説明

複数の段になった中心ワイヤアセンブリを有するスパークプラグ

スパークプラグの点火端部において発生する熱からのシートの分離が向上したノイズ抑制伝導性シールを含むスパークプラグ中心ワイヤアセンブリである。中心ワイヤアセンブリは、点火電極、伝導性ガラスシール、中間電極、ノイズ抑制ガラスシール、および端子電極を含む。ノイズ抑制シートとスパークギャップとの間に点火電極、伝導性シール、および中間電極を置くことによって、中心ワイヤアセンブリは、燃焼プロセス中に作り出される高温からシールを遠ざけながら、抑制シールのノイズ抑制特性を利用することができる。2つのガラスシールが順次的な点火動作によって形成される、スパークプラグ中心ワイヤアセンブリを製造する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
この発明は概して、スパークプラグおよび点火器などの点火装置に関し、より特定的には、ガラスシールを利用する中心ワイヤアセンブリを有する点火装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
内燃機関において使用されるスパークプラグおよび他のこのような点火装置は、燃焼室において発生する高温環境に晒される。高温環境はスパークプラグの異なる構成要素に損害を与えることが多く、時間とともに、スパークプラグの性能の低下を引起し得る。スパークプラグの性能の悪影響の受け方として、1つには、中心ワイヤアセンブリの電気伝導性が関わっており、中心ワイヤアセンブリの構成要素は、プラグの端子入力からスパークギャップに電気点火パルスを伝えるために使用される。腐食、材料の故障、および極端な熱によって加速される他の現象は、これらの構成要素の伝導性特徴に悪影響を及ぼす可能性があり、したがって、点火パルスの強度を変更し、最終的には、燃焼室に伝えられるスパークの強度を変更する。この影響は、抵抗性ノイズ抑制を利用してプラグからのEMI(電磁干渉)を低減するスパークプラグにおいて特に問題になり得る。
【0003】
抵抗性ノイズ抑制装置の使用は、スパークプラグにおいて周知である。これらのノイズ抑制器の1つのタイプは、通常、カプセル抵抗器と称される。カプセル抵抗器の使用のより古い例は、ソマーズ(Somers)らに発行された米国特許第2,846,849号に見られることができる。この特許に示されるスパークプラグは、(スパークギャップから始まり、点火リード線受口の方に軸方向に上向きに進んで)中心電極、伝導性ガラスシール、金属接点、カプセル抵抗器要素、接点ばね、およびねじ切りされた接点キャップを有する中心ワイヤアセンブリを含む。伝導性ガラスシールは、放出エネルギがガラスシールを通して伝えられることを可能にしながらガス気密シールをもたらすファイヤーイン伝導性シール(FICS)である。
【0004】
スパークプラグノイズ抑制器の別の公知のタイプは、抵抗性ガラスシールである。抵抗性ガラスシールは、伝導性ガラスシールに加えてまたは伝導性ガラスシールの代わりにしばしば使用されて、絶縁体中心穴内のガス気密シールおよび電気的干渉を低減するためのスパーク放出エネルギの抵抗性経路の両方を提供する。この抵抗性ガラスシールは、ファイヤーイン抑制シール(FISS)であり、単一の構成要素において伝導性ガラスシールおよびカプセル抵抗器の両方の利点をもたらすことができる。しかしながら、大半の構成要素と同様に、利点には一定の欠点が付随する。中心ワイヤアセンブリにおける温度が700°Fを超え得る、天然ガスエンジンまたはフォーミュラワン(Formula One)エンジンなどの特定の高温環境では、ノイズ抑制ガラスシールは、動作温度が高い結果、時間とともに増大する電気抵抗を示す可能性があり、シールが開回路として動作するポイントに達することさえあり得る。
【0005】
したがって、燃焼室の高熱環境からノイズ抑制ガラスシールをいくらか保護する態様で、そのガラスシールの使用を可能にする、スパークプラグで用いる改良された中心ワイヤアセンブリを提供することが有利であろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の概要
