説明

複数病原菌検出の方法

培養方法は、検出アッセイの1種以上の標的病原菌と競合する微生物とを有する試料を、酸素不足の条件下で増殖培地中で培養するステップを含む。増殖培地は非選択培地であってよい。酸素不足の条件は、競合する微生物が標的病原菌の増殖を抑制するのを防止するのに効果的である。この方法は、高多孔質濾過材料および多孔質球状濾過助剤を使用する大容量の微粒子試料のための試料調製方法と組み合わせて使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、競合する微生物を含む試料中におけるリステリア属の細菌の高感度の検出を可能にする方法に関する。本開示は、競合する微生物を含む試料中におけるリステリア属、サルモネラ属および大腸菌属の細菌を含む複数種の病原菌の高感度の検出を可能にする方法にも関する。さらに、本開示は、高多孔質濾過および多孔質球状濾過助剤を使用して、低コストおよび短い実時間での、大容量の微粒子試料中の複数種の病原菌の高感度の検出を可能にする方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書では文書、行為または知識項目が言及され、または考察されるが、本明細書においてこの言及または考察は、当該文書、行為もしくは知識項目またはその任意の組合せが、優先日に公衆に利用可能であったこと、公然知られていたこと、一般的な通常の知識の一部であったこと、または別の方法で適用される法律の条項下で先行技術を構成すること、または本明細書が関与するいずれかの課題を解決する試みと関連があると知られていることを認めるものではない。
【0003】
米国疾病予防管理センター(CDC)による最近の概算によれば、食物媒介病原菌は、毎年、合衆国内だけでも疾病のうちの7600万症例、325,000件の入院、および5000件の死亡の原因となっている。これらの食物が媒介する疾病の大発生は、人への有害な影響に加えて、医療費、生産性の損失、商品の回収、および輸出の停止による弊害のある経済的影響を及ぼす。そのような病原菌は少量でも食中毒または集団発生をも引き起こし得るため、米国農務省(USDA)は特定の食物媒介病原菌に対してはゼロトレランス政策を推奨している。したがって、数グラムの食物試料中の1コロニー形成単位(cfu)の病原菌を検出することができる高感度の病原菌検出技術の開発が必要である。
【0004】
リステリア・モノサイトゲネス(Listeria monocytogenes(L.monocytogenes))、サルモネラ(Salmonella)種、大腸菌(Escherichia coli(E.coli))O157:H7およびカンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)などの食物媒介病原菌に対する多くの現在利用可能な検出技術および製品があるにもかかわらず、数グラムの食物試料において1cfuの病原菌を24時間の枠内で検出することは依然として困難である。従来法では、病原菌は希釈および均質化により食物試料から抽出され、数百ミリリットルまたはそれよりも多い試料体積が得られる。そのような大容量の試料中の少数の病原菌を検出するためには、病原菌を、その濃度が適切な病原菌検出アッセイの検出閾値に達するまで培養する必要がある(前濃縮)。前濃縮に必要な時間は、倍加時間、病原菌の生存率、検出閾値、および均質化された食物試料の任意の増殖抑制効果に依存する。前濃縮は通常、少なくとも12〜48時間かかる。より選択的な増殖培地における二次濃縮は、対象の病原菌をより選択的に濃縮するのに有用であり得るが、さらになお長い時間がかかる。前濃縮のせいで、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)および酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)などの高感度検出アッセイを使用しても、食物試料における低濃度の病原菌汚染の検出には1日〜2日はかかることがある。
【0005】
L.モノサイトゲネスは主要な食物媒介病原菌の1つであり、食物媒介疾病の数回の大発生の原因であった。従来法では、食物試料中の少量のL.モノサイトゲネスを検出するためには、リステリア選択増殖培地を使用して、同一試料中の競合する微生物の増殖を抑制することによりL.モノサイトゲネスを選択的に濃縮する。L.モノサイトゲネスよりも高い開始濃度を有し増殖速度が速い競合する微生物は、培養物で優勢を占め、非選択増殖培地または弱い選択増殖培地ではL.モノサイトゲネスの連続増殖を抑制し得る(ジェイムソン効果)。競合する微生物が存在すると、L.モノサイトゲネスの濃度が検出閾値に到達することができる前に、さらに強い選択増殖培地における二次濃縮が必要になることがある。
【0006】
選択増殖培地は、競合する微生物の増殖を抑制する抗生物質などの選択作用物質の組合せを含有していてもよい。選択増殖培地の選択性は、選択作用物質の濃度により制御され得る。選択作用物質を使用することに付随する不利な点の1つは、多くの選択作用物質が、特に比較的高濃度では、損傷を受けた病原菌の蘇生を妨げ健康な病原菌の増殖速度を低下させることである。もう1つの不利な点は、食物試料を複数種の病原菌について検査する必要がある場合、試料を等分し各アリコートを対象の種それぞれに特異的な選択増殖培地において培養することが必要になることである。
【0007】
