説明

製織方法及び製織装置

【課題】仕上がりの良好な織物を得ることのできる製織方法及び製織装置を提供する
【解決手段】緯糸F0に筬40を接触させて直線状にし、この状態を維持したままで織物Wを巻き取る。これにより、緯糸F0の直線状を維持したまま緯糸F0を前進させることができる。また、この直線状の緯糸F0を織物保持装置9で上下から挟んで保持することにより、その後に筬40を後退させても、緯糸F0の直線状が崩れることはない。従って、織物Wの緯糸F間に隙間が生じたり、緯糸Fが円弧状となったりする事態を回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、綜絖による経糸開口部に緯入した緯糸を織前側に平行移動させて経糸に打ち込むことにより、織物を製織するための方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、綜絖による経糸開口領域に緯糸を緯入し、この緯糸を緊張状態を維持したまま織前へ向けて平行移動させ、織物に緯糸を打ち込むものである。この製織装置では、筬により緯糸と経糸の直角性や緯糸の幅の安定性を図っている。また、織物を押さえるための織物保持装置を、織物を挟む一対のローラで構成している。
【0003】
【特許文献1】特開2006−89857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような製織装置における製織方法の一例を図6を用いて説明する。先ず、図6(a)に側面図で示すように、図示しない綜絖で経糸Tを上下に開口し、その開口部に新たな緯糸F0を緯入する。このとき、既に織りあがっている織物Wは、織物保持装置90のローラ91、92で上下から挟まれて保持されている。
【0005】
次に、経糸Tを閉口すると共に、緯入した緯糸F0を両端を固定したまま織前方向(図中左方向)へ前進させ、最前位置、すなわち織物Wと接触する位置まで平行移動させる(図6(b)の側面図参照)。このとき、経糸Tとの摩擦により、緯糸F0が略円弧状に変形することがある(図6(b)の平面図参照)。そこで、緯糸F0に筬40を後方より接触させることで、緯糸F0の円弧状を修正して直線状とすることができる(図6(c)参照)。
【0006】
その後、織物Wを巻き取ると共に、筬40を後退させ、次の緯糸の緯入に備える。しかしながら、図6(d)に示す状態において、最後に緯入された緯糸F0はローラ91、92で保持されていないため、巻き取られた織物Wとの間に隙間αが生じる恐れがある。あるいは、織物Wの巻き取り時に緯糸F0が再び円弧状となる恐れがある。このように、緯糸の間に隙間が生じたり、緯糸が円弧状となった状態で織物が製織されると、織物の仕上がりが粗悪になり、製品価値の低下を招くこととなる。
【0007】
本発明の課題は、緯糸を織物に打ち込む際に、緯糸間の隙間や緯糸の円弧状を防止することにより、仕上がりの良好な織物を得ることのできる製織方法及び製織装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、綜絖による経糸開口部に緯入した緯糸を、織前側に平行移動させて経糸に打ち込む製織方法であって、緯入した緯糸を経糸開口部の最前位置まで平行移動させ、該緯糸に後方から筬を接触させて緯糸の直線状を維持したまま織物を巻き取り、該緯糸を織物保持装置で上下から挟んで保持することを特徴とする。
【0009】
このように、本発明の製織方法では、緯糸に筬を接触させて緯糸を直線状にし、この状態を維持したままで織物を巻き取る。これにより、緯糸の直線状を維持したまま緯糸を前進させることができる。また、この直線状の緯糸を、織物保持装置で上下から挟んで保持することにより、その後に筬を後退させても緯糸の直線状が崩れることはない。従って、織物の緯糸間に隙間が生じたり、緯糸が円弧状となったりする事態を回避することができる。
【0010】
上記のような製織方法は、経糸を開口させる綜絖と、綜絖による経糸開口領域で平行移動可能な筬と、織物を上下から挟んで保持する織物保持装置とを備えた製織装置において、経糸開口部に緯入した緯糸に筬を接触させて直線状とした状態で、該緯糸を前記織物保持装置により保持可能であることを特徴とする製織装置により実現することができる。
【0011】
