説明

複合包装体

【課題】製造コストを削減しながら、簡易な注出具を備える複合包装体を提供する。
【解決手段】内容物を充填した内袋20と外箱とを有し、内袋20に取り付けられた注出具50が外箱から外方に突出する複合包装体10であって、内袋20は内容物を収納する収納部20aとノズル部20bを有し、管状体51はノズル部20b内部に収納されるとともに収納部20aとノズル部20bの連接部分において内袋20により挟持され、筒状体52はノズル部20b内部に収納された管状体51の外周に嵌合され、外箱の側面上部に設けられた切り欠きにおいて筒状体52の第1フランジ部52a及び第2フランジ部52bが外箱の側面を挟持し、挟持部分28の少なくとも一端に連接するシール辺27を湾曲してヒートシールした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液状又はゲル状の流動物を包装する複合包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1にはバックインボックス(Bag In Box)が開示されている。バックインボックスは段ボ−ル箱などを外装とし、内装にプラスチックフィルムの内袋を使用する複合包装体である。バックインボックスは牛乳、クリーム等の乳製品、酒、ワイン、ジュースなどの液体飲料、油、醤油、ソースなどの食品、シャンプーなどの液体雑貨品、試薬、薬品などの液状又はゲル状の流動物を充填包装することができる。
【0003】
このバッグインボックスにおいて、内容物に対する耐水性、耐薬品性、ガスバリヤ−性は内袋が有する。また、輸送上、使用上に必要な剛性は段ボ−ル箱などの外装が有する。また、内袋に設けられた注出具が外装に突出しており注出具から内容物を取り出すことができる。特許文献2には内容物を小出しするための注出具が開示されている。この注出具は内袋の孔に嵌合させて気密性を保持した状態で取り付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−208653号公報
【特許文献2】特開2008−150050号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の複合包装体によると、注出具の気密性を確保するため、内袋には複数枚のフィルムを互いに接着することなく重ね合わせる二重体構造が採用されていた。また、特許文献2によると、注出具の構造が複雑となり価格の高いものになっていた。このため、複合包装体全体の製造コストがかさむ問題があった。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑み、製造コストを削減しながら、簡易な注出具を備える複合包装体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明は、内容物を充填した内袋と前記内袋を収納する外箱とを有し、前記内袋に取り付けられた注出具が前記外箱から外方に突出する複合包装体であって、前記内袋は内容物を収納する収納部と前記収納部に連接されるノズル部を有し、前記内袋は少なくとも最内層に熱接着性樹脂層を含む積層体を対向させて周縁部をヒートシールすることにより形成され、前記注出具は管状体と筒状体とで構成され、前記管状体は前記ノズル部内部に収納されるとともに前記収納部と前記ノズル部の連接部分において前記内袋により挟持され、前記挟持部分はヒートシールされ、前記筒状体は前記ノズル部内部に収納された前記管状体の外周に嵌合され、前記筒状体は開口する両端から径方向にそれぞれはり出す第1フランジ部及び第2フランジ部を有し、前記外箱の側面上部に設けられた切り欠きにおいて前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部が前記外箱の側面を挟持して前記外箱に前記注出具が固定され、前記挟持部分の少なくとも一端に連接するシール辺が湾曲してヒートシールされることを特徴としている。
【0008】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、湾曲してヒートシールされる前記シール辺の一端は前記挟持部分と連接する他端より上部に設けられることを特徴としている。
【0009】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記湾曲してヒートシールされる前記シール辺は前記内袋の周縁から所定幅の未接着領域が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記未接着領域の幅が1〜5mmであることを特徴としている。
【0011】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記管状体の前記収納部側に開口する流入口周縁から線状の支持体が複数延出していることを特徴としている。