選択増殖培地の不利な点を考慮すると、選択増殖培地を使用せずに、食物試料中の複数の病原菌種を同時に検出することができるアッセイが望ましい。ジェイムソン効果のために、特に増殖速度が遅いリステリア種が対象であり競合する微生物が試料中に存在する場合は、非選択増殖培地においてアッセイの検出閾値まで複数の病原菌種を濃縮するのは困難である。
【0008】
米国特許第5,145,786号、米国特許出願公開第2008/0014578号、およびAppl.Environ.Microbiol.2008、74、4853〜4866頁(これら文献はすべて参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする)にそれぞれ開示されているユニバーサルプレエンリッチメントブロス(UPB)、No.17ならびにサルモネラ菌、大腸菌およびリステリア(SEL)の増殖を促進するための濃縮ブロスなどのいくつかの増殖培地は、食物試料からのL.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の同時増殖を支持するように開発された。UPBは、培養中の競合する微生物の増殖に起因する急速なpH低下を防ぐために、高度に緩衝されており炭水化物が少ない。したがって、UPBは損傷した病原菌でも同時濃縮を支持することができる。No.17はUPBと類似の培地組成を有する。SELは、リステリア選択増殖培地である緩衝されたリステリア濃縮ブロス(BLEB)を基に、サルモネラ菌および大腸菌O157の増殖を支持するために抗生物質の濃度を下げることにより開発された。これらの増殖培地は、食物試料からこれらの病原菌を首尾よく濃縮することが報告されているが、実際の食物検査におけるその適用はさらに評価されなければならない。カンピロバクター(Campylobacter)種、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌および大腸菌O157の同時濃縮に関してはこれまで報告はない。なぜならば、カンピロバクター培養物の濃縮は微好気的環境で行われることが多く、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌、および大腸菌O157は通常、好気的環境において濃縮されるためである。
【0009】
本明細書に記載されているのは、非選択増殖培地中の溶存酸素の濃度を制限することにより複数の病原菌種を同時に濃縮するための新規な方法である。
【0010】
本発明の開示を促進するために従来の技術の特定の態様を考察してきたが、本出願人らは、これらの技術的態様の請求権を決して放棄することはなく、請求項に記載される発明は本明細書に考察される従来の技術的態様のうちの1つ以上を包含する、または含む可能性があることが企図されている。
【0011】
[定義]
本明細書において具体的に定義されている場合を除き、技術用語および科学用語はすべて、関連技術の当業者により一般的に理解されているのと同じ意味を有する。また、本明細書において特定されるすべての出版物、特許出願公開、および特許は、参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。
【0012】
本明細書で使用されるように、「酸素不足」は、周囲環境における酸素濃度よりも低い溶存酸素濃度を意味する。
【0013】
本明細書で使用されるように、「選択作用物質」または「選択培地」は、培養物中で非標的微生物または競合する微生物の増殖を抑制するように作用する作用物質または1種以上の作用物質を含有する培地を意味する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記の欠陥の問題のうちの1つ以上に随意に対処する。
【課題を解決するための手段】
【0015】
したがって、本発明は、少なくとも1種の標的病原菌と競合する微生物とを含む試料を、酸素不足の条件下で増殖培地中で培養するステップを含むジェイムソン効果を防止するための培養方法などの方法を含んでもよい。
【0016】
さらなる態様によれば、本発明は、少なくとも1種の標的病原菌と、前記少なくとも1種の標的病原菌よりも高い開始濃度を有するおよび/または増殖速度がより速い競合する微生物とを含む試料を、酸素不足の条件下で非選択増殖培地中で培養するステップと、前記少なくとも1種の標的病原菌の存在および/または濃度を検出する検出アッセイを行うステップとを含むジェイムソン効果を防止するための培養方法を含む。
【0017】
さらなる任意の態様によれば、本発明は、以下の追加の態様および/またはステップ、すなわち、
・ 前記競合する微生物が、前記少なくとも1種の標的病原菌よりも増殖速度が速くおよび/または高い開始濃度を有する上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地が非選択増殖培地を含む上記方法(複数可)、
・ 前記競合する微生物が、前記標的病原菌よりも少なくとも100倍高い開始濃度を有する上記方法(複数可)、
・ 前記標的病原菌が、リステリア属、サルモネラ属、大腸菌属、およびカンピロバクター属のうちの1種以上を含む上記方法(複数可)、
