説明

複合材料およびそれを含む組成物

【課題】光触媒材料の含有量が、前記複合材料の全体重量を基準として約1〜約99重量%である複合材料を提供すること。
【解決手段】表面が光触媒材料で被覆された無機材料を含む複合材料であって、前記光触媒材料の含有量は、前記複合材料の全体重量を基準として約1〜約99重量%である。本発明の複合材料は、赤外線を遮断できるとともに、光触媒材料を含むため紫外線を吸収することができ、優れた超親水性、セルフクリーニング、殺菌および脱臭等の効果が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は赤外線を遮断し紫外線を吸収する機能を有する複合材料およびそれを含む組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線とは波長約750nm〜約1nmの範囲の電磁波を指し、このうち波長約750nm〜約2500nmの赤外線は熱効果が非常に強いため、物体に容易に吸収されて熱源を発生する。したがって、人体が赤外線の照射下に曝されると、前記赤外線を吸収して皮膚の温度が上昇し、毛細血管の拡張や充血、表皮の水分蒸発が加速化するなど、皮膚に好ましくない影響をもたらす。また赤外線と紫外線の照射下に同時に曝されると(例えば日光照射)、赤外線は紫外線の皮膚損傷作用を促進する。
【0003】
現在、市場にはすでに赤外線の熱効果を阻隔するための材料が多数存在する。例えばビルのガラスカーテンウォール、車両用ガラス、断熱フィルム等である。端的に言えば、これらの材料の目的は陽光を通過させて光線を提供するが、同時に陽光がもたらす熱源(即ち赤外線熱効果)は阻隔することにある。しかし、例えば赤外線を遮断する性能を有するガラスを例にとると、その製造コストは非常に高価でありながら、期待ほどの効果は得られない。具体的には、ガラス中に赤外線を吸収できる超薄型の銀フィルムを埋め込んで赤外線を阻隔することが知られているが、この方法は製造コストが高く、また銀が酸化し易いため赤外線の遮断効果は失われてしまう。
【0004】
さらに、真空蒸着法を用いて赤外線を阻隔できる材料(例えば高屈折率の二酸化チタンや低屈折率のシリカ等)をガラスまたはレンズ上にメッキして、赤外線阻隔フィルムを形成するものがある。しかし、こうしたフィルムを形成するためのコストは高く、製造フローは複雑で、効果も期待ほどではなく、経済効果が優れない。
【0005】
前記2種以外にも、比較的低コストの代替案が提起されている。即ち、色素または染料をガラス中に混入させ陽光中の赤外線を吸収する方法である。しかし、強烈な陽光や散乱光の照射下では、これらの色素や染料を含んだガラスに煙のような薄い曇りが発生し、赤外線吸収性能に影響する。さらには色素や染料は長時間使用しているうちに分解されて従来の効用が失われることもある。
【0006】
ところで、光触媒材料は光線(特に紫外線)が照射されると励起状態になり、接触する物質を変化させる過程で光触媒の性質を有することが知られている。光触媒材料が光線に励起されると、空気中の水分子または酸素分子を活性化させ、OHラジカルまたはO2-イオンを生成させる。これらのラジカルまたはイオンは酸化還元作用を行い、環境中の汚染物および/または細菌を分解する。したがって光触媒材料は空気中や廃水中の汚染物を除去するために使用され、またその表面に付着した細菌を分解し、抗菌作用をもたらすことができる。同時に、光触媒材料は光照射下において、表面の水素分子がラジカルまたはO2-イオンを生成し放出するため、元は酸素が存在していた空位が形成され、このとき環境中に水分子が存在すれば、水分子がこの空位を占拠するとともにプロトンが1個取り除かれて水酸基が生成され、光触媒材料は超親水性を発揮し、セルフクリーニングおよび防曇効果が達成される。
【0007】
一般に、赤外線遮断および紫外線吸収の両機能を有する断熱フィルムまたは窓ガラスコーティングでは、基材上に多層処理を行い複合膜を形成させる必要があるが、その製造過程は複雑でコストが高い。したがって現在は、赤外線遮断および紫外線吸収の機能を同時に備える材料を提供することに努力が重ねられている。
【0008】
上記に鑑みて、本出願の発明者は研究を重ね、前記課題を解決できる複合材料を開発した。具体的には、本発明の複合材料は温熱効果を発生する電磁波を効果的に阻隔し、即ち波長約750nm〜2500nmの赤外線に対して、赤外線の透過率を大幅に低下させるとともに、光触媒材料の紫外線吸収性能、セルフクリーニング、防曇、殺菌および脱臭機能を発揮させるものである。また、一般的なコーティング方法により、本発明の複合材料を基材上にコーティングして利用することもでき、その製造過程は相対的に簡単で廉価である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、六硼化ランタン、酸化イットリウム、インジウム錫金属酸化物、アンチモン錫金属酸化物、アルミナ、シリカ、酸化鉄、およびそれらの組合せからなる群より選択される無機材料と、前記無機材料の表面を覆う光触媒材料とを含む複合材料であって、前記光触媒材料の含有量が、前記複合材料の全体重量を基準として約1〜約99重量%である複合材料を提供することを目的とする。