【0012】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記管状体の前記収納部側に開口する流入口周縁から延出する壁部が連接され、前記壁部には複数の孔が設けられていることを特徴としている。
【0013】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記管状体は前記ノズル部側に開口する流出口に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴としている。
【0014】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記管状体の外周に雄ネジ部が設けられ、前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を内周に備える蓋栓により前記管状体の先端が閉栓されることを特徴としている。
【0015】
また本発明は、上記構成の複合包装体において、前記管状体の前記流出口の内周に嵌合する凸部を備える蓋栓により前記管状体の先端が閉栓されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0016】
本発明の第1の構成によれば、注出具を構成する筒状体の第1フランジ部及び第2フランジ部により外箱の側面上部に注出具を簡易に固定することができる。このとき、注出具は外箱の側面上部に設けられているため、内容物の荷重が注出具にかかり内容物が漏れ出すことはない。このため、内袋を構成する積層体を簡素化しても内容物を密封収納することができる。
【0017】
また、注出具は管状体と筒状体とで構成され、管状体はノズル部内部に収納されるとともに収納部とノズル部の連接部分において内袋により挟持される。そして、挟持部分はヒートシールされる。このため、内袋の収納部は筒状体を介して外部と導通する。また、内袋内部はノズル部を引き裂くまで密封されている。したがって、ノズル部の挟持部分より上方を引き裂くと、内袋が開封されて管状体の先端が外部に開口する。
【0018】
また、注出具は切り欠きにより位置決めされる。このため、注出具を切り欠きに固定するために管状体を傾けると管状体を挟持する挟持部分も傾く。そして、挟持部分と連接するシール辺は挟持部分の傾き方向に引っ張られる。このとき、挟持部分と連接するシール辺は湾曲してヒートシールされている。このため、シール辺は挟持部分に連動して引っ張られても緊張することなく十分撓んだ状態を維持することができる。これにより、挟持部分近傍に負荷がかかった場合でもシール辺が有する撓みで負荷が軽減される。したがって、挟持部分と連接するシール辺が破断するのを防ぐことができる。
【0019】
本発明の第2の構成によれば、上記第1の構成の複合包装体において、湾曲してヒートシールされるシール辺の一端は挟持部分と連接する他端より上部に設けられている。このため、湾曲するシール辺をより大きく撓まして形成することができる。これにより、シール辺に大きな負荷をかけることなく管状体を自在に傾けることができる。したがって、外箱内で内袋が揺れた場合でも挟持部分と連接するシール辺が内容物の荷重で破断するのを防ぎ、外箱内に内袋を安定的に保持することができる。
【0020】
本発明の第3の構成によれば、上記第1の構成又は第2の構成の複合包装体において、シール辺に内袋の周縁から所定幅の未接着領域を設けることにより、管状体を傾けたときシール辺に負荷がかかっても未接着領域を起点として破断が発生し難い。
【0021】
また、本発明の第4の構成によれば、上記第3の構成の複合包装体において、未接着領域の幅を1〜5mmとすることにより、シール辺における破断を防ぐことができる。
【0022】
また、本発明の第5の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの複合包装体において、内袋が内容物の表面張力により密着して管状体の流入口につながる内容物の流路を塞ぐことがあるが、管状体の流入口周縁から線状の支持体が複数延出しており、支持体が内袋の接着を防止する。これにより、内容物を管状体から円滑に注出することができる。
【0023】
また、本発明の第6の構成によれば、上記第1の構成〜第4の構成のいずれかの複合包装体において、内袋が内容物の表面張力により密着して管状体の流入口につながる内容物の流路を塞ぐことがあるが、管状体の流入口周縁から延出する壁部が連接されており、壁部が内袋の接着を防止する。また、壁部には複数の孔が設けられており、孔を通って内容物が管状体の流入口へ流入する。これにより、内容物を管状体から円滑に注出することができる。
【0024】
また、本発明の第7の構成によれば、上記第1の構成〜第6の構成のいずれかの複合包装体において、管状体は内袋外部側に開口する流出口に近づくにつれ内径が小さくなっており、内容物をより円滑に注出することができる。
