説明

複数個の走査位置における物理特性を感知するシステム

走査位置(P1〜P5,P11〜P44,Pijk)に割り当てられた物理特性を感知するシステムは、感知領域(AR1〜AR5,BR1〜BR2,C1〜C3,D1〜D3,E1〜E3,F1〜F4,G1〜G3,H1〜H4)内の物理特性を感知し得るセンサ(A1〜A5,B)を備え、これら感知領域(AR1〜AR5,BR1〜BR2,C1〜C3,D1〜D3,E1〜E3,F1〜F4,G1〜G3,H1〜H4)は、それぞれが少なくとも1つの走査位置(P1〜P5,P11〜P44,Pijk)を掃引するように配列され、これらの感知領域(AR1〜AR5,BR1〜BR2,C1〜C3,D1〜D3,E1〜E3,F1〜F4,G1〜G3,H1〜H4)は、少なくとも1つの走査位置(P1〜P5,P11〜P44,Pijk)で相互に重なり合い、各走査位置は、感知領域(AR1〜AR5,BR1〜BR2,C1〜C3,D1〜D3,E1〜E3,F1〜F4,G1〜G3,H1〜H4)の一意なパターンで掃引され、ただし、次の条件が満たされるようにする。すなわち、log(n)≦i<x・n1/x。ここで、iは感知領域の数、nは走査位置の数、xは走査位置の配列が広がる空間的な次元数である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は走査位置に割り当てられた物理特性を感知するシステムであって、感知領域内の物理特性を感知するように構成したセンサを備え、各前記感知領域が少なくとも1個の走査位置を掃引するように配置し、この感知領域が少なくとも1個の走査位置で相互に重なり合い、各走査位置が感知領域の一意のパターンで掃引されるようにした、感知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
感知領域を有するセンサを備えた感知システムが、一般に知られており、それらのセンサの感知領域は、行列形態に配列される。例えば、内蔵のRFIDタグを有する物体は、棚上またはロボット配送システムの特定端末における特別な位置にあることを、安価に特定することができ、こうした棚または端末は行列形態のアンテナの配列によって掃引される。各特別な位置は、1個の行アンテナと1個の列アンテナの交差によって定義される。この既知の原理を、4×4のマトリクスに構成した16個の走査位置Pijを有する遊技盤を示す、図1Aに示す。内蔵のRFIDタグ2aを有するトークン2は、これら走査位置Pijのうち1個の位置に配置する。遊技盤1の走査位置Pijは、列形態で順次隣接して配列された4個のアンテナ3A〜3Dと、行形態で順次隣接して配列された4個のアンテナ3E〜3Hとによって走査される。遊技盤1の走査プロセスを図1Bのフローチャートに示す。はじめに、全ての列iを順次に駆動したアンテナ3Aから3Dによって、第1列から第4列に対応するアンテナ3Aから3Dの1個またはそれ以上が、RFIDタグ2aから信号を受信するか否かの問い合わせを行うことにより走査する。この事例では、第3列を走査するアンテナ3CだけがRFIDタグ2aからの信号を受信する。次に、全ての行jを、連続的に駆動した第1行から第4行に対応するアンテナ3Eから3Hによって、これらアンテナ3Eから3Hの1個またはそれ以上が、RFIDタグ2aから信号を受信するか否かの問い合わせを行うことにより走査する。この例では、第2行を走査するアンテナ3FだけがRFIDタグ2aからの信号を受信する。トークン2が存在する走査位置は、このように、走査位置P32であるとして決定される。この結果を得るためには、8個の走査ステップを要することが分かる。
【0003】
表面にRFIDタグを埋め込んだ物体の位置を見極めるために複数個の検出器に接続した複数個のアンテナを使用することができる。しかしながら、検出器を多数使うことで、コストは極めて高くなる。
【0004】
