説明

複合装置、保守情報提供方法、および、保守情報提供プログラム

【課題】保守作業にかかる時間を短縮する。
【解決手段】複合装置10は、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13と、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13のそれぞれに設けられた表示部14〜16と、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13において発生する事象を検出する検出部17と、検出部17が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部18と、ログ記憶部18から、検出部17が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する抽出部19と、検出部17が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部19が抽出したログを表示させる表示制御部20と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、複合装置、保守情報提供方法、および、保守情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、金融機関の店舗や小売店等に設置された自動取引装置(ATM:Automated Teller Machine)は、紙幣の出し入れや、計数、収納を行うBRU(Bill Recycle Unit)や、硬貨の出し入れや、計数、収納を行うCRU(Coin Recycle Unit)等の保守対象装置を複数有する。
【0003】
自動取引装置のように複数の保守対象装置を有する複合装置では、保守対象装置に異常等の事象が発生した場合、担当者が、事象が発生した保守対象装置に対して、修理等の保守作業を行う。保守作業を行うには、事象が発生した原因を推定する必要があるが、発生事象だけに基づいて原因を推定することは困難である。
【0004】
これに対して、複合装置において発生した事象の履歴を、保守対象装置毎に関連付けて記憶しておき、保守作業の際に作業対象の保守対象装置に関連付けられた履歴を参照することが考えられる。
【0005】
例えば、ATMを構成する部品のそれぞれに予めIC(Integrated Circuit)タグを付設しておき、監視部が異常もしくは異常の予兆を検知したならば、この異常もしくは予兆に関連する部品のICタグに、この異常もしくは予兆を示す保守情報を格納しておき、保守作業の際に、このICタグに格納された保守情報を読み取って表示部に表示する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−264815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、保守対象の部品のそれぞれにICタグを付設し、このICタグに格納された保守情報を読み取って表示部に表示させる方法では、担当者が保守情報を確認するまでの作業が複雑であるため、保守作業に時間がかかってしまう。
【0008】
このような点に鑑み、保守作業に係る時間を短縮する複合装置、保守情報提供方法、および、保守情報提供プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために以下のような複合装置、保守情報提供方法、および、保守情報提供プログラムが提供される。
この複合装置は、複数の保守対象装置と、複数の保守対象装置のそれぞれに設けられた表示部と、複数の保守対象装置において発生する事象を検出する検出部と、検出部が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部と、ログ記憶部から、検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する抽出部と、検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部が抽出したログを表示させる表示制御部と、を有する。
【0010】
また、この保守情報提供方法は、コンピュータが、複数の保守対象装置において発生する事象を検出し、発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部から、検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出し、検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出したログを表示させる。
【0011】
また、この保守情報提供プログラムは、コンピュータを、複数の保守対象装置において発生する事象を検出する検出部、検出部が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部から、検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する抽出部、検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部が抽出したログを表示させる表示制御部、として機能させる。
【発明の効果】
【0012】
開示の複合装置、保守情報提供方法、および、保守情報提供プログラムによれば、保守作業にかかる時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第1の実施の形態に係る複合装置の一例を示す図である。
【図2】第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。
【図3】第2の実施の形態に係る自動取引装置の機能の一例を示す図である。
【図4】第2の実施の形態に係るログ記憶部に格納された情報テーブルの一例を示す図である。
【図5】第2の実施の形態に係る関連付情報記憶部に格納された情報テーブルの一例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態に係る自動取引装置における表示の手順の一例を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態に係る電子ペーパーに表示される画像の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施の形態を図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る複合装置の一例を示す図である。複合装置10は、保守対象装置(1)11と、保守対象装置(2)12と、保守対象装置(3)13と、表示部14〜16と、検出部17と、ログ記憶部18と、抽出部19と、表示制御部20とを有している。
