説明

複数の無線移動端末による歌曲の同期再生

移動体端末が、同じ歌曲の異なる副成分を同時に再生できる他の端末との通信に応じて、当該端末から再生を行うべき歌曲の複数の副成分から選択することができる。上記移動体端末は上記とは別にあるいは上記に追加して、他の端末により再生されている歌曲を特定し、この特定された歌曲に対応する歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定し、次いで、上記特定済みの歌曲の再生を歌曲データファイル内の上記特定された位置から開始することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に無線通信の分野に関し、さらに詳細には無線通信端末を介する歌曲の再生に関する。
【背景技術】
【0002】
無線移動端末(携帯電話機など)が歌曲ファイルを格納し、再生するために広く用いられている。これら移動端末の比較的小型のスピーカサイズは当該移動端末の音響レベル及び音響の忠実度(fidelity)を制限する。ユーザは無線ネットワーク(ブルートゥース(登録商標)ネットワークなど)を介して1つの端末から他の端末へ歌曲ファイルを転送してもよいと共に、オンラインサーバから共有歌曲ファイルをダウンロードしてもよい。このダウンロードによってユーザは、隣接して位置する複数の端末から同じ歌曲を再生し、この再生から結果として得られる歌曲の音響レベルを上げるようにしてもよい。
【発明の概要】
【0003】
いくつかの実施形態によれば、無線移動端末には、無線周波数(RF)トランシーバ、スピーカ及びコントローラが含まれる。上記RFトランシーバは、無線通信ネットワークを介して他の端末と通信を行うように構成される。上記コントローラは、少なくとも1つの他の端末との通信に応じて上記端末から再生すべき1曲の歌曲の複数の副成分の中から選択を行い、次いで、スピーカを通じてこの選択した歌曲の副成分を再生するように構成される。
【0004】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは、上記歌曲の少なくとも1つの副成分を他の端末に割り当てると共に、該他の端末が上記特定された少なくとも1つの副成分を再生するように要求する副成分割り当て要求を上記コントローラは上記他の端末へ送信するようにさらに構成される。
【0005】
別の実施形態では、上記端末は該端末の移動に応じて移動信号を生成する移動センサをさらに含むと共に、上記コントローラは、上記移動信号に応じて上記歌曲の副成分間での上記端末自身及び上記他の端末への上記副成分の割り当てをシャッフルするようにさらに構成される。
【0006】
別の実施形態では、上記コントローラは歌曲に寄与する複数の楽器トラックの中から選択を行って、上記他の端末が上記歌曲の少なくとも1つの異なる楽器のトラックを再生することを示す、上記少なくとも1つの他の端末との通信に応じて、再生すべき少なくとも1つの楽器トラックを選択するようにさらに構成される。
【0007】
さらに別の実施形態では、上記端末はマイク信号を生成するマイクをさらに含む。上記コントローラは、他の端末により再生される歌曲のマイク信号で表されるスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、次いで、上記楽器のトラックの中から選択を行って、上記他の端末が再生した歌曲内に存在していないことが上記比較した差分により示された歌曲の副成分を再生するようにさらに構成される。
【0008】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは、上記端末から再生される歌曲をフィルタリングするフィルタを制御して、上記歌曲の別の周波数を減衰させながら、上記選択した歌曲の副成分に対応する周波数帯域を通過させるようにさらに構成される。
【0009】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは上記他の端末によって再生される歌曲のマイク信号で表されるスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、次いで、上記比較した差分に応じてフィルタを調整して、上記他の端末から出力される音響の空間減衰を補償するようにさらに構成される。
【0010】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは、他の端末が再生した歌曲のパターンと、該歌曲の既知のパターンとの間で一致する歌曲内の位置を特定すると共に、上記他の端末からの空間分離に起因して生じる音響遅延を補償するために、上記歌曲内における歌曲の再生時刻を上記特定された位置に基づいて調整するようにさらに構成される。
【0011】
さらに別の実施形態では、上記端末は該端末の移動に応じて移動信号を生成する動きセンサをさらに含む。上記コントローラは、上記端末から再生される上記歌曲の副成分のピッチを上記移動信号の変動に応じて変動させるようにさらに構成される。
【0012】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは上記他の端末と通信して、歌曲再生クロックを同期させ、かつ、上記それぞれの端末において再生開始時刻を定義するようにさらに構成される。
【0013】
さらに別の実施形態では、上記コントローラは、上記端末が通信を行う通信ネットワークの、反復して生じる信号の発生に応じて上記歌曲再生クロックを同期させるように構成される。
【0014】
さらに別の実施形態では、上記トランシーバは、ブルートゥース無線ネットワークの複数のフレームとWLANパケットの少なくともいずれかを介して他の端末と通信を行うと共に、上記コントローラは、上記ブルートゥース無線ネットワークの定義されたフレームの発生と、定義済みのWLAN通信パケットの発生との少なくともいずれかが発生した後に、上記歌曲の再生開始を上記他の端末に要求するコマンドを該他の端末へ送信するように構成される。
【0015】
ある別の実施形態では、無線移動端末は、RFトランシーバ、スピーカ、マイク、及びコントローラを含む。上記コントローラは、上記マイクから出力されるマイク信号の形で存在している歌曲を特定し、この特定された歌曲に対応する歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定し、次いで、この歌曲データファイル内の上記特定された再生位置に関連して定義される位置から始まる上記特定済みの歌曲を再生するように構成される。
【0016】
