説明

複合装置

【課題】複合装置の操作性を向上させることができるようにする。
【解決手段】第1の画像処理部と、第1の画像処理部の上に、第1の画像処理部に対して揺動自在に配設され、本体部、及び本体部に対して揺動自在に配設された蓋体を備えた第2の画像処理部とを有する。蓋体に被係止部が形成され、本体部に規制部材が揺動自在に配設され、規制部材は、第2の画像処理部の回動に伴って、重力の作用で被係止部と選択的に係止させられる係止部を備える。第2の画像処理部を回動させると、前記被係止部と係止部とが係止させられるので、原稿を第2の画像処理部にセットし、蓋体を閉鎖した状態のまま、第2の画像処理部を回動させて開放したときに、蓋体の回動を規制することができるので、蓋体が開放されることがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタ、複写機、ファクシミリ装置等のような画像を形成する機能、及びスキャナ等のような画像を読み取る機能を備えた複合装置として、例えば、プリンタ部の上にスキャナ部が配設された複合装置が提供されている。この種の複合装置においては、プリンタ部に対してスキャナ部が揺動自在に配設され、プリンタ部又はスキャナ部のメンテナンス等を行う場合、スキャナ部を回動させるようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−53648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の複合装置においては、スキャナ部に、原稿を読取部に押し付けるためにカバー部材が配設されるようになっているが、スキャナ部をプリンタ部に対して回動させる際に原稿が落下してしまうことがある。したがって、メンテナンスが終了した後に、原稿を再びセットする必要があり、複合装置の操作性が低い。
【0005】
本発明は、前記従来の複合装置の問題点を解決して、操作性を向上させることができる複合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明の複合装置においては、第1の画像処理部と、該第1の画像処理部の上に、第1の画像処理部に対して揺動自在に配設され、本体部、及び該本体部に対して揺動自在に配設された蓋体を備えた第2の画像処理部とを有する。
【0007】
そして、前記蓋体に被係止部が形成される。
【0008】
また、前記本体部に規制部材が揺動自在に配設される。
【0009】
そして、該規制部材は、第2の画像処理部の回動に伴って、重力の作用で前記被係止部と選択的に係止させられる係止部を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複合装置においては、第1の画像処理部と、該第1の画像処理部の上に、第1の画像処理部に対して揺動自在に配設され、本体部、及び該本体部に対して揺動自在に配設された蓋体を備えた第2の画像処理部とを有する。
【0011】
そして、前記蓋体に被係止部が形成される。
【0012】
また、前記本体部に規制部材が揺動自在に配設される。
【0013】
そして、該規制部材は、第2の画像処理部の回動に伴って、重力の作用で前記被係止部と選択的に係止させられる係止部を備える。
【0014】
この場合、第2の画像処理部を回動させると、前記被係止部と係止部とが係止させられるので、原稿を第2の画像処理部にセットし、蓋体を閉鎖した状態のまま、第2の画像処理部を回動させて開放したときに、蓋体の回動を規制することができるので、蓋体が開放されることがない。
【0015】
したがって、蓋体が破損するのを防止することができるだけでなく、原稿が落下することがない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の要部を示す部分断面図である。
【図2】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の斜視図である。
【図3】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の断面図である。
【図4】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の背面図である。
【図5】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の正面図である。
【図6】図5のX−X断面図である。
【図7】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の平面図である。
【図8】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの斜視図である。
【図9】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の動作を示す第1の図である。
【図10】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの動作を示す拡大図である。
【図11】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の動作を示す第2の図である。
