説明

製茶用選別装置

【課題】本発明はケバのみを吸引し、良好な篩分けをすることができる製茶用選別装置を提供することを解決としている。
【解決手段】本発明の製茶用選別装置は、茶葉を搬送する振動コンベヤと、該振動コンベヤ上でケバを吸引し、回収する吸引手段と構成する茶葉選別装置において、前記振動コンベヤには、搬送面の上方にパンチング加工孔が多数形成されると共に、該パンチング加工孔は、プレス加工にて下方に膨出させて平面的に見たとき開口個所が無いようにして上流側のみが開口された篩分面を設けるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、茶葉の篩分が好適にできる製茶用選別装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、茶園で摘採された茶生葉は、製茶工場へ運搬され、一時保管され、その後順次、茶生葉を蒸し、蒸した茶葉を揉乾し、製品茶となる。
【0003】
この製造過程において、茶葉は揉み込まれて乾燥し、針状に固くなった茶の他、茎のささくれ等が乾燥して綿状になったケバや茶粉等が生成され、このうちケバが製品茶内に混入すると茶葉の形状や色等の外観が悪化して品質が低下してしまうことが知られている。このため、ケバを製品茶から取り除くために、従来、特許文献1、2のような選別装置が発明されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−275567号公報
【特許文献2】特開2002−253120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の特許文献1では、吸引手段で吸引すると、ケバのほかに比重が小さな製品茶(茶粉を含む)も一緒に吸引することがあった。この場合、製品の歩留まりが悪くなり、取り除いたケバを再度、ケバと製品茶に選別する必要があった。
【0006】
特許文献2は、振動コンベヤの一端側から他端側方向に延びる複数の長孔を設けるものであるが、長孔を設けるために加工した切断面が搬送面に出ているため、その部分で特にケバが停滞し、絡みやすいという問題があった。また、振動コンベヤの搬送量が多くなると、十分に篩分けができないため、長孔のクリアランスを変更しなければならなかった。
【0007】
このため、本発明はケバのみを吸引し、良好な篩分けをすることができる製茶用選別装置を提供することを解決としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明の製茶用選別装置は、茶葉を搬送する振動コンベヤと、該振動コンベヤ上でケバを吸引し、回収する吸引手段と構成する茶葉選別装置において、前記振動コンベヤには、搬送面の上方にパンチング加工孔が多数形成されると共に、該パンチング加工孔は、プレス加工にて下方に膨出させて平面的に見たとき開口個所が無いようにして上流側のみが開口された篩分面を設けるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、小さな粉や小さな製品茶が篩分面の下へ落下し、ケバや大きな製品茶が篩分面の上へ残り、その後、吸引手段により篩分面上の比重が軽いケバのみを吸引して除去し、篩分面上下の茶粉を含む製品茶を搬送することができる。このようにすることで、ケバのみを取り除くことができ、歩留まり向上に効果があり、製品茶の品質が向上する。また、パンチング加工孔を加工した切断面が振動コンベヤの搬送面に露出していないので、ケバがパンチング加工孔を加工した切断面で停滞することがなくなる。そして、搬送量が多くなっても確実な篩分けができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】製茶用乾燥機から排出された茶葉を搬送する途中に製茶用選別装置を取り付けた場合の正面図である。
【図2】図1の側面図である。
【図3】搬送面付近の断面図である。
【図4】搬送面の一部平面図である。
【図5】搬送面の一部断面図である。
【図6】本発明の篩分振動部の主要部材の一部斜視図である。