・ 前記少なくとも1種の標的病原菌を検出するおよび/または定量化するための検出アッセイを行うステップをさらに含む上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の50%未満、場合により大気中の酸素濃度の25%未満、大気中の酸素濃度の10%未満、または大気中の酸素濃度の5%未満である上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の50%未満、たとえば、6.6mg/L未満である上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の25%未満、たとえば、3.3mg/L未満である上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の10%未満、たとえば、1.3mg/L未満である上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地が、ブレインハートインフージョンブロス、ニュートリエントブロス、またはトリプチックソイブロスである上記方法(複数可)、
・ 前記標的病原菌を検出および/または定量化するために検出アッセイが使用され、前記検出アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、またはルミネックスシステムを含む上記方法(複数可)、
・ 前記試料が少なくとも2種の標的病原菌を有する上記方法(複数可)、
・ 前記増殖培地が非選択培地である上記方法(複数可)、
・ 前記非選択培地が抗生物質を含まない上記方法(複数可)、
・ 前記酸素不足の条件が、前記試料を酸素が20%未満の雰囲気下で培養するステップ、前記増殖培地に酸素枯渇剤を添加するステップ、前記試料を密封容器内で培養するステップ、静置培養するステップ、および/または前記増殖培地の表面に油の層を適用するステップによって確立される上記方法(複数可)、
・ 前記酸素枯渇剤が、オキシラーゼ(Oxyrase)酵素、アルコールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、システイン、および/またはクエン酸チタン(III)である上記方法(複数可)、
・ 前記培養培地が、液体培地、半流動体培地、または固体培地である上記方法(複数可)、
・ 前記試料が、前記標的病原菌および前記競合する微生物を大容量の微粒子試料から回収するために使用される高多孔質濾過材料上に配置される上記方法(複数可)、ならびに/または
・ 前記少なくとも1種の標的病原菌がリステリア属の細菌である上記方法(複数可)
の1つ以上、または1つ以上の任意の組合せをさらに含み得る。
【0018】
本発明は、上で考察された先行技術の問題点および欠陥のうちの1つ以上に対処してもよい。しかし、本発明は、他の問題点および欠陥に対処するのに有用であることが判明し得ること、または多くの技術領域において利益および利点を提供し得ることが企図されている。したがって、請求項に記載される発明は、必ずしも本明細書において考察される特定の問題点または欠陥のいずれかに対処することに限定されると解釈されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1A】好気的(白丸)および酸素不足(黒丸)の培養条件下での単独培養におけるL.モノサイトゲネスの増殖速度を示す図である。
【図1B】好気的(白丸)および酸素不足(黒丸)の培養条件下での混合培養におけるL.モノサイトゲネス(実線)および大腸菌O1:K1:H8(点線)の増殖速度を示す図である。
【図1C】好気的(白丸)および酸素不足(黒丸)の培養条件下での混合培養におけるL.モノサイトゲネス(実線)および大腸菌O1:K1:H8(点線)の増殖速度を示す図である。
【図2】3つの異なる酸素濃度下で24時間培養された、L.モノサイトゲネスおよび大腸菌O1:K1:H8を含有する3つの試料におけるL.モノサイトゲネスの検出アッセイ結果を示す図である。
【図3】別の3つの異なる酸素濃度下で24時間培養された、L.モノサイトゲネスおよび大腸菌O1:K1:H8を含有する3つの試料におけるL.モノサイトゲネスの検出アッセイ結果を示す図である。
【図4】好気的および酸素不足の培養条件下で24時間培養された、L.モノサイトゲネスおよび大腸菌O1:K1:H8を含有する均質化された(homogenated)牛ひき肉の試料におけるL.モノサイトゲネスの検出アッセイ結果を示す図である。
【図5】好気的および酸素不足の培養条件下で、異なる増殖培地において24時間培養された、L.モノサイトゲネス、大腸菌O157:H7、および大腸菌O1:K1:H8を含有する試料におけるL.モノサイトゲネスの検出アッセイ結果を示す図である。
【図6】好気的および酸素不足の培養条件下で24時間培養された、L.モノサイトゲネスおよび競合する微生物を含有する9つの試料におけるL.モノサイトゲネスの検出アッセイ結果の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
記載されている実施形態は本発明の好ましい実施形態を表すが、本発明の趣旨を逸脱することなく当業者は変更を思い付くだろうことが理解されるべきである。したがって、本発明の範囲は、添付されている特許請求の範囲によってのみ決定されるべきである。
【0021】
本発明の特定の態様に従えば、酸素不足の培養は、ジェイムソン効果、すなわち、培養物中の高い全微生物濃度はその中のあらゆる微生物の増殖を抑制するという現象を効果的に予防することができる。特に、酸素不足の培養は、抗生物質などのいかなる選択作用物質も使用せずに、競合する微生物が高い開始濃度を有する試料においてさえL.モノサイトゲネスの連続増殖を促進することができる。これとは対照的に、競合する微生物が高い開始濃度を有する試料におけるL.モノサイトゲネスの増殖は、ジェイムソン効果のために好気的培養では抑制され、L.モノサイトゲネスの培養後の濃度は、従来の検出アッセイの検出閾値に到達することができない。酸素不足条件および好気的条件は単独培養(すなわち、L.モノサイトゲネスのみで開始する培養)でのL.モノサイトゲネスの増殖速度にいかなる差も生じず、このことはいくつかの出版物により裏付けられているため、この結果は思いがけないものであった。さらに、本発明に従えば、酸素不足条件および好気的条件は、単独培養で損傷を受けたL.モノサイトゲネスの蘇生にそれほど影響を与えないことが観察された。