【図12】本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの軌跡を示す図である。
【図13】本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の要部を示す部分断面図である。
【図14】本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の動作を示す第1の図である。
【図15】本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の動作を示す第2の図である。
【図16】本発明の実施の形態における複合装置の正面図である。
【図17】本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第1の図である。
【図18】本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第2の図である。
【図19】本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第3の図である。
【図20】本発明の実施の形態における位置固定レバーの動作を示す第1の図である。
【図21】本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第4の図である。
【図22】本発明の実施の形態における位置固定レバーの動作を示す第2の図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、プリンタ等のような画像を形成する機能、及びスキャナのような画像を読み取る機能を備えた複合装置について説明する。
【0018】
図1は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の要部を示す部分断面図、図2は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の斜視図、図3は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の断面図、図4は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の背面図、図5は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の正面図、図6は図5のX−X断面図、図7は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の平面図、図8は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの斜視図である。
【0019】
図において、11は複合装置であり、該複合装置11は、画像を形成する機能を備えた第1の画像処理部としての、かつ、画像形成部としてのプリンタ部12、及び該プリンタ部12の上に、プリンタ部12に対して揺動自在に配設され、画像を読み取る機能を備えた第2の画像処理部としての、かつ、画像読取部としてのスキャナ部13を備え、前記プリンタ部12は、スキャナ部13をプリンタ部12上に搭載するための接続部材としてのステイ12aを備える。
【0020】
前記プリンタ部12は、電子写真方式を使用して画像を形成するための機構部14を備え、該機構部14は、画像処理媒体としての図示されない用紙に、イエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの各色の画像を形成し、記録する。前記機構部14は、LEDタンデムカラー方式によって画像を形成するようになっているが、レーザ方式、インクジェット方式、ドットインパクト方式等の方式によって画像を形成することができる。
【0021】
また、前記機構部14は、用紙を収納する用紙カセット16、各色の画像形成ユニットとしての印字プロセスカートリッジ20、露光装置としての図示されない印字ヘッド、転写部材としての転写ローラ21、定着装置としての定着器22、及び用紙をプリンタ部12外に排出する排出ユニット23を有し、各印字プロセスカートリッジ20は、像担持体としての感光体ドラム17、帯電装置としての帯電ローラ18、現像剤担持体としての図示されない現像ローラ、現像剤収容部としてのトナーカートリッジ19等を備える。
【0022】
前記帯電ローラ18は、感光体ドラム17の表面を帯電させ、印字ヘッドは、LED光を感光体ドラム17の表面に照射し、感光体ドラム17の表面に静電潜像を形成する。そして、前記現像ローラは、トナーカートリッジ19から供給された現像剤としてのトナーを感光体ドラム17に付着させ、静電潜像を現像し、現像剤像としてのトナー像を形成する。
【0023】
一方、用紙は、用紙カセット16から繰り出されて搬送され、各感光体ドラム17と転写ローラ21との間の転写部に送られ、該各転写部において、転写ローラ21は、感光体ドラム17に形成された各色のトナー像を順次用紙に転写し、カラーのトナー像を形成する。続いて、用紙は、定着器22に送られ、該定着器22において、カラーのトナー像が用紙に定着させられ、カラー画像が形成される。次に、用紙は、排出ユニット23によってプリンタ部12外に排出される。