先行技術の抑制シール中心ワイヤアセンブリの上記の欠点は、第1、第2、および第3の電極部材、伝導性シール、およびノイズ抑制シールを含む点火装置ならびに中心ワイヤアセンブリを提供するこの発明によって克服される。第1の電極部材はスパークギャップの近くの、中心ワイヤアセンブリの軸方向の端部に位置し、第3の電極部材は電気点火パルスを受取るように中心ワイヤアセンブリの軸方向の端部に位置し、第2の電極部材は第1の電極部材と第3の電極部材との間に軸方向に位置する。さらに、伝導性シールは第1の電極部材と第2の電極部材との間に軸方向に位置し、ノイズ抑制シールは第2の電極部材と第3の電極部材との間に軸方向に位置する。中心ワイヤアセンブリは、スパークプラグ、点火器、または絶縁体を典型的には含むことになる他のこのような点火装置において使用されることができ、絶縁体は、その少なくとも一部の上に嵌められる金属の外殻とともに中心ワイヤアセンブリを保持する。
【0007】
好ましくは、中心ワイヤアセンブリは、その3つの電極部材として、点火電極、中間電極および端子電極を含む。伝導性シールは、伝導性ガラスシールなどのFICSであり得る。ノイズ抑制シールは、抵抗性ガラスシールなどのFISSであり得る。点火装置の端子端部の方にさらに上に伝導性シールを置くことによって、伝導性シールは、より下にある伝導性ガラスシールを介するエンジンの熱からある程度分離される。
【0008】
この発明は、さらに、スパークプラグで用いる中心ワイヤアセンブリを製造する方法を提供する。この方法は、点火電極を絶縁体の長手方向の穴に差込むステップと、伝導性ガラス粉末を点火電極の上の長手方向の穴に挿入するステップと、ガラス粉末が点火電極と中間電極との間に、それら両方の電極と接触して位置するように中間電極を長手方向の穴に差込むステップと、伝導性ガラス粉末に点火し、それによって点火電極と中間電極との間に伝導性シールを形成するステップと、抵抗性ガラス粉末を中間電極の上の長手方向の穴に挿入するステップと、抵抗性ガラス粉末が中間電極と端子電極との間に位置し、中間電極および端子電極の両方と接触するように端子電極を長手方向の穴に差込むステップと、抵抗性ガラス粉末に点火し、それによって中間電極と端子電極との間にノイズ抑制シールを形成するステップとを含むが、必ずしもこの特定の順序であるわけではない。好ましくは、この方法は、伝導性ガラス粉末および抵抗性ガラス粉末の両方のために使用される別個の点火ステップとともに実施されて、2つの別個のステップの間で2つのシールを形成する。
【0009】
この発明のスパークプラグ中心ワイヤアセンブリの利点および特徴は、添付の明細書、特許請求の範囲、および図面を参照して容易に明らかである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
好ましい実施例の詳細な説明
以下に記載され、添付の図面に示されるスパークプラグおよび中心ワイヤアセンブリは、概して、内燃機関で用いるように設計され、スパークプラグにおいて発生するか、またはスパークプラグの近くで発生する熱からノイズ抑制シールを遠ざけるように設計される。ノイズ抑制シールとスパークギャップとの間に点火電極、伝導性シール、および中間電極を置くことによって、中心ワイヤアセンブリは燃焼プロセス中に作り出される高温から抑制シールを遠ざけながら、抑制シールのノイズ抑制特性を利用することができる。材料の組成などのさまざまなスパークプラグの構成要素の特定の実施例が以下の記載の中で説明されるが、それらは例示の目的で提供されるにすぎず、当該技術分野において公知の適当な代替物と交換され得るであろうということが認識されるべきである。
【0011】
ここで図面を参照して、標準的な車のエンジンまたは高性能(たとえば、フォーミュラワン)エンジンなどの内燃機関で用いるスパークプラグ10が示される。この発明を組入れる点火装置は、天然ガスおよびタービンエンジンを含む他のタイプの内燃機関のために