既知の感知システムは、このように、センサが多数必要であり、そのために生産コストが非常に高くなってしまうという欠点があった。こうしたセンサを複数個の検出器に接続することが必要であり、それがさらに既知のシステムの生産コストを上げている。最後に、必要な走査ステップの数が多いことで、位置特定速度が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、第1および第2の段落で規定したタイプの感知システムを提供し、かつ上述の欠点を回避することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明による感知システムは以下の構成とすることを特徴とする。
【0007】
すなわち、本発明は、走査位置に割り当てられた物理特性を検出するシステムであって、感知領域内の物理特性を感知するように構成したセンサを備え、感知領域の各々が、少なくとも1個の走査位置を掃引するように感知領域を構成した該感知システムにおいて、この感知領域は、各走査位置が前記感知領域の一意なパターンによって掃引されるように、感知領域が少なくとも1個の走査位置で相互に重なり合うようにするとともに、以下の条件を満たすようにする。すなわち、
log(n)≦i<x・n1/x
ただし、
i…感知領域の数
n…走査位置の数
x…前記走査位置の配列が広がる空間の次元数とする。
【0008】
走査位置は、点、線、または、物理特性を感知できる3次元形態として規定することができる。物理特性の測定は、アナログ値に限られず、デジタル値または二進値(例えば、所定特性を有する物体の有無)にまで分解することができ、あるいは、二進値の状態変化(例えば、物体の出現または消滅など)とすることもできる。本明細書で使用する用語「物理特性」は、例えば、圧力、電気抵抗等を含むが、識別コードのようなようなものも含む。複数個の走査位置は、直線や曲線上に配列することもでき、あるいは、2次元、または、3次元形態に配列することもできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、走査位置における所定の物理特性を明確に感知し、また物理特性の位置を特定するために使用するセンサの数を、既知のシステムと比較して大幅に削減できるという効果を有する。センサの数が少なくなることで、センサから検出器への配線が少なくて済み、このため、製造コストを低減し、また、より小型のシステムを設計できるようになる。最終的に、直線上、平面上あるいは空間内に配列された、所定走査位置における物理特性の位置を決定するために、より少ない数の位置特定ステップを実行するだけでよいため、位置特定スピードを相当速めることができる。
【0010】
本発明による感知システムは、例えば、その特性の値の一意な範囲または一意な識別番号などによって、各物理特性がセンサによって一意に認識可能であるならば、複数個の走査位置における1個の走査位置、もしくは、1個を除く全ての走査位置における物理特性の位置を決定する、または異なる走査位置における異なる物理特性の位置を順次に決定することに有用であることを理解されたい。
【0011】
さらに、走査位置の形状およびアスペクト比に制限はなく、それらは、本発明の特定用途の必要に応じて選択することができることを理解されたい。さらにまた、走査位置の形状およびアスペクト比は、互いに異ならせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明感知システムの一実施態様においては、次の条件が満たすようにする。
log(n)≦i≦1+log(n)
ただし、
i…感知領域の数
n…走査位置の数
とする。
【0013】
これらの手法は、感知領域の一意なパターンを最大限利用することができるという効果を有し、この結果、センサおよびセンサと検出器との間の配線に関しての冗長性を極めて低下させる、または、無くすることができる。
【0014】
感知すべき物理特性としては、目的物のRFIDトランスポンダの識別コードがあり、また、センサを、RFIDトランスポンダの識別コードを読み出すアンテナとして構成する。この種の感知システムは低い製造コストで極めて融通性がある。その理由は、RFIDトランスポンダ(タグ)のアンテナが任意の形状およびアスペクト比で安く作ることができ、その結果、走査位置の様々な形状を本発明による1つの感知システムで検出することができるからであり、これは、システムをかなりの追加コストをかけずに、ほぼいかなる考え得るニーズにも適合させることができるという可能性を提供する。例えば、アンテナは、導線を曲げることによって、あるいは、キャリア上へ電気伝導ペーストまたはインクを塗布することによって、形成することができる。