【0022】
本発明の原則に従って実施される培養方法は、1種以上の標的病原菌と、該標的病原菌よりも高い開始濃度を有するおよび/または増殖速度が速い競合する微生物とを含有する試料を、酸素不足の条件下で非選択増殖培地中で培養するステップと、場合により、該標的病原菌を検出するステップとを含む。
【0023】
増殖培地は、一般に、病原菌増殖のための炭素源、窒素源、アミノ酸、および様々な塩の1つ以上を含む。増殖培地は、L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種、および大腸菌O157:H7などの複数の病原菌の増殖ならびに熱、冷却、酸、アルカリ、冷蔵、凍結、圧力、および/または真空などの状態により損傷を受けた病原菌の急速蘇生を支持する非選択増殖培地であり得る。L.モノサイトゲネス、サルモネラ菌種、および大腸菌O157:H7のための好ましい増殖培地には、ブレインハートインフージョンブロス、ニュートリエントブロス、およびトリプチックソイブロスが含まれる。または、増殖培地は、競合する微生物に対する抗生物質などの1つ以上の選択作用物質を含む選択増殖培地であり得る。しかし、選択作用物質の濃度が高い培地は、損傷を受けた病原菌の蘇生を妨げ、培養物中のすべての病原菌の増殖速度を下げることがある。増殖培地は、培養中の増殖培地のpHを維持するために、好ましくはpH5〜9の1〜500mMのリン酸緩衝液、さらに好ましくはpH5.5〜8.5の10〜200mMのリン酸緩衝液を用いて緩衝することができる。
【0024】
酸素不足の培養は、溶存酸素が制限されている増殖培地において本発明に従って行うことができる。増殖培地は、半流動体培地、固体培地、または好ましくは液体培地でもよい。酸素不足の条件は、培養中の増殖培地における溶存酸素濃度が大気中の酸素濃度未満であることを意味する。より具体的には、増殖培地中の溶存酸素濃度は、酸素不足の条件下にある。よって、酸素濃度は大気中の酸素濃度の50%未満(たとえば、6.6mg/Lもしくはそれ未満)、あるいは25%未満(たとえば、3.3mg/Lもしくはそれ未満)、または10%未満(たとえば、1.3mg/Lもしくはそれ未満)でもよい。溶存酸素濃度は、Oakton DO300シリーズメータなどの市販の溶存酸素センサーにより測定することができる。増殖培地の酸素濃度は、オキシラーゼ酵素(Oxyrase,Inc.、OH)、アルコールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、システインおよびクエン酸チタン(III)などの酸素枯渇剤を増殖培地に添加することにより制御することができる。たとえば、0g/L、0.25g/L、0.5g/L、1.0g/L、2.0g/L、または4.0g/LのL−システインを添加した5mLのBHI培地の溶存酸素濃度は、それぞれ8.1mg/L、2.4mg/L、0.92mg/L、0.01mg/L未満、0.01mg/L未満、および0.01mg/L未満であった。別の例では、ブロス用のオキシラーゼまたは寒天用のオキシラーゼ(Oxyrase,Inc.、OH)を20μL/mLまたは100μL/mL添加した5mLのBHIブロスの溶存酸素濃度は、酸素センサーの検出範囲よりも低い、または0.01mg/L未満であった。培養中の増殖培地の酸素濃度は、試料を密封容器内で培養すること、試料を酸素不足の雰囲気(たとえば、50%未満の酸素)中で培養すること、酸素溶解を抑制する静置培養、および/または酸素溶解を抑制する油の層(たとえば、鉱油)を培養物と雰囲気との界面に適用することによって酸素の換気を制限するなどの方法により制御することも可能である。品質管理のために、培養中の増殖培地の溶存酸素濃度を直接的にまたは間接的にモニターすることも有用であり得る。容器内の培養物上の気体酸素濃度を測定することにより溶存酸素濃度の間接的測定を行うことができる。RedEye酸素センサーパッチ(Ocean Optics、FL)などの使い捨ての酸素センサーは、酸素不足の培養物の酸素濃度を非侵襲的な形でモニターするのに有用であり得る。
【0025】
本明細書に記載される方法には著しい利点がある。この方法は、標的病原菌よりも高い開始濃度を有するおよび/または増殖速度が速い競合する微生物(たとえば、大腸菌、サルモネラ菌、または食物試料中に頻繁に存在する他の微生物)の存在下で、試料中の複数種の標的病原菌(たとえば、リステリア属(たとえば、L.モノサイトゲネス)、サルモネラ属、大腸菌属、および/またはカンピロバクター属における種)の同時培養を可能にする。従来の好気的培養物中のそのような競合する微生物は、ジェイムソン効果のために標的病原菌の増殖を抑制する。これとは対照的に、本発明の方法における酸素不足の条件は、競合する微生物が存在するにもかかわらず標的病原菌の増殖を促進し、ジェイムソン効果を防止する。
【0026】
