説明

複合タイル

【課題】 均一な照度で面発光するLED照明装置一体的に組み込んだ複合タイルを提供する。
【解決手段】 拡散部材10は庇状をなし、カバー9の内側面から回路基板8と平行に内方に向かって伸びる平面部10aと、平面部10aの内端から外側に向かって斜め上方に伸びる傾斜面部10bを備え、前記平面部10aと回路基板8との隙間にLED素子7が配置されている。平面部10aと回路基板8との狭い隙間にLED素子7を配置することで、LED素子7から出射した光線は狭い隙間で反射を繰り返し、カバー9の全面から均一な照度で外部に向けて照射される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築物の壁面、床面などに貼り付けられるタイルであって、特に照明器具と一体化した複合タイルに関する。
【背景技術】
【0002】
照明器具を組み合わせた複合タイルが、特許文献1〜3に提案されている。特許文献1には、タイル発光システムとして、光拡散パネルが内部空間に配置され、この内部空間がグリッド形態またはエッジ照明形態などに照射される内容が開示されている。
【0003】
特許文献2には、回路基板の表面に複数のLED素子を取り付けて固体照明素子とし、これをタイルに組み合わせた照明パネル用の複合タイルが開示されている。
【0004】
特許文献3には、タイルにLEDを収納する穴を形成し、この穴に収納したLEDに電気的接続素子を介して給電する構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2007−525690号公報
【特許文献2】特表2009−516358号公報
【特許文献3】特表2009−522764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
LED素子からの発光は特定の方向に光が出射する。このためLEDを用いた照明装置はピンポイントを明るくする照明には優れているが、全体を明るくする照明には不向きと言える。
【0007】
特許文献2、3については、LED素子からの光がそのまま外部に出射するようにしているため、均一な面発光を行わせることができない。また特許文献1については、光拡散パネルを用いているが、照明の形態をグリッドまたはエッジ状にするための光拡散パネルであり、照明装置のカバー全体を均一な照度にするものではない。
【0008】
照明装置のカバー全体に照度むらを生じさせないためには、カバーに分散材を混ぜるのが有効であるが、分散材を多量に混入すると、照度が落ちてしまう不利がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため本発明に係る複合タイルは、照明装置と一体化し、その一部には照明装置が嵌り込む収納部が設けられ、前記照明装置はLED素子が搭載された回路基板と、この回路基板が取り付けられるカバーとを備え、このカバーにはLED素子からの光を分散せしめる庇状の拡散部材が設けられ、この拡散部材はカバー内側面から基板と平行に内方に向かって伸びる平面部と、平面部の内端から外側に向かって斜め上方に伸びる傾斜面部を備え、前記平面部と基板との隙間にLED素子が配置された構成である。
【0010】
前記照明装置(カバー)の一端をタイルの縁部よりも外側に若干突出させることで、複数のタイルを貼り合わせる場合に、隣接するタイルの照明装置のカバーとの間が狭く或いはカバー同士が接触することで、連続した模様などを形成することが可能になる。
【0011】
また、照度を落とさずに均一な照明を行うために、拡散部材に混入される拡散材の割合をカバーに混入される拡散材の割合よりも多くすることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る複合タイルは、タイルに嵌め込まれるLED照明装置のカバー内に、庇状の拡散部材を設けたので、LED素子からの光を効果的に分散させることができ、外部からLED素子の位置が透けて見えたりすることがなく、タイルに組み込んだ照明装置の外部に露出するカバー面積が広くても均一な照度にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る複合タイルを組み合わせて構成された壁面の斜視図
【図2】本発明に係る複合タイルの一例を示す斜視図
【図3】同複合タイルの正面図
【図4】同複合タイルの裏面図
【図5】図3のA方向側面図
【図6】図4のB−B線断面図
【図7】照明器具のケースの斜視図
【図8】照明器具のケース内に収納される反射体の拡大断面図
【図9】照明器具のケース内に収納される回路基板を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に本発明の好適実施例を添付図面を参照して説明する。図1は本発明に係る複合タイルを組み合わせて構成された壁面の斜視図であり、複合タイルはタイル1と照明装置2から構成され、タイル1には照明装置2が嵌り込む収納部3が形成されている。
【0015】
本実施例では、複数の複合タイルを組み合わせることで、図柄や文字などを照明装置2で表現するため、複数種類の形状の照明装置2とこの照明装置2を嵌め込むための複数種類の形状の収納部3を形成したタイル1を用意している。タイル1は陶器製の他に、プラスチック製、木製、ガラス製、金属製であってもよい。
