説明

複合部材の製造方法

【課題】複合部材を迅速かつ安価に製造される結合方法を提供すること。
【解決手段】複合部材3の製造方法であって、該複合部材3を、粉状材料7を圧縮した少なくとも1つの粉末冶金部材2と、少なくとも1つの中実体1を備えるよう構成し、前記粉状材料7を、プレス機におけるプレス工具5の加工空間部6内で粉末冶金部材2となるよう圧縮し、これと同じプレス機の加工工程において前記中実体1を少なくとも部分的に前記加工空間部6へ導入して1つの加工工程において当該複合部材3を製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合材料の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には未完成品からカム板を成型し、焼結させることが記載されており、結合要素が焼結部に結合されるよう、該結合要素を焼結前に未完成品に埋設し共に焼結させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−144212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的とするところは、複合部材を迅速かつ安価に製造される結合方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、請求項1記載の製造方法、請求項9記載のプレス機、請求項13記載のプレス機の使用方法、請求項14のコンピュータプログラム製品及び請求項20の複合部材によって達成される。
【0006】
本発明による複合部材の製造方法は、該複合部材を、粉状材料を圧縮した少なくとも1つの粉末冶金部材と、少なくとも1つの中実体を備えるよう構成し、前記粉状材料を、プレス機におけるプレス工具の加工空間部内で粉末冶金部材となるよう圧縮し、これと同じプレス機の加工工程において前記中実体を少なくとも部分的に前記加工空間部へ導入して1つの加工工程において当該複合部材を製造することを特徴としている。ここで、粉末材料とは、特に粉末金属を意味している。さらに、中実体には、金属材料又はセラミックス材料が含まれ得る。例えば、この中実体は、鋳造、引抜き、焼結、圧延、鍛造及び/又は押出し(特に引抜き)による材料を有している。また、プレス機の加工工程には作動ストロークと復帰ストロークが含まれ、プレス機は、作動ストローク中に互いに一緒になり、復帰ストロークにおいて再び互いに離間するようになっている。場合によっては加工工程に動作停止時間を含めてもよく、この場合、プレス機又はその工具が作動ストロークと復帰ストロークの間で所定時間だけ所定位置に維持されることになる。
【0007】
本発明の一実施形態は、前記加工工程における第1ステップにおいて前記中実体を前記加工空間部における前記粉状材料へ供給し、第2ステップにおいて前記粉状材料を前記粉末冶金部材となるよう圧縮することを特徴としている。また、本発明の他の実施形態は、前記加工工程における第1ステップにおいて前記加工空間部における前記粉状材料を前記粉末冶金部材となるよう圧縮し、第2ステップにおいて前記中実体を前記加工空間部における前記粉末冶金部材へ供給することを特徴としている。このとき、前記中実体を前記加工空間部へ供給する一方、前記粉状材料を前記粉末冶金部材となるよう圧縮するのが好ましい。
【0008】
以下、「未完成品」とは、粉状材料を圧縮して形成された、焼結されていない粉末冶金部材を意味する。また、「粉末冶金部材」とは、一般的に、未完成品、焼結品及び/又は焼結部材を意味する。
【0009】
例えば、中実体及び粉状材料を同様の合金で構成することが考えられる。また、他の実施形態においては、中実体及び粉状材料が互いに異なる合金で構成されている。特に、粉状材料が金属粉となっている一方、中実体が非金属材料(例えばセラミックス)を含んだ構成となっている。さらに、他の実施形態においては、粉状材料がセラミックス製の粉となっている一方、中実体がセラミックス製又は非セラミックス製となっている。したがって、粉末冶金部材とは、特に金属材料を含まない、非金属部材ということもできる。さらに、本発明の一実施形態においては、中実体及び粉状材料が様々な金属合金又はセラミックス合金を備えるものとなっている。ここで、「合金」とは、金属合金又はセラミックス合金及び純粋な金属又はセラミックスを意味している。
【0010】
さらに、本発明の一実施形態は、中実体が加工工程後に粉末冶金部材あるいは未完成品の表面部から突出するよう、中実体を加工空間部へ移動させることを特徴としている。また、本発明の他の実施形態においては、中実体が粉末冶金部材における少なくとも1つの表面部において結合するようになっている。特に、本発明の一実施形態においては、中実体が粉末冶金部材における表面部から突出するようになっている。また、本発明の他の実施形態においては、中実体が粉末冶金部材の表面部の下方において結合されるようになっている。この突出部の長さ及び下方への深さは、約0.001mm〜約15mmであり、他の実施形態では約20cmまでとなっている。
