説明

複数の核酸の並行定量分析の装置および方法

本発明は、リアルタイムPCRを実施する方法、および本発明の方法を実施する装置に関する。本発明は、特に、サンプル、例えば、生体サンプルに存在する核酸の同時の同定および定量化に適している。さらに、本発明は、非常に表面特異的な読出し装置と組み合わせた統合核酸マイクロアレイを使用することによって、単一の区画内で複数の核酸配列の同時定量分析を行う方法を記述する。本発明は、チャンバーの表面の一部、または反応チャンバー内で構築された表面(例えば、ビーズ表面)のいずれである表面が、捕捉プローブで被覆されており、同じチャンバーで、PCR反応が起こる装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアルタイムPCRを実施する方法、および本発明の方法を実施する装置に関する。本発明は、特に、サンプル、例えば、生体サンプルに存在する核酸の同時の同定および定量化に適している。
【0002】
さらに、本発明は、例えば、非常に表面特異的な読出し装置と組み合わせた統合核酸マイクロアレイを使用することによって、単一の区画内で複数の核酸配列の同時定量分析を行う方法に関する。
【0003】
本発明は、チャンバーの表面の一部、または反応チャンバー内で構築された表面(例えば、ビーズ表面)のいずれである表面が、捕捉プローブで被覆されており、同じチャンバーで、PCR反応が起こる装置に関する。
【0004】
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、特定の核酸配列を増幅させる方法である。PCRは、溶液中で起こる酵素反応である。増幅過程をリアルタイムにモニターするとき、PCRを定量分析に使用することができる。リアルタイムPCRは、インターカレート色素、Taqmanプローブ、Scorpionプライマー、分子ビーコンなどの、通常、蛍光リポーターを使用する。2つ以上の核酸標的配列が分析されるとき、2つのアプローチをとることができる。第1のアプローチは、反応を並行させること、すなわち、各反応を別々の区画で実行することである。第2のアプローチは、反応を多重化すること、すなわち、同じ区画で反応を実行すること、および反応ごとに異なるフルオロフォアリポーターを使用することである。本アプローチは、効率的に識別できるフルオロフォアの数によって制限される。現行の最先端技術では、6つの反応を多重化することができる。
【0005】
本発明の主題は、単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超える、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法である。
【0006】
本発明の主題は、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法であって、
前記複数の核酸配列に相補的な表面固定されたオリゴヌクレオチドプローブが、前記複数の増幅された核酸配列に対する捕捉プローブとして働き、
捕捉部位で捕捉された前記複数の増幅された核酸配列の検出が、表面に近接したシグナルを検出する表面特異的検出法によって実施される、同時リアルタイム定量的検出を行う方法である。
【0007】
本発明によれば、表面特異的検出は、表面特異的検出システムおよび/または検出されるシグナルの表面特異的発生のいずれかによって得られる。
【0008】
本発明の一実施形態は、プライマーが標識され、ハイブリッド形成された標識アンプリコンが、表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出システムによって検出される、本発明による増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。
【0009】
本発明の他の実施形態は、捕捉プローブがプローブの構造により極めて近接に蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、本発明による複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。
【0010】
本発明の他の特定の実施形態は、捕捉プローブが蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させる場合に、シグナルを検出し得る、複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。
【0011】
本発明の更に他の実施形態は、捕捉プローブが個々に同定可能なビーズに固定されている、本発明による複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。
【0012】
さらに、本発明の主題は、内部表面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画と、表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出システムとを含む、本発明による方法を実施する装置である。
【0013】
本発明の他の実施形態は、内部表面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画を含み、捕捉プローブが標識され、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、本発明による方法を実施する装置である。
【0014】
本発明の他の実施形態は、捕捉プローブが蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させた場合に、シグナルを検出し得る、本発明による方法を実施する装置である。
【0015】
本発明の更に他の実施形態は、個々に同定可能なビーズ有する区画を含み、複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブが前記の個々に同定可能なビーズに固定されている、本発明による方法を実施する装置である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】:(A)捕捉プローブ(DNAオリゴヌクレオチド)を有する容器が、標的テンプレートDNA、PCRプライマー(うち1つは標識されている)およびPCRマスターミックスを含む混合物で満たされている。(B)プライマーの1つがフルオロフォアを含有するので、PCR熱サイクル中に生成されるアンプリコンは蛍光標識される。(C)捕捉プローブの配列は、標識されたアンプリコン鎖の配列に相補的である。アンプリコンは、したがって、熱サイクルのアニーリングステージ中に捕捉プローブとハイブリッド形成することができる。
【図2】:同じ溶液中で複数の異なるアンプリコンの増幅をモニターすることができる捕捉スポットのアレイの概略図である。アレイの上の空間は、均一なPCR混合物で満たされている。アレイの使用は、高いPCRの多重化度を可能にする。
【図3】:捕捉プローブとハイブリッド形成した蛍光分子の量を測定する共焦点読取り装置の概略図である。捕捉表面の上の液体はフルオロフォアが充填されているが、捕捉表面の近くのフルオロフォアだけが検出される。
【図4】:不均一な冷却速度によるPCR熱サイクルの概略図である。2ステップサイクル(Td=変性温度;Tm=アニーリング温度)を示す(伸長温度で更に保持することで3ステップサイクルも可能である)。Td〜Tmへの冷却段階の最後の部分は、ゆっくりした速度で行われうる(青い円により示す)。このことは、プライマーの融解温度以上の融解温度で捕捉プローブが用いられるとき、プライマーのアニーリングおよび伸長が起こる前に、増幅された鎖が捕捉プローブとハイブリッド形成することを可能にする。
