説明

製薬用多孔質粒子

粒子が0.5g/cm未満の密度を有する三次元の大きい構造体に希釈溶液内で自己会合する1つ以上のネットワーク形成化合物から成るよう、治療上活性の化合物または物質をオプションとして含む、治療のために使用すべき、薬学的、好ましくは吸入可能な多孔質の自由に流れる粒子に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば医薬または薬のキャリアとして治療用に使用される固体粒子のみならず、それらの製造方法にも関する。本発明は、例えば吸入剤の開発時における技術的手段としての用途も含む。これら粒子は動物だけでなく人にも使用できる。これら粒子は特に吸入治療用となっている。
【0002】
活性化合物または物質は、キャリアとして粒子に混合できるし、または粒子の表面に付着できる。活性化合物は任意の形態とすることができる。例えば分子状に混合してもよいし、または粒子の形態でもよい。これら粒子は密度が低く、成分上有形の物質、特に成分上有形の脂質を使って製造できる。
【背景技術】
【0003】
最近、大きな注目を得ている概念として、気道、特に肺を介して医薬を投与するという考えがある。今日、このマーケットは気道内の疾患、例えば喘息、嚢胞性線維症および慢性閉塞性肺疾患(COPD)に向けられた医薬が主流となっているが、呼吸路を介して医薬を全身に投与することが増えると予測される。呼吸路を介した全身投与にはいくつかの利点がある。例えば経口投与と比較されるこの投与ルートは、胃腸器官だけでなく肝臓内での分解も回避できる。このことは、透過性の差(この差は大きいことが時々ある)と共に生物学的利用能をより大きくする。生物学的分子に対し、気道投与と経口投与との間の生物学的利用能の差は100倍以上大きくなり得る。生物学的利用能が大きくなると、体内への投与量を少なくでき、これによって副作用を小さくできる。高価な活性化合物の場合、当然ながらこのことは医薬の製造コストを下げる。通常、気道を介した投与を行う結果、静脈内注射を除くその他の投与ルートと比較して、活性化合物の摂取がより迅速に行える。しかしながら、静脈内注射は病院でしか行うことができず、同時にほとんどの患者は医薬の吸入を注射よりかなり便利であると感じている。気道を介して全身に医薬を投与する考えは、完全に新しい治療の可能性を切り拓いており、医学の見地から良好に受け入れられる。いくつかの製薬会社は、特にインシュリンを含む最近の段階における臨床研究を進めている(オグデン、1996年)(非特許文献1)。
【0004】
今日グラクソスミスクライン社は、偏頭痛に対するスマトリプタン(Imigran(登録商標))を全身投与するための鼻スプレーを市販している。
【0005】
気道/肺を介したワクチンおよびその他の免疫法も提案され、テストされている。
【0006】
肺ルートを介した投与には大きな利点があり、潜在力があるので、いくつかの開発会社およびメーカーによってこの分野が急速に開発されている。
【0007】
いくつかの理由から、気道を介した投与をするのに、脂質は組成物の一部に良好に適している。一般的な見地から、脂質は化学的に不活性であり、治療用化合物に対する添加物として治療上良好に適す。更にいくつかの脂質は成分上有形物質であり、気道にも存在する。更に肺に堆積した後に脂質は肺表面に広がり、よって、より広い表面にわたって活性な化合物を広げる能力も有するという事実が支持されている(リース、シュット外、2001年)(特許文献1)。脂質は粉末の分解特性を改善するため(ヘインズ、エドワーズ外、1999年)(特許文献2)、および肺の粘膜の刺激を少なくするため(レウルおよびペトリ、1997年)(特許文献3)にも添加される。得られる別の利点は、貧食作用が少なくなり、摂取量が増加し、接種時間を変えることができることである。(バット、カフ外、2000年)(特許文献4)。
【0008】
異なる疾患条件、例えばIRDS(幼児呼吸窮迫症候群)およびARDS(成人呼吸窮迫症候群)では、肺に肺脂質を添加する。
【0009】
更に肺の脂質は気道における粘液の運搬に影響を与えるようになる。適当な脂質を使った治療は粘液の粘性を下げることができ、大きな運搬により肺における粘液量を患者が低減できる能力を改善できる(プルス、1997年)(特許文献5)。このような理由から、COPDの治療時に脂質を投与することがこれまで提案されている(特許文献1)。研究によれば、脂質は肺の組織表面に結合でき、よって有害な刺激にさらされるレセプタの数を減少させ、かつ気管支収縮反射を小さくできる(ヒルズ、ウッドコック外、2000年)(特許文献6)。
【0010】
通常の錠剤を製造するよりも、肺を介して投与すべき医薬を製造することのほうが、より複雑であることが多い。問題の1つは、肺に医薬を十分に堆積させるために、粒子が0.5〜5μmの空気力学的直径を有していなければならないということである。10μmよりも大きい粒子は口腔内および咽頭領域に堆積するが、0.1μmよりも小さい粒子は呼気にも再び連行される。
【0011】
吸入粒子を投与する最も一般的な方法は、投与用エアロゾルを使用することである。従って、蒸気圧の大きい液体、通常ハロゲン化炭化水素内に活性化合物が溶解または懸架される。液体は高速でノズルを通過するように自然な圧力により加圧されており、液体は液滴を形成し、この液滴は口腔内で蒸発し、適当なサイズの粒子を形成する。別の方法は、噴霧(ネビュライゼーション)を使用することであり、この場合、活性化合物は等浸透圧の水性溶液内に溶解または懸架され、溶液は加圧空気またはピエゾ電気結晶を使用する噴霧装置内で小さな液滴に微細に分散される。
【特許文献1】国際公開第0185136号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5855913号明細書
【特許文献3】米国特許第5663198号明細書
【特許文献4】国際公開第01/93837号パンフレット
【特許文献5】米国特許第5698537号明細書
【特許文献6】国際公開第0030654号パンフレット
【非特許文献1】オグデン,J.スクリプマガジン(Scrip Magazine)56、1996年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
これら投与法を使用する欠点はいくつかある。肺に堆積するのに、少量の液滴しか空気力学的に正しいサイズとならないので、投与エアロゾルは医薬品の全量を有効には利用できない。更に液滴が高速であることによって、投与薬の一部しか咽頭領域の後部に付着せず、「コールドフレオン効果」と称されるような不便が生じている。製薬業界が代替推進薬を探す上での問題と共に、所定のハロゲン化炭化水素を使用することの制限は、特に投与用エアロゾルを将来使用することに関して、更に大きな問題を生じさせる。
【0013】
1回の投与をするには、噴霧時に通常数分かかり、かつ高価でかさばる機器を必要としており、このような機器を患者が使用したり運んだりするのは不便である。
【0014】
凝固、沈殿および凝集の傾向を最小にしなければならないのと同時に、安定したサスペンションを製造するには懸架剤の可溶性が極めて低い組成物に関して大きな条件が課される。他方の溶液は、特に水溶液を使用し、活性化合物が加水分解を受けやすい噴霧化生成物、例えばタンパク質およびペプチドにおいて、安定化の問題を生じさせる。
【0015】
上記欠点はドライ粉末吸入剤(DPI)を使用して医薬を投与することによって小さくできる。活性化合物を含む、適当な空気力学的サイズを有する粒子は、簡単な装置を使って投与され、1回の投与で1回または数回の吸入を使用して肺へ投与される。推進剤は不要であり、主に乾燥状態のために安定性の問題も最小となっている。懸架状態となるときよりも添加剤を選択する自由度がかなり大きくなっているので、安定性改善組成物の組成をより容易に定めることができる。
【0016】
ドライパウダー吸入手段を使用してこのサイズの範囲内の固体粒子を投与することは、投与し、かつ分解する際に問題が生じる。吸入時に少量を投与することが極めて多いが、これを投与するには良好な投与装置が必要である。
【0017】
これまで固体の吸入可能な粒子は比較的複雑な粉砕方法または噴霧乾燥によって製造されている。当該サイズ範囲(密度=1g/cmにおいて0.5〜5μm)内の粒子は、通常流れ特性が不良であり、これによって取り扱いが困難である。小さい粒子を取り扱いできるようにするため、通常、粒子が自由に流れることができるようにしなければならない。自由な流れ特性を得る2つの一般的な方法は、球状化と、規則的な混合物である。球状化をする際に小さい吸入可能な粒子の、より大きい、多少ゆるく付着した凝集物が生じる。規則的な混合物では、吸入可能な粒子はより大きなキャリア粒子(ラクトースであることが多い)に付着する。これらキャリア粒子は医薬粒子よりもかなり大きく(20〜200μmのサイズ)なっていることが最も多い。吸入器では、患者が吸入器を介して吸入する際に得られる剪断力によって、吸入可能な粒子は再び「解放」される。
【0018】
肺内に多量の投与物を堆積させるには、吸入時に粉末を小さい粒子に分解することが必要である。例えば粒子の表面特性を制御することにより、凝集を防止するために多くの作業がなされてきた。いわゆる「力制御剤」(FCA)、例えばステアリン酸マグネシウムを組成物に添加すると、吸入時の分解を大きくできることがこれまで証明されている(スタニフォース、1996年)。
【0019】
最近になって、低密度の吸入粒子を作成する別の方法が商業化され始めている(エドワーズ、ランガー外、1999年;エドワーズ、カポネッチ外、1999年;タララ、ウィールズ外、2000年;エドワーズ、カポネッチ外、2001年)。この考えは、低密度を有し、よって、次の式に従って幾何学的な直径dよりもかなり小さい空気力学的な直径でdを有する多孔質粒子を特殊な製造プロセスおよび組成によって製造することに基づくものである(ヒンズ、1982年)。
【0020】
【数1】

【0021】
空気の流れ内における粒子の挙動を予測できるのは、粒子の空気力学的直径である。空気力学的な直径が小さくなればなるほど、吸入時に肺の下に、例えば肺胞に堆積する確率が高くなる。幾何学的な直径がより大きいことに起因し、多孔質の粒子は同じ空気力学的直径を有するよりコンパクトな粒子よりもかなり良好な流れ特性を有する。これら粒子をより容易に取り扱いでき、分解できるという事実の外に、これら粒子は、小さい粒子よりも、肺内での滞留時間がより長い(エドワーズ、ヘインズ外、1997年)。このような改良された特性によって、特にオーソリティの条件を満たすのに重要なその他の技術的な利点ももたらす。例えばかかる粒子は投与および混合がより容易となる。積極的な技術的利点は、量および投与内容の均一性(DCU)に関して、吸入医薬の条件を達成するのに不可避で、かつ困難なことを満足させるのも容易にする。
【0022】
食品および医薬管理局(FDA)だけが承認する物質を使って低密度の粒子を製造できる(バンビーバー、ミンチェス外、1999年)。多孔質粒子を得るには、組成物内においてポリマーが一般に使用される(ヘインズ、エドワーズ外、1999年;エドワーズ、ランガー外、1999年;エドワーズ、カポネッチ外、1999年;エドワーズ、カポネッチ外、2001年)。
【0023】
多孔質粒子を製造するための別の方法は、吹き込み剤、例えばフッ化炭化水素のエマルジョンと、活性化合物を含む溶液からなる混合物を乾燥することである(タララ、ウィールズ外、2000年)。所定のケースでは、このコンセプトは2つの乾燥ステップを必要とする(ウィールズ、タララ外、2001年)。特定の沈殿技術を使って低密度の粒子を製造することもできる(エッター、2000年)。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は低濃度(例えば約1%未満の乾燥物質)でも溶液内の所定の薬剤は会合し、一様で、かつ熱力学的に安定した粘性溶液を形成する大きな三次元構造体と会合することができるという事実を利用するものである。揮発性薬剤が、適当な態様で除去された場合、この薬剤によって形成された三次元構造体が完全または部分的に保存され、低密度の粒子が形成される。例えば揮発性薬剤の除去は噴霧または凍結乾燥によって行われる。