【0015】
本発明がRFIDタグの識別コードに限られない点には留意されたい。本発明の意味する物理特性としては、実際物体と関連付けたいかなるデータとすることもでき、そのデータは様々な方法で送信することができる。バーコードを有する物体をこの一例として挙げることができる。ここで、物体に関連するデータは、光学的に読み取る。磁気素子の一意な構成を備える物体もまた例として挙げることができ、ここで、その一意な構成により物体を識別することができる。最後に、能動型のトランスミッタを備える物体について言及すると、このトランスミッタは、例えば赤外線ダイオードによって、その物体の識別コードを順次ブロードキャスト送信する。とくに、最後の例は、物体の位置特定と物理特性の特定との間に明白な境界線がないことを示している。前記赤外線コードは、遊技盤上の物体から発するようにすることができる、すなわち、信号は、センサの近くで発生することができ、あるいは、「遠隔で」発生させることができる、すなわち、センサアレイ上の赤外線コードの位置は、所定物体の位置を直接意味しない。
【0016】
本発明感知システムの更なる実施態様は、光度、光束、光量、波長または色、質量、力、圧力、流量、放射能、温度、電界の強さ、磁束、抵抗、インダクタンス、キャパシタンス、電流または電圧、などを検出するよう構成したセンサを有することができる。本発明は、このように、センサによって検出することができる多種多様な物理特性に適用できる。実際には、用途を制限するのは、センサのコストおよび入手可能性のみである。
【0017】
本発明の有利な実施形態において、感知領域の感知結果を感知信号によって送信し、この感知信号を検出器に供給し、この検出器は、各感知信号を位置コードの異なる数値に割り当てるように構成する。これらの手法は、感知操作の結果は、物理特性が感知された走査位置か、または、物理特性が感知されなかった走査位置(ネガティブ感知)を、一意に規定する位置コードとなるという効果を有する。感知領域が一意なパターンで各走査位置上に重なり合い、各感知領域の感知結果が、位置コードの異なる数値に割り当てられるので、結果として得られる位置コードは、必然的に各走査位置に一意となる。しかし、以下の制約があることに留意すべきである。全ての走査位置を同じ物理特性のために感知する場合、その物理特性は走査位置のうち1個の位置において、または、1個を除く全ての走査位置においてのみ、現れることが許される。走査位置が異なる物理特性、例えばRFIDタグの異なる識別コードまたは光線の異なる色について、順次に感知する場合、異なる物理特性が異なる走査位置に現れることもある。
【0018】
本発明感知システムは、感知信号からの二進値を区別し、その二進値を位置コードの各数値に割り当てるように構成した検出器を備えるものとし、これによって、二進値の位置コードを生成する。検出器は、感知結果を「感知」または「非感知」として解釈するかの識別に、所定の基準を適用し、各位置コードの数値に二進値結果を導入する。適切な基準の例としては、定められた閾値を超えたか、または、検出した識別コードが所定識別コードと一致するか、などが挙げられる。
【0019】
本発明の感知システムの検出器が、離散的な数の感知信号を各位置コードの対応の数値に割り当てるように構成した場合、本発明の実施態様において幅広い種類のセンサを使用することができ、それらのセンサには、感知結果の二進値のTRUE/FALSEのみを伝達するデジタルセンサのみでなく、アナログセンサであって、そのアナログシグナルが検出器により変換され離散的な数となり、それが位置コードの各数値に導入されて、感知結果が高い解像度で評価できるようなアナログセンサも含む。
【0020】
感知システムの配線を大幅に削減するために、複数の感知信号をマルチプレクサに供給し、このマルチプレクサの出力を検出器に供給する。センサは、このように検出器から十分に離して設置することができる。
【0021】