【0011】
本発明の一実施形態においては、中実体が特にプレス機への導入前に表面処理されている。特に、表面部の少なくとも一部において表面粗さが高められる。特に、中実体は、少なくともその表面部の一部にわたってRz(十点平均粗さ)=1μm〜63μmを有している。ここで、表面粗さとは、DIN4760(ドイツ工業規格)に基づく3〜5等級の形状差を意味している。特に、中実体の表面部における少なくとも一部を酸化させるか、又は変換層でめっきする(例えばさび止めのための褐色化やリン酸塩処理)のが好ましい。
【0012】
また、本発明の一実施形態においては、特に金属製の中実体上に蒸着処理によって金属酸化層を形成するようになっている。これは、特に500〜570℃の温度においてなされる。このような中実体の蒸着処理は、少なくとも10分間、特に少なくとも30分間行うのが望ましい。さらに、酸化層の厚さが少なくとも2μmとなるようにするのが好ましい。これにより、粉状材料の粒子がより良好に中実体の表面部に付着することができるようになる。さらに、この酸化層によれば、当該酸化層が焼結処理時に減少し、粉状材料の粒子と中実体の間の焼結性が高められることになる。また、本発明の他の実施形態においては、表面部が例えば切削加工、研削加工などの機械加工により粗面化されるようになっている。なお、表面部を研磨して滑面としてもよい。
【0013】
ところで、複合部材を更なる処理ステップへ導入するために、複合部材は、例えばプレス機から取り出した後に焼結処理及び/又は予焼結処理される。本発明の一実施形態においては、複合材料が焼結鍛造されるようになっている。
【0014】
また、本発明の他の概念は、複合部材を圧縮及び結合するためのプレス機であって、加工空間部を形成可能な少なくとも1つの工具と、少なくとも1つのプレス型押し機と、少なくとも1つの結合型押し機を備えることを特徴とするプレス機を含むものである。一実施形態において、このプレス機は、少なくとも1つの移動型押し機を更に備えている。特に、粉状材料を加工空間部へ供給し、この加工空間部においてプレス型押し機によって粉状材料から粉末冶金部材(未完成品)を圧縮形成することが可能である。さらに、結合型押し機及び/又は移動型押し機によって、中実体が加工空間部へ移動される。特に、中実体は、少なくとも部分的に粉状材料又は粉末冶金部材(未完成品)へ供給され、移動型押し機によって、加工空間部内で結合空間を保持するようになっている。なお、この結合空間には、中実体が特に結合型押し機によって移動されるようになっている。特に、この結合空間は、少なくとも部分的に加工空間部に収容された粉状部材を画成するものとなっている。
【0015】
本発明の一実施形態において、このプレス機は制御装置を備えており、この制御装置は、中実体の加工空間部への移動を制御するものとなっている。特に、この制御装置ではコンピュータプログラムが実行され、移動型押し機は、当該移動型押し機が加工空間部において結合空間を保持するよう制御されるようになっている。なお、この結合空間は粉状材料によって、少なくとも部分的に充填され、この結合空間には、中実体が結合型押し機及び/又は移動型押し機によって移動されるようになっている。また、結合空間を充填する粉状材料は、特にちょうど結合型押し機において少なくとも部分的に、すなわち結合空間において境を接している。特に、中実体が結合空間へ移動される場合、粉状材料は、少なくとも部分的に、特に中実体でふさがれていない結合空間に充填されるようになっている。また、本発明の他の実施形態においては、中実体が結合型押し機によって粉状材料へ収容されるようになっており、中実体は、粉状材料へ埋入される際に粉状材料を押しのけるようになっている。このような実施形態においては、結合空間を空けておくための移動型押し機は不要である。
【0016】
本発明における概念は、更に上述の方法のための上述のプレス機の使用方法も含むものである。
【0017】
さらに、本発明における概念は、更に、1つの工具を有するプレス機のためのコンピュータプログラム製品であって、前記工具が加工空間部と、少なくとも1つのプレス型押し機と、少なくとも1つの結合型押し機とを備え、当該コンピュータプログラム製品において、前記結合型押し機により中実体が少なくとも部分的に粉状材料で充填された加工空間部へ移動されるよう前記結合型押し機が制御される方法を実行するよう構成したことを特徴とするコンピュータプログラム製品も含むものである。第1の実施形態においては、移動型押し機が加工空間部において結合空間を保持するよう当該移動型押し機を制御するものとなっている。なお、この結合空間は特に圧縮される粉状材料を少なくとも部分的に収容するものであるとともに、この結合空間には中実体が結合型押し機によって移動されてくるようになっている。
