説明

複合現実感システムに用いるマーカユニット、複合現実感システム、マーカユニット作成支援システム、及び、マーカユニット作成支援プログラム

【課題】美観を損ねることが無く、しかも、識別性を十分に確保することができる複合現実感システムに用いるマーカユニットを提供する。
【解決手段】現実環境における物体Rの位置を認識して仮想情報を重畳表示する複合現実感システム1に用いられ、物体Rに配置されることによって当該物体Rの位置認識の指標とされるマーカユニットMUである。このマーカユニットMUは、物体Rの色に近似した色が付され、且つ、その外形及び配置の組合せにより識別情報を構成する複数のマーカエレメントMEからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合現実感システムに用いるマーカユニット及び複合現実感システムに関する。また、本発明は、マーカユニットを作成するためのマーカユニット作成支援システム及び作成支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、カメラによって撮影された現実環境(現実空間)の画像にCG(コンピュータグラフィックス)画像や文字等の仮想情報を重畳表示することによって、現実環境の情報を増幅・拡張する複合現実感技術(MR:Mixed Reality)に関する研究、開発が盛んに行われている。この複合現実感技術の応用として、例えば、人間の頭部に装着可能なシースルータイプのディスプレイに、現実の視野に対応した仮想の映像を重ね合わせて映し出すことにより、装着者により多くの情報をリアルタイムに提供する複合現実感システムが考えられている。
【0003】
このような複合現実感システムでは、人間が頭部を動かしたり移動したりすると当然に視野も変わるため、仮想情報も追随して変化しなければならない。この追随のため、現実環境の物体とその物体に対応した仮想情報との位置合わせが重要となる。この位置合わせを行うための方法として、現実環境の物体に人工的に作成したマーカを複数配置し、カメラで撮影した画像から物体に配置したマーカを検出することによって映像中の物体の位置を認識し、その位置からカメラの位置や姿勢を特定して位置合わせする方法が知られている。
【0004】
従来、人工的に作成したマーカは、円形状や正方形状等の識別しやすい形状のものや、コントラストの高い白黒2色を配したもの、赤・青・黄などの色を組み合わせて配したもの等が用いられている。しかし、このようなマーカは識別性のみを重視したものであるため、これを配置した物体と調和せず、美観を損ねるという問題がある。
また、美観を損ねないようにするため、マーカ自身を肉眼では視認しにくい再帰性反射材で作成し、赤外光を照射したマーカを赤外線カメラで撮影することも提案されている(非特許文献1)。しかし、この場合、赤外線カメラの使用が前提となるため、使用環境が限定され、普及は困難である。
【非特許文献1】中里祐介、他2名、“ウェアラブル拡張現実感のための不可視マーカと赤外線カメラを用いた位置・姿勢推定”、日本バーチャルリアリティ学会論文誌Vol.10,No.3,2005
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、美観を損ねることが無く、しかも、識別性(識別の頑健性)を十分に確保することができるマーカユニット及びこのマーカユニットを用いた複合現実感システムを提供することを目的とする。
また、物体に応じて適切なマーカユニットを作成するためのマーカユニット作成支援システム及び作成支援プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のマーカユニットは、現実環境における物体の位置を認識して仮想情報を重畳表示する複合現実感システムに用いられ、前記物体に配置されることによって当該物体の位置認識の指標とされるマーカユニットであって、
前記物体の色に近似した色が付され、且つ、その外形及び配置の組合せにより識別情報を構成する複数のマーカエレメントからなることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、マーカユニットの色が物体の色に近似した色とされるので、現実環境における美観を損ねることが無く、また、複数のマーカエレメントの外形及び配置の組合せによって識別情報を構成しているので、マーカユニットの色が物体の色に近似していても、マーカユニットの識別性を十分に確保することができる。
【0008】
前記マーカエレメントの色は、物体の色と同一の色系統で濃度が近似するように設定したり、物体の色と同一の濃度で色系統が近似するように設定したりすることができる。
前記マーカエレメントは、その外形の少なくとも一部が物体の外形に沿う形状とされていることが好ましい。これによって、物体に調和したマーカエレメントを配置することができ、美観を損ねないようにすることができる。
【0009】
上記のマーカユニットを用いた本発明の複合現実感システムは、前記物体とこの物体に配置されている前記マーカエレメントとの色情報、及び、前記マーカユニットの外形及び配置の組合せ情報とを記憶する記憶手段と、前記物体の撮影画像から、前記色情報に基づいて前記マーカエレメントを検出するマーカエレメント検出手段と、検出された複数のマーカエレメントの外形及び配置の組合せが、前記組合せ情報に対応するかを判別することにより、そのマーカエレメントにより構成されるマーカユニットを検出するマーカユニット検出手段と、を備えていることを特徴とする。
