説明

複合混合物中における分析物の検出および定量のための方法

【課題】本発明は、独特に標識されたプローブの多様化集団を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明の集団は、約30個以上の標的特異的核酸プローブを含み、各プローブは、核酸に結合された独特な標識に結合されている。独特に標識されたプローブの集団を生成する方法もまた提供される。この方法は、以下の工程からなる:(a)異なる指定子を各々有する標的特異的核酸プローブの集団を合成する工程;(b)独特の標識を各々有する対応する抗遺伝子ディジットの集団を合成する工程であって、この集団は上記指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する、工程;および(c)標的核酸プローブの集団を抗遺伝子ディジットにハイブリダイズさせて、各標的特異的プローブが独特に標識された集団を生成する工程。核酸分析物を検出する方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の背景)
本発明は、一般に遺伝学の分野に関し、そしてより詳細には、混合物中における標的分析物の検出、同定および定量に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒト身体中のすべての細胞は同じ遺伝物質を含むが、これらの同じ遺伝子は、これらのすべての細胞において活性ではない。遺伝子発現パターンにおける変更は、生物学的機能に対して大きな影響を有し得る。遺伝子発現におけるこれらのバリエーションが、変更された生理学的プロセスおよび病理学的プロセスの根底にある。従って、疾患細胞と比較した正常細胞における遺伝子の発現を同定することおよび定量することは、新たな薬物標的および診断標的の発見を促進し得る。
【0003】
核酸は、その特定のポリヌクレオチド配列に基づいて検出および定量され得る。既存の検出方法および定量方法の根底にある基本的原理は、サンプル中の目的の標的配列に対する、標識化された相補的なプローブ配列のハイブリダイゼーションである。二重鎖の形成は、そのサンプル中に標的配列が存在することを示し、そしてその二重鎖の中に取り込まれた標識の量によって測定されるような二重鎖形成の程度は、その標的配列の量と比例する。
【0004】
分子ハイブリダイゼーションと呼ばれるこの技術は、複合混合物中において特異的な核酸配列を同定および分析するための有用なツールである。この技術は、例えば、生物学的サンプル中において種々の微生物の核酸配列を検出するために、診断において使用されている。さらに、ハイブリダイゼーション技術は、個体間における遺伝学的な差異または多型をマッピングするために使用されている。さらに、これらの技術は、細胞の異なる集団における遺伝子発現の変化または異なる薬剤で処理された細胞における遺伝子発現の変化をモニターするために使用されている。
【0005】
過去において、複合サンプル中で一度に検出され得たのは、わずか数個の遺伝子にすぎなかった。しかし、DNAマイクロアレイ(小型化された表面上に存在する数千個の固定されたDNA配列から構成されるデバイス)は、このプロセスをより効率的なものとした。マイクロアレイを使用することにより、1回の実験で、生物学的サンプル中における数千個の遺伝子の存在または非存在を検出することが可能である。これにより、研究者は、1つのサンプルにおいて数種の診断試験を同時に実行すること、または1つの実験において数千個の遺伝子における発現レベルの変化を観察することが可能となる。一般的に、マイクロアレイは、格子上の正確に規定された位置で、ナイロンメンブレンまたはスライドガラスのような表面にDNA配列を結合させることによって調製される。次いで、生物学的サンプル中の核酸が標識され、そしてこのアレイに対してハイブリダイズされる。標識化されたサンプルDNAは、アレイ上におけるハイブリダイゼーションが起こった正確な位置を印付け、これにより自動化検出を可能とする。
【0006】
不幸なことに、アレイ様式の小型化にもかかわらず、この方法はなお、かなりの量の生物学的サンプルを必要とする。しかし、疾患組織の生検または個別の細胞型のサンプルのようないくつかの場合では、生物学的サンプルの供給は限られている。さらに、マイクロアレイの表面に対するハイブリダイゼーションの速度論は、少量の水溶液中におけるハイブリダイゼーションよりも効率が低い。さらに、マイクロアレイは、異なる分子種のアバンダンスにおける大きな差異を説明するために、広いダイナミックレンジの検出を必要とする。これは、感度の減少を生じさせる。なぜなら、感度とダイナミックレンジとの間には相殺取引が存在するからである。マイクロアレイ法に伴うさらなる問題は、その出力が、いくつかの中間的な変換を受けた量的アナログデータであるということである。マイクロアレイにおいて、各スポットにハイブリダイズした核酸の量は、その標識を測定することによって決定される。そのため、ハイブリダイズされるDNAの量と検出される標識の量との間にあるすべての非線形的関係が、このデータ出力を歪ませる。このような非線形性は、広く文書で報告されている。
【0007】
従って、複合混合物中における分析物の正確かつ高感度な検出、同定および定量についての必要性が存在する。本発明はこの必要性を満たし、そして関連する利点もまた提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、独特(uniquely)に標識されたプローブの多様化集団を提供する。この集団は、約30個以上の標的特異的核酸プローブを含み、各プローブは、核酸に結合された独特な標識に結合されている。独特に標識された核酸プローブの集団を生成する方法もまた提供される。この方法は、以下の工程からなる:(a)異なる指定子(specifier)を各々有する標的特異的核酸プローブの集団を合成する工程;(b)独特の標識を各々有する対応する抗遺伝子ディジット(genedigit)の集団を合成する工程であって、この集団は上記指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する、工程、および(c)標的核酸プローブの集団を抗遺伝子ディジットにハイブリダイズさせて、各標的特異的プローブが独特に標識された集団を生成する工程。核酸分析物を検出する方法もまた提供される。この方法は、以下の工程からなる:(a)ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で、核酸分析物の混合物を、異なる指定子を各々有する複数の標的特異的核酸プローブと接触させる工程;(b)ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で、この混合物を、独特の標識を各々有する対応する複数の抗遺伝子ディジットと接触させる工程であって、この複数の抗遺伝子ディジットは上記指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する、工程、および(c)この混合物中における1つ以上の分析物と標的特異的プローブと抗遺伝子ディジットとの間でハイブリダイズした複合体を独特に検出する工程。したがって、本発明は、以下を提供する。
(1) 約30個以上の独特な標識を含む、標識の多様化集団であって、ここで該独特な標識の各々は、核酸分子に結合されている、多様化集団。
(2) 前記独特な標識の各々がさらに、ほぼ同じ単位シグナルまたはその倍数の単位シグナルを含む、項目1に記載の多様化集団。
(3) 前記独特な標識の各々がさらに、2つ以上の異なる標識の混合物を含む、項目1に記載の多様化集団。
(4) 約40個、約60個、約80個、約100個、約120個および約140個からなる群より選択される多様性を有する独特な標識をさらに含む、項目1に記載の多様化集団。
(5) 約150個をさらに含む、項目1に記載の多様化集団。
(6) 前記標識が蛍光性である、項目1に記載の多様化集団。
(7) 約30個以上の標的特異的核酸プローブを含む、独特に標識されたプローブの多様化集団であって、該標的特異的核酸プローブの各々は、核酸に結合された独特な標識に結合されている、多様化集団。
(8) 前記独特な標識の各々がさらに、ほぼ同じ単位シグナルまたはその倍数の単位シグナルを含む、項目7に記載の多様化集団。
(9) 前記独特な標識の各々がさらに、2つ以上の異なる標識の混合物を含む、項目7に記載の多様化集団。
(10) 約50個、約100個、約200個、約500個、約1,000個、約2,000個、約5,000個、約1×10個および約3×10個からなる群より選択される異なる標識の多様性をさらに含む、項目7に記載の多様化集団。
(11) 約1×10個をさらに含む、項目7に記載の多様化集団。
(12) 前記標識が蛍光性である、項目7に記載の多様化集団。
(13) 前記標的特異的核酸がさらに、前記独特な標識に結合された前記核酸を含む、項目7に記載の多様化集団。
(14) 2つの結合された核酸集団をさらに含む、項目7に記載の多様化集団であって、1つの核酸集団は、前記30個以上の標的特異的核酸プローブを含み、そして第2の核酸集団は、独特な標識に結合された前記核酸を含む、多様化集団。
(15) 指定子、抗指定子、遺伝子ディジット、抗遺伝子ディジットおよびデンドリマーからなる群より選択される核酸種をさらに含む、項目7に記載の多様化集団。
(16) 標識の集団を生成する方法であって、該方法は、核酸の集団を合成する工程を包含し、該合成された集団中の該核酸の各々は、予め決められた比率の少なくとも2つの異なる標識に結合されており、ここ該標識の集団は、約30個以上の予め決められた比率の多様性を有する、方法。
(17) 予め決められた比率の少なくとも2つの標識によって結合された前記核酸の各々がさらに、ほぼ同じ単位シグナルを含む、項目16に記載の方法。
(18) 前記多様性が、40個、60個、80個、100個、120個、140個および150個からなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(19) 前記多様性が、200個、500個、2,000個、5,000個、1×10個、3×10個および1×10個からなる群より選択される、項目16に記載の方法。
(20) 前記標識が蛍光性である、項目16に記載の方法。
(21) 前記合成された集団中の前記核酸の各々がさらに、抗遺伝子ディジットを含む、項目16に記載の方法。
(22) 前記合成された集団中の前記核酸の各々がさらに、標的特異的プローブを含む、項目16に記載の方法。
(23) 核酸プローブに標識を結合させる方法であって、該方法は、遺伝子ディジットを有する核酸プローブを、標識を有する抗遺伝子ディジットにハイブリダイズさせる工程を包含し、該遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを含み、該抗遺伝子ディジットは、少なくとも2つの相補的反復配列の同族セットを含み、ここで該抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、該遺伝子ディジットに特異的にハイブリダイズする、方法。
(24) 前記核酸プローブがさらに指定子を含む、項目23に記載の方法。
(25) 前記指定子がさらに4個以上の遺伝子ディジットを含む、項目24に記載の方法。
(26) 前記指定子がさらに5個以上の遺伝子ディジットを含む、項目24に記載の方法。
(27) 前記遺伝子ディジットがさらに、4個以上の反復配列のセットを含む、項目23に記載の方法。
(28) 前記抗遺伝子ディジットがさらに、3つ以上の相補的反復配列の同族セットを含む、項目23に記載の方法。
(29) 前記反復配列または前記相補的反復配列がさらに、約8ヌクレオチドを含む、項目23に記載の方法。
(30) 前記複雑度が約8である、項目23に記載の方法。
(31) 前記ハイブリダイズされる塩基対の数が約24である、項目23に記載の方法。
(32) 異なる遺伝子ディジットを有する核酸プローブの集団と、各々独特な標識を有する異なる抗遺伝子ディジットの集団とをハイブリダイズさせて、独特に標識された核酸プローブの集団を生成する工程をさらに包含する、項目23に記載の方法。
(33) 前記核酸プローブがさらに指定子を含む、項目32に記載の方法。
(34) 核酸プローブの集団を生成する方法であって、以下:
(a)少なくとも1つの遺伝子ディジットを各々有する2つ以上の標的特異的プローブを含む第1の核酸集団を生成する工程であって、該遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを有する、工程;
(b)少なくとも2つの相補的反復配列の同族セットを有する抗遺伝子ディジットを含む第2の核酸集団を生成する工程、および
(c)該第1の核酸集団と該第2の核酸集団とをハイブリダイズさせて、抗遺伝子ディジットに結合された標的特異的プローブの集団を生成する工程であって、ここで該抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、該遺伝子ディジットにハイブリダイズする、工程
を包含する、方法。
(35) 前記標的特異的プローブがさらに指定子を含む、項目34に記載の方法。
(36) 前記指定子がさらに4個以上の遺伝子ディジットを含む、項目35に記載の方法。
(37) 前記指定子がさらに5個以上の遺伝子ディジットを含む、項目35に記載の方法。
(38) 前記遺伝子ディジットがさらに、4つ以上の反復配列のセットを含む、項目34に記載の方法。
(39) 前記抗遺伝子ディジットがさらに、3つの相補的反復配列の同族セットを含む、項目34に記載の方法。
(40) 前記反復配列または前記相補的反復配列がさらに、約8ヌクレオチドを含む、項目34に記載の方法。
(41) 前記複雑度が約8である、項目34に記載の方法。
(42) 前記ハイブリダイズされる塩基対の数が約24である、項目34に記載の方法。
(43) 前記2つ以上の標的特異的プローブがさらに、少なくとも1つの異なる遺伝子ディジットを含む、項目34に記載の方法。
(44) 前記抗遺伝子ディジットの集団がさらに、2つ以上の異なる抗遺伝子ディジットを含む、項目34に記載の方法。
(45) 前記抗遺伝子ディジットがさらに標識を含む、項目34に記載の方法。
(46) 前記2つ以上の異なる抗遺伝子ディジットがさらに独特な標識を含む、項目44に記載の方法。
(47) 異なる遺伝子ディジットを有する標的特異的プローブの集団と、各々独特な標識を有する異なる抗遺伝子ディジットの集団とをハイブリダイズさせて、独特に標識された核酸プローブの集団を生成する工程をさらに包含する、項目34に記載の方法。
