説明

複数歌唱者による歌唱誘導システム

【課題】 単独の歌唱者が歌唱することを前提とした楽曲であっても、複数の歌唱者に対して歌唱タイミングを効果的に知らしめて、違和感なくスムーズに歌い継ぎを行うことができ、さらに、バランス良く歌唱パートを分割して歌唱可能とする。
【解決手段】 カラオケ楽曲の演奏に際して複数歌唱者モードが選択された場合に、当該カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータに基づいて、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当てる歌唱パート分割手段39と、複数歌唱者モードが選択された場合には、歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させる歌唱パート識別表示手段40とを備え、単独の歌唱者が歌唱することが想定されているカラオケ楽曲について、複数の歌唱者が順番に歌唱可能となるように誘導を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デュエット曲のように複数の歌唱者により歌唱されることを前提としていない一般的なソロ曲であっても、複数の歌唱者が交互に歌唱パートを歌唱できるように誘導することができるシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在普及しているカラオケシステムでは、デュエット曲に分類される楽曲を演奏する際に、歌詞文字表示において、男声パートと女声パートとを区別するためのマークを付したり、歌詞文字の表示色を変更したりすることにより、歌唱者が各パートを認識できるようになっている(例えば、特許文献1参照)。このような歌詞文字表示を見ながら歌唱することにより、歌唱者は自らのパートを円滑に歌唱することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−282971号公報。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、デュエット曲だけではなく、単独の歌唱者が歌唱することを前提とした楽曲(ソロ曲)の場合であっても、デュエット曲と同様に男女等で交互に歌唱することがある。上述したように、デュエット曲では歌唱者に対して歌唱パートを認識させるための技術が確立しているが、当然のことながら、ソロ曲の場合には、歌唱パートを複数に分割して歌唱者に認識させるための仕組みはない。このため、ソロ曲の場合には、複数の歌唱者に対して、それぞれの歌唱タイミングを効果的に知らしめることができず、各歌唱者間で違和感なくスムーズに歌い継ぎを行うことができなかった。また、複数の歌唱者がバランス良く歌唱パートを分割して歌唱することができなかった。
【0005】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、単独の歌唱者が歌唱することを前提とした楽曲であっても、複数の歌唱者に対して、それぞれの歌唱タイミングを効果的に知らしめることができ、また、各歌唱者間で違和感なくスムーズに歌い継ぎを行うことができ、さらに、複数の歌唱者がバランス良く歌唱パートを分割して歌唱することができる歌唱誘導システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の複数歌唱者による歌唱誘導システムは、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の複数歌唱者による歌唱誘導システムは、単独の歌唱者が歌唱することが想定されているカラオケ楽曲について、複数の歌唱者が順番に歌唱可能となるように誘導を行うためのシステムであって、歌唱パート分割手段と、歌唱パート識別表示手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
歌唱パート分割手段は、カラオケ楽曲の演奏に際して複数歌唱者モードが選択された場合に、当該カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータに基づいて、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当てるための手段である。歌唱パート識別表示手段は、複数歌唱者モードが選択されていない場合には、一連の歌詞文字群を単一の表示態様で表示させ、複数歌唱者モードが選択された場合には、歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させるための手段である。
【0008】
また、上述した構成に加えて、歌詞文字表示タイミングデータは、フレーズ単位で表示される歌詞文字群の表示タイミングを制御するデータとすることが可能である。さらに、歌唱パート分割手段は、それぞれ分割された歌詞文字群を所定の順番にて複数の歌唱パートに割り当てる構成とすることが可能である。
【0009】
このような構成からなる複数歌唱者による歌唱誘導システムでは、歌唱パート分割手段の機能により、デュエット曲ではないソロ曲の演奏に際して複数歌唱者モードが選択されると、そのカラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータに基づいて、歌唱パートを複数に分割する。ここで、歌詞文字表示タイミングデータとは、例えば、MIDI(登録商標)規格の演奏データに含まれるフレーズマーク(歌詞文字のワイプ開始マーク)のことである。具体的には、ソロ曲を二人で歌唱するという指示信号が入力されると、歌唱パート分割手段は、フレーズマークを識別する毎に、当該フレーズマークが含まれる歌詞文字群を1つの歌唱パートとして、フレーズマーク毎に歌唱パートを分割する。
