説明

複合エラストマーヤーン

【課題】軽さと強度の組み合わせ、快適性及びスタイルが要求される、家具/シートファブリックへの使用に適した複合エラストマーヤーンを提供する。
【解決手段】ポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのコア2と、該コアの回りに配置されたポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのシース3であって、該シースの融点温度が前記コアの融点温度より少なくとも10℃低いシースと、該シース中に固着されかつその回りに配置された繊維4とを含む複合エラストマーヤーン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
複合エラストマーヤーン発明の技術分野 本発明は、家具/シートファブリックへの使用に適したある種の複合エラストマーヤーン、その複合エラストマーヤーンの製造方法及びその複合エラストマーヤーンを含むファブリックを取り入れている物品に関する。本発明の複合エラストマーヤーンは、屋内及び屋外家具のシート用ファブリックであって、自動車、オートバイ、トラック、バス、電車等のような種々の陸上輸送、並びに種々の航空機及び船舶に取り付けられるシート(底及び背の双方)への使用に特に好適であり、これは、軽さと強度の組み合わせ、快適性及びスタイルが要求される。
【背景技術】
【0002】
従来、エラストマーの特性を有するファブリックを製造するために使用されるエラストマーヤーンは、典型的にゴム及びエラストマーのポリウレタン、例えばスパンデックスであり、これは高い摩擦係数を有するものである。その結果、エラストマーヤーンは、典型的テクスタイルヤーン及びファブリック製造工程において取り扱いが難しく、かつ人体と直接接触すると不快である。従って、ゴム又はポリウレタンをヤーン又はファブリック構造で覆うか、被覆するか又はある他の方法で隠して、所望の審美性、デザイン、快適性、消耗及び耐久特性を、大部分の衣料、家庭の備品、医療、自動車、航空機及び船舶の用途、並びに他の産業的ファブリックの用途に使用される場合に提供することが必要である。
【0003】
自動車、航空機及び船舶の用途において、エラストマーヤーンは、乗物シートを覆うために使用されるファブリックに取り入れられている。種々の形態の陸上、航空及び海上輸送に見られる乗物シートは、しばしば嵩高いポリウレタン充填材料又は成形フォームクッション材の組み合わせを変化させて構成され、その後、ワイヤーフレームに取り付け、又は金属皿に押しつけ、かつファブリックで覆われる。ファブリックは、典型的にある大きさに切断し、縫われることによってシートに含まれる材料を含みかつ保護し、及び乗物のインテリアデザイン計画に好適な、快適で耐久的かつ魅力的な仕上がりを提供する。選ばれる材料の組合せにより、ばね又はゴムひもをしばしばシートに使用して、乗物シート組立体に大きな静的及び動的サポート特性、並びに乗客の快適さを提供する。しかしながら、この種のシート組立体において、フォームクッション材、充填材料及びばね又はゴムひもを広範に使用すると完成品の重量をかなり増加するので、低燃費がしばしば目的である乗物の用途には望ましくない。更に、これらの別々の部品の組合せを変えて使用すると、高い材料費のシート組立体になる。これは、複雑な組立手順、及び大きな人件費のためである。
【0004】
薄い断面(thin profile)のシートも開発されたが、このシートは、多くの家具ファブリックに要求される審美的品質を与えない。この種の薄い断面シートの例は、Stumpfら、国際出願番号PCT/US93/05731に見られ、この出願はここで参考として取り入れられる。ここでは事務イスが、開示される。
従って、本発明の目的は、エラストマーの特徴を有する複合ヤーンを提供することにある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の他の目的は、ファブリックに使用するのに好適な複合エラストマーのヤーンであって、支持性及び快適性を与える一方で、フォーム材料、ばね又はゴムひもの必要性を有意に減少をさせるものを提供することにある。
本発明の更に別の目的は、複合エラストマーのヤーンであって、多種多様な表面テクスチャー及び繊維密度を適応し得るものを提供することにある。
更に、本発明の別の目的は、複合エラストマーヤーンの成形方法であって、支持性及び快適性のあるファブリックで、多種多様な表面テクスタイル及び繊維密度を適応し得るものを使用するのに好適な複合エラストマーヤーンの成型方法を提供することにある。