【0024】
また、前記スキャナ部13は、本体部としてのフラットベッド25、及びフラットベッド25に対して揺動自在に配設された蓋体としてのドキュメントカバー26等を備え、該ドキュメントカバー26には、複数枚の画像処理媒体としての原稿を自動的に順次供給することができるようにしたADF(自動原稿搬送装置)33が配設される。前記フラットベッド25は、副走査線方向に往復移動が可能にされたキャリッジ部27、及び原稿を載置するための原稿読取面28を備え、前記キャリッジ部27は、原稿読取面28に載置された原稿の走査線上の画像を読み取るイメージセンサユニット29を備え、該イメージセンサユニット29は、読み取った画像のデータ、すなわち、画像データを電気信号に変換し、プリンタ部12に送る。そして、プリンタ部12において、画像データに基づいて、画像を形成することができる。
【0025】
また、前記ステイ12aは、スキャナ部13を揺動自在に支持する支点を構成するシャフト31を備え、フラットベッド25は、前記シャフト31と平行に配設され、ドキュメントカバー26をスキャナ部13と同じ方向に、揺動自在に支持する支点を構成するシャフト32を備える。
【0026】
そして、24は、シャフト32の外周に配設され、ドキュメントカバー26の回動を規制するための規制部材としてのストッパである。スキャナ部13の後端面Saから後方に突出させてブラケットBr1が形成され、該ブラケットBr1に、前記シャフト31、32と平行に、支点を構成するシャフト36が配設され、前記ストッパ24は、シャフト36によって、ドキュメントカバー26と同じ方向に回動自在に支持される。
【0027】
前記ストッパ24は、頂壁24a、該頂壁24aの両端から下方に延びる側壁24b、24c、及び前記頂壁24aの後縁から斜め下方に延び、各側壁24b、24cの後縁を連結する後壁24dを備える。前記各側壁24b、24cは、上端から下方に垂直に延びる第1の縁部e1、該第1の縁部e1の下端よりわずかに後方から下方に垂直に延びる第2の縁部e2、該第2の縁部e2の下端から斜め後方に直線状に延びる第3の縁部e3、及び第3の縁部e3の下端から斜め後方に湾曲して弧状に延びる第4の縁部e4を備える。また、前記頂壁24aの前端に当接部41が、後壁24dの下端に被案内部42が形成される。
【0028】
そして、前記ストッパ24は、スキャナ部13を閉鎖したまま、ドキュメントカバー26を回動させたときに、第1の状態を採り、ドキュメントカバー26と摺動して、かつ、スキャナ部13に対して相対的に回動させられる。そのために、前記第1の縁部e1とドキュメントカバー26の後端面Sbとが当接させられる。また、第1の縁部e1より下方においては、第2の縁部e2が第1の縁部e1の下端よりわずかに後方(図1における左側)から下方に延びるので、第2の縁部e2と後端面Saとの間に、間隙Iが形成される。例えば、ドキュメントカバー26とフラットベッド25との取付け誤差、部品の寸法のばらつき等によって、後端面Saが後端面Sbより後方(図1における左側)に突出した場合でも、間隙Iが形成されるので、ストッパ24の上端面である当接部41及び第1の縁部e1と後端面Sbとを確実に当接させることができる。
【0029】
そして、前記ストッパ24は、スキャナ部13及びドキュメントカバー26を回動させて開放するときに、第2の状態を採り、スキャナ部13と一体的に回動させられる。そして、前記スキャナ部13及びドキュメントカバー26を回動させるときに、前記第1の縁部e1が常に後端面Sbと当接するように、付勢部材としてのトーションスプリング40が配設され、シャフト36に取り付けられる。前記トーションスプリング40は、第1、第2のアームam1、am2を備え、第1のアームam1が後壁24dに、第2のアームがブラケットBr1に係止させられ、ストッパ24を図1における時計回り方向に付勢する。
【0030】
本技術の形態において、ドキュメントカバー26に前記ADF33が備えられるので、前記ドキュメントカバー26の重心位置Bは、中央よりADF33側に変位した位置になる。そして、ストッパ24は、図6及び7に示されるように、シャフト32の軸方向において、重心位置Bと同様に、中央よりADF33側に変位した位置に、後端面Saと対向させて配設される。すなわち、ストッパ24は、スキャナ部13の前端面13d及び側面13b、13cには配設されないので、スキャナ部13の前端面13d又は側面13b及び13cからはみ出るような、原稿読取面28又はフラットベッド25より大きい原稿をセットしても原稿を傷つけることがない。
【0031】
ところで、前記ステイ12aは、図2に示されるように、「L」字状の形状を有し、後端部12bが上方に向けて突出させて形成され、該後端部12bの前記ストッパ24に対応する部分には、サポート部43が上方に突出させて形成され、該サポート部43は、被案内部42を案内する案内部として機能するとともに、ストッパ24を押さえ、ストッパ24がシャフト36を中心に回動するのを阻止する押え部として機能する。そのために、前記サポート部43の後端には、前記被案内部42及び第4の縁部e4を案内するための、凸面から成る第1の案内面としてのサポート面38が形成され、該サポート面38は円Sの形状に対応させて弧状に形成される。前記円Sはシャフト31を中心にして設定される。
