説明

複合入力装置

【課題】回転操作部と押釦部との間にガタを生じさせない複合入力装置の提供。
【解決手段】導電パターン形成部2及び摺動子8を含む回転入力部を操作する回転操作部13と、この回転操作部13に昇降可能に配置され、固定接点3,4,5及び可動接点6を含む押圧入力部を操作する押釦部14とを備えると共に、回転操作部13と押釦部14とを一体化させる可撓性の連結部15を備えた構成にしてある。連結部15と、回転操作部13と、押釦部14とは、例えば一体形成させたゴム体から成っている。また、連結部15は、回転操作部13と押釦部14とを、押釦部14の全周で連結している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転に伴う信号を出力させる回転操作部と、押圧に伴う信号を出力させる押釦部を有し、携帯電話等の電子機器に活用される複合入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来技術として、例えば特許文献1に記載の技術がある。この従来技術は、回転操作を検出し信号を出力する回転入力部と、押圧操作を検出し信号を出力する押圧入力部と、上述の回転入力部を操作する回転操作部と、この回転操作部の中央部分に隙間を介して配置され、上述の押圧入力部を操作する押釦部とを備えている。この従来技術は、異なる信号を出力させる回転操作部の操作と押釦部の操作、すなわち、複合操作が可能になっている。
【特許文献1】特開2003−281972公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述した従来技術は、回転操作と押圧操作のそれぞれを検出できるが、回転操作部と押釦部との間に隙間が形成されていることから、この隙間によるガタが生じやすい。このために製品品位が低下しやすい問題があった。
【0004】
本発明は、上述した従来技術における実状からなされたもので、その目的は、回転操作部と押釦部との間にガタを生じさせない複合入力装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、回転に伴なう信号を出力する回転入力部を操作する回転操作部と、この回転操作部に昇降可能に配置され、押圧に伴う信号を出力する押圧入力部を操作する押釦部とを備え、上記回転操作部と上記押釦部とを一体化させる可撓性の連結部を備えたことを特徴としている。
【0006】
このように構成した本発明は、回転操作部と押釦部とを連結部を介して一体化したことから、回転操作部と押釦部とを隙間を介在させることなく連結でき、これらの回転操作部と押釦部との間にガタを生じさせることがない。
【0007】
また本発明は、上記発明において、上記連結部は、上記回転操作部と上記押釦部とを、上記押釦部の全周で連結して成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、回転操作部と押釦部とが、押釦部の全周にわたって連結部で連結されているので、回転操作部と押釦部との境界部分からの塵埃や異物の侵入を防止できる。
【0008】
また本発明は、上記発明において、上記連結部と上記回転操作部とは、一体形成したゴム体から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、回転操作部と、この回転操作部を操作する指との滑りをなくし、良好な回転操作性を確保できる。
【0009】
また本発明は、上記発明において、上記押釦部の操作面を、上記回転操作部の操作面よりも硬質に設定したことを特徴としている。このように構成した本発明は、回転操作部の操作感触と押釦部の操作感触とを異ならせることができ、良好な複合操作感触を確保できる。
【0010】
また本発明は、上記発明において、上記連結部と、上記回転操作部と、上記押釦部とは、一体形成したゴム体から成ることを特徴としている。このように構成した本発明は、連結部と回転操作部と押圧部とが1部材を形成するので部品数を少なくすることができる。
【0011】
また本発明は、上記発明において、上記回転操作部の外周縁に、導電性のカバー部材を備えたことを特徴としている。このように構成した本発明は、カバー部材を介して静電気を外部に逃がすことができ、回転入力部及び押圧入力部の電気的保護を実現できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、回転操作部と押釦部とを一体化させる可撓性の連結部を備えたことから、回転操作部と押釦部との間にガタを生じさせない構造とすることができ、これにより従来に比べて製品品位を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下,本発明に係る複合入力装置を実施するための最良の形態を図に基づいて説明する。
【0014】
図1は本発明の複合入力装置の第1実施形態を示す平面図、図2は図1のA−A断面図である。
【0015】
