説明

複数種類の通帳等の媒体を発行可能な媒体取扱装置

【課題】複数種類の通帳等の媒体を発行可能な媒体取り扱い装置において、複数のホッパへの通帳等の媒体のセット方向を統一する。
【解決手段】通帳取扱装置100において、繰り出し搬送路132、134を、それぞれ光学読み取り部122および印字部124の下流側および上流側で、主搬送路130に沿った方向で、上流方向に向かって、主搬送路130に合流するように設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金融機関での取引に使用される複数種類の通帳等の媒体を発行可能な媒体取扱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金融機関等でユーザに対する入出金に現金自動取引装置(以下、ATMと呼ぶ。)が使用されている。ATMは、紙幣、通帳、振込用紙、カードなどを取り扱い、種々の取引を実行する。このATMには、未使用の通帳を装置内に収納しておき、取り扱い中の通帳に印字するスペースがなくなった場合等に、収納しておいた新規の通帳を発行する機能を有するものもある。
【0003】
近年、金融機関は、シンプルなデザインの通常の通帳の他、いわゆるキャラクタものの通帳など、複数種類の通帳を用意している。このため、ATMにおいても、複数種類の通帳が取り扱われ、ATMには、複数種類の通帳を発行するための機構が備えられる。複数種類の通帳を発行可能なATMに関する技術には、例えば、特開2000−293734号公報に記載の技術がある。このような複数種類の通帳を発行可能なATMでは、複数種類の通帳を収納する複数のホッパのそれぞれから記帳等を行う主搬送路へ通帳を搬送するための複数の繰り出し搬送路が設けられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通帳には、発行後に印字等の処理が必要となる。上記特開2000−293734号公報に記載の技術では、複数種類の通帳は、ATMが備える印字部の上流側と下流側とに設けられた複数のホッパから、それぞれ異なる搬送方向の繰り出し搬送路を用いて印字部への搬送が行われていた。そして、印字部における通帳への印字方向は一定であるため、ホッパへの通帳のセット方向は、各ホッパで異なっていた。従って、通帳をホッパにセットするATMの管理者は、繰り出し搬送路の搬送方向に合わせて通帳をホッパにセットしなければならなかった。このようなセット方向に注意を要する通帳の収納作業は、管理者にとって煩雑であった。このような課題は、通帳の発行の場合に限らず、単票や、カードなど金融機関における取引用の媒体の発行に共通の課題だった。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、複数種類の通帳等の媒体を発行可能な媒体取扱装置において、複数のホッパへの通帳等の媒体のセット方向を統一することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題の少なくとも一部を解決するため、本発明では、金融機関での取引に使用されるカード状または冊子状の取引用媒体を発行可能な媒体取扱装置に、以下の構成を採用した。即ち、本発明の媒体取扱装置は、複数種類の媒体を種類ごとに収納するための複数の収納部と、媒体を所定の向きで外部に搬送するための各収納部に共通の主搬送路と、複数の収納部からそれぞれ主搬送路へ媒体を搬送するための複数の繰り出し搬送路とを備える。そして、この複数の繰り出し搬送路のうちの少なくとも2つは、主搬送路に対して同一方向に合流するように設けられている。
【0007】
ここで、「媒体」には、通帳、単票、カードなど、種々の媒体が含まれる。本発明によって、媒体の発行時に、複数の収納部に収納された媒体を、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路によって、主搬送路に対して同一方向に搬送することができる。従って、複数の収納部への媒体のセット方向を統一することができる。
【0008】
上記媒体取扱装置において、更に、主搬送路上に、媒体に対して所定の処理を施す処理部を備え、主搬送路の一方の端部には、媒体を外部に取り出すための取り出し口が設けられている場合、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、主搬送路の取り出し口側を下流側、該下流側の反対側を上流側としたときに、処理部の上流側と下流側とにおいて、主搬送路に合流するように設けられているようにすることが好ましい。
【0009】
