複合パネルおよびその係止部材
【課題】複合パネルの表面に取付け用の金具類が現れないようにし、表面美観は保たれ且つ、充分な取付け強度が確保できるばかりでなく、現場で複合パネルを確実に締め付けができる省力効果の高い取付け作業が可能な複合パネルが望まれていた。
【解決手段】建造物の壁面又は天井面に添設され、複合パネルの係止孔に係止部材である係止装置本体の頭部が挿入でき、それをクリッパーを用いて握圧することにより、係止部材中央部外周が外側に膨出して、複合パネルの裏板とで取付金具を挟持される複合パネルおよび係止部材による締結固定にする。
【解決手段】建造物の壁面又は天井面に添設され、複合パネルの係止孔に係止部材である係止装置本体の頭部が挿入でき、それをクリッパーを用いて握圧することにより、係止部材中央部外周が外側に膨出して、複合パネルの裏板とで取付金具を挟持される複合パネルおよび係止部材による締結固定にする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種建造物の壁面、又は、天井面を構築する複合パネル及びその係止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図13から図17を参照して、従来用いられている複合パネルを建造物の内壁に固定する方法を説明する。
【0003】
複合パネルを実際に壁面パネル若しくは天井面パネルとして使用する場合には、パネル部を建造物の壁面や天井面に保持固定することが必要である。従来、複合パネルからなるパネル部を保持固定する手段としては、種々の固定方法が提案されており、例えば、図13に示すように、居住用の部屋内には、予め、アンカーボルト10を備えている建造物の内壁に、下地であるケイ酸カルシュウム板9と柱材13を組み付け、更に、これらをブラケット14に挿し入れ、アンカーナット(図示せず)で懸架固定して内装の骨組みを構築する。そして、ケイ酸カルシュウム板9の表面に接着剤を塗布、或いは、両面テープを接着して化粧板である複合パネル1を貼付けて内壁を施工する。尚、隣接する複合パネル1の隙間はコーキングを施して内壁を完成する。
【0004】
また、図14に記載された従来の複合パネル固定方法は、予め、構造物壁躯体12の構造物アンカーボルトナット11に、スチールアングル17をアンカーボルトナット11で締結したものに、複合パネル1の端面を必要長さ分、折り曲げて、ブラインドリベット15とアルミ型材16で係合し、それを固定ボルトナット19で係止する。構造物壁躯体12から延びるスチールアングル17に、アルミ型材16とラインドリベット15で接合された複合パネル1を構造物壁躯体17に懸架固定する。隣接する複合パネル1の隙間は、コーキングを施して内壁を完成するものがある。
【0005】
更に、図15に記載された壁面パネルの取付け構造は、パネル本体部20と躯体壁面21の両側のフック部の間に設けられ、パネル本体部20の裏面から躯体壁面21に向かって伸長する補強リブ22に設けられた係止溝23と、この係止溝23を係止させるべく、躯体壁面21に設けられた係止用部材24を備え、パネル本体部20の内側部分が固定される(例えば特許文献1参照)。
【0006】
更に、図16及び図17に記載された、従来の複合パネル1は、表板1cは平板であり、芯材1bには係止用孔6cを穿設している。裏板1aは、三角孔6bの開口部6aを設けている。その開口部6aに挿入可能な金属プレートを取付けたボルト(図示せず)を挿入し、一定角度回転して、複合パネル1を例えば躯体(図示なし)に係止するようにした。三角形係止部材と三角形状孔6を設けて複合パネルを締結固定するものもある(例えば特許文献2参照)。
【0007】
また、図示しないが積層複合材の裏面の金属板に鍵穴状の開口部を、その下層の樹脂に長円柱状空間を形成しておき、根角ボルトを、前記積層複合材の裏面側に設けた根角ボルト頭部の外形に対応する円形状の開口部に挿入し、長円柱状空間に挿入した根角ボルトを前記積層複合材に形成したガイド溝に沿って移動することにより、根角ボルトを積層複合材に締結固定するものがある(例えば特許文献3参照)。
【0008】