【0010】
そして、歌唱パート識別表示手段の機能により、複数歌唱者モードが選択された場合には、歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させる。このように、歌詞文字群を歌唱パート毎に識別可能に表示することにより、ソロ曲であっても、デュエット曲と同様に歌唱を行うことができる。例えば、一の歌唱パート(男声パートに相当)と、他のパート(女声パートに相当)とを区別するためのマークを付したり、歌詞文字の表示色を変更したり、歌詞文字の表示フォントを変更したりすることにより、歌唱者が各パートを認識できるようにする。
【0011】
なお、複数歌唱者モードが選択されていない場合には、一連の歌詞文字群を単一の表示態様で表示させる。また、サビ区間等の歌唱パートについては、二人の歌唱者が同時に歌唱できるような識別表示を行わせることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の複数歌唱者による歌唱誘導システムによれば、単独の歌唱者が歌唱することが想定されているカラオケ楽曲(ソロ曲)であっても、カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御する歌詞文字表示タイミングデータに基づいて一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当てて、各歌唱パートの歌詞文字群を識別可能に表示させることにより、ソロ曲を複数の歌唱者が歌唱する場合に、各歌唱者それぞれの歌唱タイミングを効果的に知らしめることができる。
【0013】
また、フレーズ単位で各歌唱パートの歌詞文字群を識別可能に表示させる構成とした場合には、例えばデュエット曲と同様に、各歌唱者間で違和感なくスムーズに歌い継ぎを行うことができる。
【0014】
また、それぞれ分割された歌詞文字群を所定の順番にて複数の歌唱パートに割り当てる構成とした場合には、複数の歌唱者がバランス良く歌唱パートを分割して歌唱することができる。例えば、ソロ曲をデュエットする場合には、交互に歌唱する機会が割り当てられるため、バランス良く歌唱することができる。3人以上で歌唱する場合も同様である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図。
【図2】歌詞文字表示タイミングデータの構成例を示す説明図。
【図3】本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムにおける歌唱パート分割例(1)を示す説明図。
【図4】本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムおける歌詞文字表示例(1)を示す模式図。
【図5】本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムにおける歌唱パート分割例(2)を示す説明図。
【図6】本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムおける歌詞文字表示例(2)を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の複数歌唱者による歌唱誘導システム(以下、歌唱誘導システムと記す)の実施形態について説明する。図1〜図3は本発明の実施形態に係る歌唱誘導システムステムを示すもので、図1は歌唱誘導システムを適用したカラオケシステムの構成を示すブロック図、図2は歌詞文字表示タイミングデータの構成例を示す説明図、図3及び図5は歌唱パート分割例を示す説明図、図4及び図6は歌詞文字表示例を示す模式図である。
【0017】
<歌唱誘導システムの概要>
本発明の実施形態に係る歌唱誘導システム10は、図1に示すように、単独の歌唱者が歌唱することを前提とした楽曲(ソロ曲)の場合であっても、デュエット曲と同様に男女等で交互に歌唱する際に、歌唱パート毎に歌詞文字の表示態様を変えて、自らが担当する歌唱パートを容易に識別することができるようにしたシステムである。すなわち、カラオケシステムの構成要素として歌唱パート分割手段39と、歌唱パート識別表示手段40とを備えることにより、カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータに基づいて一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当て、歌唱パート毎に歌詞文字の表示態様を変えて、各歌唱パートを識別表示させるようになっている。
【0018】
<カラオケシステム>
本発明の実施形態に係る歌唱誘導システム10を適用するカラオケシステムは、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、マイクロホン24、表示装置25、ミキシングアンプ26を備えている。
【0019】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段35との間で有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、歌唱者モード設定手段22c、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部(図示せず)に表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0020】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケ本体21で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0021】