【0018】
また、本発明の他の実施形態においては、粉状材料が粉末冶金部材(未完成品)へと圧縮されるよう、中空体の結合空間への移動後にプレス型押し機が制御されるようになっている。また、本発明の他の実施形態においては、粉状材料が粉末冶金部材(未完成品)へと圧縮されるよう、中空体の結合空間への移動前にプレス型押し機が制御されるようになっている。特に、コンピュータプログラム製品は、圧縮工程及び結合工程を同時に制御するものとなっている。ここで、「制御」とは、フィードバック制御及び非フィードバック制御のいずれをも含むものを意味している。
【0019】
特に、結合型押し機及び/又は移動型押し機は、経路制御されるようになっている。また、本発明の一実施形態においては、プレス型押し機が所定の力又は所定の仕事を粉状材料へ負荷するようになっている。この所定値は、例えばプレス機のユーザ又は調整員が特に未完成品あるいは複合未完成品が有すべき特性に応じて決定される。さらに、本発明の他の実施形態においては、プレス型押し機の経路制御が行われる。
【0020】
また、本発明における概念は、更に、粉状材料を圧縮して成る少なくとも1つの粉末冶金部材と、少なくとも1つの中実体とで構成したことを特徴とする複合部材も含むものである。本発明の一実施形態は、前記粉末冶金部材と前記中実体を同様の合金を備えるよう形成したことを特徴としている。また、焼結時に、前記粉末冶金部材が前記中実体と同様の収縮性を有することが望ましい。なお、通常、焼結中に中実体が収縮することはない。
【0021】
さらに、本発明の一実施形態においては、焼結時の粉末冶金部材の収縮が中実体の収縮よりも大きくなるようになっている。このとき、粉末冶金部材が中実体と嵌合するのが好ましい。さらに、焼結時に、中実体が粉末冶金部材と結合(溶着)されるよう構成するのが好ましく、特にこれらの境界部で焼結されるのが望ましい。また、本発明の一実施形態は、中実体と粉末冶金部材が互いに嵌合するよう構成したことを特徴としている。特に、中実体はネジを備えており、このネジは、雌ネジ又は雄ネジとして形成されている。そのため、焼結が完了した複合部材は、他の加工工程を経ることなくネジを備えることになる。
【0022】
また、本発明の他の実施形態においては、中実体を様々な形状に形成することが考えられる。すなわち、中実体を、例えば薄板、ピン、ボルト、ほぞ、軸、ナット、キー及び軸受のうち少なくともいずれかとして形成することが考えられる。各形状は、粉状材料又は粉末冶金部材へ供給するのに適したものとなっている。さらに、本発明の一実施形態においては、複数の中実体が1つの複合部材に配置されている。また、他の実施形態においては、少なくとも1つの中実体が1つより多くの粉末冶金部材に配置されているとともにこれに結合されている。
【0023】
上述の各実施形態においては、本発明による製造及び焼結された複合部材は、特に好ましい追加部材である中実体の利点と、焼結部材の利点とを有している。以下に示す実施形態によって複合材料が製造されれば、製造コストが大幅に削減されるとともに、中実体と粉末冶金部材の間の結合の信頼性も、不都合に挿入された中実体における従来の方法に比して大幅に向上する。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、複合部材を迅速かつ安価に製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】圧縮中における中実体の粉状材料への導入過程を概略的に示す図である。
【図2】圧縮後における中実体の粉状材料への導入過程を概略的に示す図である。
【図3】設置されたボルトピンのカット面を示す図である。
【図4】設置されたスチールピンのカット面を示す図である。
【図5】複合部材の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、以下に示す各特徴及び上述の特徴を組み合わせることが可能である。さらに、図面に示す符号についても、本発明の範囲を制限するものではなく、単に実施形態について示されているものにすぎない。また、同様の部材又は同様の機能を有する部材については、同様の符号を付して示している。
【0027】
図1にはステップA〜Dが示されており、ここでは、複合部材3を形成するために中実体1が粉末冶金部材2に結合される。ステップAにおいては、中実体1が特に自動送り装置4によってプレス機のプレス工具5へ導入されるようになっている。なお、このプレス機について、図が煩雑になるのを避けるため、ここでは簡略化してプレス工具5として示されている。また、プレス工具5の加工空間部6には、粉状材料7が充填されている。そして、移動型押し機8.1には加工空間部6において結合空間部9が形成されており、この結合空間部9は、粉状材料7によって少なくとも部分的に充填されている。
【0028】
