説明

複素環骨格を有する化合物および該化合物を不斉触媒として用いる光学活性化合物の製造方法

【課題】複素環骨格を有する化合物およびそれを不斉触媒として用いる化合物の製造方法。
【解決手段】一般式(I):


〔式中、RおよびRは、アルキル基、アリール基等、環Aは、置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環を示し、RおよびRは、アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、アリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;RおよびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示す。〕で表される複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉合成用触媒として有用な新規な複素環骨格を有する化合物に関する。さらに本発明は、当該複素環骨格を有する化合物を触媒として用いる不斉共役付加反応を行うことを特徴とする、光学活性化合物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ニトロオレフィン化合物やα,β−不飽和カルボニル化合物等の電子不足オレフィンへの不斉共役付加反応によって得られる光学活性化合物は、アミン類、アミノ酸、医薬、農薬、食品添加物等の有用な合成中間体であり(例えば、Journal of the American Chemical Society,2002年,第124巻,第44号,p.13097−13105参照)、これまで種々の製造方法が報告されている。
【0003】
その中に、共役付加反応の非金属不斉触媒として、下記式:
【0004】
【化1】

【0005】
で表される不斉尿素化合物が立体選択的な共役付加反応の非金属不斉触媒として使用できることが報告されている(特許文献1)。
【0006】
また、天然には、ラクタシスチン(lactacystin)、ミリオシン(myriocin)、カイトセファリン(kaitocephalin)、オキサゾロマイシン(oxazolomycin)など、医薬品への応用が期待される生理活性化合物が数多く存在している。これらは、いずれも光学活性な4級炭素を有するα−アミノ酸構造を有しており、生理活性と深く係わっていると考えられる。窒素原子を含む不斉四置換炭素の構築は、有機合成化学の重要な課題になっており、これまでに様々な合成法が報告されている。
【0007】
その中に、上記の不斉尿素化合物が立体選択的な炭素−窒素結合形成反応の非金属不斉触媒として使用できることが報告されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】WO2005/000803号
【特許文献2】特開2006−240996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の特許文献1または特許文献2に開示された不斉尿素化合物は立体選択的な不斉共役付加反応または炭素−窒素結合形成反応による光学活性化合物を得る不斉触媒として有用であるが、得られる光学活性化合物の収率および/または光学純度には改善の余地があった。そこで、本発明の目的は、高収率かつ高立体選択的な不斉共役付加反応や炭素−窒素結合形成反応を達成し得る非金属の不斉触媒として有用な複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩(以下、場合によりこれらを総称して「本発明の化合物」という)を提供する。さらに当該不斉触媒を用いた不斉共役付加反応や炭素−窒素結合形成反応を提供する。本発明により提供される不斉触媒は、光学活性化合物の有利な製造方法を提供することができる。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、共役付加反応の非金属不斉触媒として、電子不足オレフィンを活性化する酸性部位と求核試薬を活性化する塩基性部位とが光学活性な足場に同時に結合する化合物に着目し、鋭意研究を行った。その結果、新規な複素環骨格を有する化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
また、本発明者らは、非金属不斉触媒として、アゾ化合物を活性化する酸性部位と活性水素を有する炭素原子を活性化する塩基性部位とが光学活性な足場に同時に結合する化合物に着目し、鋭意研究を行った。その結果、新規な複素環骨格を有する化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は以下の通りである。
[1] 一般式(I):
【0012】
【化2】

【0013】
〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環を示し;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示す。〕
で表される複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩(以下、化合物(I)という)。
[2] 一般式(II):
【0014】
【化3】

【0015】
〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環を示し;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表される複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩(以下、化合物(II)という)。
[3] RとRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基である、上記[1]または[2]に記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
[4] RとRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成する、上記[1]〜[3]のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
[5] RとRが共に水素原子である、上記[1]〜[4]のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
[6] CとC**が、共にR配置または共にS配置である、上記[2]〜[5]のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
[7] 一般式(III):
【0016】
【化4】

【0017】
〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
、R、RおよびR10は、同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表されるキナゾリン−4−オン骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩(以下、化合物(III)という)。
[8] 下記式:
【0018】
【化5】

【0019】
で表されるキナゾリン−4−オン骨格を有する光学活性化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
[9] 一般式(IV)
【0020】
【化6】

【0021】
〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
11、R12、R13およびR14は、同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表されるベンズイミダゾール骨格を有する化合物またはそれらの塩(以下、化合物(IV)という)。
[10] 下記式:
【0022】
【化7】

【0023】
で表されるベンズイミダゾール骨格を有する光学活性化合物またはそれらの塩。
[11] 上記[1]〜[10]のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩の存在下、一般式(V):
【0024】
【化8】