【0025】
また、本発明の第8の構成によれば、上記第1の構成〜第8の構成のいずれかの複合包装体において、管状体の外周に雄ネジ部が設けられ、雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を内周に備える蓋栓により管状体の先端を閉栓して内袋内部の密封性を保持することができる。
【0026】
また、本発明の第9の構成によれば、上記第1の構成〜第8の構成のいずれかの複合包装体において、管状体の流出口の内周に嵌合する凸部を備える蓋栓により簡易に管状体の先端を閉栓して内袋内部の密封性を保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る複合包装体の斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る複合包装体を構成する内袋の平面図である。
【図3】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる管状体の変形例を示す平面図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる筒状体の斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出具の外箱への取り付け方法を示す分解斜視図である。
【図6】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出方法を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出具の取り付け方法を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出具の取り付け方法を示す斜視図である。
【図9】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出具の取り付け方法を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る複合包装体の注出具の変形例を示す断面図である。
【図11】本発明の実施形態に係る複合包装体に用いる内袋の層構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は本実施形態に係る複合包装体10の斜視図であり、図2は複合包装体10を構成する内袋20の平面図である。
【0029】
複合包装体10は外箱30内に軟質性の内袋20を収納保持して構成される。外箱30は側面を構成する側面板31、32、33、34と天板35と底板36とからなる。側面板33の上部には切り欠き33a(図5参照)が設けられている。外箱30内部には内容物を充填した内袋20が収納される。内袋20に設けられた注出具50は切り欠き33aに取り付けられ固定される。
【0030】
内袋20は基材層41と中間層42と熱接着性樹脂層43とを含む軟質性の積層フィルム40(図11参照)により構成されている。積層フィルム40の熱接着性樹脂層43を対向させて周縁部を所定幅でヒートシールすることにより内袋20が形成される。内袋20は内容物が充填される収納部20aと収納部20aと連接するノズル部20bを有する。内袋20は一対の側辺23、24を有する。側辺23、24の下端は底辺25と交差する。なお、底辺25の代わりに自立性を有するシールパターンでヒートシールしたガセット部を形成してもよい。
【0031】
側辺23の上端は挟持部分28と連接しており、側辺23と挟持部分28は略直交している。挟持部分28はノズル部20bと連接している。ノズル部20bの外周縁はヒートシールされており、ノズル部20b内部に管状体51が収納されている。管状体51は挟持部分28において内袋20により挟持され、挟持部分28はヒートシールされている。挟持部分28のもう一方の他端はシール辺27と連接している。シール辺27は湾曲するようにヒートシールされている。また、シール辺27の一端は挟持部分28と連接する他端より上部に設けられている。上部に設けられたシール辺27の一端は充填部26と連接している。充填部26は開口した状態で内容物が充填され、内容物の充填後、ヒートシールにより封止される。
【0032】
注出具50は管状体51と筒状体52とで構成される。筒状体52はノズル部20b内に収納された管状体51の外周に嵌合する。管状体51の両端には流入口51a及び流出口51bが設けられ、これらは導通している。流入口51aは収納部20a内部に配置され、流出口51bは収納部20a外部に配置される。
【0033】