本発明の、更に別の目的は、乗物シートファブリックに使用するのに好適な複合エラストマーヤーンの成型方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複合エラストマーヤーン、その製造方法、及びこの種のヤーンが使用される物品に関する。本発明のヤーンは、重合体のコア、コアの回りに配置された熱可塑性重合体のシース、及び、シース中に配置されかつその回りに機械的に固着された繊維を含む。本発明のある態様の重要な特徴は、重合体のコアが、熱可塑性重合体のコアであり、かつシースを含む材料の融点温度がコアを含む材料の融点温度より少なくとも約10℃、好ましくは約50℃〜約75℃低いことを要求する。
【0007】
本発明の方法の特徴は、以下の工程を含む:複合エラストマーヤーンであって、熱可塑性重合体のコア及びコアの回りに配置された熱可塑性重合体のシースを含み、シースの融点温度が、コアの融点温度より少なくとも約10℃低いシースを与える工程、複合エラストマーヤーンを、シースのおよそ融点温度以上であるがコアの融点温度未満に加熱する工程、繊維を緊密な機械的接触によってシースの回りに配置する工程、及び複合エラストマーヤーンを冷却して前記繊維を前記シースに機械的に固着する工程。ある好適な態様において、方法は更に複合エラストマーのヤーンを弛緩した状態の約10%〜約500%に伸長することを、前記繊維を配置する工程の前に含む。この好ましい方法は、得られる複合ヤーンの繊維密度及び/又は嵩高さを変化させる製造者の能力を向上する。
【0008】
本発明の物品は、家具ファブリックに関し、特に、シート及び椅子の背に使用される複合エラストマーヤーンを含むシートファブリック、オフィス及び/又は住宅環境において使用され、又は種々の形態の陸上運送、例えば自動車、オートバイ、トラック、バス、電車等、並びに種々の航空機及び船舶に取り付けられるベンチ及びソファーに関する。乗物シート組立体において複合エラストマーヤーンを含むファブリック使用することによって、強さ、快適性及び弾性を有するファブリックは、優れた審美的品質と組み合わせて達成されてもよい。ある好適な態様において、薄い断面の乗物シート組立体は、複合エラストマーヤーンを含むファブリックで構成され得、これは、嵩高いフォームクッション、充填材料、ばね又はゴムひもを必要としない一方で、支持性、快適性及び外観の望ましい組合せを維持する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
好ましい態様の詳細な説明ヤーン
ここで開示されるように、本発明の好ましい複合ヤーンは、低伸長/高弾性率の態様及び高伸長/低弾性率の態様の双方の性質を改善した。特に、本発明の複合ヤーンは、審美的魅力のある外部表面に、伸長された及び弛緩された形態、表面繊維とエラストマーのコアとの改善された粘着、及び改善された摩滅抵抗を提供する。更に、本発明の好ましい複合ヤーンは、電気伝導性ヤーンを内部に固定しかつ隠すと同時に、可燃性のエラストマーを不可燃物又は耐火性繊維で覆うことによって、燃えない又は火炎伝播が広がらない弾性ヤーンを製造することができる。
【0010】
審美的な視野から、本発明の複合ヤーンは、所望の用途に応じた変化する程度の嵩高さ及び変化する基準で製造でき、及び表面繊維がヤーンコアに機械的に固着されているので、ヤーン又はファブリック形態に繊維損失を最小にしてブラシをかけることができる。自動車、航空機及び船舶用の乗物シート用のファブリックに使用される場合、本発明のヤーンの性質の組合せは、フォームクッション材、充填材料、ばね及びゴムひもの組合せによって既に達成された、必要な支持性、快適性及び外観を提供する。
【0011】
本発明の複合ヤーンは、好ましくは熱可塑性重合体のコア、該コアの回りに配置された熱可塑性重合体のシース、及びシースの回りに配置されかつ機械的に固着された繊維を含む。図1に、一般な本発明1の好ましい複合ヤーンの一部分を示す。更に図1に示すように、ヤーンは、コア2、シース3及びシースの回りに配置され及び機械的に固着された繊維4からなる。固着された繊維は、短く、個々の繊維のストランドとして図に例示されているが、一定の態様において、「繊維」は、シースの回りに配置されたヤーンの一部をなしても又は組み込まれていてもよいことも認識されるべきである。一定の態様において、内部のヤーンのコア成分は、熱可塑性重合体のモノフィラメントを含む一方で、他の態様においては、図2に示すように、コアは、複数の熱可塑性重合体のフィラメント5を含み、それは、公知技術の数多くの代替形態(即ち、束ねたもの、捻られたもの、編まれたもの)で構成されてもよい。
【0012】