<歌唱者モード設定手段>
歌唱者モード設定手段22cは、ソロ曲を複数の歌唱者が歌唱するための複数歌唱者モードを設定するためのプログラムからなる。この歌唱者モード設定手段22cは、利用者が入出力表示部(図示せず)を操作して複数歌唱者モードを選択すると、そのモード選択信号を受信して複数歌唱者モードを設定する。複数歌唱者モードが設定されると、後に詳述するように、歌唱パート分割手段39の機能により、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当て、歌唱パート識別表示手段40の機能により、歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させる。なお、本実施形態の歌唱者モード設定手段22cでは、デフォルトの複数歌唱者モードとしてデュエットモードを設定するが、利用者の所望に応じて、ソロ曲を歌唱する歌唱者の数を設定できるような構成としてもよい。
【0022】
<マイクロホン>
マイクロホン24は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン24から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ26により、音楽再生制御手段37から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ23へ出力される。なお、マイクロホン24からの音声入力信号を、A/Dコンバータ(図示せず)によりデジタル変換して、歌唱採点手段における採点等に使用してもよい。
【0023】
<表示装置>
表示装置25は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0024】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、図1に示すように、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、予約管理手段36、音楽再生制御手段37、映像再生制御手段38、歌唱パート分割手段39、歌唱パート識別表示手段40を備えている。
【0025】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮することができるようになっている。
【0026】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。
【0027】
本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a、歌詞文字表示タイミングデータ33b、歌唱パート分割データ33cが記憶されている。予約待ち行列33aは、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲IDを並べて構成されたデータテーブルであり、選曲者の利用者ID等、他の識別データが紐付けられている場合もある。歌詞文字表示タイミングデータ33bは、楽曲データベース34aから抽出した歌詞文字の表示タイミングに関するデータである。歌唱パート分割データ33cは、歌唱パート識別表示手段40により生成されたデータであり、この歌唱パート分割データ33cに基づいてパート毎に異なる歌詞文字表示が行われる。
【0028】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a、映像データベース34bが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0029】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。演奏データは、各楽曲の演奏を制御するためのデジタルデータであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応して表示される背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0030】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0031】
<予約管理手段>
予約管理手段36は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲された楽曲の楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列33aを生成し、この予約待ち行列33aをRAM33に格納して管理するためのプログラムからなる。カラオケ演奏は、予約待ち行列33aに登録された楽曲ID順に行われ、演奏が終了した楽曲及び予約をキャンセルした楽曲については、その楽曲IDが予約待ち行列から削除される。
【0032】
<歌唱パート分割手段>
歌唱パート分割手段39は、カラオケ楽曲の演奏に際して複数歌唱者モードが選択された場合に、当該カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータ33bに基づいて、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当てるためのプログラムからなる。