ノズル部20bの両側上部には開封手段としてノッチ20dが設けられている。ノッチ20dを起点にしてノズル部20bを水平方向きに引き裂くと、内袋20が開封されて、管状体51の流出口51bが外部に開口する。これにより、内容物は流入口51aから管状体51を介して流出口51bより外部へ注出される。なお、管状体51は流出口51bに近づくにつれ内径が小さくなっている。これにより、内容物を管状体51から円滑に注出することができる。
【0034】
また、管状体51の流入口51a周縁から線状の支持体51cが複数延出している。内袋20は内容物の表面張力により対向する積層フィルム40同士が密着して管状体51の流入口51aにつながる流路を塞ぐことがある。しかし、支持体51cは流入口51a近傍において対向する積層フィルム40を支持する。これにより、流入口51a近傍における内容物の流路が常に確保される。したがって、管状体51から内容物を円滑に注出することができる。なお、支持体51cは対向する積層フィルム40を安定的に支持するために3本以上設けることが好ましい。また、流入口51aの周縁上において等間隔に支持体51cを設けることでさらに安定的に対向する積層フィルム40を支持することができる。また、支持体51cは流入口51aを中心にして放射状に広がるように延出させて設けることが好ましい。
【0035】
図3は管状体51の変形例を示す平面図である。図3に示すように、支持体51cの代わりに管状体51の流入口51a周縁から壁部51dを連接してもよい。壁部51dは流入口51aの周縁から延出しており、流入口51a近傍において対向する積層フィルム40を支持する。これにより、流入口51a近傍における内容物の流路が常に確保される。また、壁部51dには複数の孔51eが設けられている。これにより、孔51eを通って内容物が流入口51aへ流入する。なお、壁部51は流入口51aの全周を囲むように設けてもよいし、一部に切り込みを設けてもよい。
【0036】
図4は筒状体52の斜視図である。図4に示すように、筒状体52は筒状の胴体部52cの両端が開口しており、開口する両端から径方向にそれぞれ第1フランジ部52a及び第2フランジ部52bが張り出している。ノズル部20bに収納された管状体51の流出口51b側先端を第2フランジ部52b側の孔に差込み、第1フランジ部52a側の孔から引き出す。これにより、ノズル部20bに収納された状態の管状体51の外周に筒状体52を嵌合することができる。筒状体52と管状体51とはホットメルト接着剤により接着固定される。なお、第1フランジ部52aは円状であり、第2フランジ52bは四角形状である。また、第1フランジ部52aには管状体51の先端に嵌合する蓋栓51g(図9参照)と接続する付け紐を取り付けてもよい。
【0037】
図5は切り欠き33aにおける注出具50の取り付け方法を示す分解斜視図である。図5に示すように、外箱30の側面板33上部には切り欠き33aが設けられ、切り欠き33aに筒状体52を取り付ける。切り欠き33aは筒状体52の胴体52cの外径と略同一の幅を有し、開口する切り欠き33a上方から胴体52cを下方(白抜き矢印方向)に差し込む。また、切り欠き33aの深さは胴体52cの外径より大きい。このため、切り欠き33aの底部まで胴体52cを差し込んだときに胴体52cの外周が側面板33の上辺からはみ出すことがない。これにより、外箱30上部を天板35で閉蓋したときにはみ出した胴体52cにより天板35が浮き上がることはない。
【0038】
また、筒状体52は第1フランジ部52aと第2フランジ部52bを有し、第1フランジ部52aと第2フランジ部52bの間の幅は側面板33の板紙の厚みより若干小さい。このため、胴体52cを切り欠き33aの上方から下方に差し込んでいくと、切り欠き33aの底部において第1フランジ部52aと第2フランジ部52bが側面板33を挟持する。これにより、注出具50が外箱30に安定的に固定される。
【0039】
内袋20を外箱30内で自立させた場合、挟持部分28は側辺23の上端と略直交して連接しており、管状体51及び筒状体52は上方に起立する(図2参照)。このため、注出具50を外箱30の側面板33上部の切り欠き33aに取り付けるためには管状体51を側方に傾ける必要がある。このとき、管状体51を挟持する挟持部分28も側方に傾くため挟持部分28と連接するシール辺27も同方向に引っ張られる。
【0040】
ここで、シール辺27は湾曲して形成されている。このため、シール辺27は連接する挟持部分28に連動して引っ張られても緊張することなく十分撓んだ状態が維持される。これにより、挟持部分28近傍に負荷がかかった場合でもシール辺27が有する撓みで負荷が軽減される。したがって、シール辺27が破断するのを防ぐことができる。
【0041】
また、シール辺27の一端は挟持部分28と連接する他端より上部に設けられている。このため、湾曲するシール辺27をより大きく撓まして形成することができる。これにより、シール辺27に大きな負荷をかけることなく管状体51を自在に傾けることができる。したがって、シール辺27に大きな負荷がかかった場合でもシール辺27が破断するのを防ぐことができる。