【図5】:ビーズアレイの概略図である。プライマー、テンプレートDNA、酵素およびdNTPs(図示せず)の他に、反応混合物は、捕捉プローブで被覆されたビーズも含有する。本図において、3つの異なる捕捉ビーズによる例を示す。捕捉ビーズ1は、捕捉プローブ1で被覆され、個々に同定可能なコード1(優先的にカラーコード、しかし、他のコード、例えば、サイズ、放射性またはバーコードも可能である)を含有する。捕捉プローブ1はアンプリコン1を捕捉することができるが、これは捕捉プローブ1がこのアンプリコンの一部に相補的な配列を有するからである。同様に、捕捉ビーズnは、個々に同定可能なコードnを含有し、アンプリコンnの一部に相補的である 捕捉プローブnで被覆されている。すべての捕捉ビーズは、反応液中に自由に分散して、アンプリコン捕捉率を増加させることができる。続いて、ビーズは、各ビーズを同定することができ、捕捉されたアンプリコン量を定量化することができる表面に、(例えば、(常)磁気ビーズの場合には磁気駆動によって、または非磁気ビーズの場合には誘電泳動によって)運ばれる可能性がある。
【0017】
本発明の主題は、単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超える、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法である。
【0018】
増幅は、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)、NASBA(核酸配列ベースの増幅)、TMA(転写媒介増幅)およびローリングサークル増幅を含む様々な酵素法によって実施してもよい。本発明に好適な酵素増幅法は、当業者に公知である。
【0019】
本発明の主題は、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法であって、
前記複数の核酸配列に相補的な表面固定されたオリゴヌクレオチドプローブが、前記複数の増幅された核酸配列に対する捕捉プローブとして働き、
捕捉部位に捕捉された前記複数の増幅された核酸配列の検出が、表面に近接したシグナルを検出する表面特異的検出法によって実施される、同時リアルタイム定量的検出を行う方法である。
【0020】
本発明によれば、表面特異的検出は、表面特異的検出システムおよび/または検出されるシグナルの表面特異的発生のいずれかによって得られる。
【0021】
本発明による増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う本発明の方法は、以下の
前記複数の核酸配列に対する複数の捕捉プローブで被覆されている表面を反応区画が含む、反応区画を有する装置を提供するステップと、
複数の標的核酸、および前記複数の標的核酸の増幅のための増幅プライマーを含む増幅混合物を区画に加えるステップと、
前記標的核酸の特定のセグメントが増幅され、それによってアンプリコンを生じさせる間に、増幅熱サイクリングを開始するステップとを含むことができ、
増幅反応のアニーリング段階の間に、一部のアンプリコンが捕捉プローブとハイブリッド形成し、
前記捕捉プローブとハイブリッド形成されるアンプリコンが特異的および定量的に検出され、検出されるそれぞれのシグナルが最初のそれぞれの標的核酸濃度を表し、それによって、複数の標的核酸配列が量的に検出される。
【0022】
以下の定義は、本発明のこの実施形態および他の実施形態に適用される。
【0023】
表面特定的検出は、捕捉されていないアンプリコン(例えば、捕捉プローブを有する表面上の液体に浮いている)による検出されたシグナルへの寄与が、実質的に抑制されるが(好ましくは少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍および更に好ましくは少なくとも1000倍抑制されることを意味する)、一方、捕捉されたアンプリコンによる検出されたシグナルへの寄与は(実質的に)抑制されないことを意味する。
【0024】
例として、500ミクロンの高さを有し、1マイクロモルの濃度の標識されたプライマーを含有する液体細胞の場合を考慮する。
【0025】
1)表面特異的検出なしでは、標識されたプライマーはμm2あたり約300000標識に相当する検出シグナルを生じる。μm2あたり10000捕捉プローブの捕捉プローブ密度では、最良の場合において、これにより1/30のシグナル対バックグラウンド比になるだろう。典型的ハイブリッド形成実験では、すべての捕捉されたプローブが標識されたアンプリコンに結合しているわけではなく、シグナル対バックグラウンド比はよりいっそう小さくなる(例えば、μm2あたり1000の捕捉されたアンプリコンでは1/300)。
【0026】
2)表面特異的検出により、溶液中の標識されたプライマーは、実質的に少ない検出シグナルを生じる(例えば、1000のバックグラウンド抑制係数では、μm2あたり約300の標識されたプライマーに相当する検出シグナル)。表面特異的検出により、シグナル対バックグラウンド比が、μm2あたり1000の標識された捕捉アンプリコンでは実質的に約3に増加する。
【0027】
表面特異的検出を説明する他の方法は、表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出器を説明することである。このことは、表面特異的検出に対して示した上記定義が、「表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出器」という用語に等しく適用されることを意味する。
【0028】
捕捉プローブ分子は、DNA、RNA、PNA(ペプチド核酸)、LNA(ロックト核酸)、ANA(アラビノ核酸)またはHNA(ヘキシトール核酸)オリゴヌクレオチドであり得る。RNA、PNA、LNAおよびHNAは、DNA:DNAホモ二本鎖より安定しているDNAとのヘテロ二本鎖を形成することができる。これは、配列ミスマッチに対する識別能の強化を確実なものにする(より特異的なハイブリッド形成)。また、ヘテロ二本鎖のより高い安定性は、非特異的結合の機会を減少する特定の温度での、より短いオリゴヌクレオチドプローブの使用を可能にする。PNA:DNA二本鎖は、ハイブリッド形成緩衝液のイオン強度から独立して形成される。これは低塩PCR緩衝液中のハイブリッド形成効率を向上し得る。
【0029】
本発明によれば、PCRプライマーより高い融解温度で捕捉プローブを使用し、温度勾配下降速度を減少させることが好ましいことがある(図4に図示したように)。これは、このプライマーのアニーリング温度を超える温度で、捕捉プローブをアンプリコンにアニールすることを意味する。したがって、変性したアンプリコンは、プライマー伸長および続く伸長が起こり得る前に、捕捉プローブとハイブリッド形成することができる。
【0030】
一部のアンプリコンのハイブリッド形成は、アンプリコンの濃度が、アンプリコンの捕捉プローブとのハイブリッド形成によって測定されるシグナルの強度から直接算出できることを意味する。測定されたシグナルとアンプリコン濃度の関係が線形でない場合、アンプリコン濃度を導き出すために、補正アルゴリズムまたは校正曲線を適用してもよい。
【0031】
捕捉プローブの捕捉部分は、増幅反応中に生産されるアンプリコンに特異的な10〜200ヌクレオチド、好ましくは15〜50ヌクレオチド、より好ましくは20〜35ヌクレオチドを含有し得る。また、捕捉プローブは捕捉部分と表面の間のスペーサーとして作用することができるか、0〜200までのヌクレオチド、好ましくは0〜50まで変動し得る安定化機能を持つことができる更なる核酸配列を含有することができる。これらの非捕捉ヌクレオチド配列は、正常ヌクレオチドまたは無塩基ヌクレオチドのいずれかを含有することができる。