このような構成によって、物体の色に近似した色のマーカエレメントや、このマーカエレメントの外形や配置により識別されるマーカユニットを適切に検出することができる。
【0010】
物体に対応した上記のマーカユニットを作成するための本発明のマーカユニット作成支援システムは、前記物体を撮影する撮影装置と、前記物体に使用するマーカユニットの決定処理を行う処理装置と、を備え、前記処理装置が、撮影された物体の画像を入力する画像入力手段と、入力された画像から、マーカユニットが配置される物体の領域を抽出する対象領域抽出手段と、抽出された物体の色及び形状に応じて当該物体に配置することが可能なマーカユニットを決定するマーカユニット決定手段と、を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、物体に対応した上記のマーカユニットを作成するための本発明のマーカユニット作成支援プログラムは、物体の撮影画像を入力する画像入力手段、入力された画像から、マーカユニットが配置される物体の領域を抽出する対象領域抽出手段、及び、抽出された物体の色及び形状に応じて当該物体に配置することが可能なマーカユニットを決定するマーカユニット決定手段、としてコンピュータを機能させることを特徴とする。
【0012】
このようなマーカユニット作成支援システム及びマーカユニット作成支援プログラムによれば、現実環境の物体に応じてマーカユニットを適切に決定することができ、ユーザ(マーカユニットの作成者)自身が物体に応じてマーカユニットの色や形状等を決定する必要が無くなるので、ユーザの負担を軽減し、現実環境に対する複合現実感システムの導入を容易に行うことができる。
【0013】
前記マーカユニット決定手段は、物体に配置することが可能な複数のマーカユニットの候補を提示する提示手段と、複数のマーカユニットの候補のなかからユーザの選択を受け付ける選択受付手段とを含むことが好ましい。
この構成によって、複数のマーカユニットの候補の中から、より美観を損なうことがないマーカユニットをユーザの目で判断して決定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のマーカユニット及び複合現実感システムによれば、現実環境の美観を損ねることが無く、しかも、マーカユニットの識別性を十分に確保することができる。また、本発明のマーカユニット作成支援システム及び作成支援プログラムによれば、現実環境に応じたマーカユニットを適切に決定し、ユーザに対するマーカユニットの作成負担を軽減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態にかかる複合現実感システム1の概要を示す図である。複合現実感システム1は、現実の環境に存在する物体R(R1,R2)、例えば、室内に配置された棚R1や扉R2に対してマーカユニットMUを配置し、室内の映像を、例えば人間の頭部に装着したヘッドマウントディスプレイ(HMD)10のカメラによって撮影し、撮影した映像からマーカユニットMUを検出して物体R1,R2の存在を認識し、この物体R1,R2に対応(位置合わせ)させてCG画像や文字等の仮想の情報をヘッドマウントディスプレイ10に表示することにより、現実の視野に入る情報を増幅・拡張するものである。
【0016】
なお、ヘッドマウントディスプレイ10は、例えばビデオシースルー方式を採用することができる。このヘッドマウントディスプレイ10のゴーグル部の内部には、両眼とほぼ対応する位置にCCD又はCMOSイメージセンサを有するビデオカメラ(撮影手段)12(図3)が設けられ、ゴーグル部の前面部分の裏側には、それぞれ両眼に対応するディスプレイ(表示手段)13(図3)が左右両側に振り分けて配置される。そして、この各ディスプレイ13に、ビデオカメラ12で撮影した情報とともに、処理装置11で生成された仮想空間の映像が表示される。なお、ヘッドマウントディスプレイ10は光学シースルー方式を採用することもできる。
【0017】
処理装置11は、CPU、RAM,ROM及びHDD等の記憶装置、I/Oインターフェース等を備えたコンピュータにより構成され、ヘッドマウントディスプレイ10と有線又は無線により通信可能に接続されている。処理装置11は、ウェアラブルコンピュータとして人間の体に付帯することもできるし、人間から離れた場所に設置することもできる。
ビデオカメラ12及びディスプレイ13は、ヘッドマウントディスプレイ10として構成するに限らず、それぞれ個別に人体には装着しない形態で構成することも可能である。この場合、ディスプレイ13は、ノートパソコンのように処理装置11を構成するコンピュータの一部として構成することもできる。
【0018】
〔マーカユニットの構成〕
マーカユニットMUは、物体R1,R2を認識するための1つの識別情報(ID)を構成する単位であり、複数のマーカエレメントMEの組合せによって構成されている。したがって、複数のマーカエレメントMEの一部の形状や配置が異なれば、マーカユニットMUは異なる識別情報を構成することになる。
マーカエレメントMEは、物体R1,R2の表面に貼り付けられる紙、プラスチック板、木板等により形成され、物体R1,R2に貼り付けたときの凹凸が小さく、物体R1,R2に対して違和感や異物感を感じさせない程度の薄い材料により形成されている。
