説明

複合成形体の製造方法および装置

【課題】比較的小さな装置スペースにて、短時間のうちに効率よく、容易に、しかも低コストで、目標とする複合成形体を製造可能な、複合成形体の製造方法および装置を提供する。
【解決手段】1台の竪型プレス機に、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂をプレス動作による型締動作と連動させて型内に射出する射出成形用ステーションを設けるとともに、該射出成形用ステーション以外の他工程用ステーションを少なくとも1つ併設することにより、1台のプレス機に対し複合成形体製造用動作のための一連のステーションを形成し、該一連のステーションにおける前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送するとともに、全ステーションにおける動作をプレス機によるプレス動作と連動させて行うことを特徴とする複合成形体の製造方法、および製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合成形体の製造方法および装置に関し、とくに、所望の形態、機械特性を有する繊維強化熱可塑性樹脂の複合成形体を効率よく容易に低コストで製造できる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維強化熱可塑性樹脂成形体の製造方法としては射出成形が一般的であり、通常、熱可塑性溶融樹脂中に短繊維の強化繊維を含有させた状態で成形型としての金型内に射出し、樹脂を冷却固化させて所定形状の成形品を得るようにしている。しかし、このような通常の射出成形品では、熱可塑性樹脂が短繊維の強化繊維のみで補強されており、補強効果に限界があるため、剛性などの力学特性の観点から用途が限定されていた。
【0003】
このような限界を打破するために、より高い強度、剛性を有する長繊維強化樹脂や連続繊維強化樹脂で補強する方法が考えられる。しかし、成形品全体を効率よく製造するためには、上記射出成形短織維強化樹脂と長繊維あるいは連続繊維強化樹脂とを一体成形することが望まれるが、容易に一体成形するのは困難であった。すなわち、通常の射出成形法では、相当高い溶融樹脂供給圧が必要であるため、とくに成形すべき成形品が比較的大きな面積を有し、肉厚が薄いような場合、その大面積全体にわたって短繊維強化樹脂を充填させるには相当な高圧が必要である。この状態では、成形機に極めて高い型締力が要求されると同時に、長繊維あるいは連続繊維強化樹脂とを複合一体化しようとした際にその高圧のために、型内に配置した強化繊維と熱可塑性樹脂からなる予備成形体は、その意図した配置や、あるいは予備成形体そのものの意図した形状を保持できなくなるような不具合を生じやすい。また、残留歪が少なく、それによる反り等の変形が小さな成形を行うためには、成形品全面にわたってほぼ均―な圧カをかけることが望まれるが、上記のように高圧が要求され、しかも大面積の揚合、均―な圧力の付与が難しくなる。さらに、通常の射出成形機は横型に設置され、射出機の射出端に金型が設けられるが、このような装置を用いて、上記長繊維あるいは連続繊維強化樹脂の予備成形体を射出成形短繊維強化樹脂補強のためのインサート体として金型内に前もって挿入しておこうとする場合、インサート体の挿入方法、金型への把持方法等に特別の工夫が必要になり、操作、設備が複雑になるという問題がある。
【0004】
このように、射出成形短繊維強化樹脂成形体を長繊維あるいは連続繊維強化樹脂との一体成形により補強することは、従来技術では容易なことではない。なお、熱可塑性樹脂シートと熱可塑性樹脂製の部材とをプレス成形装置の金型内で一体化する技術は知られているが(例えば、特許文献1、2)、これら従来技術は、熱可塑性樹脂のみを主体とした成形を意図したもので、高い機械的特性(強度、剛性)を要求されるような構造体の成形、とくに繊維強化熱可塑性樹脂の複合成形体の成形が可能なものでない。
【0005】
また、射出成形により所定形態の繊維強化樹脂成形体、とくに複合成形体を成形しようとする場合、成形体への要求仕様や成形体の形状の複雑さにもよるが、通常、複数の工程を要する。例えば、射出成形に対し、予め成形された予備成形体を予熱する予熱工程や、射出成形前に基材を所望の形態に整えるトリミングや賦形工程などが必要になることが多い。射出成形を含めた一連の工程は、所定順に行われる必要があるが、通常、これらの工程は時間的に順次行われ、かつ、互いに別の場所で行われることが多い。そのため、基材準備から成形体製造完了までをみると、比較的長時間を要し、一連の装置全体も大きなスペースを要する比較的大がかりなものとなり、生産性の向上やコストダウンに限界が生じることとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−276257号公報