【0032】
捕捉分子を、その5’末端によってまたはその3’末端によって固定してもよい。
【0033】
多重化するために、捕捉分子は、μm2あたり少なくとも4捕捉分子、好ましくはμm2あたり少なくとも1000捕捉分子、より好ましくはμm2あたり少なくとも10000捕捉分子、更により好ましくはμm2あたり少なくとも100000捕捉分子の形態で固体支持体の特異的に局在した領域で固定される。
【0034】
特定の実施形態では、捕捉分子は、前記捕捉部分がアンプリコンの2つの非相補的末端の範囲を定めるように、アンプリコンの特定の配列に相補的である10〜100ヌクレオチドの捕捉部分、および少なくとも20ヌクレオチドを有するスペーサー部分を含み、アンプリコンの2つの非相補的末端は、それぞれスペーサー末端および非スペーサー末端を、スペーサー末端が捕捉分子のスペーサー部分に非相補的であり、前記スペーサー末端が少なくとも50塩基だけ前記非スペーサー末端を越えるように含む。
【0035】
「核酸、オリゴヌクレオチド、アレイ、ヌクレオチド配列、標的核酸、実質的に結合する、と特異的にハイブリッド形成する、バックグラウンド、定量化する」という用語は、国際特許出願公開番号WO97/27317(参考として本明細書に援用する)において記載されているものである。ポリヌクレオチドという用語は、ヌクレオチド、または通常はDNAもしくはRNA配列から成るヌクレオチド様配列を意味する。
【0036】
「ヌクレオチド三リン酸、ヌクレオチド、プライマー配列」という用語は、さらに文書WO00/72018およびWO01/31055(参考として本明細書に援用する)に記載されるものである。
【0037】
ヌクレオチド、ポリヌクレオチドなどへの言及は、そのハイブリッド形成特性が破壊されないという条件で、糖−リン酸主鎖が改変および/または置換されている類似した種を含む。例として、主鎖を、ペプチド核酸(PNA)と呼ばれる同等の合成ペプチドと置換してもよい。
【0038】
好ましい実施形態によれば、捕捉プローブは、パターン化されたアレイのハイブリッド形成表面に固定される。好ましい実施形態によれば、捕捉プローブは、マイクロアレイの表面に固定される。
【0039】
「マイクロアレイ」は、複数の捕捉分子が特定の特異的標的分子に結合できるように固定されている支持体を意味する。マイクロアレイは、優先的に、表面上、または支持体内、または支持体を被う基質上の特異的に局在した領域に存在する捕捉分子から成る。特異的に局在した領域は、決められた標的分子に特異的な結合した捕捉分子を含有する表面の領域である。特異的局在領域は、マイクロアレイを構築する方法によって知られているか、検出中または後に定められるかのいずれかである。スポットは、特異的標的分子がそれらの捕捉分子上に固定され、検出器によって可視化することができる領域である。本発明の1つの特定の適用では、異なる支持体が特異的捕捉分子を含有し、特異的標的分子を定量化することができるように互いに区別し得る限り、捕捉分子のマイクロアレイも異なるまたは別々の支持体上に提供される。これは、特定の特徴を持ち、結合した分子を定量化するために互いに識別することが可能であるビーズの混合物を使用することによって達成することができる。その時、1つのビーズまたはビーズの集団は、1つの標的分子に特異的な捕捉分子を有するスポットと考えられる。
【0040】
マイクロアレイは、優先的に、表面に接触しているピンもしくは「ピンおよびリング」などの物理的手段によって行われる基質上の捕捉分子の堆積によって、またはピエゾもしくはナノディスペンサーなどの方法による溶液の微小液滴の放出によって得られる。
【0041】
この代わりに、基質上における捕捉分子のin situ合成は、米国特許第5,744,305号および第6,346,413号によって提供されているような、所定の位置におけるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチド合成の光空間分解能による本発明の実施形態の1つである。
【0042】
PCR混合物を、非対称PCR(またはLATE PCR:直線後指数的)によって一本鎖アンプリコンに対して富ませることが好適であり得る。非対称PCRでは、不均等な濃度の正方向および逆方向PCRプライマーが使用される。標識されたプライマーの濃度が非標識のプライマーの濃度より高いとき、標識された鎖は、非標識の鎖より低い割合で増幅される。これは、標識された鎖の蓄積につながるだけでなく、標識された鎖の捕捉プローブとのハイブリッド形成に直接好都合である。
【0043】
「リアルタイムPCR」という用語は、PCRサイクル中に、アンプリコンの存在の検出および/または定量化を可能にする方法を意味する。リアルタイムPCRでは、アンプリコンの存在が、増幅サイクルの少なくとも1つで検出および/または定量化される。アンプリコンまたはPCRサイクル中に形成されるアンプリコン量に関連したシグナルの増加が、PCR溶液中の特定のヌクレオチド配列の検出および/または定量化に使用される。好ましい実施態様では、アンプリコンの存在がすべてのサイクルで検出および/または定量化される。
【0044】
本発明の「アンプリコン」という用語は、酵素的核酸増幅の生成物である標的ヌクレオチド配列のコピーに関する。
【0045】
標識されたPCRプライマーの代わりに、標識されたdNTPsによる内部標識化を使用することができる。
【0046】
標識関連の検出方法は数多くある。異なる標識分子のレビューが、WO97/27317に示されている。これらは、すでに標識されたプライマーを使用するか、コピーまたは増幅ステップ中の標識されたヌクレオチドの酵素的取り込みのいずれかによって得られる(WO97/27329)[インターカレータは、本発明では好適でない]。
【0047】
可能な標識は、蛍光検出器により高感度で検出される蛍光色素である。蛍光色素は、市販のアレイスキャナ(例えば、General Scanning,Genetic Microsystemから入手できるような)を用いてアレイを解析するために好適なトシアニン色素(Cy3、Cy5およびCy7)を含むが、これに限定されるものではない。FAM(カルボキシフルオレセイン)も、標識としての可能な代替物である。当業者は、本発明の文脈において使用できる好適な標識を知っている。
【0048】
本発明の好ましい実施形態では、捕捉分子上のアンプリコンの存在に関連したアレイの蛍光シグナルのシグナル増加は、溶液中の蛍光と比較して検出される。
【0049】
特定の実施形態では、アレイ上に存在するフルオロフォアの検出の違いは、溶液中を自由に移動している分子と関連する蛍光と比較した、DNA二重らせんとして捕捉分子とハイブリッド形成した結合分子と関連する蛍光の異方性の違いに基づく。異方性は、フルオロフォアの移動性および検出されるフルオロフォアと関連した蛍光の寿命によって決まる。アレイの異方性を分析する方法は、現在、Blueshift Biotechnologies Inc.,238 East Caribbean Drive,Sunnyvale, CA 94089(http://www.blueshiftbiotech.com/dynamicfl.html)から入手できる。
【0050】