別の実施形態では、上記コントローラはマイク信号で表される歌曲の一部を保存し、上記歌曲の識別子と、上記特定された歌曲を供給することができる歌曲ファイルサーバの識別子とを要求する要求と共に、この歌曲の上記保存された一部をメッセージとして上記RFトランシーバを介して識別子サーバへ送信し、次いで、上記特定された歌曲ファイルサーバへの通信接続を上記RFトランシーバを介して確立することによって、かつ、該歌曲ファイルサーバからの上記歌曲データファイルの送信を要求することによって、上記識別子サーバから受信した応答メッセージに応答するようにさらに構成される。
【0017】
別の実施形態では、上記コントローラは、上記歌曲ファイルサーバのインタネットアドレスを含む上記識別子サーバから出力されるメッセージに応答するようにさらに構成される。上記歌曲ファイルサーバの特定されたインタネットアドレスとの通信接続を確立することによって、かつ、該歌曲ファイルサーバから上記歌曲データファイルをダウンロードすることによって、上記識別子サーバから、上記特定された歌曲を上記端末によりダウンロードすることができる。
【0018】
別の実施形態では、上記コントローラは、現在マイク信号で表されている上記歌曲のパターンと、上記歌曲データファイル内の上記歌曲のパターンとの間の一致に応じて上記特定された歌曲ファイルサーバから受信した上記歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定すると共に、上記歌曲データファイル内の上記特定された再生位置に関連して定義される位置から始まる上記特定された歌曲の再生を開始するようにさらに構成される。
【0019】
別の実施形態では、上記コントローラは、上記他の端末が上記歌曲の少なくとも1つの異なる副成分を再生することを示す少なくとも1つの他の端末との通信に応じて、上記歌曲の複数の副成分の中から選択を行うようにさらに構成されると共に、スピーカを通じて上記選択した歌曲の副成分を再生するように構成される。
【0020】
別の実施形態では、上記コントローラは、上記端末から再生される歌曲をフィルタリングするフィルタを制御して、上記歌曲の他の周波数を減衰させながら、上記選択した歌曲の副成分に対応する周波数帯域を通過させるようにさらに構成される。
【0021】
別の実施形態では、上記コントローラは、マイク信号で表される上記歌曲のスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、次いで、上記比較した差分に応じてフィルタを調整して、上記他の端末から出力される音響の空間減衰を補償するようにさらに構成される。
【0022】
別の実施形態では、上記コントローラは、マイク信号で表される歌曲のスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、次いで、上記楽器のトラックの中から選択を行って、上記他の端末により再生された歌曲内に存在しないことが上記比較した差分により示された歌曲の副成分を再生するようにさらに構成される。
【0023】
別の実施形態では、上記端末は移動信号を生成する動きセンサをさらに含む。上記コントローラは、上記移動信号の応答が変動する際に上記端末から再生される上記歌曲の副成分のピッチを変動させるようにさらに構成される。
【0024】
別の実施形態では、上記コントローラは、上記RFトランシーバを介して他の端末と通信を行って、上記それぞれの端末において歌曲再生クロックを同期させ、上記歌曲データファイルから得られる上記歌曲の現在の再生位置を上記同期された歌曲再生クロックに応じて調整するようにさらに構成される。
【0025】
実施形態例に係る他の装置、システム、方法、コンピュータプログラム製品のうちの少なくともいずれかは、以下の図面及び詳細な説明を検討するとき当業者には明らかであり、あるいは明らかになる。すべてのこのような追加のシステム、方法、コンピュータプログラム製品のうちの少なくともいずれかは、上記説明の中に含まれ、本発明の範囲内に属し、さらに、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【0026】
以下では、本発明についてさらなる理解が得られるように、本願の一部に含まれ、本願の一部に組み入れられ、本願の一部を構成する添付図面によって本発明のある実施形態を例示する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】歌曲の異なる副成分を協働して再生できるか、歌曲を聴き、歌曲を特定し、本発明のいくつかの実施形態に係る対応する歌曲データファイル内の再生位置を特定することによって、他の端末と同じ歌曲の再生に参加できるかの少なくともいずれかを行うことが可能な複数の無線移動通信端末を含む通信システムのシステム図である。
【図2】本発明のいくつかの実施形態に係る図1の少なくとも1つの端末のブロック図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態に係る他の端末と同期する歌曲の選択済み副成分を協働して再生するための図1の少なくとも1つの端末の例示の動作及び方法を示すフローチャートである。
【図4】端末の外部で再生している歌曲を特定すると共に、本発明のいくつかの実施形態に係る歌曲の再生に参加するための図1の少なくとも1つの端末の例示の動作及び方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に添付図面を参照しながら本発明の種々の実施形態についてさらに詳細に説明する。しかしながら、本発明は本書面に記載の実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろこれらの実施形態は、本開示が完全であり完璧であって、本発明の範囲を当業者に伝えるために提供されるものである。
【0029】
本明細書で使用されているように、「を備えている(comprising)」又は「を備える(comprises)」という用語はオープンエンドスタイルの用語であって、少なくとも1つの記載された要素と、ステップと、機能との少なくともいずれかを含むものであるが、少なくとも1つの記載されていない要素と、ステップと、機能とのうちの少なくともいずれかを除外するものではないことは理解されよう。本明細書において使用されているように、文脈が別様に明示していない限り、単数形を示す「a」、「an」及び「the」は複数形も同様に含むことを意図するものである。「と〜とのうちの少なくともいずれか(and/or)」という用語及び「/」は、少なくとも1つの関連付けられ、リストされた項目のうちの任意の、及び、すべての組み合わせを含むものである。図面では、分かりやすくするために領域のサイズ及び相対的サイズが誇張されている場合がある。同一の番号は図面の説明を通じて同一の要素を示すものとする。
【0030】