【0019】
また、マーカエレメントMEは単色無地であり、貼り付けられる物体R1,R2の色(背景色)に近似した着色がなされている。近似した色とは、例えば、色系統(色相、色彩)が同じで濃度(明度)がやや異なる色や、濃度が同じで色系統がやや異なる色、又は、色系統及び濃度がやや異なる色等をいう。いずれにおいても、マーカエレメントMEの色と物体R1,R2の色とは大きく相違するものではなく、マーカエレメントMEの色は、後述する検出処理が可能な範囲で物体R1,R2の色に違和感なく調和し、美観を損ねない色に設定されている。
【0020】
また、マーカエレメントMEは、配置される物体R1,R2の形状に応じて、L字形、I字形、T字形、二等辺三角形等に形成されている。図1に示す例では、棚R1には6個のマーカエレメントMEが配置されており、棚R1の上部両側にはL字形、上下中間部の両側にはT字形、下部両側にはI字形のマーカエレメントMEがそれぞれ配置されている。また、扉R2には上下2つのマーカユニットMUが配置され、上側のマーカユニットMUの上部両側には二等辺三角形、下部両側にはI字形のマーカエレメントMEがそれぞれ配置されている。扉R2の下側のマーカユニットMUの上部両側にはI字形、下部両側にはL字形のマーカエレメントMEがそれぞれ配置されている。
【0021】
各マーカエレメントMEは、物体R1,R2の角や辺の形状に沿うように外形が選択されている。すなわち、マーカエレメントMEは、少なくとも一部分の外形が物体R1,R2の外形に沿うように形成され、物体R1,R2に表面に配置しても視覚的に違和感を覚えさせないような単純な形状となっている。
【0022】
1つのマーカユニットMUを構成する各マーカエレメントMEは、物体R1,R2の回転系を識別できるように外形の組合せが設定されている。例えば、図2に示すように、物体Rのある平面PLの4隅にマーカエレメントME1〜ME4を配置することによって、2点鎖線で示すような長方形状のマーカユニットMUを形成する場合、当該平面PLを中心O回りに回転させたときに、同じ形状のマーカエレメントME1〜ME4が同じ配置にならないようにマーカエレメントME1〜ME4の外形及び配置が設定される。すなわち、1つのマーカユニットMUにおいて、全てのマーカエレメントME1〜ME4を同じ形状で形成したり、各マーカエレメントME1〜ME4を点対称で配置することはできず、全てのマーカエレメントME1〜ME4を異なる形状としたり、同じ形状を含む場合であってもそれらを線対称で配置する必要がある。
なお、図1には物体Rに配置することが可能なマーカエレメントMEの集合をマーカセットMSとして示している。
【0023】
〔処理装置11の機能構成〕
図1に示すように、複合現実感システム1は、物体R1,R2に配置されたマーカエレメントME及びマーカユニットMUを検出することによって物体R1,R2の存在を認識し、マーカユニットMUの位置や配置からカメラ12の位置や姿勢(人間の視点の位置や向き)を検出する。そして、検出されたカメラ12の位置姿勢に応じて視野内の物体にディスプレイを介してCG画像等の仮想情報を重畳して表示する。
【0024】
図3は、このような複合現実感システム1の処理装置11の機能構成を示す図であり、処理装置11は、その機能部として、ヘッドマウントディスプレイ10のカメラ12及びディスプレイ13との間で情報の入出力を行う通信手段27、マーカエレメントME及び物体R1,R2の色に関する情報やマーカエレメントMEの外形や配置に関する情報を記憶する記憶手段21、カメラ12で撮影された画像を入力する画像入力手段22、入力された画像からマーカエレメントMEを検出するマーカエレメント検出手段23、検出されたマーカエレメントMEからマーカユニットMUを検出するマーカユニット検出手段24、検出されたマーカユニットMUからカメラ12の位置及び姿勢を求めるカメラ位置姿勢検出手段25、及び、検出されたカメラ12の位置姿勢に応じて、仮想情報をディスプレイ13に出力表示させる仮想情報出力手段26を備えている。
【0025】
通信手段27は、カメラ12及びディスプレイ13に物理的に接続されたI/Oインターフェースの機能として構成され、記憶手段21は、ハードディスク等の記憶装置の機能として構成される。また、各検出手段23,24,25は、ハードディスク等の記憶装置にインストールされたアプリケーションプログラムによって機能する。
以上の複合現実感システム1の機能の詳細については、次の処理手順とともに説明する。
【0026】
〔複合現実感システムの処理手順〕
図4は、複合現実感システムの処理手順を示すフローチャートである。以下これらの処理を、図2に示すモデルを例に説明する。
なお、複合現実感システム1による処理を行うに当たって、処理装置11には、記憶手段21(図3)の機能により、マーカユニットMUを構成するマーカエレメントME(ME1〜ME4)と、このマーカエレメントMEが配置される物体Rとの色情報が予め登録されている。本実施形態では、マーカエレメントMEと物体Rとは同じ色系統(色相及び色彩)であるが、濃度(明度)がやや異なるものとされている。記憶手段21には、このようなマーカエレメントME及び物体Rの色系統の情報と、濃度差の情報とが登録されている。
また、処理装置11の記憶手段21には、識別情報(ID)を構成するマーカユニットMUの各マーカエレメントMEの外形及び配置の組合せ情報が登録されている。図2に示すモデルでは、長方形を形成するように配置された4つのマーカエレメントME1〜ME4の各外形と相互の配置関係との組合せ情報が記憶手段21に登録される。