【0033】
歌詞文字表示タイミングデータ33bは、MIDI(登録商標)規格により構成されており、例えば、最初の歌詞のワイプ開始時刻を示すコーラスマーク、最後の歌詞のワイプ終了時刻を示すエンディングマーク、間奏区間の直前におけるワイプ終了時刻を示す間奏マーク、歌詞文字表示における各ページの最初のフレーズのワイプ開始タイミングを示すフレーズマーク等がある。本実施形態では、これらの歌詞文字表示タイミングデータ33bのうち、図2に示すように、フレーズマーク及びサビマークを利用して、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当て歌唱パートを分割する。
【0034】
すなわち、利用者がカラオケリモコン装置の入出力表示部(図示せず)を操作してデュエット歌唱を行う旨の指示を行うと、歌唱者モード設定手段22cの機能により複数歌唱者モードが設定される。そして、複数歌唱者モードが設定されると、歌唱パート分割手段39は、フレーズマークを識別する毎に、このフレーズマークから開始する歌詞文字群を1つの歌唱パートとして、フレーズマーク毎に歌唱パートを分割する。すなわち、ソロ曲について2人で歌唱を行う場合には、フレーズマーク毎に、交互にAパートとBパートとに分割される。
【0035】
また、本実施形態の歌唱パート分割手段39は、特定の歌唱区間(例えば、歌唱区間の中で一番盛り上がるサビ区間)を識別するための歌詞文字表示タイミングデータ33b(例えば、サビマーク)が付された歌唱区間を特定歌唱パートとして分割することができる。この場合には、サビマークに基づいて、サビ区間を特定歌唱パートとして分割する。後に詳述するが、この特定歌唱パートについては、複数の歌唱者が同時に歌唱可能となるように、歌詞文字を識別表示する。すなわち、歌唱区間の中で一番盛り上がるサビ区間については、誰でもが歌唱を欲する歌唱区間であるため、複数の歌唱者が同時に歌唱できるような歌詞文字表示を行う。
【0036】
このように、特定歌唱区間(例えばサビ区間)を特定歌唱パートとして分割して、複数の歌唱者が同時に歌唱可能となるように歌詞文字を識別表示することにより、同時に歌唱する歌唱者の連帯感が増して、より一層、歌唱の楽しさを増加させることが可能となる。
【0037】
なお、歌唱パート分割手段39で分割する歌唱パートは、上述した態様に限られず、Aパート、Bパート、Cパートのように歌唱パートを3つに分割し、3人で歌唱を行うようにしてもよいし、さらに、4人以上で歌唱を行うようにしてもよい。
【0038】
<歌唱パート識別表示手段>
歌唱パート識別表示手段40は、複数歌唱者モードが選択されていない場合には、一連の歌詞文字群を単一の表示態様で表示させ、複数歌唱者モードが選択された場合には、歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させるためのプログラムからなる。すなわち、フレーズマークから開始する歌唱区間を1つの歌唱パートとして、各歌唱パートを順番に識別可能となるように、歌詞文字の表示態様を変えて表示させる。例えば、歌唱パートがAパートとBパートとに分割された場合には、Aパートとなる歌詞文字の先頭に識別標識(例えばクラブマーク)を表示すると共に、歌詞文字を青色で表示し、Bパートとなる歌詞文字の先頭に識別標識(例えばハートマーク)を表示すると共に、歌詞文字をピンクで表示する。これにより、歌唱者は、AパートとBパートを明確に区別して、自らが歌唱する歌唱パートを認識することができる。
【0039】
また、本実施形態の歌唱パート識別表示手段40は、特定歌唱パート(サビ区間)について、複数の歌唱者が同時に歌唱可能となるように歌詞文字を識別表示させることができる。この場合には、歌唱パート識別表示手段40の機能により、通常の歌唱パートについては、二人の歌唱者が交互に歌唱できるような識別表示を行わせ、特定歌唱パート(サビ区間)については、二人の歌唱者が同時に歌唱できるような識別表示を行わせる。すなわち、Aパート及びBパートについては、上述したように、歌詞文字の先頭にそれぞれ異なる識別標識を付すと共に、歌詞文字を青色又はピンクで表示する。一方、特定歌唱パート(サビ区間)では、歌詞文字の先頭にAパートとBパート双方の識別標識(例えばクラブマークとハートマーク)を同時に表示すると共に、歌詞文字を黒色で表示する。
【0040】
なお、各歌唱パートを識別表示するための方法は、上述したものに限られず、歌詞文字の表示フォントを変えたり、歌詞文字の大きさを変えたり、歌詞文字の表示位置を変えたりする等、種々の方法を採用することができる。
【0041】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段37は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データに基づいて、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ26に出力するための電子回路である。上述したように、ミキシングアンプ26は、マイクロホン24から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段37から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ23より出力させるための装置である。