【特許文献2】特開2001−121561号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の課題は、上記のような従来の射出成形技術の実情に鑑み、比較的小さな装置スペースにて、短時間のうちに効率よく、容易に、しかも低コストで、目標とする複合成形体を製造可能な、とくに、比較的大きな面積を有する複合成形体、さらにはその肉厚が薄い成形体に対しても、特別な手法によることなく低圧で容易にかつ反り等の変形を抑えて精度よく所望の形態に一体成形することが可能な、複合成形体の製造方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る複合成形体の製造方法は、1台の竪型プレス機に、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂を前記プレス機のプレス動作による型締動作と連動させて予備成形体を配置した型内に射出する射出成形用ステーションを設けるとともに、該射出成形用ステーション以外の他工程用ステーションを少なくとも1つ併設することにより、1台のプレス機に対し複合成形体製造用動作のための一連のステーションを形成し、該一連のステーションにおける前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送するとともに、全ステーションにおける動作を前記プレス機によるプレス動作と連動させて行うことを特徴とする方法からなる。
【0009】
また、本発明に係る複合成形体の製造装置は、1台の竪型プレス機に対し、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂を前記プレス機のプレス動作による型締動作と連動させて予備成形体が配置された型内に射出する射出成形用ステーションと、該射出成形用ステーション以外の少なくとも1つの他工程用ステーションを設けることにより、複合成形体製造用動作のための一連のステーションを形成し、該一連のステーションに対し、前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送する順送手段を設けるとともに、全ステーションを、それらの動作を前記プレス機によるプレス動作と連動させて行うように構成したことを特徴とするものからなる。
【0010】
このような本発明に係る複合成形体の製造方法および装置においては、とくに、射出成形用ステーションでは、型のキャビティ内に前段のステーションから送られてきた予備成形体を配置した状態にて、キャビティ内に上記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出するようにすることが好ましく、これによって容易に所望の複合成形体を製造できるようになる。
【0011】
上記の本発明に係る複合成形体の製造方法および装置においては、1台のプレス機に対して、射出成形用ステーションと少なくとも1つの他工程用ステーションからなる、複合成形体製造用動作のための一連のステーションが設けられる。したがって、別々の場所で複合成形体製造用動作のために必要な動作を行う工程を設ける場合に比べ、小さなスペースで効率よく複合成形の製造を行うことができるようになる。そして、これら一連のステーションでは、前段のステーションでの処理体が後段のステーションに順送され、かつ、順送される被処理体に対する全ステーションでの動作がプレス機によるプレス動作と連動させて行われるので、つまり、プレス動作毎に、各ステーションにある処理体がステーションからステーションへと実質的に同時に移送されるので、複数の複合成形体を製造する場合、それらがプレス動作の周期に合わせて次から次へと仕上がってくることになり、所望の製品が短時間のうちに効率よく製造されることになる。したがって、製造時間の短縮、製造の容易化、コストダウンをはかることが可能になる。
【0012】
上記プレス機として、横型のプレス機を用いることも可能ではあるが、本発明ではとくに竪型のプレス機を用いるので、1台のプレス機に対し所望の一連のステーションを容易に配置することが可能になるとともに、順送手段も大がかりにすることなく簡単な設備にて容易に配設することが可能になる。
【0013】
このような竪型プレス機を用いて実施される本発明に係る複合成形体の製造における、とくに射出成形においては、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂をキャビティ内に供給(射出)する段階では、キャビティ内に実成形品より広い空間部が残存していてもかまわない(型をある程度開いていてもかまわない)ので、その供給圧力は従来の射出成形における射出(供給)圧力よりもはるかに低くて済む(例えば、1/2〜 1/10程度の低圧で済む)。そして、キャビティ内に供給された強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂は竪型プレス機によるプレスによってキャビティ内に充満されるが、このときの型締め圧力(成形圧力)についても、対抗圧力となる上記キャビティ内への供給圧力が低圧であることから、従来の射出成形における型締め圧力よりもはるかに低くて済む(例えば、1/3〜 1/6程度の低圧で済む)。このように低圧成形により、とくに低圧での強化繊維含有熱可塑性樹脂と予捕成形体との一体成形が可能になる。低圧成形が可能になる結果、大面積を有する成形体、さらにはその肉厚が薄いような成形体であっても、容易にその大面積全体にわたって強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂を充填させることが可能になり、所望の一体成形を行うことが可能になる。