【0025】
〔式中、
15、R16およびR17は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子または電子吸引基を示すか、あるいはR16とR17は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく(但し、R15とR16が同じ基を示す場合を除く。);
EWGは、ニトロ基、シアノ基、−COR18、−SO19、−COOR20、−CONHCOR21および−PO(OR22)(OR23)(ここで、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR18とR15またはR18とR17は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよく、かつ電子吸引基を含む同素環を形成してもよい。)から選ばれる電子吸引基を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(V)という)に、一般式(VI):
H−Nu(VI)
〔式中、Nuは、−CR24(COR25)(COR26)、−CR27(CN)、−OR28、−SR29、−NR3031、−C(NO)R3233(ここで、R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するヘテロ原子、置換基を有してもよい低級アルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;R25およびR26は、同一または異なって、それぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−低級アルキルアミノ基またはジ−低級アルキルアミノ基を示し;R24とR25は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環(当該同素環および複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成してもよく;R27は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するヘテロ原子、置換基を有してもよい低級アルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;R28、R29、R30、R31、R32およびR33は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR30とR31は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)またはアジド基を示す。〕
で表される求核試薬(以下、求核試薬(VI)という)を共役付加させることを特徴とする、一般式(VII):
【0026】
【化9】

【0027】
〔式中、C***は不斉炭素を示し、他の各記号は前記と同義を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(VII)という)の製造方法。
[12] 一般式(VIII):
【0028】
【化10】

【0029】
〔式中、PGおよびPGは、同一または異なって、それぞれ保護基を示す。〕
で表される化合物(以下、化合物(VIII)という)に、一般式(IX):
【0030】
【化11】

【0031】
〔式中、
34は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し;
35およびR36は、同一または異なって、それぞれ電子吸引基を示し(但し、R35とR36が同じ基を示す場合を除く。);
34とR35は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環(当該環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成してもよい。〕
で表される化合物(以下、化合物(IX)という)を付加させることを特徴とする、一般式(X):
【0032】
【化12】