【0015】
保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13はそれぞれ、修理等の保守作業の対象となる装置である。表示部14〜16は、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13のそれぞれに設けられている。
【0016】
検出部17は、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13において発生する異常等の事象を検出する。ログ記憶部18は、検出部17が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納する。
【0017】
抽出部19は、ログ記憶部18から、検出部17が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。表示制御部20は、検出部17が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部19が抽出したログを表示させる。
【0018】
次に、複合装置10における表示の手順について説明する。まず、保守対象装置(1)11〜保守対象装置(3)13のいずれかの装置で事象が発生すると、検出部17が、これを検出する。例えば、図1に示す例では、保守対象装置(1)11に事象Dが発生している。
【0019】
次に、抽出部19が、ログ記憶部18から、検出部17によって検出された発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。例えば、図1に示す例では、抽出部19は、ログ記憶部18から、発生事象の発生元である保守対象装置(1)11が関連装置として対応付けられている検出時刻が「10:10:10」のログと、検出時刻が「12:12:12」のログとを抽出する。
【0020】
次に、表示制御部20が、検出部17によって検出された発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部19が抽出したログを表示させる。
このように、複合装置10では、抽出部19が、ログ記憶部18から、検出部17によって検出された発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。そして、表示制御部20は、検出部17が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出部19が抽出したログを表示させる。
【0021】
この構成によれば、担当者は、保守作業の対象である保守対象装置に設けられた表示部を閲覧することによって、その保守対象装置に関連する発生事象の履歴を、その場で迅速に確認することができる。これにより、保守作業にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0022】
[第2の実施の形態]
次に、第1の実施の形態の複合装置10を自動取引装置に適用した実施の形態を、第2の実施の形態として説明する。
【0023】
図2は、第2の実施の形態に係る自動取引装置のハードウェアの一例を示す図である。自動取引装置100は、制御装置110と、DOC(Document Output and Card reader writer)111と、UOP(顧客操作部)112と、MOP(管理操作部)113と、BRU114と、CRU115と、電源116とを有している。DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116は、それぞれ、修理等の保守作業の対象となる保守対象装置である。
【0024】
制御装置110は、CPU(Central Processing Unit)101と、RAM(Random Access Memory)102と、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disk Drive)103と、通信インタフェース104とを有している。
【0025】
CPU101によって、自動取引装置100の全体が制御されている。CPU101には、RAM102、HDD103、通信インタフェース104、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116が接続されている。
【0026】
RAM102は、自動取引装置100の主記憶装置として使用される。RAM102には、CPU101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、CPU101による処理に必要な各種データが格納される。
【0027】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、自動取引装置100の二次記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、二次記憶装置としては、フラッシュメモリなどの半導体記憶装置を使用することもできる。
【0028】
通信インタフェース104は、ネットワーク130に接続されている。通信インタフェース104は、ネットワーク130を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0029】
DOC111は、キャッシュカードや預金通帳、レシートを取り扱い、キャッシュカードの磁気ストライプに格納されている情報を読み取り、また、取引内容を預金通帳やレシートに印字する。
【0030】
UOP112は、顧客が操作を行うための装置であり、顧客への情報を表示するディスプレイや、顧客がパスワードや金額等を入力するためのタッチパネル等を備えている。MOP113は、銀行の行員等の担当者が操作を行うための装置であり、担当者への情報を表示するディスプレイや、担当者が操作を行うためのタッチパネル等を備えている。
【0031】
BRU114は、紙幣の出し入れや、計数、収納を行う。CRU115は、硬貨の出し入れや、計数、収納を行う。電源116は、自動取引装置100を構成する各装置に電力を供給する。
【0032】