また、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂は竪型プレス機による上下方向のプレス圧を利用してキャビティ内に充満可能であるが、樹脂が押し拡げられる方向が、水平方向あるいはそれと同等の方向となるため、従来の射出成形における樹脂の押し拡げ方向が上下方向あるいはそれと同等の方向である場合に比べ、樹脂は容易に成形体全面にわたって均―に広がりやすくなるとともにキャビティ内全体にわたって均―な圧力がかかりやすくなり、樹脂の均―な分布が得られて残留歪が少なくなり、それによる反り等の変形の小さな成形が可能になる。つまり、均―な物性、機械特性の成形体が精度よく所望の形態で得られる。その結果、大きな面積を有する成形体に対しても、さらにはその内厚が薄い成形体に対しても、特別な手法によることなく容易にかつ精度よく、繊維強化樹脂成形体と予備成形体を用いた補強用の強化樹脂成形体とを一体成形できるようになり、目標とする複合成形体を効率よく製造することができる。
【0014】
なお、本発明では広義に全て射出成形という言葉で表現しているが、射出成形とプレス動作を組み合わせた、いわゆる射出圧縮(インジェクションプレス)成形の成形ノウハウを活用することが可能であり、これを妨げるものではない。射出タイミングとプレス上下動作などの制御は、金型の形状やその他の要件により自由に設定すればよい。
【0015】
このような本発明に係る複合成形体の製造方法および装置において、上記他工程用ステーションとしては、少なくとも、予備成形体の形態を整える整形動作を行うステーションを含めることができる。このようなステーションとしては、例えば、予備成形体の複合成形に不要な部分のトリミングや、必要に応じて折り代のためのカットを行うステーションや、必要に応じて射出成形前に予備成形体を所望の形態に賦形(積層、折り曲げ、曲面付与など)するステーション、予備成形体に接着剤を付与したり、中間層を介挿したり、予備成形体とは別の部材を予備成形体と一体化させたりするステーション等として構成できる。
【0016】
また、予備成形体を予熱する工程が要求される場合には、予備成形体の予熱ステーションを、上記他工程用ステーションとして設けることが可能であり、さらにこのような予備成形体の予熱ステーションは、上記プレス機外のステーションとして設けることも可能である。
【0017】
さらに、上記例示したもの以外にも、上記他工程用ステーションとして、予備成形体を成形するステーションを含めることが可能であり、さらに、例えば、以下のような工程のために配置することが可能である。
・射出一体成形前の金属小部品などのインサート配置工程
・射出一体成形前の加飾フィルム、表皮コンポジットシートなどの配置工程
・射出成形を2段で行う場合等の、2段目の射出成形(例えば、2色成形)用の工程
・一体成形体の反り矯正工程
・一体成形した部材への加工工程(穿孔やバリ取り等)
・成形体へのインモールドコーティング、表面自動サンディングなど、表面修正、加飾工程
・ロゴなどのシルク印刷、インクジェット印刷など文字、図柄入れ工程
・成形体のセンサーによる寸法測定(検査)工程
【0018】
とくに、上記他工程用ステーションとして、予備成形体を成形するステーションが含まれる場合、該予備成形体を成形するステーションでは、例えば、強化繊維からなる圧縮可能な強化繊維基材を該ステーション用型内に配置し、前記強化繊維基材を該型内に配置する前、または配置した後に該型を加熱した後、溶融した熱可塑性樹脂を該型内に注入するとともに、あるいは注入した後に、該型内部を圧縮することにより、予備成形体を成形するように構成することができる。このように構成すれば、複雑な形状であっても高い機械特性を有する、予備成形体としての繊維強化樹脂を容易にかつ安価に成形することが可能になる。かかる方法を採用する場合、圧縮可能な強化繊維基材を、予熱機により予熱してから予備成形体を成形するステーション内にて樹脂を含浸して成形する方法を採用することもできる。
【0019】
また、本発明に係る複合成形体の製造においては、射出成形用ステーションにおいて射出される強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂における強化繊維の重量平均繊維長としては、0.4mm〜3mmの範囲にあることが好ましい。このような不連続強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂の、含有する繊維の長さは、全体構造として高い力学的特性を発現しやすいこと、および予備成形体との線膨張率のマッチングなどの点からは、比較的繊維長が長い方が望ましい。具体的には射出用の長繊維ペレットを使用することを例示することができる。この場合、特に射出後の繊維長が、つまり、上記不連続強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂の、含有する繊維長が重量平均繊維長で0.4mm〜3mmの範囲になることが望ましい。重量平均繊維長が0.4mm未満では、通常のコンパウンドペレットを使用した場合のように、強化繊維の特性を引き出せないばかりか、成形収縮が大きくなり、線膨張率も大きくなる。このような難点を重量平均繊維長が0.4mm以上では抑制することができる。重量平均繊維長が3mmを超えると、力学的特性などの面では有利になるものの、射出成形をするには繊維長が長すぎ、流動性低下など成形性に問題が生じる。なお、射出前のペレット等における含有強化繊維の重量平均繊維長としては、2〜15mm程度の範囲、好ましくは5〜8mm程度の範囲のものが望ましく、このような繊維長のものが、射出成型用の混練機などにより、射出された際には上記の如く0.4mm〜3mmの重量平均繊維長となる形態が望ましい。