標的病原菌が検出アッセイの検出閾値レベルに到達すると、本明細書に記載される通りに行われる培養物中の標的病原菌を検出するために検出アッセイを使用することができる。複数種の標的病原菌を別々にまたは同時に検出することができる。検出アッセイは、ゲノムDNA、リボソームRNA、トランスファーRNA、メッセンジャーRNA、またはタンパク質などの標的病原菌の特徴的細胞成分を抽出し検出することを含み得る。特徴的細胞成分は、標準的な分子生物学的手法または市販品を使用することにより抽出され、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、他の任意の等温核酸増幅、核酸プローブ、および/またはバイオセンサーなどの従来の手法により検出することができる。複数種の標的病原菌を別々に検出するためには、培養物または抽出された特徴的細胞成分は、アリコートに分割されることができ、そのアリコートの各々が標的病原菌の種に特異的な検出アッセイにより試験される。複数種の標的病原菌を同時に検出するためには、培養物または抽出された特徴的細胞成分を、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、およびルミネックスシステムなどの従来のマルチプレックス病原菌検出アッセイにより試験することができる。
【0027】
本発明の方法は、同一出願人によるPCT出願の国際公開第2009018544号に開示される高多孔質濾過材料および多孔質球状濾過助剤を使用する大容量の微粒子試料のための試料調製方法と組み合わせて使用することができ、この特許文献は参照することによりその全体が本明細書の一部をなすものとする。具体的には、食物ホモジネートおよび環境試料などの大容量の微粒子試料は、試料中の病原菌を固定化することができる高多孔質濾過材料により濾過することができる。濾過材料は、上記のように溶存酸素濃度が制限された増殖培地において(すなわち、酸素不足の培養条件下で)培養することができる。増殖培地の最適な体積は、濾過材料のサイズに依存する。最大病原菌濃度を得るためには、固定化された病原菌の増殖を支持するのに十分な最少量の増殖培地を使用するのが好ましい。たとえば、径が47mmの濾過材料では5mL未満または径が70mmの濾過材料では10mL未満が好ましい。培養の終了時には、標的病原菌を増殖培地から回収することができる。標的病原菌の回収率を最大にするためには、濾過材料からの標的病原菌抽出および/または標的病原菌の増殖を促進するように、培養前、培養中、または培養後に、濾過材料を引き裂き、寸断し、砕きまたは切断して小断片にすることができる。増殖培地中の標的病原菌は、上文に記載されるアッセイを使用して検出することができる。
【実施例1】
【0028】
競合する微生物(大腸菌)の非存在下および存在下、好気的および酸素不足の条件において、L.モノサイトゲネスの増殖速度をそれぞれ調べた。
【0029】
[L.モノサイトゲネスの単独培養]
6.1cfu/mLのL.モノサイトゲネス4bを播種された2つの5mLのブレインハートインフージョンブロス試料は、それぞれ好気的および酸素不足の条件下、37℃、回転振盪機(250rpm)上で培養された。好気的条件は、培養中に空気を換気させることにより確立され、酸素不足の条件は空気の換気を妨げることにより確立された。L.モノサイトゲネスの増殖曲線を構築するために、L.モノサイトゲネスは、24時間までのいくつかの培養時点でプレート計数法により検出された。図1Aに示されるように、好気的条件(白丸)および酸素不足の条件(黒丸)下で培養された試料間のL.モノサイトゲネスの増殖速度に有意差は観察されなかった。
【0030】
[L.モノサイトゲネスと競合する微生物との同時培養]
6.1cfu/mLのL.モノサイトゲネス4bと、8.3×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8とが播種された2つの5mLのブレインハートインフージョンブロス試料は、単独培養で行われた通りに、それぞれ好気的および酸素不足の条件下、37℃、回転振盪機(250rpm)上で培養された。L.モノサイトゲネス(実線)および大腸菌O1:K1:H8(点線)の増殖曲線を構築するために、L.モノサイトゲネスおよび大腸菌O1:K1:H8は、24時間までのいくつかの培養時点でプレート計数法により検出された。図1Bに示されるように、好気的条件下で培養された試料(白丸)と比べて酸素不足の条件下で培養された試料(黒丸)においてL.モノサイトゲネスの増殖は著しく促進された。
【0031】
[L.モノサイトゲネスと競合する微生物との同時培養]
6.8cfu/mLのL.モノサイトゲネスと、6.4×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8とが播種された2つの5mLのブレインハートインフージョンブロス試料は、上記の単独培養で行われた通りに、それぞれ好気的および他の酸素不足の条件下、37℃で培養された。好気的条件は、回転インキュベーション(250rpm)を通じて空気を換気させることにより作り出され、酸素不足の条件は、静置インキュベーションを通じて空気の換気を妨げることにより作り出された。L.モノサイトゲネス(実線)および大腸菌O1:K1:H8(点線)の増殖曲線を得るために(図1C)、L.モノサイトゲネスおよび大腸菌O1:K1:H8は、24時間までのいくつかのインキュベーション時点でプレート計数法により検出された。好気的インキュベーション(白丸)と比べると、L.モノサイトゲネスの増殖は酸素不足のインキュベーション(黒丸)により著しく促進された。
【実施例2】
【0032】
[競合する微生物と同時培養のL.モノサイトゲネスの増殖に対する増殖培地中の溶存酸素濃度の効果]