本発明の内部のヤーンは、好ましくは、コア成分及びシース成分を含む。上述の通り、一定の態様において、コア成分はモノフィラメントを含む一方で、他の態様におけるコア成分は、複数のフィラメントを含む。コアを含む重合体の材料は、モノフィラメント又は多重フィラメントのいずれの態様においても、好ましくは、比較的高い融点温度を示すポリマーを含む。コアを含む材料の融点温度は、約185℃〜約240℃、好ましくは約200℃〜約230℃であることが好ましい。これと比較して、内部のヤーンのシース成分を含む重合体の材料は、好ましくはコア材料の融点温度より少なくとも10℃低い融点温度を示すポリマーを含む。シースを含む材料の融点温度が、約100℃〜約200℃、及び好ましくは約160℃〜約190℃であることが好ましい。
【0013】
コア材料とシース材料との相対的な融点が少なくとも約10℃異なるとすれば、コア及びシースを含む材料は、熱可塑性性質を示す多種多様な容易に利用できるポリマーから選ばれ得る。しかしながら、コアとシースとを含む材料間の融点温度の差が約50℃〜約75℃であることが、次の製造工程において、より柔軟性にするためには好ましい。異なる融点を有する材料を使用することによって、内部のヤーンのシース成分は、少なくともシース材料の軟化及び/又は粘着しやすくするようになる温度までであって、内部のヤーンのコア成分が実質的に固体及び志向の形態のままである間、加熱されてもよい。
【0014】
高弾性率/低伸長のヤーンについて、本発明の内部のヤーンのコア成分の硬さは、ショーア D(Shore D)硬度スケールで測定して、好ましくは約38〜約82、好ましくは約45〜約72、更により好ましくは約55〜約63である。多数のポリマーが本発明のコア成分として使用されてもよいと考えられるが、エラストマーの性質を示す熱可塑性ポリマーが好ましく、エラストマーのポリエステルが特に好ましい。使用される「ポリエステル」の語が、ポリエステル成分を含むポリマーを含む意味であり、例えばポリエステル及び他のポリマー成分のコポリマーであって、グラフト及びブロックコポリマーを含むことは、当業者であれば理解できるだろう。一定の好ましい態様において、コア成分は、ポリエステルブロックポリマーを含み、これはHYTREL(登録商標)で、E.I.de Nemours & Co.Inc.より販売されており、好ましくはHYTREL(登録商標)グレード5556又は6356である。好ましい態様によれば、コア成分は、本質的にポリエステルからなり、好ましくは、ポリエーテルエステル及びポリエステルエステルからなる群より選ばれるポリエステルからなり、例えば、HYTREL(登録商標)、及びARNITEL(登録商標)であって、D.S.M.ポリマーより販売されている。
【0015】
好ましい態様によれば、内部のヤーンは、好ましくは、ショーア D硬度で約55〜約63の硬度を有し、コポリエステルエラストマーを含むコア、及び柔らかく、より低融点で、ショーア D硬度スケールで約35〜約45の硬度を有するエラストマーのシースを含む。
破壊点でのコアの伸長率は、好ましくは弛緩状態の約50%〜約150%であり、好ましくは、弛緩状態の約80%〜約130%、及びより好ましくは、弛緩状態の約100%〜約110%である。本発明の内部のヤーンのコア成分のデニール範囲は、好ましくは約500〜約2500、及び好ましくは、約800〜約2000である。
【0016】
本発明の内部のヤーンのシース成分を含む材料は、コア成分を含む材料と適合性があってコア成分と適切な結合及び固着を確立することが好ましい。本発明の内部のヤーンのシース成分の硬度は、ショーア D硬度スケールで測定して、好ましくは約30〜約40である。
一定の好ましい態様において、添加剤を内部のヤーンの生成に使用される重合体材料に含めて、特定の最終用途の要求に応じた種々の性質を向上し得る。この種の添加剤は、加水分解安定剤、紫外光安定剤、熱安定剤、色彩添加剤及び固定剤、難燃剤及び静電気の散逸のための電気伝導性材料を含むが、これに限定されるものではない。
【0017】
シースの表面の回りに図1に示すように配置されている繊維4は、一般に従来の非弾性体を含み、これは、しばしば衣料、家庭の備品、自動車、航空機及び船舶への用途、並びに他の産業及び医療用途に使用される。本発明に利用されてもよい繊維4は、最終製品に要求される特定の特徴によって、広く変化し得ることは、当業者であれば理解されるだろう。更に上記したように、繊維は、単一かつ個々の繊維、例えばチョップトストランドであってもよく、又は、紡がれ、捻られ又はそうでなければ結んでヤーンを形成する繊維であってもよい。本発明の繊維は、好ましくは、綿、カーボン、ウール、人工セルロース誘導体(酢酸セルロース及び再生セルロースを含む)、ポリアミド、ポリエステル、フルオロカーボンポリマー、ポリベンズイミダゾール、ポリオレフィン(ポリエチレン及びポリプロピレンを含むこと)、ポリスルフィド、ポリアクリロニトリル、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(例えばNOMEX(登録商標))、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン及び他の弛緩性テクスタイル材料/及び非弛緩性繊維(例えばアラミド(E.I.de Nemours & Co.Inc.により製作されるKELVAR(登録商標)及びNOMEX(登録商標))、ファイバーグラス、金属的及び超高強度ポリスチレン及び高粘着性ポリエステル)ナイロン及びポリ(ビニルアルコール)からなる群より選ばれる。