また、この織物保持装置を、織物を挟んで対向した一対の板材で構成すると、織物を広い領域で確実に保持することができる。このような場合、織物の巻取りと同時に織物保持装置の保持を解放することで、スムーズに織物を巻き取ることができる。
【0012】
あるいは、織物保持装置を織物を挟んで対向した部材で構成し、そのうち少なくとも一方をローラとすると、板材で構成する場合と比べて経糸とローラとの接触抵抗を低減することができる。このような場合、織物の巻き取り時にローラで織物を巻き取り方向へ送るようにすると、スムーズに織物を巻き取ることができる。
【0013】
また、扁平状の緯糸を用いる場合、扁平状の緯糸を緊張状態で緯入し、緯糸の緊張状態を維持したまま織前側に平行移動させると、緯糸の扁平を維持したまま緯糸を織物に打ち込むことができる。
【発明の効果】
【0014】
以上のように、本発明の製織方法及び製織装置によると、緯糸を織物に打ち込む際に、緯糸間の隙間や緯糸の円弧状が防止され、仕上がりの良好な織物を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は帯状繊維束織物Wの製織装置を示すものである。この製織装置は、経糸供給装置として、経糸ボビン軸2,2’、経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’、経糸送り出し機構部(駆動ローラ3,3’、フィードローラ4,4’、ニップローラ5,5’)、経糸開口張力調整機構6,6’、ガイドローラ7,7’、及び各ボビン軸2,2’から上下に分割して送り出された経糸Tを収束する一対の収束ローラ8a,8bとを有する。また、経糸開口機構部として、綜絖枠および綜絖を一体にした一対の綜絖ユニット20a,20bからなる綜絖装置20、及び筬40を備える。また、緯糸打込み装置30として、緯糸ボビン31、緯糸張力調整ローラ32、緯糸緊張機構部33、緯糸保持機構部34およびレピア機構部35、レピア緯糸把持部35aを備える。更に、図2に示すように、織物保持装置9、織物把持ローラ10,10a,10b、巻取りローラ11、紙類およびフイルムなどの供給部50を備えている。
【0017】
先ず、経糸供給装置について説明する。この経糸供給装置の経糸ボビン軸2,2’には、多数の経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’が回転自在に支持される。図1においては、経糸ボビン軸2,2’および経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’のみを図示する。経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’には、帯状繊維束からなる経糸Tが巻回され、経糸Tは、経糸ボビンの転がり方向に解舒されて帯状繊維束製織装置側に導かれる。経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’は、経糸ボビン軸2、2’に上下千鳥方式にて設けられ、隣り合う経糸ボビン間の間隔は、各経糸ボビンから送り出される経糸T同士の間隔ができるだけ狭くなるように、且つ、各経糸Tが重ならない様に配置される。
【0018】
経糸送り出し機構部は、大径の駆動ローラ3,3’の上側に小径のフィードローラ4,4’とニップローラ5,5’とを側面視で略左右対称配置してなる。各経糸ボビンから送り出された経糸Tは、フィードローラ4,4’の上部を通り駆動ローラ3,3’の下側周面にセットされ、さらに駆動ローラ3,3’とニップローラ5,5’で挟みながら織機側に送られる。これらにより、経糸Tのバラツキや経糸張力の均一化を図っている。
【0019】
経糸ボビンからの経糸Tの解舒速度は後述する緯糸Fに比べて極端に遅く、製織装置の製織速度と同じで一定速度である。このため、一般的には経糸ボビン2a〜2x,2a’〜2x’はブレーキ付きであれば良い。本装置での送り出し装置は、経糸ボビンに軽いブレーキをかけながら、モータにより経糸ボビン軸に経糸送り出し方向とは逆の回転を与える。これにより、経糸ボビンからの解舒張力を一定ないし安定化させ、個別に巻かれた経糸の張力調整を行っている。
【0020】