第一組の実験では、1cfu/mLのL.モノサイトゲネス4bと、1×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8とが播種された3つの5mLのブレインハートインフージョンブロス試料が、それぞれ(上から下への)空気換気、空気換気なし、および空気換気なしと100μL/mLの寒天用のオキシラーゼ(Oxyrase、OH)により確立された異なる溶存酸素濃度で、37℃、回転振盪機(250rpm)において培養された。溶存酸素濃度は、空気換気について8.7mg/L、空気換気なしについて8.1mg/L、空気換気なしと100μL/mLの寒天用のオキシラーゼについて0.01mg/L未満と推定された。24時間培養後、L.モノサイトゲネスは、プレート計数法により検出され定量化された。図2に示されるように、L.モノサイトゲネスの増殖は、溶存酸素濃度を下げることにより著しく促進された。
【0033】
第二組の実験では、6.0cfu/mLのL.モノサイトゲネス4bと、7.0×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8とが播種された3つの5mLのブレインハートインフージョンブロス試料が、それぞれ(上から下への)空気換気なし、空気換気なしと0.5g/LのL−システイン、および空気換気なしと2.0g/LのL−システインにより確立された異なる溶存酸素濃度で、37℃、回転振盪機(250rpm)において培養された。溶存酸素濃度は、空気換気なしについて8.1mg/L、空気換気なしと0.5g/LのL−システインについて0.92mg/L、および空気換気なしと2.0g/LのL−システインについて0.01mg/L未満と推定された。24時間培養後、L.モノサイトゲネスは、プレート計数法により検出され定量化された。図3に示されるように、L.モノサイトゲネスの増殖は、溶存酸素濃度を下げることにより著しく促進された。
【実施例3】
【0034】
[10%牛ひき肉ホモジネートにおけるL.モノサイトゲネスと競合する微生物との同時培養]
5mLの10%牛ひき肉ホモジネートの2つの試料は、ブレインハートインフージョンブロス中で消化することにより調製され、7.3cfu/mLのL.モノサイトゲネス4bおよび7.9×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8を播種された。試料は好気的および酸素不足の条件下、37℃、回転振盪機(250rpm)において培養された。好気的条件は空気を換気させることにより確立された。酸素不足の条件は、空気の換気を妨げ、培養物にブロス用の20μL/mLのオキシラーゼ(Oxyrase、OH)を添加することにより確立された。溶存酸素濃度は、好気的条件について8.7mg/L、酸素不足の条件について0.01mg/L未満と推定された。24時間培養後、L.モノサイトゲネスは、プレート計数法により検出され定量化された。図4に示されるように、L.モノサイトゲネスの増殖は、酸素不足の条件下で培養された試料において著しく促進された。
【実施例4】
【0035】
5mLのトリプチックソイブロス(TSB)の2つの試料、5mLのニュートリエントブロス(NB)の2つの試料、およびブレインハートインフージョンブロス(BHI)中で消化することにより調製された5mLの10%デリ・ミート(deli meat)ホモジネートの2つの試料であって、それぞれが7.4cfu/mLのL.モノサイトゲネス4b、1.0cfu/mLの大腸菌O157:H7、および7.8×10cfu/mLの大腸菌O1:K1:H8を播種された試料におけるL.モノサイトゲネスと、競合する微生物との同時培養が調べられた。試料は、好気的および酸素不足の条件下、37℃、回転振盪機(250rpm)において培養された。好気的条件は空気を換気させることにより確立された。酸素不足の条件は、空気の換気を妨げ、ブロス用の100μL/mLのオキシラーゼ(Oxyrase、OH)を添加することにより確立された。溶存酸素濃度は、好気的条件について8.7mg/L、酸素不足の条件について0.01mg/L未満と推定された。24時間培養後、L.モノサイトゲネスは、発色性寒天プレートにより検出された。図5に示されるように、L.モノサイトゲネスの増殖は、酸素不足の条件下で培養された試料において著しく促進された。
【実施例5】
【0036】
[10cfu/mL超の競合する微生物の組合せとの同時培養における10cfu/mL未満のL.モノサイトゲネスの増殖の向上が調べられた]
5mLのブレインハートインフージョンブロス、またはブレインハートインフージョンブロス中で消化することにより調製された10%食物ホモジネートは、L.モノサイトゲネス4b、リステリア・イノキュア(Listeria innocua(L.innocua))、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、大腸菌O157:H7、または大腸菌O1:K1:H8を播種された。試料は、好気的および酸素不足の条件下、37℃、回転振盪機(250rpm)において培養された。好気的条件は空気を換気させることにより確立された。酸素不足の条件は、空気の換気を妨げ、20μL/mLまたは100μL/mLのブロス用のオキシラーゼまたは寒天用のオキシラーゼ(Oxyrase、OH)を添加することにより確立された。溶存酸素濃度は、好気的条件について8.7mg/L、酸素不足の条件について0.01mg/L未満と推定された。24時間培養後、L.モノサイトゲネス4b、L.イノキュア、S.チフィムリウム、大腸菌O157:H7、または大腸菌O1:K1:H8は、プレート計数法により検出され定量化された。L.モノサイトゲネスの増殖は、酸素不足の培養により著しく促進され、S.チフィムリウムおよび大腸菌O157:H7などの他の食物病原菌も同時に検出された(図6)。