(48) 前記標的特異的核酸プローブがさらに指定子を含む、項目47に記載の方法。
(49) 独特に標識された核酸プローブの集団を生成する方法であって、該方法は、以下:
(a)異なる指定子を各々有する標的特異的核酸プローブの集団を合成する工程;
(b)独特の標識を各々有する対応する抗遺伝子ディジットの集団を合成する工程であって、該集団は該指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する、工程、および
(c)該標的核酸プローブの集団を該抗遺伝子ディジットにハイブリダイズさせて、該標的特異的プローブの各々が独特に標識された集団を生成する工程
を包含する、方法。
(50) 核酸分析物を検出する方法であって、該方法は、以下:
(a)核酸分析物の混合物と、核酸に結合された独特な標識に各々結合された複数の標的特異的プローブとを、該プローブの標的へのハイブリダイゼーションのために十分な条件下で、接触させる工程、および
(b)分析物に対してハイブリダイズされた1つ以上の該標的特異的プローブからのシグナルを測定する工程であって、ここで該シグナルは、該分析物種を独特に同定する、工程
を包含する、方法。
(51) フローストレッチ技術、後退メニスカス技術、またはエレクトロストレッチ技術を使用して、分析物にハイブリダイズした前記標的特異的プローブを広げることにより、独特な標識中の標識を空間的に分離する工程をさらに包含する、項目50に記載の方法。
(52) 前記独特な標識の各々がさらに、ほぼ同じ単位シグナルまたはその倍数の単位シグナルを含む、項目50に記載の方法。
(53) 前記独特な標識の各々がさらに、2つ以上の異なる標識の混合物を含む、項目50に記載の方法。
(54) 前記複数の標的特異的プローブがさらに、約50個、約100個、約200個、約500個、約1,000個、約2,000個、約5,000個、約1×10個、約3×10個および約1×10個からなる群より選択される異なる標的特異的プローブを含む、項目50に記載の方法。
(55) 前記複数の標的特異的プローブがさらに、前記混合物中の各核酸分析物に対して少なくとも1つの標的特異的プローブを含む、項目50に記載の方法。
(56) 前記混合物がさらに、発現されたRNAの集団またはそのDNAコピーを含む、項目50に記載の方法。
(57) 前記標識が蛍光性である、項目50に記載の方法。
(58) 前記標的特異的核酸がさらに、前記独特な標識に結合された前記核酸を含む、項目50に記載の方法。
(59) 2つの結合された核酸集団をさらに含む、項目50に記載の多様化集団であって、1つの核酸集団は、前記複数の標的特異的核酸プローブを含み、そして第2の核酸集団は、独特な標識に結合された前記核酸を含む、多様化集団。
(60) 指定子、抗指定子、遺伝子ディジット、抗遺伝子ディジットおよびデンドリマーからなる群より選択される核酸種をさらに含む、項目50に記載の多様化集団。
(61) 前記混合物中において単一コピーの分析物を検出する工程をさらに包含する、項目50に記載の方法。
(62) 核酸分析物を検出する方法であって、以下:
(a)核酸分析物の混合物を、少なくとも1つの遺伝子ディジットを有する標的特異的プローブと、ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で接触させる工程であって、該遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを有する、工程;
(b)該混合物を、少なくとも2つの相補的反復配列の同族セットを有する抗遺伝子ディジットと、ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で接触させる工程、および
(c)該分析物と標的特異的プローブと該抗遺伝子ディジットとを含むハイブリダイズした複合体を検出する工程であって、ここで該抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、該遺伝子ディジットにハイブリダイズする、工程、
を包含する、方法。
(63) 前記分析物と前記標的特異的プローブと前記抗遺伝子ディジットとを含む前記ハイブリダイズした複合体を検出する工程が、フローストレッチ技術、後退メニスカス技術、またはエレクトロストレッチ技術の使用を包含する、項目62に記載の方法。
(64) 前記標的特異的プローブがさらに指定子を含む、項目62に記載の方法。
(65) 前記指定子がさらに4個以上の遺伝子ディジットを含む、項目64に記載の方法。
(66) 前記指定子がさらに5個以上の遺伝子ディジットを含む、項目64に記載の方法。
(67) 前記遺伝子ディジットがさらに、4個以上の反復配列のセットを含む、項目62に記載の方法。
(68) 前記抗遺伝子ディジットがさらに、3つの相補的反復配列の同族セットを含む、項目62に記載の方法。
(69) 前記反復配列または前記相補的反復配列がさらに、約8ヌクレオチドを含む、項目62に記載の方法。
(70) 前記複雑度が約8である、項目62に記載の方法。
(71) 前記ハイブリダイズされる塩基対の数が約24である、項目62に記載の方法。
(72) 2つ以上の標的特異的プローブをさらに含む、項目62に記載の方法。
(73) 少なくとも1つの異なる遺伝子ディジットをさらに含む、項目72に記載の方法。
(74) 2つ以上の異なる抗遺伝子ディジットをさらに含む、項目72に記載の方法。
(75) 前記抗遺伝子ディジットがさらに標識を含む、項目62に記載の方法。
(76) 前記2つ以上の異なる抗遺伝子ディジットがさらに独特な標識を含む、項目74に記載の方法。
(77) 異なる遺伝子ディジットを有する複数の標的特異的プローブおよび独特な標識を各々有する複数の異なる抗遺伝子ディジットをさらに含む、項目62に記載の方法。
(78) 前記標的特異的プローブがさらに指定子を含む、項目77に記載の方法。
(79) 核酸分析物を検出する方法であって、以下:
(a)核酸分析物の混合物を、異なる指定子を各々有する複数の標的特異的核酸プローブと、ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で接触させる工程;
(b)該混合物を、独特な標識を各々有する対応する複数の抗遺伝子ディジットと、ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で接触させる工程であって、該複数の抗遺伝子ディジットは、該指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する、工程、および
(c)該混合物中の1つ以上の分析物と、標的特異的プローブと、抗遺伝子ディジットとの間でハイブリダイズした複合体を独特に検出する工程、
を包含する、方法。
(80) 前記混合物中の1つ以上の分析物と、標的特異的プローブと、抗遺伝子ディジットとの間でハイブリダイズした複合体を独特に検出する前記工程が、フローストレッチ技術、後退メニスカス技術、またはエレクトロストレッチ技術の使用を包含する、項目79に記載の方法。
(81) 核酸を標識するキットであって、遺伝子ディジットのセット、抗遺伝子ディジットのセット、および核酸に結合された標識の独特なセットを備えた、キット。
(82) 指定子をさらに備えた、項目81に記載のキット。
(83) デンドリマーをさらに備えた、項目81に記載のキット。
(84) 前記独特な標識がさらに、一定比率の2つの異なる標識を含む、項目81に記載のキット。
(85) 前記独特な標識が蛍光性である、項目81に記載のキット。
(86) 独特な標識の多様化集団をさらに備えた、項目81に記載のキット。
(87) 前記多様性が、50個、100個、150個、200個、500個、1,000個、2,000個、5,000個、1×10個、3×10個および1×10個からなる群より選択される、項目86に記載のキット。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、指定子の成分を示す。図1Aは、標的と標識化された指定子との間の関係を示す。図1Bは、遺伝子ディジットの構造を示す。図1Cは、遺伝子ディジットと標識化された抗遺伝子ディジットとの間の関係を示す。
【図2】図2は、空間的に隔てられたいくつかの異なる型の標識を含むDNAプローブ分子(指定子)を示す。
【図3】図3は、フローストレッチ技術を使用してカバーガラス上に広げられた、一端に標識を含むDNAプローブ分子を示す。
【図4】図4は、エレクトロストレッチ技術を使用して整列された、標識化DNA分子を示す。図4Aは、電圧をオフにしたフローセル中における標識化DNAプローブ分子を示す。図4Bは、電圧をオンにしたフローセル中における標識化DNAプローブ分子を示す。
【図5】振動電場の存在下におけるプローブ含有液体のフローの狭窄により整列されたプローブの概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(発明の詳細な説明)
本発明は、広範な種々の標的分析物の検出、同定および直接的な定量のために使用され得る、独特な標識の多様化集団を生成する方法に関する。この方法は、ほんの少数の異なる標識から開始して、ほぼ同じ単位シグナルの多数の独特な標識を生成するという点で有益である。十分な標識がこの方法により生成され、その結果、複合混合物中の各分析物は1つの標識によって独特に結合され得、それにより同定され得る。標識は、少容量の溶液中でそれらの標識が使用され得るように設計される。少容量の溶液中でそれらの標識が使用され得るということは、結合反応の効率を高め、そして極少量のサンプルが分析のために利用可能である場合に有用となる。サンプル中の個々の分子が同定された後で、これらは直接カウントされて、混合物中における各分子種のデジタル的な読出しを生じさせ得る。この多様な標識は少数の開始標識に基づいているので、これは、検出方法が狭いダイナミックレンジで操作されることを可能にし、システムの感度改善をもたらす。なぜなら、感度とダイナミックレンジとの間の相殺取引が回避されるからである。従って、本発明の方法は、混合物中における分析物の検出、同定、および定量のための正確かつ高感度なシステムを提供する。
【0011】
1つの実施形態において、本発明は、複合混合物中における核酸分析物の検出に関し、これはまず、ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で、その混合物を、複数の標的特異的核酸プローブと接触させることによる。指定子と呼ばれるこれらの標的特異的核酸プローブは、標的特異的領域と、1つ以上の独特な「遺伝子ディジット」配列を含む領域とを含む。遺伝子ディジットは、独特な標識を含み得る相補的な抗遺伝子ディジット配列によって特異的に結合され得る反復コアエレメント配列から構成される。次いで、核酸分析物および指定子を含む混合物は、その指定子内の遺伝子ディジットに独特にハイブリダイズするに十分な多様性を有する対応する複数の標識化抗遺伝子ディジットと接触される。これにより、その混合物中の分析物と独特な標識を有する指定子との間でハイブリダイズした複合体の独特な検出が可能となる。
【0012】
本明細書中で使用される場合、独特な標識または核酸をいう場合に、用語「結合(した/された)」とは、1:1の対応で、標識モノマーがヌクレオチドに連結されていることを意味することを意図される。本明細書中で使用される場合、標識モノマーは、放射性同位元素、蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、または分析方法により測定可能な当該分野で公知の他の部分のような、個々の測定可能な部分を意味することを意図される。標識モノマーは、当該分野で周知の方法を使用して、ヌクレオチドに直接的に連結され得る。ヌクレオチドはまた、化学的に改変または誘導体化されて、標識モノマーを連結し得る。例えば、フルオレセイン分子のような蛍光モノマーが、四原子アミノアルキニル基を使用して、dUTP(デオキシウリジン−三リン酸)に連結され得る。各標識モノマーはヌクレオチドに連結されて、標識モノマー:ヌクレオチド複合体を作製する。この標識モノマー:ヌクレオチドは、種々の様式で、核酸中に組み込まれ得る。例えば、標識モノマー:ヌクレオチドは、核酸内の1つの位置のみで組み込まれ得るか、または核酸内の2つ以上の位置で組み込まれ得る。ヌクレオチドは、まず標識モノマーに連結され得、次いで核酸に組み込まれ得るか、または、核酸内のヌクレオチドに標識モノマーを連結させることによって、既存の核酸が標識され得る。さらに、例えば、1つの標識モノマー:ヌクレオチドが核酸内に組み込まれ得、そして異なる型の標識モノマー:ヌクレオチドが、その同一の核酸内に組み込まれ得る。
【0013】
本明細書中で使用される場合、「分析物」または分析物をいう場合の標的は、その存在が測定される任意の分子を意味することを意図される。分析物分子は、検出可能なプローブまたはアッセイが存在するかまたは当業者により生成され得る、本質的に任意の分子であり得る。例えば、分析物は、核酸、ポリペプチド、もしくは炭水化物のような高分子であり得るか、または低分子有機化合物であり得る。測定は、定量的または定性的であり得る。分析物は、他の成分を含むサンプルの部分であり得るか、またはサンプルの単独成分もしくは主要成分であり得る。従って、分析物は、細胞全体または組織、細胞抽出物または組織抽出物、それらの分画された溶解産物、あるいは実質的に精製された分子の成分であり得る。分析物は、溶液または固相(例えば、チップ、マイクロアレイまたはビーズのような固体表面に対して、が挙げられる)で結合され得る。また分析物は、既知または未知のいずれかの構造または配列を有し得る。
【0014】
本明細書中で使用される場合、用語「標的特異的」は、選択的に標的分析物に結合する因子を意味することを意図される。この因子は、他の分子に対しては殆ど〜全く検出可能な交差反応性を示さずに、標的に対して優先的な親和性で結合する。例えば、標的が核酸である場合、標的特異的配列は、標的の配列に対して相補的であり、かつ他の核酸分子との検出可能な交差反応性は殆ど〜全く伴わずに、標的配列にハイブリダイズし得るものである。核酸標的はまた、タンパク質によって(例えば、転写因子のDNA結合ドメインによって)、標的特異的な様式で結合され得る。標的が、タンパク質またはペプチドである場合、これらは、核酸アプタマー(aptamer)によってか、別のタンパク質またはペプチドによってか、あるいはタンパク質のサブクラスである抗体または抗体フラグメントによって、特異的に結合され得る。