経糸Tの張力を調整する張力調整装置6,6’は、ダンサーローラ61,61’、センサー62,62’、及びウェイト63,63’を備える。ダンサーローラ61,61’自体の重さとウェイト63,63’の重さとで経糸T,T’に張力を加えると共に、ダンサーローラ61,61’の位置をセンサー62,62’で検知し、この検知結果に基づいて駆動ローラ3,3’の回転速度を制御することにより、経糸T,T’の送り出し量を調整し、張力を調整している。
【0021】
各経糸ボビンに巻かれた経糸T,T’は、経糸送り出し機構部(ローラ3〜5、3’〜5’)により解舒されて製織装置側へ送り出される。各経糸ボビン軸2,2’から解舒された経糸T,T’は、上下二手に分かれた状態で製織装置側へ送り出され、製織装置の直前で一対の収束ローラ8a,8bにより収束される。
【0022】
綜絖装置20は、一対の綜絖ユニット20a,20bからなる。綜絖ユニット20a,20bは、図3に示すように、帯状繊維束の幅寸法に対応した横幅を持つ矩形の綜絖枠20a1,20b1と、この綜絖枠20a1,20b1の上下の横材間に配設された複数の綜絖20a2,20b2を有する。綜絖20a2,20b2は、綜絖枠20a1,20b1の幅方向に一つ置きに設ける。隣接する綜絖20a2,20b2同士の間に成形された隙間が、経糸Tの方向において、他方の綜絖枠20a1,20b1の綜絖20a2,20b2と重なるように配置される。
【0023】
綜絖ユニット20a,20bは、駆動手段21によって互いに逆方向に繰返し上下駆動される。隣接する綜絖20a2,20b2間の隙間に挿通された経糸Tは、綜絖ユニット20a,20bによって左右上下方向で位置規制された状態で筬40へ案内される。綜絖ユニット20a,20bが上下動することで、筬40の下流側において上下の経糸Tの間に緯糸Fを通すための緯糸走行道(経糸開口領域)が作られる。
【0024】
次に、緯糸供給装置について説明する。緯糸ボビン31は、帯状繊維束からなる緯糸Fが巻回され、緯糸打込み装置30に組み込まれた状態で設置される。緯糸Fは緯糸張力調整ローラ32を経て緯糸緊張機構部33に案内される。レピア機構部の緯糸把持部35aにより、緯糸ボビン31に巻回された帯状繊維束からなる緯糸Fが引き出される。このとき、緯糸張力調整ローラ32および緯糸緊張機構部33により、緯糸Fは適宜で極力張力のバラツキが少ない状態で解舒される。レピア機構部35により緯糸Fとして必要な長さを得ると、レピア駆動が停止する。
【0025】
ここで、緯糸ボビン31に巻回された緯糸Fを解舒する方法を説明する。レピア機構部35が緯糸Fを引き出す方向に移動すると、その速度に応じて緯糸張力調整ローラ32が上方向に移動する。これに伴って緯糸ボビン軸に取り付けてあるモータが追従して回転し、緯糸ボビン31に巻回されている帯状の緯糸繊維束が解舒される。レピア機構部35が停止する直前には、レピアにより引き出された一本分の緯糸Fが、緯糸緊張機構部33および緯糸把持部35aにより適宜な張力が与えられた状態で保持される。レピアが停止すると同時に、緯糸張力調整ローラ32が下方向に移動して定位置で停止する。
【0026】
次に、本発明の特徴である緯糸打ち込み工程を説明する。図4は、緯糸打ち込み工程を概略的に説明する側面図である。先ず、経糸Tに緯糸Fが打ち込まれた織物Wを、一対の板材9a,9bからなる織物保持装置9で上下から挟んだ状態で、綜絖により経糸Tを開口し、この経糸開口部に経糸供給装置により新たな緯糸F0を緯入する(図4(a)参照)。このように、織物保持装置9を一対の板材9a,9bで構成することで、例えばローラで構成する場合と比べて、織物Wを広範囲で押さえることができるため、織物Wを確実に保持することが出来る。また、板材9a,9bを、織物Wを保持可能な範囲で薄肉化することで、織物保持装置9のコンパクト化を図ることが出来る。
【0027】
緯入された緯糸F0は、緊張状態に保持されたまま本体駆動と連動した緯糸打込み装置30により経糸開口部の最前位置まで移動する(図4(b)参照)。このとき、筬40が緯糸F0に後方から接触することで、緯糸F0の円弧状を修正する。これと同時に経糸Tを閉口させ、さらに織物保持装置9の上側の板材9aを少し上昇させることで、織物保持装置9による織物Wの保持を解放する。このように、経糸Tを閉口させてから織物保持装置9による織物Wの保持を解放することで、経糸Tの開口により織物Wの幅が縮小する、いわゆるバス張りが生じる不具合を回避することができる。
【0028】