上述した従来技術は、後述するように、解決する課題を有しているので、本件出願人はそれらの課題を解決するための、改良案を平成22年10月15日に特願2010−245639として出願した。これは、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、裏板は、係止用ネジのネジ頭部が通過する挿入孔とこの挿入孔に連接されネジ頭部の外径より狭い係止孔が穿設されていて、芯材は少なくとも裏板の挿入孔と係止孔とに対応する部分にネジ頭部が摺動可能な摺動孔が穿設されている複合パネルである。
【先行技術文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−92020号公報、
【特許文献2】特許4065890号
【特許文献3】特開2009−97298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図13に記載された従来の接着剤を塗布、或いは、両面テープを使用した接着固定方法では、パネル面に接着剤を万遍無く塗布する手間がかかり、複合パネルの接着面の均一性に欠き、貼付け強度が保たれない、また、接着剤独特の臭気を帯び、耐久性と環境面で極めて多くの課題を有している。
【0011】
図14に記載された、従来のブラインドリベットによる複合パネルの固定方法は、内壁面の美観は損なわれないものの、取付け強度の面で問題があり、また、複合パネルの端面を必要長さ分の折り曲げ加工を施す必要があり、この方法では、強度面と施工性の観点で満足が得られない。
【0012】
また、図15に記載された、従来の壁面パネル固定方法は、ある程度の取付け強度は期待できるが、パネル本体部の補強リブを係止部材に引っ掛けて懸架するだけで壁面パネルと係止部材の安定性とパネル下部からの荷重によりパネル本体が上方に持ち上がる欠点がある。
【0013】
特許文献3に示されたものは、複合パネルの表板および裏板の板厚が薄いときには係止部材が空回りして壁面パネルを取付けることができない欠点がる。
【0014】
また、図16及び図17に記載された従来のものは、複合パネルの裏板に三角形状の開口部を施したものに、挿入可能な金属プレートを取付けたボルトを挿入し、一定角度回転して係止する複合パネルの締結固定方法は、ある程度の貼付け強度は期待できるが、開口部の加工が難点であることと、ボルトと複合パネルの三角形状孔を係止する位置の模索に手間が掛る欠点がある。
【0015】
さらに、特願2010−2456039に示されたものは、上述従来の欠点を除去する優れた効果を奏するものであるが、ネジ頭部を係止する複数の係止孔に、対応する複数のネジを使用して固定しなければならず部品点数が多くなる。
【0016】
前述の従来の固定方法では、いずれも係止部材が空回りすることがあるなど、十分な固定効果が得られず、複合パネルの固定位置が定め難いばかりではなく係止部材の安定性に欠けるなど、施工工数が増大して結果的には、コストアップになることが問題点として挙げられる。
【0017】
本発明の目的は、上述した従来の固定手段の問題点を解決することにあり、複合パネルの表面には全く取付け用の金具類は現れないため、表面美観は保たれ、且つ充分な取付け強度が確保できるばかりでなく、部品点数が少なくて済む複合パネルおよびその係止部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、前記取付金具と複合パネルを固定するための係止部材を備え、前記係止部材は長手方向の略中央部に摺動孔を有し、頭部とこの頭部に連接され頭部よりも径小なガイド部とこのガイド部から延設され複数のスリットを有する変形可能な座とからなる係止装置本体と、上記裏板は、前記係止装置本体の頭部が挿入可能な挿入孔と、この挿入孔に連接され前記頭部よりも径小な前記ガイド部が摺動可能であるが前記頭部の外径より狭い係止孔とが穿設されていて上記芯材は少なくとも前記裏板の前記挿入孔と前記係止孔とに対応する部分に前記頭部が摺動可能な収容孔が穿設されていて、前記係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座を変形することによって、取付金具を変形された座と前記裏板との間に挟持されていることによって複合パネルが構成する。