ここで、「所定の処理」としては、媒体への印字や、媒体が備える磁気ストライプへの磁気データの読み書きなどの処理が挙げられる。処理部の上流側および下流側には、通常、有効に活用されていないスペースがあるから、上記構成によって、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路を、処理部の上流側または下流側のいずれかに合流するように設けるよりもスペースを有効利用し、媒体取扱装置をコンパクトに構成することができる。
【0010】
なお、上記媒体取扱装置において、前記収納部は、前記処理部の上段または下段に設けられているようにすることが好ましい。
【0011】
こうすることによって、収納部と処理部とを、互いに干渉しない位置に容易に設置することができるので、処理部の主搬送路上での設置位置について、自由度を高くすることができる。また、収容部の設置可能なスペースを広くすることができるので、収納部に多数の媒体を収容するようにすることができる。
【0012】
上記処理部を備える媒体取扱装置において、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、下流方向に向かって主搬送路に合流するように設けられているようにしてもよいが、上流方向に向かって主搬送路に合流するように設けられているようにすることが好ましい。
【0013】
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路を、下流方向に向かって主搬送路に合流するように設けた場合、取り出し口から処理部までの主搬送路の距離が長くなる傾向にある。このため、収納部から主搬送部への媒体の搬送、即ち、媒体の発行を行わない通常の媒体の取り扱い時に、媒体の搬送時間が長く掛かる。本発明によって、このような不具合を回避することができる。
【0014】
本発明の媒体取扱装置において、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、例えば、主搬送路と直交する方向で主搬送路に合流するように設けられていてもよいが、主搬送路に沿った方向で主搬送路に合流するように設けられているようにすることが好ましい。
【0015】
こうすることによって、主搬送路に直交する方向について、媒体取扱装置をコンパクトに構成することができる。
【0016】
本発明の媒体取扱装置において、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路に対応する各収納部は、該媒体取扱装置に着脱可能であることが好ましい。
【0017】
こうすることによって、媒体取扱装置の管理者は、収納部を装置から取り外して媒体を収納することができるので、媒体取扱装置の利便性を向上させることができる。
【0018】
上記媒体取扱装置において、前記少なくとも2つの繰り出し搬送路に対応する各収納部は、互換性を有していることが好ましい。
【0019】
こうすることによって、複数の収納部を交換して利用することができるので、媒体取扱装置の利便性を更に向上させることができる。
【0020】
なお、本発明の媒体取扱装置において、前記収納部への前記媒体の収納方向は、前記収納部の底面に対して前記媒体を寝かせた状態の横置きでもよいが、前記収納部の底面に対して前記媒体を立てた状態の縦置きであることが好ましい。
【0021】
こうすることによって、媒体取扱装置の管理者は、媒体を横置きにする場合よりも収納部への媒体の出し入れを行い易くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.通帳取扱装置の構成:
B.通帳取り扱い処理:
C.変形例:
【0023】
A.通帳取扱装置の構成:
図1は、一実施例としての通帳取扱装置100の概略構成を示す説明図である。通帳取扱装置100を側面から見た内部構造を模式的に示した。この通帳取扱装置100は、銀行などに設置される現金自動取引装置に搭載される。通帳取扱装置100は、後述するように、印字部を備えており、取り扱い中の通帳に取引に関する印字を行い、印字スペースがなくなったときに、新通帳を発行する機能を有している。
【0024】
通帳取扱装置100は、通帳の搬送を行うための主搬送路130を備えている。主搬送路130には、現金自動取引装置の正面に設けられた図示しない操作パネル側(前側)の端部に、通帳の挿入や取り出しを行うための挿入口170が設けられている。主搬送路130の他方の端部には、取り扱い中の通帳の処理を一時的に保留するための2つの退避部136a、136bが設けられている。ここで、図の右側、即ち、主搬送路130の挿入口170側を下流側、図の左側、即ち、主搬送路130の退避部136a、136b側を上流側と定義する。