【0033】
〔式中、C****は不斉炭素を示し、他の各記号は前記と同義を示す。〕
で表される化合物またはその塩(以下、化合物(X)という)の製造方法。
[13] PGおよびPGが、同一または異なって、それぞれ−CO37または−CONR3839(ここで、R37、R38およびR39は、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR38とR39は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)である、上記[12]に記載の製造方法。
[14] R35およびR36が、同一または異なって、それぞれシアノ基、ニトロ基、−P(=O)R4041、−SO42、−CO43、−CONR4445または−COR46(ここで、R40、R41、R42、R43、R44、R45およびR46は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR44とR45は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)である、上記[12]または[13]に記載の製造方法。
[15] R34とR35が形成する、置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環が、それぞれ置換基を有してもよい、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、1−インダノンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレンである、上記[12]〜[14]のいずれかに記載の製造方法。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、非金属である化合物(II)を不斉触媒として用い、化合物(V)に求核試薬(VI)を共役付加させることにより、化合物(VII)を高収率かつ高立体選択的に製造することができる。
また、化合物(II)を不斉触媒として用い、化合物(VIII)に化合物(IX)を付加させることにより、化合物(X)を高収率かつ高立体選択的に製造することができる。得られた化合物(X)は、窒素−窒素結合を切断することにより、容易に後述の化合物(XV)に導くことができる。
さらに、化合物(II)は非金属であるため、金属廃液の処理等をする必要がなく、環境に優しい触媒である。さらに非金属であるため、回収再利用も容易に行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を詳細に説明する。
まず、本明細書で使用している各記号の定義を行う。
本発明におけるアルキルにおいて、語頭(例えば、イソ、ネオ、sec−、tert−など)を付していない限り直鎖状であり、例えば単にプロピルとあれば、直鎖状のプロピルのことである。
【0036】
〜R14、R24またはR27で示される「ハロゲン原子」とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは、フッ素原子、塩素原子または臭素原子である。
【0037】
25またはR26で示される「低級アルキル基」としては、炭素数1〜12の直鎖または分枝のアルキル基、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルキル基であり、より好ましくはメチル、エチルまたはプロピルである。
【0038】
25またはR26で示される「低級アルコキシ基」としては、アルキル部分が上記で定義された「低級アルキル基」であるアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオペントキシ、ヘキシルオキシ、ヘプチルオキシ、オクチルオキシ、ノニルオキシ、デシルオキシ、ウンデシルオキシ、ドデシルオキシ等が挙げられ、好ましくは、炭素数1〜6の直鎖または分枝のアルコキシ基であり、より好ましくはメトキシまたはエトキシである。
【0039】
25またはR26で示される「モノ−低級アルキルアミノ基」としては、アルキル部分が上記で定義された「低級アルキル基」であるモノ−アルキルアミノ基、例えばN−メチルアミノ、N−エチルアミノ、N−プロピルアミノ、N−イソプロピルアミノ、N−ブチルアミノ、N−イソブチルアミノ、N−sec−ブチルアミノ、N−tert−ブチルアミノ、N−ペンチルアミノ、N−イソペンチルアミノ、N−ネオペンチルアミノ、N−ヘキシルアミノ、N−ヘプチルアミノ、N−オクチルアミノ、N−ノニルアミノ、N−デシルアミノ、N−ウンデシルアミノ、N−ドデシルアミノ等が挙げられる。
【0040】
25またはR26で示される「ジ−低級アルキルアミノ基」としては、アルキル部分が上記で定義された、同一または異なる「低級アルキル基」であるジ−アルキルアミノ基、例えばN,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジプロピルアミノ、N,N−ジイソプロピルアミノ、N,N−ジブチルアミノ、N,N−ジイソブチルアミノ、N,N−ジ−sec−ブチルアミノ、N,N−ジ−tert−ブチルアミノ、N,N−ジペンチルアミノ、N,N−ジイソペンチルアミノ、N,N−ジネオペンチルアミノ、N,N−ジヘキシルアミノ、N,N−ジヘプチルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ、N−メチル−N−プロピルアミノ、N−メチル−N−イソプロピルアミノ、N−メチル−N−ブチルアミノ、N−メチル−N−イソブチルアミノ、N−メチル−N−sec−ブチルアミノ、N−メチル−N−tert−ブチルアミノ、N−メチル−N−ペンチルアミノ、N−メチル−N−イソペンチルアミノ、N−メチル−N−ネオペンチルアミノ、N−メチル−N−ヘキシルアミノ、N−メチル−N−ヘプチルアミノ、N−メチル−N−オクチルアミノ、N−メチル−N−ノニルアミノ、N−メチル−N−デシルアミノ、N−メチル−N−ウンデシルアミノ、N−メチル−N−ドデシルアミノ等が挙げられる。
【0041】
〜R24、R27〜R34またはR37〜R46で示される「置換基を有してもよい低級アルキル基」の「低級アルキル基」としては、上記で定義された「低級アルキル基」と同じアルキル基が挙げられる。
当該低級アルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、低級アルコキシ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、モノ−低級アルキルアミノ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、ジ−低級アルキルアミノ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、ハロゲン原子(上記で定義したものと同じものが例示される)、ニトロ基、シアノ基、−COOR51(ここで、R51は上記で定義したものと同じ低級アルキル基を示す)等が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0042】
またはRで示される「置換基を有してもよい低級アルケニル基」の「低級アルケニル基」としては、炭素数2〜12の直鎖または分枝のアルケニル基、例えばエテニル、1−プロペニル、2−プロペニル、2−メチル−1−プロペニル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、3−メチル−2−ブテニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−ペンテニル、4−ペンテニル、4−メチル−3−ペンテニル、1−ヘキセニル、3−ヘキセニル、5−ヘキセニル等が挙げられ、好ましくは、炭素数2〜6の直鎖または分枝のアルケニル基である。
当該低級アルケニル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアルキル基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0043】
またはRで示される「置換基を有してもよい低級アルキニル基」の「低級アルキニル基」としては、炭素数2〜12の直鎖または分枝のアルキニル基、例えばエチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−ペンチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、4−ヘキシニル、5−ヘキシニル等が挙げられ、好ましくは、炭素数2〜6の直鎖または分枝のアルキニル基である。
当該低級アルキニル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアルキル基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0044】
〜R14で示される「置換基を有してもよい低級アルコキシ基」の「低級アルコキシ基」としては、上記で定義された「低級アルコキシ基」と同じアルコキシ基が挙げられる。
当該低級アルコキシ基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアルキル基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0045】
〜R、R〜R24、R27〜R34またはR37〜R46で示される「置換基を有してもよいアリール基」の「アリール基」としては、炭素数6〜20のアリール基、例えばフェニル、1−または2−ナフチル、ビフェニリル、ビナフチリル等が挙げられ、好ましくは、炭素数6〜10のアリール基である。
当該アリール基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、低級アルキル基(上記で定義したものと同じものが例示される)、低級アルコキシ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、モノ−低級アルキルアミノ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、ジ−低級アルキルアミノ基(上記で定義したものと同じものが例示される)、ハロゲン原子(上記で定義したものと同じものが例示される)、ハロアルキル基(ハロゲン原子が1個または2個以上置換した低級アルキル基、例えばトリフルオロメチル等)、ニトロ基、シアノ基、−COOR51(ここで、R51は上記と同義を示す)等が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0046】
〜R、R〜R23、R28〜R34またはR37〜R46で示される「置換基を有してもよいアラルキル基」の「アラルキル基」としては、上記で定義された「低級アルキル基」の任意の位置に上記で定義された「アリール基」が置換して形成されるアラルキル基、例えばベンジル、1−または2−フェネチル、1−、2−または3−フェニルプロピル、1−または2−ナフチルメチル、ベンゾヒドリル、トリチル等が挙げられる。
当該アラルキル基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0047】
15〜R23、R28〜R34またはR37〜R46で示される「置換基を有してもよいヘテロアリール基」の「ヘテロアリール基」としては、例えば炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含む5〜10員の芳香性を有する複素環基、及びその縮合ヘテロ環基等が挙げられる。例えば2−又は3−チエニル、2−又は3−フリル、1−、2−又は3−ピロリル、1−、2−、4−又は5−イミダゾリル、2−、4−又は5−オキサゾリル、2−、4−又は5−チアゾリル、1−、3−、4−又は5−ピラゾリル、3−、4−又は5−イソオキサゾリル、3−、4−又は5−イソチアゾリル、1,2,4−トリアゾール−1、3、4又は5−イル、1,2,3−トリアゾール−1、2又は4−イル、1H−テトラゾール−1又は5−イル、2H−テトラゾール−2又は5−イル、2−、3−又は4−ピリジル、2−、4−又は5−ピリミジニル、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドリル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾフリル、2−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチエニル、1−、2−、4−、5−、6−又は7−ベンズイミダゾリル、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリル、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリル等が挙げられる。
当該ヘテロアリール基は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0048】
15〜R17で示される「置換基を有してもよいヘテロ原子」の「ヘテロ原子」としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
当該ヘテロ原子が有してもよい置換基としては、例えば上記で定義された「置換基を有してもよい低級アルキル基」、「置換基を有してもよいアラルキル基」、「置換基を有してもよいアリール基」、「置換基を有してもよいヘテロアリール基」等が挙げられる。
24またはR27で示される「置換基を有するヘテロ原子」の「ヘテロ原子」としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
当該ヘテロ原子が有する置換基としては、例えば上記で定義された「置換基を有してもよい低級アルキル基」、「置換基を有してもよいアラルキル基」、「置換基を有してもよいアリール基」、「置換基を有してもよいヘテロアリール基」、−COOR52、−COR53、−SO54(ここで、R52、R53およびR54は、同一または異なって、それぞれ上記で定義したものと同じ低級アルキル基を示す。)等が挙げられる。