【0010】
本発明はまた、本発明の複合材料および樹脂を含む組成物であって、前記複合材料の含有量が、前記組成物の全体重量を基準として約1〜約70重量%である組成物を提供することを目的とする。
【0011】
本発明はさらに、基材と、本発明の組成物から形成され前記基材表面を覆う断熱被覆層とを含む断熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の複合材料は、無機材料と、前記無機材料の表面を覆う光触媒材料とを含み、前記光触媒材料の含有量は、前記複合材料の全体重量を基準として約1〜約99重量%、好ましくは約50〜約80重量%である。さらに、前記複合材料の粒径は通常10nm〜120nmであり、好ましくは30nm〜100nmである。本発明の複合材料の粒径は可視光波長(380nm〜780nm)より小さいため、前記複合材料に光線が照射されるとき、透過光をひどく散乱させることがなく、透過光線の質に影響を及ぼさない。
【0013】
上述の通り、透過光線の質に影響することを回避するため、本発明の複合材料における無機材料の粒径はナノメートル級とし、通常1nm〜200nm、好ましくは5nm〜100nmとする。また、使用する無機材料は赤外線を遮断できるものとし、例えば(但しこれに限らない)、本発明の複合材料における無機材料は、六硼化ランタン(LaB6)、酸化イットリウム(Y23)、インジウム錫金属酸化物(indium tin oxide,ITO)、アンチモン錫金属酸化物(antimony tin oxide,ATO)、アルミナ(Al23)、シリカ(SiO2)、酸化鉄(Fe23)およびそれらの組合せからなる群より選択でき、好ましくは六硼化ランタンである。
【0014】
本発明の複合材料は、赤外線を遮断できる無機材料を含むほか、さらに光触媒材料を含んでいる。光触媒は紫外光を吸収して電子を励起する機能を有するため、したがって本発明の複合材料には光触媒の性能が備わっている。光触媒材料は光線によって励起され、空気中の水分子または酸素分子を活性化してOHラジカルまたはO2-イオンを生成し、酸化還元作用を行って、環境中の汚染物を分解する。即ち空気中または廃水中の汚染物を除去するために使用でき、また表面に付着した細菌を抑制して、抗菌作用をもたらすこともできる。したがって、本発明の複合材料における光触媒材料は、紫外線吸収、セルフクリーニング、防曇、殺菌、脱臭等の効果を有している。
【0015】
本発明の複合材料に適用される光触媒材料としては、本技術分野において一般的な知識を有する者であれば熟知している、例えば(但しこれに限らない)、二酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、またはこれらの組合せがある。このうち、毒性の問題と還元酸化性能を考慮すると、人体および環境に無害な二酸化チタンを本発明の複合材料中の光触媒材料に使用することが好ましい。また、触媒性能の観点から言えば、アナタース型二酸化チタンが最適である。光触媒材料の粒径寸法は通常約1nm〜約50nmとし、好ましくは約5nm〜約30nmである。光触媒材料の粒径が約1nm未満であると、加工生産が困難になり、実用性に欠ける。約50nmを超えると、光触媒材料の効果が大きく低減する。
【0016】
さらに詳述すれば、本発明の複合材料を太陽光の照射下に置くと、紫外線は複合材料の外側層の光触媒材料に当たる際に吸収され、赤外線は外側層の光触媒材料を透過し、材料内部の無機材料に当たって吸収される。したがって、本発明の複合材料は赤外線による温熱効果を効果的に阻隔し、かつ紫外線を吸収してクリーニング、防曇、殺菌および脱臭等の効果を提供できる。また、複合材料の粒径が可視光波長より小さいため、透過した光線を散乱させず、透過光線の質が維持できる。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、粒径5nm〜30nmのアナタース型二酸化チタンにより、粒径5nm〜100nmの六硼化ランタンの表面を覆って、赤外線を遮断するとともに紫外線を吸収できる複合材料が提供されている。
【0018】