【図7】図4の一部拡大図である。
【図8】図7のX―X矢視断面図である。
【図9】図7の一部拡大斜視図である。
【図10】茶葉の搬送の各作用を示す状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の製茶用選別装置は、主に振動コンベヤ1と、吸引手段2により構成される。振動コンベヤ1は、本体枠11に、モータ12が設けられ、該モータ12に設けたプーリ13aよりベルト14を介して別のプーリ13bが回転可能に構成されている。また、前記本体枠11上に、傾斜した板バネ15を介して篩分振動部20が配置されている。該篩分振動部20の振動枠21の下端にクランク22の一端が軸支され、その他端は、前記プーリ13bに固着された適宜偏芯する軸受部23に取付けられている。前記プーリ13bの回転により前記軸受部23を介して前記クランク22が往復運動をなす。往復運動の幅は、数mm乃至十数mmである。モータ12を駆動させて、プーリ13bを回転させつつ軸受部23を回転させて、同時にクランク22を往復運動させ、複数の板バネ15を介して前記篩分振動部20に前後振動を与える。これによって、篩分面17および搬送面18上の茶葉が搬送される。
【0012】
前記篩分振動部20は、パンチング加工孔16付き篩分面17と、搬送面18と、振動枠21とから構成されている。前記篩分面17は、図6に示すように、全体的に、一枚ものとして、平坦状の篩分面部17aの両側より立上り側部17bが形成され、該立上り側部17bの上端より外側に縁部17cが形成されている。また、前記パンチング加工孔16は、プレス加工にて下方に膨出させて平面的に見たとき開口個所が無いようにして上流側のみが開口16aされている。
【0013】
次に、パンチング加工孔16について、説明する。まず、パンチング加工孔16の幅Lに関して 説明する。篩分振動部20は茶葉の進行方向に対して、前後方向に振動しながら搬送するが、その後ろ方向の振動を利用して、パンチング加工孔16から小さい製品茶や茶粉を下方に落とす。そのため、幅Lが前記篩分振動部20の振幅よりも大きいと篩分の効果が極端に悪くなる可能性がある。このため、作用としては、下方にプレスによる膨出部の上側に乗った小さい製品茶や茶粉が篩分振動部20の振動にて後方に放てきされるものである。具体的に幅Lは、約15mm程度である。
【0014】
次に、パンチング加工孔16の高さHについて説明する。高さHが大きいと選別せずにケバまでもパンチング加工孔16から落下してしまうので好ましくない。このため、本実施例では、約5mm程度である。
【0015】
次に、パンチング加工孔16の曲率半径Rについて 説明する。Rについては特に条件は無く、どちらかというと断面が丸くなっていることが実用上は重要である。また、曲率半径R≧Hであって、直線的であっても機能する可能性はある。この場合、茶葉の流れからすればその方がスムーズに流れるが、その分だけ比重が軽い茶葉が篩分面17の下へ落下しなくなる可能性を有している。
【0016】
次に、パンチング加工孔16の長さSについて説明する。パンチング加工孔16の幅Lに対して進行方向に直交する長さSは少なくとも複数倍となるように形成されている。この倍数がある程度大きいことで篩分面17の下へ落下する量を大きくできる。具体的に長さSは、約10〜約100mm程度であり、本実施例では、約60mmである。
【0017】
次に、パンチング加工孔16の高さHと幅Lの関係について説明する。プレス加工にて幅Lの範囲の材料を延ばして成形するため、万一、高さH>幅Lだとすると、篩分面17を直上から見たとき又は平面的に見たとき、開口個所が無いように構成されている。もしも開口個所があるとそこに茶葉の茎が刺さり、茶葉の流れが止まることになる。本発明の篩分面17の最大の利点は直上から見たときには開口個所が存在しない点である。これによって、茶葉の流れを妨げず、小さい製品茶や茶粉が篩分面17の下へ落下するので、高さH≦幅Lとなるのは、この篩分面17に関しては実用上必須条件である。すなわち、『(H/L)≦1』である。
【0018】