【0015】
用語「相補的」は、互いと熱力学的に優先的な複数の相互作用を形成し得る2つのヌクレオチドをいう。例えば、アデニンはチミンに対して相補的である。なぜなら、これらは2つの水素結合を形成し得るからである。同様に、グアニンとシトシンとは相補的である。なぜなら、これらは3つの水素結合を形成し得るからである。あるヌクレオチド配列が、別のヌクレオチド配列の相補体であるというのは、その第1の配列のヌクレオチドが、その第2配列のヌクレオチドと相補的である場合である。相補性のパーセント(すなわち、配列中に存在するヌクレオチドの総数と比較して、一方の鎖に由来するどれだけの数のヌクレオチドが、他方の鎖と熱力学的に有利な複数の相互作用を形成するか)は、2つの配列の相補性の程度を示す。
【0016】
本明細書中で使用される場合、用語「反復配列」は、2コピー以上のコアエレメントを意味することを意図される。反復配列は、いかなる介在配列をも含まないコア配列の直接的な繰り返しを有し得るか、または反復配列は、介在配列を有するコアエレメントの非連続的な繰り返しを有し得る。コアエレメントは、オリゴヌクレオチドまたはアプタマーのように核酸から作製され得るか、またはコアエレメントは、ペプチド配列のようにアミノ酸から作製され得る。例えば、コアエレメントが8塩基対の核酸配列である場合、この配列の3個の直接的な反復は24塩基配列となる。「相補的反復配列」は、反復配列に特異的に結合する配列である。反復配列が核酸コアエレメントの反復物である上記の例について、その相補的反復配列は、その反復配列に対して特異的にハイブリダイズするコアエレメントの相補鎖を1コピー以上含み得る。
【0017】
本明細書中で使用される場合、用語「遺伝子ディジット」は、標識に対する結合点として作用する、予め決められたヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の領域を意味することを意図される。遺伝子ディジットは、例えば、単一の独特な配列または反復コアエレメントを含む配列を含む、任意の構造を有し得る。各遺伝子ディジットは、その各遺伝子ディジットを、他の遺伝子ディジットから識別する独特な配列を有する。「抗遺伝子ディジット」は、遺伝子ディジットに対して特異的に結合するヌクレオチドまたはアミノ酸の配列または構造物である。例えば、遺伝子ディジットが核酸である場合、その抗遺伝子ディジットは、その遺伝子ディジット配列に対して相補的な核酸配列であり得る。遺伝子ディジットが反復コアエレメントを含む核酸である場合、その抗遺伝子ディジットは、その遺伝子ディジット内の反復配列に対して相補的な一連の反復配列であり得る。抗遺伝子ディジットは、その抗遺伝子ディジットが遺伝子ディジットに特異的に結合し得る限りにおいて、遺伝子ディジットと比較して同数またはより少ない数の反復配列を含み得る。
【0018】
本明細書中で使用される場合、用語「指定子」は、標的特異的配列と1つ以上の遺伝子ディジットの連結物を意味することを意図される。遺伝子ディジットは、直接的に連結され得るか、または介在配列もしくは適合配列(adapting sequence)を使用して連結され得る。指定子は、その指定子が標的分析物に結合することを可能にする標的特異的配列を含み得る。「抗指定子」は、指定子のすべてまたは一部に対する相補的配列を有し、そのため、抗指定子は指定子に対して特異的に結合する。
【0019】
本明細書中で使用される場合、用語「混合物」は、1つより多くの分子を含む組成物を意味することを意図される。混合物は、単一種を含む均質性であっても、異なる種を含む異質性であってもよい。均質性サンプルの例としては、例えば、ポリペプチド、核酸または炭水化物の単離された集団が挙げられる。異質性混合物としては、組織、細胞、それらの溶解産物および分画部分に由来する抽出物が挙げられる。例えば、混合物は、単一のタンパク質のいくつかの分子を含む純粋な溶液であり得るか、または混合物は、いくつかのタンパク質および他の型の高分子を含む細胞由来の抽出物であり得る。
【0020】
本明細書中で使用される場合、用語「標識」は、分析物を分析方法によって検出可能なものとする1つまたは複数の分子を意味することを意図される。適切な標識は、特定のアッセイ形式に依存し、そして当業者に周知である。例えば、核酸分子に特異的な標識は、放射性同位元素、蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチン、または分析方法により測定可能な当該分野で公知の他の部分のような、標識モノマーまたは測定可能な部分に結合された相補的核酸分子であり得る。さらに、標識は、標識モノマーの任意の組み合わせを含み得る。
【0021】
本明細書中で使用される場合、標識を参照して用いられる場合の「独特」とは、同一混合物中において、他の標識からその標識を識別する検出可能なシグナルを有する標識を意味することを意図される。従って、独特な標識とは相対的な用語である。なぜなら、これは、混合物中に存在する他の標識および使用される検出装置の感度に依存するからである。蛍光標識の場合、独特な標識とは、同一混合物中の他の蛍光標識からその標識を有意に識別するスペクトル特性を有する標識である。例えば、フルオレセイン標識は、ローダミン標識を含む混合物中に含まれる場合に、独特な標識であり得る。なぜなら、これらの蛍光標識は、別々の基本的に重複しない波長の光を発光するからである。しかし、フルオレセインと同一または非常に類似した波長の光を発光する別の蛍光標識(例えば、Oregon Green発蛍光団)がこの混合物に添加された場合、フルオレセインはもはや、独特な標識ではなくなる。なぜなら、Oregon Greenとフルオレセインとが、互いから識別され得ないからである。独特な標識はまた、使用される検出装置の感度とも関連する。例えば、FACS機器は、異なる発蛍光団を含有する標識から発光ピークを検出するために使用され得る。特定のセットの標識が、例えば、2nmだけ離れた発光ピークを有する場合、10nm以上離れたピークを識別し得るFACS機器で検出される場合にこれらの標識は独特ではないが、1nm以上離れたピークを識別し得るFACS機器で検出される場合には、これらの標識は独特である。
【0022】
本明細書中で使用される場合、用語「シグナル」は、分析物の存在に関する情報を決定し得る検出可能な物理的な数量またはインパルスを意味することを意図される。従って、シグナルは、検出の読出し成分または測定可能な成分である。シグナルとしては、例えば、蛍光、発光、比色、密度、画像、音、電圧、電流、磁界、および質量が挙げられる。従って、用語「単位シグナル」は、本明細書中で使用される場合、あるシグナルの特定の量を意味し、この量に照らして、同種のシグナルの他の量の大きさが述べられ得ることが意図される。検出装置は、同じ型のシグナルをカウントし得、そして共通の単位でシグナルの量を表示し得る。例えば、核酸は、1つのヌクレオチド位置で放射性標識され得、そして別の核酸は、3つのヌクレオチド位置で放射性標識され得る。各核酸によって放出される放射性粒子は、例えば、シンチレーション計数器で検出および定量され得、そして1分間あたりのカウント数(cpm)として表示され得る。3つの位置で標識された核酸は、1つの位置で標識された核酸の場合の約3倍の数の放射性粒子を放出し、従って、約3倍の数のcpmが記録される。
【0023】
本明細書中で使用される場合、用語「デンドリマー(dendrimer)」は、分枝状核酸を意味することを意図される。これらの構造物は、核酸の層から構成され、各層は、デンドリマーモノマーと呼ばれる部分的に一本鎖のヘテロ二重鎖から構成される。所定のデンドリマーの最外層は、相補的核酸配列とハイブリダイゼーションし得る、複数の一本鎖アームを有し得る。デンドリマーモノマーは、モノマーの連続的な付加により、核酸から構成される三次元構造物が得られるという特性を有する。核酸分子の種々の配置が、多数の示差的に形付けられた樹状構造を生じさせ得る。例えば、市販のデンドリマー性シントンを使用して、1個のステムおよび81個の枝を有するデンドリマーが合成され得る。フォーク様構造物、櫛様構造物、および泡状構造物もまた可能である。
【0024】
本明細書中で使用される場合、用語「核酸」は、一本鎖または二本鎖のDNAまたはRNAの分子を意味することを意図され、これには例えば、ゲノムDNA、cDNA、およびmRNAが挙げられる。この用語は、合成起源および天然起源の両方の核酸分子を含むことを意図される。本発明の核酸分子は、直鎖状構成、環状構成、または分枝状構成のものであり得、そしてネイティブ核酸分子のセンス鎖もしくはアンチセンス鎖またはその両方のいずれかを表し得る。本発明の核酸分子はさらに、放射性標識、蛍光色素、強磁性物質、発光タグのような検出可能な部分、またはビオチンのような検出可能な部分をさらに組み込み得る。
【0025】
本明細書中で使用される場合、用語「ハイブリダイズ」は、異なる成分が互いに連結している状態を意味することを意図される。任意の数の成分が互いに連結され得る(例えば、2つの成分が互いに連結されて二重鎖を形成し得、3つの成分が互いに連結されて三重鎖を形成し得るなど)。核酸は、例えば、相補的なヌクレオチドの間における水素結合によって、ハイブリッドまたは二重鎖を形成し得る。核酸ハイブリッドの形成は、当該分野で公知のいくつかの条件(温度、塩濃度およびpHを含む)に依存する。
【0026】
本明細書中で使用される場合、「複雑度」は、溶液中で互いにハイブリダイズされる2つの核酸の間における反復エレメントの程度をいう(Anderson、M.L.M.,Nucleic Acid Hybridization, Springer−Verlag、New York(1999)を参照のこと)。ハイブリダイズされる核酸分子が反復コアエレメントまたはホモポリマー性領域を含む場合、起こり得る対形成の機会は多くなり、そのためハイブリダイゼーションは迅速に進行する。ハイブリダイズされる核酸分子がいかなる反復コアエレメントも含まない場合、その2つの配列がハイブリダイズされ得る方法は1つしか存在せず、そのためハイブリダイゼーションはより緩やかに進行する。迅速にハイブリダイズする配列は、低複雑度を有するといわれ、一方、ハイブリダイズするのにより長期間を要する配列は、より高い複雑度を有する。例えば、8塩基対コアエレメントの5個の直接的な反復から作製される40塩基対の遺伝子ディジット配列は、その8塩基対コア反復の3反復を含む24塩基対の抗遺伝子ディジットに対して、3つの異なるレジスターにおいてハイブリダイズし得る(例えば、図1Cを参照のこと)。従って、抗遺伝子ディジットは、8塩基対配列の複雑度のみを有する24塩基対の配列を通して、40塩基対の遺伝子ディジットにハイブリダイズし得る。
【0027】
本発明は、多様化標識集団を提供し、そしてほんの少数の異なる標識から開始して、ほぼ同じ単位シグナルの多数の独特な標識を生成する方法を提供する。十分な標識がこの方法によって生成され、その結果、複合混合物中の各分析物は1つの標識によって独特に結合され得、それにより同定され得る。これらの標識は、非常に少容量において使用され得る。非常に少容量において使用され得ることは、その結合反応の速度論を改善する。さらに、これらの標識の設計は、検出精度の改善を可能にする。
【0028】
多様性の大きな独特な標識は、複合混合物中において各々の種に対し独特の標識を提供するために所望され得る。本発明は、多様性の大きな独特な標識を生成するために、予め決められた比率で異なる標識を組み合わせる方法を提供する。この標識は、生成される独特な標識の数において柔軟性を可能にするモジュール構成の様式で設計される。例えば、多数のモジュールが使用される場合、大きな数の割合の異なる標識が可能となり、これにより多数の独特な標識が導かれる。生成される標識の数は、異なる数の種を有する混合物を網羅するように調整され得る。
【0029】
本発明は、30個以上の独特な標識を含む多様化標識集団を提供し、ここで各独特標識は、核酸に結合される。多様化標識集団は、異なる標識種の混合物である。この集団は、約30個程度の少ない異なる標識種を有し得るか、または1017個程度まで高い異なる標識種を有し得る。各標識種の実際の分子数は、少なくとも1つの標識種分子が存在する限り変動し得る。さらに、本発明は、40個、60個、80個、100個、120個、140個、または約150個の独特標識を含む多様化標識集団を提供する。この集団の一部は、異なる個々の標識モノマーから構成され得る。本発明はまた、異なる標識の組合せから作製される独特な標識を提供し、これは実質的に独特な標識の数を増加させ得る。
【0030】
本発明の標識は、核酸に結合される。特に、この標識は、1:1の対応での核酸中のヌクレオチドに対する標識モノマーの結合を通して、核酸に結合される。核酸は、数種の標識モノマーを含み得るが、各標識モノマーは、1つのヌクレオチドに直接結合される。
【0031】
標識モノマーは、天然ヌクレオチドおよび非天然ヌクレオチドの両方を含む任意のヌクレオチドに結合され得る。ヌクレオチドは、3つの部分(リン酸基、ペントース五炭糖分子、および有機塩基)を含む。RNAにおいて、ペントースはリボースであり、そしてDNAにおいて、ペントースはデオキシリボースである。そのため、RNAに組み込まれるためのヌクレオチドはリボヌクレオチドと呼ばれ、そしてDNAに組み込まれるためのヌクレオチドはデオキシヌクレオチドと呼ばれる。3つの塩基(アデニン、グアニンおよびシトシン)は、DNAおよびRNAの両方において見出されるが、チミンは通常、DNAにおいてのみ見出され、そしてウラシルは通常、RNAにおいてのみ見出される。ヌクレオチドは、1、2または3個の結合リン酸基を有し得、そして時折、ヌクレオシドリン酸と呼ばれる。ヌクレオチドは、改変された塩基(例えば、5−メチルシトシン)および改変された糖基(例えば、2’O−メチルリボシル、2’O−メトキシエチルリボシル、2’フルオロリボシル、2’アミノリボシルなど)を有する改変されたヌクレオシドを含み得る。当該分野で使用される非天然塩基の例は、イソシチジンおよびイソグアニンである。
【0032】
本明細書中で使用される標識モノマーは、放射性同位元素、蛍光色素、色素、酵素、ナノ粒子、化学発光マーカー、ビオチンまたは分析方法によって測定可能である当該分野で公知の他の部分のような、個々の測定可能な部分を意味することを意図される。標識モノマーは、当該分野で周知である方法および本明細書中で例示される方法を使用して、ヌクレオチドに結合され得る。
【0033】
