説明

製袋機

【課題】シート状部材を二つ折りにする半折装置において、安定的にシート状部材を二つ折りできるようにする。
【解決手段】シート状部材10を長さ方向に沿って折り目10aを形成した上で二つ折りする半折装置において、シート状部材10をシート流れ下流側に送出するシート送出手段30、31と、シート状部材10に当接し、シート状部材10がシート流れ下流側に送出される際にシート状部材10に折り目10aを形成するための角部20aを有する折り目形成部材20とを設け、さらに角部20aには、外周部がシート状部材10に当接するように円盤状のローラ21を回転可能に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺物であるシート状部材を連続的に二つ折りにする半折装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一辺が開口した袋を製造する製袋機では、シート状部材(原反シート)において袋の底となる部分に折り曲げ部を形成して二つ折りした後、袋の両端となる部位を接合して袋状とし、シート状部材から切断するように構成されている。
【0003】
このとき、シート状部材を二つ折りにする工程では、シート状部材をシート流れ方向下流側に送出する際に、シート状部材の幅方向中央付近を三角板の角部に当接させることで、シート状部材の長さ方向に沿って折り目を形成することが一般的に行われている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−213011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、三角板の角部を利用して、シート状部材に折り目を形成する構成の場合には、シート状部材が三角板の角部に引っ掛かることがある。このような場合、シート状部材が損傷することがある。このため、シート状部材が三角板に引っ掛かることなくスムーズに流れるようにするために、製造現場で三角板の配置角度などの条件を微調整する必要があった。
【0006】
特に、多数の気泡部が形成された合成樹脂製気泡シートを三角板を用いて二つ折りにする場合には、気泡部の大きさによって三角板との間の滑り抵抗が変化する。また、気泡部が露出する二層構造の気泡シートの場合には、気泡部を内側にして二つ折りにする場合と外側にして二つ折りにする場合とで滑り抵抗が変化する。さらに、特に発泡貼り合わせ品などの貼付の有無によっても滑り抵抗が変化する。このため、三角板の微調整に熟練を要するという問題があった。
【0007】
本発明は上記点に鑑み、シート状部材を二つ折りにする半折装置において、安定的にシート状部材を二つ折りできるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明では、シート状部材(10)を長さ方向に沿って折り目(10a)を形成した上で二つ折りする半折装置であって、前記シート状部材(10)をシート流れ下流側に送出するシート送出手段(30、31)と、前記シート状部材(10)に当接し、前記シート状部材(10)がシート流れ下流側に送出される際に前記シート状部材(10)に折り目(10a)を形成するための角部(20a)を有する折り目形成部材(20)とを備え、前記角部(20a)には、外周部が前記シート状部材(10)に当接するように円盤状のローラ(21)が回転可能に設けられていることを特徴としている。
【0009】
このように、折り目形成部材(20)の角部(20a)にローラ(21)を設けることで、シート状部材(10)に折り目を形成する際に、シート状部材(10)が折り目形成部材(20)の角部(20a)に引っ掛かることを抑制できる。この結果、製造現場にて折り目形成部材(20)の微調整を行うことなく、安定的にシート状部材(10)を二つ折りすることができる。
【0010】
また、請求項2に記載の発明では、前記ローラ(21)に摩擦力を付与して前記ローラ(21)の回転を制限する回転制限手段(23)を備えることを特徴としている。
【0011】
これにより、シート状部材(10)の材質などによっては折り目形成部材(20)の角部(20a)とシート状部材(10)との滑り抵抗を増加させた方が安定的にシート状部材(10)に折り目を形成できる場合には、安定的にシート状部材(10)を二つ折りすることができる。
【0012】
また、請求項3に記載の発明では、前記シート(10)は、少なくとも凹凸状シート(11)と平坦状シート(12)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている気泡シートであることを特徴としている。
【0013】