【0042】
なお、シール辺27に内袋20の周縁から所定幅の未接着領域を設けてもよい。内袋20の周縁から所定幅の未接着領域を設けることにより、シール辺27に負荷がかかっても未接着領域を起点として破断が発生するのを防ぐことができる。また、内袋20周縁の破れを防止するために内袋20の外周全体に未接着領域を設けてもよい。
【0043】
また、この未接着領域の幅を1〜5mmとすることが好ましい。これにより、シール辺27における破断を安定的に防ぐことができる。
【0044】
図6は複合包装体10の注出方法を示す斜視図である。複合包装体10は注出具50が外箱30上部に設けられ、管状体51の流出口51bが側方に向いている。このため、流出口51bが下方に向くように複合包装体10を傾けることにより流出口51bから内容物を注出ことができる。籠体60は支持台61により浮いた状態で支点62により支持されている。支点62は籠体60を回動自在に2点で挟持している。これにより、籠体60は対向する支点62を回転軸として容易に傾けることができる。したがって、複合包装体10を籠体60に収納することで、内容物の容量が大きい複合包装体10であっても籠体60を傾けながら注出具50から内容物を容易に注出することができる。
【0045】
図7〜図9は注出具50の取り付け方法を示す斜視図である。図7に示すように、内容物が封入される前の内袋20は充填部26が開口しており、挟持部分28にはノズル部20bが連接されている。ノズル部20bの外周縁はヒートシールされており、管状体51を挿入することができる挿入路20cが形成されている。充填部26から管状体51を内袋20内部に入れて流出口51b側の先端から管状体51を挿入路20cに挿入する。これにより、管状体51がノズル部20b内部に収納される。なお、ノズル部20bの両側上部には開封手段としてノッチ20dが設けられている。開封手段はノッチ20dに加えて開封方向にハーフカットライン又はレーザカットラインを設けてもよい。
【0046】
図8に示すように、管状体51を挿入路20cに挿入した後、挟持部分28で管状体51を挟持しながら、挟持部分28をヒートシールする。これにより、管状体51の挟持部分28が封止される。なお、挟持部分28の内径を管状体51の外径より大きく狭めて形成してもよい。これにより、挿入路20cに管状体51を押し込みながら挿入することで、管状体51を挿入路20c内に密着して収納することができる。これにより、挟持部分28をヒートシールすることなく挟持部分28における液漏れを防ぐことができる。この場合、管状体51とノズル部20bを部分的にヒートシールして固定してもよい。これにより、管状体51を挿入路20c内に安定的に保持することができる。
【0047】
次に、管状体51が収納されたノズル部20bの上方から筒状体52を嵌合する。筒状体52とノズル部20bの外周とはホットメルト接着剤により固定する。なお、ホットメルト接着剤は部分的に塗布することで筒状体52とノズル部20bの外周とを固定することができる。
【0048】
筒状体52をノズル部20bに嵌合したとき、ノッチ20dは第1フランジ部52aより上部に位置する。また、ノッチ20dは管状体51の流出口51dより下部に位置する(図2参照)。これにより、ノッチ20dを起点にしてノズル部20bを水平方向きに引き裂くことができる。このとき、挿入路20cが開封されて管状体51の流出口51bが外部に開口する。
【0049】
図9に示すように、管状体51の外周の先端側に雄ネジ部51fを設けてもよい。これにより、雄ネジ部51fと螺合可能な雌ネジ部51hを内周に備える蓋栓51gを取り付けて流出口51bを閉栓することができる。したがって、ノッチ20dを切り裂いて内袋20を開封した後も蓋栓51gにより内袋20内部を密封することができる。
【0050】
図10は蓋栓の変形例であり、図10に示すように、管状体51の流出口51bの内周に嵌合する凸部51jを備えた蓋栓51iを用いてもよい。これにより、管状体51をより簡易に閉栓することができる。
【0051】
図11は、内袋20を構成する積層フィルム40の層構成を示す断面図である。内袋20を構成する軟質性の積層フィルム40は、最外層である基材層41と中間層42と最内層である熱接着性樹脂層43を順次積層して構成される。基材層41と中間層42及び熱接着性樹脂層43と中間層42の間には接着層44が形成されている。
【0052】
基材層41は、内袋20が物理的及び化学的に過酷な条件におかれる場合、内袋20に高い密封性、耐突き刺し(耐ピンホール)性、耐熱性、耐光性、品質保全性、作業性、衛生性等を付与するものである。
【0053】