【0020】
また、前記予備成形体としては、連続強化繊維を含有する連続繊維強化熱可塑性樹脂からなるもの、重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲にある不連続強化繊維を含有する不連続繊維強化熱可塑性樹脂からなるもののいずれも使用可能である。すなわち、予備成形体の強化繊維としては、連続繊維からなることが好ましいが、上述した不連続強化繊維より平均繊維長の長い長繊維を使用することも可能であり、いずれの場合にも繊維強化樹脂成形体の補強に供することができる。そして、予備成形体の強化繊維として不連続強化繊維を使用する場合には、その重量平均繊維長が上記の如く1〜50mmの繊維からなることが好ましい。重量平均繊維長が1mm未満では、強化繊維の特性が引き出せず、射出成形と組み合わせる予備成形体として必要な高い力学的特性を発揮することができない。重量平均繊維長が50mmを超えると、不連続繊維強化とした場合のひとつの特徴である賦形性が失われてしまう。該不連続繊維の配向などは特に限定されないが、面内に等方性分散した、あるいは一定の配向を有するシート状のマットを例示することができ、これは抄紙法やカーディング法、エアレイ法など既存の繊維マット製造法によるものを使用できる。
【0021】
また、上記予備成形体としては、成形時に金型キャビティ内で所定の形状に沿って一体化されるように可撓性であることが望ましい。予備成形体自体が常温で可撓性である場合に加え、予備成形体をあらかじめ予熱するような手法で(例えば、前述の予熱手段を用いて予熱することにより)可撓性にした状態に調整後、キャビティ内で一体化することもできる。
【0022】
例えば、好ましい形態の予備成形体の一例として、上記連続繊維または上記不連続繊維と、熱可塑性樹脂からなるシート状またはテープ状の予備成形体、またはその予備成形体を複数枚積層したものを挙げることができる。このような形態の予備成形体を使用すれば、該予備成形体をキャビティ内で、ひいては最終成形体に対して、容易に所望の位置に配置することができる。
【0023】
連続繊維強化の場合には、強化繊維が一方向に並行に配列された形態を例示でき、これを複数枚積層する場合には、要求特性に応じて、全て一方向に積層させても良いし、例えば擬似等方性を実現するために複数の角度を有する組み合わせで積層させてもよい。その他、連続繊維を織物としてこれを熱可塑性樹脂と組み合わせた予備成形体としてもよい。不連続繊維強化の場合には、前述のように面内に等方性分散した、あるいは一定の配向を有するシート状のマットを例示することができる。
【0024】
予備成形体は複数の強化繊維や、強化形態の組み合わせであってもかまわない。例えば連続繊維強化の一方向配向シート、織物強化、不連続繊維強化品などが所定の構成に積層された予備成形体であってもよい。このような予備成形体の中間層に樹脂シート、発泡シートなど、強化繊維を含まない層を積層してもかまわない。
【0025】
また、本発明においては、強化繊維の種類はとくに限定されず、炭素繊維やガラス繊維、アラミド繊維等、あるいはこれらを複数種含むハイブリッド構成の強化繊維等、各種の強化繊維を使用できるが、より強度や剛性に優れた複合成形体を得るという面からは、上記予備成形体の強化繊維および上記射出される溶融樹脂に含有される不連続強化繊維の少なくとも一方が炭素繊維を含むことが好ましく、両方とも炭素繊維を含むことがより好ましい。
【0026】
また、上記竪型プレス機と成形用金型の連結形態としては、金型の上型にプレス端が連結された形態に設定でき、竪型プレス機の動作により上型を上下動させて、型締め、型開きを行うようにした形態に設定できるが、この場合、上記キャビティ内の下型上に予備成形体を配置し、該下型のキャビティ形成面からキャビティ内に上記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出するようにすると、予備成形体を下型上に配置するだけの極めて簡単な操作で所望の一連の成形動作を開始することができるようになる。なお、上記キャビティ内の下型上に(可撓性)予備成形体を配置することには限定されず、上型に何らかの手法により予備成形体を配置して成形することも可能である。
【0027】