また、本発明の複合材料と一般的な基材を組み合わせて用いるとき、光触媒材料の酸化特性が、基材の、特に有機系基材の劣化を引き起こし易い。このため本発明の複合材料はさらに無機微粒子層を含んで、光触媒材料の表面を被覆し、光触媒と基材が直接接触し基材を破壊することを回避させる。前記無機微粒子を使用するとき、その含有量は前記複合材料の全体重量を基準として0.1〜10重量%とする。本発明中の無機微粒子として使用可能な種類には特に制限はなく、一般的には例えばシリカ(SiO2)、アルミナ(Al23)、硫化カドミウム(CdS)、ジルコニア(ZrO2)、リン酸カルシウム(Ca3(PO42)、酸化カルシウム(CaO)およびそれらの組合せから選択できるが、好ましくはシリカである。
【0019】
本発明によれば、多孔性無機微粒子層を形成させて、前記光触媒材料を被覆する。具体的には、本発明の複合材料中の光触媒材料(例えば二酸化チタン)は多孔性無機微粒子(例えばシリカ)によって被覆されるため、基材に直接接触してこれを破壊することがなく、かつ外部の不純物(例えば臭味分子、細菌等)は前記多孔性無機微粒子に拡散して透過し、光触媒材料に到達し吸着されて、光触媒により分解され、クリーニング、殺菌および脱臭等の目的が達成される。
【0020】
本発明の複合材料の製造方法は、光触媒前駆体を提供する工程と、無機材料を前記光触媒前駆体に添加し、混合物を提供する工程と、および前記混合物を熱処理して前記複合材料を得る工程とを有する。
【0021】
本発明において「光触媒前駆体」とは、適当な反応によって所望の光触媒材料を生成可能な成分を指す。二酸化チタン光触媒材料を含む複合材料の製造方法を例にとると、その光触媒前駆体は、チタン酸エステル類を直接加水分解して得られる生成物により提供され、または先に四塩化チタンを加水分解しさらに濃硫酸を添加して得られる硫酸チタンによっても提供可能であり、硫酸チタンを前記前駆体として直接使用することも可能である。
【0022】
次いで、得られた光触媒前駆体中に無機材料を添加して混合し、無機材料を均一に分散させる。この混合攪拌工程は通常、常温下で約0.5〜2時間行う。ここで、添加する無機材料は粉末状でも分散水溶液の形状であってもよい。
【0023】
本発明の方法における熱処理工程において、加熱条件は使用原料および設備に関係する。通常は、加熱温度が高いほど要する時間が短くなる。例を挙げると(但しこれに限らない)、チタン酸エステル類を加水分解して得られる光触媒前駆体中に無機材料を添加して混合物を得るとき、該混合物を反応槽内に入れ約100〜250℃に加熱し、約4〜20時間反応させることができる。或いは、前記混合物を高温炉内に入れ、約450〜550℃の温度で約0.5〜2時間焼成してもよい。このほか、硫酸チタンを光触媒前駆体として用いるときには、加熱により得られる硫酸チタンと前記無機材料との混合物を約80〜100℃で約4〜7時間反応させても所望の複合材料を提供できる。
【0024】
好ましい具体的な実施形態では、下記の方法で本発明の複合材料が提供される。まず、四塩化チタンまたはチタン酸エステル類を加水分解して、白色のゲル水和物を得る。次いで得られた水和物中に濃硫酸を添加し10〜50分攪拌し、硫酸チタン溶液を得る。前記硫酸チタン溶液中に六硼化ランタンを加え充分に混合して常温下で0.5〜2時間攪拌し、続けて該溶液を80〜100℃に昇温して一定の温度下で4〜7時間反応させた後、適量の4〜6Mの水酸化ナトリウム水溶液を滴下する。最後にろ過、洗浄し、室温下で乾燥させて、本発明の複合材料粉末を得る。
【0025】
本発明はさらに、前記複合材料および樹脂を含み、赤外線を遮断し紫外線を吸収する機能を有する組成物を提供している。本発明によれば、前記組成物に含まれる樹脂は接着剤として用いられ、その種類には特に限定はなく、通常は(但しこれに限らない)、シリコン樹脂、フッ素樹脂、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、およびそれらの組合せから選択することができる。好ましい実施形態では、シリコン樹脂、フッ素樹脂、およびそれらの組合せから選択され、最適な実施形態ではシリコン樹脂を使用する。
【0026】
前記複合材料の含有量は、前記組成物の全体重量を基準として約1〜約70重量%であり、好ましくは約40〜約60重量%である。ここで、前記複合材料の含有量が1重量%未満であると、組成物の赤外線遮断および紫外線吸収効果が劣り、70重量%を超えると、複合材料は樹脂における分散性が急激に低下し、かつコーティングした組成物が脱落し易くなる。
【0027】