さらに、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116には、電子ペーパー121〜126がそれぞれ、着脱可能に設けられている。電子ペーパー121〜126は、CPU101からの命令に従って、画像を表示する。
【0033】
電子ペーパー121〜126は、表示していた画像を、電力の供給が停止した後も表示し続けることができる。すなわち、電子ペーパー121〜126は、付設されている装置から取り外されたり、付設されている装置自体が自動取引装置100から取り外されたりして、電力の供給が停止した後でも、直前まで表示していた画像を表示し続けることができる。
【0034】
電子ペーパー121〜126は、例えば、対向する透明な基板間に液晶が挟まれた構造を有し、この液晶に光が反射することで、画像が表示される。具体的には、対向する透明な基板にはそれぞれ透明な電極が形成され、この電極に電圧をかけることで、液晶分子の向きが変わり、光の反射が変化することで画像が表示される。そして、電極にかけた電圧を切った後も、液晶分子の向きは変わらないため、画像がそのまま表示保持される。液晶には、例えば、コレステリック液晶が用いられる。
【0035】
以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。
次に、自動取引装置100の機能について説明する。
【0036】
図3は、第2の実施の形態に係る自動取引装置の機能の一例を示す図である。制御装置110は、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116に接続された検出部201と、ログ記憶部202と、ログ管理部203と、関連付情報記憶部204と、電子ペーパー121〜126に接続された表示制御部206とを有している。
【0037】
検出部201は、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116において発生する異常等の事象を検出する。発生事象としては、例えば、電源116における電源異常や、BRU114における搬送異常等がある。
【0038】
ログ管理部203は、検出部201が検出した発生事象のログに、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116のうち、この発生事象の影響を受ける可能性のある装置が関連装置として対応付けられた情報をログ記憶部202に格納する。
【0039】
ここで、ログには、検出日時と、発生元装置の名称と、事象内容とが含まれる。また、ログ管理部203は、ログ記憶部202から、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。
【0040】
関連付情報記憶部204には、発生事象に、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116のうち、この発生事象の影響を受ける可能性のある装置と、この発生事象を表すメッセージとが対応付けられた情報が格納される。発生事象は、発生元装置の名称と事象内容とで表される。
【0041】
表示制御部206は、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、ログ管理部203が抽出したログ、および、検出部201が検出した発生事象を表すメッセージを表示させる。発生事象を表すメッセージは、関連付情報記憶部204から取得される。
【0042】
また、表示制御部206は、関連付情報記憶部204に、検出部201が検出した発生事象が存在しているかどうかを判定する。さらに、表示制御部206は、関連付情報記憶部204を参照して、検出部201が検出した発生事象に対応付けられている装置を特定し、特定した装置に設けられた電子ペーパーに、検出部201が検出した発生事象を表すメッセージを表示させる。
【0043】
次に、ログ記憶部202に格納された情報テーブルについて説明する。
図4は、第2の実施の形態に係るログ記憶部に格納された情報テーブルの一例を示す図である。情報テーブル202aでは、検出部201が検出した発生事象のログと、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116のうち、この発生事象の影響を受ける可能性のある装置の名称が関連装置として対応付けられている。この対応付けの設定は、例えば、過去の保守作業における経験等に基づいて行われる。ログには、検出日時と、発生元装置の名称と、事象内容とが含まれている。
【0044】
情報テーブル202aでは、例えば、電源116で発生した電源ファン異常に対して、BRU114、CRU115が関連装置として対応付けられている。電源ファン異常が発生した場合には、BRU114、CRU115の温度が上昇し、紙幣や硬貨の搬送用のベルトが熱により切れてしまい、この結果、BRU114、CRU115において搬送異常が発生してしまうことが少なからず推定される。このため、ここでは、電源ファン異常に対して、BRU114、CRU115が、発生事象の影響を受ける可能性のある関連装置として対応付けられている。
【0045】
また、情報テーブル202aでは、例えば、BRU114で発生した搬送異常に対して、関連装置として対応付けられている装置は存在しない。BRU114で搬送異常が発生したとしても、これを原因として、他の装置に異常が発生する可能性は極めて低い。このため、ここでは、BRU114で発生した搬送異常に対して、発生事象の影響を受ける可能性のある関連装置として対応付けられている装置は存在していない。
【0046】
次に、関連付情報記憶部204に格納された情報テーブルについて説明する。
図5は、第2の実施の形態に係る関連付情報記憶部に格納された情報テーブルの一例を示す図である。情報テーブル204aでは、発生事象に、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116のうち、この発生事象の影響を受ける可能性のある装置の名称が関連装置として対応付けられている。
【0047】
この対応付けは、例えば、過去の保守作業における経験等に基づいて行われる。さらに、情報テーブル204aでは、発生事象に、この発生事象を表すメッセージが対応付けられている。発生事象は、発生元装置の名称と事象内容とで表される。
【0048】
次に、自動取引装置100における表示の手順について説明する。
図6は、第2の実施の形態に係る自動取引装置における表示の手順の一例を示すフローチャートである。図6に示す処理は、検出部201が発生事象を検出することで開始される。また、ログ記憶部202および関連付情報記憶部204には予め情報が格納されているものとする。