ステップBでは、第1プレス型押し機10.1及び第2プレス型押し機10.2が互いが近接するよう移動し、粉状材料7がプレスされる。さらに、これと同時に、中実体1が移動型押し機8.1及び結合型押し機8.2により粉状材料7へ移動される。特に、中実体1を保持するために、移動型押し機8.1及び結合型押し機8.2による圧力が中実体1へ負荷される。中実体1がこの圧力によって可塑変形しないのが望ましく、特に、この圧力によって、中実体1にその力方向の延びの0.5%以上の可塑変形を生じさせないようにするのが好ましい。
【0029】
図1におけるステップCでは、中実体1の移動及び粉状部材7の圧縮による焼結されていない粉末冶金部材(以下「未完成品」ともいう。)2の形成が完了する。ここで、粉状材料7の移動及び/又は圧縮は、工程制御部によって制御されている。
【0030】
図1におけるステップDでは、完成した複合部材3が型から取り外される。そして、この複合部材3には、後のステップにおいて処理又は焼結がなされる。特に、焼結された複合部材は、少なくとも部分的にキャリブレーションされる。
【0031】
ところで、ステップBすなわち中実体1を粉状材料7へ移動する際に、粉状材料7を全く圧縮しないか、又はわずかにのみ圧縮することも考えられる。ここで、わずかな圧縮とは、未完成品2の目標密度の約80%より小さく、特に約60%より小さくなるような圧縮をいう。
【0032】
図2には複合部材3を形成するための他の形態が示されており、ここでは、第1のステップEにおいて中実体1がプレス工具5へ導入されるとともに、加工空間部6へ粉状材料7が充填される。
【0033】
第2のステップFでは、粉状材料7が未完成品2へ圧縮され、特にこの粉状材料7は、目標密度の約60〜100%まで圧縮される。さらに、中実体1が未完成品2へ移動され、1つの仕上げ過程において未完成品2の圧縮が中断される。そして、他の仕上げ過程において、未完成品2の圧縮中又は未完成品の所望の圧縮後に中実体1の供給がなされるようになっている。
【0034】
ステップGにおいては、ステップFで未完成品2の最終的な圧縮が行われていない場合には、この未完成品2の最終的な圧縮が行われる。さらに、中実体1の未完成品2への移動が終了する。完成した複合部材3は、最終ステップHにおいて、例えば移動型押し機8.1によって複合部材3を加工空間部6から押し出すことによって型から取り外される。また、他の仕上げ工程においては、第1プレス型押し機10.1が複合部材3を加工空間部6から搬送するようになっている。さらに、他の形態においては、加工空間部6を画成するプレス型11は、複合部材3が解放されてプレス機から取り出されるよう摺動するようになっている。
【0035】
図3には焼結された複合部材3のエッチングしたカット面が示されており、この複合部材3は、粉末冶金部材2を圧縮するために、さび止めのために褐色化された止めネジ12を備えている。なお、この止めネジ12は、結合前には研磨(ブラスティング)されていない。また、未完成品2の圧縮過程により、粉状材料7が止めネジ12のネジ穴へ圧入され、これにより、止めネジ12と粉末冶金部材2の間の形状の固定された結合が形成される。
【0036】
図4には、粉末冶金部材2へ圧入されたスチールピン13のカット面が示されている。ここで、複合部材3は、1250℃において焼結されている。なお、微細に広がる焼結部は認識することができないが、このような結合様式により粉末冶金部材2とスチールピン13の間の卓越した機械的な接触が達成されている。
【0037】
図5には、複合部材3の仕上げ過程が概略的に示されている。なお、本発明は、この仕上げ過程に限定されるものではない。特に、中実体1及び/又は粉末冶金部材2の幾何形状を図5の仕上げ工程において示すものと異なるものとすることが考えられる。また、各仕上げ工程の上側断面図は、複合部材3の直径Dで切断した切断面を示している。
【0038】
仕上げ工程Iには、中実体1が粉末冶金部材2から突出している状態が示されている。ここで、仕上げ工程Jに示すように、中実体1は、その両側で粉末冶金部材2から突出している。また、仕上げ工程Kには、3つの中実体1を有する複合部材3が示されている。ただし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の形態において2つの中実体1を有するほうがむしろ好ましいこともあるし、3つより多くの中実体1を有するほうが好ましい場合もある。
【0039】
仕上げ工程Lには止めネジ12が示されており、この止めネジ12は、粉末冶金部材2に圧入されている。仕上げ工程Mにはナット14が粉末冶金部材2に収容された状態が示されており、特に、雌ネジを備えつつ適宜の幾何形状を有する中実体1が粉末冶金部材2に収容されている。ここで、例えば六角ナットなどの一般的に流通したナットを粉末冶金部材2に収容するのが好ましい。
【0040】