【0019】
前記係止部材はさらに前記摺動孔内に保持され前記係止装置本体よりも長い挿通体(ネジ)と、この挿通体の前記係止装置本体から突出した部分に設けられた保持体(ガイドナット)とを備え、係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座は、前記係止装置本体の端面と前記保持体との間に挿入操作されたクリッパーによって、その外周が外側に膨出して変形されてことによって複合パネルが構成する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の複合パネルおよびその係止部材によれば、建造物の壁面又は天井面を構築する現場で、複合パネルを効果的で容易に施工することが可能である。
【0021】
例えば、居住用の部屋内建造物躯体の外側に化粧板である複合パネルを取付けるには、極めて省力的に、且つ、美観を損なうことなく確実に施工をすることができる、また、接着剤による貼付方法に較べ、環境面および健康面にも優しい点を併せ持つ、極めて有効に品質を保つ部屋を構築することができる複合パネルの締結固定方法である。特に、複合パネルの締結固定が容易で正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る一実施例の係止部材の斜視図。
【図2】同係止部材の図1の裏側から見た斜視図。
【図3】同複合パネルの挿入孔及び係止孔を示す分解斜視図。
【図4】同複合パネルの一部を示す平面図。
【図5】図4のA−A’線に沿った断面図。
【図6】同係止部材と取付金具および複合パネル断片の一部分解斜視図。
【図7】同係止部材を複合パネルの係止孔に挿入した状態を示す斜視図。
【図8】図7のB−B’線に沿った断面図。
【図9】同係止装置本体をクリッパーで握圧する方法を示す概略断面図。
【図10】図9でクリッパーにより握圧された係止装置本体で複合パネルと取付金具が固定された状態を示す斜視図。
【図11】図10のC−C’線に沿った断面図。
【図12】同壁面に締結固定された状態を示す部分断面図。
【図13】従来の複合パネルの部屋内装施工例を示す断面図。
【図14】従来のブラインドリベットによる複合パネル取付け構造を示す断面図。
【図15】従来の補強リブによる壁面パネル取付け構造を示す断面図。
【図16】従来の三角形状孔を施した複合パネルの一部分を示す平面図。
【図17】図16のD−D’線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。最初に図1、図2を参照して本発明の実施例を説明する。
本発明は、建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであり、前述取付金具と複合パネルを締着固定するための係止部材3は、係止装置本体3gを備え、係止装置本体3gは細長状の長手方向の略中央部に摺動孔3dと頭部3aおよび複数のスリットを有する座3cが設けられている、係止装置本体3gの中心部に設けられている摺動孔3dに挿脱可能で且つ、係止装置本体3gの全長よりも長い挿通体としてのガイドネジ4と摺動孔3dから突出した部分に設けられた保持体としてのガイドナット5とを有している、これを係止部材3と呼ぶ。
【0024】
次に、図3から図5を参照して、複合パネルの実施例を説明する。図3記載の複合パネル1は、建造物の壁面又は天井面を添設するもので、それを説明するための複合パネル分解斜視図を表わす、なお、図3から図5の一点鎖線は複合パネルの各構成部材の中心円を示すために便宜的に記したものである。ここで、図4と図5に記載の複合パネル1は裏板1a、芯材1bおよび表板1cを強力貼着したものであり、裏板1aは、挿入孔2aと係止孔2bの合成孔を穿設されていて、芯材1bには、係止部材3の収容孔2dが穿設されて、表板1cは平板であり、裏板1aと芯材1b及び表板1cは、貼着構造となっているので、袋溝穴が形成される、これを係止穴2と呼ぶ。
【0025】