放射性同位元素は、本発明によって利用され得る標識モノマーの一例である。いくつかの放射性同位元素(例えば、32P、33P、35S、H、および125Iが挙げられる)が、ヌクレオチドを標識するための標識モノマーとして使用され得る。これらの放射性同位元素は、異なる半減期、崩壊型、およびエネルギーレベルを有し、これらは、特定の実験の要求を満たすように合わせられ得る。例えば、Hは、低いバックグラウンドレベルを生じさせる低エネルギー放射体であるが、この低エネルギーであることはまた、長期間のオートラジオグラフィを生じさせる。放射性標識されたリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドは、市販されている。第1(すなわち、α)リン酸基または第3(すなわち、γ)リン酸基で放射性標識されたヌクレオチドが利用可能である。例えば、[α−32P]dATPおよび[γ−32P]dATPの両方が、市販されている。さらに、放射性標識されたヌクレオチドについて異なる比活性のものがまた市販されており、そして異なる実験のために合わせられ得る。
【0034】
本発明により利用され得る標識モノマーの別の例は、発蛍光団である。いくつかの発蛍光団(例えば、フルオレセイン、テトラメチルローダミン、およびTexas Redが挙げられる)が、ヌクレオチドを標識するための標識モノマーとして使用され得る。スペクトル全体に及ぶいくつかの異なる発蛍光団が公知であり、そしてさらに生成され続けている。同一の発蛍光団の異なる処方物もまた、異なる適用のために生成されている。例えば、フルオレセインは、そのイソチオシアネート形態(FITC)において、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの混合異性体もしくは単一異性体の形態(FAM)として、またはフルオレセインの異性体ジクロロトリアジン形態(DTAF)として、使用され得る。これらの標識は化学的に異なるが、すべて515〜520nmの間にピークを有する光を発光する。フルオレセインの化学的改変物に加えて、フルオレセインと同じ発光ピークまたはフルオレセインと非常に類似した発光ピークを有する、完全に異なる発蛍光団が合成されている。例えば、Oregon Green色素は、フルオレセインと比較して、実質的に重複し得る励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する。Rhodol GreenおよびRhodamine Greenのような他の発蛍光団は、その発光ピークがわずかにシフトするのみであり、そのためこれらもまた、機能的にフルオレセインの置換物として役立つ。さらに、異なる処方物または関連色素が、スペクトルの他の部分において光を発光する他の発蛍光団の周辺で開発されている。
【0035】
アミン反応性およびチオール反応性の発蛍光団が利用可能であり、そしてヌクレオチドおよび生体分子を標識するために使用されている。一般的に、ヌクレオチドは、化学合成の間に蛍光標識される(例えば、ヌクレオチド合成の間にアミンまたはチオールを組み込むことにより、発蛍光団の付加が可能となる)。蛍光標識されたヌクレオチドは、市販されている。例えば、スペクトルを網羅する10個の異なる発蛍光団に結合体化された、ウリジン三リン酸およびデオキシウリジン三リン酸が利用可能である。
【0036】
ヌクレオチドに直接結合され得る蛍光色素もまた、標識モノマーとして利用され得る。例えば、ヌクレオチドに結合されているFAM、JOE、TAMRAおよびROXは、アミン反応性蛍光色素であり、そして自動化DNA配列決定において使用されている。これらの蛍光標識されたヌクレオチド(例えば、ROX−ddATP、ROX−ddCTP、ROX−ddGTPおよびROX−ddUTP)は市販されている。
【0037】
非放射性および非蛍光性の標識モノマーもまた利用可能である。例えば、ビオチンは、ヌクレオチドに直接結合され得、そして比色反応を触媒する酵素(例えば、ホスファターゼ、ルシフェラーゼまたはペルオキシダーゼ)に化学的に結合されたアビジンまたはストレプトアビジンに対する特異的でありかつ高親和性である結合によって検出され得る。ジゴキシゲニン標識されたヌクレオチドもまた同様に、核酸の非同位体性検出のために使用され得る。ビオチン化標識ヌクレオチドおよびジゴキシゲニン標識ヌクレオチドは、市販されている。
【0038】
ナノ粒子と呼ばれる非常に小さな粒子もまた、核酸を標識するための標識モノマーとして使用され得る。これらの粒子は、サイズが1〜1000nmの範囲であり、そして金粒子および銀粒子ならびに量子ドットのような、多様な化学構造物を含む。
【0039】
角度を付けた入射白色光で照射される場合に、40〜120nmの範囲に及ぶ銀または金のナノ粒子は、高い強度の単色光を散乱する。この散乱光の波長は、粒子のサイズに依存する。密接に近接した4〜5個の異なる粒子は、それぞれ単色光を散乱し、これらの単色光は、重ね合わされた場合に特定の独特な色を与える。これらの粒子は、Genicon Sciencesのような企業によって製造されている。誘導体化された銀粒子または金粒子は、広範な一連の分子プローブ分子(タンパク質、抗体、低分子、レセプターリガンド、および核酸を含む)に結合され得る。例えば、粒子表面が、ヌクレオチドへの結合を可能にするように化学的に誘導体化され得る。
【0040】
標識モノマーとして使用され得る別の型のナノ粒子が、量子ドットである。量子ドットは、広範な光の波長によって励起され得る直径1〜5nmの発蛍光性の結晶である。これらの結晶は、その化学的組成およびサイズに依存した波長を有する光(例えば、単色光)を発光する。CdSe、ZnSe、InPまたはInAsのような量子ドットは、独特の光学的特性を有する。これらの粒子は、数年間にわたり半導体産業において使用されていたが、分子生物学的適用には、まさにここで適用されるようになったばかりである。
【0041】
たくさんのクラスの粒子が、量子ドット結晶のサイズクラスの数に従って作製され得る。この結晶のサイズクラスは、以下:1)所望される各サイズクラスの粒子を作製するために結晶形成パラメーターを厳密に制御することによってか、または2)大まかに制御された結晶形成パラメーターのもとで結晶のバッチを作製し、次いで、所望されるサイズおよび/または発光波長に従って分類することによって、のいずれかによって生成される。本発明の状況下における、粒子を標識するための量子ドットの使用は新規であるが、半導体の分野では古い。量子ドットを、半導体発光/検出デバイスの固有のケイ素エピタクシー層内に包埋する初期の言及の2つの例が、米国特許第5,293,050号および同第5,354,707号(Chapple−Sokolら)である。
【0042】
その非常に小さなサイズに起因して、量子ドットは、オリゴヌクレオチドの溶解度または使用に影響を及ぼさずに、直接的にオリゴヌクレオチドに連結され得る。本発明は、わずか1つのオリゴヌクレオチド分子を各ナノ粒子に連結することを必要とする。従来のバッチ化学によって、1:1の比率でオリゴヌクレオチド−ナノ粒子の複合体を合成するために、オリゴヌクレオチドおよびナノ粒子の両方は、互いと反応し得る異種の単一の反応基を必要とする。例えば、オリゴヌクレオチドがアミノ基を有しかつナノ粒子がアルデヒド基を有する場合、これらの基は、シッフ塩基を形成するように反応し得る。オリゴヌクレオチドは、当該分野で周知の化学を使用して、単一のアミノ基または他の官能基を結合するように誘導体化され得る。しかし、ナノ粒子を誘導体化する場合、このナノ粒子は、いくつかの官能基による、ナノ粒子の表面全体のコーティングを生じさせる化学的試薬で覆われる。
【0043】
本発明は、オリゴヌクレオチド合成のために使用される固体表面(例えば、ガラス支持体)にオリゴヌクレオチドを化学的に連結することによって、1つのナノ粒子に1つのオリゴヌクレオチドを連結する方法を提供する。例えば、オリゴヌクレオチド合成用の市販の樹脂(例えば、長鎖アルキルアミノ制御孔ガラス(lcaa CPG))が使用され得る。あるいは、誘導体化された顕微鏡スライドのような平坦な表面が使用され得る。新生オリゴヌクレオチド鎖の表面密度は、ナノ粒子の直径よりも小さくあるべきである。これは、低い表面密度の反応基を有するガラス支持体を選択することによってか、または表面が飽和されないようにオリゴヌクレオチド合成の第1工程には希釈した試薬を使用することによって、のいずれかにより達成され得る。オリゴヌクレオチド合成のために標準的なガラス基材を使用する場合の別の考慮すべき点は、試薬の流動を保証するために、ナノ粒子の直径よりも大きな孔直径を使用するということである。例えば、オリゴヌクレオチドは、ガラス支持体上においてオリゴヌクレオチドに良好な間隔をあけさせることを保証するために、固体支持体に対して希釈ベースで(例えば、通常の合成の1/10で)、合成され得る。オリゴヌクレオチドを反応性官能基(例えば、アミノ基)と共に合成した後、誘導体化ナノ粒子をガラス支持体に通過させて、このオリゴヌクレオチドと反応させる。十分に大きな孔サイズのガラス支持体が、ナノ粒子による詰まりを防止するために選択され得る。例えば、約200nmの孔サイズが使用され得る。反応が終了した後、ナノ粒子上の未反応基はブロックされ得、そしてこの複合体は、ガラス支持体から解離され得る。
【0044】
本発明の標識は、核酸中のヌクレオチドを通して、核酸に結合される。ヌクレオチドがまず標識モノマーに結合され得、次いでその標識モノマー:ヌクレオチドが核酸に組み込まれ得るか、または、核酸中のヌクレオチドに標識モノマーを結合させることによって、既存の核酸が標識され得る。
【0045】
標識モノマーは、当該分野で周知でありそして本明細書中に記載される種々の方法を使用して、ヌクレオチドに結合され得る。例えば、標識モノマーは、ヌクレオチドのリン酸骨格に放射性リン酸を組み込むことによって、1:1の対応で、ヌクレオチドに直接的に結合され得る。また例えば、蛍光標識でリン酸を標識する一般的な方法(これは、BODIPY FLヒドラジドから調製されるイミダゾール誘導体を使用する)が報告されている(WangおよびGiese,Anal.Chem.65:3518(1993))。
【0046】
使用される標識部分に依存して、標識モノマーを結合させるために、ヌクレオチドを誘導体化または化学的に改変することが所望され得る。これらの方法および化学は、当該分野で公知である。さらに、リンカーを使用して、1:1の対応で標識モノマーとヌクレオチドとを連結し得る。例えば、フルオレセイン−12−dUTPのような蛍光標識化ヌクレオチドは、4原子のアミノアルキニル基を介してdUTP分子に連結された発蛍光団モノマーを有し得る。
【0047】
標識モノマーに結合されるこれらのヌクレオチドは、当該分野で周知のいくつかの核酸標識方法を使用して、核酸に組み込まれ得る。例えば、DNAポリメラーゼもしくはRNAポリメラーゼ、Taqポリメラーゼ、ターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ、または逆トランスクリプターゼのような酵素を使用して、核酸に標識化ヌクレオチドを組み込み得る。
【0048】
標識化ヌクレオチドは、例えば、ニックトランスレーションによって、核酸に組み込まれ得る。この手順では、DNAse Iを使用して、二本鎖DNA中に一本鎖のニックを作製し、次いで、E.coli DNAポリメラーゼIの5’→3’エキソヌクレアーゼ作用および5’→3’ポリメラーゼ作用を使用して、そのニックで始まる一本鎖DNAのストレッチを除去し、そしてそれを、標識化ヌクレオチドの組み込みによって作製された新たな鎖と置換する。ニックトランスレーションは、放射性標識化ヌクレオチドおよびビオチン化ヌクレオチドまたはジゴキシゲニン標識化ヌクレオチドを含む、任意の標識化ヌクレオチドを利用し得る。同様の様式で、T4 DNAポリメラーゼを使用して、標識化ヌクレオチドを組み込み得る。さらに、標識化ヌクレオチドは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)およびTaqポリメラーゼを使用して、核酸に組み込まれ得る。標識化の程度は、1つの標識化ヌクレオチドを含ませること、または4つすべてまでの標識化ヌクレオチドを含ませることによって、制御され得る。さらに、標識化の程度は、標識化ヌクレオチド(1つまたは複数)の濃度を増加または減少させることによって制御され得る。
【0049】
核酸を標識化するための他の方法としては、標識化ヌクレオチドの存在下において、逆トランスクリプターゼを使用することによって、RNAから一本鎖cDNAを生成することが挙げられる。さらに、DNAは、SP6またはT7 RNAポリメラーゼ部位でベクターにクローン化され得る。SP6またはT7 RNAポリメラーゼと、標識化ヌクレオチドとの存在下における転写によって、標識化RNA転写物が得られる。この転写物は、1つ以上の標識化ヌクレオチドを含ませることによって、種々の程度に標識化され得る。さらに、核酸中のいくつかのヌクレオチドは、例えば、バクテリオファージM13ベースのベクター中にDNAをクローニングすることによって、標識化され得る。次いで、DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメントおよびM13ユニバーサルプローブプライマーを使用して、標識化ヌクレオチドの組込みを有する相補鎖を合成し得る。
【0050】
新たに合成された核酸中に標識化ヌクレオチドを組み込むためのいくつかの方法が、上記に記載されている。既存の核酸もまた、当該分野で公知のいくつかの方法を使用して、標識化され得る。例えば、RNAまたはDNAは、[γ−32P]ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いて末端標識化され得る。このキナーゼを使用して、DNAまたはRNAのいずれかにおいて、遊離5’OH基にATPの放射活性リン酸を転移させ得る。この酵素はまたホスファターゼ活性を有し、そのため2つの反応が可能となる。正反応において、この酵素は、アルカリホスファターゼ(または他のホスファターゼ)での5’末端リン酸の除去後にリン酸化を触媒する。交換反応において、キナーゼは、ATPの3番目の(すなわち、γ)リン酸と、既存の5’リン酸の交換を触媒する。後者の反応は、効率的なリン酸化のために、過剰なATPおよびADPの存在下において行われる。この方法を使用することにより、ATPの放射活性リン酸は、核酸分子の末端に転移される。
【0051】