【0025】
適当な溶液を形成する系の例として、リン脂質、特に疎水性で、かつ揮発性の有機溶剤および所定の組成物内の水を挙げることができる。この場合、三次元構造体は長手方向に延びるロッド状のミセルおよび/またはこれらのネットワークからなる。
【0026】
特に本発明は、オプションとして1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含む、治療で使用するのに適した吸入可能な多孔質の、自由に流れる粒子を特徴とするものであり、粒子は薬剤から成り、この薬剤は希釈溶液内では大きな三次元構造体となるように自己会合し、例えば凍結乾燥、スプレー乾燥または他の適当な蒸発方法により揮発性物質を除去した後は、これら薬剤は0.5g/cm未満の密度、好ましくは0.001〜0.5g/cmの密度を有する。本明細書では、希釈された溶液とは、10%(w/w)未満の乾燥物質を含む溶液を意味する。
【0027】
好ましい実施例では、吸入可能な粒子は少なくとも30μmの幾何学的直径dgを有する。
【0028】
別の好ましい実施例では、吸入可能な粒子は40〜50μmの幾何学的直径を有する。
【0029】
別の好ましい実施例では、吸入可能な粒子は0.5〜5μmの空気力学的直径(d)を有し、よって空気力学的直径(d)は好ましくは1〜5μmである。
【0030】
本発明の別の好ましい実施例では、粒子は三次元ネットワークに分子的に結合した1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含む。
【0031】
本発明の別の好ましい実施例では、粒子は三次元ネットワークに付着した1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含む。
【0032】
本明細書に開示する発明は、多孔質粒子の概念を更に進歩させるものである。一様で、かつ平衡な溶液からスタートして、ワンステップのプロセスで多孔質粒子を製造できるようにするものである。粒子はこれまで説明した粒子(密度0.01g/cm未満)よりも小さい密度を有することができ、成分上で有形の脂質しか含まないこれら粒子を製造することが可能である。同様に、この簡略な製造方法は無菌状態での製造を容易にするのに使用できる。これら粒子はそのまま使用できるし、または活性物質のキャリアとしても使用できる。リン脂質の場合、粒子は相対的に化学的に不活性である。例えば、これら粒子はラクトースが有するような還元特性は有しない。このことは、粒子が有する良好な粒子特性と共に、これら粒子を敏感なシステム、例えば所定のタンパク質およびペプチドの、規則的な混合物のタイプにおける単なる希釈剤として適当なものとなる。キャリアとして使用されるとき、溶液内に活性化合物または物質を溶解し、この溶液から粒子を製造したり、またはその後、粒子に付着させることができる。
【0033】
本発明は新しい混合コンセプトを可能にするものである。通常のいわゆる規則的な混合物では、大きなキャリア粒子は主に粉末を制御可能にするように働く。このような新しいコンセプトでは、キャリア粒子は流れイネーブラーおよび医薬ヴィークルの双方として働くことができる。
【0034】
規則的な混合物を使用するときの決定的なステップは、小さい吸入可能な粒子が吸入不能なより大きいキャリア粒子から分解するときのステップである。この重要なステップは主に肺に入る薬剤の量を決定する。しかしながら、この重要なステップが不要となるか、または望まなくなるように、多孔質キャリア粒子を有するシステムを設計できる。キャリア粒子の密度が小さいことによって、吸入可能な空気力学的直径を越えることなく、例えば薬剤粒子の形態でかなりの重量を添加することが可能となっている。40μmの幾何学的直径(0.01g/cmの密度)を有する多孔質粒子に対し、形成される集合体が吸入可能な特性(空気力学的直径は5μmより大)を失うことなく、約50重量%を添加することが可能である。
【0035】
例えば、40μmの幾何学的直径(0.01g/cmの密度)を有する多孔質キャリア粒子の組成に対し、キャリア粒子(50%、w/w)に対し、約5つの医薬粒子(4μm、密度1g/cm)を添加することができ、粒子はまだ約5μmの空気力学的直径を有する。
【0036】
上記とは異なり、キャリア粒子は大きな吸引不能な粒子に対するヴィークルとして働くことができる。40μm(0.01g/cmの密度)のキャリア粒子に対し、7μmの粒子(キャリアごとに約1個)の形態の同じ重量(50% w/w)を添加する結果、同じ空気力学的直径(約5μm)が得られる。当然ながら、低密度の(多孔質の)小さい粒子を添加することも可能である。完成したキャリア粒子に粒子を追加したり、または製造プロセス内で1つ以上のステップで粒子を追加してもよいし、例えばスタート溶液内に存在してもよい。
【0037】
一般に、薬剤粒子は少なくとも0.5g/cm、より好ましくは少なくとも0.75g/cm、更に好ましくは1.00g/cmまたはそれ以上の密度を有する。
【0038】
オイル相、表面活性化合物および水、すなわち脂質プラス水プラスオイルを含むスタート溶液は、オイル可溶性および水溶性成分の双方を含む医薬、例えばSymbicort(登録商標)、Turbuhaler(登録商標)(フォルモテロール(Formoterol)、水溶性、ブデソナイド(Budesonide)、油溶性)にとって有利となり得る。
【0039】
複雑な溶解特性を有する比較的頻繁に存在するタイプの物質に対しても、この溶液は特に適すと見なすことができる。この溶液は脂質マトリックス、例えば膜タンパク質内で機能する医薬に対しても利点を有する。
【0040】
互いに共有結合しない小さい構築ブロックによって構成された、溶液内の大きなアグレゲート(集合体)は、ポリマーと違って、例えばポンプ内で大きな剪断力を受けた直後に再構成されるという良好な特性も有する。長手方向に延びる集合体を含む溶液の場合、この溶液は乱流を減衰し(モーガンおよびマコーミック、1990年)、次にこの減衰の結果、大きな分子(例えば酵素)の小さな機械的な劣化を生じさせることが周知である。乾燥物質の含有量およびその他のプロセスパラメータを変えることにより、粒子の最終的に得られる密度を制御することが可能である。このことは、粒子の最適な密度が重要である場合、現在および将来の応用にとって利点である。
【0041】
脂質の場合、溶液はいわゆる「逆転」溶液である。すなわち疎水性(オイル)相は連続的となる。この相では、脂質は疎水部分を連続した相(オイル)に突出させ、その水溶性部分は水のコアに向けられる。オイル内の脂質の溶解性は低いので、多くの組織における脂質の結果、溶剤を除去した後に疎水性粒子が生じる。疎水性表面は水との相互作用を低減し、このことは、例えば相対的に高い湿度における粒子の成長および毛細管凝縮の問題を低減または解消できる。毛細管凝縮は規則的な混合物および球状化された系の双方における分解を複雑にする。
【0042】
水性相が連続相である場合、本明細書ではこの系を「ストレート」と定義する。
【0043】
本発明に従って形成されるリン脂質粒子の粉末は、小さい粒子間の力を有するようになり、良好な流れおよび分解特性が生じる。これによって小さい剪断力しか得られないDPI吸入器において、吸入可能な粒子の大きな部分を得ることが可能となる。
【0044】
比較的簡単な分子、例えば脂質は一般的な見地からポリマーの場合よりもそれらの分解を分析し、追跡することがより簡単である。ポリマーは更に密な仕様レンジ内で製造することが極めて困難であることが多い。医薬品の製造プロセス中の(機械的だけでなく、化学的な)分解と共に、このことによって分析が困難となり得る分子サイズにおける分散が生じることが多い。ポリマーに対する小さい分子の利点は、純度、分解の制御、および医薬成分のメタボリズムに関するオーソリティの高く増加しつつある要求を満たす際に極めて重要なことである。
【0045】
本発明は生物活性薬剤の肺投与に対して特に適すが、体内の任意の場所に対する化合物の局所的または全身投与に対しても使用できる。従って、好ましい実施例では、胃腸管、呼吸管を含む(しかし、これらだけに限定されるものではない)多数の異なるルートを使用して、局所的、筋肉内、腹腔内、鼻を介して、膣を介して、直腸を介して、耳を介して、口を介して、または目を介して、組成物を投与してもよい。より一般的には、本発明は局所的に薬剤を投与したり、肺以外の体腔へ投与するのにも使用できる。好ましい実施例では、体腔は腹腔、洞、直腸、尿道、胃腸管、鼻孔、膣、聴覚道、口腔、頬嚢および胸膜から成る群から選択される。
【0046】
本明細書で使用する「肺」なる用語は、患者の内部で、ガスの交換、すなわちOとCOの交換に直接または間接的に関与する部分、組織または器官を意味する。「肺」は上部および下部の気道の双方を意味し、例えば口、鼻、咽頭、口腔咽頭部、咽頭喉頭部、喉頭部、気管、竜骨、気管支、気管支梢および肺胞を含む。従って、「肺投与」なるフレーズは、上記組成物を患者内のガス交換に直接または間接的に関与する任意の部分、組織または器官へ投与することを意味する。
【0047】
これら粒子は吸入治療で使用するのに良好に適す。本発明は多くの異なる形態で具現化できるが、本明細書では本発明の原理を例示する特定の図示された実施例を開示する。本発明は図示するような特定の実施例だけに限定されるものでないと強調したい。本発明は有効な医薬の送り込みを提供するよう、投与用吸入器、ドライパウダー吸入器、噴霧器、ネビュライザーまたは液体投与点滴(LDI)技術または任意のその他の技術(しかし、これらだけに限定されるものではない)によって肺投与することができる。
【0048】
例えば、患者の肺へ表面活性剤を送るために本発明の粒子を使用することができる。本発明は特にIRDS(幼児呼吸窮迫症候群)およびARDS(成人呼吸窮迫症候群)(しかし、これらだけに限定されない)のケースを含む内生の肺表面活性剤を補足するか、または置換する必要がある医学的適応症で特に有効である。
【0049】
粒子の形成
溶液内で小さい構築ブロックを非共有結合することにより、大きい三次元構造体を形成するすべての系が本発明に含まれる。これら系は自己組み立て構造体でよいが、例えば流れによって誘導することもできる。従って、本三次元構造体は重合により、延びた非共有結合構造体を形成する重合鎖に基づくものではない。
【0050】
タルタルによって提案され(タルタル、1955年)、更にその他の者(タンフォード、1973年;イスラエラチビリ、ミッチェル外、1976年;ミッチェル、ティディ外、1983年;イスラエラチビリ、1992年)によって更に発展された幾何学的モデルを使用することは、このような大きい三次元構造体を形成するための適当な充填パラメータ(またはシェイプファクタ)Nを有するか、またはこれらを形成できるすべての構築ブロックが本発明に含まれることを意味する。
ここで、N=v/(a
v=炭化水素鎖の容積
=最適な表面積
=臨界的炭化水素鎖の長さ
【0051】
三次元ネットワークの適当な構造の特定の例は長いロッド状のミセル系を含むが、これらミセル系だけに限定されるものではない。系が水であると仮定した系が連続相である場合、約0.5、特に0.3〜0.8、または特に0.4〜0.6の充填パラメータNを有する構築ブロックは円筒形の(ロッド状の)ミセルまたはミセル状のネットワークを形成する。Nが1より小、好ましくは0.75未満、より好ましくは0.5未満であるときに、同様な円筒形のミセルまたはネットワークが形成される。この場合、オイルが連続相であれば、系は通常、反転したと称される。逆転した系を使用するとき、一般に少量の水が使用され、この量は材料を形成する1モルの構造体につき1〜30モル、好ましくは1モル当たり1〜20モル、またはより好ましくは1モル当たり1〜10モルとなる。