【0049】
[ステップS11]表示制御部206が、検出部201によって検出された発生事象が、関連付情報記憶部204に存在しているかどうかを判定する。存在している場合、表示制御部206は、処理をステップS12に進める。存在していない場合、表示制御部206は、処理を終了する。
【0050】
[ステップS12]ログ管理部203が、ログ記憶部202に、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置が関連装置として対応付けられているログが存在するかどうかを判定する。存在する場合、ログ管理部203は、処理をステップS13に進める。存在しない場合、ログ管理部203は、処理をステップS15に進める。
【0051】
[ステップS13]ログ管理部203が、ログ記憶部202から、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。例えば、検出部201が検出した発生事象が、BRU114における搬送異常である場合、図4に示す情報テーブル202aを用いて説明すると、ログ管理部203は、BRUが関連装置として対応付けられている、検出日時が「2010/12/16 10:10:10」のログ、「2010/12/17 10:10:10」のログ、…「2010/12/20 10:10:10」のログを抽出する。
【0052】
[ステップS14]表示制御部206が、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、ログ管理部203が抽出したログ、および、検出部201が検出した発生事象を表すメッセージを表示させる。例えば、検出部201が検出した発生事象が、BRU114における搬送異常である場合、表示制御部206は、BRU114に設けられた電子ペーパー124に、ログ管理部203が抽出したログ、および、搬送異常を表すメッセージを表示させる。
【0053】
[ステップS15]表示制御部206が、検出部201によって検出された発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、検出された発生事象を表すメッセージを表示させて、処理をステップS16に進める。
【0054】
[ステップS16]ログ管理部203が、検出部201によって検出された発生事象のログに、DOC111、UOP112、MOP113、BRU114、CRU115、電源116のうち、この発生事象の影響を受ける可能性のある装置が関連装置として対応付けられた情報をログ記憶部202に格納する。
【0055】
[ステップS17]表示制御部206が、関連付情報記憶部204を参照して、検出部201が検出した発生事象に関連装置が対応付けられているかどうかを判定する。関連装置が対応付けられている場合、表示制御部206は、処理をステップS18に進める。関連装置が対応付けられていない場合、表示制御部206は、処理を終了する。
【0056】
[ステップS18]表示制御部206が、関連付情報記憶部204を参照して、検出部201が検出した発生事象に対応付けられている装置を特定する。
[ステップS19]表示制御部206が、特定した装置に設けられた電子ペーパーに、検出部201が検出した発生事象を表すメッセージを表示させて処理を終了する。
【0057】
次に、ステップS14により電子ペーパーに表示される画像の一例について説明する。
図7は、第2の実施の形態に係る電子ペーパーに表示される画像の一例を示す図である。画像210は、発生事象表示欄211と、ログ表示欄212とを有している。発生事象表示欄211には、検出部201によって検出された発生事象を表すメッセージが、発生時刻とともに表示されている。ログ表示欄212には、ログ管理部203が抽出したログが表示されている。
【0058】
さらに、画像210では、最新のログが注目表示されている。ここで、注目表示とは、対象を他のものよりも目立たせて、閲覧者が注目するように表示することであり、例えば、対象に目印を付けて表示したり、他のものとは別の欄に表示したり、他のものよりも大きく表示したり、ハイライト表示したりすることを含む。
【0059】
画像210では、最新のログ(検出日時:「2010/12/20 10:10:10」)が、ログ表示欄212から抜き出され、発生事象表示欄211に表示され、さらに、「想定要因」との見出しが付けられて表示されている。これにより、画像210を閲覧した担当者は、発生事象を確認するとともに、発生事象の要因として想定される可能性の高い最新のログを、迅速に確認することが可能となる。
【0060】
以上、説明してきたように、自動取引装置100では、ログ管理部203が、ログ記憶部202から、検出部201によって検出された発生事象の発生元の装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する。そして、表示制御部206は、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、ログ管理部203が抽出したログを表示させる。
【0061】
この構成によれば、担当者は、保守作業の対象である装置に設けられた電子ペーパーを閲覧することによって、その装置に関連する発生事象の履歴を、その場で迅速に確認することができる。これにより、保守作業にかかる時間を短縮することが可能となる。
【0062】
さらに、自動取引装置100では、表示制御部206は、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、検出部201が検出した発生事象を表すメッセージを表示させる。この構成によれば、担当者は、保守作業の対象である装置に設けられた電子ペーパーを閲覧することによって、その装置に発生した事象を容易に確認することができる。
【0063】
さらに、自動取引装置100では、表示制御部206は、検出部201が検出した発生事象の発生元の装置に設けられた電子ペーパーに、ログ管理部203が抽出したログのうち最新のログを注目表示させる。この構成によれば、担当者は、保守作業の対象である装置に設けられた電子ペーパーを閲覧することによって、発生事象の要因として想定される可能性の高い最新のログを、容易に確認することが可能となる。
【0064】
さらに、自動取引装置100では、電子ペーパー121〜126は、保守対象装置に対して着脱可能であり、保守対象装置から取り外された状態で、画像を表示し続ける。この構成によれば、担当者は、保守対象装置から電子ペーパーを取り外すことで、自動取引装置100および保守対象装置から離れた場所でも、電子ペーパーに表示された内容を確認することができる。