いくつかの実施形態は、ハードウェアと、(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコード等を含む)ソフトウェアとの少なくともいずれかの形で実現してもよい。したがって、本書面において用いられているように、「信号」という用語は、メモリ又はレジスタ内の(単複の)デジタル値のような連続波の形と(単複の)離散値の形の少なくともいずれかの形をとってもよい。さらに、種々の実施形態は、命令実行システムによって又は命令実行システムに関連して用いられる媒体に組み込まれた、コンピュータで使用可能な又はコンピュータで読み取り可能なプログラムコードを有する、コンピュータで使用可能な又はコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に保存されたコンピュータプログラム製品の形をとってもよい。したがって、本書面において用いられているように、「回路」及び「コントローラ」という用語は、(汎用マイクロプロセッサとデジタル信号プロセッサの少なくともいずれかのような)(単複の)命令処理装置によって実行されるコンピュータ可読プログラムコードのようなデジタル回路と、アナログ回路との少なくともいずれかの回路の形をとってもよい。
【0031】
ブロック図と処理フローチャート図に関連して、以下実施形態について説明する。理解すべきことであるが、上記ブロックに記載されているこの機能/動作は動作説明図に記載されている順序とは異なる順序で行われてもよい。例えば、連続して示される2つのブロックが実際にはほぼ同時に実行されてもよいし、あるいは、関係する機能/動作に応じて、時にはこれらのブロックは逆の順序で実行されてもよい。線図のうちのいくつかには通信路上に情報伝達の主方向矢印が含まれてはいるが、描かれている矢印に対して逆方向に通信が行われてもよいことを理解されたい。
【0032】
本書面で用いられているように、「無線移動端末」又は省略された「端末」という用語には、セルラインタフェースなどのような長距離無線インタフェースを用いるか、ブルートゥース無線インタフェースなどのような短距離無線インタフェースと、IEEE801.11a−gのような無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)インタフェースと、別の無線周波数(RF)インタフェースとを介するかの少なくともいずれかの手段で通信信号の送受信を行うように構成された任意の電子装置が含まれている(但しこのような電子装置のみに限定されるわけではない)。端末例としては、セルラ電話機、PDA、及び、セルラ通信ネットワーク、ブルートゥース通信ネットワーク、WLAN通信ネットワーク、別のRF通信ネットワークのうちの少なくともいずれかを介して他の通信装置と通信を行うように構成された携帯用コンピュータが含まれているが、このようなコンピュータのみに限定されるわけではない。
【0033】
本発明の種々の実施形態は、例えば、合成音の音量と知覚された忠実度の少なくともいずれかを高めることができるように意図して、あるグループの人々が自分の無線移動端末から同じ歌曲又は該同じ歌曲の副成分を調整された方法で再生できるようにすることを目的とするものである。図1は、本発明のいくつかの実施形態に係る調整された方法で同じ歌曲を再生するように構成された複数の無線移動通信端末100、102、104を含む通信システムのシステム図である。
【0034】
端末100、102、104は、ある同じ時刻に、かつ、同期された態様で同じ歌曲の異なる副成分を協働して再生して、音楽会を形成するように構成することができる。いくつかの実施形態では、端末100は、当該端末自身及び他の端末102及び104に対して同じ歌曲の異なる副成分を割り当てることができると共に、割り当てられた副成分をこれら他の端末へ伝送して、上記同じ歌曲の少なくともいくつかの異なる副成分をそれぞれの端末100、102、104において同時に再生させるようにすることができる。このようにして、端末102がパーカッション部を再生し、端末104がギターと歌曲のシンセサイザ部とを再生している間、端末100は歌曲のボーカル部を再生することが可能となる。
【0035】
上記とは別にあるいは上記に加えて、少なくとも1つの端末100、102、104が、歌曲を聴くことと、その歌曲を特定することと、対応する歌曲データファイル内の再生位置を特定することとによって、上記複数の端末のうちの他の端末により現在再生されている上記同じ歌曲の再生に参加するように構成することができる。上記とは別にあるいは上記に加えて、端末100、102、104は、相互に無線通信を行って、再生されている歌曲を特定するか、歌曲の現在の再生時刻を決定するか、内部の歌曲再生クロックを同期させるかの少なくともいずれかを行ってもよい。次いで、上記(単複の)端末は、他の端末により再生され続けている歌曲内の同じ位置か、同様の位置から他の端末と同じ歌曲の再生を開始することができる。
【0036】
したがって、例えば、ユーザ起動アクションに応じて、端末102及び104は、端末100によって再生されている歌曲を特定し、対応する歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定し、かつ、当該端末の各ユーザからのインタラクションを必要とすることなく、同じ歌曲の再生に同期して参加することが可能となる。同じ歌曲の調整され、かつ、協働して行われるこのような計画が、歌曲を表す合成音の音量と知覚される忠実度の少なくともいずれかを上記によって上昇させることができると共に、この高められた音量及び忠実度により個々の端末の個々の音量レベルと忠実度の限界を部分的に解決することが可能になる。さらに、この処理機能は、このような端末に対する需要の増加をもたらすユーザの望ましい社会的相互作用を提供することができる。
【0037】
図1をさらに参照すると、端末100、102、104は、別の装置によって再生される歌曲を特定するように内部で構成されるか、遠隔ネットワーク化されたサーバ内に歌曲識別子機能が常駐するかの少なくともいずれかを行うことができるようにしてもよい。例えば、端末100、102、104は、これらの端末が内部の歌曲リポジトリ内に当該歌曲を含むとき、他の端末により再生されるその歌曲を特定するように構成されてもよいし、さらに、歌曲識別子サーバ110と別様に通信を行って、上記歌曲を特定し、かつ、歌曲ファイルサーバ120から上記歌曲を取得するように構成されてもよい。
【0038】