次に、図6に記載の裏板1aは、係止部材3の係止装置本体3gの頭部3aが貫通可能な挿入孔2aと、この挿入孔2aの一側に連設され頭部3aよりも径小なガイド部3fが摺動可能であるが頭部3aの外径より狭い係止孔2bが穿設されている、芯材1bは少なくとも裏板1aの挿入孔2aと係止孔2bとに対応する部分に頭部3aが摺動可能な収容孔2dが穿設されている。
【0026】
次に、図7及び図8に示すように、複合パネル1の係止穴2にある挿入孔2aに係止部材3である係止装置本体3gの頭部3aを挿入、挿通体としてのガイドネジ4に保持体としてのガイドナット5を締着投入状態で係止装置本体3gのガイド部3fを複合パネル1の係止孔2bに沿って係止装置本体3gの頭部3aを係止孔端3cまで摺動させたものに取付金具7の貫通孔7aを係止装置本体3gの座3cを貫通投入する。
【0027】
次に、図9から図12に示すように係止装置本体3gの端面3eとガイドナット5との間に挿入された押圧工具であるクリッパー8によって握圧方向8bに握圧すると図10、図11に示すように、係止装置本体3gの端面3eが押圧方向8cに摺動し、複数のスリットを有する変形可能な係止装置本体3gの座3cが外側に膨出されることによって、座3cの膨出部分と頭部3aの間に複合パネル1と取付金具8が挟持される、この係止部材3によって、複合パネルと取付金具7が挟持された状態で一事例を図12に示すように、壁或いは天井に添設する。
【0028】
ここで、前述の係止穴2の袋溝穴形状を、図6を用いて、更に詳細説明する。複合パネル1裏板1aの係止孔2bの長さは、係止部材3である係止装置本体3gの頭部3aを挿入孔2aより挿入でき、頭部3aが係止孔端2cに接触するまで係止装置本体3gのガイド部3fが係止孔2b内をガイドされながら摺動する長さであり、係止孔2bの長さは、頭部3aが係止孔2bに隠れる長さである、また、係止孔2bの幅は係止装置本体3gのガイド部3fをガイドできる幅を有する、裏板1aと芯材1bおよび表板1cは貼り合わせ構造となっているので、袋溝穴形状の係止穴2が形成される。
【符号の説明】
【0029】
1:複合パネル
1a:裏板
1b:芯材
1c:表板
2:係止穴
2a:挿入孔
2b:係止孔
2c:係止孔端
2d:収容孔
2e:係止孔心
3:係止部材
3a:頭部
3b:爪
3c:座
3d:摺動孔
3e:端面
3f:ガイド部
3g:係止装置本体
4:ガイドネジ
4a:ガイドネジ外径
5:ガイドナット
6:三角形状孔
6a:開口部
6b:三角孔
6c:孔
7:取付金具
7a:貫通孔
8:クリッパー
8a:支点
8b:握圧方向
8c:押圧方向
8d:ツカミ部
9:ケイ酸カルシューム板
10:アンカーボルト
11:アンカーボルトナット
12:建造物壁躯体
13:柱材
14:ブラケット
15:ブラインドリベット
16:アルミ型材
17:スチールアングル
18:固定ボルト
19:固定ボルトナット
20:パネル本体部
21:躯体壁面
22:補強リブ
23:係止溝
24:係止用部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種建造物の壁面、又は、天井面を構築する複合パネル及びその係止部材に関する。
【背景技術】
【0002】
図13から図17を参照して、従来用いられている複合パネルを建造物の内壁に固定する方法を説明する。
【0003】
複合パネルを実際に壁面パネル若しくは天井面パネルとして使用する場合には、パネル部を建造物の壁面や天井面に保持固定することが必要である。従来、複合パネルからなるパネル部を保持固定する手段としては、種々の固定方法が提案されており、例えば、図13に示すように、居住用の部屋内には、予め、アンカーボルト10を備えている建造物の内壁に、下地であるケイ酸カルシュウム板9と柱材13を組み付け、更に、これらをブラケット14に挿し入れ、アンカーナット(図示せず)で懸架固定して内装の骨組みを構築する。そして、ケイ酸カルシュウム板9の表面に接着剤を塗布、或いは、両面テープを接着して化粧板である複合パネル1を貼付けて内壁を施工する。尚、隣接する複合パネル1の隙間はコーキングを施して内壁を完成する。
【0004】
