説明

複数種の繊維を含む膜フィルタ素子

2つ以上の異なる種類の膜繊維から形成される1つの膜素子に天然ガス流を通過させる。ガスが膜素子を通過するにつれて透過が起きガス組成が変化するが、ガス分離に必要な膜素子の数を低減しガス分離性能を向上させるために、複数の膜繊維は、それぞれ異なる特性を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は全体として、天然ガスの処理に用いる装置に関する。本発明は特に、燃料として天然ガスを使用できるように天然ガス流から酸性ガス及び他の成分を除去する天然ガス分離プロセスに用いる半透膜に関する。
【背景技術】
【0002】
世界で生産される天然ガスの多くは、許容できない高濃度の酸性ガス(主にCO及びHS)を含んでおり、天然ガスを燃料として使用する前に酸性ガスを除去する必要がある。CO/天然ガス分離用の半透膜の使用が知られており、この目的のために渦巻き型及び中空繊維型の膜構成が用いられている。
【0003】
一般に用いられている膜の構成は有機高分子及び共重合体製の繊維材料を含んでおり、例えばポリスルホン、ポリカーボネート、酢酸セルロース、三酢酸セルロース、ポリアミド、ポリイミド、混合マトリックスの膜が挙げられる。使用される繊維材料にかかわらず、膜素子全体は同種の繊維材料から作成される。従って透過が生じるにつれて膜全体の気体特性及び体積が変化しても、これら膜の性能特性は単一かつ固定された範囲に限定される。加えて現在の技術では膜素子の多段階の操作が必要であり、各膜段階での性能の非効率性を部分的に埋め合わせるために、複数の直列の膜群にガスを通過させる。その結果、追加の装置が必要となり最適な膜分離性能より劣ることとなる。
【0004】
大量のCO除去を必要とする用途では、膜素子の性能は、これらの均一な性能特性によって制限を受けうる。例えば、より高いCO条件下で良好に機能する膜繊維は、より低いCO濃度では効率が低いことがある(逆もまた同様である)。その結果システム設計は、膜繊維の性能特性によって制限を受けて妥協することを前提としたものになることが多い。最適な膜分離性能より劣るため、高率のCOを除去するには、追加の装置及び追加の膜素子段階が必要である。加えて、単一種繊維により達成される膜分離性能は全体として効率が劣り、その結果、透過物への炭化水素損失が高くなる。
【0005】
多くの用途において、入口ガスは高率(一般に10〜95%)で入口COを含み、膜素子はCOをバルクで除去するのに用いられる。既に説明したように、高COの用途では、膜素子は、運転時に多段階の膜を直列で作用するように構成されることが多い。これにより装置は非効率な構成となる可能性があり、段階の間で相互接続配管が必要となり、それによって装置の設置面積全体が大きくなり装置にかかる費用も高くなる。多段階の膜がある場合、所望の分離性能特性を維持するために各段階に設けた膜表面積の大きさを個々に調節する必要があるため、各膜段階での流量とCO除去機能とのバランスを取ることが困難となる可能性がある。
【0006】
膜製造における近年の向上によって、1つの膜素子における膜繊維表面積が著しく増加している。例えば図1は、作用膜繊維領域がそれぞれ500及び2500平方フィートである、古い先行技術の5インチ及び12インチ直径CYNARA(登録商標)膜素子10(Cameron International社、テキサス州ヒューストン)を示す。これに対して、作用繊維領域がそれぞれ9000〜40000平方フィートである、新しい16インチ及び30インチ直径の大型膜が開発されている。本明細書に開示する本発明のものと異なり、従来技術では、これら大直径膜は単一種繊維の膜である。これら大直径膜の剪断面積によってより大きな処理容量(capacity)が提供され、小直径膜の場合に必要とされる処理段階より数が少なくて済む。しかしこれら大直径膜では、例えば膜の入口側と出口側との間のCO濃度について、小直径膜より大きな勾配が生じる。大きな勾配があることで、これら大直径の単一種繊維膜素子の効果が低下する可能性がある。
【0007】