以下さらに詳細に説明するように、歌曲識別子サーバ110は、特定された歌曲に対応するデータファイルを含まなくてもよいが、(ダウンロード可能なデータファイルと、ストリーミングオーディオデータとの少なくともいずれかのデータファイルのような)特定された歌曲に対応するデータファイルを端末へ供給できる歌曲ファイルサーバ120を特定するように構成されてもよい。したがって、識別子サーバ100と共に作動する端末は、検知された歌曲を自動的に特定することができると共に、次いで、歌曲ファイルサーバ120を特定し、かつ、該サーバと接続して、上記特定済みの歌曲をこのサーバから受信することができる。さらに、ある端末が歌曲を特定し、次いで、他の端末が歌曲を再生している現在の位置から歌曲の再生を開始し、それによって同期して歌曲の再生に参加できるようになる。
【0039】
無線端末100、102、104、識別子サーバ110及び歌曲ファイルサーバ120の上記の及びその他の例示の処理と実施形態とについて図1〜図4を参照しながら以下さらに説明する。
【0040】
図2は、いくつかの実施形態に係る図1の少なくとも1つの端末100、102、104を示すブロック図である。図3は、いくつかの実施形態に係る図1の少なくとも1つの端末100、102、104の例示の処理300及び方法を示すフローチャートである。
【0041】
図2を参照してわかるように、例示の端末には、無線RFトランシーバ210、マイク220、スピーカ224、単軸/多軸加速度計モジュール226(又は、上記端末の移動を検出する別の検知器(senses))、ディスプレイ228、(キーパッド/キーボード/タッチ式インタフェース/ユーザにより選択可能なボタンなどの)ユーザ入力インタフェース230、(内部不揮発性メモリと取り外し可能な不揮発性メモリモジュールとの少なくともいずれかのメモリなどの)歌曲データファイルのリポジトリ234、及び、コントローラ240が含まれる。コントローラ240は歌曲特徴付けモジュール242、歌曲識別子モジュール244、及び、歌曲再生管理モジュール246を含んでもよい。
【0042】
さらに図3を参照してわかるように、単に説明を目的として、図2に示されているように端末100、102、104が個々に構成されることが仮定されていると共に、端末100がマスタとして機能する一方で、それ以外の端末102及び104が例示の処理300に従ってスレーブとして機能して、歌曲の異なる副成分が異なる端末100、102に割り当てられて、同期して同時に再生することが仮定されている。本書面において用いられているような用語「マスタ」及び「スレーブ」は、1つの端末から再生される音楽の選択と音楽のタイミングの少なくともいずれかに関して他の端末を制御する該1つの端末を意味するものであって、ブルートゥースリンクのマスタ及びスレーブの役割を意味するものではないことを理解されたい。
【0043】
まず、端末100のコントローラ240は、RFトランシーバ210の少なくとも1つのトランシーバを介して端末102及び104と通信ネットワークを確立する(ブロック302)。図2の例示の実施形態では、RFトランシーバ210は、セルラトランシーバ212と、WLANトランシーバ214(例えば、801.11a−g規格のうちの少なくとも1つの規格に準拠する)と、ブルートゥーストランシーバ216とのうちの少なくともいずれかのトランシーバを含んでもよい。セルラトランシーバ212は、例えば、汎ヨーロッパデジタル移動通信システム(GSM)、汎用パケット無線サービス(GPRS)、次世代GSM用拡張型データレート(EDGE)、統合デジタル強化ネットワーク(iDEN)、符号分割多元接続(CDMA)、広帯域CDMA、CDMA2000、汎用移動体通信システム(UMTS)のうちの少なくともいずれかのような、少なくとも1つのセルラ通信プロトコルを用いて通信を行うように構成することができる。したがって、端末100は、WLAN、ブルートゥースネットワーク、セルラネットワークのうちの少なくともいずれかを介して、他の端末102及び104と、識別子サーバ110と、歌曲データサーバ120とのうちの少なくともいずれかと通信を行うことが可能となる。
【0044】
コントローラ240の歌曲再生管理モジュール246は、歌曲の少なくとも1つの副成分を該モジュール自身に割り当ててもよく、かつ、同じ歌曲の同じ副成分か、同じ歌曲の異なる副成分を他の端末102及び104に割り当ててもよい(ブロック304)。モジュール246は、これら他の端末による上記割り当て済みの副成分の再生要求を当該他の端末へ伝送する(ブロック304)ことができる。この結果、端末102が割り当てられたパーカッション部を再生し、かつ、端末104が歌曲の割り当てられたギター及びシンセサイザ部を再生している間、端末100は歌曲のボーカル部を再生することが可能となる。
【0045】
モジュール246は、歌曲に対応する複数の副成分データの別々のトラックの中から選択する(上記歌曲に対応するMIDIトラックの中から選択するなど)ことによって副成分を再生してもよい。上記とは別にあるいは上記に加えて、モジュール246は、スピーカ224を通じて出力される上記歌曲に対応する音声信号をフィルタリングする(少なくとも1つのバンドパスフィルタなどの)内部/外部フィルタを制御して、別のオーディオ周波数を減衰させている間、割り当てられた副成分に対応する少なくとも1つの周波数帯域を通過させるようにしてもよい。したがって、端末100、102、104は、副成分の割り当てに応じて、低音部の範囲、中音部の範囲、高音部の範囲をそれぞれ再生してもよい。
【0046】
端末100、102、104の各端末が再生すべき副成分の割り当ては、当該端末のユーザにより定義できるか、これら端末の各端末の定義された特性(所定のスピーカの数、スピーカサイズ、最大スピーカ出力キャパシティと、これら端末の各端末の別の所定のオーディオ特性とのうちの少なくともいずれかなど)に応じて、ユーザから干渉を受けることなく自動的に定義できるかの少なくともいずれかを行うことが可能である。例えば、モジュール246は端末102及び104にクエリを行って、これら端末のオーディオ特性を決定し、次いで、歌曲の副成分を端末100、102、104の各々に割り当ててもよい。より多数のスピーカと、より大きなスピーカ出力キャパシティとの少なくともいずれかを有する端末の方に、歌曲のより多数の副成分と、歌曲のより低い周波数成分の少なくともいずれかの成分を割り当てるようにしてもよく、その一方で、より少数のスピーカとより少数のスピーカ出力キャパシティとの少なくともいずれかを有する他の端末の方には、歌曲のより低い副成分と、歌曲のより高い周波数成分の少なくともいずれかの成分を割り当てるようにしてもよい。
【0047】