【0052】
すべての溶剤およびそれらのすべての組み合わせが含まれる。これら溶剤は部分的に精製してもよいし、または純粋なフラクションまたはその混合物を含むように分留してもよい。適当な溶剤の例として水、二酸化炭素、アルカン、アルケン、アルキン、カルボキシル酸、ベンゼン、アミン、ニトロ化合物、イソシアネート、カルバメイト、チオール、スルファイド、エステル、フォスフェイト、ホスフィン、フェノール、フェニルエーテル、アルデヒド、ケトン、炭水化物、多環式芳香族炭化水素、複素環式化合物、ハロゲン化炭化水素、ポリシロキサンおよびそれらのすべての誘導体を挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0053】
適当な溶剤の特別な例として、水、二酸化炭素、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、アンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、ヘプタデカン、ジメチルブテン、ヘキセン、オクタジエン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリオクチルアミン、ジブチルエーテル、ドデセニルコハク酸無水物、エチルラウレート、ブチルラウレート、エチルミリステート、イソプロピルパルミテート、イソオクタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロデカン、メチルシクロヘキサン、ブチルシクロヘキサン、フェニルシクロヘキサン、バイシクロヘキシル、トリイソプロピルベンゼン、オクチルベンゼン、デカリンおよびピナンを挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0054】
どのような構築ブロックが選択されるにせよ、このブロックは自然の形態で使用できるし、または当業者に公知の1つ以上の塩としても使用できることが理解できよう。
【0055】
ほとんどのタイプの表面活性物質は本発明のための適当な構造体を構築できる。この構造体は純粋な溶剤内で形成してもよいし、または、例えば高い電解質濃度、特殊なカウンターイオンにより、または異なる溶剤を混合し、表面活性物質を混合し、反対の電荷または電荷分布を有する表面活性物質を混合し、パッキングに影響を与える他の物質およびそれらの組み合わせと混合することにより、この構造体を誘導できるが、この誘導方法は上記のものに限定されるものではない。
【0056】
当然ながら、適当な特性を有する配合剤、例えば構築ブロックを選択することによって粒子の性質を最適にすることができる。この例は、適当な炭化水素鎖の長さおよび飽和度を有する脂質を使用することによって、粒子の溶融特性を最適化することを含むが、これだけに限定されるものではない。
【0057】
適当な系の例としては、表面活性剤+有機溶剤+水、両性イオン活性剤+陰イオン表面活性剤+水、陽イオン表面活性剤+サリチレート+水、陽イオン表面活性剤+陰イオン活性剤水、両性イオン表面活性剤+長アルコール+水を挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。更に多くの例を望む場合には、(ホフマンおよびエバート、1998年;スカルタッツィーニおよびルイジー、1988年;ハーヴィグソン、1995年)およびその参考例を参照されたい。
【0058】
構築ブロックはリン脂質またはその他の特に肺のために医薬上承認されたその他の表面活性剤を含むことが好ましい。以下に適当な構築ブロックの例を挙げる。
【0059】
天然ソースおよび合成ソースの双方からの有極性および無極性の脂質は、特に本発明と相容性があり、適当な構造体を形成するために異なる濃度で使用できる。これら脂質は制限をすることなく組み合わせたり、混合することができる。適当な脂質の例として、(ガンストン、ハーウッド外、1986年)およびこれに記載の参考例に記載されているようなものを含むが、これらに限定されるものではない。これら脂質は部分的に精製してもよいし、または純粋なフラクションまたは例えばレシチンのような混合物を含むように分留してもよい。成分上、有形のレシチンだけでなく、卵レシチンおよび大豆レシチンも使用できるが、成分上有形のレシチンおよび卵レシチンが好ましい。リン脂質は種々の天然ソースから入手でき、当業者に公知の方法によって合成することができる。例えば(ツァイ、1988年;デニス、1993年)を参照されたい。ここにリストされている化合物のすべての種類の変形物も含まれる。例はペギラチオン(PEGylation)を含むが、これだけに限定されない。すべての種類の炭化水素鎖コンフィギュレーションおよび変形例を有する脂質が含まれる。
【0060】
例は、飽和、不飽和、分岐およびペギレート化された鎖も含むが、これらだけに限定されない。
【0061】
無極性脂質としては、特に通常トリグリセリドと称されるトリアシルグリセロール、ジグリセリド、ステロールを挙げることができる。
【0062】
有極性脂質としては、モノグリセリド、ガラクトシルグリセロリピド、スフィンゴリピド、ホスフォグリセロリピドを挙げることができる。
【0063】
ガラクトシルグリセロリピドとしては、特にモノガラクトシルジグリセリド(MGDGs)、ジガラクトシルジグリセリド(DGDGs)を挙げることができる。
【0064】
スフィンゴリピドとは、長鎖ベーススフィンゴイド、例えばグリコスフィンゴリピド、(スフィンゴホスフォノリピドに関係する)スフィンゴホスフォリピドおよびセラミドを有する脂質に対する包括的名称のことである。このスフィンゴリピドとしては、特にスフィンゴミエリン(SM)、N−ステアリルスフィンゴミエリン、N−パルミチルスフィンゴミエリン、N−オレイルスフィンゴミエリン、セレブロシドを挙げることができる。
【0065】
ホスフォグリセロリピドとしては、特にホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジルエタノールアミン(PE)、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルセリン、ホスファチジリノシトール、ホスファチジン酸およびそれらの組み合わせを挙げることができる。
【0066】
リン脂質の特定の例としては、ホスファチジルコリン、例えばジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルコリン(SPPC)、ジステアロイルホスファチジルコリン(DSPC)、ジラウロイルホスファチジルコリン、ジオレオイルホスファチジルコリン、ジリノレオイルホスファチジルコリンおよび1−パルミトイル−2−オレオイルホスファチジルコリン、ジペンタデカノイルホスファチジルコリンを挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。
【0067】
ホスファチジルエタノールアミン、例えばジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン(DPPE)、1,2−ジオレオイル−3−n−ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、1,2−ジステアロイル−3−n−ホスファチジルエタノールアミン(DSPE)、1−ステアロイル−2−パルミトイルホスファチジルエタノールアミン(SPPE)および1,2−ジフィタノイル−3−n−ホスファチジルエタノールアミン(DiPyPE)。
【0068】
ホスファチジルグリセロール、例えばジパルミトイルホスファチジルグリセロール(DPPG)、
【0069】
ホスファチジルセリン、例えば1,2−ジオレオイルホスファチジルセリン(DOPS)、1,2−ジパルミトイルホスファチジルセリン(DPPS)。
【0070】
ホスファチジルイノシトール、例えば1,2−ジステアロイルホスファチジルイノシトール(DSPI)、
【0071】
ホスファチジン酸、例えばジミリストイルホスファチジン酸およびジパルミトイルホスファチジン酸。
【0072】
意図する他の脂質としては、脂肪酸塩、例えばナトリウムカプロエイト、ナトリウムカプリレート、ナトリウムカプレート、ナトリウムラウレート、ナトリウムミリステート、ナトリウムミリストレート、ナトリウムパルミテート、ナトリウムパルミトレエート、ナトリウムオレエート18、ナトリウムリシノレエート、ナトリウムリノレエート、ナトリウムリノレネート、ナトリウムステアレート、ナトリウムアラキドネート、アラキドネート、それに対応する酸の形態およびその他の塩、および含まれるそれらの誘導体、胆汁塩、例えばナトリウムコレイト、ナトリウムタウロコレイト、ナトリウムグリココレイト、ナトリウムデオキシコレート、ナトリウムタウロデオキシコレート、ナトリウムグリコデオキシコレート、ナトリウムウルソデオキシコレート、ナトリウムケノデオキシコレート、ナトリウムタウロケノデオキシコレート、ナトリウムグリコケノデオキシコレート、ナトリウムウルソデオキシコレート、ナトリウムコリルサルコシネート、ナトリウムN−メチルタウロコレート、対応する酸の形態および含まれるそれらのその他の塩および誘導体、リソリピド、例えばリソホスファチジルコリン、リソホスファチジルグリセロール、リソホスファチジルエタノールアミン、リソホスファチジルイノシトール、リソホスファチジルセリン、グリコリピド、例えばガングリオシドGM1およびGM2;スルファチド;脂質支持ポリマー、例えばポリエチレングリコール、キチン、ヒアルロン酸またはポリビニルピロリドン;脂質支持スルホン化モノ−ジ−オリゴ−または多糖類;コレステロール、コレステロールスルフェートおよびコレステロールヘミコハク酸塩;トコフェロールヘミコハク酸塩、エーテルおよびエステル結合脂肪酸を有する脂質、重合化した脂質、ジアセチルホスフェート、ステアリルアミン、カルジオリピン、長さが6〜8個の炭素の短鎖脂肪酸を有するリン脂質、非対称のアシル鎖を有する(例えば6個の炭素の1つのアシル鎖および12個の炭素の別のアシル鎖を有する)合成リン酸脂質、6−(5−コレステン−3β−イロキシ)−1−チオ−β−D−ガラクトピラノシド、ジガラクトシルジグリセリド、6−(5−コレステン−3β−イロキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシ−1−チオ−β−D−ガラクト ピラノシド、6−(5−コレステン−3β−イロキシ)ヘキシル−6−アミノ−6−デオキシル−1−チオ−α−D−マノ ピラノシド、12−(((7’−ジエチルアミノコマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)−オクタデカン酸;N−[12−(((7’−ジエチルアミノコマリン−3−イル)カルボニル)メチルアミノ)オクタデカノイル]−2−アミノパルミチン酸;コレステリル)4’−トリメチル−アンモニオ)ブタノエート;N−サクシニルジオレオイルホスファチジルエタノールアミン;1,2−ジオレオイル−n−グリセロール;1,2−ジパルミトイル−n−3−サッシニルグリセロール;1、3−ジパルミトイル−2−サッシニルグリセロール;1−ヘキサデシル−2−パルミトイルグリセロホスフォエタノールアミンおよびパルミトイルホモシステイン、ジセチルホスファテル、ホスファチジルメタノール、ホスファチジル−β−ラクテートおよびオレイン酸、また1,2−ジアシル−3−トリメチルアンモニウムプロパン(TAP)または1,2−ジアシル−3−ジメチルアンモニウムプロパン(DAP)および/またはそれらの組み合わせのタイプの陽イオン脂質を含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0073】