特定の実施形態では、フルオロフォア分子の検出は、好ましくは時間分解法で得られる。蛍光分子は、発光過程と関連した蛍光寿命を持つ。典型的に、フルオレセインおよびローダミンなどの小型のフルオロフォアの寿命は、2〜10ナノ秒の範囲内である。時間分解蛍光(TRF)アッセイは、長寿命(>1000ns)のフルオロフォアを使用し、マトリックスの自己蛍光または大抵10nsを遥かに下回る寿命を持つ蛍光サンプルなどの短寿命の干渉からアッセイシグナルを区別する。寿命は、近くに存在する他のフルオロフォアまたはクエンチャーによって、共鳴エネルギー移動が起こることで調整される。TRFの計測器は、短寿命の蛍光が消滅した後、長寿命のリポーター蛍光がまだ存続するまで発光の測定を単に遅らせる。蛍光寿命は、2つの基本的な方法で測定することができる。時間領域法では、励起の非常に短いパルス(ピコ秒)を使用して、次に、ナノ秒の寿命にわたりリアルタイムに発光をモニターする。減衰曲線を指数関数にあてはめることで、寿命が得られる。周波数領域法では、メガヘルツ周波数で励起を調整して、次に、それに応答して変動する発光強度を観察する。次に、位相遅延および振幅変調を使用して、寿命を測定することができる。迅速かつ経済的な寿命イメージングのための周波数法が、現在Blueshift Biotechnologies Inc.より入手できる。上記のように、これらの定義はすべての記載された実施形態に適用される。
【0051】
本発明の一実施形態では、本発明の主題は、プライマーが標識され、ハイブリッド形成された標識アンプリコンが、表面に結合しているこれらの標識を検出する、表面特異的検出システムによって検出される、増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。表面特異的は、上記定義の通り、溶液中にある標識が本質的に検出されないことを意味する。
【0052】
好ましい実施形態では、検出される標識のシグナルは、前記複数の核酸配列の結合状態によって変化しない。
【0053】
更により好ましい実施形態では、検出されるシグナルは蛍光シグナルである。ナノ蛍光体、量子ドットなどの、優先的に小さな有機フルオロフォアであるが、粒子標識(蛍光性または非蛍光性のいずれか)でもありうる「常にオンである標識」が好ましい。
【0054】
複数の核酸の検出のために、複数の標識を使用してもよく、好ましい実施形態では、同じ標識がそれぞれの前記複数の標的核酸配列の検出に使用される。
【0055】
また、本発明は、例えば、非常に表面特異的な読出し装置(下記で詳細に説明する)と組み合わせた統合核酸マイクロアレイを使用することによって、単一の区画内で複数の核酸配列の同時定量分析を行う方法について述べる。
【0056】
さらに、本発明は、チャンバーの表面の一部、または反応チャンバー内で構築される表面(例えば、ビーズ表面)のいずれである表面が、捕捉プローブで被覆され、同じチャンバー内で、PCR反応が起こる装置に関する。
【0057】
図1は、管内マイクロアレイでPCR反応をモニターする原理を説明している。テンプレートDNAおよびプライマーを含有したPCR混合物を、内面(の一部)がDNA捕捉プローブで被覆されている収納容器に加える(図1A)。PCR熱サイクリングが始まると、テンプレートDNAの特定のセグメントが増幅される。PCRプライマーの1つ(または両方とも)がフルオロフォアで標識されているので、得られたPCR生成物(アンプリコン)は蛍光標識される(図1B)。上記のように、標識されたプライマーの代わりに、標識されたdNTPsを使用することができる。収納容器の内面(の一部)が、アンプリコンの一部に相補的である配列を有するDNA捕捉プローブで被覆されているので、アンプリコンは捕捉プローブとハイブリッド形成することができる。捕捉プローブとのハイブリッド形成は、PCRサイクルのアニーリング相の間だけ起こる。PCRサイクルの変性ステップの間、ハイブリッド形成されたアンプリコンは、捕捉プローブから分離する。各サイクルの間、一部のアンプリコンだけが、ハイブリッド形成する。大部分のアンプリコンは、これらが捕捉部位に拡散する前に伸長する。他方で、優先的に非置換DNAポリメラーゼが使用されるので、ハイブリッド形成されているアンプリコンはそのサイクルで増幅されない。
【0058】
ハイブリッド形成されたアンプリコンは、高い表面特異性を有する光学的構成によって検出することができる。全体のPCR量が蛍光標識されたプライマー(または蛍光標識されたdNTPs)を充填されているので、ハイブリッド形成表面の近くの蛍光だけを検出する表面特異的光学測定を使用することが不可欠である(図1C)。検出器の表面特異性は、良好なシグナル対バックグランド比(および結果として、良好なシグナル対ノイズ比も)を達成するために非常に高くなければならない。
【0059】
各PCRサイクルのアニーリング相の間、蛍光測定を実施して、捕捉表面とハイブリッド形成されている蛍光標識されたアンプリコンの量を測定すべきである。ハイブリッド形成された(そして、したがって検出可能な)アンプリコンの量は、PCR混合物のアンプリコン濃度を表わす。シグナル対サイクル図は、S字曲線になる。標準的リアルタイムPCRと同様に、シグナルが特定の強度閾値に達するサイクル数は最初の標的テンプレート濃度を表す。したがって、この方法はサンプル中の核酸標的の定量的検出に使用することができる。
【0060】
表面特異的検出システムは、優先的に、共焦点測定装置、プラズモン測定装置、およびエバネッセント検出による測定用の装置を含む群から選択される。
【0061】
上記のように、ハイブリッド形成されたアンプリコンと溶液中のプライマーまたはアンプリコンとを区別できるように、表面特異的測定を行うことが不可欠である。表面特異的測定は、捕捉表面に非常に近い標識だけを検出する。ハイブリッド形成は、捕捉プローブが堆積し、PCR混合物が均一である場合だけ起こり得るので、バックグラウンド(スポット間の蛍光強度)を取り去り、ハイブリッド形成されたアンプリコンの量を測定することができる。
【0062】
可能な標識は、屈折率または吸収の違いを光学手段によって検出できる蛍光標識または非蛍光標識(例えば、微粒子)である。当業者にとって、好適な蛍光または非蛍光標識を知ることは容易なはずである。
【0063】
バックグラウンドが少なくとも50倍抑制される高度な表面特異的測定では、3つの異なるアプローチを識別できる。
1.共焦点:1〜2μmの光軸に沿った典型的測定高。
2.プラズモン:およそ励起光以下の波長の測定高。
3.エバネッセント:100nm以下の測定高。
【0064】
1.共焦点
共焦点測定は、様々なタイプのイメージング装置で行うことができる。図3は、標準的ピンホールベースのシステムを示す。そのようなシステムは、非常にコンパクトに造ることができる(PCT/IB2007/052499、PCT/IB2007/052634およびPCT/IB2007/052800)。システムの光軸に沿った位置の違いにより、標識がアレイ表面に最も近い対物レンズによって画像化される位置の違いを生じさせる。ピンホールおよび適切な(アレイ表面で標識の鮮明な画像が得られる位置での)位置決めにより、センサー表面近くの(わずか1〜2μmの光軸に沿った深さの)小さな測定体積を選択することができる。
【0065】
2.プラズモン
ここで、基質は、金属(例えば、Au、Ag)で覆われる。捕捉プローブが金属層上にあるか、スペース層が金属上に堆積して、続いて捕捉プローブで覆われる。ハイブリッド形成されたDNAの標識の蛍光は、金属媒体/液体インタフェースで表面プラズモンにカップリングすることができる。液体中の標識は、カップリングできないか、または実質的に表面プラズモンに対する効率は低い。表面プラズモンのアウトカップリング(すなわち表面プラズモンモードの伝搬波への変換)およびアウトカップリングされる力を測定することによって、本質的にハイブリッド形成されたDNA標識の蛍光だけを測定する。結果として、蛍光測定は、非常に表面特異的である。
【0066】
3.エバネッセント
表面特異性を高めるための他の代替え方法として、エバネッセント波を基質表面で励起させて、フルオロフォアを励起する、エバネッセント励起法を使用することができる。
【0067】