現在の感知システムの更なる実施態様において、走査位置の全体を掃引する感知領域を有するセンサを設ける。これらの手法は、所定物理特性の正確な位置特定処理を行う前に、その特性がいずれかの走査位置に存在するかどうかを極めて速く決定するという効果をもたらす。これによって、処理速度を速めることが可能になる。上記で規定した態様および本発明の他の態様を、以下に示す例示的実施例から明らかであり、これらの例示的実施例を参照して説明する。
【実施例1】
【0022】
本発明を、以下の例示的実施例を参照して更に詳細に後述する。しかしながら、本発明は、これらの例示的実施例に限定するものではない。
【0023】
図2Aは、16個の走査位置P11〜P44(一般にP列‐行と表される)に分割した遊技盤1を示し、これら走査位置に、固有の特性を有する物体2を配置することができる。走査位置P11〜P44は、4行4列のマトリクス状に配列される。遊戯盤1は、所定の物理特性を感知する、本発明による感知システムを有する。この実施例において、感知システムは、走査位置P11〜P44のうち1個位置における所定の物理特性を有する物体2の位置を特定するシステムとして構成される。例えば、物体2は、内蔵型のRFIDタグを有するトークンとして構成することができる。後述するように、各走査位置は、一意な2進位置コードBC(図2Bを参照)によって識別される。物体2の位置を特定するシステムは、複数個のセンサA1〜A5を備え、これらセンサは、この実施例ではRFIDタグ2aを読み出すためのアンテナとして構成する。厳密に言えば、センサA1〜A5は、物体2の特性を感知するための感知領域AR1〜AR5を有するループアンテナとして構成し、この実施例における特性はRFIDタグ2aから読み出すべき識別コードとする。RFIDタグに格納される識別コードは通常一意であることに留意する必要があり、遊戯盤1に1個以上のトークンを配置するよう実施でき、各トークンに一意な識別コードを有するRFIDタグを持たせ、各トークンに対する位置特定処理を繰り返し行うことにより全てのトークンの位置特定をすることができる。本発明のこの実施例において、センサA1〜A5のアンテナループの形状は、感知領域AR1〜AR5に一致するが、このことは必須の特徴ではないことにも、さらに留意されたい。
【0024】
本発明によれば、感知領域AR1〜AR5の構成は、各感知領域AR1〜AR5が、走査位置P11〜P44の少なくとも1つを掃引するように構成する。この実施例において、感知領域AR1は、以下に説明する特別な感知領域であって、遊戯盤1全体、すなわち、全ての走査位置P11〜P44を掃引する。センサA2の感知領域AR2は、走査位置P11,P12,P13,P14,P21,P22,P23,P24を掃引する。センサA3の感知領域AR3は、走査位置P11,P12,P21,P22,P31,P32,P41,42を掃引する。センサA4の感知領域AR4は、走査位置P11,P12,P13,P14,P31、P32,P33,P34を掃引する。センサA5の感知領域AR5は、走査位置P11,P13,P21、P23,P31,P33,P41、P43を掃引する。さらにまた、感知領域AR1〜AR5は、走査位置P11〜P44の少なくともいくつかで互いに重なり合い、各走査位置P11〜P44は、感知領域AR1〜AR5の1つまたは組み合わせであって、他の全ての走査位置P11〜P44についての感知領域AR1〜AR5の1つまたはその組み合わせとは異なる感知領域によって掃引され、それによって、すべての走査位置P11〜P44が、感知領域AR1〜AR5の一意のパターンによって掃引され、ここで次の条件が満たされる。すなわち、
log(n)≦i<x・n1/x
ここで、iは感知領域の数(ここでは5)、nは走査位置の数(ここでは16)、および、xは走査位置の構成が広がる空間次元の数(ここでは2)であるから、
log(16)≦5<2・161/2
それ故
4≦5<8
となる。
【0025】
アンテナとして構成したセンサA1〜A5を順次に付勢して電磁場を放射し、この電磁場は、1つ以上のセンサA1〜A5の感知領域AR1〜AR5内にRFIDタグ2aが存在するときに、このRFIDタグ2aによりの識別コードに従って変調される。各センサA1〜A5は、電磁場がRFIDタグ2aにより変調されているか、変調されていないかを示す情報を含む感知信号AS1〜AS5を出力し、この結果、これらのセンサ信号AS1〜AS5から、RFIDタグ2aを有する物体2がセンサA1〜A5の対応する感知領域AR1〜AR5内にあるか否かを導き出すことができる。この実施例において、センサ信号AS1〜AS5は、RFIDタグ2aの固有の識別コードを導き出すことができる情報を含むことができる。