基材層41としては2軸延伸ナイロンフィルム、2軸延伸ポリプロピレンフィルム、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルム等の単体ないしそれらの積層体が用いられ、2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムが特に好適に用いられる。2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムの具体的な材質としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレン−2、6−ナフタレート樹脂、ポリブチレン−2、6−ナフタレート、ポリシクロヘキサンジメチレンテレフタレート樹脂等の各種のポリエステル系樹脂を使用することができる。
【0054】
2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムは、例えば、上記のポリエステル系樹脂の1種ないし2種以上を使用し、押し出し法、キャスト成形法、Tダイ法、切削法、インフレーション法等の製膜化法を用いて、上記の各種の樹脂を単独で製膜化する方法、或いは、2種以上の各種の樹脂を使用して多層共押し出し製膜化する方法、更には、2種以上の樹脂を製膜化する前に予め混合して製膜化する方法等により、ポリエステル系樹脂フィルムを製造し、更に、例えばテンター方式、或いはチューブラー方式等を利用して1軸ないし2軸方向に延伸してなる2軸延伸ポリエステル系樹脂フィルムを使用することができる。基材フィルム41の膜厚としては、3〜50μm程度、より好ましくは、5〜30μm程度が望ましい。
【0055】
中間層42としては、例えば低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリ(メタ)アクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS系樹脂)、アクリロニトリル−ブタジエンスチレン共重合体(ABS系樹脂)、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ニトロセルロース等の公知の樹脂フィルムないしシートを任意に選択して使用することができる。
【0056】
上記のフィルムないしシートは、未延伸、1軸ないし2軸方向に延伸されたもの等のいずれのものでも使用することができる。好ましいものとしては、二軸延伸ナイロンフィルムを挙げることができる。
【0057】
熱接着性樹脂層43は、熱によって溶融して対向する積層フィルム40を相互に融着し得るものであればよく、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状(線状)低密度ポリエチレン、メタロセン触媒(シングルサイト触媒)を使用して重合したエチレン・α−オレフィン共重合体、ポリプロピレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、メチルペンテンポリマー、ポリエチレンまたはポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂をアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマール酸等の不飽和カルボン酸で変性した酸変性ポリオレフィン系樹脂等から選ばれた1種ないし2種以上を使用することができる。好ましいものとしては、直鎖状低密度ポリエチレンを挙げることができる。熱接着性樹脂層43の厚さとしては、ヒートシール性等を考慮すると、10μm〜100μm程度、特に15μm〜50μm程度であることが好ましい。
【0058】
接着層44は、積層フィルムを構成する基材層41、中間層42、熱接着性樹脂層43を強固に密着させて層間剥離(デラミネーション)の発生を防止するものである。接着層44を構成するラミネート用接着剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、アクリル酸のエチル、ブチル、2−エチルヘキシルエステル等のホモポリマー、或いは、これらとメタクリル酸メチル、アクリロニトリル、スチレン等との共重合体等からなるポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸等のモノマーとの共重合体等からなるエチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、ポリイミド系接着剤、尿素樹脂またはメラミン樹脂等からなるアミノ樹脂系接着剤、フェノール樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤、反応型(メタ)アクリル系接着剤、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、スチレン−ブタジエンゴム等からなるゴム系接着剤、シリコーン系接着剤、アルカリ金属シリケート、低融点ガラス等からなる無機系接着剤等を使用することができる。