【0049】
環Aで示される「置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環」の「芳香族環」、および「置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環」の「芳香族環」としては、芳香族炭化水素環および芳香族複素環が挙げられる。
当該芳香族炭化水素環としては、炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、例えばベンゼン、1−または2−ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられ、好ましくは、炭素数6〜10の芳香族炭化水素環である。
当該芳香族複素環としては、2−又は3−チオフェン、2−又は3−フラン、1−、2−又は3−ピロール、1−、2−、4−又は5−イミダゾール、2−、4−又は5−オキサゾール、2−、4−又は5−チアゾール、1−、3−、4−又は5−ピラゾール、3−、4−又は5−イソオキサゾール、3−、4−又は5−イソチアゾール、1,2,4−トリアゾール、1,2,3−トリアゾール、1H−テトラゾール、2H−テトラゾール、2−、3−又は4−ピリジン、2−、4−又は5−ピリミジン、1−、2−、3−、4−、5−、6−又は7−インドール、2−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾフラン、2−、3−、4−、5−、6−又は7−ベンゾチオフェン、1−、2−、4−、5−、6−又は7−ベンズイミダゾール、2−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−キノリン、1−、3−、4−、5−、6−、7−又は8−イソキノリン等が挙げられる。
当該芳香族環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0050】
とR、R30とR31、R38とR39またはR44とR45が、それらが結合する窒素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい複素環」の「複素環」としては、炭素原子と少なくとも1個の窒素原子を含み、それ以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含んでもよい、5〜10員の脂肪族複素環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン等が挙げられる。
当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該複素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0051】
とRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい複素環」の「複素環」としては、炭素原子と少なくとも1個の窒素原子を含み、それ以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含んでもよい、5〜10員の脂肪族複素環、例えばピロリジン、ピペリジン、モルホリン、チオモルホリン、ピペラジン等が挙げられる。
当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該複素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0052】
16とR17が、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい複素環」の「複素環」としては、化合物(V)の二重結合を含み、かつ炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含む5〜10員の複素環、例えば5,6−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2,3−または2,5−ジヒドロフラン、2−または3−ピロリン、1,2,3,4−または1,2,3,6−テトラヒドロピリジン等が挙げられる。
当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該複素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0053】
24とR25が、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい複素環」の「複素環」としては、例えばオキソで置換され、かつ炭素原子以外に酸素原子、硫黄原子および窒素原子から選ばれるヘテロ原子を1〜3個含む5〜10員の複素環、例えばテトラヒドロピラノン、テトラヒドロフラノン、ピロリドン、ピペリドン等が挙げられる。
当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該複素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0054】
とRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい同素環」の「同素環」としては、例えば、炭素数3〜7のシクロアルカン(例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等)または炭素数4〜7のシクロアルケン(例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン等)等が挙げられ、好ましくは炭素数3〜6のシクロアルカン(例えばシクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン等)等が挙げられ、より好ましくはシクロヘキサン等が挙げられる。
当該同素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該同素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0055】
16とR17が、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい同素環」の「同素環」としては、化合物(V)の二重結合を含む、炭素数3〜7のシクロアルケン(例えばシクロブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン等)等が挙げられる。
当該同素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該同素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0056】
24とR25が、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよい同素環」の「同素環」としては、例えばオキソで置換された、炭素数3〜7のシクロアルカノン(例えばシクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等)または炭素数4〜7のシクロアルケノン(例えばシクロペンテノン、シクロヘキセノン、シクロヘプテノン等)等が挙げられ、好ましくはシクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が挙げられ、より好ましくはシクロヘキサノン等が挙げられる。
当該同素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよく、そのような芳香族炭化水素環としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等が挙げられる。
当該同素環は置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0057】
15〜R17またはEWGで示される「電子吸引基」としては、化合物(V)の二重結合に求核試薬(VI)が共役付加できるように当該二重結合の電子を充分に吸引するものであれば特に限定はなく、例えばニトロ基、シアノ基、−COR18、−SO19、−COOR20、−CONHCOR21、−PO(OR22)(OR23)(ここで、各記号は前記と同義を示す。)等が挙げられ、ニトロ基、−CONHCOR21等が好ましい。これらは同一または異なっていてもよい。但し、R15とR16が同じ基である場合を除く。
【0058】
EWGで示される「電子吸引基」が−COR18(ここで、各記号は前記と同義を示す。)であるとき、R18とR15またはR18とR17は、それぞれ結合する炭素原子と一緒になって、「置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む同素環」を形成してもよい。
【0059】
18とR15が、それぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む同素環」の「電子吸引基を含む同素環」としては、電子吸引基としてカルボニルを含み、かつ化合物(V)の二重結合を含んでもよい、炭素数4〜7のシクロアルケノン(例えば2−シクロペンテン−1−オン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−シクロヘプテン−1−オン等が挙げられる。
【0060】
18とR17が、それぞれ結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む同素環」の「電子吸引基を含む同素環」としては、電子吸引基としてカルボニルを含む炭素数4〜7のシクロアルカノン(例えばシクロブタノン、2−シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等が挙げられる。
当該「電子吸引基を含む同素環」は、さらに芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等)と縮合してもよい。
当該「電子吸引基を含む同素環」は、置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0061】
35またはR36で示される「電子吸引基」としては、隣接する炭素原子が化合物(II)の塩基性部位(アミノ基)によってアニオン化される程度に酸性化できるものであれば特に限定されない。そのような電子吸引基としては、例えば、シアノ基、ニトロ基、−P(=O)R4041、−SO42、−CO43、−CONR4445、−COR46(ここで、各記号は前記と同義を示す。)等が挙げられ、シアノ基、−CO43、−CONR4445、−COR46等が好ましく、−CO43等が特に好ましい。
【0062】
34とR35が結合する炭素原子と一緒になって形成してもよい「置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環」の「電子吸引基を含む環」としては、該電子吸引基が上記の性質を有するものであればよく、例えば、炭素数3〜7のシクロアルカノン(例えば、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタン等)、炭素数3〜5のラクトン(例えば、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等)、炭素数3〜5のラクタム(例えば、γ−ブチロラクタム、δ−バレロラクタム等)等が挙げられ、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等が好ましい。
当該「電子吸引基を含む環」は、さらに芳香族炭化水素環(例えば、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニル、ビナフチル等)と縮合してもよい。
当該「電子吸引基を含む環」は、置換可能な位置に置換基を有していてもよく、そのような置換基としては、上記「置換基を有してもよいアリール基」で例示された置換基と同じ置換基が挙げられる。当該置換基を有する場合その数は特に限定はないが、1〜3個が好ましく、2個以上の場合は、当該置換基は同一または異なっていてもよい。
【0063】
PGまたはPGで示される「保護基」としては、アミノ基の保護基として用いられる自体公知の保護基を特に制限なく使用することができるが、化合物(VIII)のアゾ基を安定化させるために、電子吸引性の保護基が好ましい。そのような保護基としては、例えば、CO37、−CONR3839(ここで、各記号は前記と同義を示す。)等が挙げられ、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル等が好ましく、tert−ブトキシカルボニル等が特に好ましい。これらは同一または異なっていてもよい。
【0064】
、C**、C***およびC****で示される「不斉炭素」は、それぞれ独立の絶対立体配置を持ち、特に限定されない。化合物(II)中のCおよびC**の絶対配置は、所望の立体配置を有する化合物(VII)または(X)を得るために、適宜選択すればよい。
【0065】
化合物(I)〜(V)、(VII)または(X)は、塩の形態であってもよい。そのような塩としては、例えば無機酸塩(例えば塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等);有機酸塩(例えば酢酸塩、プロピオン酸塩、メタンスルホン酸塩、4−トルエンスルホン酸塩、シュウ酸塩、マレイン酸塩等);アルカリ金属塩(例えばナトリウム塩、カリウム塩等);アルカリ土類金属塩(例えばカルシウム塩、マグネシウム塩等);有機塩基塩(例えばトリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、ジシクロヘキシルアミン塩等)等が挙げられる。
【0066】
また、化合物(I)〜(III)は、互変異性体であってもよい。例えば、化合物(III)の互変異性体としては、一般式(III’):
【0067】
【化13】