また、図14に記載された従来の複合パネル固定方法は、予め、構造物壁躯体12の構造物アンカーボルトナット11に、スチールアングル17をアンカーボルトナット11で締結したものに、複合パネル1の端面を必要長さ分、折り曲げて、ブラインドリベット15とアルミ型材16で係合し、それを固定ボルトナット19で係止する。構造物壁躯体12から延びるスチールアングル17に、アルミ型材16とラインドリベット15で接合された複合パネル1を構造物壁躯体17に懸架固定する。隣接する複合パネル1の隙間は、コーキングを施して内壁を完成するものがある。
【0005】
更に、図15に記載された壁面パネルの取付け構造は、パネル本体部20と躯体壁面21の両側のフック部の間に設けられ、パネル本体部20の裏面から躯体壁面21に向かって伸長する補強リブ22に設けられた係止溝23と、この係止溝23を係止させるべく、躯体壁面21に設けられた係止用部材24を備え、パネル本体部20の内側部分が固定される(例えば特許文献1参照)。
【0006】
更に、図16及び図17に記載された、従来の複合パネル1は、表板1cは平板であり、芯材1bには係止用孔6cを穿設している。裏板1aは、三角孔6bの開口部6aを設けている。その開口部6aに挿入可能な金属プレートを取付けたボルト(図示せず)を挿入し、一定角度回転して、複合パネル1を例えば躯体(図示なし)に係止するようにした。三角形係止部材と三角形状孔6を設けて複合パネルを締結固定するものもある(例えば特許文献2参照)。
【0007】
また、図示しないが積層複合材の裏面の金属板に鍵穴状の開口部を、その下層の樹脂に長円柱状空間を形成しておき、根角ボルトを、前記積層複合材の裏面側に設けた根角ボルト頭部の外形に対応する円形状の開口部に挿入し、長円柱状空間に挿入した根角ボルトを前記積層複合材に形成したガイド溝に沿って移動することにより、根角ボルトを積層複合材に締結固定するものがある(例えば特許文献3参照)。
【0008】
上述した従来技術は、後述するように、解決する課題を有しているので、本件出願人はそれらの課題を解決するための、改良案を平成22年10月15日に特願2010−245639として出願した。これは、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、裏板は、係止用ネジのネジ頭部が通過する挿入孔とこの挿入孔に連接されネジ頭部の外径より狭い係止孔が穿設されていて、芯材は少なくとも裏板の挿入孔と係止孔とに対応する部分にネジ頭部が摺動可能な摺動孔が穿設されている複合パネルである。
【先行技術文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−92020号公報、
【特許文献2】特許4065890号
【特許文献3】特開2009−97298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
図13に記載された従来の接着剤を塗布、或いは、両面テープを使用した接着固定方法では、パネル面に接着剤を万遍無く塗布する手間がかかり、複合パネルの接着面の均一性に欠き、貼付け強度が保たれない、また、接着剤独特の臭気を帯び、耐久性と環境面で極めて多くの課題を有している。
【0011】
図14に記載された、従来のブラインドリベットによる複合パネルの固定方法は、内壁面の美観は損なわれないものの、取付け強度の面で問題があり、また、複合パネルの端面を必要長さ分の折り曲げ加工を施す必要があり、この方法では、強度面と施工性の観点で満足が得られない。
【0012】
また、図15に記載された、従来の壁面パネル固定方法は、ある程度の取付け強度は期待できるが、パネル本体部の補強リブを係止部材に引っ掛けて懸架するだけで壁面パネルと係止部材の安定性とパネル下部からの荷重によりパネル本体が上方に持ち上がる欠点がある。
【0013】
特許文献3に示されたものは、複合パネルの表板および裏板の板厚が薄いときには係止部材が空回りして壁面パネルを取付けることができない欠点がる。
【0014】
また、図16及び図17に記載された従来のものは、複合パネルの裏板に三角形状の開口部を施したものに、挿入可能な金属プレートを取付けたボルトを挿入し、一定角度回転して係止する複合パネルの締結固定方法は、ある程度の貼付け強度は期待できるが、開口部の加工が難点であることと、ボルトと複合パネルの三角形状孔を係止する位置の模索に手間が掛る欠点がある。