核酸はまた、標識化ヌクレオチドをDNAフラグメントの3’末端に付加するターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを用いて標識化され得る。一本鎖DNAおよび二本鎖DNAは両方とも、この酵素の基質である。E.coli DNAポリメラーゼIの大きな(Klenow)フラグメントはまた、核酸の末端を標識化するために使用され得る。この酵素は5’→3’ポリメラーゼ活性を有するので、この酵素を使用して、5’の伸長またはオーバーハングの対となるDNAフラグメントの3’末端を、標識ヌクレオチドにより「フィルイン(fill in)」し得る。ポリヌクレオチドキナーゼまたはターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用して核酸を末端標識化することにより、核酸につき1つの標識の組み込みが生じる。この「フィルイン」反応は、核酸につき1つのヌクレオチドで、または核酸につき1つより多くのヌクレオチドで、核酸を標識化するために使用され得る。
【0052】
さらに、核酸は、核酸中のヌクレオチドを改変することによって標識化され得る。例えば、DNAおよびRNA中のシチジン残基は、亜硫酸水素ナトリウムでの反応によりスルホネート中間体(これは、次いで、ヒドラジドまたは脂肪族アミンに直接的にカップリングされ得る)を形成することによって、改変され得る。実質的に任意の蛍光物、ビオチンもしくは他のヒドラジドまたは脂肪族アミンが、この反応に使用され得る。亜硫酸水素塩活性化シチジル酸もまた、エチレンジアミンのような脂肪族ジアミンにカップリングされ得る。次いで、アミン改変DNAまたはアミン改変RNAは、任意のアミン反応性色素で改変され得る。さらに、リン酸基が、標識化のために核酸において標的化され得る。ヌクレオチドのリン酸基は、水溶液中でさほど反応性ではないが、その末端リン酸基は、求核試薬との組合せにおいてカルボジイミドおよび同様の試薬と反応し、標識化ホスホジエステル、標識化ホスホルアミデート、および標識化ホスホロチオエートを産生し得る。例えば、DNAは、カルボニルジイミダゾールおよびジアミン(例えば、エチレンジアミン)と適量で反応して、遊離の一級アミンを有するホスホルアミデートを産生し得、そしてこのアミンが、次いで、アミノ反応性試薬で改変され得る。蛍光性アミンまたはビオチン化アミンは、ジチオジピリジンおよびトリフェニルホスフィンを使用して、tRNAの5’リン酸にカップリングされている。
【0053】
標識と核酸との間の結合は、ハイブリダイゼーション条件および洗浄条件に対して安定な共有結合または非共有結合であり得る。標識は、例えば、制限酵素によって消化されたDNA中に標識化ヌクレオチドを組み込むことによって、配列特異的様式で核酸に結合され得る。あるいは、標識は、例えば、[γ−32P]ATPおよびT4ポリヌクレオチドキナーゼを使用して、核酸の末端のリン酸に標識を組み込むことによって、非配列特異的様式で核酸に結合され得る。
【0054】
一本鎖または二本鎖のDNA分子またはRNA分子(これには、例えば、ゲノムDNA、cDNAおよびmRNAが挙げられ得る)を含む、いくつかの型の核酸が本発明で利用され得る。合成起源および天然起源の両方の核酸分子が使用され得る。本発明の核酸分子は、直鎖状、環状または分枝状の配置のものであり得、そしてネイティブ核酸分子のセンス鎖もしくはアンチセンス鎖またはその両方のいずれかを表し得る。イソシチジンおよびイソグアニンのような天然では見出されないヌクレオチド塩基が、核酸に組み込まれ得る。
【0055】
標識は、多くの多様な様式で核酸に結合され得る。例えば、特定の標識モノマーは、核酸中の1つの位置のみで核酸に結合され得るか、または核酸中の多くの位置で核酸に結合され得る。さらに、1つの特定の標識モノマーが核酸に結合され得、そして1つ以上の他の標識モノマーもまた同じ核酸に結合し得る。この場合、標識は、2つ以上の異なる標識の混合物を含み得る。さらに、これらの組合せのいずれかまたはすべてにより標識された核酸が、ハイブリダイゼーションを通して、別の核酸に結合され得る。
【0056】
核酸が分枝状である場合、さらなる多様性が導入される。分枝状核酸の1つの例が、デンドリマーである。デンドリマーは、核酸の層から構成され、各層は部分的に一本鎖のヘテロ二重鎖から構成され、これにより核酸から構成される三次元構造が生じる。核酸分子の種々の配置が、多数の示差的に形作られた樹状構造物(例えば、1個のステムおよび81個の枝を有するデンドリマー、またはフォーク様構造、櫛様構造もしくは泡状構造を有するデンドリマーが挙げられる)を生じ得る。所定のデンドリマーの最外層は、相補的な核酸配列とハイブリダイゼーションし得る複数の一本鎖アームを有し得る。核酸分子は比較的大きなサイズであるので、核酸デンドリマーは、限られた立体障害しかなく、多数の標識を含み得る。デンドリマーの使用は、分枝の数と等しい予め決められた因数で、標識化核酸により生成されるシグナルを増幅し得る。
【0057】
標識のいくつかの独特な組合せが、分枝状核酸を使用して形成され得る。例えば、異なる化学的保護基を使用することによって、1つの標識モノマーが1つの分枝に結合し得、一方で、1つ以上の他の標識モノマーが他の分枝に結合する。さらに、標識化核酸は、ハイブリダイゼーションを通して、デンドリマーの分枝に対して種々の組合せで結合され得る。
【0058】
本発明は、核酸に結合した30個、または約40個、約60個、約80個、約100個、約120個、約140個、もしくは約150個の独特な標識の多様化集団を提供する。この集団の部分は、異なる個々の標識モノマーから作製され得る。本発明はまた、2つ以上の異なる標識の組合せから作製された独特な標識を提供する。これは、独特な標識の数を実質的に増加させ得る。
【0059】
独特な標識とは、同じ混合物中において他の標識から識別可能なシグナルを生成する標識である。従って、独特な標識との呼称は、使用される検出装置の感度に依存する。例えば、蛍光標識またはナノ粒子標識が使用される場合、CCDカメラが、その標識を検出するために使用され得る。この装置の感度は、その装置の製造、モデル、および設計に依存する。さらに、いくつかのパラメーターが、最大感度を達成するために、ユーザーによって設定され得る。例えば、異なるフィルターセットの使用は、特定の実験について検出感度を増加させ得る。
【0060】
異なる標識を識別する能力は、標識の特定の特性にも依存する。例えば、いくつかの発蛍光団は、広いピークまたは範囲の波長で光を発光するが、他の発蛍光団は、狭いピークで光を発光する。広いピークで光を発光する発蛍光団は、近隣のピークを不明瞭にし得る。さらに、異なる発蛍光団に由来する発光ピークの形状は変動する。例えば、いくつかの発蛍光団は、急勾配を有するピークを有するが、広く尾を引いた端部(これは、近隣のピークを不明瞭にし得る)を有する。2つのピークが識別され得ない場合、これらのピークに関連した2つの標識は、独特とみなされ得ない。蛍光標識が使用される場合、標識は、少なくとも1nm、5nm、10nm、15nm、20nm、25nm、そして好ましくは、30nm、35nm、40nm、45nm、そしてより好ましくは、少なくとも50nmだけ互いから距離を置いた、異なる、本質的に重複しない、波長で、蛍光性の光を発光する。例えば、色素#1の発光ピークが585nmであり得、そして色素#2の発光ピークが630nmであり得る。
【0061】
独特な標識とは、同じ混合物中において他の標識から識別可能なシグナルを生成する標識である。従って、独特な標識は、その混合物中に含まれる他の標識に依存する。例えば、518nmの発光スペクトルピークを有するフルオレセインと、590nmの発光スペクトルピークを有するローダミンレッドとは明らかに異なる発光ピークを有し、従って、この両方は、混合物中において一緒に含まれる場合に独特な標識とみなされる。しかし、フルオレセインまたはローダミンレッドと重複する発光ピークを有する別の発蛍光団が添加される場合、これらの標識は独特ではない。例えば、Oregon Green(発光スペクトルピーク:522nm)が、上記混合物に添加される場合、フルオレセインおよびOregon Greenの発光ピークは、使用される検出装置に依存して、それらが互いから明瞭に識別され得ないほどに重複し得、従って、フルオレセインもOregon
Greenも、この特定の混合物中において独特な標識として機能し得ない。
【0062】
しばしば、同じ標識または関連標識のいくつかの処方物が異なる適用における使用のために合成され、そしてこれらの標識は異なる化学的特性を有するが、これらは、検出の点では異ならない。例えば、フルオレセインは、そのイソチオシアネート形態(FITC)において、カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステルの混合異性体もしくは単一異性体の形態(FAM)として、またはフルオレセインの異性体ジクロロトリアジン形態(DTAF)で、使用され得る。これらの標識は化学的には異なるが、すべて515〜520nmの間にピークを有する光を発光し、従って、大半の現在利用可能な検出装置では同一に見えるように重複する。フルオレセインの化学的改変物に加えて、フルオレセインと同じ発光ピークまたはフルオレセインと非常に類似した発光ピークを有する、完全に異なる発蛍光団が合成されている。例えば、Oregon Green色素は、フルオレセインと比較して、実質的に重複し得る励起スペクトルおよび発光スペクトルを有する。Rhodol GreenおよびRhodamine Greenのような他の発蛍光団は、その発光ピークがわずかにシフトするのみであり、そのためこれらもまた、機能的にフルオレセインの置換物として役立つ。
【0063】
混合物中において一緒に使用され得、なお独特のシグナルを提供し得る、限られた数の異なる標識モノマーが知られている。例えば、5つの分析物は、Molecular Probes(Eugene,OR)からのBODIPY発蛍光団セットを使用して、独特に標識され得る。これらの発蛍光団は、以下の異なる発光ピークを有する:BODIPY
FL(513)、BODIPY R6G(550)、BODIPY TMR(574)、BODIPY 581/591(592)およびBODIPY TR(617)。現在利用可能な検出装置を使用して明瞭な結果を得るために、使用され得る異なる発蛍光団の数は30個未満である。
【0064】
本発明の独特な標識はまた、2つ以上の異なる標識モノマーを組み合わせて新たな標識を作製することによって生成され得る。得られる標識のシグナルは、独特な標識であるために、同じ実験において使用される他の標識のシグナルから識別可能でなければならない。例えば、フルオレセインおよびローダミンの両方で標識された核酸は、フルオレセイン単独またはローダミン単独のいずれかで標識された核酸とは異なる波長で光を発光する。
【0065】
本発明では、核酸に結合した種々の比率の異なる標識モノマーを組み合わせて、1017個までまたはそれより多くの独特な標識を含み得る、独特な標識の多様化集団を生成し得る。例えば、2つのフルオレセイン標識化ヌクレオチドおよび3つのローダミン標識化ヌクレオチドで標識された核酸は、3つのフルオレセインヌクレオチドおよび2つのローダミンヌクレオチドで標識された核酸と比較して異なる波長で、光を発光する。別の例では、核酸は、異なる比率の3個以上の標識モノマー:ヌクレオチドで標識され得、これにより、生成され得る独特な標識の多様性は著しく増加する。
【0066】
ヌクレオチドに結合した各標識モノマーによって生成されるシグナルは、ほぼ同じ単位シグナルを有するように正規化され得る。例えば、蛍光性モノマーAが、蛍光性モノマーBと異なる光の量子を発することが知られている場合、予め決められた数のこれらのモノマーを含む独特な標識に由来するシグナルは、その標識モノマーの既知のシグナル特性およびその独特な標識中に存在する各モノマーの数に基づいて正規化され得る。異なる数の標識が本発明で使用され得、そのため異なる複数の同じ単位シグナルが、本発明によって利用され得る。例えば、核酸は2つの発蛍光団で標識され得、そして別の核酸は6つの発蛍光団で標識され得る。この2つめの核酸は、1つめの核酸の3倍のシグナルを有する。各核酸に結合された標識モノマーの数は既知であるので、この標識化核酸に由来するシグナルは、存在する標識モノマーの数に基づいて正規化され得る。例えば、6つの発蛍光団を有する核酸由来のシグナルを3で除算し得、これにより2つの発蛍光団を有する核酸由来のシグナルに対してシグナルを正規化する。
【0067】
標識を生成する本方法は、マイクロアレイ形式のような既存の技術に対して重要な利点を生じる。各分析物は、ほぼ同じ単位シグナルを有する標識によって独特に同定されるので、これにより標識が直接的にカウントされることが可能となり、結果として、混合物中における各分子種のデジタル的な読出しが得られる。対照的に、マイクロアレイデータは、分子の数を定量するためにいくつかの中間的な変換を受けなければならず、これは結果として、精度の低いアナログ出力を生じさせる。さらに、同じ単位シグナルを有する標識の多様性を使用することによって、狭いダイナミックレンジで検出方法が操作されることを可能にし、これによりシステムの感度改善がもたらされる。なぜなら、感度とダイナミックレンジとの間の相殺取引が回避されるからである。
【0068】
本発明は、独特に標識されたプローブの多様化集団を提供する。このプローブ集団は、約30個以上の標的特異的核酸プローブを含み、各プローブは、核酸に結合された独特な標識に結合されている。さらに、本発明は、50個、100個、200個、500個、1,000個、2,000個、5,000個、1×10個、3×10個、および約1×10個またはそれより多くの異なる標識の多様性を含む、独特に標識されたプローブの多様化集団を提供する。上記のように、これらの独特な標識は、2つ以上の異なる標識の混合物を含み得、そしてほぼ同じ単位シグナルまたはその倍数の単位シグナルを含み得る。
【0069】
本発明は、標的特異的核酸が、独特な標識に結合された核酸を含むという、独特に標識されたプローブの多様化集団を提供する。さらに、本発明は、2つの結合された核酸集団を含む、独特に標識されたプローブの多様化集団を提供し、ここで1つの核酸集団は、30個以上の標的特異的核酸プローブを含み、そして第2の核酸集団は、独特な標識に結合された核酸を含む。
【0070】
標的特異的プローブは、選択的に標的分析物に結合する因子を意味することを意図される。この因子は、標的に対しては優先的な親和性で結合するが、他の分子に対しては検出可能な交差反応性を殆ど〜全く示さない。
【0071】