使用されることができる。スパークプラグ10は、概して、外殻12、絶縁体14、接地電極16、および中心ワイヤアセンブリ18を含む。当該技術分野において通常公知であるように、外殻12は、その軸方向の長さ全体に沿って延在する中空の長手方向の穴30を有する円筒形の金属製構成要素である。この実施例に従って、長手方向の穴30の内径は均一ではなく、そのため、内径が異なる穴部分の間の境界に内部肩32および34が形成される。肩32および34は、絶縁体14の相補的に成形された肩部分を支持するように設計される内部の周方向の端縁である。外殻12は、さらに、その外面に形成される、六角形などの設置機構36を有する。この機構により、シリンダヘッド、またはスパークプラグ10が利用されることになる他のどの場所にもスパークプラグ10を容易に設置することが可能になる。外殻の形状および大きさは特定の用途に従って大幅に異なり得るが、絶縁体14をしっかりと受けるように設計され、これは以下に記載される。
【0012】
外殻と同様に、絶縁体14も、その軸方向の長さ全体を通って中央に延在する細長い長手方向の穴50を有する概して円筒形の構成要素である。その名前が示すように、絶縁体14は概して非電気伝導性材料から作られ、伝導性の外殻12および周囲環境における他の構成要素から中心ワイヤアセンブリを電気的に分離するように意図される。絶縁体の外面は、外殻の構成要素の長手方向の穴30内に収まるように設計される。絶縁体14は外部肩52および54の対を含み、その少なくとも1つはそれぞれ内部肩32および34に適合し、支えられるようにサイズ決めされ、したがって、絶縁体が軸方向に下方向に動くことを防ぐ。絶縁体の外側と外殻の内側との間にさらなる封止をもたらすために、円筒形の封止構成要素56またはリングの形状の封止構成要素58などの封止構成要素が利用され得る。外殻の穴30と同様に、絶縁体中心穴50も内部肩60および62の対を有する。これらの肩は、中心ワイヤアセンブリ18の相補的に成形された肩を支持するように意図され、中心穴50内のさまざまな軸方向の位置に位置することができる。
【0013】
接地電極16は、外殻12の軸方向の最下端に機械的および電気的に接続される「L字型」の金属製構成要素である。接地電極は、溶接されるか、ろう付けされるか、または当該技術分野において公知のいくつかの他の方法によって外殻に取付けられることができる。接地電極16は、スパークギャップが形成されるように中心ワイヤアセンブリの軸方向の最下端の近くに位置する。示されるものからの修正例をいくつか挙げると、接地電極は異なる形状を有することができ、腐食および摩耗を減少させるための貴金属の挿入物を含み得ることが注目されるべきである。この点で、金属製の外殻12、絶縁体14、および接地電極16の製造および組立はすべて従来通りになされることができる(しかし、従来通りになされる必要はない)。
【0014】
中心ワイヤアセンブリ18は、端子端部70から点火端部72に高圧の電気点火パルスを送り、点火端部72のポイントにおいて、燃焼プロセスを開始させるためにパルスがスパークギャップを横切ってアークを作る伝導性構成要素のアセンブリである。中心ワイヤアセンブリ18は、(点火端部72から始まり、端子端部70の方に上に延在して)点火電極74、伝導性シール76、中間電極78、ノイズ抑制シール80、および端子電極82を含む。点火電極74は、当該技術分野において通常公知であるように、接地電極16とともにスパークギャップを形成するように絶縁体14の軸方向の下端から突出する金属製の電極である。点火電極の組成は、それが使用される特定の用途に大きく依存する。たとえば、中心ワイヤアセンブリを通って上に、スパークギャップから離れて熱を伝えることが望ましい用途では、当該技術分野において周知であるように、銅芯ニッケル電極が使用され得るであろう。小さな直径の点火電極を必要とする用途では、銅芯は収容されることができず、したがって、固体のニッケル電極が使用され得るであろう。好ましい実施例では、点火電極は点火先端部84、軸部分86、および拡大したヘッド部分88を含む。点火先端部84は、点火電極の最下部部分であり、腐食および点食に対するさらなる保護のために、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、パラジウム(Pd)、またはこれらの任