仕上げ工程Nには、粉末冶金部材2に圧入されたポンチ部15が示されている。ここで、他の形態として、粉末冶金部材2に鋳造、鍛造又は焼結された中実体1を収容することも考えられる。
【0041】
仕上げ工程Oには、中実体1が粉末冶金部材2の表面部16から未完成品2の圧縮方向に対して垂直に突出した状態の複合部材3が示されている。また、仕上げ工程Pでは、2つの粉末冶金部材2が1つの加工工程において圧縮されて少なくとも1つの中実体1によって結合されることが示されている。
【0042】
仕上げ工程Qには、中実体1が粉末冶金部材2を完全に貫通していない状態の複合部材3が示されている。ここで、このような状態は、結合空間を空けずに中実体1を粉状材料に移動することで達成されている。そのため、中実体1は、結合時に粉状材料を押しのけるようになっている。また、ここでは図示していない仕上げ工程においては、粉状材料の押しのけを容易にするために、粉状材料へ挿入される中実体1における少なくとも1つの端部17において少なくとも部分的に先細状に形成されている。
【0043】
特に、図5において例示した複合部材の仕上げ工程は、互いに、又は上述の各仕上げ工程と組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0044】
1 中実体
2 粉末冶金部材(未完成品)
3 複合部材
4 送り装置
5 プレス工具
6 加工空間部
7 粉状材料
8.1 移動型押し機
8.2 結合型押し機
9 結合空間部
10.1 第1プレス型押し機
10.2 第2プレス型押し機
11 プレス型
12 止めネジ
13 スチールピン
14 ナット
15 ポンチ部
16 表面部
17 端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合部材(3)の製造方法であって、該複合部材(3)を、粉状材料(7)を圧縮した少なくとも1つの粉末冶金部材(2)と、少なくとも1つの中実体(1)を備えるよう構成し、前記粉状材料(7)を、プレス機におけるプレス工具(5)の加工空間部(6)内で粉末冶金部材(2)となるよう圧縮し、これと同じプレス機の加工工程において前記中実体(1)を少なくとも部分的に前記加工空間部(6)へ導入して1つの加工工程において当該複合部材(3)を製造することを特徴とする製造方法。
【請求項2】
前記加工工程における第1ステップにおいて前記中実体(1)を前記加工空間部(6)における前記粉状材料(7)へ供給し、第2ステップにおいて前記粉状材料(7)を前記粉末冶金部材(2)となるよう圧縮することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記加工工程における第1ステップにおいて前記加工空間部(6)における前記粉状材料(7)を前記粉末冶金部材(2)となるよう圧縮し、第2ステップにおいて前記中実体(1)を前記加工空間部(6)における前記粉末冶金部材(2)へ供給することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項4】
前記中実体(1)を前記加工空間部(6)へ供給する一方、前記粉状材料(7)を前記粉末冶金部材(2)となるよう圧縮することを特徴とする請求項1記載の製造方法。
【請求項5】
前記中実体(1)が加工工程後に前記粉末冶金部材(2)の表面部(16)から突出するよう、前記中実体(1)を前記加工空間部(6)へ移動させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項6】
前記中実体(1)を、その前記プレス機への導入前に表面処理することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項7】
前記複合部材(3)を焼結させたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法。
【請求項8】
複合部材(3)を圧縮及び結合するためのプレス機(20)であって、加工空間部(6)を形成可能な少なくとも1つの工具(5)と、少なくとも1つのプレス型押し機(10)と、少なくとも1つの結合型押し機(8.2)を備える構成としたことを特徴とするプレス機。
【請求項9】
前記加工空間部(6)内において、前記プレス型押し機(10)によって粉末材料(7)を粉末冶金部材(2)へ圧縮可能に構成したことを特徴とする請求項8記載のプレス機。
【請求項10】
少なくとも1つの前記結合型押し機(8.2)及び/又は移動型押し機(8.1)によって中実体(1)を前記加工空間部(6)へ移動可能に構成したことを特徴とする請求項8又は9記載のプレス機。
【請求項11】
前記結合型押し機(8.2)により、前記加工空間部(6)に結合空間部(9)を形成可能とし、該結合空間部(9)内に前記中実体(1)を移動させるよう構成したことを特徴とする請求項8〜10のいずれか1項に記載のプレス機。