【0018】
これらの繊維は、さらに型、すなわち、スフ(リング、摩擦及びラップ)、シュニール及びフィラメント(フラット、仮捻り、エアージェット、スタッファボックス等)によって、特徴づけられ得る。ここで使用される繊維には、自由形状の繊維及びすでにヤーンを含む繊維の双方が含まれ得ると思われる。
【0019】
外側のヤーンは、好ましくは内部のヤーンの表面の回りに後述の種々の方法により配置されており、外側のヤーンの繊維は、内部のヤーンに固着される。そのように配置されて、内部のヤーン及び外側のヤーンが、一緒に機械的に結合されると、得られた複合エラストマーヤーンは、耐久性及び摩耗抵抗を示し、かつ使用される繊維及び使用される特定の適用方法に応じて、広範なテクスチャー及び繊維密度が与えられる。
【0020】
方法
本発明の方法は、複合エラストマーヤーンの形成に関する。この方法は、好ましくは次の工程を含む:熱可塑性重合体のコア及びコアの回りに配置された熱可塑性重合体のシースを含む複合エラストマーヤーンであって、シースの融点温度が、コアの融点温度より少なくとも約10℃低いシースを与える工程、複合エラストマーヤーンを、シースのおよそ融点温度より上であるが、コアの融点温度未満に加熱する工程、繊維を緊密な機械的接触によってシースの回りに配置する工程、及び複合エラストマーヤーンを冷却して前記繊維を前記シースに機械的に固着する工程。
【0021】
加熱工程が冷却の工程の前に記載されている上記の説明は、本発明で使用される工程の順序を制限するように理解されるべきではない。好ましい態様によれば、例えば、繊維を完全な接触によってシースに配置する工程は、複合エラストマーヤーンの加熱の前に起こる。
一定の好ましい態様において、図3〜図5の配列で示すように、複合エラストマーヤーンは、繊維をシースの回りに配置する前に、弛緩長さの約10%〜約500%まで伸長される。
【0022】
内部のヤーン(以下、「シース-コア成分」とする)を提供する最初の工程は、シース-コア成分を周知技術の方法によって形成し、又は一定の予め作られた内部のヤーンを他源から得ることを含む、種々の方法により達成され得る。シース-コア成分を形成する方法は、プルトリュージョン(pulltrusion)技術を含み、これは、コア成分を形成し、その後、コア成分をシース材料の溶融バスに通して、シース材料の融点温度より上であるが、コア材料の融点温度未満の温度で延伸するものである。これとは別に、コア成分はシース成分と共に、このような同時の同時押出成形に適切な温度で、押出物がより高融点材料を含むコア及びより低い融点材料を含むシースを含むような方法で、同時に同時押出成形されてもよく、これは、Himmelreich,Jr.の米国特許第4,469,738号明細書に開示され、ここで参考として取り入れる。本発明の内部のヤーンを提供するための更に別のものは、クロスヘッド技術であり、これは内部のヤーンのコアが予め形成され、かつクロスヘッド押出成形の型の中心を通して供給され、シース材料が、予め形成されたコア材料の上の外側のジャケット又はカバーとして押し出されるものである。本発明の方法のある態様は、モノフィラメントコアを使用し、かつ本発明の方法の他の実施態様におけるコアは、複数のフィラメントを含むことが理解されるだろう。
【0023】
本発明の方法における他の工程は、内部のヤーンを、シース材料の融点温度より上であるが、コア材料の融点温度末満である温度に加熱されることを含む。そのようにすることによって、シース材料は、軟化されるか又は少なくとも粘着しやすくされて、その後適用される繊維と機械的な結合ができるようになる。ある好ましい態様において、加熱は、複合ヤーンの製造の間であるが、ヤーンとファブリックの混合前に起こる。しかしながら、他の態様において、本発明の部分的に形成されたヤーンが、最初にファブリック製造工程に取り込まれると、本発明のヤーンを含む得られるファブリックは、加熱された物晶になる。
【0024】