意の合金などの貴金属の挿入物を含み得る。高圧点火パルスが隣接する接地電極16へスパークギャップを横切ってアークを作るのは、この点火先端部からである。点火先端部84から軸方向に上向きに進むのは軸部分86であり、軸部分86は点火先端部84を拡大したヘッド部分88に接続する細長い部分である。拡大したヘッド部分の直径は、隣接する軸部分の直径よりも大きく、したがって、絶縁体の内部肩60に支えられる外部肩90が存在する。拡大したヘッド部分の最上面は、伝導性シール76に接触するように設計され、伝導性シール76との優れた接触および結合を促すために、平坦、凹形、凸形を含むいくつかの異なる構造、または溝もしくは中央突起を有するいくつかの異なる構造のいずれかに従って設計されてもよい。
【0015】
伝導性シール76は、軸方向の下端64における点火電極74を、軸方向の上端66における中間電極78に結合するように設計される電気伝導性シールである。好ましくは、伝導性シールは、高温で粉末を溶解することによってともに溶融される、銅/ガラスの粉末などの金属製ガラス粉末フリットから形成される。金属製粉末は、最初に中心穴50に挿入され、次いで所望の圧縮に突き固められ、最終的に点火される。これらは後により詳細に説明される。このタイプの伝導性シールは、当該技術分野において通常公知であり、時にはファイヤーイン伝導性シール(FICS)と称される。このシールの軸方向の長さはスパークプラグの特定の構成によって異なるが、軸方向の長さが一定量を超えるときには伝導性シールを圧縮する際の特定の問題が生じ得ることが注目されるべきである。一旦伝導性シールが所定の位置に置かれると、中間電極78は、伝導性シールの軸方向の上端66に接触するように中心穴50に差込まれる。
【0016】
中間電極78は、点火電極74と同様の形状を有する金属製の電極であり、軸方向の下端20、軸部分22、および拡大したヘッド部分24を含む。点火電極と同様に、中間電極は、使用される特定の用途に応じて多くの材料から構成されることができる。軸方向の下端20は、平坦またはそうでなければカーブの付いた面のいずれかであることができ、製造プロセス中に伝導性シール76のガラス材料を圧縮するために使用されることができる。さらに、軸方向の下端20において、軸22は、伝導性シールの点火中に一定量の伝導性シール76のガラスが上におよび電極の周囲に流れることを可能にするように、示される縮小された直径部分28を有することができる。軸部分22は、軸方向の下端20から拡大したヘッド部分24に延在する概して細長い部分である。再び、拡大したヘッド部分の直径は隣接する軸部分の直径よりも大きく、したがって、絶縁体の内部肩62に支えられる外部肩26が形成される。拡大したヘッド部分の最上面は、ノイズ抑制シール80に接触するように設計され、いくつかの異なる形状の面の構成のいずれかを有する点火電極74の最上部部分と同様の態様で形成されることができる。
【0017】
ノイズ抑制シール80は、軸方向の下端68における中間電極78を、軸方向の上端92における端子電極82に結合するように設計される電気伝導性のノイズ抑制シールである。好ましくは、ノイズ抑制シールは、当該技術分野において周知であるように、スパークプラグから放出されるノイズの量を最小限にするように設計される、公知の抵抗性特徴を有する3つの粉末部分から構成される。第1の粉末部分94は、伝導性シール76において使用され、既に記載されたものなどの伝導性ガラス粉末から構成される。第2の粉末部分96は、公知の抵抗性特徴を有する抵抗性粉末材料、好ましくは炭素ベースのガラスフリットを含む。第3の粉末部分98は、第1の粉末部分のために使用されるものと同様の伝導性ガラス粉末、または異なる伝導性ガラス粉末から形成されることができる。抑制シール80を形成するために使用される粉末状のガラスは、最初に中間電極の上の中心穴50に挿入され、次いで予め定められた量の力で突き固められ、最終的に点火されて、粉末を溶解および溶融し、シールを所定の位置にしっかりと固定する。このタイプのノイズ抑制シールは、時には、ファイヤーイン抑制シール(FISS)と称される。さらに、このシールの軸方向の長さは、利用される特定のスパークプラグの構成および求められるノ