【0015】
さらに、特願2010−2456039に示されたものは、上述従来の欠点を除去する優れた効果を奏するものであるが、ネジ頭部を係止する複数の係止孔に、対応する複数のネジを使用して固定しなければならず部品点数が多くなる。
【0016】
前述の従来の固定方法では、いずれも係止部材が空回りすることがあるなど、十分な固定効果が得られず、複合パネルの固定位置が定め難いばかりではなく係止部材の安定性に欠けるなど、施工工数が増大して結果的には、コストアップになることが問題点として挙げられる。
【0017】
本発明の目的は、上述した従来の固定手段の問題点を解決することにあり、複合パネルの表面には全く取付け用の金具類は現れないため、表面美観は保たれ、且つ充分な取付け強度が確保できるばかりでなく、部品点数が少なくて済む複合パネルおよびその係止部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、前記取付金具と複合パネルを固定するための係止部材を備え、前記係止部材は長手方向の略中央部に摺動孔を有し、頭部とこの頭部に連接され頭部よりも径小なガイド部とこのガイド部から延設され複数のスリットを有する変形可能な座とからなる係止装置本体と、上記裏板は、前記係止装置本体の頭部が挿入可能な挿入孔と、この挿入孔に連接され前記頭部よりも径小な前記ガイド部が摺動可能であるが前記頭部の外径より狭い係止孔とが穿設されていて上記芯材は少なくとも前記裏板の前記挿入孔と前記係止孔とに対応する部分に前記頭部が摺動可能な収容孔が穿設されていて、前記係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座を変形することによって、取付金具を変形された座と前記裏板との間に挟持されていることによって複合パネルが構成する。
【0019】
前記係止部材はさらに前記摺動孔内に保持され前記係止装置本体よりも長い挿通体(ネジ)と、この挿通体の前記係止装置本体から突出した部分に設けられた保持体(ガイドナット)とを備え、係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座は、前記係止装置本体の端面と前記保持体との間に挿入操作されたクリッパーによって、その外周が外側に膨出して変形されてことによって複合パネルが構成する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明の複合パネルおよびその係止部材によれば、建造物の壁面又は天井面を構築する現場で、複合パネルを効果的で容易に施工することが可能である。
【0021】
例えば、居住用の部屋内建造物躯体の外側に化粧板である複合パネルを取付けるには、極めて省力的に、且つ、美観を損なうことなく確実に施工をすることができる、また、接着剤による貼付方法に較べ、環境面および健康面にも優しい点を併せ持つ、極めて有効に品質を保つ部屋を構築することができる複合パネルの締結固定方法である。特に、複合パネルの締結固定が容易で正確にできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る一実施例の係止部材の斜視図。
【図2】同係止部材の図1の裏側から見た斜視図。
【図3】同複合パネルの挿入孔及び係止孔を示す分解斜視図。
【図4】同複合パネルの一部を示す平面図。
【図5】図4のA−A’線に沿った断面図。
【図6】同係止部材と取付金具および複合パネル断片の一部分解斜視図。
【図7】同係止部材を複合パネルの係止孔に挿入した状態を示す斜視図。
【図8】図7のB−B’線に沿った断面図。
【図9】同係止装置本体をクリッパーで握圧する方法を示す概略断面図。
【図10】図9でクリッパーにより握圧された係止装置本体で複合パネルと取付金具が固定された状態を示す斜視図。
【図11】図10のC−C’線に沿った断面図。
【図12】同壁面に締結固定された状態を示す部分断面図。
【図13】従来の複合パネルの部屋内装施工例を示す断面図。
【図14】従来のブラインドリベットによる複合パネル取付け構造を示す断面図。
【図15】従来の補強リブによる壁面パネル取付け構造を示す断面図。
【図16】従来の三角形状孔を施した複合パネルの一部分を示す平面図。