【0026】
センサ信号AS1〜AS5は、検出器4に接続したマルチプレクサMUXに供給される。検出器4は、センサA1〜A5の順次付勢を制御し、センサ信号AS1〜AS5に含まれた情報を分析して、物体2が実際に遊戯盤1の上に位置している場合には、物体が存在する走査位置P11〜P44の位置を特定する。本発明のこの実施例において、検出器4はセンサ信号AS1〜AS5を識別し、物体2の特性が各感知領域AR1〜AR5において感知されたか否かを示す2進値に基づいて識別する。この区別をするために、検出器4は、RFIDタグ2aの識別コードを感知したかの基準、また、感知したならば、それが所定の識別コードに対応するかの基準を適用する。検出器4は、位置特定処理の結果を2進値の位置コードBCとして出力し、各数値を異なる感知領域AR1〜AR5に割り当て、その結果、位置コードBCは物体2が置かれた走査位置P11〜P44の1つを一意に識別するか、あるいは、遊戯盤上に物体が見つからない場合は、null(空)信号を出力する(図2Aを参照)。
【0027】
つぎに、検出器4の動作モードを、図2Bに示す決定ツリーにつき詳細に説明する。まず、検出器4は、その感知領域AR1が遊戯盤1全体を掃引するセンサA1を付勢する、すなわち、物体2があるか全体の領域を走査する。センサA1によって出力される感知信号AS1が、遊戯盤1上に物体2がないことを示す場合は、検出器4は直ちに位置特定処理を終了し、物体2が無いことを示すnull(空)信号を出力する。必要とされる反応速度に依存した待ち時間の後、センサA1は再び問い合わせを行う。しかし、感知信号AS1が、遊戯盤1上のどこかに物体2があることを示す場合は、実質的な位置特定処理を開始する。この目的のために、検出器4は、各センサ信号AS2〜AS5(2進値に変換される)に2進値の位置コードBCの数値を割り当て、順次にセンサA2〜A5を付勢し、出力感知信号AS2〜AS5の問い合わせをする。各センサA2〜A5の感知領域AR2〜AR5内に物体2が存在することを示す各感知信号AS2〜AS5について、2進値位置コードBCの割り当てられた数値は、1に設定される。他方で、各センサA2〜A5の感知領域AR2〜AR5内に物体2が存在しないことを示す各感知信号AS2〜AS5について、2進値位置コードBCに割り当てられた数値は、0に設定される。図2Bは、対応する走査位置P11〜P44と共に2進値による位置コードBCの全ての値を含む表である。この表によれば、位置特定処理が5個の位置特定ステップに削減されことが分かり、これは、4×4マトリクスに配置した16個の走査位置を有する領域を走査するために、8個の位置特定ステップが必要となる従来技術の行と列によるセンサの構成と比較して、処理が相当速くなる。
【0028】
この実施例において、遊戯盤1上のどこに物体2が存在するかをすばやく検出するために、特別なセンサA1を設けるが、このセンサA1は多くの場合省略することもできることも。走査位置P44が位置特定から除外することが容認できる場合、検出器4は、上述のようにセンサA2〜A5を用いた位置特定処理を実行するよう構成し、しかし、センサ信号AS2〜AS5のいずれもそのような物体2の存在を示さない場合には遊戯盤1上には物体2は存在しないと結論づける。この場合、二進値の位置コードBCの代わりに、null(空)コードが出力される。もちろん、値0000をもつ2進値の位置コードBCを、null(空)信号の代わりに供給することもできる。一方で、遊戯盤1上に物体2があることが保証されている場合も、センサA1の必要はない。
【0029】
本発明による感知システムは、負論理システムに対して適用することができ、このとき、センサA1〜A5は、感知領域AR1〜AR5内に感知すべき物体2の特性が感知できなかった場合のみ、感知信号AS1〜AS5を出力するよう設計することもできる。
【0030】