【0025】
主搬送路130は、複数の搬送ローラ140を備えており、この搬送ローラ140が回転することによって通帳の搬送を行う。搬送ローラ140は、図示しないモータによって駆動される。なお、図示の煩雑さを回避するため、図中では、一つの搬送ローラ140についてのみ符号を付した。
【0026】
主搬送路130には、下流側から上流側に向かって磁気読み書き部120と、光学読み取り部122と、印字部124とが設けられている。更に、印字部124の上流側には改頁機構150が設けられている。
【0027】
磁気読み書き部120は、通帳が備える磁気ストライプの情報の読み取りおよび書き込みを行う。磁気ストライプの情報には、金融機関番号や、口座番号や、通帳の種類に関するデータなどが含まれる。光学読み取り部122は、通帳に記されたページマークや印字済行を読み取る。この読み取り結果に基づいて、印字部124が印字すべき行が特定される。印字部124は、通帳の所定の行に取引に関するデータを印字する。これらの各処理は、通帳に対して、予め定められた所定の向きで行われるため、通帳は各処理に要求される所定の向きで主搬送路130上を搬送される必要がある。
【0028】
主搬送路130および光学読み取り部122、印字部124の上段には、通帳発行部160が設けられている。こうすることによって、光学読み取り部122や印字部124の主搬送路130上での設置位置について、自由度を高くすることができる。また、通帳発行部160、および、通帳発行部160に備えられた、後述するホッパ部の設置可能スペースを広くすることができるので、ホッパ部に多数の通帳を収容するようにすることができる。なお、本実施例では、通帳発行部160は、主搬送路130および光学読み取り部122、印字部124の上段に設けられているが、主搬送路130および磁気読み書き部120の下段に設けるようにしてもよい。
【0029】
本実施例の通帳取扱装置100は、2種類の通帳を発行可能とした。図示するように、通帳発行部160は、前側に通帳300Aを収納するための前ホッパ部162を備え、後側に通帳300Bを収納するための後ホッパ部164を備えている。前ホッパ部162および後ホッパ部164のそれぞれには、種類の異なる通帳300A、300Bが統一された同じ向きで、即ち、ミシン綴じ目側を下向きにして、表紙側を上流側に向けて、各ホッパ部162、164の底面に対して立てた縦置きの状態で収納されている。こうすることによって、通帳取扱装置100の管理者は、各ホッパ部162、164への通帳300A、300Bの出し入れを行い易くすることができる。
【0030】
各通帳300A、300Bの種類に関する情報は、通帳取扱装置100の管理者によって、各通帳の収納や入れ替えなどメンテナンス時に、後述する制御ユニット110内に登録されている。通帳発行部160に収納されている通帳の種類を検出するセンサを設け、検出結果を登録するようにしてもよい。
【0031】
前ホッパ部162の前部には、繰り出しローラ166が備えられており、この繰り出しローラ166は、新通帳の発行時に、前ホッパ部162の下部に接続された繰り出し搬送路132に通帳300Aを繰り出す。繰り出し搬送路132は、主搬送路130に対して、上流方向に向かって、主搬送路130に沿った方向で合流するように設けられている。
【0032】
後ホッパ部164の前部には、繰り出しローラ168が備えられており、この繰り出しローラ168は、新通帳の発行時に、後ホッパ部164の下部に接続された繰り出し搬送路134に通帳300Bを繰り出す。繰り出し搬送路134は、繰り出し搬送路132と同様に、主搬送路130に対して、上流方向に向かって、主搬送路130に沿った方向で合流するように設けられている。なお、前ホッパ部162から繰り出された通帳300Aは、後述する表紙の印字時に、直接、上流の印字位置に搬送される。また、後ホッパ部164から繰り出された通帳300Bは、表紙の印字時に、一旦、上流の退避部136bに搬送された後に、下流の印字位置に戻すように搬送される。
【0033】
本実施例では、繰り出し搬送路132は、磁気読み書き部120と光学読み取り部122の間で主搬送路130に合流するように設けられている。繰り出し搬送路134は、改頁機構150の上流側で主搬送路130に合流するように設けられている。本実施例では、光学読み取り部122と印字部124とが本発明の処理部に相当している。このように、前ホッパ部162および後ホッパ部164、各繰り出し搬送路132、134を配置することによって、装置内のスペースを有効利用して、通帳取扱装置100をコンパクトに構成することができる。
