説明

複合画像プリント、その形成方法及びその表示方法

【課題】 デジタルカメラで撮影された写真も含めて、人物やペット、商品などの写真等を、予め用意した多数の背景となる画像、前景(もしくは中景)となる画像と組み合わせ、複合写真を簡単に楽しく作成できるようにすることを目的とする。
【解決手段】 本発明による複合画像プリントは、被写体画像の主要部を抽出し、背景及び前景(もしくは中景)と組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人物やペット等のスナップ写真や、通常の方法で撮影された商品写真などと、予め用意した背景となる画像及び前景、中景となる画像を組み合わせ、立体的または多面的に表示するための複合画像プリント、その形成方法及びその表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人物のスナップ写真等を写真スタンドに入れて表示する方法はすでに公知であり、また、レンチキュラーレンズを用いて立体画像或いは切換画像を表示する方法についても種々知られている。
【0003】
例えば特許文献1(特開2000−180927号公報)には、副次的イメージ情報と被写体とを一の画面内に配置する印画紙への露光方法であって、この副次的イメージ情報を、レンチキュラーレンズの背面側に配置して切換画または立体画を表示できる原画としたことを特徴とする印画紙への露光方法が提案されている。しかし、この方法はあくまでもフィルムに被写体と背景とを同時に露光する技術であって、実際の露光方法が複雑なばかりか、現在のようなデジタルカメラの時代にはそぐわないものである。
【0004】
また、同文献には、上述のような方法で形成した写真をレンチキュラーレンズと共にフレームに収納する写真収納具も開示されている。しかし、この方法では、被写体の周囲部部だけにレンチキュラーレンズを配置し、被写体に対応する部分は平滑な表面の透明パネルを使用している。この技術によれば、レンチキュラーレンズの配置により写真収納具の被写体部分と背景部分の配置が固定されてしまうために、配置を変更しようとするとレンチキュラーレンズを含む前面透明パネル自体を交換しなければならないという問題があった。
【0005】
特許文献2(特許3717131号公報)には、レンチキュラーシートと、このレンチキュラーシートの背面に出力画像を介して押圧される押圧板とからなり、前記押圧板と前記出力画像との摩擦力が、前記レンチキュラーレンズシートと前記出力画像との摩擦力よりも大であることを特徴とする表示体が開示されている。この技術はあくまでも立体画や動画を表示するためのものであり、レンチキュラーシートを揺動させる際に、出力画像を固定しておく必要があるために、摩擦力を利用しているものである。
【0006】
【特許文献1】特開2000−180927号公報
【特許文献2】特許3717131号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の問題点に鑑みなされたものであり、デジタルカメラで撮影された写真も含めて、人物のスナップ写真等を背景と前景の間に組み合わせ合成し立体化する。複合画像写真を簡単に、レイアウトを自在に楽しく編集できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため本発明による複合画像プリントは、被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景及び前景と組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置して各画像を合成し、一体的に印刷したことを特徴とする。
【0009】
前記被写体画像は、一般の写真または画像を使用できるが、予め用意した画像ではなく、複数枚の一般の写真を組み合わせて合成し、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した画像を作ることも可能である。
【0010】
また、本発明による複合画像プリントの形成方法では、被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景及び前景となる画像と組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷することを特徴とする。
【0011】
前記画像の合成をコンピュータ上でソフトウェアにより行うことが望ましい。
【0012】
本発明による複合画像プリントの表示方法としては、被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景及び前景となる画像と組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷した複合画像プリントを、前記配列に適合するレンチキュラーレンズの背面に配置して、押圧手段により固定することを特徴とする。
【0013】
前記押圧手段が、レンチキュラーレンズを前面において保持する枠材と、前記複合画像プリント背面に配置して前記レンチキュラーレンズ及び前記画像プリントを押圧保持する押圧板と、該押圧板を前記枠材に固定する固定手段とからなる写真スタンドであることが好適である。
【0014】
前記押圧手段の別の方法として、携帯電話本体上に前記画像シートを保持するためのレンチキュラーレンズを部分的に形成した枠材及び該枠材を前記携帯電話に固定するためのネジを用いることもできる。
【発明の効果】
【0015】
本発明による画像プリントにおいては、人物のスナップ写真等の被写体画像の主要部のみを抽出して、別の所望する背景及び前景と組み合わせて表示できるため、被写体をひときわ引き立たせて華やかに表示することが可能となる。また、同じ被写体画像を用いて種々の背景や前景と組み合わせることが容易にできるため、わざわざいろいろな背景の前で写真を撮影する必要がない。要するに複合画像依頼者としては用意する被写体画像が少なくて済む。背景や前景、切換画像等は依頼者が自ら選択するため、完成した画像と事前のイメージとのギャップが少なくなる。さらに、華やかな背景や前景だけでなく、葬祭用の荘厳な画像シートを作成することも容易である。
【0016】
また、背景や前景となる画像はあらゆる種類の写真から選択することができ、独自性のある立体画像や切換画像を制作することができる。さらに、被写体画像自体を立体画像或いは切換画像とすることも可能である。
【0017】