また、本発明のいくつかの適用例において、正確な走査位置を感知する必要がなく、例えば物体2を配置する遊戯盤1上の象限を感知するだけで十分とすることもできる。そのような応用例では、感知システムは、必要な精度に達したときにいつでも停止を決定することができる。
【0031】
感知領域AR1〜AR5の構成がそのようになっているので、次の不等式もまた成り立ち、これは、感知領域の冗長度を最小にする手法である。
log(n)≦i≦1+log(n)
ここで、logは2の底に対する対数(logarithm)の省略形であり、iは感知領域の数(ここでは5)であり、nは走査位置の数(ここでは16)である。それゆえ、
4≦5≦1+4
となる。
【0032】
図3Aおよび図3Bはそれぞれ、センサBが1個以上の感知領域(ここではBR1,BR2の2個の感知領域)を生じ、BR1,BR2の感知領域の形状およびアスペクト比はセンサBと一致する必要がないことを、側面図および平面図で示す。感知信号BS1,BS2を、個々の感知領域BR1,BR2ごとに生成する。この種のセンサBの例としては、2つの感光素子を有する光センサがある。さらに、この素子の視角が異なることも考えられる。それゆえに、本発明の感知システムは、異なるレンズを有する同一の光学感知素子を有し、これにより、異なる感知領域BR1,BR2のパターンを生ずるよう構成することができる。
【0033】
本発明の実施例による他の走査位置配列、ならびに、感知領域配列および形状について以下に説明する。
【実施例2】
【0034】
図4は、走査位置P1〜P4の線形的配列を示す。本発明によれば、3個の感知領域C1,C2,C3を設け、走査位置P1〜P4を走査して特定の物理特性を感知するようにする。感知領域C1は、走査位置P1,P2を掃引する。感知領域C2は、走査位置P2,P3を掃引する。感知領域C3は、4個のすべての走査位置P1〜P4を掃引する。感知領域C1,C2,C3は、二進値の位置コードの異なる数値に割り当てられ、感知領域C1には、第1の(最も低い)数値が割り当てられ、感知領域C2には第2の数値が、感知領域C3には第3の(最も高い)数値が割り当てられる。感知領域のパターンC1〜C3、および、その結果得られる二進値の位置コードBCは、本発明の感知領域C1〜C3の配列によって、走査位置P1〜P4のそれぞれに対して一意となる。
【実施例3】
【0035】
図5は、走査位置P1〜P5の他の線形的配列を示す。本発明によれば、3個の感知領域D1,D2,D3を設け、走査位置P1〜P5を走査して特定の物理特性を感知するようにする。感知領域D1は、走査位置P1〜P4を掃引する。感知領域D2は、走査位置P2,P3を掃引する。感知領域D3は、走査位置P3〜P5を掃引する。感知領域D1,D2,D3の出力は、二進値の位置コードBCの異なる数値に割り当てられ、感知領域D2は、第1の数値に割り当てられ、感知領域D3は第2の数値が、感知領域D3は第3の数値が割り当てられる。感知領域D1〜D3のパターン、および、そこから結果として得られる二進値の位置コードBCは、本発明の感知領域D1〜D3の配列によって、各走査位置P1〜P4のそれぞれについて一意となる。
【実施例4】
【0036】
図6は、さらに他の走査位置P1〜P4の線形的配列を示す。本発明によれば、3個の感知領域E1,E2,E3を設け、走査位置P1〜P4を走査して特定の物理特性を感知するようにする。感知領域E1は、走査位置P1およびP3を掃引する。(それらが互いに隣接していないことに留意べきである。)感知領域E2は、走査位置P2,P3を掃引する。感知領域E3は、走査位置P4のみを掃引する。感知領域E1,E2,E3の出力は、二進値の位置コードBCの異なる数値に割り当てられ、感知領域E1は第1の数値に割り当てられ、感知領域E2は、第2の数値に、感知領域E3は第3の数値に割り当てられる。
【実施例5】
【0037】
図7は、3×2のマトリクスにおける走査位置P11〜P32の構成を示す。本発明によれば、3つの感知領域F1,F2,F3を設け、走査位置P11〜P32を走査して特定の物理特性を感知するようにする。感知領域F1は、走査位置P11,P12,P21,P22を掃引する。感知領域F2は、走査位置P21,P22,P31を掃引する。感知領域F3は、走査位置P11,P21,P31,P32を掃引する。感知領域F2,F3のL字型形状の構成および走査位置P11〜P32の大きさが変化することが、とくに顕著である。感知領域F1,F2,F3は、二進値の位置コードBCの異なる数値に割り当てられ、感知領域F1は第1の数値に割り当てられ、感知領域F2は第2の数値に、感知領域F3は第3の数値に割り当てられる。