【0027】
(1)マーカエレメントの検出処理
図3に示すように、カメラ12によって所定のフレームレートで撮影が行われると、処理装置11は、その撮影された画像を画像入力手段22によってその都度入力する。図4のステップS1はマーカエレメント検出手段23の処理であり、処理装置11は、まず、最初に入力されたフレームの画像全体に対してラスタ走査を行う。そして、記憶手段21に記憶されているマーカエレメントME1〜ME4及び物体Rの色情報と同系色の色で構成されたピクセルを画像から探索する。
【0028】
図5は、画像のピクセル探索を説明する概略図である。枠Aで囲んで示すように、画像G内で該当するピクセルpが互いに隣接して存在しているとき、その濃度差が所定の閾値を超えているか否かを判別する。閾値を超えている場合には、マーカエレメントME1〜ME4と物体Rとの境界で隣接するピクセルpであると判断し、一方のピクセルを開始点として、同様の探索を繰り返し行い、矢印で示すようにマーカエレメントMEの輪郭線追跡処理を行う。
【0029】
なお、隣接するピクセルpのうちどちらを輪郭線追跡の開始点とするかは、予め登録されたマーカエレメントMEと物体Rとの濃度の高低から、マーカエレメントMEに相当する方のピクセルを開始点に選択する。
輪郭線追跡中に、画像の境界や他の輪郭線に接した場合、又は、現在追跡中の輪郭線に接した場合は、輪郭線追跡を終了する。輪郭線追跡を行った結果、開始点に戻ってきたい輪郭のみをマーカエレメントMEの候補とする。
【0030】
処理装置11は、以上のように輪郭線追跡処理をすることによって画像に含まれるマーカエレメントMEの候補を決定すると、次にマーカエレメントMEの形状の識別を行う。
マーカエレメントMEの外形は、輪郭線の頂点の数と、各頂点における輪郭線の形(凹凸)から分類することができる。例えば、L字形のマーカエレメントは頂点が6個あり、そのうち凸状の頂点が5個、凹状の頂点が1個ある。I字形のマーカエレメントは凸状の頂点が4個、2等辺三角形のマーカエレメントは凸状の頂点が3個ある。したがって、この頂点の数と頂点における輪郭形状とを判断することでマーカエレメントの形状を識別することができる。
【0031】
輪郭線追跡処理によって取得した輪郭線の頂点は、区分的直線近似法を用いて求める。本来、この手法は、曲線を直線で近似する方法であるが、本実施形態のように、直線の組合せによって閉じた輪郭線を形成するマーカエレメントMEに対しては、その頂点を求めるために用いることができる。
具体的には、例えば図6(A)に示すように、輪郭線追跡によって得られた輪郭線L上の任意の点P0を決定し、その点P0から最も遠い点を第1頂点P1、第1頂点P1から最も遠い点を第2頂点P2にそれぞれ設定する。そして、図6(B)に示すように、第1頂点P1(P11,P12)と第2頂点P2(P21,P22)を端点とする2つの輪郭線L1,L2を想定し、各輪郭線L1,L2に対してそれぞれ区分的直線的近似法を適用する。これにより、図6(C)に示すように、各輪郭線L1,L2が直線化されるとともに、頂点P3〜P6が求められる。
以上の処理をフレーム画像全体に対して行い、画像中の全てのマーカエレメントMEを検出する。
【0032】
なお、本実施形態では、マーカエレメントMEの検出に用いる色情報として、一般にコンピュータで用いられるRGB色空間ではなく、マンセル表色系等の顕色系で使われるHSI(色相、彩度、明度)色空間を利用している。そのため、物体Rの撮影画像のRGB値は、双六角錐モデルや六角錐モデルを用いてHSI値に変換している。
【0033】
(2)マーカユニットの検出処理
図4のステップS2において、処理装置11は、マーカユニット検出手段24の機能によりマーカユニットMUの検出処理を行う。処理装置11は、撮影画像から検出された全てのマーカエレメントMEのなかからマーカユニットMUを構成し得る複数のマーカエレメントMEを選択する。例えば、図2に示すモデルでは、マーカユニットMUが、2点鎖線の長方形を形成するように配置されたマーカエレメントME1〜ME4によって構成されているので、選択されたマーカエレメントMEが、このような長方形の配置則に則って同一平面上に配置されているかを判定する。そして、選択されたマーカエレメントMEが、当該長方形を形成するように配置されていた場合は、そのマーカエレメントMEの外形及び配置の組合せと、記憶手段21に予め記憶されたマーカエレメントMEの外形及び配置の組合せ情報との対応づけを行う。
【0034】
選択されたマーカエレメントMEが長方形を形成するように配置されているか否かの判定は、次のように行う。図7(a)に示すように、まず、選択された4つのマーカエレメントME1〜ME4が長方形を形成していると仮定して、その頂点を求める。そして、各マーカエレメントMEの重心Ec〜Ecを求め、これらの中心を長方形の擬似重心Cとする。
各マーカエレメントME1〜ME4において、図7(b)に示すように、擬似重心Cから最も距離のある頂点を求め、それぞれをマーカユニットMUの頂点ν〜νと仮定する。この際、L字型のマーカエレメントME1,ME2に関しては、長方形の頂点となりうる点が一意に決定するため、その頂点をマーカユニットMUの頂点ν,νとする。
【0035】