【図17】図16のD−D’線に沿った断面図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施例を、図面を用いて詳細に説明する。最初に図1、図2を参照して本発明の実施例を説明する。
本発明は、建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであり、前述取付金具と複合パネルを締着固定するための係止部材3は、係止装置本体3gを備え、係止装置本体3gは細長状の長手方向の略中央部に摺動孔3dと頭部3aおよび複数のスリットを有する座3cが設けられている、係止装置本体3gの中心部に設けられている摺動孔3dに挿脱可能で且つ、係止装置本体3gの全長よりも長い挿通体としてのガイドネジ4と摺動孔3dから突出した部分に設けられた保持体としてのガイドナット5とを有している、これを係止部材3と呼ぶ。
【0024】
次に、図3から図5を参照して、複合パネルの実施例を説明する。図3記載の複合パネル1は、建造物の壁面又は天井面を添設するもので、それを説明するための複合パネル分解斜視図を表わす、なお、図3から図5の一点鎖線は複合パネルの各構成部材の中心円を示すために便宜的に記したものである。ここで、図4と図5に記載の複合パネル1は裏板1a、芯材1bおよび表板1cを強力貼着したものであり、裏板1aは、挿入孔2aと係止孔2bの合成孔を穿設されていて、芯材1bには、係止部材3の収容孔2dが穿設されて、表板1cは平板であり、裏板1aと芯材1b及び表板1cは、貼着構造となっているので、袋溝穴が形成される、これを係止穴2と呼ぶ。
【0025】
次に、図6に記載の裏板1aは、係止部材3の係止装置本体3gの頭部3aが貫通可能な挿入孔2aと、この挿入孔2aの一側に連設され頭部3aよりも径小なガイド部3fが摺動可能であるが頭部3aの外径より狭い係止孔2bが穿設されている、芯材1bは少なくとも裏板1aの挿入孔2aと係止孔2bとに対応する部分に頭部3aが摺動可能な収容孔2dが穿設されている。
【0026】
次に、図7及び図8に示すように、複合パネル1の係止穴2にある挿入孔2aに係止部材3である係止装置本体3gの頭部3aを挿入、挿通体としてのガイドネジ4に保持体としてのガイドナット5を締着投入状態で係止装置本体3gのガイド部3fを複合パネル1の係止孔2bに沿って係止装置本体3gの頭部3aを係止孔端3cまで摺動させたものに取付金具7の貫通孔7aを係止装置本体3gの座3cを貫通投入する。
【0027】
次に、図9から図12に示すように係止装置本体3gの端面3eとガイドナット5との間に挿入された押圧工具であるクリッパー8によって握圧方向8bに握圧すると図10、図11に示すように、係止装置本体3gの端面3eが押圧方向8cに摺動し、複数のスリットを有する変形可能な係止装置本体3gの座3cが外側に膨出されることによって、座3cの膨出部分と頭部3aの間に複合パネル1と取付金具8が挟持される、この係止部材3によって、複合パネルと取付金具7が挟持された状態で一事例を図12に示すように、壁或いは天井に添設する。
【0028】
ここで、前述の係止穴2の袋溝穴形状を、図6を用いて、更に詳細説明する。複合パネル1裏板1aの係止孔2bの長さは、係止部材3である係止装置本体3gの頭部3aを挿入孔2aより挿入でき、頭部3aが係止孔端2cに接触するまで係止装置本体3gのガイド部3fが係止孔2b内をガイドされながら摺動する長さであり、係止孔2bの長さは、頭部3aが係止孔2bに隠れる長さである、また、係止孔2bの幅は係止装置本体3gのガイド部3fをガイドできる幅を有する、裏板1aと芯材1bおよび表板1cは貼り合わせ構造となっているので、袋溝穴形状の係止穴2が形成される。
【符号の説明】
【0029】
1:複合パネル
1a:裏板
1b:芯材
1c:表板
2:係止穴
2a:挿入孔
2b:係止孔
2c:係止孔端
2d:収容孔
2e:係止孔心
3:係止部材
3a:頭部
3b:爪
3c:座
3d:摺動孔
3e:端面
3f:ガイド部
3g:係止装置本体
4:ガイドネジ
4a:ガイドネジ外径
5:ガイドナット
6:三角形状孔
6a:開口部
6b:三角孔
6c:孔