【請求項12】
制御装置を設け、該制御装置により前記中実体(1)の前記加工空間部(6)への少なくとも1つの移動を制御するよう構成したことを特徴とする請求項8〜11のいずれか1項に記載のプレス機。
【請求項13】
請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法に請求項8〜12のいずれかに記載のプレス機を使用することを特徴とする使用方法。
【請求項14】
1つの工具(5)を有するプレス機(20)のためのコンピュータプログラム製品であって、前記工具(5)が加工空間部(6)と、少なくとも1つのプレス型押し機(10)と、少なくとも1つの結合型押し機(8.2)とを備え、当該コンピュータプログラム製品において、前記結合型押し機(8.2)により中実体(1)が少なくとも部分的に粉状材料(7)で充填された加工空間部(6)へ移動されるよう前記結合型押し機(8.2)が制御される方法を実行するよう構成したことを特徴とするコンピュータプログラム製品。
【請求項15】
移動型押し機(8.1)が、前記加工空間部(6)において粉状材料(7)により少なくとも部分的に充填された結合空間部(9)を保持し、かつ、少なくとも前記結合型押し機(8.2)によって前記中実体(1)を前記結合空間部(9)へ移動させるよう当該移動型押し機(8.1)を制御するよう構成したことを特徴とする請求項14記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項16】
前記中実体(1)の前記加工空間部(6)又は前記結合空間部(9)への移動後に前記プレス型押し機(10)を制御し、前記粉状材料(7)を粉末冶金部材(2)へ圧縮するよう構成したことを特徴とする請求項14又は15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項17】
前記中実体(1)の前記結合空間部(9)への移動前に前記プレス型押し機(10)を制御し、前記粉状材料(7)を粉末冶金部材(2)へ圧縮するよう構成したことを特徴とする請求項15記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項18】
前記結合型押し機(8.2)及び/又は前記移動型押し機(8.1)を経路制御するよう構成したことを特徴とする請求項14〜17のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項19】
前記プレス型押し機(10)が所定の力又は所定の仕事を前記粉状材料(7)へ負荷するよう構成したことを特徴とする請求項14〜18のいずれか1項に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項20】
粉状材料(7)を圧縮して成る少なくとも1つの粉末冶金部材(2)と、少なくとも1つの中実体(1)とで構成したことを特徴とする複合部材。
【請求項21】
前記粉末冶金部材(2)と前記中実体(1)を同様の合金を備えるよう形成したことを特徴とする請求項20記載の複合部材。
【請求項22】
前記粉末冶金部材(2)と前記中実体(1)を互いに異なる合金を備えるよう形成したことを特徴とする請求項20又は21記載の複合部材。
【請求項23】
焼結時に、前記粉末冶金部材(2)が前記中実体(1)と同様の収縮性を有することを特徴とする請求項21又は22記載の複合材料。
【請求項24】
前記中実体(1)がネジを有していることを特徴とする請求項22又は23記載の複合材料。
【請求項25】
前記中実体(1)が焼結過程において前記粉末冶金部材(2)に結合されるよう形成したことを特徴とする請求項21〜24のいずれか1項に記載の複合部材。
【請求項26】
前記中実体(1)と前記粉末冶金部材(2)が互いに嵌合するよう構成したことを特徴とする請求項21〜25のいずれか1項に記載の複合部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−505359(P2013−505359A)
【公表日】平成25年2月14日(2013.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−530149(P2012−530149)
【出願日】平成22年9月8日(2010.9.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/005524
【国際公開番号】WO2011/035858
【国際公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【出願人】(506143986)ゲーカーエヌ・ジンター・メタルス・ホールディング・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング (3)
【Fターム(参考)】