モジュール246は、加速度計226により検知された少なくとも移動しきい値レベルに応じて、端末100、102、104間での副成分の割り当てをシャッフルしてもよく、かつ、新しくシャッフルされた割り当てを他の端末102及び104へ伝送して、どの端末がどの歌曲の副成分を再生しているかを動的に変えてもよい。したがって、歌曲が端末100、102、104によって共同して再生されている間、ユーザは、端末100を揺動させて、これらの端末に上記歌曲の異なる副成分を再生させてもよい。このようにして、端末を揺動させることによって、ユーザはパーカッション成分を再生していた端末にボーカル部の再生を開始させることができると共に、再割り当て中のおそらく短い中断を伴いながら歌曲が再生を継続している間、ボーカル部を再生していた他の端末にパーカッション成分を再生させることができる。
【0048】
モジュール246は歌曲全体、又は、該歌曲の割り当てられた副成分に関連するデータを他の端末102と104へ送信してもよいし(ブロック306)、あるいは、該端末102と104からこのようなデータを受信してもよい。したがって、歌曲の再生時に端末100、102、104のすべてが音楽会に参加できるようにするために、歌曲全体又は割り当て可能な歌曲の副成分を含める必要はない。
【0049】
上記端末の割り当てられた歌曲の副成分の再生を同期して開始するように構成されている端末100、102、104の各端末によって、該複数の端末の合成された音楽出力の知覚される忠実度を改善してもよい。コントローラ240は、他の端末102及び104と通信を行って、歌曲再生クロックを同期させ(ブロック308)、かつ、それぞれの端末において再生開始時刻を調整してもよい(ブロック310)。歌曲再生クロックは、端末100、102、104を相互に接続する通信ネットワークの反復して発生する信号の発生に関連して同期されてもよい。さらに詳細には、端末100、102、104がブルートゥーストランシーバ216により制御される信号フレームを通じて相互に通信を行うとき、コントローラ240は、フレームに関連して定義されたフレームアクセスコードが発生した後で、歌曲の再生を開始するように他の端末に要求するコマンドを該他の端末へ送信することができる。次いで、歌曲再生管理モジュール246は、調整済みの歌曲再生クロックに関連して生じる再生開始時刻に応じて歌曲の再生を開始することができる(ブロック312)。
【0050】
端末100、102、104が協働して歌曲を再生している間、ユーザは、上記他の端末に関連する開始タイミングを変動させるコマンドを少なくとも1つの端末に出して(ブロック314)、上記端末間においてオーディオ遅延効果を与えることができるようにする。例えば、端末100、102、104の各々が歌曲の特定部分を再生する時点間の時間遅延をユーザコマンドなどに応じて変動させることができ、それによって、例えば端末100、102、104間で多少知覚される空間的分離と別のオーディオ効果(エコー効果など)との少なくともいずれかの提供を意図することが可能となる。同様に、端末から出力される歌曲の周波数帯域の変動と、歌曲のピッチの変動の少なくともいずれかの変動を行うことなどによって、歌曲のどのような副成分が特定の端末により再生されているかをユーザが調整したり、変更したりしてもよい(ブロック314)。ユーザ入力インタフェース230を介する入力と、(加速度計226により検知される)端末の揺動による振動入力としての入力との少なくともいずれかの入力を行うことによって、ユーザがこれらのコマンドを提供して、歌曲の副成分と、周波数帯域と、再生される歌曲のピッチとのうちの少なくともいずれかを歌曲再生管理モジュール246に変動させてもよい。上記振動入力により端末を揺動させて、例えば、歌曲のギター/ドラム/ボーカル部のピッチを増減させるか、歌曲のギター/ドラム/ボーカル部のピッチを対応して動的に変調させるかの少なくともいずれかをユーザが行うようにしてもよい。
【0051】
さらに、モジュール246は、端末100、102、104が歌曲を協働して再生している間、マイク220を介して端末が生成する合成音を聴いてもよく、かつ、例えば歌曲を再生する上記他の端末とのさらなる時間整合を行うためと、タイミングオフセット値を別様に変動させて、これら他の端末に関連する、定義済みの空間的分離効果(ユーザ定義のオフセット値など)を提供するためとの少なくともいずれかを行うために、他の端末に関連して歌曲再生タイミングを調整する(ブロック316)ようにしてもよい。モジュール246は、検知済み歌曲のパターンに一致する歌曲データ内の位置を特定することにより、該モジュールの相対的再生タイミングを決定してもよく、かつ、歌曲内における、上記モジュールの再生時刻を特定済みの位置に基づいて調整して、空間分離に起因して生じる他の端末からの音響遅延を補償するようにしてもよい。
【0052】
上記に加えてあるいは上記とは別に、モジュール246は、該モジュールが出力する音のピッチ制御と、上記モジュールが再生する歌曲の副成分の変動との少なくともいずれかを行うことによって、マイク信号の形で存在している、端末からの音に応答してもよい(ブロック316)。例えば、モジュール246は、マイク信号で表される上記歌曲のスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、かつ、その比較済みの差分に応じてオーディオ出力フィルタの通過周波数を調整して、上記他の端末から出力される音響の空間減衰を補償するようにしてもよい。モジュール246は、該モジュールが他の端末から出力される音を聴いている間、音楽の再生を少しの間停止してもよい。
【0053】
いくつかの別の実施形態では、端末100、102、104は、該端末のうちの別の1つの端末によって現在再生されているものと同期した状態で行われる同じ歌曲の同時再生に参加するように構成することができる。図4は、端末の外部で再生している歌曲を特定するための、かつ、該歌曲の再生に参加するための図1の端末の少なくとも1つの例示の動作及び方法を示すフローチャートである。
【0054】
図4を参照してわかるように、コントローラ240の歌曲特徴付けモジュール242は、マイク220から出力されるマイク信号を介して他の端末が再生する歌曲を聴き、かつ、該歌曲を特徴づけるように構成される。歌曲識別子モジュール244は、歌曲を特定し、かつ、対応する歌曲データファイル内の再生位置を特定するように構成される。次いで、歌曲再生管理モジュール246は、歌曲内の、他の端末と同じ又は同様の位置から他の端末と同じ歌曲の再生を開始することができる。
【0055】
歌曲特徴付けモジュール242は、他の端末によって再生されている歌曲をマイク信号の範囲内で検知することができる(ブロック402)。歌曲特徴付けモジュール242は、歌曲の一部をメモリ内へ保存する(ブロック404)ことによって検知済み歌曲を特徴づけてもよい。歌曲識別子モジュール244は、上記保存済み歌曲のパターンを、端末内の歌曲データファイルにより定義された複数のパターンと比較することによって歌曲を内部で特定する(ブロック406)ように試みてもよい。一致が発見されなかった場合、歌曲識別子モジュール244は、上記保存済み歌曲を含むメッセージと、歌曲の識別子を要求するか、上記歌曲に対応する歌曲データファイルを取得できる取得元の歌曲ファイルサーバ120の識別子を要求するかの少なくともいずれかを要求する要求とを歌曲識別子サーバ110へ送信してもよい。