ある好ましい態様において、加熱された内部のヤーンは、弛緩状態を越えるが、その弾性範囲内で、繊維の適用の前に図3〜図5http://www6.ipdl.inpit.go.jp/Tokujitu/tjitemdrw.ipdl?N0000=231&N0500=1E_N/;%3e%3c:?889%3c///&N0001=22&N0552=9&N0553=000014の順序に示すように伸長される。この種の伸長は、得られる複合ヤーンに変化する嵩高さ及び/又は密度の程度を獲得させる。より具体的に、図3はコア2A及びシース3Aを伸長の前に含む内部のヤーンの部分を示す。図4は、図3に示される部分の次の図面を示し、ここで、内部のヤーンの部分を伸長して、繊維4Aをシース3Bの表面の回りに配置する。シース3B及びコア2Bは、図4に示すような伸長された状態になる結果、より薄い断面を有するものとして示される。図5は、図4に示される図面に続く図面を示し、ここで、コア2C及びシース3Cは、本来の弛緩、即ち伸長していない状態に戻り、繊維4Bは、図4の繊維4Aが示すより大きい密度を示す。図3〜5の順序で示すように、内部のヤーンが伸長される場合、弛緩形態にある内部のヤーンの所与の間隔は、繊維の適用に合わせた伸長状態において、より大きな表面積を示す。従って、複合ヤーンをその後伸長されない状態に弛緩すると、所与の間隔内にある繊維の密度は、このような繊維が伸長することなく適用された場合よりも大きくなる。その結果、内部のヤーンを繊維の適用前に伸長する程度が大きい程、得られる複合繊維の嵩高さは大きい。
【0025】
ある好ましい態様において、本発明の方法は、更に内部のヤーンを弛緩長さの約10%〜約500%に伸長する工程を、繊維の適用前に含む。伸長の最適の程度は、内部のヤーンの形成に使用される材料及び複合ヤーンの最終用途の目的に依存する。例えば、高弾性率熱可塑性ポリエーテル−エステル・ブロックコポリマー・エラストマー、例えばHYTREL(登録商標)において、その弛緩長さを超えた伸長の程度は、約10%〜約40%、及び好ましくは約12%〜約18%ある。
【0026】
より低い弾性率エラストマー、例えばE.I.Du Pont de Nemours & Co., Inc.により製作されたLYCRA(登録商標)スパンデックスにおいて、伸長の程度は、典型的に約300%〜約500%及び好ましくは約350%〜約425%である。ある好ましい態様において、繊維の適用の前に内部のヤーンを伸長することによって、得られる複合ヤーンがファブリック製造工程(すなわち製織、編み等)に使用される場合、複合ヤーン表面に固着された繊維により課される重大な制限なく自由に伸長及び回復できる。所望の製造工程及び最終用途に従い、伸長工程が一部にあるこれらの態様に対して、内部のヤーンがヤーン形態にある場合、又はそれがすでにファブリックに加工されるか又はファブリックに部分的に加工される場合に、伸長工程は起こり得ることが理解される。
【0027】
本発明の方法における他の工程は、繊維を緊密な機械的接触により加熱された内部のヤーンの回りに配置することを含む。上述の通り、ある好ましい態様において、繊維の配置は、内部のヤーンがヤーン形態にあるときに起きる。しかしながら、他の態様において、内部のヤーンが、ファブリック製造工程にすでに使用されると、繊維の適用が、ファブリックの表面でなされる。内部のヤーンの回りに配置された繊維は、遊離繊維の形態で又はヤーンの形態で又はそれらの組合せの形態であってもよいことが理解される。適用される繊維、所望の嵩高さ及び所望の最終用途によって、そのように配置された繊維の形態は変化し、かつ繊維が配置されていてもよい方法には、ラッピング、スピニング、ツイスティング、フロッキング、又は他の周知技術の手順を含む。しかしながら、内部のヤーンの回りにそのように配置された繊維によって、前記繊維は、少なくとも内部のヤーンのシース成分に深く入りこむことによって、それに対する機械的な結合を達成し得る。
【0028】
外側のテクスタイルの繊維を内部のヤーンに固定するための加熱/接着工程は、内部のシース/コアヤーンのまわりの繊維の配置の直後であって、完成した複合ヤーンが、その貯蔵パッケージに巻かれる直前にあることが好ましい。これとは別に、加熱/接着は、ファブリック形態中及び又は内部のシース/コアヤーンを加熱することによって、外側のテクスタイル繊維の配置の前に行われ得る。
本発明の方法における最終工程は、複合エラストマーヤーンを冷却して、繊維の内部のヤーンへの固着を実施することを含む。
【0029】
物品
本発明の得られる複合エラストマーヤーンは、ファブリック製造工程におけるファブリック物品であって、自動車、航空及び船舶用途の乗物シートに使用するために非常に適している性質の所望の組合せを有するものの形成のために使用され得る。本発明の複合エラストマーヤーンから作られるファブリックの優れた弾性、耐久性及び摩耗抵抗のため、及び達成され得るテクスタイル及び繊維密度が広範なため、自動車の航空及び船舶出願に用いられる乗物シートは、フォームクッション材、充填材料、ばね、ゴムひも又はこれらの組合せの追加使用を必要とすることなく製造され得る。Abu−Isaらの米国特許第5,013,089号明細書、Abu-Isaらの米国特許第4,869,554号明細書及びAbu-Isaらの米国特許第4,545,614号明細書(これらはここで参考として取り入れる)に記載の、この種の薄い断面乗物シートが、本発明の複合エラストマーヤーンを含んでいるファブリックから造られてもよい好ましい物品の例である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の第一態様に従う複合エラストマーヤーンの部分的断面、部分的斜視図である。