尚、筬40は、通常の織機に於いては緯糸Fを打ち込むために用いられるが、本装置に於いては、あくまでも、緯糸Fと経糸との直角性や、緯糸Fの幅の安定性を図るために、緯糸ガイド部材として使用する。
【0029】
次に、筬40を緯糸F0に接触させた状態で、織物Wを緯糸F0の幅の分だけ巻き取る(図4(c)参照)。これにより、緯糸F0が再び円弧状になったり、緯糸F0と織物Wとの間に隙間が生じたりすることなく、織物Wを巻き取ることができる。
【0030】
所定長さの織物Wの巻き取りが完了したら、織物保持装置9の上側の板材9aを降下させ、再び織物Wを上下から挟んで保持する(図4(d)参照)。こうして、緯糸F0が経糸Tに打ち込まれ織物保持装置9で上下から保持された時点で、緯糸F0を緊張状態で保持していた緯糸把持部35aが解除される。その後、経糸Tを開口すると共に筬40を後退させ(図4(e)参照)、次の緯糸を緯入して上記の動作を繰り返す。
【0031】
本発明の製織装置において、織物保持装置9と筬40との位置関係は、緯糸F0の糸幅等に応じて、経糸開口部に緯入した緯糸F0に筬40を接触させて直線状とした状態で、この緯糸F0を織物保持装置9により保持可能であるように設定される。
【0032】
次に、緯糸絡み装置について説明する。緯糸打込み装置30により打ち込まれた帯状の緯糸を保持するために緯糸絡み装置16a,16bが設けられており、この装置16a,16bからの別の糸により緯糸を一本ずつ固定する。ここで、帯状繊維束の緯糸Fを保持する場合の緯糸絡み装置16a,16bは、従来公知の一般的装置であってよい。この場合、緯糸絡み装置16a,16bから供給される緯糸絡み糸(以下「耳糸」という。)が、織物保持装置9の板材9a,9bの間、または、どちらかのローラに接触して通過することで、織物Wの耳部において、耳糸のみの張力による緯糸端部の締まりに起因する、帯状繊維束幅の縮みや形態の不安定を解消することができる。
【0033】
前記の耳糸により耳部が形成されてから、カット装置12a,12bにより余分な緯糸Fをカットする。このようにして適宜な緯糸長さで形成された織物Wを、織物把持ローラ10,10a,10bにて巻取りローラ11に導いて安定した織物Wとして巻き取る。この場合、本織物Wを形成している繊維束は帯状繊維束のために、一般的な織物Wよりも薄く、織物密度に関して疎密の部分があるため経糸および緯糸が滑りやすく、目ずれ(織物密度のバラツキ)等の問題が起きやすい。本装置では、クラフト紙またはフイルムなどを織物Wに挟み込みながら巻き取ることで上記問題を解決する装置(供給部50)も備える。
【0034】
本発明は、上記の実施形態に限られない。例えば、上記の実施形態では、織物Wを保持する織物保持装置9が一対の板材9a、9bで構成されているが、これに限らず、例えば、図5に示すように、上側の押さえ部材を緯糸Fと平行なローラ9cで構成してもよい。これによると、経糸Tとの接触抵抗が低減され、経糸Tにほつれや毛羽立ちが生じる事態を回避することができる。以下、この織物保持装置を用いた緯糸F0の打ち込み工程を示す。
【0035】
先ず、上記実施形態と同様に、経糸Tの開口部に緯糸F0を緯入し(図5(a)参照)、緯糸F0を経糸開口部の最前位置まで平行移動させると共に、筬40を緯糸F0に接触させる(図5(b)参照)。その後、筬40を緯糸F0に接触させ、緯糸F0を直線状とした状態で織物Wを巻き取り、緯糸F0を織物保持装置9で上下から挟んで保持する(図5(c)参照)。このとき、織物保持装置9のローラ9cは、フリーローラであってもよいが、織物Wの送り方向へ回転駆動させる駆動ローラであってもよい。ローラ9cが駆動ローラである場合、緯糸Fの織物Wにおける密度に応じて回転速度が可変であることが好ましい。
【0036】
緯糸F0が織物保持装置9で保持された状態で、さらに織物Wを巻き取り、所定長さ分だけ巻き取った時点で巻き取りを完了する(図5(d)参照)。その後、経糸Tの開口を開始すると共に筬40を後退させ、次の緯糸の緯入に備える(図5(e)参照)。
【0037】
また、織物保持装置9は上記に限らず、例えば一対のローラで織物Wを挟み込む構成としても良い。この場合、上記実施形態よりもさらに経糸Tとの接触抵抗を低減することができる。
【0038】