【0056】
モジュール244は、セルラトランシーバ212、セルラ基地局トランシーバ130、及び関連付けられたセルラネットワーク132(移動体交換局など)並びにプライベート/パブリックネットワーク(インターネットなど)140を通じてメッセージを識別子サーバ110へ伝送してもよい。上記とは別にあるいは上記に加えて、モジュール244は、WLANトランシーバ214、無線ローカルエリアネットワーク(WLAN)/ブルートゥースルータ150及びプライベート/パブリックネットワーク140を通じて、メッセージを識別子サーバ110へ伝送してもよい。
【0057】
識別子サーバ110は、例えば、メッセージに保存された歌曲のパターンを所定のパターンと比較することによって歌曲を特定する(ブロック406)ことができると共に、歌曲データファイルを端末100へ送信するのに利用できるような歌曲ファイルサーバ120を(インタネットアドレス又は別のリソース識別子などを介して)さらに特定することができる。応答メッセージは、プライベート/パブリックネットワーク140及びセルラネットワーク132並びにセルラ基地局トランシーバ130を通じるか、プライベート/パブリックネットワーク140並びに端末につながるWLANルータ150を通じるかの少なくともいずれかを通じて、識別子サーバ110から端末へ伝送することができる。
【0058】
歌曲再生管理モジュール246は、セルラ基地局トランシーバ130を備えるか、WLANルータ150を備えるかの少なくともいずれかを備えた無線通信リンクを介して行われるような、歌曲ファイルサーバ120との通信接続を確立することによって受信メッセージに応答することができる。モジュール246は、歌曲ファイルサーバ120から特定される歌曲の送信要求メッセージを歌曲ファイルサーバ120へ送信することができる。いくつかの実施形態では、歌曲ファイルサーバ120は、セルラ基地局トランシーバ130とWLANルータ150の少なくともいずれかを備えた例示の無線通信リンクを介して、歌曲データファイルのダウンロードを行うか、リアルタイムストリーミングプロトコル(RTSP)IETF RFC2326とRFC3550との少なくともいずれかを用いて行われるような、特定済み歌曲データの端末へのストリーミングを行うかの少なくともいずれかを行うことができる。
【0059】
歌曲再生管理モジュール246は、他の端末が再生する歌曲を検知し、歌曲ファイルサーバ120から受信した歌曲データファイル内の現在の再生位置を推定し(ブロック408)、かつ、現在の再生位置から歌曲の再生を開始し(ブロック410)続けてもよい。マイク220によって現在検知されている歌曲のパターンと、歌曲データ内の歌曲のパターンとの間の一致する位置を発見することにより歌曲データ内の現在の再生位置を特定してもよい。次いで、モジュール246は、歌曲データファイル内の特定された位置に関連して定義された位置から始まる歌曲の再生を開始することができる。一致したパターンの位置から初期再生位置をオフセットして、推定される処理遅延を補償してもよい。
【0060】
歌曲データが端末へストリームされているとき、歌曲ファイルサーバ120は、歌曲識別子モジュール244が現在歌曲を再生していることを検出した位置に対応する位置に関連して定義される再生位置からストリーミングを開始してもよい。
【0061】
上述のように、歌曲再生管理モジュール246は他の端末と通信を行って、該モジュールから再生すべき少なくとも1つの歌曲の副成分の割り当てを割り当てるか、該割り当てから受信するかの少なくともいずれかを行うようにしてもよい。モジュール246は、マイク信号で表される歌曲のスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、かつ、楽器のトラックの中から選択を行って、上記他の端末が再生する歌曲内に存在しないことが上記比較した差分により示された歌曲の副成分を再生してもよい。モジュール246は、上記とは別にあるいは上記に加えて、他の端末から得られる音響の空間減衰を補償するために、比較済みの差分に応じてスピーカ224への音声信号をフィルタリングするオーディオ出力フィルタを調整してもよい。
【0062】
歌曲再生管理モジュール246は、歌曲を再生している間、マイク220を介して他の端末が発生する音を聴いてもよく、かつ、例えば歌曲を再生する上記他の端末とのさらなる時間整合を行うためと、タイミングオフセット値を別様に変動させて、これら他の端末に対する相対的音相差を制御することにより調整できるコンサートホール効果のような、これら他の端末に関連して定義済みの空間的分離効果を提供するためとの少なくともいずれかを行うために、上記他の端末に対する相対的歌曲再生タイミングをシフトさせる(ブロック412)ようにしてもよい。モジュール246は、検知した歌曲のパターンに一致する歌曲データ内の位置を特定することにより、該モジュールの相対的再生タイミングを決定してもよく、かつ、歌曲内の上記歌曲における、上記モジュールの再生時刻を特定済みの位置に基づいてシフトさせて(ブロック412)、他の端末からの空間分離に起因して生じる音響遅延を補償するようにしてもよい。
【0063】
上記に加えてあるいは上記とは別に、モジュール246は、該モジュールが再生している(単複の)歌曲の副成分を変えるか、出力オーディオ信号に適用される等化器フィルタを調整するかの少なくともいずれかを行うことにより、マイク信号の形で存在している他の端末からの音に応答して(ブロック414)、例えば、他の端末により再生されていないように思われる歌曲の副成分に起因するか、他の端末から出力される音の空間減衰に起因するかの少なくともいずれかに起因して欠落しているように思われる歌曲の副成分と、周波数/振幅特性との少なくともいずれかを補償してもよい。モジュール246は、当該モジュールが他の端末から出力される音を聴いている間、音楽の再生を少しの間停止してもよい。
【0064】
いくつかの別の実施形態では、歌曲を再生している端末のうちの1つの端末は、該端末が再生している歌曲を特定する情報と、当該歌曲内の現在の再生時刻と、上記他の端末がこれら他の端末の再生クロックを放送用端末の再生クロックに同期させることを許可する情報とのうちの少なくともいずれかを別の隣接端末へ放送してもよい。この歌曲及び時間情報をアクティブに放送する代わりに、これら他の端末は当該情報を取得するために再生用端末に対してクエリを行ってもよい。次いで、上記他の端末は、当該歌曲を再生するか、再生しないかを選択するようにしてもよく、その場合、上記決定は、上記端末が上記特定された歌曲に対応するデータファイルを含むかどうか、ユーザ認証を取得するかどうかの少なくともいずれかに応じてもよい。