そして、4角形ν〜νに各マーカエレメントME1〜ME4の2辺が内接するとき、これらの4つのマーカエレメントME1〜ME4の組合せがマーカユニットMUを形成するための配置則を満たしていると判断する。
具体的に、各マーカエレメントME1〜ME4が4角形ν〜νに内接しているかを調べるには、図7(c)に示すように、マーカユニットMUの頂点と仮定された点、例えば頂点νから,マーカユニットMU内で隣接する頂点νへの方向ベクトルをV12とし、マーカエレメントME1内で隣接する頂点ν12への方向ベクトルをU12とする。また、頂点νから,マーカユニットMU内で隣接する他の頂点νへの方向ベクトルをV14とし、マーカエレメントME1内で隣接する他の頂点ν14への方向ベクトルをU14とする。そして、V12とU12、及び、V14とU14の方向成分がほぼ一致している場合、マーカエレメントME1の2辺が4角形ν〜νに内接しているものとする。
【0036】
選択された4つのマーカエレメントME1〜ME4が長方形を形成するように配置されている場合、それぞれのマーカエレメントME1〜ME4の外形や配置の関係が、記憶手段21に予め登録されているマーカユニットMUのマーカエレメントME1〜ME4と一致するかを判定し、一致した場合にマーカユニットMUが検出される。
このように撮影画像からマーカユニットMUを検出すると、そのマーカユニットMUの4頂点ν〜νの3次元位置をとることができる。
【0037】
処理装置11は、図4のステップS3において、マーカユニットMUの検出が成功したか否かを判別し、成功した場合はステップS4に進み、失敗した場合はステップS1に処理を戻す。
【0038】
(3)カメラの位置姿勢検出
処理装置11は、図4のステップS4において、カメラ位置姿勢検出手段25の機能によってカメラ12の位置姿勢検出を行う。
カメラ12の位置姿勢検出を行うため、本実施形態の複合現実感システム1で取り扱う座標系は、図8に示すように、世界座標系(X,Y,Z)、マーカ座標系(X,Y,Z)、カメラ座標系(X,Y,Z)、及び、スクリーン座標系(x、y)の4つである。
【0039】
世界座標系は、複合現実空間において基準となる座標系である。この世界座標系を決定することで、現実空間と仮想空間との整合性を図る。現実空間における世界座標系の位置姿勢及び世界座標系における仮想物体の位置は予め設定しておく。
マーカ座標系は、マーカユニットMU毎に存在する座標系であり、マーカユニットMUの法線方向をZ軸とする3次元座標である。世界座標系におけるマーカ座標系の位置関係は予め設定しておく。
【0040】
カメラ座標系は、カメラ12の焦点位置fを原点として画像平面に垂直な方向をZ軸とする3次元の座標系である。カメラ12の位置姿勢を求めるには、世界座標系とカメラ座標系との変換行列を求めることが必要である。
スクリーン座標系は、撮影画像中での位置関係を表す2次元の座標系である。
世界座標系とマーカ座標系との変換行列は予め処理装置11に登録される。また、カメラ座標系とスクリーン座標系との変換行列であるカメラの内部パラメータは、事前に求めておく。
【0041】
上述したマーカユニット検出処理(ステップS2)によって、マーカ座標系とスクリーン座標系とにおけるマーカユニットMUを構成する4頂点の座標は既に求められている。そのため、これらの対応関係によって、マーカ座標系とカメラ座標系との変換行列を求めることができる。スクリーン座標系におけるマーカユニットMUの4頂点の座標から、向かい合う2辺の直線が2組得られるので、この2組の平行な直線によりカメラの姿勢推定を行う。カメラの姿勢が求まると、マーカ座標系とスクリーン座標系におけるマーカユニットMUの4頂点の対応関係によりカメラの位置が求まる。その後、マーカ座標系とカメラ座標系との変換行列の回転成分を適宜修正したのち、マーカ座標系とカメラ座標系との変換行列と、予め登録されている世界座標系とマーカ座標系との変換行列とを用い、世界座標系におけるカメラ12の位置姿勢を求める。
【0042】
図4のステップS5において、処理装置11は、カメラ12の位置姿勢の検出に成功したかどうかを判別し、成功した場合は処理をステップS6に進め、失敗した場合は処理をステップS1に戻す。
【0043】
(4)次フレームにおけるマーカエレメントの検出処理
図4のステップS6では、カメラ12によって撮影した次のフレームの画像について上述と略同様の処理を行う。この際、上記ステップS1の処理では、フレームの画像全体に対してラスタ走査を行うことによってマーカエレメントMEの検出を行っていたが、ステップS6では、走査範囲を限定してマーカエレメントMEの検出を行う。
ステップS6の処理は、その前のフレームでカメラ12の位置姿勢検出が成功しているので、マーカエレメントME及びマーカユニットMUについても正確に検出されていると考えられる。そのため、既に検出されたマーカエレメントMEの位置情報をもとに走査範囲を限定することによって、処理速度の向上を図りつつ正確なマーカエレメントMEの検出を可能にしている。
したがって、本実施形態のマーカエレメント検出手段23は、撮影画像全体を走査してマーカエレメントMEの検出を行う第1の検出機能と、既に検出されたマーカエレメントMEの位置情報を元に走査範囲を限定してマーカエレメントMEの検出を行う第2の検出機能とを備えていることになる。
【0044】
