形分濃度が20重量%になるように溶液を調製した。こうして、pHが6.0、粘度が100mPa・sであるポリアクリルアミド系共重合体(以下、PAMという)を得た。
【0068】
比較調整例2(エマルジョン(1)の合成)
調製例1と同様の反応容器に、窒素気流下に水400gを仕込み、更にスチレン30部、ブチルメタクリレート62部、アクリル酸5部、アクリルアミド3部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(アクリル酸に対して100モル%)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で充分に置換し、更に反応溶液を75℃とした後、当該反応容器に、過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解してなる水溶液を投入した。次いで、20分間乳化重合した後、反応溶液を80℃とし、更に80〜85℃の温度範囲で3時間重合反応を進行させた。次いで前記PAM56.1部を添加してよく混合し、水で希釈して固形分濃度が20重量%になるように調製した。こうして、pHが7.2、粘度が16mPa・sであるエマルジョン(イ−1)を得た。
【0069】
調製例1((A)成分の製造)
攪拌器、還流冷却管、窒素導入管付きの反応容器へ、窒素気流下に、水100部およびイソプロピルアルコール100部を仕込み、攪拌下に液温を80℃とした。次いで、当該反応容器にアクリル酸50部とスチレン50部と、過硫酸カリウム5部を水50部に溶解してなる水溶液とを、それぞれ約3時間かけて滴下した。その後、反応系を3時間保温して反応を完結させた。次いで、イソプロピルアルコールを留去し、冷却後に28%アンモニア水溶液42.2部を加え、更に水で希釈して、固形分濃度が20重量%になるように溶液を調製した。こうして、pHが8.5、粘度が200mPa・s、ガラス転移温度(FOX計算値)が103℃である水溶性共重合体(A−1)を得た。
【0070】
調製例2(エマルジョン(1)の製造)
調製例1と同様の反応容器へ、窒素気流下に水400部を仕込み、更にスチレン30部、ブチルメタクリレート62部、アクリル酸5部、アクリルアミド3部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8部(アクリル酸に対して100モル%)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で充分に置換し、更に反応溶液を75℃とした後、当該反応容器に、過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解してなる水溶液を投入した。次いで、20分間乳化重合した後、反応溶液を80℃とし、更に80〜85℃の温度範囲で3時間重合反応を進行させた。次いで前記水溶性共重合体(A−1)56.1部を添加してよく混合し、水で希釈して固形分濃度が20重量%になるように調製した。こうして、pHが7.8、粘度が16mPa・sであるエマルジョン(1−1)を得た。
【0071】
調製例3〜7(エマルジョン(1)の製造)
エマルジョンの各成分の含有率が表1の数値になるようにした以外は同様にして、エマルジョン(1−2)〜(1−6)を得た。結果を表1に示す。
【0072】
調製例8(エマルジョン(1)の製造)
調製例1と同様の反応容器に、窒素気流下に前記水溶性共重合体(A−1)56.1部、水344gを仕込み、更にスチレン30部、ブチルメタクリレート62部、アクリル酸5部、アクリルアミド3部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8(アクリル酸に対して100モル%)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で充分に置換し、更に反応溶液を75℃とした後、当該反応容器に、過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解してなる水溶液を投入した。次いで、20分間乳化重合した後、反応溶液を80℃とし、更に80〜85℃の温度範囲で3時間重合反応を進行させた。次いで水で希釈して固形分濃度が20重量%になるように調製した。こうして、pHが7.8、粘度が18mPa・sであるエマルジョン(1−7)を得た。
【0073】
調製例9((D)成分の調製)
調製例1と同様の反応容器に、酸価110mgKOH/gの不飽和多塩基酸変性ロジンエステル(商品名「マルキード3002」:荒川化学工業(株)製)と、当該酸価と当量となる量の28%アンモニア水とを加え、よく攪拌することにより、固形分濃度が20重量%、pHが9.0の水溶液を得た。
【0074】
調製例10(エマルジョン(1)の製造)
調製例1と同様の反応容器へ、窒素気流下に水350gを仕込み、更にスチレン30部、ブチルメタクリレート62部、アクリル酸5部、アクリルアミド3部、N−ドデシルメルカプタン0.5部、48%苛性ソーダ5.8部(アクリル酸に対して100モル%)、アニオン性界面活性剤(ネオハイテノールS−70:第一工業製薬(株)製)4部、および前記調製例9で得た水溶液を50部からなる混合物を仕込んだ。次いで反応系内の空気を窒素で充分に置換し、更に反応溶液を75℃とした後、反応容器に過硫酸アンモニウム2.5部を水8gに溶解してなる水溶液を投入した。次いで、20分間乳化重合した後、反応溶液を80℃とし、更に80〜85℃の温度範囲で3時間重合反応を進行させた。次いで前記水溶性共重合体(A−1)11.3部を添加してよく混合し、水で希釈して固形分濃度が20重量%になるように調製した。こうして、pHが8.0、粘度が20mPa・sであるエマルジョン(1−8)を得た。
【0075】
【表1】