このように、シート状部材(10)として気泡シートを用いた場合には、気泡部(13)の大きさ、気泡部(13)が露出する面が折り目形成部材(20)の角部(20a)に接触する否か、アルミ蒸着フィルムなどの貼付の有無といった諸条件に関わりなく、安定的にシート状部材(10)を二つ折りすることができる。
【0014】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態の製袋機の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態の気泡シートの斜視図である。
【図3】三角板におけるシート状部材に当接する角部を示す図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【図4】三角板によりシート状部材が二つ折りにされる状態を示す平面図である。
【図5】三角板の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の半折装置を製袋機に適用した第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。
【0017】
図1は、本第1実施形態の製袋機の主要な構成要素を示す斜視図である。図1に示すように、製袋機は合成樹脂シート(原反シート)10から袋体15を製造するものであり、三角板20と一対の送りロール30、31とヒートシールバー40、シール受け台41とを備えている。本実施形態の製袋機で製造される袋体15は、折り曲げられた底辺部15aの両端に位置する側辺部15b、15cが融着してシールされており、底辺部15aに対向する辺が開口部15dとなっている。
【0018】
製袋機には、シート状部材10がロール状に巻かれた原反供給部14からシート状部材10が供給される。三角板20は、略正三角形の板状部材であり、1つの角部20a(図1における奥側に位置する角部)が原反供給部14から供給されたシート状部材10に当接し、シート状部材10の幅方向における中央付近に折り目10aを形成するようになっている。三角板20については、後で詳細に説明する。
【0019】
図2に示すように、本実施形態のシート状部材10は、多数の凹凸状突起部が形成された凹凸状シート(キャップフィルム)11と、平坦状の平坦状シート(バックフィルム)12とから構成される2層構造の合成樹脂製気泡シートとなっている。凹凸状シート11には、多数の円柱状突起部がエンボス加工されており、凹凸状シート11の突起部開口側に平坦状シート12が接合されている。これにより、凹凸状シート11と平坦状シート12との間には、空気が密閉された気泡部(密閉突起部)13が形成される。本実施形態では、シート状部材10を構成する合成樹脂として、ポリエチレンやポリプロピレンといったポリオレフィン系樹脂を用いている。
【0020】
図1に戻り、送りロール30、31は、原反供給部14からシート状部材10を引き出すとともに、下流側のヒートシールバー40とシール受け台41にシート状部材10を供給するものである。送りロール30、31は、三角板20の下流側に設けられており、平行に配置された円柱状の一対のロールから構成されている。なお送りロール30、31が本発明のシート送出手段に相当している。
【0021】
本実施形態の送りロール30、31は、金属あるいは樹脂からなる芯材の表面に摩擦係数が高い材料(例えばゴム)からなるシートが表面に貼り付けられたニップロールとして構成されている。一対の送りロール30、31は、二つ折りされたシート状部材10を挟み込んだ状態で互いに反対方向に同期回転するように構成されている。
【0022】
ヒートシールバー40とシール受け台41は、二つ折りされたシート状部材10を溶融して切断するとともに切断部を熱融着してシールするものである。ヒートシールバー40とシール受け台41は、送りロール30、31の下流側に設けられており、シート状部材10を挟んで対向する位置に配置されている。
【0023】
ヒートシールバー40はシート状部材10のシート面に垂直な方向に移動可能となっている。ヒートシールバー40がシート状部材10のシート面から遠ざかる方向に移動した状態では、シール受け台41との間で二つ折りされたシート状部材10が充分通過可能な間隔を形成するとともに、ヒートシールバー40がシート状部材10のシート面側に移動した状態では、シール受け台41との間で二つ折りされたシート状部材10を挟み込む。
【0024】
ヒートシールバー40におけるシート状部材10に対向する部位には、通電により発熱する線状の通電発熱体が長手方向に沿って設けられている。通電発熱体は、シート状部材10を加熱してシール(熱融着)を行ってさらにシート状部材10を切断するためのものであり、シート状部材10の融点以上の温度まで昇温することができる。本実施形態では、通電発熱体としてニクロム線を用いており、シート状部材10をシールする際にニクロム線に瞬間的に通電して昇温させるインパルスシールを採用している。