【0037】
本明細書において使用される成分の量、構成要素、反応条件等を表すいかなる数字も、あらゆる場合に用語「約(about)」に修飾されていると理解されるべきである。記載されている数値の範囲およびパラメータ、本明細書に提示される事項の広い範囲は近似値であるが、記載されている数値はできる限り正確に示されている。しかし、いかなる数値も本質的に、それぞれの測定法に見出される標準偏差から明らかなように、いくらかの誤差または不正確さを含む可能性がある。本明細書に列挙される特質はどれも、用語「意味する(means)」が明確に使用されていなければ、35U.S.C.§112,¶6を想起するものと解釈されるべきではない。
【0038】
本発明はその好ましい実施形態と関連して説明されてきたが、本発明の趣旨と範囲から逸脱することなく、具体的に記載されていない付加、欠失、変更および置換を行い得ることは当業者により認識されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の標的病原菌と競合する微生物とを含む試料を、酸素不足の条件下で増殖培地中で培養するステップを含むジェイムソン効果を防止するための培養方法。
【請求項2】
前記競合する微生物が、前記少なくとも1種の標的病原菌よりも増殖速度が速いおよび/またはより高い開始濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記増殖培地が非選択増殖培地を含む請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記競合する微生物が、前記標的病原菌よりも少なくとも100倍高い開始濃度を有する請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標的病原菌が、リステリア属、サルモネラ属、大腸菌属、およびカンピロバクター属のうちの1種以上を含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記少なくとも1種の標的病原菌を検出および/または定量化するための検出アッセイを行うステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が6.6mg/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が3.3mg/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が1.3mg/L未満である請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記増殖培地が、ブレインハートインフージョンブロス、ニュートリエントブロスまたはトリプチックソイブロスである、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記標的病原菌を検出および/または定量化するために検出アッセイが使用され、前記検出アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、またはルミネックスシステムを含む請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記試料が少なくとも2種の標的病原菌を有する請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記非選択培地が抗生物質を含まない請求項3に記載の方法。
【請求項14】
前記酸素不足の条件が、酸素不足の雰囲気下で前記試料を培養するステップ、前記増殖培地に酸素枯渇剤を添加するステップ、前記試料を密封容器内で培養するステップ、静置培養するステップ、および/または前記増殖培地の表面に油の層を適用するステップによって確立される請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素枯渇剤が、オキシラーゼ酵素、アルコールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、システイン、および/またはクエン酸チタン(III)である請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記培養培地が、液体培地、半流動培地、または固体培地である請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記試料が、前記標的病原菌および前記競合する微生物を大容量の微粒子試料から回収するために使用される高多孔質濾過材料上に配置される請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記少なくとも1種の標的病原菌がリステリア属の細菌である請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の50%未満である請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の25%未満である請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の10%未満である請求項20に記載の方法。
【請求項22】