本実施形態は、例えば携帯電話に備えられるものであり、これらの図1,2に示すように、基台1上に回転入力部に含まれる導電パターン形成部2と、押圧入力部に含まれる中央固定接点3及び周辺固定接点4,5と、押圧入力部に含まれ、周辺固定接点4,5に常時導通し、中央固定接点3に選択的に導通するドーム状の金属薄板から成る可動接点6とを備えている。中央固定接点3、周辺固定接点4,5及び可動接点6を含み、押圧操作を検出して信号を出力する押圧入力部の外周側の所定位置に、導電パターン形成部2を含む回転入力部が配置されている。
【0016】
基台1の中央部分に形成した筒状部1aを回転軸として、回転体7を回転自在に装着させてあり、この回転体7の上述した導電パターン形成部2に対向する面部には、導電パターン形成部2に備えられる導電パターン上を摺動する摺動子8が取り付けられている。すなわち、摺動子8と導電パターン形成部2によって、回転操作を検出し信号を出力する回転入力部が構成されている。
【0017】
基台1の上面には、導電性材料から成る枠体9を固定してあり、この枠体9の一側端に形成した張出し部9aを、基台1に埋設されるアース端子10に導通させてある。
【0018】
回転体7の上面にはスペーサ11を配置してあり、このスペーサ11を、スペーサ11に備えられるフック部11aを介して回転体7に一体に係合させてある。
【0019】
本実施形態の要部を構成するつまみ12は、上述した回転入力部を操作する回転操作部13と、上述した押圧入力部を操作する押釦部14と、これらの回転操作部13と押釦部14とを、例えば押釦部14の全周で連結する連結部15とを備えている。回転操作部13は、例えばスペーサ11の上面に接着させてあり、押釦部14は基台1の筒状部1aの内部に回転自在に配置してある。この押釦部14の下端によって押圧入力部に備えられるドーム状の可動接点6の反転動作が可能になっている。
【0020】
また、上述した連結部15と回転操作部13と押釦部14とは、一体形成してあり、可撓性を有する材料、例えばゴムから成っている。すなわち、連結部15が可撓性を有すると共に、この連結部15と回転操作部13と押釦部14とによって1部材から成るゴム体が形成されている。
【0021】
押釦部14の上面には、この押釦部14の操作面を形成する金属材料から成るキャップ16を備えている。すなわち、押釦部14の操作面を、回転操作部13のゴムより成る操作面よりも硬質に設定してある。
【0022】
また、回転操作部13及びスペーサ11の外周縁には、導電性のカバー部材17を配置してあり、このカバー部材17の下端を、前述した枠体9に接近させるように配置してある。
【0023】
本実施形態は、回転操作部13のゴムより成る操作面に指を接触させて、その指により回転操作部13を回転させると、この回転操作部13と一体にスペーサ11及び回転体7が、基台1の筒状体1aを中心にして回転し、回転体7に設けた摺動子8が、基台1に設けた導電パターン形成部2の導電パターン上を摺動し、所定の回転信号が出力される。
【0024】
また、硬質の操作面、すなわち金属材料から成るキャップ16を介して押釦部14を押圧すると、この押釦部14が下降して基台1に設けた可動接点6が押釦部14の下端によって押されて反転し、この可動接点6が中央固定接点3にも導通する。これにより所定の押圧信号が出力される。なお、押釦部14に対する押圧力を解除すると、可動接点6は自身の保有するばね力により初期形状に復帰し、これに伴って押釦部14が初期位置まで上昇する。このように、本実施形態は回転操作と押圧操作のそれぞれに応じて信号を出力させることができる。
【0025】
このように構成した本実施形態は、回転操作部13と押釦部14とを可撓性を有する連結部15を介して一体化したことから、回転操作部13と押釦部14とを隙間を介在させることなく連結でき、これらの回転操作部13と押釦部14との間にガタを生じさせることがない。これによって、優れた製品品位が得られる。
【0026】
また、回転操作部13と押釦部14とが、押釦部14の全周にわたって連結部15で連結されているので回転操作部13と押釦部14との境界部分からの塵埃や異物の侵入を防止できる。これにより、回転入力部及び押圧入力部を塵埃等から保護することができ、信頼性の高い製品とすることができる。
【0027】
また、回転操作部15がゴム体から成ることから、回転操作部15と、この回転操作部15を操作する指との滑りをなくすことができ、良好な回転操作性を確保できる。したがって、優れた複合操作性の実現に貢献する。
【0028】
また、押釦部14の操作面を、回転操作部13の操作面を形成するゴムよりも硬質の材料、すなわち金属材料から成るキャップ16によって形成してあることから、回転操作部13の操作感触は比較的柔らかく、押釦部14の操作感触は硬い、すなわち、回転操作部13の操作感触と押釦部14の操作感触とを異ならせることができ、良好な複合操作感触を確保できる。したがって、これによっても優れた複合操作性の実現に貢献する。
【0029】
また、連結部15と、回転操作部13と、押釦部14とは、一体形成したゴム体から成っているので、これらの連結部15と、回転操作部13と、押釦部14とを1部材とすることができ、部品数を少なくすることができる。したがって、組立作業等の能率向上を実現できる。
【0030】
また、回転操作部13の外周縁に、導電性のカバー部材17を配置してあることから、静電気をカバー部材17、枠体9の張出し部9aを介してアース端子10に逃がすことができ、回転入力部及び押圧入力部の電気的保護を実現できる。これによっても信頼性の高い製品とすることができる。