【0068】
〔式中の各記号は前記と同義である。〕
で表される化合物等が挙げられる。
【0069】
化合物(I)〜(X)において、各基は以下の態様が好ましい。
およびRは、
好ましくは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基であり;
より好ましくは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基であり;
さらに好ましくは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基であり;
さらにより好ましくは、同一または異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基であり;
特に好ましくは、共にメチルである。
【0070】
環Aは、
好ましくは、置換基を有してもよいベンゼン環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよいベンゼン環と縮合したピリミジン−4−オン環であり;
より好ましくは、1〜3個のハロゲン原子を有してもよいベンゼン環と縮合したイミダゾール環、または1〜3個のハロゲン原子を有してもよいベンゼン環と縮合したピリミジン−4−オン環である。
【0071】
およびRは、
好ましくは、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成し;
より好ましくは、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環を形成し;
さらに好ましくは、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
さらにより好ましくは、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
特に好ましくは、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキサンを形成する。
【0072】
およびRは、好ましくは、共に水素原子である。
【0073】
、R、RおよびR10は、
好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;
より好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子またはフッ素原子である。
【0074】
11、R12、R13およびR14は、
好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;
より好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子または塩素原子である。
【0075】
15、R16およびR17は、
好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子または電子吸引基であり;
より好ましくは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよいアリール基である。
さらに好ましくは、R15およびR17は、共に水素原子であり、かつR16は、置換基を有してもよいアリール基である。
さらにより好ましくは、R15およびR17は、共に水素原子であり、かつR16は、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基である。
さらになお好ましくは、R15およびR17は、共に水素原子であり、かつR16は、置換基を有してもよいフェニルである。
特に好ましくは、R15およびR17は、共に水素原子であり、かつR16は、フェニルである。
【0076】
EWGは、
好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、前記と同義である。)から選ばれる電子吸引基であり;
より好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基である。)から選ばれる電子吸引基であり;
さらに好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、置換基を有してもよいアリール基である。)から選ばれる電子吸引基であり;
さらにより好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、置換基を有してもよい炭素数6〜10のアリール基である。)から選ばれる電子吸引基であり;
さらになお好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、置換基を有してもよいフェニルである。)から選ばれる電子吸引基であり;
特に好ましくは、ニトロ基および−CONHCOR21(ここで、R21は、1〜3個のハロゲン原子を有してもよいフェニルである。)から選ばれる電子吸引基である。
【0077】
Nuは、
好ましくは、−CR24(COR25)(COR26)または−CR27(CN)(ここで、R24、R25、R26およびR27は前記と同義である。)であり;
より好ましくは、−CR24(COR25)(COR26)または−CR27(CN)(ここで、R24は、水素原子であり、R25およびR26は、同一または異なって、それぞれ低級アルコキシ基であり、R27は、水素原子である。)であり;
さらに好ましくは、−CR24(COR25)(COR26)または−CR27(CN)(ここで、R24は、水素原子であり、R25およびR26は、同一または異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルコキシ基であり、R27は、水素原子である。)であり;
特に好ましくは、−CR24(COR25)(COR26)または−CR27(CN)(ここで、R24は、水素原子であり、R25およびR26は、共にエトキシであり、R27は、水素原子である。)である。
【0078】
PGおよびPGは、
好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37または−CONR3839(ここで、R37、R38およびR39は前記と同義である。)であり;
より好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37(ここで、R37は前記と同義である。)であり;
さらに好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37(ここで、R37は、置換基を有してもよい低級アルキル基である。)であり;
さらにより好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37(ここで、R37は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基である。)であり;
さらになお好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37(ここで、R37は、炭素数1〜6のアルキル基である。)であり;
特に好ましくは、同一または異なって、それぞれ−CO37(ここで、R37は、tert−ブチル基である。)である。
【0079】
34とR35は、
好ましくは、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環(当該環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成し;
より好ましくは、それぞれ置換基を有してもよい、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、1−インダノンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレンを形成し;
さらに好ましくは、置換基を有してもよい1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレンを形成し;
特に好ましくは、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレンを形成する。
【0080】
36は、
好ましくは、シアノ基、ニトロ基、−P(=O)R4041、−SO42、−CO43、−CONR4445または−COR46(ここで、R40、R41、R42、R43、R44、R45およびR46は前記と同義である。)であり;
より好ましくは、−CO43(ここで、R43は前記と同義である。)であり;
さらに好ましくは、−CO43(ここで、R43は、置換基を有してもよい低級アルキル基である。)であり;
さらにより好ましくは、−CO43(ここで、R43は、置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基である。)であり;
さらになお好ましくは、−CO43(ここで、R43は、炭素数1〜6のアルキル基である。)であり;
特に好ましくは、−CO43(ここで、R43は、メチルである。)である。
【0081】
化合物(I)の光学活性化合物が化合物(II)である。
【0082】
ここで、RおよびRが、それらがそれぞれ結合する不斉炭素と一緒になって置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成するとき、RおよびRは水素原子が好ましく、さらにこのとき、CおよびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置であるのが好ましい。
【0083】
本発明の化合物(II)の好適な1態様としては、キナゾリン−4−オン骨格を有する化合物(III)が挙げられる。
【0084】
【化14】