【0032】
なお、前記ストッパ24及びサポート部43によって回動規制部が構成される。
【0033】
そして、スキャナ部13が回動させられると、ストッパ24が一体的に回動させられ、前記被案内部42及び第4の縁部e4は、サポート面38に沿って摺動して移動する。そのために、前記第4の縁部e4は、前記円Sの形状に対応させて弧状に形成される。なお、前記サポート部43の上面には、凹面から成る第2の案内面としての対向面39が形成され、該対向面39は弧状に形成される。
【0034】
このように、スキャナ部13が回動させられるのに伴って、被案内部42がサポート面38に沿って摺動して移動するので、ストッパ24が回動しない。したがって、スキャナ部13を回動させる際に、ドキュメントカバー26が、回動することがなくなり、開かれるのを防止することができる。
【0035】
また、図1に示されるように、プリンタ部12に対してスキャナ部13が閉鎖位置を採り、スキャナ部13に対してドキュメントカバー26が閉鎖位置を採る状態で、被案内部42とサポート部43との間に、1.0〔mm〕〜1.5〔mm〕の間隙CL1が形成される。
【0036】
次に、前記構成の複合装置11の動作について説明する。
【0037】
図9は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の動作を示す第1の図、図10は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの動作を示す拡大図、図11は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態における複合装置の動作を示す第2の図、図12は本発明の説明の前提となる第1の技術の形態におけるストッパの軌跡を示す図である。
【0038】
前記フラットベッド25に原稿をセットしたり、原稿を入れ換えたりするために、ドキュメントカバー26を、シャフト32を中心に回動させて開放すると、前記ストッパ24は、ドキュメントカバー26によって押され、第1の縁部e1とドキュメントカバー26の後端面Sbとを摺動させた状態で、シャフト36を中心にして、図9における反時計回りに回動させられる。これに伴って、前記被案内部42は、間隙CL1を形成したまま、対向面39と対向し、二点鎖線で示された軌跡に沿って回動させられる。そして、第3の縁部e3とスキャナ部13の後端面Saとが当接すると、それ以上のドキュメントカバー26の回動が規制される。なお、前記後端面Saは、ドキュメントカバー26の回動を規制する規制部として機能する。
【0039】
ところで、図10に示されるように、ストッパ24は、ドキュメントカバー26が閉鎖されたときの、二点鎖線で表される初期位置と、ドキュメントカバー26が最大限開放されたときの、実線で表される開放位置とを採る。そして、ストッパ24における第1の縁部e1と第3の縁部e3とが成す角度をθとし、ストッパ24が初期位置に置かれたときの第3の縁部e3と後端面Saとが成す角度をCとすると、角度Cは、
C=180−θ〔°〕
になる。また、最大限開放されたときのドキュメントカバー26の傾き、すなわち、ドキュメントカバー26の下面と原稿読取面28とが成す角度をEとすると、ストッパ24が開放位置に置かれたときの第1の縁部e1と後端面Saとが成す角度がEになる。
【0040】
本技術の形態においては、前記ドキュメントカバー26が最大限開放されたときに、第3の縁部e3と後端面Saとが面接触するように角度θが設定される。したがって、角度Cと角度Eとは等しくされる。
【0041】
本技術の形態においては、例えば、角度θは115〔°〕にされ、角度C、Eは65〔°〕にされる。したがって、前記ドキュメントカバー26を0〔°〕より大きく、かつ、65〔°〕以下の範囲の任意の角度で開放することができる。
【0042】
なお、角度Cを角度Eより大きくすることができる。その場合、前記ドキュメントカバー26が最大限開放されたときに、第2、第3の縁部e2、e3間の境界の稜線部と後端面Saとが線接触する。
【0043】
ところで、プリンタ部12又はスキャナ部13のメンテナンス等を行う場合、スキャナ部13は、シャフト31を中心に回動させられ、開放される。
【0044】
このとき、前記ストッパ24は、スキャナ部13と一体的に回動させられ、被案内部42及び第4の縁部e4は、サポート部43の外側においてサポート面38に当接させられ、サポート面38と摺動させられる。したがって、ストッパ24がシャフト36を中心にして回動するのが規制されるので、スキャナ部13を回動させ、開放する間、ドキュメントカバー26がスキャナ部13に対して回動し、開放されることがない。
【0045】