【0076】
調製例9(アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)の調製)
フラスコに、硬化牛脂油から調製されたアルキルケテンダイマー(前記一般式(1)において、RとRが炭素数14〜16の範囲にある直鎖アルキル基であるもの)18部、とうもろこし由来のカチオン化澱粉(窒素含有率0.5%以上)を蒸し煮して得られた10%水溶液42.8部、ならびに脱イオン水48部を仕込み、系を70〜80℃に加熱し、ホモミキサーで予備分散させた。次いで、同温度にて300kg/cmの条件下に、ホモジナイザーに2回通して強制分散させた。その後冷却し、固形分濃度が20%、pHが4.5、粘度が15mPa・sのケテンダイマーエマルジョン(2−1)を得た。
【0077】
実施例1〜11、比較例1〜4、参照例1
<試験用塗工液(表面サイズ液)の調製>
前記エマルジョン(1−1)とケテンダイマーエマルジョン(2−1)とを混合したものに、水溶性高分子化合物(3)として市販の酸化澱粉(商品名;王子エースA、王子コーンスターチ(株)製)を添加し(各成分の配合比は表2の通り)、得られた混合液を更に蒸留水で希釈することによって実施例用の塗工液を調製した。また、前記エマルジョン(1−2)〜(1−8)、およびエマルジョン(イ−1)についても同様にして実施例用および比較例用の塗工液を調製した。なお、参照用に、当該酸化澱粉のみを蒸留水で希釈してなる塗工液を調製した。
【0078】
【表2】

【0079】
<試験用紙の作成>
中性原紙(秤量80g/m)を原紙に用い、前記塗工液をバーコーター(No.4、液温50℃)により表3で示す塗工量となるように両面塗工した。次いで、得られた塗工紙を回転ドラムドライヤーにおいて105℃で60秒間乾燥し、目的とする試験用紙を得た。なお、参照例として、該中性原紙に澱粉のみを塗工したものを示す。
【0080】
【表3】

【0081】
(ステキヒトサイズ度の測定)
前記方法で得られた各塗工紙を用い、JIS P 8122に準拠してステキヒトサイズ度を測定した。結果を表4に示す。
【0082】
(ペン書きサイズ度の測定)
前記サイズ処理をした塗工紙について、J.Tappi No.12に準拠してペン書きサイズ度を測定した。数値が大きいほど良好なサイズ度を表す。結果を表4に示す。
【0083】
(硬水を用いた際の機械的安定性(サイズプレス安定性)の評価)
実施例1〜8、比較例1〜4、参照例1に記載の塗工液を、硬度60°dHの水を用いて3倍希釈した液を、2本ロールのラボサイズプレスを用いて一時間循環し、凝集物の発生および2本のロールの汚れを以下の規準にて目視評価した。結果を表4に示す。なお、機械的安定性の評価は、前記した“マシン汚れ”を評価するうえでの指標となる。
◎:機械的安定性に極めて優れる(凝集物は確認できず、ロールの汚れもない)。
○:機械的安定性に優れる(凝集物は確認できないが、ロールが微妙に汚れる)。
△:機械的安定性がやや劣る(少量の凝集物の発生、ロールが汚れる)。
×:機械的安定性が劣る(多量の凝集物の汚れ、著しくロールが汚れる)。
【0084】
(発泡性の評価)
前記塗工液を50℃に加熱したものを家庭用ミキサーで1分間処理を行ったときの泡立(mm)の高さを測定した。結果を表4に示す。なお、各エマルジョン(1)には予め、固形分換算で0.5%となるシリコン系消泡剤(製品名「アンチフォーム1277」、東レ・ダウコーニング(株)社製)を添加した。
【0085】
(表面摩擦係数の測定)
JIS P 8147(1994)に記載の水平方法に準拠して、試験用紙の表面摩擦係数(静摩擦係数)を測定した。測定値は、前記した“紙すべり”を評価するうえでの指標となる。結果を表4に示す。
【0086】
【表4】





【特許請求の範囲】
【請求項1】
アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含み、(メタ)アクリルアミド類を含まない単量体群(a)を共重合させてなる水溶性共重合体塩(A)、アニオン性不飽和単量体および疎水性不飽和単量体を含む単量体群(b)の共重合物(B)、界面活性剤(C)、ならびに必要に応じて不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)を構成成分とするエマルジョン(1)と、アルキルケテンダイマーエマルジョン(2)と、前記(A)以外の水溶性ポリマー(3)とを含有することを特徴とする、製紙用表面サイズ液。
【請求項2】
前記エマルジョン(1)が、前記界面活性剤(C)および必要に応じて前記不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)の存在下で前記単量体群(b)を乳化重合させることにより得られる、前記共重合物(B)を含有する乳化物と、前記水溶性共重合体塩(A)とを混合してなるものである、請求項1に記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項3】
前記エマルジョン(1)が、前記水溶性共重合体塩(A)、前記界面活性剤(C)および必要に応じて前記不飽和塩基酸変性ロジンエステルのアルカリ塩(D)の存在下で前記単量体群(b)を乳化重合させることにより得られる、前記共重合物(B)を含有する乳化物である、請求項1に記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項4】
前記単量体群(a)において、アニオン性不飽和単量体が(メタ)アクリル酸であり、かつ、疎水性不飽和単量体がスチレンである、請求項1または2に記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項5】
前記単量体群(a)が、アニオン性不飽和単量体を20〜80重量%、および疎水性不飽和単量体を80〜20重量%含有するものである、請求項1〜3のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項6】
前記水溶性共重合体塩(A)のガラス転移温度が50〜120℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項7】
前記単量体群(b)が、アニオン性不飽和単量体を1〜20重量%、および疎水性不飽和単量体を80〜99重量%含有するものである、請求項1〜6のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項8】
エマルジョン(1)における前記水溶性共重合体塩(A)の含有量が、固形分換算で2〜80重量%である、請求項1〜7のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項9】
前記水溶性ポリマー(3)が澱粉類である、請求項1〜8のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の製紙用表面サイズ液を塗工してなる、印刷用紙。


【公開番号】特開2008−308787(P2008−308787A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157982(P2007−157982)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000168414)荒川化学工業株式会社 (301)
【Fターム(参考)】