【0034】
本実施例では、2つの繰り出し搬送路132、134が主搬送路130に対して同一方向に合流するように設けられているので、前ホッパ部162および後ホッパ部164に向きを統一して収納された通帳300A、300Bを、主搬送路130に対して同じ向きで搬送することができる。また、各繰り出し搬送路132、134は、上流側に向かって合流するように設けられているので、主搬送路130において、挿入口170から磁気読み書き部120や、光学読み取り部122や、印字部124までの距離が長くなることを回避することができる。
【0035】
通帳取扱装置100の各部の動作は、制御ユニット110によって制御される。制御ユニット110は、内部にCPU、RAM、ROMなどを備えるマイクロコンピュータとして構成されている。なお、図示の煩雑化を回避するため、図中では、制御ユニット110と各部位との結線の図示は省略した。
【0036】
B.通帳取り扱い処理:
図2は、通帳取り扱い処理の流れを示すフローチャートである。制御ユニット110のCPUが行う処理である。ユーザによって挿入口170に通帳が挿入されると、制御ユニット110は、搬送ローラ140を駆動して通帳を所定の光学読み取り位置に搬送する。そして、光学読み取り部122によって、通帳に記されたページマークや印字済行の読み取りを行い、印字すべき行の特定を行う(ステップS110)。次に、通帳を所定の磁気読み書き位置に搬送し、磁気読み書き部120によって、磁気ストライプの磁気データの読み取りを行う(ステップS120)。次に、通帳を所定の印字位置に搬送し、印字部124によって、通帳に取引に関するデータを印字する(ステップS130)。そして、印字が終了したか否かを判断する(ステップS140)。印字が終了した場合には、通帳を磁気読み書き位置に搬送し、磁気読み書き部120によって、通帳が備える磁気ストライプに磁気データを書き込み(ステップS180)、処理済みの通帳を挿入口170から返却する(ステップS190)。
【0037】
ステップS140において、印字中のページの最終行の印字が終了した時点で、全ての印字が終了していない場合には、次ページに印字する必要があるので、通帳に捲るべきページがあるか否かを判断する(ステップS150)。捲るべきページがある場合には、通帳を所定のページ捲り位置に搬送し、改頁機構150によって、ページ捲りを行う(ステップS160)。そして、通帳を光学読み取り位置に搬送し、光学読み取り部122によって、ページマークや印字済行の読み取り(ステップS170)、および、印字行の特定を行い、印字すべきデータがなくなるまで印字を行う(ステップS130)。ステップS150において、通帳に捲るべきページがない場合には、次に説明する新通帳発行処理を行う(ステップS200)。
【0038】
図3は、新通帳発行処理の流れを示すフローチャートである。制御ユニット110のCPUが行う処理であり、図2のステップ200の処理である。まず、制御ユニット110は、取り扱い中の通帳と同一種類の通帳が前ホッパ部162または後ホッパ部164に収納されているか否かを判断する(ステップS210)。先に説明したように、制御ユニット110内には、通帳取扱装置100の管理者が、各ホッパ部162、164に収納された通帳の種類に関する情報を登録しているので、この登録内容に基づいて、上記判断を行うことができる。取り扱い中の通帳と同一種類の通帳がいずれのホッパ部にも収容されていない場合には、新通帳を発行することができないので、エラー処理を行う(ステップS310)。このエラー処理は、取り扱い中の通帳と同種類の新通帳の発行が行えないので窓口で処理するようユーザに通知する処理である。次に、通帳を磁気読み書き位置に搬送し、磁気読み書き部120によって、通帳が備える磁気ストライプに磁気データを書き込み(ステップS320)、処理済みの通帳を挿入口170から返却する(ステップS330)。
【0039】
ステップS210において、取り扱い中の通帳と同一種類の新通帳が前ホッパ部162または後ホッパ部164に収納されていると判断された場合には、取り扱い中の通帳(旧通帳)を退避部136aに搬送し、一時的に保留する(ステップS220)。次に、旧通帳と同一種類の通帳を収納するホッパ部を特定し、そのホッパ部から新通帳を繰り出し、主搬送路130に搬送する(ステップS230)。
【0040】