この場合、スキャナ部13を開放する際のストッパ24の回動軌跡を図12に示す。スキャナ部13を10〔°〕回動させると、被案内部42がサポート面38との接触を開始し、ドキュメントカバー26の開放を阻止する(なお、スキャナ部13の回動が10〔°〕未満である場合、ドキュメントカバー26が重力で開放されることはない。)。そして、スキャナ部13を更に開放し続けた場合、被案内部42及び第4の縁部e4は、サポート面38に接触し、摺動させられて円Sに沿って移動する。スキャナ部13を最大限開放したときのスキャナ部13の傾き(スキャナ部13の下面とステイ12aとが成す角度)をFとすると、前記ストッパ24は角度Fだけ回動させられる。本技術の形態において、角度Fは65〔°〕にされる。なお、スキャナ部13は最大限開放されると、図示されないストッパによって回動が規制される。
【0046】
図12において、Qはスキャナ部13を回動させたときの被案内部42の軌跡を表す円である。円Sの半径をrsとし、円Qの半径をrqとすると、
rq>rs
にされる。なお、本技術の形態において、半径rqは22.6〔mm〕にされ、半径rsは12.4〔mm〕にされる。
【0047】
このように、本技術の形態においては、スキャナ部13を回動させるときに、ストッパ24がスキャナ部13の回動に伴って回動させられ、ドキュメントカバー26の回動を規制するので、ドキュメントカバー26が開くことがない。したがって、ドキュメントカバー26が破損するのを防止することができるだけでなく、原稿が落下することがない。
【0048】
また、ストッパ24は、スキャナ部13の回動に伴ってドキュメントカバー26の回動を規制するので、手動で操作する必要がなく、複合装置11の操作性を向上させることができる。
【0049】
次に、本発明の説明の前提となる第2の技術の形態について説明する。なお、第1の技術の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同技術の形態の効果を援用する。
【0050】
図13は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の要部を示す部分断面図である。
【0051】
図において、51は、第2の画像処理部としての、かつ、画像読取部としてのスキャナ部13の後方に配設され、ドキュメントカバー26の回動を規制する規制部材としてのストッパであり、該ストッパ51は、シャフト36によって、ドキュメントカバー26と同じ方向に揺動自在に支持される。
【0052】
前記ストッパ51は、頂壁51a、該頂壁51aの両端から下方に延びる側壁51b、51c(側壁51bは、図8の側壁24bと同様に図の手前側にあり、図13においては示されていない。)、及び前記頂壁51aの後縁から斜め下方に延び、各側壁51b、51cの後縁を連結する後壁51dを備える。前記各側壁51b、51cは、上端から下方に垂直に延びる第1の縁部e1、該第1の縁部e1の下端よりわずかに後方から下方に垂直に延びる第2の縁部e2、該第2の縁部e2の下端から斜め後方に直線状に延びる第3の縁部e3、及び第3の縁部e3の下端から斜め後方に湾曲して弧状に延びる第4の縁部e4を備える。また、前記頂壁51aの前端に当接部52が、後壁51dの下端に被案内部53が形成される。さらに、前記後壁51dの下端の近傍に、外方に向けて開口する凹部55が形成され、該凹部55によって縁部54が形成される。前記被案内部53及び縁部54は、シャフト36を中心とした同じ円R上に配設される。
【0053】
そして、スキャナ部13が回動させられると、ストッパ51が一体的に回動させられ、前記被案内部53及び第4の縁部e4は、第1の案内面としてのサポート面38に沿って摺動して移動する。そのために、前記サポート面38及び第4の縁部e4は、前記円S(図1)の形状に対応させて弧状に形成される。なお、前記サポート部43の上面には、凹面から成る第2の案内面としての対向面39が形成され、該対向面39は弧状に形成される。この場合、前記凹部55内にサポート部43を収容することができるように、対向面39の周方向長さは、第1の技術の形態より短くされる。また、前記対向面39は、前記円Rと共通の中心を備え、同心円状に形成され、円Rとの間に環状の間隙CL2が形成される。
【0054】
この場合、スキャナ部13が回動させられるのに伴って、被案内部53がサポート面38に沿って摺動して移動するので、ストッパ51が回動しない。したがって、スキャナ部13を回動させる際にドキュメントカバー26が回動し、開かれるのを防止することができる。
【0055】
また、図に示されるように、プリンタ部12に対してスキャナ部13が閉鎖位置を採り、スキャナ部13に対してドキュメントカバー26が閉鎖位置を採る状態で、被案内部53とサポート部43との間に、1.0〔mm〕〜1.5〔mm〕の間隙CL1((図1)が形成される。
【0056】
次に、前記構成の複合装置11の動作について説明する。
【0057】
図14は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の動作を示す第1の図、図15は本発明の説明の前提となる第2の技術の形態における複合装置の動作を示す第2の図である。
【0058】