【0085】
〔式中の各記号は前記と同義である。〕
【0086】
化合物(III)において、好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成し;
およびRが、共に水素原子であり;かつ
、R、RおよびR10が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子である、
化合物である。
【0087】
より好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環を形成し;
およびRが、共に水素原子であり;かつ
、R、RおよびR10が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子である、
化合物である。
【0088】
さらに好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
、R、RおよびR10が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0089】
さらにより好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
、R、RおよびR10が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0090】
さらになお好適な化合物は、
およびRが、共にメチルであり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキサンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
、R、RおよびR10が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはフッ素原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0091】
特に好適な化合物は、
【0092】
【化15】

【0093】
で表される光学活性化合物である。
【0094】
本発明の化合物(II)の好適な別の態様としては、ベンズイミダゾール骨格を有する化合物(IV)が挙げられる。
【0095】
【化16】

【0096】
〔式中の各記号は前記と同義である。〕
【0097】
化合物(IV)において、好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成し;
およびRが、共に水素原子であり;かつ
11、R12、R13およびR14が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子である、
化合物である。
【0098】
より好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環を形成し;
およびRが、共に水素原子であり;かつ
11、R12、R13およびR14が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子である、
化合物である。
【0099】
さらに好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
11、R12、R13およびR14が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0100】
さらにより好適な化合物は、
およびRが、同一または異なって、それぞれ炭素数1〜6のアルキル基であり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、炭素数3〜6のシクロアルカンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
11、R12、R13およびR14が、同一または異なって、それぞれ水素原子またはハロゲン原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0101】
さらになお好適な化合物は、
およびRが、共にメチルであり;
およびRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、シクロヘキサンを形成し;
およびRが、共に水素原子であり;
11、R12、R13およびR14が、同一または異なって、それぞれ水素原子または塩素原子であり;かつ
およびC**の絶対立体配置が共にS配置であるか、または共にR配置である、
化合物である。
【0102】
特に好適な化合物は、
【0103】
【化17】