次に、新通帳を印字位置に搬送し、印字部124によって、新通帳の表紙に金融機関の店番号や、口座番号や、名義など所定の印字を行う(ステップS240)。次に、新通帳をページ捲り位置に搬送し、改頁機構150によって、表紙捲りを行う(ステップS250)。次に、新通帳を光学読み取り位置に搬送し、光学読み取り部122によって、ページを確認する(ステップS260)。次に、新通帳をページ捲り位置に搬送して、改頁機構150によって、ページ捲りを行う(ステップS270)。次に、新通帳を光学読み取り部に搬送して、光学読み取り部122によって、所定の情報の読み取り(ステップS280)、および、印字行の特定を行い、旧通帳にまだ印字されていない残りの印字を行う(ステップS290)。そして、印字が終了したか否かを判断する(ステップS300)。印字が終了していない場合には、ステップS270〜S300の処理を印字が終了まで繰り返す。
【0041】
ステップS300において、印字が終了した場合には、新通帳を磁気読み書き位置に搬送し、磁気読み書き部120によって、新通帳が備える磁気ストライプに磁気データを書き込み(ステップS340)、処理済みの新通帳を挿入口170から返却する(ステップS350)。次に、退避部136aに保留していた旧通帳を磁気読み書き位置に搬送し、磁気読み書き部120によって、旧通帳が備える磁気ストライプに磁気データを書き込み(ステップS360)、処理済みの旧通帳を挿入口170から返却する(ステップS370)。以上の処理によって新通帳発行処理、および、通帳取り扱い処理は終了する。
【0042】
以上説明した本実施例の通帳取扱装置100によれば、2つの繰り出し搬送路132、134が主搬送路130に対して同一方向に向かって合流するように設けられているので、前ホッパ部162および後ホッパ部164に、種類の異なる通帳を、セット方向を統一させて収納することができる。この結果、通帳取扱装置100の管理者が誤ったセット方向で通帳を各ホッパ部162、164に収納してしまうことを防止することができる。
【0043】
C.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形例が可能である。
【0044】
C1.変形例1:
図4は、変形例としての通帳取扱装置100Aの概略構成を示す説明図である。図1に示した通帳取扱装置100と同様に、通帳取扱装置100Aを側面から見た内部構造を模式的に示した。この通帳取扱装置100Aは、通帳発行部160Aが通帳取扱装置100の通帳発行部160と異なっていることを除き、通帳取扱装置100と同じである。
【0045】
図示するように、通帳発行部160Aには、着脱可能なカセット式ホッパ162A、164Aをそれぞれ装着するためのホッパ装着部161a、161bを備えている。通帳取扱装置100Aの管理者は、装置から各カセット式ホッパ162A、164Aを取り外して通帳の収納を行うことができる。本実施例では、カセット式ホッパ162A、164Aは、互換性を有しており、相互に装着場所を交換可能である。このような構成にすることによって、通帳取扱装置100Aの利便性を向上させることができる。
【0046】
C2.変形例2:
上記実施例では、繰り出し搬送路132、134を主搬送路130に沿った方向で、処理部(光学読み取り部122および印字部124)の下流側および上流側で合流するように設けたが、これに限られない。本発明は、一般に、複数の繰り出し搬送路が、主搬送路に対して同一方向に合流するように設けられるものであるから、例えば、各繰り出し搬送路を主搬送路と直交する方向から合流するように設けてもよい。また、各繰り出し搬送路を処理部の上流側と下流側のいずれかで主搬送路に合流するように設けてもよい。
【0047】
図5は、変形例としての主搬送路130B、繰り出し搬送路132B、134B、前ホッパ部162B、後ホッパ部164、印字部124Bの配置の概略を模式的に示した説明図である。図示するように、繰り出し搬送路132B、134Bと、前ホッパ部162Bと、後ホッパ部164Bとは、印字部124Bの上流側に設けられている。また、繰り出し搬送路132B、134Bは、主搬送路130Bに対して直交する方向から合流するように設けられている。このような構成にすることによっても、各ホッパへ種類の異なる通帳を、セット方向を統一させて収納することができる。
【0048】
C3.変形例3:
上記実施例では、通帳取扱装置100は、2種類の通帳を発行可能としたが、更に多くの種類の通帳を発行可能としてもよい。
【0049】
C4.変形例3:
上記実施例では、本発明の媒体取扱装置を通帳取扱装置に適用した例を示したが、これに限られない。本発明は、一般に、金融機関での取引に使用されるカード状または冊子状の取引用媒体を取り扱い可能であるから、通帳の他に、単票や、カードなど、他の媒体を取り扱う取扱装置に適用可能である。本発明は、特に、振込みカードなど、発行後に所定の方向で印字等の処理が要求される媒体を取り扱う装置に好適である。