また、上記の実施形態では、経糸ボビン軸が段違いの2箇所から供給される場合を示しているが、これに限らず、3箇所、4箇所、5箇所、6箇所・・・と増やしてもよい(例えば特開2001−226856号公報の図1を参照)。あるいは、経糸ボビン軸を複数段に分ける必要がなければ、1箇所の経糸ボビン軸から経糸を供給してもよい(例えば特許2983531号公報の図1を参照)。また、上記の実施形態では、綜絖装置20が2個の綜絖ユニットで構成されているが、これに限らず、さらに多くの綜絖ユニットで構成してもよい。この場合、各経糸の長さを均一化して張力を一定に保つために、一つの綜絖ユニットにより上下動される経糸群は、同一の経糸ボビン軸から供給されることが望ましい。
【0039】
また、上記の実施形態では、緯入した緯糸F0の緊張状態を維持したまま織前へ平行移動可能な緯糸打ち込み装置30を使用した場合を示しているが、これに限らず、例えば従来品のように、緯入した緯糸を筬で織前へ打ち込むものであってもよい(例えば特開平6−136632号公報の図1を参照)。
【0040】
図1および図2の製織装置は平織り仕様であって、綜絖装置20は一対の綜絖ユニット20a,20bで構成される。製織装置を所望の織物組織に対応した多重織仕様とするには、綜絖ユニットを増設して3以上にすればよい。
【0041】
また、上記の経糸及び緯糸に使用する繊維としては、炭素繊維を初め、ガラス繊維やポリアミド繊維、セラミック繊維、その他繊維強化複合材料用基材として用いられる繊維等が使用可能である。特に本発明は、フィラメント糸で平らな繊維を製織する際に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の経糸供給装置を組み込んだ製織装置の平面図である。
【図2】製織装置の側面図である。
【図3】綜絖ユニットの斜視図である。
【図4】本発明の製織方法における緯糸打ち込み工程を示す側面図である。
【図5】緯糸打ち込み工程の他の例を示す側面図である。
【図6】従来の製織方法における緯糸打ち込み工程を示す側面図である。
【符号の説明】
【0043】
2 経糸ボビン軸
3 駆動ローラ
6 経糸開口張力調整機構
8a,8b 収束ローラ
9 織物保持装置
9a,9b 板材
10,10a,10b 織物把持ローラ
11 巻き取りローラ
12a,12b カット装置
16a,16b 緯糸絡み装置
20 綜絖装置
20a,20b 綜絖ユニット
20a1,20b1 綜絖枠
20a2,20b2 綜絖
30 緯糸打ち込み装置
31 緯糸ボビン
32 緯糸張力調整ローラ
33 緯糸緊張機構部
34 緯糸保持機構部
35 レピア機構部
35a レピア緯糸把持部
40 筬
50 供給部
F、F0 緯糸
T 経糸
W 織物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
綜絖による経糸開口部に緯入した緯糸を、織前側に平行移動させて経糸に打ち込む製織方法であって、
緯入した緯糸を経糸開口部の最前位置まで平行移動させ、該緯糸に後方から筬を接触させて緯糸の直線状を維持したまま織物を巻き取り、該緯糸を織物保持装置で上下から挟んで保持することを特徴とする製織方法。
【請求項2】
織物の巻き取り時に、織物保持装置による緯糸の保持を解放することを特徴とする請求項1記載の製織方法。
【請求項3】
織物の巻き取り時に、織物保持装置により織物を巻き取り方向へ送ることを特徴とする請求項1記載の製織方法。
【請求項4】
扁平状の緯糸を用いたことを特徴とする請求項1記載の製織方法。
【請求項5】
扁平状の緯糸を緊張状態で緯入し、緯糸の緊張状態を維持したまま織前側に平行移動させることを特徴とする請求項4記載の製織方法。
【請求項6】
経糸を開口させる綜絖と、綜絖による経糸開口領域で平行移動可能な筬と、織物を上下から挟んで保持する織物保持装置とを備えた製織装置において、
経糸開口部に緯入した緯糸に筬を接触させて直線状とした状態で、該緯糸を前記織物保持装置により保持可能であることを特徴とする製織装置。
【請求項7】
前記織物保持装置が、織物を挟んで対向した一対の板材からなることを特徴とする請求項6記載の製織装置。
【請求項8】
前記織物保持装置が、織物を挟んで対向した部材からなり、そのうち少なくとも一方がローラであることを特徴とする請求項6記載の製織装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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