イズ抑制によって異なり得る。本明細書に示される特定の3つの部分のFISSは、使用され得る好適なノイズ抑制シールの一例に過ぎないことが注目に値する。この構成要素の主な目的はノイズ抑制をもたらすことであるので、より多くの部分、より少ない部分、または異なる部分を有する他のノイズ抑制シールも使用され得るであろう。この点で、抵抗性タイプの抑制の代わりに、誘導性および他のタイプの抑制材料が使用され得るであろう。
【0018】
端子電極82は、隣接するノイズ抑制シールに高圧点火パルスを伝えるように点火リード線を受けるための端子棒を有する細長い金属製構成要素である。他の電極構成要素と同様に、端子電極はその特定の用途に応じて多くの材料から構成され得る。しかしながら、10/18合金鋼が好ましいことが多い。本明細書に示される特定の端子電極は、軸方向の下端40、細長い軸部分42、および端子棒44を含む。軸方向の下端40の直径は隣接する軸部分42の直径よりもわずかに小さく、そのため、端子電極の外側面と中心穴50の内側面との間に小さな隙間が形成される。リブ、ねじ山、窪みなどの表面の特徴46は、この隙間の領域の、端子電極の外側面に形成される。中間電極78も、このような表面の特徴を備え得る。点火プロセスの間、一定量の溶融したシールが端子電極と絶縁体との間のこの隙間の中に上向きに押込まれるように、端子電極82は溶融した抑制シールに押し付けられる。抑制シール材料は端子電極と結合し、表面の特徴46は改良された結合面をもたらす。この同様のアプローチは、抑制シール80に入れられる中間電極のために使用されることができ、伝導性シール76に入れられる中間電極および点火電極の1つまたは両方によって使用されることができる。軸部分42のさらに上では、端子棒44は拡大した直径を有し、点火リード線の電気的な覆い(図示せず)を受けるように成形される。軸部分と端子棒との間の移行部は肩48を形成し、肩48は、端子電極がさらに中心穴に入るのを防ぐように絶縁体の軸方向の最上端に支えられる。端子棒は、特定の点火リード線および用途に応じて、多くの構成のうちの1つに従って成形されることができる。
【0019】
この発明の製造方法は、中心ワイヤアセンブリ18を組立てるためのプロセスを主に扱い、したがって、以下の記載はスパークプラグアセンブリ全体のうちのその部分に主に焦点を当てる。好ましい実施例に従って、スパークプラグ10を組立てる方法は概して、中心穴50を有する絶縁体14が形成されるステップと、電極74、伝導性シール76、および中間電極78を有する点火端部において始まり、抑制シール80および端子電極82を有する端子端部において終了する中心ワイヤアセンブリ18が製造されるステップと、続いて、接地電極16とともに以前に形成された金属の外殻12の中に絶縁体14およびその中心ワイヤアセンブリ18を設置するステップとを含む。
【0020】
絶縁体14は、段のある中心穴50とともに、当業者に周知の従来の技術を使用して作られることができる。同様に、3つの電極74、78、および82は各々、従来の技術を使用して、組立の前に製造される。中心ワイヤアセンブリ18を形成する際に、拡大したヘッド部分88が絶縁体の内部肩60に接触し、支えられるように、点火電極74がその軸方向の上端から中心穴50に最初に差込まれる。この構成は、絶縁体本体に対して予め定められた軸方向の位置に点火先端部84を固定する。一旦点火電極が所定の位置に置かれると、伝導性シール76のためのガラス粉末が中心穴に添加される。ガラス粉末は一度に添加される場合もあれば、連続するショットで添加される場合もある。一度に添加された場合、伝導性シールを一度以上突き固めるために、長い棒などの突き固める道具が使用され得るであろう。連続するショットで添加された場合、伝導性シールは粉末の各々のショットの間に突き固められ得るであろう。どちらの方法でも、伝導性シールは好ましくは、粉末の所望の圧縮が達成されるように予め定められた量の力で突き固められる。いくつかの用途では、この突き固めプロセスを全く省略することが好ましい場合もある。一旦これが完了すると、ガラス粉末の最上部部分に接触するように中間電極78が中心穴50に差込まれる。
【0021】