【0059】
また、接着層44を設けない場合、中間層42を構成するフィルムの両面に溶融した基材層41を構成する樹脂及び熱接着性樹脂層43を構成する樹脂をそれぞれ押出して積層することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、内容物としてバックインボックスは牛乳、クリーム等の乳製品、酒、ワイン、ジュースなどの液体飲料、油、醤油、ソースなどの食品、シャンプーなどの液体雑貨品、試薬、薬品などを充填包装する複合包装体に利用可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 複合包装体
20 内袋
20a 収納部
20b ノズル部
20c 挿入路
20d ノッチ
23、24 側辺
25 底辺
26 充填部
27 シール辺
28 挟持部分
30 外箱
31〜34 側面板
35 天板
36 底板
40 積層フィルム
41 基材層
42 中間層
43 熱接着性樹脂層
44 接着層
50 注出具
51 管状体
51a 流入口
51b 流出口
51c 支持体
51d 壁部
51e 孔
51f 雄ネジ部
51g 蓋栓
51h 雌ネジ部
51i 蓋栓
51j 凸部
52 筒状体
52a 第1フランジ部
52b 第2フランジ部
52c 胴体部
60 籠体
61 支持台
62 支点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を充填した内袋と前記内袋を収納する外箱とを有し、前記内袋に取り付けられた注出具が前記外箱から外方に突出する複合包装体であって、前記内袋は内容物を収納する収納部と前記収納部に連接されるノズル部を有し、前記内袋は少なくとも最内層に熱接着性樹脂層を含む積層体を対向させて周縁部をヒートシールすることにより形成され、前記注出具は管状体と筒状体とで構成され、前記管状体は前記ノズル部内部に収納されるとともに前記収納部と前記ノズル部の連接部分において前記内袋により挟持され、前記挟持部分はヒートシールされ、前記筒状体は前記ノズル部内部に収納された前記管状体の外周に嵌合され、前記筒状体は開口する両端から径方向にそれぞれはり出す第1フランジ部及び第2フランジ部を有し、前記外箱の側面上部に設けられた切り欠きにおいて前記第1フランジ部及び前記第2フランジ部が前記外箱の側面を挟持して前記外箱に前記注出具が固定され、前記挟持部分の少なくとも一端に連接するシール辺が湾曲してヒートシールされることを特徴とする複合包装体。
【請求項2】
湾曲してヒートシールされる前記シール辺の一端は前記挟持部分と連接する他端より上部に設けられることを特徴とする請求項1に記載の複合包装体。
【請求項3】
前記湾曲してヒートシールされる前記シール辺は前記内袋の周縁から所定幅の未接着領域が設けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の複合包装体。
【請求項4】
前記未接着領域の幅が1〜5mmであることを特徴とする請求項3に記載の複合包装体
【請求項5】
前記管状体の前記収納部側に開口する流入口周縁から線状の支持体が複数延出していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項6】
前記管状体の前記収納部側に開口する流入口周縁から延出する壁部が連接され、前記壁部には複数の孔が設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項7】
前記管状体は前記ノズル部側に開口する流出口に近づくにつれ内径が小さくなることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項8】
前記管状体の外周に雄ネジ部が設けられ、前記雄ネジ部と螺合可能な雌ネジ部を内周に備える蓋栓により前記管状体の先端が閉栓されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合包装体。
【請求項9】
前記管状体の前記流出口の内周に嵌合する凸部を備える蓋栓により前記管状体の先端が閉栓されることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の複合包装体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−224360(P2012−224360A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92250(P2011−92250)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】