上で列挙したような表面活性剤の外に、本発明と共に広範な表面活性剤をオプションで使用できることが更に理解できよう。適当な表面活性剤の例としては、(ホリス、1995年)およびその引用例に記載されたものを挙げることができるが、これらだけに限定されない。
【0074】
適当な表面活性剤の例としては、陽イオンおよび陰イオン表面活性剤および両性活性剤のような非イオンおよび両性イオン帯電表面活性剤のような純電荷を有しない表面活性剤を挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。これら表面活性剤における疎水基は脂肪族、芳香族または脂管族炭化水素、フルオロカーボンまたはポリシロキサンを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0075】
適当な非イオン表面活性剤の例は、脂肪酸アルカノールアミド、アルコキシル化アルコール、好ましくはエトキシル化アルコール、第3アミン酸化物、エトキシル化カストール油、エトキシル化脂肪酸アルカノールアミド、エトキシル化N−アルキルアミン、エトキシル化およびアルコキシル化アルキルフェノール、エトキシル化脂肪酸エステル、ラノリンをベースとする誘導体、ベタイン誘導体、ペンタエリチリトール誘導体、ステロール誘導体、例えばフィトステロールおよびコレステロールの誘導体、ソルビタン誘導体、サックロースエステルおよびポリグリコシロ誘導体、その他の糖表面活性剤、1個または数個のポリオキシエチレン基を含むその他の表面活性剤を含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0076】
適当な非イオン化表面活性剤のより特定の例は、ポリオキシエチレンヘッド基を有する非イオン表面活性剤、例えばC8〜24アルコール+エチレン酸化物(例えばアブラナ、オリーブ、コーン、ヒマワリ、綿実油からの)脂肪酸モノエタノールアミド+エチレン酸化物(FAAE)、ソルビタントリオレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0077】
サックロース脂肪酸エステルは、サックロースのモノエステル、ジエステルおよびトリエステルまたはそれらの混合物または配合物を含む。特定の例はサックロースモノラウレート、サックロースモノミリステート、サックロースモノパルミテート、サックロースモノステアレート、サックロースジステアレート、サックローストリステアレート、サックローストリミリステートおよびサックローストリパルミテートを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0078】
適当な両性イオン表面活性剤のより特定の例は、C8〜24ベタイン、C8〜24スルフォベタインを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0079】
適当な陰イオン表面活性剤の例は、アルキルスルフォネート、アルキルアリールスルフォネート、アルキルエーテルスルフェート、アルキルスルフェート、カルボキシルおよびポリカルボキシル誘導体、ジアリールスルフォネート誘導体、アシルイソシアネート、ナフタレンスルフォネート、オレフィンスルフォネート、モノ−およびジアルキルフォスフェート、サルコシネート、タウレートの脂肪酸エステル、タウリネート、ジアルキルスルフォスクシネート、N−アルキルサッシナメート、エトキシル化アルキルフェノールのスルフェートおよびスルフォネート、オイルおよび脂肪エステルのスルフェートおよびスルフォネート、アルファオレフィンスルフォネートを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0080】
適当な陰イオン表面活性剤のより特定の例は、C8〜24アルキルベンゼンスルフォネート、ナトリウムラウリルスルフェート(SDS)、ジナトリウムモノドコシルスルフォスクシネート、ジナトリウムモノウンデシレンエタノールアミドスルフォスクシネートを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0081】
適当な陽イオン表面活性剤の例は、エトキシル化脂肪アミン、第3級アミン酸化物、高級アルキルアミン塩、レシチン誘導体、タンパク質に基づく表面活性剤、表面活性第4アンモニア化合物、ポリアミン、第1脂肪アミン、第2脂肪アミン、第3脂肪アミンを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0082】
適当な陽イオン表面活性剤のより特定の例は、C8〜24アルキルトリメチルアンモニウム塩およびC8〜24アルキルピリジニウム塩を含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0083】
適当な両性表面活性剤のより特定の例は、C8〜24サルコシネート、C8〜24イミダゾリンを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0084】
本発明で使用するのに適した異なる商標の市販製品の例は次のとおりである。TRITON X、TERGITOL、 BRIJ、 TWEEN、 SPAN、 POLYSORBATE、 PLURONIC、 SOLUTOL、 SURFACTIN、 TETRONICS。
【0085】
製造
他の方法のうちでも、スプレー乾燥、真空乾燥、凍結乾燥、押し出しまたは他の適当な技術およびそれらの組み合わせを含む(これらだけに限定されない)技術により、本発明に適した粒子を形成できる。
【0086】
流動化床を使用する場合に使用されるような配合、混合、コーティング技術、二重ノズル技術を使用する2つの溶液のスプレー乾燥(これらだけに限定されない)により、本発明の粒子に他の成分または他の粒子の配合物を添加できる。
【0087】
医薬
本発明で使用するように、活性剤は一定の診断、予防または薬理学的な、しばしば有益な効果を生じさせる、薬剤、医薬、化合物および物質の組成物およびそれらの混合物を含む。従って、活性剤は生体内で解放された薬剤の場所を識別するのに有効な、検出可能なラベル(例えば放射性ラベル)をオプションで含み、活性剤は病気または状態を治療するのに有効な治療薬剤も含む。この薬剤は栄養素、栄養ファクター、医薬、ワクチン、ビタミンおよびその他の有益な作用物質を含む。本明細書で使用するように、これら用語は患者内で局所的または全身の効果を生じる任意の生理学的または薬理学的に活性な物質を更に含む。所定の実施例では、好ましい生理学的に活性な作用物質はタンパク質またはペプチド物質である。かかるタンパク質またはペプチド物質は一般に、治療する病気または状態のタイプ、または作用物質の活動度に基づき、複数の種類に更に分割できる。
【0088】
本発明で使用できる生理学的活性剤は次のものを含むが、これらだけに限定されない。すなわち抗生物質、抗体、抗てんかん薬、抗アレルギー薬、気管支拡張薬、気管支収縮薬、肺表面活性剤、リューコトリエン抑制薬または拮抗剤、抗コリン薬、麻酔薬、抗結核薬、撮像剤、造血剤、感染防止剤、痴呆防止剤、抗ウィルス薬、抗腫瘍薬、解熱剤、鎮痛薬、抗消炎剤、抗胃潰瘍剤、抗アレルギー剤、抗うつ薬、向精神薬、強心剤、抗不整脈剤、血管拡張薬、抗高血圧剤、例えば降圧利尿剤、抗糖尿病剤、抗凝固薬、コレステロール降下剤、細胞増殖抑制薬、静真菌薬、フリーラジカルスカベンジャー、ビタミン、ホルモン、免疫刺激剤、免疫抑制剤、粘液溶解薬、ヘパリン、鎮痛薬、催眠薬など、抗コリン薬、シクロオキシジナーゼ、マスト細胞、リポキシゲナーゼおよびタンパク質分解酵素禁止薬、アラキドン酸、リューコトリエン、スロンボキ酸、ナトリウム/リンチャンネル、ニューロキニン、タチキニン、ブラディキニン、ムスカリン、ヒスタミン、ホスフォジエステラーゼおよびセレクチン拮抗薬、リンチャンネルブロッカー、感染防止剤、抗生物質、骨粗鬆症用治療剤、ホルモン、ワクチン、精神賦活剤、トランキライザー、抗けいれん薬、筋弛緩剤、抗パーキンソン氏用薬、筋肉収縮剤、抗菌薬剤、マラリヤ防止薬、避妊薬を含むホルモン剤、交感神経薬、生理学的効果を引き出すことができる医薬、利尿剤、脂質制御剤、抗男性ホルモン剤、駆虫薬、潰瘍薬、抗潰瘍薬、低血糖薬、栄養剤およびサプリメント、成長サプリメント、脂肪、抗胃腸炎剤、電解質、心臓血管剤、酵素、ステロイド、遺伝物質、ウィルスベクター、ウィルス、抗感覚剤、タンパク質、ペプチドおよびこれらの組み合わせ。上記生理学的活性剤は、周辺神経、アドレナリンレセプター、コリン作用レセプター、骨格の筋肉、心臓血管系、平滑筋、血液循環系、シナプスサイト、神経イフェクター接合サイト、エンドクリーンおよびホルモン系、免疫系、再生系、骨格系、オータコイド系、食物および排出系、ヒスタミン系および中枢神経に作用する医薬を限定することなく含む、無機化合物および有機化合物でよい。
【0089】
本発明に従って使用するための活性剤(例えばペプチド剤および非ペプチド剤)の特定の例について以下に述べるが、このことは、その他のペプチド剤または非ペプチド剤を排除すること意味しない。これら活性剤は自然に発生する組み替え型または化学的に合成される物質でもよいし、准薬剤または同様な物質の形態でもよい。
【0090】
好ましい生理学的に活性なペプチド剤は、ペプチドホルモン、シトキン、成長因子、心臓血管系に作用する因子、中枢または周辺神経系に作用する因子、体液電解質および血液の有機物質に作用する因子、骨および骨格に作用する因子、胃腸系に作用する因子、免疫系に作用する因子、呼吸器系に作用する因子、性器に作用する因子および酵素を含む。
【0091】
ホルモンの例は、インシュリン、成長ホルモン、ヒト成長ホルモン(hGH)、成長ホルモン解放ホルモン(GHRH)、アルファ−1プロテナーゼインヒビター、エルカトニン、パラチロイドホルモン、黄体形成ホルモン−放出ホルモン(LH−RH)、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アミリン、オキシトシン、黄体形成ホルモン、(D−Tryp6)−LHRH、ナファレインアセテート、ロイプロリデアセテート、小胞刺激ホルモン、グルカゴン、プロスタグランディン、PGE1、PGE2および性器に作用するその他の因子およびそれらの誘導体、類似体および同類体を含む。前記LH−RHの類似体として、米国特許第4,008,209号、第4,086,219号、第4,124,577号、第4,317,815号および第5,110,904号に記載されているような公知の物質について述べることができる。
【0092】
抗生物質の例は、テトラサイクリン、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、スルフォンアミド医薬、クロルアンフェニコルナトリウムスクシネート、エリスロマイシン、バンコマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、ナイスタチン、アンフォテリシン B、アマンチディン、イドクスウリジン、p−アミノサリチル酸、イソニアジド、リファムピン、アンチノマイシン D、マイトラマイシン、ダウノマイシン、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、プロカルバジン、イミダゾールカルボキサミド、マクロライド、キノリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、ペンタミディン、アモキシリン、アジトマイシン、クラリトロマイシン、ドキシサイクリン、エリトロマイシン、フルコナゾール、レボフロキサシン、ミノサイクリン、モキシフロキサシン、オフロキサシン、ピバムピシリンを含む。