さらに、本発明において用いる熱可塑性樹脂の種類はとくに限定されず、使用可能な樹脂を例示すると、ポリアミド(ナイロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、ポリカーボネート、ポリアミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ABS、液晶ポリエステルや、アクリロニトリルとスチレンの共重合体等を挙げることができる。これらの混合物でもよい。また、ナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンのように共重合したものであってもよい。さらに得たい成形品の要求特性に応じて、難燃剤、耐候性改良剤、その他酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、着色剤、相溶化剤、導電性フィラー等を添加しておくことができる。
【発明の効果】
【0028】
このように、本発明に係る複合成形体の製造方法および装置によれば、1台のプレス機に対し複数のステーションを設け、プレス動作に連動させて被処理体を順送しつつ、複合成形体の製造を行うようにしたので、全体として比較的小さな装置スペースにて、短時間のうちに効率よく、容易に、目標とする複合成形体を低コストで製造することができる。とくに、予備成形体と射出強化繊維含有熱可塑性樹脂との複合成形体とすることにより、比較的大きな面積を有する複合成形体、さらにはその肉厚が薄い成形体に対しても、特別な手法によることなく低圧で容易にかつ反り等の変形を抑えて精度よく所望の機械特性等備えた複合成形体を一体成形することが可能になり、本来の特性である軽量性も併せ備えた所望の繊維強化熱可塑性樹脂の複合成形体を効率よく短時間でしかも安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施態様に係る複合成形体の製造装置の概略平面図である。
【図2】図1の装置の部分概略平面図(A)および部分概略縦断面図(B)である。
【図3】図1の装置の射出成形用ステーションにおける複合成形体成形の一例を示す工程図である。
【図4】竪型プレス機を用いたプレス成形の基本ステップの一例を示す工程図である。
【図5】本発明をパネル部材の成形に適用する場合の一体化構成の形態例を示す説明図である。
【図6】本発明の別の実施態様に係る複合成形体の製造装置の概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施態様に係る複合成形体の製造装置の概略構成を示している。図1において、1は、複合成形体の製造装置全体を示しており、2は、竪型プレス機を示している。図2、図3も参照しながら説明するに、1台の竪型プレス機2に対して、本実施態様では、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂をプレス機2のプレス動作による型締動作と連動させて型3(金型)内に射出する射出成形用ステーション4と、射出成形用ステーション4以外の他工程用ステーションとしての、予備成形体5の所定形態へのスタンピングやトリミングを行う予備成形体整形用ステーション6が設けられている。また、本実施態様では、予備成形体整形用ステーション6の前段のステーションとして、予備成形体用基材としての一方向に配向させた長繊維または連続繊維の強化繊維と熱可塑性樹脂からなるシート状予備成形体基材7が導入され、導入された予備成形体基材7を予熱する加熱炉等を備えた予熱ステーション8が、プレス機2外に予備成形体整形用ステーション6に隣接させて設けられており、所定温度に予熱された基材7が予備成形体整形用ステーション6に送られて上記の如く所定形態に整形されるようになっている。
【0031】
予備成形体整形用ステーション6で所定形態に整形された予備成形体9は、射出成形用ステーション4に送られ、上型3aと下型3bとで形成される型3のキャビティ10内に配置され、その状態にて、キャビティ10内に射出ユニット11から強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂が射出される。射出された強化繊維含有熱可塑性樹脂と予備成形体9との複合成形体12が製品として取り出される。射出成形用ステーション4における成形例については後述する。
【0032】
このように形成された複合成形体製造用動作のための一連のステーションに対し、前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送する順送手段が、図1の矢印で示すように設けられる(ただし、矢印自体は順送方向を示している)。順送手段は、特に限定されず、極力簡単で安価な機構を採用できる。そして、これら全ステーションにおける動作が、プレス機2によるプレス動作と連動させて行われるように構成されている。射出成形用ステーション4以外のステーションとしては、前述したように、上記のステーションの他にも必要に応じて適宜配設することが可能である。
【0033】
このように、1台の竪型プレス機2に対し複数のステーションを設け、プレス動作に連動させて被処理体を順送しつつ、複合成形体12の製造を行うので、全体として比較的小さな装置スペースにて、短時間のうちに効率よく、容易に、目標とする複合成形体12を低コストで製造することができる。
【0034】
射出成形用ステーション4における射出成形は、例えば、図3に示すように行われる。