標的分析物は、核酸、タンパク質または低分子薬物をも含む任意の型の高分子であり得る。例えば、標的は、相補的な核酸(例えば、オリゴヌクレオチドもしくはPCR産物、または非天然の核酸(例えば、ロック化核酸(locked nucleic acid)(LNA)またはペプチド核酸(PNA))が挙げられる)によって特異的に認識および結合される核酸であり得る。さらに、標的は、核酸によって結合されるペプチドであり得る。例えば、転写因子のDNA結合ドメインは、特定の核酸配列に特異的に結合し得る。核酸によって結合され得るペプチドの別の例は、アプタマーによって結合され得るペプチドである。アプタマーは、金属イオン、有機色素、薬物、アミノ酸、補因子、アミノ配糖体、抗生物質、ヌクレオチド塩基アナログ、ヌクレオチドおよびペプチドを含む低分子標的に結合し得る三次元構造を有する核酸配列である(Jayasena,S.D.,Clinical Chemistry 45:9,1628−1650,(1999)(本明細書中で参考として援用される))。さらに、標的は、別のペプチドまたは抗体もしくは抗体フラグメントによって結合されるペプチドであり得る。結合ペプチドまたは抗体は、例えば、化学的薬剤およびUV架橋剤を含む公知の化学を使用することによって、核酸に連結され得る。さらに、ペプチドは、ペプチドに特異的に結合するアプタマーの使用を通して、核酸に連結され得る。他の核酸は、アプタマーに直接的に結合され得るか、またはハイブリダイゼーションの使用を通して結合され得る。標的分子は、アプタマーまたはペプチドリガンド結合ドメインによって結合され得る低分子でさえあり得る。
【0072】
本発明は、予め決められた比率の少なくとも2つの異なる標識に結合された核酸の集団を合成することからなる、標識の集団を生成する方法を提供する。この方法は、DNAポリメラーゼを使用して、反復核酸構造物に標識化ヌクレオチドを組み込むことを含む。反復核酸構造物は、予め決められた比率の標識の組込みを可能にするように設計され得る。この方法を使用して、いくつかの独特な標識が、少数の開始標識から生成され得る。
【0073】
本方法の特定の例(ここでは、10個の独特な標識が、2つの異なる標識から作製される)が、実施例1に提供される。簡潔には、220塩基対の一本鎖DNAの10個の独特なテンプレートを合成する。このテンプレートは、予め決められた比率の以下の20塩基対反復からなり、ここでn+m=11である:
5’(ACTCTCTCTCTCTCTCTCTC)n(GCTCTCTCTCTCTCTCTCTC)m 3’(配列番号1〜12)。第2鎖は、プライマーGAGAGAGAGA(配列番号13)、Klenowポリメラーゼ、DNAリガーゼ、dGTP、dATP、ならびにdCTPおよびdUTP(各々、異なる発蛍光団で標識されている)を使用して合成される。標識化ヌクレオチドは、2つの反復の比率によって決められた独特な比率で、DNAに組み込まれる。この例において、最終的な結果は、2つの発蛍光団の設定比率が1:10、2:9、3:8、4:7、5:6、6:5、7:4、8:3、9:2、および10:1となった、10個の独特に標識された核酸である。
【0074】
実施例1において、2つの異なる標識は、10個の独特な標識をもたらした。同じプロトコールを使用すれば、3つの異なる標識は30個の独特な標識をもたらし、4つの異なる標識は60個の独特な標識をもたらし、5つの異なる標識は100個の独特な標識をもたらし、以下同様である。この方法のいくつかのバリエーションが、当業者に明らかである。例えば、反復の数が、10個より少なくまたは10個より多くへと変更され得る。反復の数を増加させることは、可能となる独特な比率の数を増加させる。これにより、同数の異なる開始標識から生成され得る独特な標識の数は増加を生じる。また実施例1において、2つの発蛍光団の間の比率は0:11および11:0を含み得、これにより一方の発蛍光団または他方の発蛍光団を含む2つのさらなる標識が得られる。
【0075】
当業者は、テンプレートの配列が、上記で示されたものとは異なり得ることを理解する。例えば、テンプレート中の反復配列は、(CT)の代わりに(GA)であり得る。さらに、反復配列は、(A)のような単一ヌクレオチドのホモポリマーであり得る。ホモポリマーのテンプレートを用いて、3つの標識化ヌクレオチドが異なる比率で組み込まれ得、それにより生成され得る独特な標識の数は増加する。本願方法を使用して、40個、60個、80個、100個、120個、140個、150個、200個、500個、2,000個、5,000個、1×10個、3×10個、1×10個、またはそれより多くの標識を含む、多数の独特な標識を生成することが可能である。また上記のように、これらの独特な標識は、ほぼ同じ単位シグナルまたはその倍数の単位シグナルを含み得る。
【0076】
この方法の別の可能な改変は、反復の長さを、例えば、20塩基対より短くまたは20塩基対よりも長くへと、変更することである。反復は、標識化ヌクレオチドを分離するのに役立ち、従って、標識間で起こり得る干渉を減少させるのに役立つ。蛍光標識の場合、これは、発蛍光団間のクエンチングを減少し得る。さらに、DNA中に標識化ヌクレオチドを組み込むためのプロトコールは、当業者に明らかであり、そして本明細書中に記載の通りに改変され得る。
【0077】
1つの実施形態において、上記の標識化DNAは、デンドリマーに結合され得る。オリゴヌクレオチドタグが、標識化DNAの結合を可能にするように、このデンドリマーの分枝において合成され得る。例えば、デンドリマーの分枝上にあるオリゴヌクレオチドタグに対応するリンカーが、上記の標識化DNAに結合され得る。いくつかの型のリンカーが当業者に公知である。例えば、制限酵素リンカーが、標識化DNAに結合され得る。これらのリンカーは、特定の制限酵素の認識配列を含む二本鎖オリゴヌクレオチドである。これらのリンカーは、DNAリガーゼを使用して二本鎖DNAに連結され得、そして適切な制限酵素を使用して消化され得る。結果として、別の核酸に対してハイブリダイズさせるために利用可能なオーバーハングした一本鎖配列が得られる。
【0078】
上記の標識化DNAは、標的特異的プローブに対して直接的に結合され得る。さらに、標識化DNAは、例えば、架橋する核酸の使用を通して、標的特異的プローブに対して間接的に結合され得る。1つ以上のこれらの標識が、各標的特異的プローブに結合され得る。独特に標識された標的特異的プローブが標的分析物に結合することにより、この分析物の独特なタグ化がもたらされる。このタグ化により、分析物の混合物のなかから標的分析物を同定することが可能となる。
【0079】
独特な標識の数は、異なる組合せで上記の独特な標識を組み合わせることによって、さらに増加され得る。本発明は、核酸プローブに対して標識を結合させる方法を提供し、この方法は、遺伝子ディジットを有する核酸プローブを、標識を有する抗遺伝子ディジットに対してハイブリダイズさせる工程を包含する。上記の標識を含む抗遺伝子ディジットは、遺伝子ディジットに対してハイブリダイズされる。遺伝子ディジットは、独特な組合せで一緒に連結されて、さらに多数の独特な標識を作製し得る。遺伝子ディジットのモジュール設計は、生成される独特な標識の数において柔軟性を与える。例えば、多数の遺伝子ディジットモジュールが使用される場合、多数の独特なテンプレートが、独特な標識の結合のために利用可能となる。生成されるテンプレートの数は、混合物中の種の数を網羅するように調節され得る。
【0080】
遺伝子ディジットは、標識に対する結合点として役立つ、予め決められたヌクレオチド配列またはアミノ酸配列の領域であり得る。遺伝子ディジットは、例えば、単一の独特な配列または反復コアエレメントを含む配列を含む、任意の配列を有し得る。しかし、各遺伝子ディジットは、他の遺伝子ディジットからその遺伝子ディジットを識別する独特な配列を有する。標的の複合混合物に添加される場合、核酸遺伝子ディジットは、天然に存在する標的配列へのハイブリダイゼーションを減少させ得る非天然塩基(例えば、イソシチジンおよびイソグアニン)を含み得る。配列、コアエレメントの長さ、および反復コアエレメントの数は、実験の特定の要件に従って変動され得、そしてそれらは当業者に明らかである。例えば、核酸コアエレメントは、約5〜12塩基対の長さであり得、そしてコアエレメントは、1回から約10倍まで反復され得る。
【0081】
例えば、少なくとも2塩基だけ他の遺伝子ディジットのコア単位とは異なるコア単位を有する、異なる遺伝子ディジットが合成され得る。種々の組合せでこれらの独特な遺伝子ディジットを組み合わせることによって、非常に多様な数の構造物が合成され得る。例えば、独特な配列を有する50個の遺伝子ディジットが合成され得、そして各群において10個の遺伝子ディジットを含む5つの群へと分けられ得る。各群の遺伝子ディジットは、各々の末端に短いタグを有するように合成され得る。次いで、各群から1つの遺伝子ディジットが、各群に共通したタグに対して相補的なアダプターオリゴヌクレオチドを使用して、一緒に連結される。この例では、1×10(10×10×10×10×10)個の独特な組合せが可能である。
【0082】
遺伝子ディジットは、上記の独特な標識に対する結合点として役立つ。遺伝子ディジットは、独特な組合せで一緒に連結され得るので、これにより独特な標識の数は著しく増加する。遺伝子ディジットを一緒に連結することによって、200個、500個、2,000個、5,000個、1×10個、3×10個、1×10個またはそれより多くの独特な標識を含む、多数の独特な標識が生成され得る。
【0083】
本発明は、核酸プローブに対して標識を結合させる方法を提供し、この方法は、遺伝子ディジットを有する核酸プローブを、標識を有する抗遺伝子ディジットに対してハイブリダイズさせる工程を包含し、ここでこの遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを含み、そして抗遺伝子ディジットは、少なくとも2つの相補的反復配列の同族(cognate)セットを含み、ここで抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、遺伝子ディジットに対して特異的にハイブリダイズする。
【0084】
核酸遺伝子ディジットの一例を、実施例2に提供する。簡潔には、この実施例では、非天然塩基であるイソシチジンおよびイソグアニンを含む、8塩基対のコアエレメントを5回反復させる。これにより、40塩基対の遺伝子ディジットが生じる。この実施例において、抗遺伝子ディジットは、遺伝子ディジットの5つのコアエレメントのなかの3つに対して相補的な配列からなる。抗遺伝子ディジットは、その抗遺伝子ディジットが遺伝子ディジットに特異的に結合し得る限り、その遺伝子ディジットと比較して同数の、またはより少数の、反復配列を含み得る。この実施例において、抗遺伝子ディジットは、3つの異なるレジスターにおいて、40塩基対の遺伝子ディジットに結合し得る24塩基対の配列である(図1Cを参照のこと)。
【0085】
この特定の例における抗遺伝子ディジットは、8塩基対の配列の複雑度しか有さない24塩基対の配列である。複雑度とは、溶液中で互いにハイブリダイズされる2つの核酸の間における反復エレメントの程度をいう。ハイブリダイズされる核酸分子が反復コアエレメントまたはホモポリマー性領域を含む場合、起こり得る対形成の機会は多くなり、そのためハイブリダイゼーションは迅速に進行する。ハイブリダイズされる核酸分子がいかなる反復コアエレメントも含まない場合、その2つの配列がハイブリダイズされ得る方法は1つしか存在せず、そのためハイブリダイゼーションはより緩やかに進行する。迅速にハイブリダイズする配列は、低複雑度を有するといわれ、一方、ハイブリダイズするのにより長期間を要する配列は、より高い複雑度を有する。この実施例において、8塩基対コアエレメントの5個の直接的な反復から作製される40塩基対の遺伝子ディジット配列は、その8塩基対コア反復の3反復を含む24塩基対の抗遺伝子ディジットに対して、3つの異なるレジスターにおいてハイブリダイズし得る。従って、この抗遺伝子ディジットは、8塩基対配列の複雑度のみを有する24塩基対の配列を通して、その40塩基対の遺伝子ディジットに対してハイブリダイズし得る。この方法の利点は、ハイブリダイゼーションが、より迅速に、そして効率的に進行するということである。
【0086】
上記の特定の例では、8塩基対のコアエレメントが記載された;しかし、コアエレメントは、8塩基対よりも多数または少数であり得る。例えば、コアエレメントは、5塩基対と12塩基対との間であり得る。反復のコアエレメントの変化は、対応するように、複雑度を変化させる。例えば、コアエレメントが5塩基対と12塩基対との間である場合、複雑度は、5と12との間である。さらに、抗遺伝子ディジットは、その配列の全体または一部を使用して、遺伝子ディジットに結合し得る。上記の例では、24塩基対の抗遺伝子ディジットは、24個よりも少ない塩基(例えば、15〜23塩基対)で、遺伝子ディジットに結合し得る。
【0087】
抗遺伝子ディジットは、遺伝子ディジットと標識との間におけるコネクターとして役立つ。遺伝子ディジットは、抗遺伝子ディジットによって結合され、そしてその抗遺伝子ディジットは、直接的にかまたは結合された標識(1つまたは複数)を有するデンドリマーに結合されることによって間接的に、標識に結合される。抗遺伝子ディジットはまた、デンドリマーへの結合を可能にするリンカー配列を含む。例えば、抗遺伝子ディジット上のリンカー配列に対して相補的なオリゴヌクレオチドタグが、デンドリマーのステムに合成され得る。上記のように、いくつかの型のリンカーが使用され得る。このようにして、抗遺伝子ディジットの反復配列は、その対応する遺伝子ディジットと自由にハイブリダイズし、それにより遺伝子ディジットに対する標識の特異的結合をもたらす。
【0088】
遺伝子ディジットおよび抗遺伝子ディジットは、核酸(アプタマーを含む)および核酸以外の高分子から構成され得る。例えば、遺伝子ディジットは、アミノ酸配列から構成され得、この遺伝子ディジットは、その遺伝子ディジット内のアミノ酸配列に特異的に結合する核酸である抗遺伝子ディジットによって結合されるか、または、抗遺伝子ディジットはアミノ酸配列(抗体または抗体フラグメントを含む)であり得、この抗遺伝子ディジットは、遺伝子ディジット内のアミノ酸配列に特異的に結合する。
【0089】