図14は、画像処理媒体としての、一般的にブック原稿といわれる厚手の原稿61を、第2の画像処理部としての、かつ、画像読取部としてのスキャナ部13のフラットベッド25にセットしてドキュメントカバー26を閉じた状態を示す。前記原稿61をフラットベッド25にセットした場合、ドキュメントカバー26を完全に閉鎖することができず、このとき、ドキュメントカバー26の下面と原稿読取面28とが成す角度をGとすると、規制部材としてのストッパ51は、シャフト36を中心にして回動し、第1の縁部e1と後端面Saとが成す角度もGになる。
【0059】
そして、ストッパ51の回動に伴い、被案内部53は、円R(図13)上を移動し、サポート部43より内側(スキャナ部13側)の位置に置かれる。
【0060】
次に、原稿61を、スキャナ部13のフラットベッド25にセットしてドキュメントカバー26を閉鎖した状態のまま、スキャナ部13を回動させて開放すると、図15に示されるように、凹部55内に案内部としての、かつ、押え部としてのサポート部43が進入させられ、凹部55の内周面がサポート面38に当接させられる。したがって、ストッパ51のそれ以上の回動が規制され、ドキュメントカバー26が更に回動して開放されるのを防止することができる。
【0061】
なお、本技術の形態においては、凹部55が一つだけ形成されるようになっているが、二つ以上形成することができる。その場合、ストッパ51の回動を複数箇所で阻止することができる。したがって、原稿61の厚さが異なっても、原稿61を、スキャナ部13のフラットベッド25にセットしてドキュメントカバー26を閉鎖した状態のまま、スキャナ部13を回動させて開放することができる。
【0062】
このように、本技術の形態においては、原稿61を、スキャナ部13のフラットベッド25にセットしてドキュメントカバー26を閉鎖した状態のまま、スキャナ部13を回動させて開放したときに、ドキュメントカバー26の回動を規制することができるので、ドキュメントカバー26が開くことがない。したがって、ドキュメントカバー26が破損するのを防止することができるだけでなく、原稿が落下することがない。
【0063】
次に、本発明の実施の形態について説明する。なお、第1の技術の形態と同じ構造を有するものについては説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同技術の形態の効果を援用する。
【0064】
図16は本発明の実施の形態における複合装置の正面図、図17は本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第1の図、図18は本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第2の図、図19は本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第3の図、図20は本発明の実施の形態における位置固定レバーの動作を示す第1の図、図21は本発明の実施の形態における複合装置の動作を示す第4の図、図22は本発明の実施の形態における位置固定レバーの動作を示す第2の図である。
【0065】
図において、11は複合装置であり、該複合装置11は、第1の画像処理部としての、かつ、画像形成部としてのプリンタ部12、及び第2の画像処理部としての、かつ、画像読取部としてのスキャナ部13を備え、前記プリンタ部12は、スキャナ部13をプリンタ部12上に搭載するための接続部材としてのトップカバー71を備える。該トップカバー71は、シャフト91を中心に揺動自在に配設され、トップカバー71を閉鎖位置に置くと、スキャナ部13は実線で示される閉鎖位置に置かれ、トップカバー71を開放位置に置くと、スキャナ部13は破線で示される開放位置に置かれる。
【0066】
74はストッパユニットであり、図16に示される複合装置11の手前側を正面としたときに、該ストッパユニット74は、複合装置11の図16における左側面に、すなわち、トップカバー71の揺動中心であるシャフト91及びドキュメントカバー26の揺動中心であるシャフト32(図17)が配設される側に固定される。そして、前記ストッパユニット74は、規制部材としてのおもりユニット76及び該おもりユニット76を包囲する外装部材86を備える。前記おもりユニット76は、おもり部77及び該おもり部77を支持するおもり支持部78を備え、該おもり支持部78は、前記外装部材86に対して、回転軸82を揺動中心にして揺動自在に配設される。そして、前記おもり支持部78の一方(上方)の端部に、突起から成る係止部78aが形成される。
【0067】
また、79はドキュメントカバー26の下部に取り付けられた被係止部としての位置固定レバーであり、該位置固定レバー79に第1、第2のレバー部79a、79bが突出させて形成され、該第1、第2のレバー部79a、79b間に凹部81が形成される。そして、ドキュメントカバー26はシャフト32を揺動中心にして、スキャナ部13に対して揺動自在に配設される。
【0068】
なお、前記おもりユニット76及び位置固定レバー79によって回動規制部が構成される。
【0069】
次に、前記構成の複合装置11の動作について説明する。
【0070】