第1の方法として、典型的に測定(励起)体積がアレイ表面の100〜200nm以内になる、基質−液体インタフェースでの全内部反射(TIR)を使用することができる。しかし、TIRは、基質に接続されたガラスプリズムの使用、または基質−液体インタフェースの臨界角を超えた角度での励起光の基質へのカップリングを可能にするくさび形の基質の使用を必要とする。
【0068】
代わりに(PCT/IB2006/051942、PCT/IB2006/054940)に記載のように)、金属などの不透明媒体で基質を被い、基質−液体インタフェースに平行した平面の少なくとも1つの寸法が液体中の光の回折限界を下回る開口(のアレイ)で金属をパターン化することができる。例として、液体中の光の回折限界を上回る1つの平面方向の寸法およびもう一方は下回る寸法を持つワイヤーグリッドによって基質をパターン化することができる。これは、結果として、アレイ表面の50nm以内(20〜30nmの測定体積がすでに実験で示されている)の励起体積となる。[エバネッセント励起のための]第1の方法と比較してこの方法の利点は、より簡単であること(プリズムまたはくさび形の表面の必要がない)、ならびに入射角および励起スポットに関する特別の要求事項がないことであり、蛍光を映像化するために簡単なCCDカメラを使用することができる(および励起体積をかなり小さくすることが可能である)。
【0069】
さらに、本発明の主題は、内面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画と、表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出システムとを含む、本発明による方法を実施する装置である。
【0070】
同じ液体区画内の複数の異なるアンプリコンの増幅を同時にモニターするために、複数の異なる捕捉プローブを、パターン化されたアレイのハイブリッド形成表面に被覆することができる。図2は、16の異なる捕捉スポットを有するアレイの例の概略図を示す。すべての捕捉スポットが、同じPCR混合物中の異なるアンプリコンの増幅をモニターする。これは、現在可能なものより極めて高い多重化度を可能にする。これは、6を超え、100以上までの多重化度を可能にする。本発明の実施形態の更なる利点は、1つのフルオロフォア(1種)のみ必要とされるので、複数の高価なカラーフィルターおよび/または別々の光検出器が不必要になるということである。
【0071】
したがって、本発明による装置は、マイクロアレイであり得る。
【0072】
本発明の他の実施形態では、PCR区画の固体表面上の捕捉プローブは、プローブの構造により互いに近接して蛍光標識およびクエンチャーを有する、折り返しプローブ(例えば、分子ビーコン)または他のプローブ(例えば、Taqmanプローブ)である。本実施形態では、1つまたは複数のPCR反応は、反応におけるあらゆる標識または増幅プライマーに付着した標識なしに実施される。1つまたは複数のPCR反応中に形成される特異的アンプリコンは、固体表面で標識された捕捉プローブとハイブリッド形成することができ、したがって、クエンチャーおよび標識を分離するか(分子ビーコン型折り返しプローブの場合)、ポリメラーゼが本プローブを加水分解することを可能にするか(Taqman様捕捉プローブの場合)のいずれかである。
【0073】
典型的に、本発明の文脈において使用される分子ビーコンは、ステム・アンド・ループ構造を形成する一本鎖オリゴヌクレオチドのハイブリッド形成プローブである。これらの分子を、PCR区画の固体表面に固定してもよく、捕捉プローブとして使用することができる。例えば、本発明において使用される分子ビーコンのループは、標的配列に相補的であるプローブ配列を含有してもよく、ステムはプローブ配列のどちら側にも位置する相補的アーム配列のアニーリングによって形成される。フルオロフォアを、1つのアーム末端に共有結合させてもよく、クエンチャーを、もう一方のアーム末端に共有結合させてもよい。分子ビーコンは、溶液中に遊離しているとき、好ましくは蛍光を発することができない。標的配列を含有している核酸鎖とハイブリッド形成すると直ぐ、これらは蛍光を発することを可能にする立体配座の変化を受けることがある。標的がない場合、ステムはフルオロフォアを、一時的に電子を共有するほどクエンチャー分子近くに配置し、蛍光を発するフルオロフォアの能力をなくすので、プローブは典型的に暗い。プローブが標的分子に遭遇すると、ステムハイブリッドより長く、より安定したプローブ−標的ハイブリッドを形成し得る。プローブ−標的ハイブリッドの硬さおよび長さは、これによって、ステムハイブリッドが同時に存在することを妨げることがある。その結果として、分子ビーコンは、強制的にステムハイブリッドを分離させ、フルオロフォアおよびクエンチャーを互いに引き離し、蛍光を回復させる、自発的な立体配座の再構成を受けることがある。
【0074】
分子ビーコンは、好ましくは、ループ、ステム、5’フルオロフォアおよび3’クエンチャーの4つの成分から成る。典型的に、ループは、標的配列の補足物から成る。好ましくは、約15〜35ヌクレオチドの長さを使用してもよく、より好ましくは、約18〜25の長さを使用してもよく、最も好ましくは、約21ヌクレオチドの長さを使用してもよい。ステムは、3〜7ヌクレオチドをループの5’末端に、そしてこの逆の補足物を3’末端に加えることによって形成し得る。典型的ステム配列は、5つのC/G対と1つのA/T対から成る6ヌクレオチド長であり得る。好ましくは、ステムの融解温度をPCRのアニーリング温度より約7℃〜10℃高くして、非ハイブリッド形成プローブがループの立体配座を維持する(および蛍光を発しない)ことを確実にする。また、更なる好ましい実施例では、分子ビーコン/標的複合体の融解温度は、PCRのアニーリング温度より7℃〜10℃高くてもよい。ステムの融解温度をPCRのアニーリング温度より約7℃〜10℃高くして、分子ビーコン/標的複合体の融解温度を、PCRのアニーリング温度より7℃〜10℃高くすると、完全に相補的な標的配列の存在が、ループ構造に打ち勝ち、蛍光の発生を可能にする分子ビーコンの結合を典型的に誘発することがある。
【0075】
本発明の文脈において使用される分子ビーコンは、非常に特異的であり得る。好ましくは、これらは、3つ以下のヌクレオチドの置換だけ、より好ましくは2ヌクレオチドの置換だけ、および最も好ましくは1ヌクレオチドの置換だけ、互いに異なる標的配列を識別し得る。例えば、ループ配列の長さを増加させることで(例えば、22〜35ヌクレオチド長に)、アッセイにおけるミスマッチの寛容を容認できるように、プローブ/標的相互作用の厳密さを減少させることができる。
【0076】
分子ビーコンの融解温度は、当業者に公知である好適な手段(例えば、Michael Zukerによるコンピュータプログラム)を使用して決定してもよい。
【0077】
分子ビーコンは、異なる色付けがされたフルオロフォアを含有し得る。分子ビーコンのフルオロフォアとして、当業者に公知である任意の好適なフルオロフォアも使用してよい。好ましくは、フルオレセイン(FAM)、ローダミンx(ROX)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)またはテトラメチルローダミン(TAMRA)を使用し得る。分子ビーコンのクエンチャーとして、当業者に公知である任意の好適なクエンチャーを使用してもよい。例えば、ダブシル(dabcyl)は、中性および疎水性(多くのフルオロフォアとペアになるために、非常に好適なものとなる2つの特性)であるので、使用し得る。好ましくは、FRET様クエンチングを可能にする色素およびクエンチャーが使用される。
【0078】