膜ガス分離の用途では、ガスが膜束を通過し透過性成分が不透性成分から分離されるにつれて、ガスの相対組成が変化する。同時に、ガスが膜束を通過して透過が起こるにつれて、入口ガスに対する不透性ガス(non-permeate gas)量が低減し、膜に最初に入る入口ガスは、膜束を出る不透性ガスより体積及び透過性成分が多くなる。すなわち多くの場合、ガスは膜を通過するにつれて顕著且つ不均一な組成変化を経る。従って、膜を通過するにつれてガス量と成分が変化しても、ガス分離に必須の性能特性が向上した膜素子が必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高COから低COに至る(又はその逆の)分離範囲を効果的に達成する1つの膜フィルタ素子を提供することにある。本発明の別の目的は、CO及びHSの分離又はCO及び炭化水素露化(hydrocarbon dew pointing)を含む(ただしこれらに限定されるものではない)2つ以上の異なる分離機能に最適化することのできるフィルタ素子を提供することにある。本発明の更に別の目的は、膜効率の向上と更に良好な全体的な分離性及び処理容量を提供することにある。本発明の更に別の目的は、モニタする必要のある濾過段階の数を低減し、プラント運転員が多段階の膜フィルタ素子間の流量を調節したりこれら段階の間の相対的負荷を変化させたりする必要を排除することによって、プロセス制御を単純化することにある。本発明の更なる目的は、入口ガス組成の経時変化に適応する柔軟性を増すことにある。本発明の別の目的はバイパス又はガスチャネリングに対するより大きな抵抗を生じ、従って内部バッフル又はその他のガス分配機構を必要としない膜フィルタ素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による膜フィルタ素子は、1つの膜素子に少なくとも2種の異なる中空繊維を含む。2種の中空繊維は、フィルタ素子の中心に位置する有孔不透性管周りに巻きつけられて、少なくとも2つの周方向領域を設ける。第1の周方向領域は第1の種類の中空繊維を含み、素子の入口ガス流(又は供給)側に位置する。第2の(又はそれに続く)周方向領域は、第2の(又は次の)種類の中空繊維を含み、第1の領域と有孔不透性管との間に位置する。中空繊維の種類は互いに異なるので、第1の領域の性能特性は第2の領域と異なる。異なる性能特性は、複数の中空繊維種間における孔の寸法、壁厚、材料、製造プロセス、又はそれらの組み合わせの差異の作用を原因としうる。例えば好ましい実施形態において、中空繊維種は、透過性(流量又は流速)及び選択性(分離性又はアルファ)において異なる。あるいは中空繊維種は、CO及びHS除去性能又は炭化水素除去性能において異なっていてもよい。更に中空繊維種は、水の露化又は炭化水素の露化性能において異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】直径約5〜30インチにわたる膜フィルタ素子の寸法を比較した図である。
【図2】図1の複数種繊維膜フィルタ素子を構成する中空繊維を示した図である。
【図3】図2に示す束のうちの1つの束に含まれる複数の中空繊維を示した図である。
【図4】図3に示す中空繊維のうちの1本の拡大時に見えうる端面を示した図である。
【図5】外から内へのガス流を受けている図1に示す複数種繊維膜フィルタ素子の端面を示した図である。
【図6】直列に配置した単一種繊維フィルタ素子を利用した、あるいは段階1で第1の繊維種を用い、段階2で第2の繊維種を用いる2つの異なる単一種繊維膜を利用した、先行技術のプロセスを例示する概略図である。
【図7】本発明によるフィルタ素子を利用したプロセスを例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
中空繊維が複数種である膜素子の好ましい実施形態を、図面と図面に例示された下記の要素とを参照に説明する。
10 単一種繊維膜素子
20 複数種繊維膜素子
21 中空繊維
23 21の壁
25 21の孔
27 繊維束
29 束の奥行き
31 繊維の第1の周方向領域
33 繊維の第2の周方向領域
35 有孔不透性管
37 20及び35の中心縦軸
41 20のガス注入口又は供給側
43 20の出口又は不透性側
【0012】
図1では、直径約5〜30インチにわたる膜フィルタ素子の寸法を比較している。本開示のために、2つの小直径膜フィルタ素子10を先行技術の単一種繊維フィルタ素子として例示する。多くの用途では、流入する天然ガスを処理するために、これら単一種繊維素子の幾つかを直列又は段階で配置する必要がある。本発明による複数種繊維膜フィルタ素子の製造用として、12インチ超の直径の膜素子が好ましい。しかし近年、大型の膜素子によって束の奥行がより大きくなっているため、複数種の繊維を1つのフィルタ素子において効果的に使用することが可能となっており、複数個の単一種繊維フィルタ素子や複数の処理段階を必要としない。従って本開示のために、2つの大直径膜フィルタ素子20を、本発明により作成される複数種繊維フィルタ素子として例示する。