【0093】
造血または血液形成または血栓形成因子の例は、特にエリスロポイエチン、顆粒球コロニー刺激因子(G−CSF)、顆粒球−マクロファージ刺激因子(GM−CSF)およびマクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、白血球拡散因子調整剤(リューコプロール、森永ミルク)、血栓形成剤、血小板拡散刺激因子、巨核球拡散(刺激)因子および因子VIIIを含む。
【0094】
痴呆防止剤の例は、セレゲレンを含む。
【0095】
抗ウィルス剤の例は、アマンチジンおよびプロテアーゼインヒビターを含む。
【0096】
抗腫瘍剤の例は、ドキソルビシン、ダウノルビシン、タクソールおよびメトトレキセートを含む。解熱剤および鎮痛剤の例は、アスピリン、モトリン、イブプロフェン、ナプロシン、インドシンおよびアセトアミノフェンを含む。
【0097】
抗炎症剤の例は、NSAIDS、アスピリン、ステロイド、デキサメタソン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、ディクロフェナック Na、フルチカゾンプロピオネート、ベクロメタゾンジプロピオネート、フルニソリド、ブデソナイド、トリペダン、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニジロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、トリアムシノロンアセトニド、ナプロキセンナトリウム、フルルビプロフェン、ジクロフェナックナトリウム、ジクロフェナックリン、ミソプロスチール、バルデコキシブ、セロコキシブ、スリンダック、オキサプロジン、サルサレート、ジフルニザール、ピロキシカム、インドメタシン、エトダラック、メロキシカム、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナブメトン、トルメチンナトリウム、コリンマグネシウムトリサリシレート、ロフェコキシブを含む。
【0098】
抗胃潰瘍剤の例は、ファモチジン、シメチジン、ニザチジン、ラニチジンおよびスクラルファートを含む。
【0099】
抗アレルギー剤の例は、抗ヒスタミン、メタピリレン、ジフェニドラミン、ロラタジンおよびクロールフェニルアミンを含む。
【0100】
抗うつ剤、向精神薬の例は、リチウム、アミトリプタリン、ベンラファキシン、フェネイジン、トラニルシプロミン、ミルタゼピン、ネファゾドン、トリアゾロピリジン、ブプロピオン、トリサイクリック抗うつ剤、例えばアミトリプチリン、デジプロミン、ノルトリプチリン選択性セロトニンリュープテークインヒビター(SSRI)、例えばシタロプラム、フルヴォクサミン、パロゼチン、フルオゼチン、セルトラリン、エスシタロプラムを含む。
【0101】
強心剤の例は、ジゴキシンを含む。
【0102】
抗不整脈剤の例は、メトプロロールおよびプロカインアミドを含む。
【0103】
血管拡張剤の例は、ニトログリセリン、ニフェジピンおよびイソソルバイドジニトレートを含み、マスト細胞インヒビターの例は、クロモグリシン酸、ネドクロミルなど、およびリポキシゲナーゼインヒビター、例えばジロイトンを含む。
【0104】
リューコトリエン拮抗剤の例は、イラルカスト、ザフィルルカストおよびプランルカストであり、ナトリウムチャンネル拮抗剤は、アミロライドであり、カリウムチャンネル拮抗剤はビマカリムであり、アラキドン酸拮抗剤は2−ベンゾオキサゾールアミンであり、ヒスタミンレセプタ拮抗剤はエピナスチン、セトリジン、ミゾラスチンおよびメキタミウムである。
【0105】
抗偏頭痛薬の例としては、エルゴアルカロイド、メチセルギド、エルゴタミン、セロトニン、スマトリプタン、ゾルミトリプタン、シクランデラート、アルモトリプタンなどを挙げることができる。
【0106】
鎮痛薬の例としては、フェンタニル、モルフィン、ブプレノルフィン、オピウム、ヘロイン、ナルブフィン、ペンタゾシン、オキシコドン、トラマドール、ペチディン、チリディン、メタドン、ネフォパム、デキシトロプロポキシフェン、ピリトラミド、コデイン、ジヒドロモルフィン、エルゴタミンなどを挙げることができる。
【0107】
粘液溶解剤の例としては、RNアーゼ、アセチルシステイン、アンブロクソール、アパファント、ブロムヘキシン、表面活性剤などを挙げることができる。
【0108】
抗嘔吐薬の例としては、ブロモプリド、ドンペリドン、メトクロプラミド、トリエチルペラジン、トリフルオロプロマジン、メクロジン、クロルフェノキサミン、ジメンヒドリナートなどを挙げることができる。
【0109】
利尿剤の例としては、ヒドロクロロチアジド、アミロリドおよびフロセミドを挙げることができる。
【0110】
抗高血圧薬の例として、カプトプリル、ニフェジピンおよびアテノロールを挙げることができる。
【0111】
抗糖尿病薬の例として、グルコジド、クロロプロパミド、メトフォルミン、インシュリン、ピオグリチゾン、ロジグリタゾン、グリメピリド、スルフォンリウレア、メトフォルミン、グリブライド、ミグリトール、グリピジド、レパグリニド、アカルボーセ、トログリタゾン、ナテグリニドを挙げることができる。
【0112】
抗凝固薬の例として、ワルファリン、ヘパリン、ヒルディンを挙げることができる。
【0113】
抗コリン剤および鎮痙薬の例としては、アトロピン、スコポラミン、N−ブチルスコポラミン、塩化トロスピウム、臭化イプラトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化チオトロピウム、ドロフェニン、オキシブチニン、モクサヴェリン、グリコピロレートなどを挙げることができる。
【0114】
肺表面活性剤の例としては、スルファキシン、イクソサーフ、スルヴァンタを挙げることができる。
【0115】
鎮咳薬の例としては、ノスカピンを挙げることができる。
【0116】
抗ヒスタミン剤の例としては、フェキソフェナジン、アレグラ、デコンジェスタント、デスロラタジン、ロラチジン、テカステミゾールを挙げることができる。
【0117】
コレステロール降下剤の例としては、ロバスタチン、コレスチアミン、ロスヴァスタチン、クロフィブレート、コレスチポール、フルヴァスタチン、アトルヴァスタチン、ナイアシン、プラヴァスタチンナトリウム、コレスチラミン樹脂、フェノフィブレート、コレセヴェラム塩酸塩、シムヴァスタチン、エゼチマイベを挙げることができる。
【0118】
骨粗鬆症および骨および骨格に作用するその他の因子を治療するための治療薬の例としては、カルシウム、アレンドロネート、骨GLaペプチド、パラチロイドホルモンおよびその活性フラグメント(オステオスタチン)、ヒストンH4−関連骨形成および拡散ペプチド(OGP)およびそれらのムテイン、誘導体およびそれらの類似物を挙げることができる。
【0119】
酵素および酵素補助因子の例としては、パクレアーゼ、L−アスパラギナーゼ、ヒアルロニダーゼ、キモトリプシン、トリプシン、tPA、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼ、パンクリレアチン、コラギナーゼ、トリプシノーゲン、キモトリプシノーゲン、プラスミノゲン、ストレプトキナーゼ、アデニールチクラーゼおよびスーパーオキシドジスムターゼ(SOD)を挙げることができる。
【0120】
ワクチンの例として、B型肝炎、MMR(はしか、お多福風邪および風疹)およびポリオワクチンを挙げることができる。
【0121】
免疫アジュバントの例としては、フロインドアジュバント、ムラミルジペプチド、コンカナバリンA、BCGおよびレバミゾールを挙げることができる。
【0122】
サイトカインの例としては、リンポカイン、モノカイン、造血因子などを挙げることができる。本発明の実施について有効なリンポカインおよびサイトカインの例としては、インターフェロン(例えばインターフェロン−アルファ、−ベータおよび−ガンマ)、インターロイキン(例えばインターロイキン2〜11)などを挙げることができる。本発明の実施において有効なモノカインの例としては、インターロイキン−1、腫瘍壊死因子(例えばTNF−アルファおよび−ベータ)、悪性ロイコサイト禁止因子(LIF)などを挙げることができる。
【0123】
成長因子の例としては、神経成長因子(NGF、NGF−2/NT−3)、表皮成長因子(EGF)、繊維芽細胞成長因子(FGF)、インシュリン状成長因子(IGF)、変態成長因子(TGF)、血小板誘導細胞成長因子(PDGF)、肝細胞成長因子(HGF)などを挙げることができる。
【0124】
心臓血管系に作用する因子の例として次のものがある。血圧、動脈硬化などを制御する因子、例えばエンドテリン、エンドテリン抑制剤、エンドテリン拮抗薬(欧州特許第436189号、同第457195号、同第496452号および同第528312号に記載されているもの)、エンドテリン発生酵素抑制剤のバソプレシン、レニン、アンジオテンシンI、アンジオテンシンII、アンジオテンシンIII、アンジオテンシンI抑制剤、アンジオテンシンIIレセプタ拮抗剤、動脈ナトリウム排泄増加ペプチド(ANP)、抗不整脈ペプチドおよびその他を含む。
【0125】
中枢および末梢神経系に作用する因子の例として、オピオイドペプチド(例えばエンケファリン、エンドルフィン)、神経栄養因子(NTF)、カルシトニン遺伝子会合ペプチド(CGRP)、タイロイドホルモン放出ホルモン(TRH)、TRHの塩および誘導体(米国特許第3,959,247号)、ニューロテンシンなどを挙げることができる。
【0126】
胃腸系に作用する因子の例として、セクレチン、オメプラゾールおよびその他の胃酸分泌に影響する医薬およびガストリンを挙げることができる。
【0127】
体液電解質および血液器官物質に作用する因子の例として、血球凝集、血漿コレステロールレベルまたは金属イオン濃度を制御する因子、例えばカルシトニン、アポプロテインEおよびヒルジンを挙げることができる。ラミニンおよび細胞内付着分子1(ICAM 1)は、細胞付着因子の例を代表するものである。
【0128】
腎臓および尿道に作用する因子の例として、腎臓の機能を制御する物質、例えば脳で誘導されるナトリウム排出増加ペプチド(BNP)、ウロテンシン、DDAVPなどを挙げることができる。
【0129】
感覚器官に作用する因子の例として、種々の器官の感度を制御する因子、例えば物質Pを挙げることができる。
【0130】
免疫系に作用する因子の例として、炎症および悪性新生物を制御する因子および感染性微生物を攻撃する因子、例えば化学走性ペプチドおよびブラジキニンを挙げることができる。
【0131】
呼吸系に作用する因子の例として、喘息応答に関連する因子を挙げることができる。
【0132】
抗原、例えばスギ花粉およびブタクサ花粉に作用し得る自然発生した、化学的に合成された、または遺伝子組み換えされたペプチドまたはタンパク質も含まれる。これら因子は本発明にかかわる組成物において独立して、またはハプテンと結合され、またはアジュバントと共に投与される。
【0133】
受動免疫化のために、同じように自然発生抗体、化学的に合成された、または遺伝子組み換えされた抗体を投与することもできる。
【0134】
活性剤は更に核酸を含むことでき、剥き出しの核酸分子として、ウィルスベクター、関連するウィルス粒子、脂質を含む材料に関連する、またはこれに内在される核酸、プラスミドDNAまたはRNAもしくは細胞、特に肺の肺胞の細胞のトランスフェクションまたは変換に適したタイプのその他の核酸構造体を挙げることができる。
【0135】