ステップS6では、前のフレームで検出されたマーカエレメントMEに対しては、その外接長方形の領域のみに限定して走査する。この場合、マーカエレメントMEの形状や傾きから、前フレームで検出されたものと同じか否かを判定し、同じ位置のマーカエレメントが検出された場合には、以降の走査は行わない。
【0045】
また、物体Rに複数のマーカユニットMUを設置している場合、ステップS6では、前フレームで検出されなかったマーカユニットMUのマーカエレメント(前フレームで他の物体等によって隠れていたマーカエレメント)が新たに画像内に写り込むことがある。
例えば、図9に示すように、棚Rの2つの側面にそれぞれマーカユニットMU1,MU2を設定しているときに、前のフレームの画像には、一方のマーカユニットMU1の全てのマーカエレメントMEと、他方のマーカユニットMU2の一部のマーカエレメントMEが写っていた(円Bで囲まれたマーカエレメントMEのみが写っていた)ような場合、ステップS6では、既にあるカメラの位置姿勢の情報と、記憶手段21に記憶されているマーカユニットMU1,MU2の組合せ情報とによって透視投影変換を行い、前のフレームで写っていなかったマーカエレメントME(円Cで囲まれたマーカエレメントME)の位置を予測してその周辺領域を走査する。
これにより、フレームの画像全体を走査しなくとも、限定された範囲で確実にマーカエレメントMEの検出を行うことができる。
【0046】
(5)仮想情報の出力
以上の手順を経てカメラの位置姿勢が検出されると、処理装置11は、仮想情報出力手段26(図3)の機能により物体Rに位置合わせした状態でCG画像や文字等の仮想情報をディスプレイ13に重畳表示する。
【0047】
以上詳述したように、本実施形態の複合現実感システム1では、マーカユニットMUが、現実環境にある物体Rの色と近似した色とされているので、物体Rに配置しても目立たず、美観を損ねることもほとんど無い。また、マーカユニットMUを構成するマーカエレメントMEは、物体Rの外形(角や辺)に沿った形状(L字型、I字型、三角形等)に形成されているので、物体に配置しても目立たず、それを見た人に違和感を覚えさせることも少なくなる。さらに、マーカユニットMUは、複数のマーカエレメントMEの外形と相互の配置関係との組合せにより識別情報を構成することによって、マーカユニットの識別性は十分に確保することが可能である。
【0048】
上述のように本実施形態では、現実環境の美観を損ねないように、マーカユニットMUを構成するマーカエレメントMEの色を物体の色と近似した色に設定し、尚かつ、各マーカエレメントMEを物体の形状に適合する形状に形成している。そのため、本実施形態のマーカエレメントMEは、その色や形状が現実環境に応じて左右され、どのような色や形状にすれば必要な美観や識別性を得られるかの判断が困難となる。
そこで、本願の発明者は、現実環境中の物体に応じて、最適なマーカユニットを作成するためのマーカユニット作成支援システムを構築した。以下、このシステムについて詳細に説明する。
【0049】
〔マーカユニット作成支援システムの構成〕
図10は、マーカユニット作成支援システムの概略構成を示す図である。マーカユニット作成支援システム30は、処理装置38と、カメラ(撮影装置)39と、プリンタ(出力装置)40とを備えている。処理装置38は、CPU、RAM,ROM及びHDD等からなる記憶装置、及び、I/Oインターフェース等を備えたコンピュータからなる。また、処理装置38はディスプレイ38aを一体に備えたノートパソコンとして例示されている。カメラ39は、デジタルカメラやデジタルビデオカメラが用いられ、少なくとも静止画を撮影できるものとされている。プリンタ40は、インクジェットプリンタやレーザプリンタ等のカラープリンタが用いられている。カメラ39及びプリンタ40は、処理装置38にI/Oインターフェースに有線又は無線で通信可能に接続されている。
【0050】
図11は、処理装置38の機能構成を示す図である。処理装置38は、カメラ39及びプリンタ40との通信を行う通信手段41、カメラ39で撮影された画像を入力する画像入力手段42、入力された画像からマーカユニットMUを配置する物体Rの領域を抽出する対象領域抽出手段43、抽出された領域に適した複数のマーカユニットMUの候補をユーザに提示するマーカユニット提示手段44、提示されたマーカユニットMUの候補のなかからユーザの選択を受け付ける選択受付手段45、その選択に基づいてプリンタ40にマーカユニットMUの出力を指示する出力指示手段46、マーカユニットMUの決定を受け付ける決定受付手段47、及び、決定されたマーカユニットMUや物体Rについての情報を登録する情報登録手段48等をその機能として備えている。通信手段41は、カメラ39及びプリンタ40に物理的に接続されたI/Oインターフェースの機能として構成され、その他の手段は、処理装置38の記憶装置にインストールされたアプリケーションプログラム等によって機能する。
これらの機能の詳細については次の処理手順とともに説明する。
【0051】
〔マーカユニット作成処理手順〕
図12は、マーカユニット作成支援システム30の処理装置38による処理手順を示すフローチャートである。
マーカユニット作成支援システム30では、まず、図10に示すように、マーカユニットを設置する現実環境REの画像をカメラ39によって撮影する。撮影された画像は、図12のステップS11において、画像入力手段42の機能により処理装置38に入力される。
【0052】