【0104】
で表される光学活性化合物である。
【0105】
本発明の化合物(I)は、以下のスキーム1により製造することができる。
スキーム1
【0106】
【化18】

【0107】
〔式中、Xは脱離基を示し、他の記号は前記と同義である。〕
【0108】
Xで示される「脱離基」としては、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルカンスルホニルオキシ基、置換されてもよいアレーンスルホニルオキシ基が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子であり、好ましくは塩素原子または臭素原子である。
置換基を有してもよいアルカンスルホニルオキシ基のアルカンスルホニルオキシ基としては、メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ等の炭素数1〜6のアルキルスルホニルオキシ基等が挙げられる。置換基としては、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)等が挙げられる。具体例としては、メタンスルホニルオキシ、トリフルオロメタンスルホニルオキシ等が挙げられる。
置換基を有してもよいアレーンスルホニルオキシ基のアレーンスルホニルオキシ基としては、ベンゼンスルホニルオキシ等の炭素数6〜10のアレーンスルホニルオキシ等が挙げられる。置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子)等が挙げられる。具体例としては、ベンゼンスルホニルオキシ、p−トルエンスルホニルオキシ等が挙げられる。
【0109】
一般式(XI)で表される化合物(以下、化合物(XI)という)を一般式(XII)で表される化合物(以下、化合物(XII)という)と塩基存在下、溶媒中で反応させることにより、化合物(I)を製造することができる。
化合物(XII)の使用量は、化合物(XI)1モルに対して、通常1.0モル〜5.0モル、好ましくは1.0モル〜2.0モルである。
塩基としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、ピコリン、N−メチルピロリジン、N−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン等の有機塩基類;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩等が挙げられる。
塩基の使用量は、化合物(XI)1モルに対して、通常1.0モル〜5.0モル、好ましくは1.0モル〜2.0モルである。
化合物(XI)、化合物(XII)および塩基の添加順序に特に限定はなく、溶媒中に同時または順次添加すればよい。
溶媒としては、当該反応を阻害しないものであればよく、例えばメタノール、エタノール、イソアミルアルコール等のアルコール溶媒;塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、α,α,α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化溶媒;メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert−ブチルのエステル溶媒;トルエン、キシレンの炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒を単独または混合して使用することができる。混合溶媒とする場合には、任意の割合で混合すればよい。
溶媒の使用量は、化合物(XI)1kgに対して、通常0.5L〜30Lであり、より好ましくは1.0L〜5.0Lである。
反応温度は、溶媒の沸点付近が好ましく、イソアミルアルコールを用いる場合は110℃〜140℃である。
反応時間は、用いられる化合物(XI)、化合物(XII)といった原料の種類や反応温度にも依存するが、通常1.0時間〜200時間、好ましくは3.0時間〜100時間である。
得られた化合物(I)は、常法によって単離、精製することができる。例えば反応液を水に注いだ後、分液後、有機層を洗浄、減圧濃縮する、または反応液を濃縮することによって、化合物(I)を単離することができる。単離後、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することもできるが、これに限定されるものではない。
原料である化合物(XI)は、公知の方法(例えば、Bioorg. Med. Chem., 2000, 8, 2305; J. Med. Chem., 2006, 49, 3719; Bioorg. Med. Chem., 2003, 11, 2439; J. Med. Chem., 2007, 20, 2297等に記載の方法)により製造することができる。
また、もう1つの原料である化合物(XII)は、公知の方法(例えば、Tetrahedron, 57,1765-1769(2001)に記載の方法)により製造することができる。例えば、本発明の好適な態様である、一般式(XIIa):
【0110】
【化19】

【0111】
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
で表される化合物は、Tetrahedron Letters, 41, 8431-8434(2000)に記載の方法にて製造することができる。
【0112】
化合物(II)は、スキーム1の方法により製造することができる。
【0113】
次に、化合物(II)を不斉触媒として用いた不斉共役付加反応による化合物(VII)の製造方法について説明する。当該方法は以下のスキーム2に示される。
スキーム2
【0114】
【化20】