伝導性シールは、まだ点火および溶解されていないので、点火プロセスの後よりも多くの容積を占める。したがって、この時点では、中間電極の拡大したヘッド部分24は典型的には内部肩62に接触することはない。一旦中間電極が所定の位置に置かれると、中間電極は軸方向に下向きに一定量の圧力を与えられ、アセンブリ全体が点火(加熱)プロセスを経る。好ましくは1500°〜1700°Fの間の温度で伝導性シールが点火されているとき、シールは溶解し始め、穴の中に沈降し始める。これによって、拡大したヘッド部分24が内部肩62に支えられるようになるまで、一定量の下向きの力を受ける中間電極が溶解粉末を圧縮することが可能になる。伝導性シールは、固まると、中間電極および点火電極をしっかりと結合し、取付ける。
【0022】
ノイズ抑制シール80は、伝導性シール76とほぼ同様に生成される。抑制シール80を形成するために使用される抵抗性ガラス粉末は、最初に絶縁体の軸方向の上端から中心穴50に挿入され、次に予め定められた量の力で突き固められ、最終的に点火される。再び、ガラス粉末は、単一のショットまたは各々の間に突き固めステップを有する複数のショットで挿入されてもよい。記載される実施例に示されるように、シール80は、抵抗性ガラス部分が2つの伝導性ガラスの部分の間に挟まれる状態で形成されることができる。この構成のために、第1の装入量の伝導性ガラス粉末が挿入され、突き固められることができ、その後に、ある装入量の抵抗性ガラス粉末が次いで突き固められ、もう一つの装入量の伝導性ガラス粉末がさらに突き固められる。これに続いて、端子電極82が中心穴50に加えられる。前と同様に、圧縮された粉末状のガラスによって占められる容積は、端子電極が中心穴の中に完全に押し下げられることを防ぐ。肩48が絶縁体の軸方向の最上端のわずかに上に位置するので、絶縁体および中心ワイヤアセンブリ全体は再びオーブンを通されて、ガラス粉末を溶解し、伝導性シール80を形成する。端子電極は予め定められた量の下向きの軸方向の力を与えられ、その結果、ガラス粉末が溶解し始めるときに、肩48が直角に絶縁体に位置するまで、端子電極はさらに下向きに押し付けられる。同時に、端子電極のさらなる下向きの動きによって圧縮されている溶融した抑制シール80は、シールが表面の特徴46と結合するように、端子電極と穴50との間に位置する隙間の中に押込まれる。いくつかの公知のガラス粉末のいずれも、これらのシール76および80のために使用されることができ、シールの抵抗性または他のノイズ抑制特徴は、粉末への添加剤の公知の混合および割合を使用する特定の用途に所望であるか、または必要であるように選択されることができる。
【0023】
一旦中心ワイヤアセンブリ18が完成されると、次いで絶縁体は金属の外殻12にすぐに取付けられる状態になる。外殻は最初に、溶接、ろう付け、または取付のその他の好適な形式によって軸方向の下端に既に取付けられた接地電極16を備える。代替的には、接地電極はスパークプラグの組立の中のより後の時点で取付けられ得るであろう。絶縁体14は、絶縁体の外部肩52および54がそれぞれ外殻の内部肩32および34に接触し、支えられるように軸方向の上端から外殻の長手方向の穴30の中に置かれる。リングシール58などのさまざまなタイプの封止構成要素が外殻の肩と絶縁体の肩との間に置かれることができて、2つの構成要素間の封止結合を高めることが注目に値する。一旦絶縁体が所定の位置に置かれると、絶縁体の外側面と長手方向の穴30の内側面との間の空間に封止構成要素56が加えられる。次に、外殻の周方向の最上部端縁は、絶縁体に接触するように湾曲されるか、またはそうでなければ機械的に径方向に内向きに変形され、それによって、外殻を絶縁体にしっかりと取付け、封止構成要素56を所定の位置に保持する。
【0024】
したがって、本明細書に記載される目的および利点を達成するスパークプラグ中心ワイヤアセンブリならびにスパークプラグ中心ワイヤアセンブリを製造する方法がこの発明に従って提供されてきたことが明らかである。もちろん、上の記載はこの発明の好ましい例示的な実施例についてのものであり、この発明は示される具体的な実施例に限定されるも