【0065】
例示及び解説を容易にするために、別々に定義された種々の要素と共に例示のシステムを図1及び図2に示したが、本発明はこれに限定されるものではないことを理解されたい。それどころか、別々の機能要素の中の本書面に記載の様々な機能を単一の機能要素と組み合わせてもよいと共に、この逆すなわち単一の機能要素内の本書面に記載の機能も同様に複数の別々の機能要素により実行することも可能である。
【0066】
当業者には理解できると思われるが、本発明は、装置(端末、サーバ、システム)、方法、及びコンピュータプログラム製品として実施されてもよい。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施形態、ソフトウェアの実施形態、あるいは本書ではすべて一般に「回路」又は「モジュール」と呼ばれるソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形をとるようにしてもよい。理解されるように、本書面に記載のフローチャート図とブロック図の少なくともいずれかの各ブロック、並びに、フローチャート図とブロック図の少なくともいずれかの各ブロックの組み合わせをコンピュータプログラム命令により実装することができる。これらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行される命令が、フローチャートと、ブロック図の単複のブロックとの少なくともいずれかにおいて規定された機能/動作を実装する手段を作成するように、汎用コンピュータ、特殊用途コンピュータ、あるいはマシンを実現させるためのその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに提供されてもよい。
【0067】
これらのコンピュータプログラム命令は、ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置、あるいは集積回路メモリデバイスのような、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体上に保存することができる。コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に保存されたこれらのコンピュータプログラム命令は、コンピュータあるいは他のプログラム可能なデータ処理装置に対して、特定の方法で機能するように指示を与え、それによって、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体に保存されたこれらの命令が、フローチャートと、単複のブロック図のブロックとの少なくともいずれかにおいて指定された機能/動作の実行命令を含む製造品目を生成することになる。
【0068】
上記コンピュータプログラム命令はまた、コンピュータ又は他のプログラム可能なデータ処理装置にロードされて、該コンピュータ又は他のプログラム可能な装置上で行うべき一連の処理ステップを行わせて、コンピュータにより実行される処理を生成するようにしてもよく、それによって、上記コンピュー又は他のプログラム可能な装置において実行する命令が、フローチャートのブロックと、ブロック図の単複のブロックの少なくともいずれかにおいて指定された機能/動作の実行ステップを提供することになる。
【0069】
図面及び明細書において本発明の実施形態を開示した。本明細書では特定の用語が採用されているが、それらはあくまで一般的かつ記述的な意味においてのみ使用されており、発明を限定する意図はない。本発明の範囲は以下の特許請求の範囲に記載されているとおりである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線移動端末であって、
無線通信ネットワークを介して他の端末と通信を行う無線周波数(RF)トランシーバと、
スピーカと、
少なくとも1つの他の端末との通信に応じて、前記無線移動端末から再生すべき1曲の歌曲の複数の副成分の中から該副成分を選択し、前記スピーカを通じて選択した歌曲の副成分を再生するコントローラと
を備えることを特徴とする無線移動端末。
【請求項2】
前記コントローラは、さらに、前記少なくとも1つの他の端末との通信に応じて、前記歌曲に寄与する複数の楽器トラックの中から該楽器トラックを選択して、再生すべき少なくとも1つの楽器トラックを選択することを特徴とする請求項1に記載の無線移動端末。
【請求項3】
前記コントローラは、さらに、前記歌曲の少なくとも1つの副成分を前記他の端末に割り当てると共に、該他の端末が特定された少なくとも1つの副成分を再生することを要求する副成分割当て要求を前記他の端末へ送信することを特徴とする請求項1又は2に記載の無線移動端末。
【請求項4】
前記無線移動端末の移動に応じて移動信号を生成する移動センサをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記移動信号に応じて前記歌曲の複数の副成分の中で、前記無線移動端末自身及び前記他の端末への該副成分の割り当てをシャッフルすることを特徴とする請求項3に記載の無線移動端末。
【請求項5】
マイク信号を生成するマイクをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記他の端末により再生される前記歌曲のマイク信号で表されるスペクトルパターンを、歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、前記複数の楽器トラックの中から該楽器トラックを選択して、前記他の端末によって再生される前記歌曲内に存在していないことが比較した差分によって示された歌曲の副成分を再生することを特徴とする請求項3又は4に記載の無線移動端末。
【請求項6】
前記コントローラは、さらに、前記無線移動端末から再生される前記歌曲をフィルタリングするフィルタを制御して、前記歌曲の他の周波数を減衰させながら、前記選択した歌曲の副成分に対応する周波数帯域を通過させることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項7】
マイク信号を生成するマイクをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記他の端末によって再生される前記歌曲のマイク信号で表されるスペクトルパターンを歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、前記比較した差分に応じてフィルタを調整して、前記他の端末から出力される音響の空間減衰を補償することを特徴とする請求項6に記載の無線移動端末。