【実施例6】
【0038】
図8は走査位置P1〜P4の他の線形的配列である。本発明によれば、これら3個の感知領域G1,G2,G3を設け、走査位置P1〜P4を走査して特定の物理特性を感知するようにする。本発明のこの実施例は、走査位置P1〜P4および感知領域G1〜G3の形状は、直角形構成に限定されず、任意に選択できることを示す。感知領域G1は、走査位置P2,P3を掃引する。感知領域G2は、走査位置P3,P4を掃引する。感知領域G3は、全ての走査位置P1〜P4を掃引する。感知領域G1,G2,G3は、二進値の位置コードBCの異なる数値に割り当てられる。ここで、感知領域G1は、第1の数値に割り当てられ、感知領域G2は第2の数値に、感知領域G3は第3の数値に割り当てられる。また、感知領域G1〜G3のパターン、および、その結果得られる2進値の位置コードBCは、本発明の感知領域G1〜G3の配置によって、各操作位置P1〜P4について一意となる。
【実施例7】
【0039】
最後に、図9は、8個の走査位置の空間的配列を示し、これは一般にPijkで指定する。本発明によれば、4個の感知領域H1,H2,H3,H4を設け、異なる次元の方向から8個の走査位置Pijkを走査する。感知領域H1〜H4の出力は、2進値の位置コードBCの異なる数値に割り当てられ、感知領域H1は第1の数値に、感知領域H2は第2の数値に、感知領域H3は第3の数値に割り当てられる。感知領域H2は半円筒形の形状を有することを認識されたい。感知領域H4は、図に示されない第4の数値に割り当てられる。感知領域H4から発せられる信号は、また、イネーブル信号と解釈することができる。感知領域H4は周期的にアクセスされることが考えられる。何らかの信号がある場合のみ、更なる位置決定処理が開始される。図9の構成は、やはり、次の条件を満たす。すなわち、
log(n)≦i<x・n1/x
log(8)≦4<3・81/3
3≦4<6
これとともに、次の条件も満たす。
log(n)≦i≦1+log(n)
log(8)≦4≦1+log(8)
3≦4≦4
【0040】
最後に、上述の実施例は本発明を限定するのではなく、説明上のものであり、当業者は添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲を逸脱することなく、多くの代替的実施例を設計することができることに留意されたい。特に、本発明を例示するために、単に物理特性のサンプルのみを明示的に言及したが、本発明の範囲はこれらの物理特性に限定されないことに留意されたい。当業者は、他の物理特性に本発明の原理を容易に適用することができる。請求項において、括弧内に示したいかなる参照符号も、請求項を制限するものとして解釈すべきではない。「備える」および「有する」等の語は、いかなる請求項、あるいは、明細書全体にリストされた要素以外の存在を除外するものではない。単一の要素の参照は、この種の要素の複数を参照することを除外せず、また、この逆も然りである。いくつかの手段を列挙している装置の請求項において、これらの手段のいくつかは、ハードウェアまたはソフトウェアの全く同一の項目によって具現化することができる。相互に異なる従属クレームにおいて、ある手段が詳述されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせを有効に使用することができないことを示すものではない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1A】複数の遊技盤位置の1つに置かれたトークンの位置を特定する既知のアンテナ構成を有する遊技盤を示す図である。
【図1B】図1Aの遊技盤上にあるトークンの位置を特定する従来技術の走査プロセスを示すフローチャートである。
【図2A】遊戯盤上にある複数の走査位置のうち1つに置かれたトークンの位置を特定する、本発明によるアンテナの構成を有する遊技盤を示す図である。