【0016】
陶器製のタイル1は焼成すると収縮するが、その際に収納部3の寸法が正確に出せるように、収縮率を一定にする必要がある。このための条件としては、材料と焼成条件を以下のように定めることが好ましい。
【0017】
材料としては、焼成時及び乾燥時の収縮率の安定した磁器土を使用する。この磁器土を使用して石膏型で鋳込み成形して素地を作製し、焼成前および乾燥時に素地を計測し、基準値から外れるものは廃棄する。焼成温度は1270℃から1310℃の範囲で還元焼成を行い、焼成後は治具をあてて基準寸法になっているか確認する。
【0018】
また、照明装置2の形状としては具体的には、タイルの両端まで届いた直線状をなすもの、タイルの一端から伸びタイルの中央付近で止まった直線状をなすもの、タイルの中央で円形をなすもの、タイルの隣接する2辺間に跨る1/4円状をなすものなどが考えられる。
【0019】
図2ではタイルの一端から伸びタイルの中央付近で止まった直線状をなす照明装置2を示している。他の形状の照明装置については形状が異なるだけで、内部構造は同じであるので、説明を省略する。
【0020】
タイル1の表面には盛り上り部4が形成され、この盛り上り部4の内側に収納部3が形成される。またタイル1の裏面には図4に示すように壁などに貼りつける際にモルタルが入り込む凹部5が形成され、また収納部3に収納した照明装置2が外れるのを防止するブリッジ部6が形成されている。
【0021】
更に、図3及び図4に示すように、照明装置2の一端2aはタイル1の縁部から若干突出している。この突出量は例えば目地の1/2程度とする。このように一端2aを若干突出させることで、複数の複合タイルを組み合わせた際に、隣接する複合タイルの照明装置同士が連続している感じを見る者に与えることができる。
【0022】
照明装置2はLED素子7が搭載された回路基板8と、この回路基板8が取り付けられるカバー9とを備え、このカバー9にはLED素子7からの光を分散せしめる庇状の拡散部材10およびタイル1の収納部3に固定するための係止片11が設けられている。
【0023】
本実施例ではカバー9と拡散部材10とを別体とし、カバー9内に混合する拡散材よりも拡散部材10内に混合する拡散材の量を多くし、拡散を効果的に行わせるとともに、照度の低下を防止している。
【0024】
庇状をなす拡散部材10は、カバー9の内側面から回路基板8と平行に内方に向かって伸びる平面部10aと、平面部10aの内端から外側に向かって斜め上方に伸びる傾斜面部10bを備え、前記平面部10aと回路基板8との隙間にLED素子7が配置されている。
【0025】
LED素子7には回路基板8上に形成された回路12を介して給電され、この回路12にはコネクタ13及びリード線14を介して給電される。複数の複合タイルは互いにコネクタ13及びリード線14を介して電気的に接続され、電源は1つで足りる。
【0026】
上記のように平面部10aと回路基板8との狭い隙間にLED素子7を配置することで、LED素子7から出射した光線は狭い隙間で反射を繰り返し、カバー9の全面から均一な照度で外部に向けて照射される。
【符号の説明】
【0027】
1…タイル、2…照明装置、2a…照明装置の一端、3…収納部、4…盛り上り部、5…凹部、6…ブリッジ部、7…LED素子、8…回路基板、9…カバー、10…拡散部材、10a…平面部、10b…傾斜面部、11…係止片、12…回路、13…コネクタ、14…リード線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイルと照明装置とが一体化した複合タイルであって、前記タイルには照明装置が嵌り込む収納部が設けられ、前記照明装置はLED素子が搭載された回路基板と、この回路基板が取り付けられるカバーとを備え、このカバーにはLED素子からの光を分散せしめる庇状の拡散部材が設けられ、この拡散部材はカバー内側面から基板と平行に内方に向かって伸びる平面部と、平面部の内端から外側に向かって斜め上方に伸びる傾斜面部を備え、前記平面部と基板との隙間にLED素子が配置されていることを特徴とする複合タイル。
【請求項2】
請求項1に記載の複合タイルにおいて、前記照明装置の一端はタイルの縁部よりも外側に若干突出していることを特徴とする複合タイル。
【請求項3】
請求項1に記載の複合タイルにおいて、前記カバー及び拡散部材の材料中には拡散材が混入され、且つ拡散部材に混入される拡散材の割合はカバーに混入される拡散材の割合よりも多いことを特徴とする複合タイル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−192495(P2011−192495A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56880(P2010−56880)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(510067555)有限会社クリエイティブLABO (1)
【出願人】(508041345)
【出願人】(392034746)吉川化成株式会社 (22)
【Fターム(参考)】