【0050】
また、媒体取扱装置が発行可能な媒体は、単一種類である必要はなく、複数種類の媒体を発行可能としてもよい。例えば、通帳と単票とカードとを発行可能としてもよい。
【0051】
[発明の効果]
本発明によれば、複数種類の通帳等の媒体を発行可能な媒体取扱装置において、複数のホッパへの通帳等の媒体のセット方向を統一することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】一実施例としての通帳取扱装置100の概略構成を示す説明図である。
【図2】通帳取り扱い処理の流れを示すフローチャートである。
【図3】新通帳発行処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】変形例としての通帳取扱装置100Aの概略構成を示す説明図である。
【図5】変形例としての主搬送路130B、繰り出し搬送路132B、134B、前ホッパ部162B、後ホッパ部164、印字部124Bの配置の概略を模式的に示した説明図である。
【符号の説明】
【0053】
100、100A...通帳取扱装置
110...制御ユニット
120...磁気読み書き部
122...光学読み取り部
124、124B...印字部
130、130B...主搬送路
132、132B、134、134B...繰り出し搬送路
136a、136b...退避部
140...搬送ローラ
150...改頁機構
160、160A...通帳発行部
161a、161b...ホッパ装着部
162、162B...前ホッパ部
162A、164A...カセット式ホッパ
164、164B...後ホッパ部
166、168...繰り出しローラ
170...挿入口
300A、300B...通帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関での取引に使用されるカード状または冊子状の取引用媒体を発行可能な媒体取扱装置であって、
複数種類の前記媒体を種類ごとに収納するための複数の収納部と、
前記媒体を所定の向きで外部に搬送するための前記各収納部に共通の主搬送路と、
前記複数の収納部からそれぞれ前記主搬送路へ前記媒体を搬送するための複数の繰り出し搬送路と、
前記主搬送路上に、前記媒体に対して所定の処理を施す処理部と、を備え、
前記複数の繰り出し搬送路のうちの少なくとも2つは、前記主搬送路に対して同一方向に合流するように設けられており、
前記主搬送路の一方の端部には、前記媒体を外部に取り出すための取り出し口が設けられており、
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、前記主搬送路の前記取り出し口側を下流側、該下流側の反対側を上流側としたときに、前記処理部の上流側と下流側とにおいて、前記主搬送路に合流するように設けられている、
媒体取扱装置。
【請求項2】
請求項1記載の媒体取扱装置であって、
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、前記上流方向に向かって前記主搬送路に合流するように設けられている、
媒体取扱装置。
【請求項3】
請求項1記載の媒体取扱装置であって、
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路は、前記主搬送路に沿った方向で前記主搬送路に合流するように設けられている、
媒体取扱装置。
【請求項4】
請求項1記載の媒体取扱装置であって、
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路に対応する前記各収納部は、該媒体取扱装置に着脱可能である、
媒体取扱装置。
【請求項5】
請求項1記載の媒体取扱装置であって、
前記少なくとも2つの繰り出し搬送路に対応する前記各収納部は、互換性を有している、
媒体取扱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−257665(P2007−257665A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154905(P2007−154905)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【分割の表示】特願2002−259103(P2002−259103)の分割
【原出願日】平成14年9月4日(2002.9.4)
【出願人】(504373093)日立オムロンターミナルソリューションズ株式会社 (1,225)
【Fターム(参考)】