処理装置38は、ステップS12において、対象領域抽出手段43の機能により、入力された撮影画像の中からマーカユニットを配置する物体(図10の例では扉)Rの領域を抽出する。図10のディスプレイ38aには、抽出された扉の映像が表示されている。
次に、処理装置38は、ステップS13において、マーカユニット提示手段44の機能により、抽出された物体Rの色や形状に応じてこの物体Rに適したマーカユニットの候補をディスプレイ38a上に表示(提示)する。物体Rに適したマーカユニットの候補が複数ある場合は、その複数をディスプレイ38aに表示する。
【0053】
ユーザは、提示された複数のマーカユニットの候補から、使用したいマーカユニットを選択する。処理装置38は、ステップS14において、選択受付手段45の機能によってユーザによるマーカユニットの候補の選択を受付け、さらに、出力指示手段46によって、選択されたマーカユニットの候補を印刷するようにプリンタ40に指示を送る。
プリンタ40は、実際に物体Rに貼り付けるためのマーカユニットMUを紙SEに印刷する。ユーザは、紙SEに印刷されたマーカユニットMUを切り取り、実際に物体Rに貼り付けることによって、マーカユニットMUが物体Rに調和しているか、美観を損なっていないか等を確認し、処理装置38に、そのマーカユニットMUを使用するか否か(そのマーカユニットに決定するか否か)を入力する。
【0054】
ステップS15において、処理装置38は、決定受付手段47の機能によってマーカユニットMUの決定を受け付けたかどうかを判別し、決定する旨を受け付けた場合には、ステップS16に処理を進め、決定しない旨を受け付けた場合には、ステップS13に処理を戻して同様の作業を繰り返し行う。
ここで、マーカユニット提示手段44、選択受付手段45、出力指示手段46、決定受付手段47は、物体に応じたマーカユニットを決定するマーカユニット決定手段を構成している。
【0055】
処理装置38は、ステップS16において、情報登録手段48の機能によって、決定されたマーカユニットMUを構成するマーカエレメントMEの色や形状、3次元空間の位置、物体Rの色(背景色)等の情報を処理装置38上のデータベースに登録する。この登録された情報は、複合現実感システム1における処理装置11の記憶手段21に登録される情報として用いることができる。
【0056】
このようなマーカユニット作成支援システム30を用いることによって、ユーザ自身がマーカユニットの色や形状を決定する必要が無くなるので、ユーザの負担を軽減することができるとともに、複合現実感システムを簡単に構築することが可能となる。
また、マーカユニット提示手段44によって複数のマーカユニットの候補を提示することによって、そのなかから、ユーザが実際に美観を損ねないことを目で確認したうえでより最適なマーカユニットを選択することができる。
【0057】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
例えば、マーカユニットMUを構成するマーカエレメントMEの形状や大きさは、上記実施形態の図示例に限定されるものではなく、マーカエレメントMEを貼り付ける物体の形状や大きさに応じて適宜変更することができる。
また、本発明の複合現実感システム1は、室内だけでなく屋外においても利用することができる。例えば、街中等の屋外で本発明の複合現実感システム1を実施する場合、ビルや家屋等の建物、道路等の物体にマーカユニットMUを設置すればよい。
【0058】
また、マーカエレメントMEの色は、照明条件等を考慮して検出可能な範囲で物体の色に近似した色を選択することが可能である。なお、本願の発明者が実施した実験では、室内の照明条件で、マーカエレメントMEと物体Rとの濃度差が256階調中24階調以上(約10%以上)あれば、安定した検出が行えることが分かった。このように、本発明を実施する環境(照明条件等)に応じてマーカエレメントMEの検出が可能な濃度差を求めることによって、この濃度差を近似の限界(閾値)としてマーカエレメントMEの色を設定することができる。
【0059】
上記実施形態では、物体Rとは別に作成されたマーカエレメントMEを物体Rに貼り付けることにより、物体RにマーカエレメントMEを配置しているが、物体R自体にマーカエレメントMEに相当する着色を施すことによってマーカエレメントMEを配置することもできる。また、物体Rの表面を構成する素材によってマーカエレメントMEを構成することもできる。例えば、煉瓦造りやタイル張りの外壁を有する建物RにマーカエレメントMEを配置する場合には、その煉瓦やタイルをマーカエレメントMEとして用いることができる。
【0060】
マーカユニット作成支援システム30において、上記実施形態では、実際に物体Rに貼り付けるマーカユニットMUをプリンタ40で印刷(作成)しているが、物体Rに適したマーカユニットMUの雛形や設計図をプリンタ40により出力することもできる。この場合、雛形や設計図に従ってユーザ自身がマーカユニットMUを簡単に作成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の複合現実感システムは、例えば、ゲーム等の娯楽システム、医療現場や工場ライン等の作業支援システム、観光地や展示場等における案内システムなど、様々な環境や用途に利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態にかかる複合現実感システム1の概要を示す図である。