本明細書の上記で示されたような「TaqMan」または「TaqMan様」という用語は、DNA合成中に5’−3’エキソヌクレアーゼとして(すなわち、「PacMan」として)作用する(すなわち、DNA合成中に5’−3’方向でDNAを加水分解する)当業者に公知であるTaqポリメラーゼ(「Taq」)または同様のDNAポリメラーゼの能力をいう。したがって、DNA合成が始まるにつれて、Taqポリメラーゼまたは同様のDNAポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性は、例えば、テンプレートにアニーリングしているプローブの部分を分解または加水分解し得る。この能力を、例えば、二重標識された蛍光発生プローブまたは例えば、捕捉プローブの一部としての配列の範囲(TaqManプローブ)を用いることによって、定量的またはリアルタイムPCRアプローチの間に使用してもよい。TaqMan PCRは、典型的に、従来のPCRのような終点でよりはむしろ、PCRの指数増殖期中にフルオロフォアを介して生成物の蓄積を測定する。生成物の指数的増殖を使用して、閾値サイクルC(すなわち、蛍光の著明な指数的増殖が検出され、反応において存在するDNAテンプレートのコピー数に直接相関する、PCRサイクル数)を決定してもよい。典型的に、捕捉プローブは、標的DNAテンプレートまたはアンプリコン内のセグメントに相補的なセグメントを、好ましくは、約20〜60ヌクレオチドのサイズで含み得る。捕捉プローブは、好ましくは、結合するDNAテンプレートまたはアンプリコンより短くてもよく、したがって、DNAテンプレートまたはアンプリコンの3'末端で、プライマーの結合を可能にする。蛍光色素またはフルオロフォアは、標的DNAテンプレートに相補的である捕捉プローブのセグメントの5’末端に共有結合し得る。したがって、クエンチャー分子を、フルオロフォアまたは蛍光色素から捕捉プローブの3’末端に向けて、約20〜60ヌクレオチドの間の間隔に配置してもよい。代わりに、クエンチャー分子を捕捉プローブのセグメントの5’末端に配置してもよく、フルオロフォアを、クエンチャー分子から捕捉プローブの3’末端に向けて約20〜60ヌクレオチドの間の間隔に配置してもよい。プローブに結合したフルオロフォアとクエンチャーの間が極めて近いことで、フルオロフォアからの蛍光を抑制し得る。Taqポリメラーゼまたは同様のDNAポリメラーゼによる捕捉プローブの分解または加水分解により、捕捉プローブからフルオロフォアを放出し、クエンチャーの極めて近接を切断することができ(またはこの逆も成立する)、したがって、クエンチング作用を除去し、フルオロフォアの蛍光を可能にする。それゆえ、そのようなアプローチにおいて検出される蛍光は、放出されるフルオロフォアおよびPCRに存在するDNAテンプレートの量に典型的に正比例する。TaqMan捕捉プローブは、異なる色付けがされたフルオロフォアを含有してもよい。TaqMan捕捉プローブのフルオロフォアとして、当業者に公知である任意の好適なフルオロフォアも使用してよい。好ましくは、フルオレセイン(FAM)、ローダミンx(ROX)、テトラクロロ−6−カルボキシフルオレセイン(TET)を使用し得る。分子ビーコンのクエンチャーとして、当業者に公知である任意の好適なクエンチャーも使用してよい。例えば、TAMRAを使用し得る。好ましくは、FRET様クエンチングを可能にする色素およびクエンチャーが使用される。
【0079】
本明細書の上記で示されたような「FRET」という用語は、蛍光共鳴エネルギー移動、すなわち、最初に励起されたドナー(D)からアクセプター(A)への励起状態エネルギーの移動を意味する。ドナー分子は、典型的に、アクセプターの吸収とオーバーラップするより短い波長で放出する。その過程は、光子の放出のない2分子の電子的励起状態間の距離依存的な相互作用である。FRETは、ドナーとアクセプター間の遠距離双極子−双極子相互作用の結果である。励起されたドナー分子は、基底状態に戻るその捕捉されたエネルギーを放出するいくつかの経路を持つ。励起状態エネルギーは周囲に(光または熱として)放散されるか、第2のアクセプター分子に直接移動され、FRET過程を介してアクセプターを励起状態にするかのいずれかであり得る。
【0080】
分子ビーコンまたはTaqMan/TaqMan様アプローチの結果として、蛍光シグナルを、捕捉プローブが位置するスポットで測定することができる。
【0081】
本実施形態では、非常に表面特異的な読取り装置を使用することは、シグナルがアンプリコンの捕捉プローブとのハイブリッド形成直後にのみ発生するので必要条件ではない。上記のすべての他の記載も、本発明の本実施形態に適用される。
【0082】
本発明の主題は、捕捉プローブがプローブの構造により、互いの極めて近接に蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、本発明による複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。
【0083】
本発明の更なる主題は、内面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画を含み、捕捉プローブが標識され、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、本発明による方法を実施する装置である。
【0084】
本装置のこの実施形態によれば、標識は、本明細書で定義されるような分子ビーコン、インターカレート色素、TaqManプローブを含む群から優先的に選択される。
【0085】
本発明の更に他の実施形態は、捕捉プローブが個々に同定可能なビーズに固定されている、複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法である。好ましい実施形態では、異なるビーズは、異なる捕捉プローブを有する。特に好ましいのは、ビーズに固定された捕捉プローブとハイブリッド形成できる光学的標識アンプリコンを発生させるための光学的標識された、例えば、蛍光標識されたプライマーの使用である。また、ビーズに固定されている捕捉プローブによる複数の標的核酸配列の同時定量的検出において、本明細書の上記で定義されたような分子ビーコンまたはTaqMan捕捉プローブの使用が好ましい。例えば、ビーズは、フルオロフォアおよびクエンチャーまたは分子ビーコンを含む捕捉プローブを含んでもよい。
【0086】
特に好ましい実施形態では、本発明は、捕捉プローブがビーズ(例えば、個々に同定可能なビーズ)に固定され、核酸が光学的標識プライマー、好ましくは蛍光またはフルオロフォア包含プライマーで増幅される、複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法に関する。
【0087】
ビーズを区画の表面に運び、捕捉されたアンプリコンを表面特異的検出によって測定することが好ましい。ビーズを、例えば、磁気駆動によって表面に運んでもよい。
【0088】
好ましい実施形態では、標識の蛍光が検出される。上記で概説されたように、当業者は、更なる蛍光および非蛍光標識を知っている。
【0089】
捕捉プローブがビーズに固定される場合、ビーズは反応溶液中に自由に分散されるので、このことは準均一アッセイを可能にする。準均一アッセイは、非均一アッセイより速い反応速度を可能にする。ビーズは、50nm〜3μmの直径を持ち得、例えば、色分け、バーコード付け、または大きさによって個々に同定可能である。異なる捕捉プローブを含有している複数のビーズが、同じ反応溶液中に存在し得る(図5)。ビーズ上に捕捉されたアンプリコンを有するビーズを、((常)磁気ビーズが使用されるときは)磁気駆動によって、または(非磁気ビーズが使用されるときは)誘電泳動によって運ぶことができる。表面で、ビーズを同定することができ、捕捉されたアンプリコンを表面特異的光学測定によって検出することができる。
【0090】