組成物として、次のものも挙げることができるが、これらだけに限定されるものではない。すなわちエフェドリン、メタプロテレノール、アルブテロール、サルブタモール、フォルモテロール、サルメテロール、フェノテロール、クレンブテロール、ターブタリン、バムブテロール、ブロクサテロール、エピネフリン、イソプレナリン、オルシプレナリン、ヘキソプレナリン、チュロブテロール、レプロテロール、バメタン、リミテロール、レプロテロール、アドレナリン、ピルブテロール、ビトルテロール、プロカテロール、ピクメテロール、8−ヒドロキシ−5−(1−ヒドロキシ−2−((2−(4−メトキシフェニール)−1−メチルレチル)アミノ)エチル)−2(1H)−キノリン、マブテロール、トリアニシノロン、アセトニド、モメタゾンおよびこれら化合物の薬学的に許容可能なエステル、塩および溶媒化合物、すなわち抗コリン性気管支拡張剤、例えば臭化イプラトロピウムから成る群から選択されたベータ−擬症性の成分を挙げることができる。
【0136】
組成物はベクロメタゾン、ベータメタゾン、シクロメタゾン、デキサメタゾン、トリアムシノロン、ブテソニド、ブチキソコート、シクレソニド、フルチカゾン、フルニソリド、アイコメタゾン、モメタゾン、チキソコルトール、ロテプレドノール、チプレダン、デキサメタゾン、フルオシノロン、ロフレポニドおよびそれらの薬学的に許容可能な塩から成る群から選択されたコルチコイドの成分を含むが、これらだけに限定されるものではない。例えば、サルブタモールおよびテルブタリンは硫酸塩として、フェノテロールは臭化水素酸塩として、サルメテロールはキシナホ酸として、フォルモテロールはフマル酸塩二水和物として、クレンブテロールは塩酸塩として、フルチカゾンはプロピオン酸塩として、そしてブロクサテロールは一塩酸塩として使用できる。
【0137】
気管支および細気管支の領域に活性化合物を局所的に塗布するためには、約2〜4μmの粒径、例えばこれまで懸架組成物で得られていたような粒径が望ましい。肺胞領域に達する、より小さい粒子(<0.5μm)は、部分的に吸引されるか、または吸収の結果として全身に循環する。このことから、全身塗布のためのエアロゾル調整物は約0.5μm〜2μmの粒径を有することが望ましく、この場合、約1μmの範囲内の粒子の比率が極めて高い、単分散エアロゾールが特に望ましい。従って、望まれる沈着場所によっては、これよりも小さかったりまたは大きかったりするMMADおよびオプションとしての単分散スペクトルが望ましい。空気力学に関し、粒子の質量が大きくなればなるほど、直線内を浮遊し続ける傾向が高くなる。このことから、流れ方向が変化する場合、粒子の固着が生じる。沈着の研究から、最適な吸入操作をしても、計量されたエアロゾルから放出される粒子の約20%しか肺に達せず、口腔咽頭部内でほぼ80%の粒子が固着することが知られている。
【0138】
その他の有効な化合物として次のものが含まれるが、これらだけに限定されるものではない。すなわち、エリスロポイエチン(EPO)、因子VIII、因子、セレダーゼ、セレジン、シクロスポリン、エルカトニン、ヘパリン、低分子量ヘパリン(LMWH)、インターロイキン−2、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)、ロイプロライド、ソマトスタチン、オクトレオチドを含むソマトスタチン類似物、バソプレシン類似物、小胞刺激ホルモン(FSH)、免疫グロブリン、インシュリン状成長因子、インシュリントロピン、神経成長因子、甲状腺傍ホルモン(PTH)、チモシンアルファ1、IIbIIIIa抑制剤、アルファ−1抗トリプシン、呼吸シンシチウムウィルス抗体、嚢胞性繊維転換膜制御(CFTR)遺伝子、デオキシリボヌクレアーゼ(Dナーゼ)、殺菌性/浸透性増加タンパク質(BPI)、抗CMV抗体、インターロイキン−1レセプタ、13−シスレチノ酸、ニコチン、ニコチンビタルトレート、コデイン、カフェイン、ニコチン、ゲンタミシン、シプロフロキサシン、アミカシン、トブラミシン、メタプロテレノールスルフェート、グルカゴン、LHRH、ナファレリン、ゴゼレリン、リュープロリド、インターフェロン、ルーII−1レセプタ、マクロファージ活性因子、例えばリンフォキンおよびムラミルジペプチド、オピオイドペプチドおよびニューロペプチド、例えばエンケファリン、エンドフィン、レニン抑制剤、コレシストキニン、DNAゼ、成長ホルモン、リューコトリエン抑制剤および同等物を挙げることができる。更に、RNAまたはDNAシーケンスを含む生物活性剤、特に遺伝子治療、遺伝子ワクチン化、遺伝子耐性化またはアンチセンス応用に有効な生物活性剤、免疫モジュレータ、抗アレルギー薬、例えばナトリウムクロモグルケートおよびネドクロミルナトリウム;去痰薬;粘液溶解剤、抗ヒスタミン剤、シクロオキシゲナーゼ抑制剤;リューコトリエン合成抑制剤;リューコトリエンス拮抗剤、PLA2抑制剤、PKC−抑制剤、PAF拮抗剤、アミノフィリン、モンテルカスト、オキシトリフィリン、テオフィリン、セファクロール、セファドロキシル、セフロキシムアクセチル、シプロフロキサシンハヒイドロクロリド、肺炎球菌共役ワクチン、肺炎球菌多糖類ワクチン、プレドニソン、オメプラゾール、イソメプラゾール、シルデナフィル、バルデナフィル、タダラフィルおよび喘息の予防薬;またはそれらの薬学的に許容可能なエステルおよび塩および/または溶媒化合物が含まれる。
【0139】
本発明の粒子は、例えば患者の肺に表面活性剤を送るのに使用できる。このことは特にIRDS(幼児呼吸窮迫症候群)およびARDS(成人呼吸窮迫症候群)の場合を含むが、これらに限定されない、内因性肺表面活性剤を補足または置換しなければならない医療用の指示症状で特に有効である。
【0140】
上記活性化合物はアイソマー、エナンチオマーまたはラセミ化合物の形態で任意に使用でき、酸または塩基の場合、例えばそれらの薬学的に許容可能な塩として使用できる。本発明にかかわる組成物における活性化合物の最適量は、特定の活性化合物に応じて決まる。しかしながら一般的には少なくとも約0.0001、最大約5重量%、特に約0.01〜3重量%の活性化合物を含むエアロゾル組成物が好ましい。しかしながら本例ではこのような粒子は肺内で薬学的に、すなわち治療薬として働き、この場合、組成物は100%の活性化合物である。所定の場合、その他の活性配合財の粒子に5重量%以上を添加し、一方、総量は20%または30%もしくは50重量%にも達し得ると信じる理由がある。
【0141】
添加剤
本発明では、他の成分も含むことができることも理解できよう。本発明ではかかる成分を懸架媒体に直接添加してもよいし、または懸架媒体に会合させてもよいし、懸架媒体内に混入させてもよい。いずれの場合においても、本発明では、添加剤を任意の形態で会合させてもよいし、混入させてもよい。本発明は添加剤を含み、包含し、吸着し、または吸収し、添加剤でコーティングしたり、添加剤で一部を形成することができる。
【0142】
かかるオプションの添加剤は浸透剤、安定剤、キレート剤、着色剤、味覚マスキング剤、バッファ、吸湿剤、酸化防止剤、粘性調節剤、食塩、砂糖またはそれらの混合物またはその他の組み合わせを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0143】
例えばこれら添加剤は寿命を最大にし、投与を容易にするため、本発明を微調節するように添加できる。
【0144】
一般に、バッファ剤または安定剤、例えばクエン酸、EDTA、ビタミンEおよびこのタイプの同様な物質(存在する場合)を、全組成に基づき、約1重量%以下、例えば約0.0001〜1重量%の量だけ使用できる。
【0145】
使用できる添加剤は単糖類、二糖類および多糖類を含む炭水化物を含むことができるが、これらに限定されない。単糖類、例えばデキストロース(無水化物および一水化物)、ガラクトース、マンニトール、D−マンノース、ソルビトール、ソルボースおよび同等物;二糖類、例えばラクトース、マルトース、サックロース、トレハロースおよび同等物;三糖類、例えばラフィノースおよび同等物;ならびにその他の炭水化物、例えばでんぷん(ヒドロキシエチルスターチ)、シクロデキストリン、マルトデキストリンおよびヒアルロン酸が含まれる。アミノ酸も適当な添加剤である。無機の塩(例えば塩化ナトリウム、塩化カルシウムなど)、有機の塩(例えばクエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸マグネシウム、グルコン酸ナトリウム、塩酸トロメタミンなど)とバッファの双方を含むことも考えられる。塩と有機の固体、例えば炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、塩化アンモニウムまたは樟脳を含むことも考えられる。
【0146】
本発明は生物相容性、好ましくは生物分解性ポリマー、コーポリマー、それらの混合物またはその他の組み合わせも含むことができる。
【0147】
X線造影剤
X線造影剤と組み合わせる際に、X線造影組成物として三次元ネットワークを使用できる。かかるX線造影剤は肺の気管支および肺胞構造体を撮像するために、例えば異なるタイプの肺気腫を判断するために使用できる。
【0148】
単なるX線ブロック剤としての外に、気泡およびその他の粒子を造影剤として使用できる。従って、本発明は空気含有量が大きい粒子を有する組成物を提供するのに理想的なものである。
【0149】
リン脂質を含む本ネットワーク形成物質は、肺のX線撮像を容易にするための、かかるX線造影剤に対するキャリアとなり得る。
【0150】
MRIにおける造影剤として使用するのに適した材料の例としては、現在入手可能なガドリンラムキレート、例えばジエチレントリアミンペント酢酸(DTPA)およびガドペントテートジメグルミンのみならず、鉄、マグネシウム、マンガン、銅、クロミウムだけでなくガンマ−カメラテクネシウムペイクメテートを挙げることができるが、これらに限定されない。
【0151】
診断剤としては、ポジトロン放出トモグラフィ(PET)、コンピュータ支援トモグラフィ(CAT)、単一フォトン放出コンピュータ化されたトモグラフィ、X線、蛍光透視法および磁気共鳴撮像(MRI)で使用される市販の撮像剤を挙げることできるが、これら撮像剤のみに限定されない。
【0152】
超音波コントラスト強化剤として、ガスエマルション状のマイクロバブルを使用できる(クライン、トレビーノ外、1996年)。
【0153】
本発明の低密度粒子は主に空気から成るので、超音波コントラスト強化剤として使用するのに適す。適当な構築ブロックおよび製造方法を使用することにより、静脈注射に従う患者の全循環系を何回通過しても残る粒子を製造することが可能となる。これによって、周辺静脈内に少量の無害の投与物を投与し、これを使って全身の画像を強化することができる。
【0154】
本発明に従って製造された脂質粒子の良好な流れ特性および脂肪特性によって、粒子は例えばタブレット状にした場合にステアリン酸マグネシウムのように潤滑剤として適したものとなる。
【0155】
本発明の好ましい実施例は、薬学的用途で使用するための粉末および安定化された分散液を含むが、これら微小構造体および開示された分散液は多数の非薬学的用途にも使用できることが理解できよう。すなわち本発明は、粉末を懸架し、またはエアロゾル化した広範囲の用途を有する微小構造体を提供するものである。特に本発明は低密度粒子が必要とされているとき、および活性または生物学的に活性な成分をできるだけ速く溶解し、懸架し、溶液状にしなければならない場合に特に効果的である。多孔質の微小粒子の表面積を広くすることにより、もしくは本明細書に説明したような適当な賦形剤を混入することにより、分散性および/または懸架の安定性が改善される。これに関連し、急速分散用途は洗剤、皿洗い機の洗剤、食品甘味料、香辛料、調味料、鉱物浮遊洗剤、濃縮剤、葉質肥料、植物ホルモン、昆虫フェロモン、昆虫忌避剤、ペット忌避剤、害虫駆除剤、防かび剤、消毒剤、香水、消臭剤などを含むが、これらだけに限定されるものではない。