【0065】
この構成によれば、例えば、保守作業の方法を、自動取引装置100から離れた場所に設置された電話やパソコン等を使って保守センタに問い合わせるような場合でも、担当者は手元で表示内容を確認しながら問い合わせを行うことができるので、保守作業を迅速に進めることが可能となる。
【0066】
また、この構成によれば、担当者が電子ペーパーを保守センタまで持って行き、保守センタにて表示内容を確認することも可能となる。これは、例えば、保守対象装置自体を保守センタに搬送する場合と比べて、搬送が大幅に容易となる。
【0067】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、自動取引装置100が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記憶装置には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープなどがある。光ディスクには、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD−RAM、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto-Optical disk)などがある。
【0068】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0069】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0070】
また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現することもできる。
【符号の説明】
【0071】
10 複合装置
11 保守対象装置(1)
12 保守対象装置(2)
13 保守対象装置(3)
14,15,16 表示部
17,201 検出部
18,202 ログ記憶部
19 抽出部
20,206 表示制御部
100 自動取引装置
110 制御装置
111 DOC
112 UOP
113 MOP
114 BRU
115 CRU
116 電源
121〜126 電子ペーパー
203 ログ管理部
204 関連付情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の保守対象装置と、
前記複数の保守対象装置のそれぞれに設けられた表示部と、
前記複数の保守対象装置において発生する事象を検出する検出部と、
前記検出部が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部と、
前記ログ記憶部から、前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する抽出部と、
前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、前記抽出部が抽出したログを表示させる表示制御部と、
を有することを特徴とする複合装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、前記検出部が検出した発生事象を表すメッセージを表示させること、
を特徴とする請求項1記載の複合装置。
【請求項3】
前記表示制御部は、前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、前記抽出部が抽出したログのうち最新のログを注目表示させること、
を特徴とする請求項1または2記載の複合装置。
【請求項4】
前記複数の保守対象装置のそれぞれに設けられた表示部は、保守対象装置に対して着脱可能であり、保守対象装置から取り外された状態で、画像を表示し続けること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の複合装置。
【請求項5】
前記複数の保守対象装置のそれぞれに設けられた表示部は、電子ペーパーであること、
を特徴とする請求項4記載の複合装置。
【請求項6】
発生事象に、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が対応付けられた情報が格納される関連付情報記憶部をさらに有し、
前記表示制御部は、前記関連付情報記憶部を参照して、前記検出部が検出した発生事象と対応付けられた保守対象装置を特定し、特定した保守対象装置に設けられた表示部に、前記検出部が検出した発生事象を表すメッセージを表示させること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の複合装置。
【請求項7】
コンピュータが、
複数の保守対象装置において発生する事象を検出し、
発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部から、検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出し、
検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、抽出したログを表示させる、
ことを特徴とする保守情報提供方法。
【請求項8】
コンピュータを、
複数の保守対象装置において発生する事象を検出する検出部、
前記検出部が検出した発生事象のログに、この発生事象の影響を受ける可能性のある保守対象装置が関連装置として対応付けられた情報を格納するログ記憶部から、前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置が関連装置として対応付けられているログを抽出する抽出部、
前記検出部が検出した発生事象の発生元の保守対象装置に設けられた表示部に、前記抽出部が抽出したログを表示させる表示制御部、
として機能させることを特徴とする保守情報提供プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−203630(P2012−203630A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−67345(P2011−67345)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000237639)富士通フロンテック株式会社 (667)
【Fターム(参考)】