本発明は、標的特異的核酸プローブを、1つ以上の遺伝子ディジットに結合させて「指定子」を形成する方法を提供する。遺伝子ディジットは、標的特異的領域に対して、直接的に連結され得るか、または介在配列もしくは適合配列を使用して結合され得る。上記のように、標的特異的領域は、核酸(アプタマーを含む)であり得るか、または標的特異的領域は、アミノ酸配列(抗体または抗体フラグメントを含む)であり得る。標的特異的領域は、混合物中において分析物に特異的に結合するように設計される。このようにして、分析物は、独特な標識で標識化され得る。
【0090】
指定子は、1種〜数種の遺伝子ディジットを含み得る。例えば、指定子は、4個もしくは5個またはそれより多くの遺伝子ディジットを含み得る。指定子内の遺伝子ディジットの数によって、混合物中の分析物への結合に利用可能な独特な標識の数が決定される。従って、複合混合物中における各分析物を標識するために、遺伝子ディジットのいくつかの組合せを含んだ大きな指定子集団が合成され得る。あるいは、混合物中の1つまたは少数の分析物を標識するために、1つまたは少数の遺伝子ディジットを含む指定子(1つまたは複数)が合成され得る。さらに、指定子は、ビオチンタグのような一般的なタグを含み得る。これらのタグは、指定子の合成および精製を容易にし得る。
【0091】
本発明はさらに、標的特異的核酸プローブの集団を生成する方法を提供する。この方法は、以下の工程からなる:少なくとも1つの遺伝子ディジットを各々有する2つ以上の標的特異的プローブの第1の集団を生成する工程であって、ここでこの遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを含む、工程、次いで、少なくとも2つの相補的な反復配列を有する抗遺伝子ディジットを有する核酸の第2の集団を生成する工程、そして最後に、この核酸の第1の集団および第2の集団をハイブリダイズさせて、抗遺伝子ディジットに結合した標的特異的プローブの集団を生成する工程であって、ここで抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、遺伝子ディジットにハイブリダイズする、工程。
【0092】
本発明はまた、独特に標識された核酸プローブの集団を生成する方法を提供する。この方法は、以下の工程からなる:異なる指定子を各々有する標的特異的核酸プローブの集団を合成する工程;次いで、独特な標識を各々有する対応する抗遺伝子ディジットの集団を合成する工程、そして最後に、標的核酸プローブの集団を抗遺伝子ディジットに対してハイブリダイズさせて、各標的特異的プローブが独特に標識された集団を生成する工程。
【0093】
本発明はさらに、核酸分析物を検出する方法を提供する。この方法は、核酸分析物の混合物と、独特な標識に各々結合された標的特異的プローブの集団とを、そのプローブの標的へのハイブリダイゼーションのために十分な条件下で接触させること、そして、分析物にハイブリダイズされた1つ以上の標的特異的プローブから生じるシグナルを測定することにより、ここでこのシグナルは、分析物を独特に同定する。
【0094】
核酸分析物は、例えば、RNA集団またはcDNAコピーの集団を含む、任意の型の核酸を含み得る。本発明は、混合物中の各分析物に対する少なくとも1つの標的特異的プローブを提供する。本発明はまた、独特な標識に結合された核酸を含む、標的特異的プローブを提供する。さらに、本発明は、2つの結合された核酸集団を提供し、ここで1つの核酸集団は、複数の標的特異的核酸プローブを含み、そして第2の核酸集団は、独特な標識に結合された核酸を含む。標的特異的プローブが独特な標識に結合された場合に、これは標的分析物の独特な同定を可能にする。
【0095】
本発明の方法は、ハイブリダイゼーションが少量(0.01〜2.0μl)の溶液中で実施され得、これによりハイブリダイゼーション速度を駆りたてる高濃度の核酸が保証されるので、有利である。2つの異なる型のハイブリダイゼーションが、本発明の方法によって利用される。第1のハイブリダイゼーションは、分析物の複合混合物と指定子との間におけるものであり、そして第2の型のハイブリダイゼーションは、指定子と標識との間におけるものである。
【0096】
分析物の複合混合物と指定子集団との間における第1の型のハイブリダイゼーションでは、指定子の方がより多い。例えば、指定子は、複合混合物中の分析物よりも10倍〜約100倍多くあり得る。この反応の速度論は、以下の式によって記述され得る:
【0097】
【数1】

ここで、Nはプローブ(指定子)の複雑度であり、Lは長さであり、Cはプローブの濃度であり、そしてt1/2は、50%の反応の終了に必要とされる時間である。この式を使用すると、より高濃度のプローブが、50%の反応の終了に必要とされる時間を短くさせることが明らかである。このハイブリダイゼーションにおけるサンプルは、RNAまたはDNAのいずれかであり得る。サンプルがポリA RNAではない場合、サンプルはまず、いくつかの方法(例えば、白金−ジゴキシゲニン)によってタグ化されなければならない。ハイブリダイゼーションの終了後、分析物と指定子とを含む二重鎖は、ポリAまたはハンドルとしてのジゴキシゲニンタグを使用して分離され、そして過剰な指定子から洗浄される。次いで、洗浄された物質を、第2のハイブリダイゼーションに使用する。
【0098】
第2のハイブリダイゼーションにおいて、単離された指定子は、標識と混合される。この標識は指定子よりも多く、そしてこの速度論は、第1のハイブリダイゼーションについて上記に示されたものと同じ速度論に従う。複雑度(N)が非常に低いので、この第2のハイブリダイゼーションは、さらにより速い速度で実施される。指定子と標識とを含むハイブリダイズした複合体は、ハンドルとして指定子上のビオチンタグを使用して単離され得、そして検出のためにさらに処理され得る。
【0099】
高分子ハイブリッドの形成は、当該分野で公知のいくつかの条件(温度、塩濃度およびpHを含む)に依存する。核酸ハイブリッドの形成のための種々の条件が、当該分野で周知であり、そして例えば、HamesおよびHiggins,Nucleic Acid
Hybridisation:A Practical Approach,IRL Press,Oxford(1991)において見出され得る。さらに、核酸−タンパク質の相互作用およびタンパク質−タンパク質の相互作用のための条件は、当該分野で周知であり、そして例えば、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubelら編,Greene Publ.,New York 1989)(これは、本明細書中で参考として援用される)において見出され得る。
【0100】
「指定子−標識」複合体は、例えば、二次元表面(例えば、ガラス)上でそれらを分離することによってか、またはフローサイトメーターにおいて液滴中でそれらを分けることによって、互いから分離され得る。この例において、可視化は、2−D表面を走査することによってかまたはフローサイトメトリーによってかのいずれかで達成され得る。特異的な標識が共存することにより、特定の指定子の正体が決定付けられ、これにより、その指定子が最初に結合した特定の分析物の正体が決定付けられる。
【0101】
「指定子−標識」複合体は、視覚的検査、デジタルカメラ、ビデオカメラ、写真フィルム、またはレーザー走査デバイス、蛍光分析器、照度計、フォトダイオード、量子計数器、プレートリーダー、エピ蛍光顕微鏡(epifluorescence microscope)、走査顕微鏡、共焦点顕微鏡のような現在の機器の使用、または光電子増倍管のようなシグナルの増幅のための他の手段によるか、もしくは蛍光シグナルの存在、位置、強度、励起スペクトルおよび発光スペクトル、蛍光の偏光、蛍光の寿命ならびに他の物理的特性を検出し得る他の光検出器によること、を含むがこれらに限定されない種々のデバイスによって検出され得る。非蛍光性シグナルは、Geiger計数器、シンチレーション計数器、化学発光、酵素アッセイおよびオートラジオグラフィを使用して検出され得る。
【0102】
本発明によって利用され得る検出方法の一例が、CCD(電荷結合素子)カメラである。このデバイスの使用は、指定子−標識複合体が、まずガラススライド上に広げられることを必要とする。すべての複合体がほぼ同じ合計強度を有するので、これは検出を単純化する。なぜなら、このカメラは、最大の感度(最大の利得)および最小のダイナミックレンジのために調整され得るからである。
【0103】
例えば、蛍光性デンドリマーがサンプルを標識化するために使用される場合、このサンプルは、対応する吸着最大点(maxima)で励起され得、そして例えば、使用される8〜10個の発蛍光団の各々について対応する発光最大点で走査され得る。CCDカメラの利点は、それらが、異なる発光ピークを有する発蛍光団の選択を可能にする、非常に広い検出範囲を有するという点である。薄化層CCDカメラは、軟X線から赤外スペクトル付近まで検出し得る。
【0104】
あるいは、ナノ粒子標識を使用する場合、このサンプルは、角度を付けた白色光により照射され得、そして数種の波長で検出が起こる。波長の数は、使用されるカメラの品質、ならびにその感度および直線性(linearity)に依存する。良好な品質のカメラは、3つの標準的なフィルター(赤色、緑色および青色)のみで数百万の色を再現可能に識別し得る。
【0105】
1つより多くの標識モノマーを含む独特な標識の場合、この独特な標識によって生成されるシグナル全体が決定され得る。例えば、いくつかの発蛍光団を含む独特な標識についてのシグナル全体が、分光計を使用して決定され得る。独特な標識から生成されるシグナル全体を検出することに加えて、本発明は、独特な標識中における開始標識(これは、標識モノマーまたは標識モノマーの組合せであり得る)の空間的位置の検出を提供する。例えば、独特な標識中のこの標識は、フローストレッチ技術(Henegariuら,Biotechniques 31:246−250(2001))、後退メニスカス(receding meniscus)技術(Yokotaら,Nuc.Acids Res.25:1064−1070(1997))またはエレクトロストレッチ(electrostretching)技術(Matsuuraら,Nuc.Acids Res.29:E79(2001))を使用して、互いから分離され得る。
【0106】
フローストレッチ技術、後退メニスカス技術、またはエレクトロストレッチ技術を使用することによって、独特な標識中における標識の分離が可能となり、その結果、その独特な標識中において、空間的に何処に特定の標識が位置しているのかが決定され得る(実施例V、VI、VIIおよびVIII)。従って、開始標識の同じ組み合わせおよび同じシグナル全体を有する独特な標識が、その独特な標識中のその標識の位置に基づいて、互いから識別され得る。独特な標識中における標識の位置を突き止めるこの能力によって、開始標識の位置が、独特な標識セットを生成する場合の識別特徴として使用されることが可能になる。従って、独特な標識の複合セットが、独特な標識内の標識の位置を変化させることによって、同じ組合せの開始標識を使用して生成され得る。
【0107】
観察されたシグナルは、当該分野で公知の方法を使用して改変され得る。例えば、観察されたシグナルは、非特異的なノイズのサブトラクションを含み得る。観察されたシグナルはまた、例えば、観察値の有意義な比較および分析を可能にする慣用的なデータ分析手順および統計手順による、測定量の処理を含み得る。このような手順としては、例えば、異なるスケールを有する値の直接比較のための正規化、および異常値または人為的な値を除去するためのフィルター処理(filtering)が挙げられる。
【0108】
分析物の複合混合物と指定子集団との間における上記の第1の型のハイブリダイゼーションでは、指定子の方がより多かった。対照的に、標準的なマイクロアレイでのハイブリダイゼーションは、分析物の方が標識化プローブと比べてより多い条件下で行われる。さらに、マイクロアレイでは、ハイブリダイゼーションの過程の間に同族の標的に実際にハイブリダイズするのは、このプローブの小さな画分のみであり、そのため、その実験の終了時における標的の探知範囲(coverage)は通常5%未満である。本発明の方法を使用した場合の標的の探知範囲は、理論上100%である。なぜなら、標識の方が、標的分析物と比べてより多いからである。
【0109】
100%の標的探知範囲であることの1つの利点は、各分析物が1つの標識によって結合されるので、標的分析物が直接的にカウントされることが可能となるという点である。本発明の方法を使用すると、分子種は、直接的に1つずつカウントされ得る。直接的にカウントされること(すなわち、デジタル出力)は、マイクロアレイに使用される間接的な定量方法に対して好ましい。なぜなら、このデータは、いくつかの中間的な変換を経る必要がないからである。検出装置が、放出される粒子の数を直接的にカウントする場合、これはデジタル出力を有するといわれるが、直接的なカウントがいくつかの中間的な変換を受ける場合、このデータはアナログ出力を有する。マイクロアレイ由来の定量データは、データの外插に起因するいくつかの歪みに供されることが公知である。
【0110】
マイクロアレイにおける標的探知範囲が低いことの別の結果が、少量のシグナルを検出するために、高感度な装置を必要とするということである。しかし、マイクロアレイは、シグナル検出のために高いダイナミックレンジを必要とするので、感度は、感度とダイナミックレンジとの間の相殺取引に起因して減少する。本発明の方法は、限られた数の標識を使用して、多数の独特な標識の組み合わせを作製する。これにより、検出方法を狭いダイナミックレンジで操作することが可能になる。対照的に、マイクロアレイ方法は、異なる分子種のアバンダンスにおける大きな差異を説明するために、大きなダイナミックレンジ(4桁の大きさまたはそれ以上)を必要とする。本発明の方法によって必要とされるダイナミックレンジに関する低い要件は、システムの感度を改善する。なぜなら、感度とダイナミックレンジとの間の相殺取引が回避されるからである。
【0111】
本発明はさらに、核酸分析物を検出する方法を提供する。この方法は、以下の工程を必要とする:ハイブリダイゼーションのために十分な条件下で、核酸分析物の混合物と、少なくとも1つの遺伝子ディジットを有する標的特異的プローブとを接触させる工程であって、ここでこの遺伝子ディジットは、3つ以上の反復配列のセットを有する、工程、次いで、この混合物と、少なくとも2つの相補的反復配列の同族セットを有する抗遺伝子ディジットとを接触させる工程、そして最後に、分析物と標的特異的プローブと抗遺伝子ディジットとを含むハイブリダイズした複合体を検出する工程であって、ここでこの抗遺伝子ディジットは、ハイブリダイズされる塩基対の数よりも低い複雑度を有する配列を通して、遺伝子ディジットにハイブリダイズする、工程。