のではないということが理解される。たとえば、本明細書に記載される点火装置および中心ワイヤアセンブリの概念は、自動車、航空機、および本明細書に記載されない他の内燃機関の用途において利用され得るであろう。したがって、このような用途に必要なすべての修正例は当業者に明らかであろう。1つのこのような修正例は端子電極を含むであろう。大半の航空機の点火器の用途では、端子棒44は中心穴50の内部にとどまる端子電極または接点と置き換えられ得るであろう。この構成では、雄構成要素として機能する点火リード線は、さらに、雌構成要素として機能する端子電極に機械的および電気的に結合されるように中心穴に差込まれるであろう。この構成は、点火リード線が端子棒の上部を覆って嵌められる覆いを含み、したがって、中心穴の外側にとどまる、図面に示される構成の代わりに使用され得るであろう。さらに、上述の組立プロセスに関連して記載される特定のステップおよび順序は異なり得る。たとえば、伝導性シール76を形成するために使用されるガラス粉末は抑制シール80のガラス粉末の前に点火される必要はなく、むしろ、ガラス粉末は、両方のシールを溶解および形成するために、点火され、圧縮されることができ、単一の点火が使用されることができる。代替的には、シールを点火するために、中間電極および端子電極は加熱されることができ、伝導性シールおよびノイズ抑制シールとそれぞれ接触されることができるであろう。前に記載された変更および修正に加えた他の変更および修正は当業者に明らかになり、すべてのこのような変更および修正はこの発明の範囲内であるように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】この発明のスパークプラグおよび中心ワイヤアセンブリの好ましい実施例の部分的な破断図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スパークプラグで用いる中心ワイヤアセンブリであって、
スパークギャップの部分を形成するための第1の電極部材と、
第2の電極部材と、
電気点火パルスを受取るための第3の電極部材とを備え、前記電極部材は、前記第2の電極部材が前記第1の電極部材と第3の電極部材との間に位置する状態で、ともに直列に接続され、前記中心ワイヤアセンブリは、さらに、
前記第1の電極部材と第2の電極部材との間に軸方向に位置する伝導性シールと、
前記第2の電極部材と第3の電極部材との間に軸方向に位置するノイズ抑制シールとを備える、中心ワイヤアセンブリ。
【請求項2】
前記伝導性シールはファイヤーイン伝導性シールである、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項3】
前記ファイヤーイン伝導性シールは伝導性ガラスシールである、請求項2に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項4】
前記ノイズ抑制シールはファイヤーイン抑制シールである、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項5】
前記ファイヤーイン抑制シールは抵抗性ガラスシールである、請求項4に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項6】
前記ノイズ抑制シールの直径は、前記伝導性シールの直径よりも大きい、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項7】
前記第1の電極部材は、絶縁体の内部肩に接触するための拡大したヘッド部分を有する軸方向の端部を含む、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項8】
前記第2の電極部材は、絶縁体の内部肩に接触するための拡大したヘッド部分を有する軸方向の端部を含む、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項9】
前記第3の電極部材は、前記第3の電極部材と前記ノイズ抑制シールとの間の接着を向上させるための表面の特徴を有する軸方向の端部を含む、請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項10】
請求項1に記載の中心ワイヤアセンブリを有する点火装置。
【請求項11】
点火装置であって、
中心穴を有する絶縁体と、
前記絶縁体の少なくとも一部を覆って固定される外殻と、