【0031】
さらに、上述したカバー部材17によってゴム体より成る回転操作部13の外周縁が外部に露出しないように覆われるので、回転操作部13が外力を受けてスペーサ11から剥離することを防止でき、回転操作部13からスペーサ11を介して回転体7に回転力を確実に伝えることができ、この点で優れた耐久性を有する。
【0032】
図3は本発明の第2実施形態を示す図2に相応する断面図である。この第2実施形態は、つまみ18を構成する連結部21と回転操作部19とを、可撓性を有する材料、例えばゴムから成る一体形成物にしてあり、押釦部20を、これらの連結部21及び回転操作部19とは別体の、例えば合成樹脂によって形成してある。この第2実施形態もゴム体より成る連結部21は、回転操作部19と押釦部20とを、例えば押釦部20の全周で連結、すなわち密着させて一体化させた構成にしてある。また、押釦部20及び連結部21の上面を覆うように、硬質の材料、例えば金属材料から成るキャップ16を備えている。その他の構成は、前述した第1実施形態におけるのと同様である。
【0033】
このように構成した第2実施形態も、回転操作部19と押釦部20とを一体化させる可撓性の連結部21を備えていることから、上述した第1実施形態におけるのと同等の作用効果が得られる。また、回転操作部19及び連結部21と、押釦部20とが2部材となって第1実施形態におけるような1部材とはならない点を除いて、上述した第1実施形態において得られる他の作用効果と同等の作用効果を得ることができる。
【0034】
なお、上記各実施形態では、可撓性を有する連結部15,21がゴムから成っているが、本発明は、このようにゴムによって連結部21を形成することには限られず、可撓性を有する合成樹脂によって形成することもできる。
【0035】
また上記では、連結部15,21を押釦部20の全周にわたって連結するように構成してあるが、塵埃等の侵入の虞がない場合などにあっては、全周にわたって連結しなくてもよい。例えば所定寸法ごとに隙間を形成し、その隙間の間に位置する連結部15,21の部分だけで押釦部20に連結させるように構成してもよい。
【0036】
また上記では、押釦部20の上面に操作面を形成するキャップ16を設けてあるが、このようなキャップ16を設けないで、押釦部20の上面を操作面として外部に露出させる構成にしてもよい。
【0037】
また上記では、回転操作部13をスペーサ11を介して回転体7に接続させてあるが、スペーサ11を設けずに、回転操作部13を回転体7に直に接続する構成にしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の複合入力装置の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態を示す図2に相応する断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1 基台
1a 筒状部
2 導電パターン形成部(回転入力部)
3 中央固定接点(押圧入力部)
4 周辺固定接点(押圧入力部)
5 周辺固定接点(押圧入力部)
6 可動接点(押圧入力部)
7 回転体
8 摺動子(回転入力部)
9 枠体
9a 張出し部
10 アース端子
11 スペーサ
11a フック部
12 つまみ
13 回転操作部
14 押釦部
15 連結部
16 キャップ
17 カバー部材
18 つまみ
19 回転操作部
20 押釦部
21 連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転に伴なう信号を出力する回転入力部を操作する回転操作部と、この回転操作部に昇降可能に配置され、押圧に伴う信号を出力する押圧入力部を操作する押釦部とを備え、
上記回転操作部と上記押釦部とを一体化させる可撓性の連結部を備えたことを特徴とする複合入力装置。
【請求項2】
上記請求項1記載の発明において、
上記連結部は、上記回転操作部と上記押釦部とを、上記押釦部の全周で連結して成ることを特徴とする複合入力装置。
【請求項3】
上記請求項1記載の発明において、
上記連結部と上記回転操作部とは、一体形成したゴム体から成ることを特徴とする複合入力装置。
【請求項4】
上記請求項1記載の発明において、
上記押釦部の操作面を、上記回転操作部の操作面よりも硬質に設定したことを特徴とする複合入力装置。
【請求項5】
上記請求項1記載の発明において、
上記連結部と、上記回転操作部と、上記押釦部とは、一体形成したゴム体から成ることを特徴とする複合入力装置。
【請求項6】
上記請求項1記載の発明において、
上記回転操作部の外周縁に、導電性のカバー部材を備えたことを特徴とする複合入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−4711(P2006−4711A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−178457(P2004−178457)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】