【図2B】図2Aの遊技盤上にあるトークンの位置を特定するための決定ツリーを示す。
【図3】AおよびBは、それぞれ2個の領域を有するセンサBを、それぞれ線図的に示す側面図および平面図である。
【図4】本発明によって構成される感知領域により走査される走査位置の線形的配列を示す図である。
【図5】本発明によって構成される感知領域により走査される走査位置の他の線形的配列を示す図である。
【図6】本発明によって構成される感知領域により走査される走査位置のさらに他の線形的配列を示す図である。
【図7】本発明により配置した感知領域により走査される3×2マトリクスの配列の走査位置を示す図である。
【図8】本発明によって構成される感知領域によって、走査される走査位置のさらに他の線形的配列を示す図である。
【図9】本発明によって構成される感知領域によって、走査される走査位置の空間配列を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査位置に割り当てられた物理特性を感知するシステムであって、感知領域内の前記物理特性を感知するように構成したセンサを備えた該感知システムにおいて、前記感知領域の各々が、少なくとも1個の走査位置を掃引するように前記感知領域を構成し、前記感知領域は、各走査位置が前記感知領域の一意なパターンによって掃引されるように、前記感知領域を少なくとも1つの走査位置で相互に重なり合うようにするとともに、以下の条件を満たすようにした、すなわち、
log(n)≦i<x・n1/x
ただし、
i…感知領域の数
n…走査位置の数
x…前記走査位置の配列が広がる空間の次元数
としたことを特徴とする感知システム。
【請求項2】
請求項1に記載の感知システムにおいて、以下の条件を満たすようにした、すなわち、
log(n)≦i≦1+log(n)
ただし、
i…感知領域の数
n…走査位置の数
としたことを特徴とする感知システム。
【請求項3】
請求項1に記載の感知システムにおいて、前記物理特性を、物体のRFIDトランスポンダの識別コードをとし、前記センサは前記RFIDトランスポンダの識別コードを読み出すよう設計したアンテナとして構成したことを特徴とする感知システム。
【請求項4】
請求項1に記載の感知システムにおいて、前記物理特性を、光度、光束、光量、波長または色、質量、力、圧力、流量、放射能、温度、電界の強さ、磁束、抵抗、インダクタンス、容量、電流または電圧とし、前記センサは前記物理特性を検出するよう構成されたことを特徴とする感知システム。
【請求項5】
請求項1に記載の感知システムにおいて、前記感知領域の感知結果を感知信号によって送信し、この感知信号を検出器に供給し、この検出器は、各感知信号を位置コードの異なる数値に割り当てるよう構成したことを特徴とする感知システム。
【請求項6】
請求項5に記載の感知システムにおいて、前記検出器は、前記感知信号から2進値を識別し、この2進値を位置コードの対応の数値に割り当てるよう構成したことを特徴とする感知システム。
【請求項7】
請求項5に記載の感知システムにおいて、前記検出器は、離散的な数値としての前記感知信号を前記位置コードの対応の数値に割り当てるように構成したことを特徴とする感知システム。
【請求項8】
請求項5に記載の感知システムにおいて、前記感知信号をマルチプレクサに供給し、このマルチプレクサの出力を前記検出器に供給することを特徴とする感知システム。
【請求項9】
請求項1に記載の感知システムにおいて、走査位置の全てを掃引する感知領域を備えたセンサを設けたことを特徴とする感知システム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−536137(P2008−536137A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−506010(P2008−506010)
【出願日】平成18年4月4日(2006.4.4)
【国際出願番号】PCT/IB2006/051030
【国際公開番号】WO2006/109211
【国際公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【Fターム(参考)】