【図2】図2は、多重フィラメントコアを有する本発明の第二態様の部分的断面、部分的斜視図である。
【図3】図3は、側面図配列の第一図であって、シースの表面上に繊維を配置する前の、内部のヤーンの部分を示すものである。
【図4】図4は、側面図配列の第二図であって、繊維の図3の部分的シース表面上への配置を、内部のヤーンを伸長する前に行うことを示すものである。
【図5】図5は、側面図配列の第三図であって、複合ヤーンが伸長された状態から緩められ、繊維はシースの表面に配置されて及び固着された後の、図3の一部を示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのコア;
該コアの回りに配置されたポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのシースであって、該シースの融点温度が前記コアの融点温度より少なくとも10℃低いシース;及び、
該シース中に固着されかつその回りに配置された繊維、
を含むことを特徴とする複合エラストマーヤーン。
【請求項2】
該シースの融点温度が、コアの融点温度より50℃〜75℃低い、請求 項1に記載のヤーン。
【請求項3】
複合エラストマーヤーンの製造方法であって、
ポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーコア及びコアの回りに配置されたポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのシースを含むシース−コア成分であって、シースの融点温度がコアの融点温度より少なくとも10℃低いシースを与える工程;
シース−コア成分を、シースが少なくとも軟化するが、コアの融点温度未満の温度に加熱する工程;
繊維を緊密な機械的接触によってシースの回りに配置する工程;及び、
複合エラストマーヤーンを冷却して該繊維を該シースに固着する工程、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項4】
前記配置工程が、前記加熱工程より前に起こる、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該シース−コア成分を、繊維をシースの回りに配置する前に、弛緩長さの10%〜500%まで伸長する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
シートフレームと、該フレームにわたって伸長しかつ取り付けた低断面のシートサスペンションとを有するシート組立体であって、
該シートサスペンションが複合エラストマーヤーンを含むファブリックを含み、
該複合エラストマーヤーンがポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのコアと、該コアの回りに配置されたポリエステル共重合体成分から形成された熱可塑性エラストマーのシースであって、該シースの融点温度がコアの融点温度より少なくとも10℃低いシースと、該シースに機械的に固着されかつその回りに配置された繊維とを含むことを特徴とするシート組立体。
【請求項7】
前記コアが、ポリエステルのブロック共重合体である、請求項1に記載複合エラストマーヤーン。
【請求項8】
前記コアが、ポリエステルのグラフト共重合体である、請求項1に記載の複合エラストマーヤーン。
【請求項9】
前記コアが、ポリエステル−エステルのブロック共重合体である、請求項1に記載の複合エラストマーヤーン。
【請求項10】
前記コアが、ポリエステル−エーテルのブロック共重合体である、請求項1に記載の複合エラストマーヤーン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−144345(P2008−144345A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320988(P2007−320988)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【分割の表示】特願平10−530092の分割
【原出願日】平成9年12月18日(1997.12.18)
【出願人】(507373748)ザ クウォンタム グループ インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】