本発明の組成物は断熱装置に使用することができ、該断熱装置は基材と、該基材表面にコーティングされる断熱被覆層とを含み、前記断熱被覆層は本発明の組成物から形成される。本技術分野において一般的な知識を有している者であれば、塗布、噴付、含浸等あらゆる適当な技術方式を用いることができるが、本発明の組成物を基材表面にコーティングする際、コーティング厚みは約3〜10μmとする。使用可能な基材には特に制限はなく、例えばガラス(ビルのガラスカーテンウォールや車両用ガラス等)や透明プラスチックを使用できる。
【発明の効果】
【0028】
これまで、断熱装置は基材上に赤外線遮断処理と紫外線吸収処理をそれぞれ行わねばならなかった。したがって、基材上に赤外線遮断と紫外線吸収の効果を同時に備えさせるには多層処理を施すことが必要であった。しかし、本発明の組成物を使用すれば、基材表面にコーティング処理を1回行うだけで、赤外線遮断と紫外線吸収の効果を兼ね備える断熱装置を製造することができる。前記基材上にコーティングされる断熱被覆層は光触媒材料を含むため、紫外線を吸収し、セルフクリーニング、防曇、殺菌および脱臭等の効果を提供できる。また、断熱被覆層は無機材料を含むため、赤外線を効果的に吸収して赤外線の透過率を減少できるほか、可視光はそのまま透過させる。さらに、前記断熱被覆層に含まれる粒子の粒径は可視光の波長よりも小さいため、透過した光は散乱することがなく透過光線の質に影響せず、基材の透明度を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
次に、具体的な実施形態を挙げて本発明をさらに説明する。但し、これらの例示形態は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本分野において一般的な知識を有する者が容易に達成できる修飾や変更はいずれも、本明細書に掲げた内容および特許請求の範囲の範囲内に含まれる。
【0030】
下記の実施例および比較例において、特に注記したものを除き、各用量はいずれも重量百分率(重量%)で表す。
【実施例1】
【0031】
四塩化チタン溶液200ml(3.9M)に水を加えて総体積2000mlに希釈し、アンモニア水500ml(5M)中に滴下して、生成された白色の二酸化チタン水和物をろ過し、脱イオン水200mlで3回洗浄し、余分な水分を除去し、白色ゲルの水酸化チタン水和物(TiO(OH)2)を得る。
【0032】
濃硫酸60ml(18M)を前記水和物中に添加し、30分攪拌して無色透明の硫酸チタン溶液を得る。さらに該硫酸チタン溶液を反応槽に入れ、100℃に昇温して5時間反応させ、続けて得られた硫酸チタン中に六硼化ランタン水溶液(20%)225gを加え、常温下で1時間攪拌して混合物を得る。
【0033】
水酸化ナトリウム水溶液700ml(5M)を得られた混合物中に滴下し、それをろ過して洗浄し、室温で乾燥させれば黒紫色の粉状物が得られる。XRDおよびFE−SEM測定により、得られた黒紫色の粉状物の表面は二酸化チタンで被覆された六硼化ランタンであり、即ち本発明の複合材料であって、その粒径は約85nmであることがわかる。
【0034】
得られた複合材料をシリコン樹脂中に添加し、混合比率は複合材料と樹脂の固形分を1:1とし、攪拌して分散させる。次いで、5μmの厚みでガラス板に塗布して被覆膜を作製し、レンズ透過率測定器で光透過率試験を行う。得られた測定結果を表1に示した。
【0035】
[比較例1]
四塩化チタン溶液200ml(3.9M)に水を加えて総体積2000mlに希釈し、アンモニア水500ml(5M)中に滴下して、生成された白色の二酸化チタン水和物をろ過し、脱イオン水200mlで3回洗浄し、余分な水分を除去すれば、白色ゲルの水酸化チタン水和物(TiO(OH)2)が得られる。
【0036】
濃硫酸60ml(18M)を前記水和物中に添加し、30分攪拌して無色透明の硫酸チタン溶液を得る。さらに該硫酸チタン溶液を反応槽に入れ、100℃に昇温して5時間反応させる。
【0037】
水酸化ナトリウム水溶液700ml(5M)を滴下し、それをろ過して洗浄し、室温で乾燥させれば白色の粉状物が得られる。XRDおよびFE−SEM測定により、白色の粉状物はアナタース型の二酸化チタン光触媒であり、粒径は15nm〜19nmであることがわかる。
【0038】
得られた光触媒材料をシリコン樹脂中に添加し、混合比率は二酸化チタンと樹脂の固形分を1:1とし、攪拌して分散させる。次いで、5μmの厚みでガラス板に塗布して被覆膜を作製し、レンズ透過率測定器で光透過率試験を行う。得られた測定結果を表1に示した。
【0039】
[比較例2]
単なるガラス板にレンズ透過率測定器で光透過率試験を行う。得られた測定結果を表1に示した。
【0040】
[表1]
試料を透過した光線の百分率

【0041】