【0156】
本発明にはエアロゾル化または噴霧化を必要とする用途で使用するための従来の調整剤よりも利点がある。かかる非薬学的用途では、(推進剤と共に)調整剤を液体懸架剤状とすることができるし、また、乾燥粉末とすることができる。本明細書に説明した本発明を含む好ましい実施例は、インクジェットプリント用組成物、粉末コーティング、スプレーペイント、スプレー殺虫剤、無機顔料、染料、インク、塗料、爆薬、花火、吸着剤、吸収剤、触媒、凝結剤、ポリマー、樹脂、絶縁体、充填剤などを含むが、これらに限定されない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0157】
インパクタ、例えば米国ファーマコポエイア(米国特許)の第601章、または欧州ファーマコポエイア(欧州(Ph.Eur.))の吸入モノグラフに記載されている5段のマルチステージ液体インピンジャー(MSLI)または8段アンダーセンカスケードインパクター(ACI)が本発明の粒子を検査するのに適している。アンダーセンインパクターで、本発明にかかわる粒子を検査した。
【0158】
アンダーセンインパクターは吸入製品を検査するための標準的な機器である。アンダーセンインパクターはエアロゾルの空気力学的サイズを測定する装置である。原理は粒子を含む空気流の速度を数段階で高めることにある。各段階において、空気流を転流させ、これによって大きな空気力学的直径を有する粒子は空気流を伴わず、各段階で存在するディスクに衝突することになる。次に、各ディスクから粒子を収集し、密度、空気力学的サイズおよび幾何学的直径に関して分析をすることができる。
【0159】
リン脂質、水およびオイルの場合、水の量は溶液内に三次元の大きなネットワーク構造を形成するのに重要である。大きな構造を形成するのに必要な水の量はシステムに応じて、すなわちオイルのタイプおよび脂質ならびにその他の成分のタイプに応じて上限と下限を有する。この量は1モルの脂質当たり1〜20モルの水の範囲内となる。
【0160】
特別な形成で使用するための適した水の量は、標準的方法、例えばクライオ−TEMによって測定できる。
【0161】
実施例1
7gのDPPC、ジパルミトイルフォスファチジルコリン、(CAS数:63−89−8)と、3gのDMPC、ジミリストイルフォスファチジルコリン(CAS数:18194−24−6)から成る溶液と、630μlの水(ミリ−Q)および1000mlのN−ヘキサン(CAS 110−54−3)とを混合し、次に撹拌しながら溶液全体を混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(50℃)した。
【0162】
4.9kg/hrの質量流量、50℃の溶液温度を有する商品名MOBILE MINOR(登録商標)(fran GEA Niro社)のスプレー乾燥機内で窒素(N)を乾燥ガスとして使用することにより溶液を乾燥した。入口温度は50℃で、出口温度は36℃であった。
【0163】
得られた生成物は、5μmの空気力学的直径、50μmの幾何学的直径および約0.01g/cmを有する大きな三次元ネットワークを有する多孔質低密度粒子から構成されていた。
【0164】
添付した写真には、アンダーセンインパクター内でステップ4において付着した2つのSEM粒子(図1〜図2)およびステップ6で付着した2つの粒子(図3〜図4)が示されている。従って、検査条件はステップ4において1.4〜2.3μmの空気力学的直径を有する粒子が付着し、ステップ6で空気力学的直径0.5〜0.8μmを有する粒子が付着するようになっていた。写真の粒子は通常これらステップで捕捉される空気力学的直径よりも10倍以上大きい幾何学的直径を有している。これら粒子は、写真から明らかなように完全に球状ではなく、よって粒子がこれらステップで付着したという説明の一部は形状ファクターで説明できるが、大きな粒子がインパクター内でゆっくりと付着したという主な理由は、これら粒子の密度がかなり低いということである。上記のような空気力学的直径(d)と幾何学的直径(d)の間の理論的関係は次の関係によって示される。
【0165】
【数2】

【0166】
アンダーセンの検査条件は次のとおりである。吸引時間4秒;流量60l/分および温度23℃、相対的湿度30%。
【0167】
乾燥した溶液は約1%の乾燥物質を含んでいた。乾燥後の維持容積では、結果として粒子は約0.01g/cmの密度を有していた。このことは、等しい空気力学的直径では、これら粒子は1g/cmの密度を有する粒子よりも約10倍大きいことを意味する。このことから、自由に流れる状態(通常40μmより大)となる吸入可能な粒子(d=0.5〜5μm)を製造することが可能となるという事実に至る。
【0168】
実施例2
この実施例はスケールが小さく、より小さいスプレー乾燥機を使用した点を除けば、基本的には実施例1と同じ製造を示す。
0.3505gのDPPC、ジパルミトイルフォスファチジルコリン、(CAS数:63−89−8)と0.1501gのDMPC、ジミリストイルフォスファチジルコリン(CAS数:18194−24−6)とから成る溶液と、32.5μlの水(ミリ−Q)および50mlのN−ヘキサン(CAS 110−54−3)とを混合し、次に撹拌しながら溶液全体を混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(52℃)した。
入口温度が52℃、出口温度が37℃となるように、400g/hrの質量流量、52℃の溶液温度、および乾燥ガスとして窒素(N)を使用して、GEA Niro社の商品名SDMicro(登録商標)のスプレー乾燥機を使って溶液を乾燥した。
得られた生成物は、5μmの空気力学的直径、50μmの幾何学的直径および約0.01/cmの密度を有する三次元の大きなネットワークを有する多孔質低密度粒子からなっていた。
【0169】
実施例3
2gのDMPC(CAS数:18194−24−6)および1gのDPPC(CAS数:63−89−8)から成る溶液と180μlの水(ミリ−Q)および300mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
入口温度が50℃、出口温度が39℃となるように、1000g/hの質量流量、60℃の溶液温度、および乾燥ガスとして窒素を使用して、GEA Niro社の商品名SDMicro(登録商標)のスプレー乾燥機で溶液を乾燥した。
標準インパクター(5ステップのMLI、マルチステージ液体インピンジャー)で粒子を検査した。検査条件(30l/分)では、ステップ3および4に対するカットオフ値は4.38μmおよび2.40μmであり、最初の2つのステップ(1および2)は粒子のバウンドを防止するために水(20ml)を含んでいた。
添付写真では、ステップ4で付着したSEM粒子が示されている(図5、図6)。これら写真の粒子は、このステップで通常得られる空気力学的直径(2.4μm)よりも約10〜15倍、またはそれ以上大きい幾何学的直径を有する。
【0170】
実施例4
0.9gの、原料が豚である天然表面活性剤抽出液から成る溶液と、550μlの水(ミリ−Q)および90mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。
入口温度が50℃、出口温度が40℃となるように、900g/hの質量流量、60℃の溶液温度、および乾燥ガスとして窒素を使用して、GEA Niro社の商品名SDMicro(登録商標)のスプレー乾燥機で溶液を乾燥した。
標準インパクター(5ステップのMLI、マルチステージ液体インピンジャー)で粒子を検査した。検査条件(30l/分)では、ステップ3および4に対するカットオフ値は4.38μmおよび2.40μmであり、最初の2つのステップ(1および2)は粒子のバウンドを防止するために水(20ml)を含んでいた。
添付写真では、ステップ4で付着したSEM粒子が示されている(図7、図8)。これら写真の粒子はこのステップで通常捕捉される空気力学的直径(2.4μm)よりも10倍またはそれ以上大きい幾何学的直径を有する。
【0171】
実施例5
キャリア粒子としての脂質粒子を検査するために、実施例3からの粉末と乾燥ラテックス粒子を混合した。
ラテックス球体は7μmであり、密度は1.05g/cmであり、デュークサイエンティフィック社からのDC−07であった。サイエンティフィックインダストリーズ社からのボルテックスジェニー2を使用し、ガラスビン内で脂質粉末(0.0114g)とラテックス球体(0.0099g)を混合した。
標準インパクター(5ステップのMLI、マルチステージ液体インピンジャー)で粉末を検査した。検査条件(30l/分)では、ステップ3および4に対するカットオフ値は4.38μmおよび2.40μmであり、最初の2つのステップ(1および2)は粒子のバウンドを防止するために水(20ml)を含んでいた。
添付写真では、ステップ3で付着したSEM粒子が示されている(図9)。
写真の大きな脂質粒子は通常、このステップで捕捉される空気力学的直径よりも10倍またはそれ以上の幾何学的直径を有している。表面に付着したより小さいラテックス粒子は通常、このステップで捕捉される空気力学的直径(4.38μm)の2倍またはそれ以上の幾何学的直径を有する。このことは、これら粒子は非吸入粒子用のヴィークルとして働くことができることを示している。
【0172】
実施例6
1gの自然肺表面活性剤抽出物(Curosurf(登録商標)から成る溶液と200μlの水(ミリ−Q)および100mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
入口温度が50℃、出口温度が39℃となるように、1000g/hの質量流量、60℃の溶液温度、および乾燥ガスとして窒素を使用して、GEA Niro社の商品名SDMicro(登録商標)のスプレー乾燥機で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0173】
実施例7
3gのDPPC(CAS数:63−89−8)と、0.15gのコレステロール(CAS数:57−88−5)から成る溶液と、180μlの水(ミリ−Q)と、300mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0174】
実施例8
1gのスフィンゴミエリン(CAS数:85187−10−6)から成る溶液と、60μlの水(ミリ−Q)と、100mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0175】
実施例9
0.8gのグリセロールジオレアートGDO(CAS数:25637−87−7)と、0.2gのDPPC(CAS数:63−89−8)から成る溶液と、60μlの水(ミリ−Q)と、100mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0176】
実施例10
1gのモノガルクトシルジアシルグリセロール(MGDG)から成る溶液と、60μlの水(ミリ−Q)と、100mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0177】
実施例11
1gのジガラクトシルジアシルグリセロール(DGDG)から成る溶液と、60μlの水(ミリ−Q)と、100mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0178】
実施例12
2gのDMPC(CAS数:18194−24−6)と、1gのDPPC(CAS数:63−89−8)と、0.3gのシクロスポリン(CAS数:79217−60−0)とから成る溶液と、180μlの水(ミリ−Q)と、300mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0179】