【0042】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段38は、カラオケ楽曲を演奏する際に、映像データベース34bから抽出した当該カラオケ楽曲の背景映像データと、演奏データに含まれる歌詞描出データに基づいて生成される歌詞文字とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置25に出力するためのプログラムからなる。
【0043】
<歌詞文字表示制御処理>
図3〜図6を参照して、本実施形態の歌詞文字表示制御処理について説明する。図3及び図4は、デュエットモードで2人が交互に歌唱する例を示すもので、図5及び図6は、デュエットモードで2人が交互に歌唱すると共に、サビ区間では2人が同時に歌唱する例を示すものである。
【0044】
図3及び図4に示す例では、ソロ曲について複数歌唱者モードが設定される(デュエットモードがオンとなる)と、次のフレーズマークから歌唱パートの分割及び歌詞文字の識別表示が開始する。すなわち、複数歌唱者モードが設定されていない場合(デュエットモードがオフの場合)には、図4(a)に示すように、通常のソロ曲と同様の表示態様で歌詞文字が表示される。一方、複数歌唱者モードが設定される(デュエットモードがオンとなる)と、図4(b)に示すように、分割された歌唱パート毎に、Aパートとなる歌詞文字の先頭にクラブマークを表示すると共に、歌詞文字を青色で表示し、Bパートとなる歌詞文字の先頭にハートマークを表示すると共に、歌詞文字をピンクで表示する。さらに、AパートとBパートとで、異なる表示フォントで歌詞文字を表示する。そして、複数歌唱者モードが解除される(デュエットモードがオフとなる)と、次のフレーズマークから歌唱パートの分割及び歌詞文字の識別表示が終了する。
【0045】
なお、図3に示す例では、フレーズマーク毎に歌唱パートを交互に切り換えているが、2つのフレーズマークを一纏めとして、2フレーズ毎に歌唱パートを交互に切り換える等、複数のフレーズマークを一纏めとして歌唱パートを交互に切り換えてもよいし、歌唱パートを3種類以上に分割してもよい。また、歌唱パートの分割を行わない場合には、デフォルトの歌詞文字フォントを用意して表示を行ってもよいし、Aパート又はBパートの歌詞文字フォントのいずれか一方を用いて表示を行ってもよい。
【0046】
図5及び図6に示す例では、ソロ曲についてデュエットモードがオンとなると、次のフレーズマークから歌唱パートの分割及び歌詞文字の識別表示が開始する。ここで、サビマークを含む歌唱区間(サビ区間)が存在すると、図6に示すように、サビ区間については、歌詞文字の先頭にクラブマークとハートマークの双方を同時に表示すると共に、歌詞文字を黒色で表示する。そして、デュエットモードがオフとなると、次のフレーズマークから歌唱パートの分割及び歌詞文字の識別表示が終了する。Aパート及びBパートについては、上述した例と同様に歌詞文字の識別表示が行われる。なお、複数歌唱者モードが設定されていない場合(デュエットモードがオフの場合)には、図4(a)と同様に、通常のソロ曲と同様の表示態様で歌詞文字が表示される。
【0047】
<他の実施形態>
本発明のシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。さらに、カラオケ本体21をカラオケサーバとネットワーク接続することにより、利用者情報等を一元的に管理することができる。
【符号の説明】
【0048】
10 歌唱誘導システム
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c 歌唱者モード設定手段
23 スピーカ
24 マイクロホン
25 表示装置
26 ミキシングアンプ
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 歌詞文字表示タイミングデータ
33c 歌唱パート分割データ
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
35 送受信手段
36 予約管理手段
37 音楽再生制御手段
38 映像再生制御手段
39 歌唱パート分割手段
40 歌唱パート識別表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単独の歌唱者が歌唱することが想定されているカラオケ楽曲について、複数の歌唱者が順番に歌唱可能となるように誘導を行うための歌唱誘導システムであって、歌唱パート分割手段と、歌唱パート識別表示手段と、を備え、
前記歌唱パート分割手段は、前記カラオケ楽曲の演奏に際して複数歌唱者モードが選択された場合に、当該カラオケ楽曲の歌詞文字の表示タイミングを制御するための歌詞文字表示タイミングデータに基づいて、一連の歌詞文字群を複数に分割し、それぞれ分割された歌詞文字群を複数の歌唱パートに割り当て、
前記歌唱パート識別表示手段は、前記複数歌唱者モードが選択されていない場合には、前記一連の歌詞文字群を単一の表示態様で表示させ、前記複数歌唱者モードが選択された場合には、前記歌唱パート毎の歌詞文字群をそれぞれ識別可能に表示させる、
ことを特徴とする複数歌唱者による歌唱誘導システム。
【請求項2】
前記歌詞文字表示タイミングデータは、フレーズ単位で表示される歌詞文字群の表示タイミングを制御するデータであることを特徴とする請求項1に記載の複数歌唱者による歌唱誘導システム。
【請求項3】
前記歌唱パート分割手段は、前記それぞれ分割された歌詞文字群を所定の順番にて複数の歌唱パートに割り当てることを特徴とする請求項1又は2に記載の複数歌唱者による歌唱誘導システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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