【0025】
次に、三角板20について図3、図4に基づいて説明する。図3は、三角板20におけるシート状部材10に当接する角部20aを示しており、(a)は正面図、(b)は側面図である。図3に示すように、三角板20におけるシート状部材10に当接する角部20aには、三角板20とシート状部材10との滑り抵抗を小さくするためのローラ21が設けられている。なお、三角板20が本発明の折り目形成部材に相当している。
【0026】
ローラ21は円盤状に構成されており、板面が三角板20の板面と直交するように配置されている。このため、ローラ21の外周部が三角板20上を移動するシート状部材10に対向している。三角板20におけるシート状部材10に当接する角部20aには、ローラ21を配置するための切り欠きが形成されている。ローラ21が切り欠きに収容された状態で、ローラ21の回転軸22が三角板20の一方の面に固定されている。本実施形態では、三角板20におけるシート状部材10が接触する面と反対側の面(図3(b)の下側の面)にローラ21の回転軸22が固定されている。
【0027】
三角板20におけるシート状部材10が接触する面において、ローラ21の外周部が三角板20から若干突出している。また、三角板20におけるシート状部材10に当接する角部20aの先端では、ローラ21の外周部が三角板20から突出している。ローラ21の外周部が三角板20から突出し過ぎるとローラ21によりシート状部材10が損傷するおそれがあり、ローラ21の外周部が三角板20から引っ込み過ぎると三角板20の角部20aでシート状部材10が損傷するおそれがある。本実施形態では、ローラ21の外周部を三角板20におけるシート状部材10に当接する角部20aの先端から10mm程度突出させている。
【0028】
図4は、三角板20によりシート状部材10が二つ折りにされる状態を示す平面図である。図4では図示を省略しているが、図4における左方に原反供給部14が配置され、図4における下方に送りロール30、31が配置されている。図4に示すように、三角板20はシート流れ方向(シート引取方向)Aに対して板面が傾斜して配置されている。本実施形態では、シート流れ方向(シート引取方向)Aに対する三角板20の傾斜角度θを150°程度としている。
【0029】
ここで、本実施形態の製袋機の作動を説明する。まず、送り出し工程を行う。一対の送りロール30、31を作動させ、シート状部材10を所定長さだけ下流側に送り出す。このとき、シート状部材10の最下流側の端部10bは、前回のシール工程でヒートシールバー40によってシールされている。送りロール30、31によるシート状部材10の送り出し量は、製造される袋体15の底辺部15aおよび開口部15dの長さとなっている。送りロール30、31でシート状部材10が送り出される際には、ヒートシールバー40は上方に移動している。
【0030】
送りロール30、31により原反供給部14から引き出されたシート状部材10は、三角板20で進行方向を変え、シート流れ方向Aに沿って、送りロール30、31に向かって流れる。本実施形態では、気泡部13が一面側に露出した2層構造のシート状部材10を用いているが、三角板20に接する側に気泡部13が位置していてもよく、あるいは三角板20に接する側の反対側に気泡部13が位置していてもよい。
【0031】
そして、三角板20におけるシート状部材10が当接する角部20aにより、シート状部材10のシート幅方向中央付近に折り目が形成される。このとき、三角板20におけるシート状部材10が当接する角部20aには、ローラ21が設けられているので、シート状部材10は三角板20の角部20aに引っ掛かることなく、スムーズに流れることができる。三角板20により長さ方向に沿って折り目が形成されたシート状部材10は、二つ折りにされた状態で一対の送りロール30、31の間に供給される。
【0032】
次に、シール工程を行う。ヒートシールバー40を下方に移動させ、シール受け台41を受け台としてシート状部材10を押さえつける。このとき、シール部43の通電発熱体に通電し、通電発熱体をシート状部材10の融点以上に昇温させる。そして、シール部43の通電発熱体がシート状部材10に接触することで、二つ折りされたシート状部材10が融着し、シールと切断が同時に行われる。これにより、シート状部材10は、ヒートシールバー40およびシール受け台41の下流側と上流側に切断され、切断された端部10b、15cが融着されシールされる。
【0033】