異なるビーズを識別する他の方法は、大きさの違いに応じたビーズの周囲に沿って広がる共鳴体モードの共鳴波長の違いに基づく。この場合、ビーズは、ビーズの周囲に沿って広がる共鳴体モードをサポートする共鳴体として働く(球状ビーズにおいて、これらの共鳴体モードは、いわゆる囁きの回廊モードである)。共鳴体は、周囲に沿った1往復後の位相シフトが2*piの倍数である波長にイン・レゾナンス(in−resonance)である。また、これらの共鳴体モードは、ビーズの周囲(液体)に広がるエバネセント領域を有する。ビーズのフィールド領域近くのフルオロフォア(典型的に<100nm)は、この蛍光の画分を、ビーズによって支持される共鳴体モードに連結することができる。共鳴体モードに連結された画分は、他の波長に対するよりオン・レゾナンスに対してより強力であり、このことで共鳴体モードまたは囁きの回廊モードに対応する共鳴ピークにより蛍光スペクトルの変調を生じる。ビーズの典型的直径は、1μmより大きく、最高50μmまでである。ビーズに結合されないフルオロフォアによる蛍光が、フルオロフォアの固有のスペクトルを持ち、表面特異的光学測定の必要がないので、検出は全体積にわたって実施することができる。
【0091】
したがって、また、本発明の主題は、個々に同定可能なビーズを有する区画を含み、複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブが前記の個々に同定可能なビーズに固定されている、本発明による方法を実施する装置である。
【0092】
好ましい実施形態では、装置は、区画の表面にビーズを運ぶための手段、および表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出器を更に含む。
【0093】
本発明の更なる実施形態:
アイテム1: 単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超える、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【0094】
アイテム2: 増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法であって、
前記複数の核酸配列に相補的な表面固定されたオリゴヌクレオチドプローブが、前記複数の増幅された核酸配列に対する捕捉プローブとして働き、
捕捉部位に捕捉された前記複数の増幅された核酸配列の検出が、表面に近接したシグナルを検出する表面特異的検出法によって実施される、同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【0095】
アイテム3:表面特異的検出が、表面特異的検出システムおよび/または検出されるシグナルの表面特異的発生のいずれかによって得られる、アイテム2に記載の増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【0096】
アイテム4: 増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法であって、以下の
前記複数の核酸配列に対する複数の捕捉プローブで被覆されている表面を反応区画が含む、反応区画を有する装置を提供するステップと、
複数の標的核酸、および前記複数の標的核酸の増幅のための増幅プライマーを含む増幅混合物を区画に加えるステップと、
前記標的核酸の特定のセグメントが増幅され、それによってアンプリコンを生じさせる間に、増幅熱サイクリングを開始するステップとを含み、
増幅反応のアニーリング段階の間に、再生可能な部分のアンプリコンが捕捉プローブとハイブリッド形成し、
前記捕捉プローブとハイブリッド形成されるアンプリコンが特異的および定量的に検出され、検出されるそれぞれのシグナルが最初のそれぞれの標的核酸濃度を表し、それによって、複数の標的核酸配列が定量的に検出される、アイテム1または3に記載の方法。
【0097】
アイテム5:プライマーが標識され、ハイブリッド形成された標識アンプリコンが表面特異的検出システムによって検出される、アイテム1〜4に記載の増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0098】
アイテム6:検出される標識のシグナルが、前記複数の核酸配列の結合状態によって変化しない、アイテム5に記載の増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0099】
アイテム7:捕捉プローブが、パターン化されたアレイのハイブリッド形成表面に固定される、アイテム2〜6に記載の増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0100】
アイテム8:同じ標識がそれぞれの前記複数の標的核酸配列の検出に使用される、アイテム1〜7に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0101】
アイテム9:捕捉プローブがプローブの構造により極めて近接に蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、アイテム1〜4に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0102】
アイテム10:蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させた場合に、シグナルを検出し得る、アイテム1〜4に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0103】
アイテム11:捕捉プローブが個々に同定可能なビーズに固定されている、アイテム1〜4に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0104】
アイテム12:異なるビーズが異なる捕捉プローブを有する、アイテム11に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0105】
アイテム13:ビーズが区画の表面に運ばれ、捕捉されたアンプリコンが表面特異的検出によって測定される、アイテム11または12に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【0106】
アイテム14:内面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画と、表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出システムとを含む、アイテム1〜9に記載の方法を実施する装置。
【0107】
アイテム15:内面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画を含み、捕捉プローブが標識され、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、アイテム1〜4、9および10に記載の方法を実施する装置。
【0108】
アイテム16:捕捉プローブが蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させた場合に、シグナルを検出し得る、アイテム15に記載の装置。
【0109】
アイテム17:個々に同定可能なビーズ有する区画を含み、複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブが前記の個々に同定可能なビーズに固定されている、アイテム1〜4、および11〜14に記載の方法を実施する装置。
【0110】
アイテム18:装置が、区画の表面にビーズを運ぶための手段、および表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出器を更に含む、アイテム17に記載の装置。