実施例1と比較例1、および実施例1と比較例2の結果比較から、基材表面に本発明の複合材料を有する被覆層を塗布したものは、赤外線を効果的に阻止するとともに、紫外線を吸収する機能を同時に有していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(1)六硼化ランタン、酸化イットリウム、インジウム錫金属酸化物、アンチモン錫金属酸化物、アルミナ、シリカ、酸化鉄およびそれらの組合せからなる群より選択される無機材料と、
(2)前記無機材料の表面を覆う光触媒材料と、
を含む複合材料であって、
前記光触媒材料の含有量が、前記複合材料の全体重量を基準として1〜99重量%である、
複合材料。
【請求項2】
前記光触媒材料の含有量が、前記複合材料の全体重量を基準として50〜80重量%である請求項1に記載の複合材料。
【請求項3】
前記無機材料が六硼化ランタンである請求項1に記載の複合材料。
【請求項4】
前記無機材料が約1nm〜約200nmの粒径を有する請求項1に記載の複合材料。
【請求項5】
前記無機材料が約5nm〜約100nmの粒径を有する請求項4に記載の複合材料。
【請求項6】
前記光触媒材料が、二酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウムおよびそれらの組合せからなる群より選択される請求項1に記載の複合材料。
【請求項7】
前記光触媒材料が二酸化チタンである請求項6に記載の複合材料。
【請求項8】
前記光触媒材料がアナタース型の二酸化チタンである請求項7に記載の複合材料。
【請求項9】
前記光触媒材料が約1nm〜約50nmの粒径を有する請求項1に記載の複合材料。
【請求項10】
前記光触媒材料が約5nm〜約30nmの粒径を有する請求項9に記載の複合材料。
【請求項11】
約10〜約120nmの粒径を有する請求項1に記載の複合材料。
【請求項12】
赤外線遮断および紫外線吸収に用いられる請求項1に記載の複合材料。
【請求項13】
(1)5nm〜100nmの粒径を有する六硼化ランタンと、
(2)5nm〜30nmの粒径を有し、前記六硼化ランタンの表面を覆う二酸化チタン光触媒と、
を含む複合材料であって、
前記二酸化チタン光触媒の含有量が、前記複合材料の全体重量を基準として50〜80重量%である
複合材料。
【請求項14】
前記二酸化チタン光触媒の表面を覆う無機微粒子をさらに含む請求項13に記載の複合材料。
【請求項15】
前記無機微粒子が、シリカ、アルミナ、硫化カドミウム、ジルコニア、リン酸カルシウム、酸化カルシウムおよびそれらの組合せからなる群より選択される請求項14に記載の複合材料。
【請求項16】
前記無機微粒子がシリカである請求項15に記載の複合材料。
【請求項17】
約30nm〜約100nmの粒径を有する請求項13に記載の複合材料。
【請求項18】
赤外線遮断および紫外線吸収に用いられる請求項13〜17のいずれか1項に記載の複合材料。
【請求項19】
請求項1または13に記載の複合材料および樹脂を含む組成物であって、
前記複合材料の含有量が、前記組成物の全体重量を基準として約1〜約70重量%であり、前記樹脂がフッ素樹脂、シリコン樹脂、(メタ)アクリル酸樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂およびそれらの組合せからなる群より選択される
組成物。
【請求項20】
前記樹脂が、シリコン樹脂、フッ素樹脂およびそれらの組合せからなる群より選択される請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記樹脂がシリコン樹脂である請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
前記複合材料の含有量が、前記組成物の全体重量を基準として約40〜約60重量%である請求項19に記載の組成物。
【請求項23】
赤外線遮断および紫外線吸収に用いられる請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
基材と、前記基材の表面を覆う断熱被覆層とを含む断熱装置であって、前記断熱被覆層が請求項19〜23のいずれか1項に記載の組成物から形成され、前記基材がガラスまたは透明プラスチックである断熱装置。

【公開番号】特開2008−302351(P2008−302351A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−177237(P2007−177237)
【出願日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(500202322)長興化學工業股▲ふん▼有限公司 (30)
【Fターム(参考)】