図3は、射出成形用ステーション4における複合成形体成形の一例の主要ステップの状態を概略示している。図3において、3は、相対移動(可動)可能な上型3aと下型3bとからなる金型を示しており、本例では、上型3aが竪型プレス機2のプレス端に連結されて、プレス機2のプレス動作に応じて上下動されるようになっている。上型3aと下型3bによって、プレス機2のプレス動作に応じて容積が変化される所定形状のキャビティ10が形成される。下型3b内には、射出ユニット11から供給、射出される強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂の供給路21が設けられており、本例では、供給路21は、導入端が下型3bの側面側に開口され、そこから下型3b内を折れ曲がって延び、供給端として、下型3bのキャビティ10形成面である下型3bの上面の中央部にて開口されている。
【0035】
ここで先ず、竪型プレス機2の基本動作について、図4を参照して説明しておく。上型3aが目標とする成形品の体積よりもキャビティ10の容積が大きくなるように開いた状態(型開きした状態)で、供給路21を通してキャビティ10内に強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22が供給開始され、ある量供給された段階から、竪型プレス機2によるプレス作動により、上型3aが下型3bに対して下降され、キャビティ10の容積が縮小されつつ、供給されていた,あるいは未だ供給されつつある強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22がキャビティ10内に押し拡げられ、やがて型締めが完了するとともに、所定の容積へと縮小されたキャビティ10内に強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22が充満され、所定形状の成形品へとプレス成形される。以上がありうる成形手法のひとつであるが、成形装置はこのような動作をすることに限定するものではなく、金型の形状やその他の要件によりプレスの上下の動作制御は自由に設定すればよい。
【0036】
このような竪型プレス機2を用いたプレス成形では、前述したように、通常の射出成形法と比較して、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22の供給圧力が従来の射出成形における射出(供給)圧力に比べ1/2〜1/10程度の低圧で済み、型締圧力P(成形圧力)についても、従来の射出成形における型締め圧力に比べ1/3〜1/6程度の低圧で済む。また、キャビティ10内全体にわたって均一な圧力がかかりやすくなり、樹脂の均一な分布が得られて残留歪が少なくなり、それによる反り等の変形の小さな成形が可能になる。
【0037】
本発明では、このような竪型プレス機2を用いたプレス成形における長所を最大限活かしつつ、複合成形体の射出成形が行われる。再び図3を参照して説明するに、金型3のキャビティ10内に、図示例では下型3bのキャビティ形成面である上面上に、長繊維または連続繊維の強化繊維と熱可塑性樹脂からなる、ステーション6での整形後のシート状予備成形体9が配置される。この配置に際しては、例えば、上型3aの下縁と適当な把持具23との間に予備成形体9の縁部を把持するようにすればよい。図示例では、把持具23は伸縮自在なガイド部材24の上端に設けられている。この状態で、キャビティ10内に、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂22が供給路21を通して供給、射出される。供給路21は下型3bの上面中央部に開口されており、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22の供給により、予備成形体9は上方に向けて膨らみ、やがて上型3aのキャビティ形成面である内面に沿わせられる。このとき同時に、竪型プレス機2の作動により、下型3bに対して上型3aが下降され、同時にキャビティ10内に成形圧P(プレス圧)が負荷される。上型3aの下降時には、ガイド部材24が縮められ、予め定められたキャビティ高さになったときに下降動作は停止される。ただし、下降端ではキャビティ10内全体にわたって目標とする成形圧が加わっていることが望ましい。
【0038】
このような射出成形用の一連の動作により、強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22が所定の形状まで縮小されたキャビティ10内に充満されつつ、予備成形体9がキャビティ10の所定の内面(図示例では、上型3aの内面)に押し付けられ、強化繊維含有熱可塑性樹脂22と予備成形体9とが一体化されて複合成形体12に成形される。成形後、竪型プレス機2の作動により、上型3aを開き、順送手段を用いて製品としての複合成形体12を取り出せばよい。
【0039】
上述の射出成形工程では、極めて簡単な操作で、かつ、低圧かつ均一な圧力にて、目標とする複合成形体12が効率よく製造される。低圧かつ均一な圧力での成形であることから、比較的大きな面積を有する場合にあっても、さらにはその肉厚が薄い成形品に対しても、所望の剛性等の機械特性を均一に発現できる、目標とする複合成形を容易に実施することができるようになる。