少なくとも1種の標的病原菌と、前記少なくとも1種の標的病原菌よりも高い開始濃度を有するおよび/または増殖速度がより速い競合する微生物とを含む試料を、酸素不足の条件下で増殖培地中で培養するステップと、前記少なくとも1種の標的病原菌の存在および/または濃度を検出する検出アッセイを行うステップとを含むジェイムソン効果を防止するための培養方法。
【請求項23】
前記競合する微生物が、前記少なくとも1種の標的病原菌よりも増殖速度が高いおよび/またはより高い開始濃度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記増殖培地が非選択増殖培地を含む請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記競合する微生物が、前記標的病原菌よりも少なくとも100倍高い開始濃度を有する請求項22に記載の方法。
【請求項26】
前記標的病原菌が、リステリア属、サルモネラ属、大腸菌属、およびカンピロバクター属のうちの1種以上を含む請求項22に記載の方法。
【請求項27】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、6.6mg/L未満である請求項22に記載の方法。
【請求項28】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、3.3mg/L未満である請求項22に記載の方法。
【請求項29】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、1.3mg/L未満である請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記増殖培地が、ブレインハートインフージョンブロス、ニュートリエントブロス、またはトリプチックソイブロスである請求項22に記載の方法。
【請求項31】
前記検出アッセイが、寒天プレート、発色性寒天プレート、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫クロマトグラフィー、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、逆転写PCR(RT−PCR)、リアルタイムPCR、リアルタイムRT−PCR、核酸配列ベース増幅(NASBA)、ループ媒介等温増幅(LAMP)、等温核酸増幅、核酸プローブ、バイオセンサー、マルチプレックスPCR、マルチプレックスリアルタイムPCR、DNAマイクロアレイ、タンパク質マイクロアレイ、またはルミネックスシステムを含む請求項22に記載の方法。
【請求項32】
前記試料が少なくとも2種の標的病原菌を有する請求項22に記載の方法。
【請求項33】
前記増殖培地が非選択培地である請求項22に記載の方法。
【請求項34】
前記非選択培地が抗生物質を含まない請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記酸素不足の条件が、酸素不足の雰囲気下で前記試料を培養するステップ、前記増殖培地に酸素枯渇剤を添加するステップ、前記試料を密封容器内で培養するステップ、静置培養するステップ、および/または前記増殖培地の表面に油の層を適用するステップによって確立される請求項22に記載の方法。
【請求項36】
前記酸素枯渇剤が、オキシラーゼ酵素、アルコールオキシダーゼ、グルコースオキシダーゼ、システイン、および/またはクエン酸チタン(III)である請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記培養培地が、液体培地、半流動体培地、または固体培地である請求項22に記載の方法。
【請求項38】
前記試料が、前記標的病原菌および前記競合する微生物を大容量の微粒子試料から回収するために使用される高多孔質濾過材料上に配置される請求項22に記載の方法。
【請求項39】
前記少なくとも1種の標的病原菌がリステリア属の細菌である請求項22に記載の方法。
【請求項40】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の50%未満である請求項22に記載の方法。
【請求項41】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の25%未満である請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記増殖培地の溶存酸素濃度が、大気中の酸素濃度の10%未満である請求項41に記載の方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図6】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−517769(P2013−517769A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550017(P2012−550017)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【国際出願番号】PCT/US2011/000124
【国際公開番号】WO2011/090803
【国際公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【出願人】(500294958)ヒタチ ケミカル リサーチ センター インコーポレイテッド (27)
【Fターム(参考)】