図2は、本発明による図1の複数種繊維膜フィルタ素子20を構成する中空繊維を示した図である。中空繊維は有孔不透性管の周りに配置されている。あるいは繊維は、束状に配置されてから管周りに巻きつけられてもよい。
図3は、図2に示す束のうちの1つの束に含まれる複数の中空繊維を示した図である。各繊維の寸法を示すために、繊維をばらしてある。
図4は、図3に示す中空繊維のうちの1本の拡大時に見えうる端面を示した図である。複数種繊維膜フィルタ素子は、この中空繊維を数十万本含む。
図5は、外から内へのガス流を受けている図1に示す複数種繊維膜フィルタ素子20の端面を示した図である。繊維種は全体として2つの周方向領域に配置されている。第1の周方向領域に位置する束は、ある種類の中空繊維を含み、第2の領域に位置する束は、別の種類の中空繊維を含む。中空繊維の種類が異なるので、第1の領域は第2の領域と異なる性能を示す。あるいはガス流は、まず第2の領域を流れ、次いで第1の領域を流れる「内から外へ」の流れであってもよい。
図6は、直列に配置した単一種繊維フィルタ素子を利用した、あるいは段階1で第1の繊維種を用い、段階2で第2の繊維種を用いる2つの異なる単一種繊維膜を利用した、先行技術のプロセスを例示する概略図である。
図7は、本発明によるフィルタ素子を利用したプロセスを例示する概略図である。複数種繊維フィルタ素子により単段階処理が可能になる。
【0013】
図1は、先行技術の2種の単一種繊維膜素子10を示す。本発明による複数種繊維膜素子の製造には12インチ超の直径の膜素子が好ましいため、図1の大直径膜を膜20と称する。膜素子20は、CO/天然ガス分離用のかなり大きな直径の半透膜フィルタ素子の製造を可能にしている製造上の改善を利用している。単一種繊維膜素子10は、膜素子20と同様の寸法のものが可能であるが、本明細書に記載する膜素子20は、先行技術の膜素子とは異なる。円筒状膜10、20は通常、入口ガス流(図示せず)と配管で接続された圧力容器に収納されており、「外から内への」流れ用に、あるいは「内から外への」流れ用に構成されていてもよい。流れの方向にかかわらず、入口ガス流が膜10、20を通過するにつれて、酸性ガス及び他の望ましくない成分が浸透して除去される。
【0014】
複数種繊維膜素子20と比較する目的で、単一種繊維膜素子10を概して直径15インチ未満、高さ約24インチ〜約48インチとした。膜10はバイパスを最小化する十分な奥行きを有さないため、またガス流が膜10を通過するにつれて生じるガス量及び組成の変化を担うことのできない単一種繊維を膜10が採用しているため、2つ以上の膜10を直列に配列して少なくとも2つの段階で分離を行う必要がある(図6参照)。各段階で膜10に用いる繊維種を選択するには、通常、透過性(流量又は流速として知られる)と選択性(透過度又はアルファと称される)との間でのトレードオフを必要とする。例えば高分子膜繊維において透過性が増加すると選択性が低減する(その逆も同様である)。
【0015】
透過性と選択性との間でトレードオフがあるため、ある種の膜繊維は、より高い濃度の透過性成分に適しており、他の種の膜繊維は、より低い濃度の透過性成分の高品位の分離に適している。より良好な炭化水素分離特性(より高い選択性)及びより低い透過性を示す膜繊維を、処理の第1段階における膜10で使用するものとして選択してもよい。この段階での条件は、通常、より高いガス流量及びより高いCO濃度によって特徴付けられる。炭化水素/CO分離の用途では、COの大部分がこの第1の段階で透過し、「炭化水素損失」の大部分がこの段階で生じる。使用されるのに選択された、より高いアルファの繊維は僅かに流速が低いが、CO濃度が高いため、繊維は依然として効率よく作用する。一方、第2の段階では、より高い透過性及びより低い選択性を示す膜繊維を用いてもよい。この段階での条件は、通常、より低いガス流量及びより低いCO濃度によって特徴付けられる。従って、膜面積と必要な関連機器とを最小限にするためには、素子10がこの段階でより高い透過性を示すことが重要である。
【0016】