【図2】マーカユニットの配置例を示す正面図である。
【図3】複合現実感システムの処理装置の機能構成を示す図である。
【図4】複合現実感システムの処理手順を示すフローチャートである。
【図5】画像のピクセルを例示する概略図である。
【図6】マーカエレメント検出手段の処理を説明する図である。
【図7】マーカユニット検出手段の処理を説明する図である。
【図8】カメラ位置姿勢検出に用いる座標系を説明する図である。
【図9】物体に複数のマーカユニットを配置した例を示す斜視図である。
【図10】マーカユニット作成支援システムの概略構成を示す図である。
【図11】マーカユニット作成支援システムのコンピュータの機能構成を示す図である。
【図12】マーカユニット作成支援システムのコンピュータによる処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0063】
1 複合現実感システム
11 処理装置
12 カメラ
21 情報記憶手段
22 画像入力手段
23 マーカエレメント検出手段
24 マーカユニット検出手段
30 マーカユニット作成支援システム
38 コンピュータ(処理装置)
39 カメラ(撮影装置)
40 プリンタ(出力装置)
42 画像入力手段
43 対象領域抽出手段
44 マーカユニット提示手段
45 選択受付手段
47 決定受付手段
MU マーカユニット
ME マーカエレメント
R 物体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現実環境における物体の位置を認識して仮想情報を重畳表示する複合現実感システムに用いられ、前記物体に配置されることによって当該物体の位置認識の指標とされるマーカユニットであって、
前記物体の色に近似した着色がなされ、且つ、その外形及び配置の組合せによって識別情報を構成する複数のマーカエレメントからなることを特徴とする複合現実感システムに用いるマーカユニット。
【請求項2】
前記マーカエレメントの色が、前記物体の色と同一の色系統で濃度が近似している請求項1記載の複合現実感システムに用いるマーカユニット。
【請求項3】
前記マーカエレメントの色が、前記物体の色と同一の濃度で色系統が近似している請求項1記載の複合現実感システムに用いるマーカユニット。
【請求項4】
前記マーカエレメントの外形の少なくとも一部が、前記物体の外形に沿う形状とされている請求項1記載の複合現実感システムに用いるマーカユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載のマーカユニットを用いた複合現実感システムであって、
前記物体とこの物体に配置されている前記マーカエレメントとの色情報、及び、前記マーカユニットの外形及び配置の組合せ情報とを記憶する記憶手段と、
前記物体の撮影画像から、前記色情報に基づいて前記マーカエレメントを検出するマーカエレメント検出手段と、
検出された複数のマーカエレメントの外形及び配置の組合せが、前記組合せ情報に対応するかを判別することにより、そのマーカエレメントにより構成されるマーカユニットを検出するマーカユニット検出手段と、
を備えていることを特徴とする複合現実感システム。
【請求項6】
物体に対応した請求項1〜4のいずれかに記載のマーカユニットを作成するためのマーカユニット作成支援システムであって、
前記物体を撮影する撮影装置と、前記物体に使用するマーカユニットの決定処理を行う処理装置と、を備え、
前記処理装置が、
撮影された物体の画像を入力する画像入力手段と、
入力された画像から、マーカユニットが配置される物体の領域を抽出する対象領域抽出手段と、
抽出された物体の色及び形状に応じて当該物体に配置することが可能なマーカユニットを決定するマーカユニット決定手段と、
を備えていることを特徴とするマーカユニット作成支援システム。
【請求項7】
マーカユニット決定手段が、
前記物体に配置することが可能な複数のマーカユニットの候補を提示する提示手段と、
複数のマーカユニットの候補のなかからユーザの選択を受け付ける選択受付手段と、
を含む請求項6記載のマーカユニット作成支援システム。
【請求項8】
物体に対応した請求項1〜4のいずれかに記載のマーカユニットを作成するためのマーカユニット作成支援プログラムであって、
物体の撮影画像を入力する画像入力手段、
入力された画像から、マーカユニットが配置される物体の領域を抽出する対象領域抽出手段、及び
抽出された物体の色及び形状に応じて当該物体に配置することが可能なマーカユニットを決定するマーカユニット決定手段、
としてコンピュータを機能させることを特徴とするマーカユニット作成支援プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2009−20614(P2009−20614A)
【公開日】平成21年1月29日(2009.1.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−181395(P2007−181395)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 社団法人電子情報通信学会 電子情報通信学会技術研究報告 Vol.106 No.470 平成19年1月12日発行
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】