次に、排出工程を行う。ヒートシールバー40が上方に移動し、シール部43の通電発熱体がシート状部材10から離れる。ヒートシールバー40およびシール受け台41より下流側のシート状部材10は、袋体15としてシート状部材10から分離され排出される。以上の工程で製造された袋体15は、側辺部15b、15cがシールされた状態となっている。そして、シート状部材10の最下流側の端部10bもシールされており、次回のシール工程を経て袋体15の下流側の側辺部15bとなる。
【0034】
以上説明した本実施形態の構成によれば、三角板20の角部20aにローラ21を設けたことで、三角板20の角部20aでシート状部材10に折り目10aを形成する際に、シート状部材10が三角板20の角部20aに引っ掛かることを抑制できる。この結果、製造現場にて三角板20を微調整することなく、安定的にシート状部材10を二つ折りすることができる。特に、本実施形態のように、シート状部材10として気泡シートを用いた場合には、気泡部13の大きさ、気泡部13が露出する面が三角板20の角部20aに接触するか否か(気泡部13が二つ折りにされた内側または外側に位置するか否か)、アルミ蒸着フィルムなどの貼付の有無といった諸条件に関わりなく、安定的にシート状部材10を二つ折りすることができる。
【0035】
(他の実施形態)
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0036】
例えば図5に示すように、三角板20にローラ21の回転を抑制する回転抑制部材23を設けてもよい。図5に示す例では、回転抑制部材23が三角板20の板面に設けられ、回転抑制部材23の先端がローラ21の外周部に接触して摩擦力を付与するように構成されている。シート状部材10の材質などによっては三角板20の角部20aとシート状部材10との滑り抵抗を増加させた方が安定的にシート状部材10に折り目を形成できる場合があり、このような場合には回転抑制部材23を設けることが有効である。
【0037】
また、上記実施形態では、シート状部材10として凹凸状シート11と平坦状シート12とからなる2層品の気泡シートを用いたが、これに限らず、凹凸状シートの両側に2枚の平坦状シートを接合した3層品の気泡シートを用いることもできる。
【0038】
また、上記実施形態では、原反シート10として気泡部13を有する気泡シートを用いたが、これに限らず、本発明は気泡部13を有しないシート状部材にも適用可能である。
【0039】
また、上記実施形態では、本発明の半折装置を製袋機に適用したが、これに限らず、シート状部材10を単に二つ折りにする装置に適用してもよい。例えば、近年大型ビニルハウスなどで3m幅以上の大型のシート状部材が用いられてきているが、大型のシート状部材を道路で輸送するためには半折する必要がある。このような大型のシート状部材を半折する用途にも本発明の半折装置は好適に用いることができる。
【0040】
また、上記実施形態では、折り目形成部材としての三角板20を三角形の板状部材として構成したが、折り目形成部材はシート状部材10に折り目を形成するための角部20aが設けられていればよく、例えば板状部材ではなく枠のみから構成される部材でもよく、三角形以外の形状でもよい。
【符号の説明】
【0041】
10…原反シート、20…三角板、21…ローラ、30、31…送りロール、40…シールバー、41…シール受け台。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状部材(10)を長さ方向に沿って折り目(10a)を形成した上で二つ折りする半折装置であって、
前記シート状部材(10)をシート流れ下流側に送出するシート送出手段(30、31)と、
前記シート状部材(10)に当接し、前記シート状部材(10)がシート流れ下流側に送出される際に前記シート状部材(10)に折り目(10a)を形成するための角部(20a)を有する折り目形成部材(20)とを備え、
前記角部(20a)には、外周部が前記シート状部材(10)に当接するように円盤状のローラ(21)が回転可能に設けられていることを特徴とする半折装置。
【請求項2】
前記ローラ(21)に摩擦力を付与して前記ローラ(21)の回転を制限する回転制限手段(23)を備えることを特徴とする請求項1に記載の半折装置。
【請求項3】
前記シート(10)は、少なくとも凹凸状シート(11)と平坦状シート(12)とが接合され、気体が密閉された多数の気泡部(13)が形成されている気泡シートであることを特徴とする請求項1または2に記載の半折装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−158879(P2010−158879A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4144(P2009−4144)
【出願日】平成21年1月12日(2009.1.12)
【出願人】(000199979)川上産業株式会社 (203)
【Fターム(参考)】