実施例13
2gのDMPC(CAS数:18194−24−6)と、1gのDPPC(CAS数:63−89−8)と、0.015gのカルシトニンとから成る溶液と、180μlの水(ミリ−Q)と、300mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0180】
実施例14
2gのDMPC(CAS数:18194−24−6)と、1gのDPPC(CAS数:63−89−8)と、0.015gのフォルモテロール(CAS数:73573−87−2)とから成る溶液と、180μlの水(ミリ−Q)と、300mlのN−ヘキサン(CAS数:110−54−3)とを混合した。この溶液を撹拌しながら混合し、粘性溶液が得られるまで加熱(55℃)した。
スプレー乾燥機内で溶液を乾燥した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を測定した。
【0181】
実施例15
実施例3に従って製造された粉末と、フォルモテロール(CAS数:73573−87−2)の乾燥粒子とを混合した。サイエンティフィックインダストリーズ社からのボルテックスゲニー2を使って試験管内で脂質粉末(0.01g)とフォルモテロール粒子(0.005g)とを混合した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学分析を使って微細粒子の比率(FPF)を決定した。
【0182】
実施例16
実施例3に従って製造された粉末と、ブデソナイド(CAS数:51333−22−3)の乾燥粒子とを混合した。サイエンティフィックインダストリーズ社からのボルテックスジェニー2を使ってガラスビン内で脂質粉末(0.01g)とブデソナイド粒子(0.01g)とを混合した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を決定した。
【0183】
実施例17
実施例3に従って製造された粉末と、シクロスポリン(CAS数:79217−60−0)の乾燥粒子とを混合した。サイエンティフィックインダストリーズ社からのボルテックスジェニー2を使ってガラスビン内で脂質粉末(0.01g)とシクロスポリン(0.005g)とを混合した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を決定した。
【0184】
実施例18
実施例3に従って製造された粉末と、カルシトニンの乾燥粒子とを混合した。サイエンティフィックインダストリーズ社からのボルテックスジェニー2を使ってガラスビン内で脂質粉末(0.01g)とカルシトニン(0.01g)とを混合した。
MLI(マルチステージ液体インピンジャー)および化学的分析により、微細粒子の比率(FPF)を決定した。
【0185】
参考文献
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【図面の簡単な説明】
【0189】
【図1】アンダーセンカスケードインパクター(マークIIアンダーセン1ACFM非生存粒子サイジングサンプラー、グラスビー−アンダーセン、スミルナ、GA)において、ステップ4で捕捉された本発明の粒子の走査式電子顕微鏡の画像である。
【図2】本発明の粒子(約23〜33μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図3】本発明の粒子(約13.5μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図4】本発明の粒子(約31μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図5】本発明の粒子(約37μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図6】本発明の粒子(約38μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図7】本発明の粒子(約24μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図8】本発明の粒子(約28μm)の走査式電子顕微鏡画像である。
【図9】本発明の粒子(約61μmの脂質粒子、約9μmのラテックス粒子)の走査式電子顕微鏡画像である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療のために使用される0.5g/cm未満の密度を有する医薬用の多孔質の粒子であって、該粒子は1つ以上の治療上活性の化合物または物質をオプションとして含み、希釈溶液内で大きい三次元構造体に自己会合する1つ以上のネットワーク形成化合物から成ることを特徴とする医薬用多孔質粒子。
【請求項2】
前記粒子が三次元構造体を形成する1つ以上の脂質を含むことを特徴とする、請求項1記載の医薬用粒子。
【請求項3】
0.001乃至0.5g/cmの密度、および0.1乃至10μmの空気力学的直径(d)を有する前記粒子が、三次元構造体を形成する1つ以上のリン脂質を含むことを特徴とする、請求項2記載の医薬用粒子。
【請求項4】
前記リン脂質が体内成分のリン脂質であることを特徴とする、請求項3記載の医薬用粒子。
【請求項5】
三次元構造体を形成する前記粒子が、自由に流れることを特徴とする、請求項1乃至4のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項6】
前記幾何学的直径(d)が少なくとも3μmであることを特徴とする、請求項3記載の医薬用粒子。
【請求項7】
前記幾何学的直径が10乃至30μmであることを特徴とする、請求項3記載の医薬用粒子。
【請求項8】
前記幾何学的直径が30μmより大であることを特徴とする、請求項3記載の医薬用粒子。
【請求項9】
前記空気力学的直径(d)が0.5乃至5μmであることを特徴とする、請求項3記載の医薬用粒子。
【請求項10】
前記空気力学的直径(d)が1乃至5μmであることを特徴とする、請求項9記載の医薬用粒子。
【請求項11】
前記粒子が前記三次元構造体に分子状に結合した1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含むことを特徴とする、請求項1乃至10のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項12】
前記粒子が前記三次元構造体に付着した1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含むことを特徴とする、請求項1乃至10のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項13】
前記粒子が診断薬、予防上活性な医薬、治療上活性な医薬および免疫剤の群の1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含むことを特徴とする、請求項1乃至12のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項14】
前記医薬が抗アレルギー剤、鎮痛剤、気管支拡張剤、抗ヒスタミン剤、抗ウィルス剤、抗生物質、抗炎症剤、免疫賦活剤、抗糖尿病薬、ペプチドおよびステロイドから成る群から選択されたものであることを特徴とする、請求項13記載の医薬用粒子。
【請求項15】
前記粒子がアドレナリン、アルブテロール、アトロピン、ベクロメタゾンジプロピオネート、ブデソナイド、ブチキソコートプロピオネート、クレマスチン、クロモリン、エピネフリン、エフェドリン、フェンタニル、フルニソリド、フルチカゾン、フォルモテロール、臭化イプラトロピウム、イソプロテレノール、リドカイン、モルフィン、ネドクロミル、ペンタミジンイソエチオネート、ピルブテロール、プレドニゾロン、サルメテロール、テルブタリン、テトラサイクリン、4−アミノ−.アルファ.,.アルファ.,2−トリメチル−1H−イミダゾ[4,5−c]キノリン−1−エタノール、2,5−ジエチル−10−オキソ−1,2,4−トリアゾロ[1,5−c]ピリミド[5,4−b][1,4]チアジン、1−(1−エチルプロピル)−1−ヒドロキシ−3−フェニルユレア、インシュリンおよびそれらの薬学上許容できる塩および溶媒化合物、およびそれらの混合物から成る群から選択された1つ以上の治療上活性な化合物または物質を含むことを特徴とする、請求項14記載の医薬用粒子。
【請求項16】
前記粒子が吸入用のものであることを特徴とする、請求項1乃至15のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項17】
前記粒子が局所用のものであることを特徴とする、請求項1乃至16のうちのいずれかに記載の医薬用粒子。
【請求項18】
希釈溶液において、大きな三次元構造体に自己会合する1つ以上のネットワーク形成化合物の溶液を、乾燥状態になるまで蒸発させるよう、少なくとも0.5μmの空気力学的直径(d)を有する、請求項1乃至17のうちのいずれかに記載の、0.5g/cm未満の密度を有する吸入可能な粒子を製造する方法。
【請求項19】
乾燥状態となるまで蒸発する前に、前記溶液が10%までの乾燥物質、好ましくは1%までの乾燥物質を含むことを特徴とする、請求項18記載の吸入可能な粒子を製造する方法。
【請求項20】
1モルの構造体形成材料当たり1〜30モルの水が存在することを特徴とする、請求項18または19記載の方法。
【請求項21】
前記水の量が、反転構造を形成するよう、1モルの三次元構造体形成材料当たり1〜20モルであることを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記水の量が1モルの三次元構造形成材料当たり1〜10モルであることを特徴とする、請求項21記載の方法。
【請求項23】
水性相が連続している直線状構造体を形成するように、水が三次元構造体形成材料よりも過剰に存在することを特徴とする、請求項19記載の方法。
【請求項24】
前記粒子が0.5〜5μmの空気力学的直径(d)を有し、かなりの量の他の粒子からなる吸入可能な集合体を形成できる、好ましくは規則的な混合物内に存在するキャリア粒子として使用するのに適していることを特徴とする、請求項16記載の医薬用粒子。
【請求項25】
前記その他の粒子が0.5g/cmまたはそれより大きい密度を有する医薬粒子、すなわち高密度の医薬粒子であることを特徴とする、請求項24記載の医薬用粒子。
【請求項26】
請求項1乃至17、24または25のいずれかに記載の医薬用粒子を投与することを含むことを特徴とする、人体または動物の体を治療するための方法。
【請求項27】
前記粒子を吸入によって投与することを特徴とする、請求項26記載の方法。
【請求項28】
治療に使用するための、請求項1乃至17、24または25のいずれかに記載の粒子。
【請求項29】
治療に使用するための医薬の製造における、請求項1乃至17、24または25のいずれかに記載の粒子の使用法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−511617(P2006−511617A)
【公表日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−508295(P2005−508295)
【出願日】平成15年12月15日(2003.12.15)
【国際出願番号】PCT/SE2003/001952
【国際公開番号】WO2004/054556
【国際公開日】平成16年7月1日(2004.7.1)
【出願人】(505219668)
【Fターム(参考)】