本発明の製茶用選別装置の主な構成要素である吸引手段2は、主に、ファン3、吸引フード4、ダクト5、サイクロン6、ロータリーバルブ7等からなる。吸引フード4は、次の搬送装置(本実施例ではバケットコンベヤ9)の手前且つ振動コンベヤ1の篩分面17上に設け、篩分面17上のケバのみを吸い込む。ケバより比重の重い製品茶を吸い込まないような吸引力に、ファン3をあらかじめ設定しておく。吸引手段2により吸引されたケバは、ロータリーバルブ7より排出され、ケバ収容袋8へ収容される。
【0019】
本発明の製茶用選別装置の動きについて、説明する。10は製茶用乾燥機であり、この製茶用乾燥機10から排出された茶葉は、振動コンベヤ1上に乗り、次工程へ搬送される。振動コンベヤ1の篩分面17へ乗った茶葉は振動とパンチング加工孔16により、絡みやすいケバは篩分面17上に残り、小さく針状になった製品茶および粉状の茶葉はパンチング加工孔16の隙間から篩分面17の下の搬送面18へ落ちる。このとき、篩分面17上には、パンチング加工孔16を通らない大きさの製品茶と比重の軽いケバが残る。篩分面17の上に残った製品茶とケバのうち、比重の軽いケバのみが吸引フード4部で吸引され、ダクト5を通り、サイクロン6内で空気と分離され、ロータリーバルブ7よりケバ収容袋8へ排出される。他方、篩分面17上で比重が重くて吸引されなかった製品茶、及び篩分面17の下へ落ちた製品茶や茶粉は、振動コンベヤ1によってバケットコンベヤ9へ搬送され、更に次の工程へと搬送され、製品茶として更に加工される。
【0020】
振動コンベヤ1上での茶葉の搬送状態について、図10に基づいて詳細に説明する。茶葉が、篩分面17を振動で右側に搬送されると、図10(A)に示すように、大きな製品茶やケバ31がパンチング加工孔16の底側湾曲状部に当たり、そのまま、開口16a箇所に落下する[図10(B)参照]。そして、図10(C)に示すように、前記パンチング加工孔16に一旦詰っても、振動で進行方向の上側に抜ける。このとき、前記パンチング加工孔16の進行方向前側と篩分面17との隅角個所[図10(C)の(イ)個所]の曲率半径rが角にならずに比較的大きいことが好ましい。具体的には、約1mm程度である。その(イ)個所を通過して、上側に抜ける。この場合は、振動の影響と、実際には、茶葉群が搬送されており、前記パンチング加工孔16の開口16aに突き刺さることなく、図6(D)及び(E)に示すように、茶葉群と一緒に流れに沿って搬送される。他方、小さな製品茶や茶32粉は、パンチング加工孔16の底側湾曲状部に当たり、そのまま、開口16aから落下する。
【符号の説明】
【0021】
1 振動コンベヤ
2 吸引手段
3 ファン
4 吸引フード
5 ダクト
6 サイクロン
7 ロータリーバルブ
8 ケバ収容袋
9 バケットコンベヤ
10 製茶用乾燥機
11 本体枠
12 モータ
13a プーリ
13b プーリ
14 ベルト
15 板バネ
16 パンチング加工孔
16a 開口
17 篩分面
17a 篩分面部
17b 立上り部
17c 縁部
18 搬送面
20 篩分振動部
21 振動枠
22 クランク
23 軸受部
31 大きい製品茶やケバ
32 小さい製品茶や茶粉

【特許請求の範囲】
【請求項1】
茶葉を搬送する振動コンベヤと、該振動コンベヤ上でケバを吸引し、回収する吸引手段と構成する茶葉選別装置において、前記振動コンベヤには、搬送面の上方にパンチング加工孔が多数形成されると共に、該パンチング加工孔は、プレス加工にて下方に膨出させて平面的に見たとき開口個所が無いようにして上流側のみが開口された篩分面を設けることを特徴とする製茶用選別装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−90596(P2012−90596A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−242188(P2010−242188)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(000145116)株式会社寺田製作所 (90)
【Fターム(参考)】