【0112】
本発明はまた、抗遺伝子ディジット(1つまたは複数)の各々が独特な標識を有する、上記のような核酸分析物を検出する方法を提供する。
【0113】
本発明の方法は、混合物中における分析物の検出を提供する。この混合物は、いくつかの型の分析物を含み得るか、またはこの混合物は、ただ1つの型の分析物を含み得る。さらに、混合物は、まさしく1コピーだけの分析物を含み得る。標的分析物が未知の配列または構造を有する場合、標的特異的指定子の大きな集団が混合物に添加され得る。この集団は、予め決められた配列もしくは構造の標的特異的領域を有する指定子を含み得るか、または指定子は、無作為な配列もしくは構造の標的特異的領域と共に使用され得る。あるいは、標的分析物が既知の配列または構造を有する場合、その配列または構造に対して特異的に結合する領域を含む特定の指定子が、単独または他の指定子との組合せのいずれかで使用され得る。
【0114】
本発明の方法は、核酸分析物および他の構造を有する分析物に適する。指定子の集団は、任意の分析物について生成され得、ここではその分析物と特異的に相互作用する標的特異的領域が見出され得る。例えば、タンパク質分析物は、核酸またはペプチドまたは抗体によって特異的に結合され得、そのすべてが核酸遺伝子ディジットに連結され得る。標的特異的領域はまた、遺伝子ディジットを含むアミノ酸に結合され得る。さらに、広範な種々の分析物に結合する核酸アプタマーの能力は、これらの構造物が、指定子の標的特異的領域に使用されることを可能にする。いくつかの組み合わせが、その指定子が分析物に特異的に結合する限りにおいて可能である。
【0115】
本発明はさらに、核酸を標識化するキットを提供し、このキットは、遺伝子ディジットのセット、抗遺伝子ディジットのセット、および核酸に結合された標識の独特なセットを備える。このキットは、他の試薬(例えば、ハイブリダイゼーション反応を実行するための緩衝剤、リンカー、制限エンドヌクレアーゼ、およびDNAリガーゼ)もまた備え得る。このキットはまた、この識化キットの使用についての指示書を備える。
【0116】
本発明の標識および方法は、診断目的および治療目的のために使用され得る。疾患に関して診断的な分析物または分析物の組み合わせが、被験体由来のサンプルから検出および定量され得る。本発明の方法を使用すると、多くの異なる分析物が、単一サンプルから一度に分析され得る。これにより、例えば、いくつかの診断試験が1つのサンプルで実行されることが可能となる。さらに、本発明の方法は、患者についての処置の方向を決定する情報を提供し得る。例えば、腫瘍についての特定マーカーの量が、患者由来の少量のサンプルからでも、正確に定量され得る。乳癌のようないくつかの疾患について、特定遺伝子(例えば、Her2−neu)の過剰発現は、より積極的な方向の処置が必要とされることを示す。
【0117】
本発明の種々の実施形態の動作に実質的に影響を与えない改変もまた、本明細書中に提供される本発明の定義内に含まれることが理解される。従って、以下の実施例は、本発明を例示することを意図されるが、本発明を制限することは意図されない。
【実施例】
【0118】
(実施例I)
(2つの異なる標識を使用した、独特な標識の生成)
この実施例では、10個の独特な標識を、2つの異なる蛍光標識から作製する。最初に、220塩基対の一本鎖DNAの10個の独特なテンプレートを合成する。このテンプレートは、予め決められた比率の以下の20塩基対反復からなる:
5’(ACTCTCTCTCTCTCTCTCTC)n(GCTCTCTCTCTCTCTCTCTC)m 3’(配列番号1〜12)、ここでnは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10であり、そしてn+m=11である。第2鎖は、プライマーGAGAGAGAGA(配列番号13)、Klenowポリメラーゼ、DNAリガーゼ、dGTP、dATP、dUTP−フルオレセインおよびdCTP−ローダミンを使用して合成される。反応の終了後、この生成物をS1ヌクレアーゼで処理して、ギャップを有するDNAを消化し、次いで、残存した全長DNAを精製する。標識化ヌクレオチドは、2つの反復の比率によって決められた独特な比率で、DNAに組み込まれる。この最終的な結果は、フルオレセイン:ローダミンの設定比率が1:10、2:9、3:8、4:7、5:6、6:5、7:4、8:3、9:2、および10:1である、10個の独特に標識された核酸である。
【0119】
リンカーオリゴヌクレオチドが、標識化DNAに連結され、次いで、このリンカーを使用して、デンドリマーの分枝に対して標識化DNAを結合させる。デンドリマーは、そのステムに5塩基のオリゴヌクレオチドタグを有することにより、抗遺伝子ディジットの結合を容易にし(実施例IIを参照のこと)、そしてその分枝に10塩基対のタグを有することにより、標識化DNAの結合を容易にする。
【0120】
(実施例II)
(標識化指定子の生成)
指定子は、1つの標的特異的配列(合成オリゴヌクレオチド、ペプチド核酸(PNA)、PCR産物または連結化核酸(linked−nucleic acid)(LNA))およびいくつかの「遺伝子ディジット」を一緒に連結することによって合成される(図1Aを参照のこと)。この実施例において、各指定子は、4個の異なる遺伝子ディジットの独特な組み合わせを含む。これにより、10,000個の可能な独特な指定子の生成がもたらされる。
【0121】
この遺伝子ディジットは、2つのみの天然塩基および天然では見いだされない2つの塩基(イソシチジンおよびイソグアニン)を含む合成オリゴヌクレオチドである。このような塩基組成により、遺伝子ディジットが複合混合物中の分析物と非特異的にハイブリダイズしないことが保証される。各遺伝子ディジットの配列は、8塩基対のコア配列の5反復から構成される(図1Bを参照のこと)。各コア配列単位は、少なくとも2塩基により、他とは異なる。
【0122】
10,000個の独特な指定子を作製するために、40個の異なる遺伝子ディジットを合成し、そしてそれを、各々10個の遺伝子ディジットを含む4つの群に分ける。各群の遺伝子ディジットは、各々の末端に5塩基対のタグを有する。各群由来の1つの遺伝子ディジットが、各指定子に存在する。遺伝子ディジットは、各群に共通した5塩基対のタグに相補的な10マーのアダプターオリゴヌクレオチドの助けにより連結される。このようにして、4つの遺伝子ディジットを有する指定子について、10×10×10×10=10,000個の可能な組み合わせが存在する。すべての指定子はまた、ビオチンタグを含む。
【0123】
遺伝子ディジットは、標識の結合点として役立ち、そのため合成される標識の数は、遺伝子ディジットの数に対応する。遺伝子ディジットは、抗遺伝子ディジットの使用を通して標識される。対応する遺伝子ディジットの8塩基対コア反復に対して相補的な3つの8塩基対反復からなる抗遺伝子ディジット配列が、(実施例Iからの)標識化デンドリマーのステムに連結される。
【0124】
24塩基対の標識化抗遺伝子ディジットは、3つの異なるレジスターのうちの1つで、指定子内の40塩基対の遺伝子ディジット配列にハイブリダイズする(図1Cを参照のこと)。このように、標識が指定子にハイブリダイズされる場合、これは、8塩基対配列の複雑度のみを有する24塩基対の配列を通して、そのようにハイブリダイズされる。
【0125】
(実施例III)
(指定子を使用した、遺伝子発現の分析)
星状細胞とLPSで活性化された星状細胞との間における遺伝子発現の差異を決定するために、グアニジンイソチオシアニン(guanidine isothiocynine)またはフェノール/クロロホルムにおける細胞溶解を使用して、両方の星状細胞集団からRNAを単離する。指定子の集団を、ハイブリダイゼーションのために適切な条件下で、各RNAサンプルに添加する。mRNA−指定子複合体を、オリゴdTビーズで単離し、そして大規模に洗浄して、過剰な指定子を取り除く。指定子は、RNAse AでmRNAを消化することによって、mRNAから溶出される。次いで、指定子を、実施例IおよびIIに記載のように標識化のために処理し、そしてこれらの標識を、CCDカメラを使用して検出する。次いで、未処理の星状細胞に由来する特異的なmRNAに対応する指定子の数を、LPS処理された星状細胞由来の指定子パターンと比較する。指定子の標的特異的領域の配列は既知であるので、これにより、2つのサンプルの間で示差的に発現される遺伝子が同定される。
【0126】
(実施例IV)
(指定子を使用した、微生物の検出)
本発明を使用して、生物学的サンプル中において、既知の配列を有する微生物の系統(strain)を検出し得る。全DNAを、微生物感染の疑わしい患者由来の血液サンプルから抽出する。次いで、この全DNAを、ジゴキシゲニンでタグ化する。このDNAを変性し、そして少量(0.01〜2.0μl)中で、特定の微生物について特異的な標的領域を含む指定子の集団(すなわち、微生物のパネル)とハイブリダイズさせる。サンプルDNA−指定子の複合体は、抗ジゴキシゲニン抗体を使用して単離され、そして大規模に洗浄されて、過剰な指定子を取り除く。次いで、上記のように、指定子を標識化および画像化のために処理する。
【0127】
(実施例V)
(標識の構成)
この実施例は、標識が個々に分解され得るように、十分な距離で隔てられた標識を含むDNAプローブ分子(指定子)を示す(図2)。例えば、蛍光標識の場合、この広い標識の空間的分離が、個々に各標識のスペクトルを同定することを可能にする。
【0128】
図2に示されるように、4個の異なる蛍光標識を含むDNAプローブ(指定子)が生成され得る。これらの標識は、約1ミクロンの距離で隔てられる。この実施例では、標識は、約2,000〜3,000塩基のDNAで隔てられるが、他のポリマーも同様に、標識を分離するために使用され得る。
【0129】
独特な標識の多様化集団は、4つの各位置における蛍光標識を変化させることによって生成され得る。例えば、10個の異なる発蛍光団のセットを使用して、10,000個の独特な標識を生成し得る。詳細には、4つの異なる標識を有するプローブについては、10×10×10×10=10,000個の可能な組み合わせが存在する。同様に、5つの異なる標識を有するプローブについては、100,000個の可能な組み合わせが存在する。
【0130】
(実施例VI)
(標識のフローストレッチ分離)
この実施例は、フローストレッチ技術を使用してカバーガラス上に広げられた、1つの標識モノマーを有するDNAプローブ分子(指定子)を示す。このフローストレッチ技術はまた、プローブ分子に沿って複数の標識モノマーを有するプローブ分子に対して使用され得る。
【0131】
標識結合のための所望の位置において一本鎖セクション(section)を有する、二本鎖DNAプローブを構築する。この実施例では、この一本鎖セクションは、プローブ分子の末端にある。標識分子は、約300のCy3発蛍光団およびプローブ分子の一本鎖領域に対して相補的なDNAのセクションを含む。ハイブリダイゼーション後、プローブ分子をYOYO1色素で染色して、標識がプローブに結合されたことを確認する。染色手順は、複数の標識が結合される場合には必要ではない。次いで、ハイブリダイズした標識を有するプローブを、フローストレッチ技術(Henegariuら、前出)を使用してカバーガラス上に広げた。図3の画像が、倒立蛍光顕微鏡を使用して得られた。プローブはまた、後退メニスカス技術(Yokotaら、前出)を使用して広げられ得る。
【0132】
(実施例VII)
(標識のエレクトロストレッチ分離)
この実施例は、電場を使用して、表面に対して一端で結合されたプローブ(指定子)分子を整列し得ることを示す。この様式で、プローブ分子に沿った標識は空間的に分離される。
【0133】
カバーガラスを通してプローブ分子の画像化を可能にするフローセルが構築された。フローセルはまた、溶液の交換および電場の適用を可能にした。バブリングを防止するために、ゲルを使用して、電極を溶液から離した。電極と溶液とをゲルで離すことによって、プローブ分子の整列を改善するより高い電圧が可能となる。カバーガラスを、ウシ血清アルブミン(BSA)でコーティングして、非特異的結合を最小化した。DNAをこのカバーガラスに添加し、そして主にDNAの末端でカバーガラスに結合させた。未結合DNAを洗い流し、そして残存する結合DNAをYOYO1で染色した。画像化は、エピ蛍光顕微鏡を使用して実施した。電圧をオフにした場合には、固定されたDNAは無作為に動くことが観察され得る(図4A)。しかし、電圧をオンにする場合、このDNAは整列されるようになる(図4B)。
【0134】
(実施例VIII)
(標識のサイトメーター検出)
DNAプローブ(指定子)を空間的に整列するための別の方法は、振動電場と組み合わせて、DNA含有液体のフローの狭窄(constriction)を使用することによる(Asbury,C.L.,およびvan den Engh,G.,Biophys.J.74:1024−1030(1998))。この方法では、プローブ分子が狭窄を通過する場合に、標識が空間的に分離される(図5)。共焦点光学は、この標識の配列を決定するために十分な解像度での検出を可能にし得る。
【0135】
本願全体を通して、種々の刊行物が、括弧内に引用されている。これらの刊行物の開示はその全体において、本発明が関連する分野の技術水準をより完全に記載するために、本願において本明細書中で参考として援用される。
【0136】
本発明を、開示された実施形態を参照して記載したが、当業者は、詳述された特定の実施例が本発明の単なる例示にすぎないことを容易に理解する。種々の改変が、本発明の意図から逸脱することなくなされ得ることが理解されるべきである。従って、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ制限される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2009−178171(P2009−178171A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−122367(P2009−122367)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【分割の表示】特願2003−509840(P2003−509840)の分割
【原出願日】平成14年7月3日(2002.7.3)
【出願人】(503230117)ザ インスティチュート フォー システムズ バイオロジー (5)
【Fターム(参考)】