本発明の画像プリント形成方法によれば、コンピュータソフトウェアによりレンチキュラーレンズに対応する分割画像を作成したり、被写体画像を背景や前景と合成することが容易にできるので、写真スタンド等の表示体用の複合画像プリントを安価にかつ容易に形成することができる。また、コンピュータで処理することにより被写体画像の抽出も複雑な形に容易にすることができ、様々な背景や前景と自由に組み合わせることができる。さらに、コンピュータ画面上で出来上がりプリントのイメージが表示できるため、作成のための事前協議や構成などの作業が不要となる。製作者側としてはコンピュータ上で合成作業が容易に行えるため、作業時間が大幅に短縮できる。これにより、結果として画像プリントの価格も安価にできる。
【0018】
本発明による複合画像プリントの表示方法では、上述のような複合画像プリントをレンチキュラーレンズと組み合わせて写真スタンド等に構成することにより、人物やペット、商品写真などでも、立体的や多面的な画像となり極めて容易に楽しむことが可能となる。
【0019】
このような複合画像プリントの表示方法としては、写真スタンドばかりでなく、携帯電話のカバーとして利用することも可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【実施例】
【0020】
以下、図面に基づいて本発明の好適な実施例について説明する。図1は、本発明による複合画像プリントの形成方法を示す説明図である。依頼者はコンピュータ画面上で背景及び前景となる画像を選択する。また、依頼者が持参した被写体画像(写真でもデジタルイメージでもかまわない)から所望する主要部を抽出し、選択した背景及び前景と合成する。背景及び前景はレンチキュラーレンズに対応した分割画像とする。分割画像は、立体画像及び切換画像を含む。合成した画像を印刷し、所定の形や大きさに調整する。
【0021】
図2は、上述の方法により形成した複合画像プリント1の一実施例である。幼児のスナップ写真を被写体画像3とし、レンチキュラーレンズに対応させて分割形成した背景2及び前景4と組み合わせて合成、印刷した。本実施例においては被写体画像は分割形成してないが、被写体画像も前景や背景と合わせて分割形画像とすることも可能である。
【0022】
図3は、上記画像プリントを表示するための写真スタンドの一実施例である。複合画像プリント1はレンチキュラーレンズシート5の背面に配置し、写真スタンドの枠6に挿入する。画像シートの裏側には押圧板8を配置し、複数の固定具9により固定する。この表示方法により、立体画像或いは切換画像と組み合わせた被写体画像を楽しむことができる。
【0023】
図4は、上述の複合画像プリントを携帯電話のカバーに表示する方法を示したものである。携帯電話本体10の形状に合わせて形成した複合画像プリントの上にレンチキュラーレンズを形成したカバー11を配置し、ネジ12により携帯電話本体10に固定するようにしたものである。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明によれば、被写体画像をいろいろな背景や前景と容易に組合せて表示することができ、新しい写真表示形態に貢献できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による複合画像プリントの形成方法を示す説明図である。
【図2】図1に示した複合画像プリント形成方法により形成した複合画像プリントの一実施例である。
【図3】図2に示した画像プリントを表示するための写真スタンドの一実施例である。
【図4】図2に示した複合画像プリントを携帯電話のカバーに表示する方法を示した図である。
【符号の説明】
【0026】
1 複合画像プリント
2 背景
3 被写体
4 前景
5 レンチキュラーレンズシート
6 枠材
8 押圧板
9 固定具
10 携帯電話本体
11 カバー
12 ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景及び前景(もしくは中景)の画像と組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷したことを特徴とする複合画像プリント。
【請求項2】
前記被写体画像が、一般の写真または画像であることを特徴とする請求項1記載の複合画像プリント。
【請求項3】
前記被写体画像が、一般の写真または画像からレンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した画像であることを特徴とする請求項1記載の複合画像プリント。
【請求項4】
被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景となる画像及び前景(もしくは中景)となる画像を組み合わせ、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷することを特徴とする複合画像プリントの形成方法。
【請求項5】
前記画像の合成をコンピュータ上でソフトウェアにより行うことを特徴とする請求項4記載の複合画像プリントの形成方法。
【請求項6】
被写体画像の主要部を抽出し、予め用意した背景となる画像及び前景(もしくは中景)となる画像を、レンチキュラーレンズの配列に合わせて分割配置した各画像を合成し、一体的に印刷した複合画像プリントを、前記配列に適合するレンチキュラーレンズの背面に配置して、押圧手段により固定することを特徴とする複合画像プリントの表示方法。
【請求項7】
前記押圧手段が、レンチキュラーレンズを前面において保持する枠材と、前記複合画像プリント背面に配置して前記レンチキュラーレンズ及び前記画像プリントを押圧保持する押圧板と、該押圧板を前記枠材に固定する固定手段とからなる写真スタンドであることを特徴とする請求項6記載の複合画像プリントの表示方法。
【請求項8】
前記押圧手段が、携帯電話本体上に前記画像プリントを保持するためのレンチキュラーレンズを部分的に形成した枠材及び該枠材を前記携帯電話に固定するためのネジであることを特徴とする請求項6記載の複合画像プリントの表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−206659(P2007−206659A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51144(P2006−51144)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(504399587)日本デトックス株式会社 (2)
【Fターム(参考)】