図17に示されるように、スキャナ部13及びドキュメントカバー26が閉鎖されている状態(スキャナ部13が閉鎖されている場合、トップカバー71も閉鎖されている。)において、おもりユニット76は第1の状態に置かれ、この状態から、図18に示されるように、スキャナ部13が閉鎖されたまま、ドキュメントカバー26が回動させられ、開放される場合、位置固定レバー79はドキュメントカバー26と一体的に係止部78aと接触することなく、回動させられる。このように、スキャナ部13及びトップカバー71が閉鎖されている場合、ドキュメントカバー26の回動が許容され、ドキュメントカバー26を開放することができる。
【0071】
そして、ドキュメントカバー26が閉鎖された状態でトップカバー71を回動させ、開放していくと、図19に示されるように、スキャナ部13は回動し、傾斜させられる。このとき、スキャナ部13の回動に伴って、おもりユニット76は、おもり部77が回動軸82の重力方向下方(鉛直方向下方)に位置するように回動する。それに伴って、おもりユニット76は第2の状態に置かれ、係止部78aが位置固定レバー79に近接する。
【0072】
そして、トップカバー71を更に回動させ、開放すると、図21及び22に示されるように、スキャナ部13は更に回動し、傾斜させられる。このとき、おもりユニット76は、おもり部77が回動軸82の重力方向下方に位置するように更に回動する。それに伴って、係止部78aが、回動軸82を回動中心にして更に移動し、位置固定レバー79の下方に位置させられる。例えば、スキャナ部13において、本等の厚い原稿を本体部としてのフラットベッド25にセットした状態のまま、スキャナ13を回動させ、開放しようとすると、図20において破線で示されるように、前記凹部81に係止部78aが進入するので、ドキュメントカバー26の回動を規制することができる。
【0073】
その結果、おもり支持部78によってドキュメントカバー26の回転が規制される。
【0074】
このように、本実施の形態においては、原稿を、スキャナ部13のフラットベッド25にセットしてドキュメントカバー26を閉鎖した状態のまま、スキャナ部13を回動させて開放したときに、位置固定レバー79の第1のレバー部79aによってドキュメントカバー26の回動を規制することができるので、ドキュメントカバー26が開放されることがない。
【0075】
また、スキャナ部13を大きく開放したときに、位置固定レバー79の第2のレバー部79bによってドキュメントカバー26の回動を規制することができるので、ドキュメントカバー26が開放されることがない。
【0076】
したがって、ドキュメントカバー26が破損するのを防止することができるだけでなく、原稿が落下することがない。
【0077】
前記各技術の形態及び実施の形態においては、プリンタ部12の上にスキャナ部13を配設した複合装置11について説明したが、本発明を、プリンタ以外の複写機、ファクシミリ等の画像形成部の上にスキャナ部を配設した複合装置に適用したり、原稿読取部の上に画像形成部を配設した複合装置に適用したりすることができる。
【0078】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0079】
11 複合装置
12 プリンタ部
13 スキャナ部
24、51 ストッパ
25 フラットベッド
26 ドキュメントカバー
76 おもりユニット
78a 係止部
79 位置固定レバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)第1の画像処理部と、
(b)該第1の画像処理部の上に、第1の画像処理部に対して揺動自在に配設され、本体部、及び該本体部に対して揺動自在に配設された蓋体を備えた第2の画像処理部とを有するとともに、
(c)前記蓋体に被係止部が形成され、
(d)前記本体部に規制部材が揺動自在に配設され、
(e)該規制部材は、第2の画像処理部の回動に伴って、重力の作用で前記被係止部と選択的に係止させられる係止部を備えることを特徴とする複合装置。
【請求項2】
前記蓋体は、本体部が第1の画像処理部に対して閉鎖位置を採る状態で、前記被係止部と係止部とを係止させることなく、本体部に対して回動させられる請求項1に記載の複合装置。
【請求項3】
前記被係止部は、前記蓋体の揺動中心に隣接させて形成される請求項1に記載の複合装置。
【請求項4】
(a)前記第1の画像処理部は画像形成部であり、
(b)前記第2の画像処理部は画像読取部である請求項1に記載の複合装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2010−20353(P2010−20353A)
【公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248027(P2009−248027)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【分割の表示】特願2006−340335(P2006−340335)の分割
【原出願日】平成18年12月18日(2006.12.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】