図5及び7を参照すると、本発明により作成される複数種繊維膜素子20では、複数の単一種繊維膜10や多段階の分離処理を必要としなくて済む。膜20により提供される処理性能が向上している理由の一部として、膜20の異なる領域31、33で異なる種類の中空繊維21を使用していることと、膜20により提供される表面積及び束の奥行き29が増加していることが挙げられる。例えば好適な一実施形態において、膜20は直径約30インチ、高さ72インチである。12インチ直径の単一種繊維膜10と比較して、複数種繊維膜フィルタ素子20は全体で表面積が約10倍、束の奥行き29が約3倍である。
【0017】
図2〜5を参照すると、膜20は、2つ以上の異なる種類の中空繊維21を数十万本含む。繊維21は、中心縦軸37を膜20と共有する有孔不透性管35周りに巻きつけられる。あるいは繊維21は束27状に配置されて管35周りに巻きつけられてもよい。繊維21は、壁23を透過して中空繊維21の孔25に入った透過物が膜20の上部及び下部から出るように配置される。膜20の第1の周方向領域31に位置する繊維21が、第2の周方向領域33に位置する繊維21とは異なる種類(又は複数の種類)の中空繊維21を有するように、膜20が作成されている。使用されるのに選択された中空繊維21又は中空繊維21の組み合わせが領域31と領域33とで互いに異なるため、領域31と領域33の性能特性は異なる。
【0018】
好ましくは、ガス流が通過する際の膜20の全体の処理容量と分離性能とを最大化して処理又は分離段階を複数とする必要を低減又は排除する(図7参照)ことを目的として、各領域31、33の中空繊維21を選択する。例えば、透過物への炭化水素損失を低減するために、より高い分離性でより低い透過性の中空繊維21を、周方向領域31において、透過流の最大量が生じる膜20の入口又は供給側41の最も近くに配置してもよい。処理容量を向上するために、より高い透過性でより低い分離性の中空繊維21を、周方向領域33において、COがより低い膜20の出口又は不透性側43の最も近くに配置してもよい。あるいは、1成分(例えばHS)について透過性がより高い第1の中空繊維21を、別の成分(例えばCO又は炭化水素露化)について透過性がより高い第2の中空繊維21に束ねてもよいし、あるいはその逆でもよい。
【0019】
複数種類の中空繊維21で膜20を構成することで、各領域31、33に含まれる異なる種類の中空繊維21のガス組成に対する性能特性を利用して膜の性能を最適化することができる。また領域は2つ(領域31、33)を超えて配置してもよい。例えば、
1.低CO条件でより大きな比表面積を与えるように、素子20の供給ガス側41に最も近い高CO領域に配置するより大きな孔の中空繊維21と、素子20の不透性側43に最も近い低CO領域に配置するより小さな穴の繊維21とを組み合わせる。
2.供給ガス側41に最も近い領域に配置するより大きいCO分圧抵抗の中空繊維21と、不透性側43に最も近い領域に配置するより高い流速の中空繊維21とを組み合わせる。
3.脱水用の中空繊維21とCO/炭化水素分離用の繊維21とを組み合わせる、CO除去用の繊維21とHS除去用又は炭化水素露化用の繊維21とを組み合わせるなど、異なる分離性を示す中空繊維21を組み合わせる。
【0020】
膜20では、従来の単一種繊維膜10と比較して遥かに大量のCO除去の機能を行うため、膜素子の段階が少ない。COがより透過するため、より大量のCOを膜20で除去することができ、膜20内で入口COと出て行く不透性COとの間で、より大きな差が生じる。このため、膜20を通過しているガスのCO割合は、内部又は出て行く不透性側43よりも、膜20の供給側41で高くなる。
【0021】
例えば、約50%の入口COを含み膜20に入る入口ガス流を考える。ガスが膜20を通過し、中核部又は中心縦軸37へ向かうにつれて、COが透過する。その結果、素子20の中心縦軸37(即ち不透性側43)の近くに位置する中空繊維21には、COの量が連続的に低くなったガスが与えられる。例えば、使用するために選択された中空繊維21の種類に応じて、不透性ガスは約10%のCOで膜20を出うる。この例において、膜20を介するCOの除去は連続的なプロセスであるが、単純化のために領域31を、COが約50%から25%に除去される高CO領域と表示する。供給側41から不透性側43に向かって更に離れた場所に位置する中空繊維21は、COが約25%から10%除去される領域33又は低CO領域にある。繰り返すが、これらの値は単なる例である。
【0022】