7:取付金具
7a:貫通孔
8:クリッパー
8a:支点
8b:握圧方向
8c:押圧方向
8d:ツカミ部
9:ケイ酸カルシューム板
10:アンカーボルト
11:アンカーボルトナット
12:建造物壁躯体
13:柱材
14:ブラケット
15:ブラインドリベット
16:アルミ型材
17:スチールアングル
18:固定ボルト
19:固定ボルトナット
20:パネル本体部
21:躯体壁面
22:補強リブ
23:係止溝
24:係止用部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、前記取付金具と複合パネルを固定するための係止部材を備え、前記係止部材は長手方向の略中央部に摺動孔を有し、頭部とこの頭部に連接され頭部よりも径小なガイド部とこのガイド部から延設され複数のスリットを有する変形可能な座とからなる係止装置本体と、上記裏板は、前記係止装置本体の頭部が挿入可能な挿入孔と、この挿入孔に連接され前記頭部よりも径小な前記ガイド部が摺動可能であるが前記頭部の外径より狭い係止孔とが穿設されていて上記芯材は少なくとも前記裏板の前記挿入孔と前記係止孔とに対応する部分に前記頭部が摺動可能な収容孔が穿設されていて、前記係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座を変形することによって、取付金具を変形された座と前記裏板との間に挟持されていることを特徴とする複合パネル。
【請求項2】
前記係止部材はさらに前記摺動孔内に保持され前記係止装置本体よりも長い挿通体(ネジ)と、この挿通体の前記係止装置本体から突出した部分に設けられた保持体(ガイドナット)とを備え、係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座は、前記係止装置本体の端面と前記保持体との間に挿入操作されたクリッパーによって、その外周が外側に膨出して変形されてことを特徴とする複合パネル。
【請求項1】
建造物の壁面又は天井面に取付金具によって添設され、裏板、芯材および表板からなる複合パネルであって、前記取付金具と複合パネルを固定するための係止部材を備え、前記係止部材は長手方向の略中央部に摺動孔を有し、頭部とこの頭部に連接され頭部よりも径小なガイド部とこのガイド部から延設され複数のスリットを有する変形可能な座とからなる係止装置本体と、上記裏板は、前記係止装置本体の頭部が挿入可能な挿入孔と、この挿入孔に連接され前記頭部よりも径小な前記ガイド部が摺動可能であるが前記頭部の外径より狭い係止孔とが穿設されていて上記芯材は少なくとも前記裏板の前記挿入孔と前記係止孔とに対応する部分に前記頭部が摺動可能な収容孔が穿設されていて、前記係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座を変形することによって、取付金具を変形された座と前記裏板との間に挟持されていることを特徴とする複合パネル。
【請求項2】
前記係止部材はさらに前記摺動孔内に保持され前記係止装置本体よりも長い挿通体(ネジ)と、この挿通体の前記係止装置本体から突出した部分に設けられた保持体(ガイドナット)とを備え、係止穴内に配置された前記係止装置本体の前記座は、前記係止装置本体の端面と前記保持体との間に挿入操作されたクリッパーによって、その外周が外側に膨出して変形されてことを特徴とする複合パネル。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−144960(P2012−144960A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−13450(P2011−13450)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(510068183)株式会社セオコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(510068183)株式会社セオコーポレーション (2)
【Fターム(参考)】
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