【請求項8】
マイク信号を生成するマイクをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記他の端末によって再生される前記歌曲のパターンと、該歌曲の既知のパターンとの間で一致する前記歌曲内の位置を特定し、前記歌曲内における歌曲の再生時刻を前記特定された位置に基づいて調整して、前記他の端末からの空間分離に起因して生じる音響遅延を補償することを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項9】
前記無線移動端末の移動に応じて移動信号を生成する移動センサをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記無線移動端末から再生される前記歌曲の副成分のピッチを、前記移動信号に応じて変動させることを特徴とする請求項1乃至8の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項10】
前記コントローラは、さらに、前記他の端末と通信して、複数の歌曲再生クロックを同期させ、それぞれの端末において再生開始時刻を定義することを特徴とする請求項1乃至9の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項11】
前記コントローラは、前記無線移動端末が通信を行う通信ネットワークの、反復して生じる信号の発生に応じて前記歌曲再生クロックを同期させることを特徴とする請求項10に記載の無線移動端末。
【請求項12】
前記無線周波数トランシーバは、ブルートゥース(登録商標)無線ネットワークの複数のフレームを介して前記他の端末と通信を行い、
前記コントローラは、前記ブルートゥース(登録商標)無線ネットワークの定義されたフレームに対するフレームアクセスコードの発生と、定義されたWLAN通信パケットの発生との少なくともいずれかが発生した後に、前記歌曲の再生開始を前記他の端末に要求するコマンドを該他の端末へ送信することを特徴とする請求項11に記載の無線移動端末。
【請求項13】
無線移動端末であって、
無線通信ネットワークを介して他の端末と通信を行う無線周波数(RF)トランシーバと、
スピーカと、
マイクと、
前記マイクから出力されるマイク信号の形で存在している歌曲を特定し、特定した前記歌曲に対応する歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定し、前記歌曲データファイル内の前記特定された再生位置に関連して定義される位置から始まる前記特定した歌曲を再生するコントローラと
を備えることを特徴とする無線移動端末。
【請求項14】
前記コントローラは、さらに、前記マイク信号で表される歌曲の一部を保存し、前記歌曲の識別子と、前記特定された歌曲を供給することができる歌曲ファイルサーバの識別子とを要求する要求と共に、前記歌曲の前記保存された一部をメッセージとして前記無線周波数トランシーバを介して識別子サーバへ送信し、特定された前記歌曲ファイルサーバへの通信接続を前記無線周波数トランシーバを介して確立することによって、かつ、該歌曲ファイルサーバからの前記歌曲データファイルの送信を要求することによって、前記識別子サーバから受信した応答メッセージに応答することを特徴とする請求項13に記載の無線移動端末。
【請求項15】
前記コントローラは、さらに、現在のマイク信号で表されている前記歌曲のパターンと、前記歌曲データファイル内の前記歌曲のパターンとの間の一致に応じて、前記特定された歌曲ファイルサーバから受信した前記歌曲データファイル内の現在の再生位置を特定し、前記歌曲データファイル内の前記特定された再生位置に関連して定義される位置から始まる前記特定された歌曲の再生を開始することを特徴とする請求項14に記載の無線移動端末。
【請求項16】
前記コントローラは、さらに、少なくとも1つの前記他の端末との通信に応じて、前記歌曲の複数の副成分の中から選択し、前記スピーカを通じて前記選択した歌曲の副成分を再生することを特徴とする請求項13乃至15の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項17】
前記コントローラは、さらに、前記無線移動端末から再生される歌曲をフィルタリングするフィルタを制御して、前記歌曲の他の周波数を減衰させながら、前記選択した歌曲の副成分に対応する周波数帯域を通過させることを特徴とする請求項16に記載の無線移動端末。
【請求項18】
前記コントローラは、さらに、マイク信号で表される前記歌曲のスペクトルパターンを、歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、前記比較した差分に応じてフィルタを調整して、前記他の端末から出力される音響の空間減衰を補償することを特徴とする請求項17に記載の無線移動端末。
【請求項19】
前記コントローラは、さらに、前記歌曲のマイク信号で表されるスペクトルパターンを、歌曲データにより定義された予想スペクトルパターンと比較し、前記複数の楽器トラックの中から該楽器トラックを選択して、前記他の端末によって再生される前記歌曲内に存在していないことが比較した差分によって示された歌曲の副成分を再生することを特徴とする請求項13乃至18の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項20】
移動信号を生成する移動センサをさらに備え、
前記コントローラは、さらに、前記無線移動端末から再生される前記歌曲の副成分のピッチを、前記移動信号に応じて変動させることを特徴とする請求項13乃至19の何れか1項に記載の無線移動端末。
【請求項21】
前記コントローラは、さらに、前記無線周波数トランシーバを介して前記他の端末と通信して、複数の歌曲再生クロックをそれぞれの端末において同期させ、前記歌曲データファイルから得られる前記歌曲の現在の再生位置を前記同期された歌曲再生クロックに応じて調整することを特徴とする請求項13乃至20の何れか1項に記載の無線移動端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2011−530923(P2011−530923A)
【公表日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−522568(P2011−522568)
【出願日】平成21年3月3日(2009.3.3)
【国際出願番号】PCT/IB2009/050846
【国際公開番号】WO2010/018470
【国際公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】