前記絶縁体の前記中心穴内に少なくとも部分的に位置する中心ワイヤアセンブリとを備え、前記中心ワイヤアセンブリは点火電極、中間電極、および端子電極を含み、
前記点火電極は、前記中心穴内に位置する伝導性シールによって前記中間電極に電気的に接続され、
前記中間電極は、前記中心穴内に位置するノイズ抑制シールによって前記端子電極に電気的に接続される、点火装置。
【請求項12】
前記伝導性シールはファイヤーイン伝導性シールである、請求項11に記載の中心ワイ
ヤアセンブリ。
【請求項13】
前記ファイヤーイン伝導性シールは伝導性ガラスシールである、請求項12に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項14】
前記ノイズ抑制シールはファイヤーイン抑制シールである、請求項11に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項15】
前記ファイヤーイン抑制シールは抵抗性ガラスシールである、請求項14に記載の中心ワイヤアセンブリ。
【請求項16】
点火装置であって、
中心穴を有する絶縁体と、
前記絶縁体の少なくとも一部を覆って固定される外殻と、
前記絶縁体の前記中心穴内に少なくとも部分的に位置する中心ワイヤアセンブリとを備え、前記中心ワイヤアセンブリは、伝導性ガラスシールおよび抵抗性ガラスシールによって接続される金属電極構成要素を含み、
前記電極構成要素は、点火装置の点火端部に位置する点火電極を含み、
前記ガラスシールは、前記抵抗性ガラスシールが前記伝導性ガラスシールよりも前記点火端部から遠くに位置する状態で、前記電極構成要素のうちの少なくとも1つによって分離される、点火装置。
【請求項17】
スパークプラグで用いる中心ワイヤアセンブリを製造する方法であって、
(a) 点火電極を絶縁体の長手方向の穴に差込むステップと、
(b) 伝導性ガラス粉末を点火電極の上の長手方向の穴に挿入するステップと、
(c) ガラス粉末が点火電極と中間電極との間に、前記電極の両方と接触して位置するように、中間電極を長手方向の穴に差込むステップと、
(d) 伝導性ガラス粉末をともに溶融し、それによって、点火電極と中間電極との間に伝導性シールを形成するステップと、
(e) 抵抗性ガラス粉末を中間電極の上の長手方向の穴に挿入するステップと、
(f) 抵抗性ガラス粉末が中間電極と端子電極との間に位置するように、端子電極を長手方向の穴に差込むステップと、
(g) 抵抗性ガラス粉末をともに溶融し、それによって、中間電極と端子電極との間にノイズ抑制シールを形成するステップとを備える、方法。
【請求項18】
ステップ(d)は、伝導性ガラス粉末を前記伝導性ガラスシールの中に溶融するために絶縁体および中心ワイヤアセンブリを加熱するステップを備える、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(d)および(g)は2つの別個の加熱動作として実施される、請求項17に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(e)は、抵抗性ガラス粉末の前に伝導性ガラス粉末の第1の量を挿入するステップと、抵抗性ガラス粉末の後に伝導性ガラス粉末の第2の量を挿入するステップとをさらに備え、ステップ(g)は、抵抗性ガラス粉末とともに伝導性ガラス粉末の第1および第2の量を溶融するステップをさらに備える、請求項17に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−512662(P2007−512662A)
【公表日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537984(P2006−537984)
【出願日】平成16年9月7日(2004.9.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/028941
【国際公開番号】WO2005/048428
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(599058372)フェデラル−モーグル コーポレイション (234)
【Fターム(参考)】