【0040】
なお、上述した例では、射出ユニット11からプレス機2に装着された金型3、さらにキャビティ10への流路を図3や図4では単純化して記しているが、ホットランナーなど既存の射出成形金型技術を自由に応用することが可能である。
【0041】
また、上記図示例では、予備成形体9が上型3aの内面側に押し付けられるように配置したが、下型3bの内面側に押し付けられるように配置することも可能である。さらに、上型3aの内面側に押し付けられる予備成形体9と、下型3bの内面側に押し付けられる予備成形体9を配置し、両予備成形体9間に強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂22を注入、充満させていくような形態を採用することも可能である。
【0042】
前述の如く、本発明は、比較的大きな面積を有する複合成形体、さらにはその肉厚が薄い複合成形体の成形に好適なものであり、例えば、複合構造を有するパネル部材(例えば、主要剛性を受け持つ構造材の内面側に内装材や外面側に外装材を複合したパネル部材[例えば自動車用パネル部材]) の成形に好適なものである。図5に、このようなパネル部材における構造材31と内装材32や外装材33との一体化構成例を示す。この場合、構造材31を本発明における強化繊維含有熱可塑性樹脂、内装材32や外装材33を本発明における予備成形体とすることにより、あるいはその逆に設定することにより、図示したいずれの一体化構成も成形可能である。
【0043】
さらに、前述したように、本発明においては、他工程用ステーションとして、上述した予備成形体整形用ステーション6に加えて、あるいは予備成形体整形用ステーション6に代えて、予備成形体を成形するステーションを竪型プレス機内に設けることが可能である。例えば図6に本発明の別の実施態様に係る複合成形体の製造装置41を示すように、竪型プレス機42内に予備成形体成形用ステーション43を設け、該予備成形体成形用ステーション43では、例えば、強化繊維からなる圧縮可能な強化繊維基材44を該ステーション用型45内に配置し、強化繊維基材44を該型45内に配置する前、または配置した後に該型45を加熱した後、溶融した熱可塑性樹脂を例えば補助射出ユニット46から該型45内に注入するとともに、あるいは注入した後に、該型45内部を圧縮することにより、予備成形体を成形するように構成することができる。かかる構成とする場合、圧縮可能な強化繊維基材を、予熱機により予熱してから予備成形体を成形するステーション内にて樹脂を含浸して成形する構成を採用することもできる。予備成形体9の成形以降は、図1に示したのと同様のプロセスを採用すればよいので、図1に付したのと同一の符号を使用することにより説明を省略する。このように構成すれば、予備成形体9の成形も容易化でき、かつ、予備成形体9事態に関しても、複雑な形状であっても高い機械特性を付与でき、しかも安価に成形することが可能になる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明に係る複合成形体の製造方法および装置は、繊維強化樹脂を用いたあらゆる複合成形体の製造に適用でき、とくに広い面積を有し、その肉厚が薄い成形体の製造に、中でも大量の複合成形体を連続的に製造する場合に好適なものである。
【符号の説明】
【0045】
1、41 複合成形体の製造装置
2、42 竪型プレス機
3 型
3a 上型
3b 下型
4 射出成形用ステーション
5 予備成形体
7 予備成形体基材
8 予熱ステーション
9 予備成形体
10 キャビティ
11 射出ユニット
12 複合成形体
21 供給路
22 強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂
23 把持具
24 ガイド部材
31 構造材
32 内装材
33 外装材
43 予備成形体成形用ステーション
44 強化繊維基材
45 型
46 補助射出ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1台の竪型プレス機に、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂を前記プレス機のプレス動作による型締動作と連動させて予備成形体を配置した型内に射出する射出成形用ステーションを設けるとともに、該射出成形用ステーション以外の他工程用ステーションを少なくとも1つ併設することにより、1台のプレス機に対し複合成形体製造用動作のための一連のステーションを形成し、該一連のステーションにおける前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送するとともに、全ステーションにおける動作を前記プレス機によるプレス動作と連動させて行うことを特徴とする、複合成形体の製造方法。
【請求項2】
前記射出成形用ステーションでは、型のキャビティ内に前段のステーションから送られてきた予備成形体を配置した状態にて、キャビティ内に前記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出する、請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項3】