【0111】
アイテム19:複数の標的核酸配列の同時定量分析のための、アイテム14〜18に記載の装置の使用。
【0112】
アイテム20:リアルタイムPCRのための表面に近接したシグナルを検出する表面特異的検出法の使用。
【0113】
アイテム21:表面特異的検出が、表面特異的検出システムおよび/または検出されるシグナルの表面特異的発生のいずれかによって得られる、アイテム20に記載のリアルタイムPCRのための表面特異的検出法の使用。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超え、且つ、その際、捕捉プローブがプローブの構造により極めて近接に蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、アンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合にシグナルを検出し得る、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【請求項2】
単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超え、且つ、その際、捕捉プローブが蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、且つ、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させた場合にシグナルを検出し得る、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【請求項3】
単一の区画内で増幅および検出される、同時および定量的に検出される標的核酸の数が6を超える、好ましくは7を超える、より好ましくは10を超え、且つ、その際、捕捉プローブが個々に同定可能なビーズに固定されている、増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【請求項4】
異なるビーズが異なる捕捉プローブを有する、請求項3に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【請求項5】
核酸が光学的標識プライマー、好ましくは蛍光またはフルオロフォア包含プライマーで増幅される、請求項3または4に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【請求項6】
増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法であって、
前記複数の核酸配列に相補的に表面固定されたオリゴヌクレオチドプローブが、前記複数の増幅された核酸配列に対する捕捉プローブとして働き、且つ、その際
捕捉部位に捕捉された前記複数の増幅された核酸配列の検出が、表面に近接したシグナルを検出する表面特異的検出法によって実施される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
表面特異的検出が、表面特異的検出システムおよび/または検出されるシグナルの表面特異的発生のいずれかによって得られる、請求項6に記載の増幅中に複数の標的核酸配列の同時リアルタイム定量的検出を行う方法。
【請求項8】
前記ビーズが区画の表面に運ばれ、且つ、捕捉されたアンプリコンが表面特異的検出によって測定される、請求項4〜7までのいずれか一項に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【請求項9】
増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法において、以下の
反応区画(該反応区画は前記複数の核酸配列に対する複数の捕捉プローブで被覆されている表面を含む)を有する装置を提供するステップと、
複数の標的核酸、および前記複数の標的核酸の増幅のための増幅プライマーを含む増幅混合物を区画に加えるステップと、
前記標的核酸の特定のセグメントが増幅され、それによってアンプリコンを生じさせる間に、増幅熱サイクリングを開始するステップとを含み、
増幅反応のアニーリング段階の間に、再生可能な部分のアンプリコンが捕捉プローブとハイブリッド形成し、且つ
前記捕捉プローブとハイブリッド形成されるアンプリコンが特異的且つ定量的に検出され、その際、検出されるそれぞれのシグナルは最初のそれぞれの標的核酸濃度を表し、且つそれによって、複数の標的核酸配列が定量的に検出される、請求項1または8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
捕捉プローブが、パターン化されたアレイのハイブリッド形成表面に配置される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の、増幅中に複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【請求項11】
同じ標識がそれぞれの前記標的核酸配列の検出に使用される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の複数の標的核酸配列の同時定量的検出を行う方法。
【請求項12】
内面が複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブで被覆されている区画を含み、且つ、その際、捕捉プローブが標識され、そしてアンプリコンが前記捕捉プローブとハイブリッド形成する場合に、シグナルを検出し得る、請求項1、2または6〜11のいずれか一項に記載の方法を実施する装置。
【請求項13】
捕捉プローブが蛍光標識およびクエンチャーを有するプローブであり、且つ、標的核酸配列が前記捕捉プローブとハイブリッド形成して、捕捉プローブの酵素加水分解を引き起こし、それによって前記クエンチャーを前記フルオロフォアから遊離させた場合に、シグナルを検出し得る、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
個々に同定可能なビーズ有する区画を含み、複数の標的核酸配列に対する捕捉プローブが前記の個々に同定可能なビーズに固定されている、請求項3〜11のいずれか一項に記載の方法を実施する装置。
【請求項15】
装置が、区画の表面にビーズを運ぶための手段、および表面に結合しているこれらの標識は検出するが、溶液中にある標識は本質的に検出しない表面特異的検出器を更に含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
複数の標的核酸配列の同時定量分析のための、請求項12〜15のいずれか一項に記載の装置の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2011−507503(P2011−507503A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−539011(P2010−539011)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【国際出願番号】PCT/IB2008/055352
【国際公開番号】WO2009/077982
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(510089557)ビオカルティ ソシエテ アノニム (10)
【氏名又は名称原語表記】Biocartis SA
【住所又は居所原語表記】Parc Scientifique EPFL, PSE, CH−1024 Ecublens, Switzerland
【Fターム(参考)】