本発明により作成される膜20によって多くの利点が得られる。繊維束の奥行き29が深くなったため、従来の小型膜10の2段階をより大型の膜20で置き換えることが可能である。渦巻き型膜素子では、膜層の間のガス流路が制限されているため同等の拡大は不可能である。CO/炭化水素混合ガス流が繊維21と接触すると、膜素子20内でCOが選択的に分離される。COは優先的に各繊維21の壁23を通過して各繊維21の孔25に入り、膜素子20の端部から透過ガスとして出る。入口ガスは膜20を通過するにつれてCOが低減し、入口ガスより低いCO濃度で出て行く不透性ガスとなる。
【0023】
ガスが膜素子20を通過するにつれ、繊維21の各連続列が実際に気体を処理し、CO含有量が徐々に低くなる。各中空繊維21が曝される実際のCO含有量は、供給ガス側41に対する膜20中の繊維21の位置に依存し、入口近くに位置する繊維21は、ガス出口又は不透性側45により近い下流に位置する繊維21よりも、高いCOガスに作用する。従って束の奥行き29がより大きいことで、1つの膜素子20における複数種の繊維の使用が可能となり、分離性能は、ガスを2つ以上の直列な膜10に通過させる必要がある従来の素子に似たものとなる。その上更に、従来の小型膜10の場合と比較して、透過によって膜20内でガス量及び組成に大きな変化が起こる。従って膜20はより多くのガスを処理するだけでなく、供給ガス側41と不透性側43との間のガス組成に、より大きな差異を生じて作用し、その結果、複数種の繊維の使用が可能となる。現行の単一種繊維膜10では、膜10内のガス条件範囲にわたって得られる膜性能は最適にならない。
【0024】
複数種繊維の膜フィルタ素子とその使用方法をある程度詳細に説明したが、本開示の趣旨及び範囲から外れることなく、構造、構成要素の配置、ステップの詳細を様々に変更することが可能である。本開示によるフィルタ素子及び方法は、従って、各要素が適応される全ての同等物を含む、添付の請求項の範囲によってのみ限定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
膜素子と中心縦軸を共有する有孔不透性管と、
前記有孔不透性管周りに配置された複数の中空繊維と、を備え、
前記複数の中空繊維は第1の中空繊維種及び第2の中空繊維種を含み、
前記第1の中空繊維種及び前記第2の中空繊維種は、他方とは異なる性能特性を少なくとも1つ有する天然ガス流処理用の膜素子。
【請求項2】
前記少なくとも1つの異なる性能特性は、前記第1の中空繊維種及び前記第2の中空繊維種の孔の寸法、壁厚、製造プロセス、材料のうち少なくとも1つの機能である請求項1に記載の膜素子。
【請求項3】
前記少なくとも1つの異なる性能特性は、前記第1の中空繊維種及び前記第2の中空繊維種の透過性と選択性とのうち少なくとも一方である請求項1に記載の膜素子。
【請求項4】
前記少なくとも1つの異なる性能特性は、CO除去性能とHS除去性能とのうち少なくとも一方である請求項1に記載の膜素子。
【請求項5】
前記少なくとも1つの性能特性は、前記第1の中空繊維種及び前記第2の中空繊維種の炭化水素除去性能である請求項1に記載の膜素子。
【請求項6】
前記少なくとも1つの性能特性は、水露化と炭化水素露化とのうち少なくとも一方である請求項1に記載の膜素子。
【請求項7】
前記膜素子の入口ガス流供給側に位置する第1の領域と、
前記第1の領域と前記膜素子の不透性出口側との間に位置する第2の領域と、
を更に備え、
前記領域はそれぞれ、前記第1の中空繊維種及び前記第2の中空繊維種からなる群より選ばれる中空繊維種を少なくとも1つ含む請求項1に記載の膜素子。
【請求項8】
複数の繊維束状に配置された前記複数の中空繊維を更に含む請求項1に記載の膜素子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−518529(P2012−518529A)
【公表日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−551180(P2011−551180)
【出願日】平成22年2月17日(2010.2.17)
【国際出願番号】PCT/US2010/024437
【国際公開番号】WO2010/096455
【国際公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(511203330)ナショナル・タンク・カンパニー (1)
【出願人】(511203260)
【Fターム(参考)】