前記他工程用ステーションとして、少なくとも、予備成形体の形態を整える整形動作を行うステーションを含む、請求項1または2に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項4】
予備成形体を予熱するステーションを、前記他工程用ステーションとして、または、前記プレス機外のステーションとして有する、請求項1〜3のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項5】
前記他工程用ステーションとして、少なくとも、予備成形体を成形するステーションを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項6】
前記予備成形体を成形するステーションでは、強化繊維からなる圧縮可能な強化繊維基材を該ステーション用型内に配置し、前記強化繊維基材を該型内に配置する前、または配置した後に該型を加熱した後、溶融した熱可塑性樹脂を該型内に注入するとともに、あるいは注入した後に、該型内部を圧縮することにより、予備成形体を成形する、請求項5に記載の複合成形体の製造方法。
【請求項7】
前記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂における強化繊維の重量平均繊維長が0.4mm〜3mmの範囲にある、請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項8】
前記予備成形体が、連続強化繊維を含有する連続繊維強化熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項9】
前記予備成形体が、重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲にある不連続強化繊維を含有する不連続繊維強化熱可塑性樹脂からなる、請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
【請求項10】
1台の竪型プレス機に対し、強化繊維を含有する溶融熱可塑性樹脂を前記プレス機のプレス動作による型締動作と連動させて予備成形体が配置された型内に射出する射出成形用ステーションと、該射出成形用ステーション以外の少なくとも1つの他工程用ステーションを設けることにより、複合成形体製造用動作のための一連のステーションを形成し、該一連のステーションに対し、前段のステーションでの処理体を後段のステーションに順送する順送手段を設けるとともに、全ステーションを、それらの動作を前記プレス機によるプレス動作と連動させて行うように構成したことを特徴とする、複合成形体の製造装置。
【請求項11】
前記射出成形用ステーションは、型のキャビティ内に前段のステーションから送られてきた予備成形体を配置した状態にて、キャビティ内に前記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂を射出するように構成されている、請求項11に記載の複合成形体の製造装置。
【請求項12】
前記他工程用ステーションとして、少なくとも、予備成形体の形態を整える整形動作を行うステーションが含まれている、請求項10または11に記載の複合成形体の製造装置。
【請求項13】
前記他工程用ステーションとして、または、前記プレス機外のステーションとして、予備成形体を予熱するステーションが設けられている、請求項10〜12のいずれかに記載の複合成形体の製造装置。
【請求項14】
前記他工程用ステーションとして、少なくとも、予備成形体を成形するステーションが含まれている、請求項10〜13のいずれかに記載の複合成形体の製造装置。
【請求項15】
前記予備成形体を成形するステーションは、強化繊維からなる圧縮可能な強化繊維基材を該ステーション用型内に配置し、前記強化繊維基材を該型内に配置する前、または配置した後に該型を加熱した後、溶融した熱可塑性樹脂を該型内に注入するとともに、あるいは注入した後に、該型内部を圧縮することにより、予備成形体を成形するように構成されている、請求項14に記載の複合成形体の製造装置。
【請求項16】
前記強化繊維含有溶融熱可塑性樹脂における強化繊維の重量平均繊維長が0.4mm〜3mmの範囲にある、請求項10〜15のいずれかに記載の複合成形体の製造装置。
【請求項17】
前記予備成形体が、連続強化繊維を含有する連続繊維強化熱可塑性樹脂からなる、請求項10〜16のいずれかに記載の複合成形体の製造装置。
【請求項18】
前記予備成形体が、重量平均繊維長が1mm〜50mmの範囲にある不連続強化繊維を含有する不連続繊維強化熱可塑性樹脂からなる、請求項10〜16のいずれかに記載の複合成形体の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106490(P2012−106490A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229571(P2011−229571)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】