【0115】
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
【0116】
当該反応では、溶媒中または無溶媒下で、化合物(II)の存在下、化合物(V)に求核試薬(VI)を共役付加させることにより、化合物(VII)を製造することができる。
【0117】
ここで、化合物(VII)のC***は不斉炭素であるため、化合物(V)において、R15とR16が同じ基を示す場合はない。
当該反応で製造される化合物(VII)は光学活性であり、その光学純度は特に限定はないが、キラルカラムを用いるHPLC分析によって測定されるエナンチオマー過剰率として、通常50%e.e.以上であり、好ましくは90%e.e.以上である。
【0118】
当該反応において、共役付加とは、化合物(V)において、EWGで表される電子吸引基に共役結合している二重結合の炭素のうち、EWGに結合していない炭素、つまりβ位の炭素に求核試薬(VI)が付加する反応をいう。
【0119】
化合物(II)の使用量は、化合物(V)1モルに対して、好ましくは0.01モル〜1.00モル、より好ましくは0.05モル〜0.20モルである。
求核試薬(VI)の使用量は、化合物(V)1モルに対して、通常1モル〜10モル、好ましくは1.2モル〜3モルである。
【0120】
当該反応は、溶媒中で行うことができるが、無溶媒で行うこともできる。無溶媒で行う場合は、経済的に有利であり、また容積効率も高くすることができるので、工業的に有利である。
溶媒としては、当該反応を阻害しないものであればよく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、α,α,α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化溶媒;メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert−ブチル等のエステル溶媒;トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒を単独または混合して使用することができるが、収率および立体選択性が良好なことからトルエンまたは塩化メチレンを使用するのが好ましい。混合溶媒とする場合には、任意の割合で混合すればよい。
溶媒の使用量は、化合物(V)1kgに対して、通常1L〜100L、好ましくは10L〜30Lである。
【0121】
当該反応において、試薬の添加の順序は特に限定はなく、化合物(II)、化合物(V)および求核試薬(VI)をそれぞれ同時または順次添加すればよい。
反応温度は、通常−78℃〜100℃、好ましくは0℃〜40℃である。
反応時間は、用いられる試薬や反応温度にも依存するが、通常0.1時間〜100時間である。
【0122】
得られた化合物(VII)は、常法によって単離、精製することができる。例えば反応液を水に注いだ後、分液後、有機層を洗浄、減圧濃縮する、または反応液を濃縮することによって、化合物(VII)を単離することができる。単離後、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することもできるが、これに限定されるものではない。
【0123】
化合物(VII)を単離、精製する際に、化合物(II)を容易に分離回収することができる。例えば、化合物(II)には、塩基性のアミンが存在するため、抽出操作において、酸性水溶液(例えば、塩酸、硝酸、硫酸等)で処理することによって、水層に塩として移行させることにより化合物(VII)と分離することができる。当該水溶液を中和した後、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン等)で抽出することにより、化合物(II)を分離回収することができる。また、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて分離回収してもよい。
【0124】
このようにして分離回収された化合物(II)は、当該反応に再利用することができる。即ち、化合物(II)は非金属であるため、金属触媒等にみられる触媒活性の劣化が起こりにくく、回収することによって何回でも再利用することができ、経済的に有利である。
【0125】
原料である化合物(V)は、公知の方法例えば、下記一般式(XIII)で表されるカルボニル化合物と下記一般式(XIV)で表される活性メチレン化合物の脱水縮合によって製造することができる。
【0126】
【化21】

【0127】
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
このような脱水縮合反応として、アルドール縮合、Knoevenagel反応、Perkin反応等およびこれらの改変法が挙げられる。
【0128】
また、化合物(V)の好適な例であるtrans−β−ニトロスチレン等入手可能なものは、市販品を用いてもよい。
原料である求核試薬(VI)は、公知の方法例えば、Tetrahedron Letters, 39, 8013-8016(1998)、Bull. Chem. Soc. Jpn., 61, 4029-4035(1988)等に記載の方法によって製造することができる。また、求核試薬(VI)の好適な例であるマロン酸ジエチル等の入手可能なものは、市販品を用いてもよい。
【0129】
化合物(VII)は、アミン類、アミノ酸、医薬、農薬、食品添加物等の有用な合成中間体である。例えば、化合物(VII)の一例である(R)−3−(3−シクロペンチル−4−メトキシフェニル)−2−エトキシカルボニル−4−ニトロ酪酸エチルは、Journal of the American Chemical Society,2002年,第124巻,第44号,p.13097−13105に記載の方法により、抗うつ薬である(R)−ロリプラムに誘導することができる。
【0130】
次に、化合物(II)を不斉触媒として用いた不斉ヒドラジン化反応による化合物(X)の製造方法について説明する。当該反応は以下のスキーム3に示される。
スキーム3
【0131】
【化22】

【0132】
(式中、各記号は前記と同義を示す。)
【0133】
当該反応では、化合物(II)の存在下、化合物(VIII)に化合物(IX)を求核付加させて、化合物(X)を製造することができる。
【0134】
ここで、化合物(X)のC****は不斉炭素であるため、化合物(IX)において、R35とR36が同じ基を示す場合はない。
当該方法で製造される化合物(X)の光学純度は特に限定はないが、キラルカラムによるHPLC分析によって測定されるエナンチオマー過剰率として、通常63%e.e.以上であり、好ましくは76%e.e.以上である。
【0135】
化合物(II)の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、好ましくは0.01モル〜1.00モル、より好ましくは0.05モル〜0.20モルである。
化合物(IX)の使用量は、化合物(VIII)1モルに対して、通常1モル〜2モル、好ましくは1モル〜1.1モルである。
【0136】
当該反応は、溶媒中で行うことができるが、無溶媒で行うこともできる。無溶媒で行う場合は、経済的に有利であり、また容積効率も高くすることができるので、工業的に有利である。
溶媒としては、当該反応を阻害しないものであればよく、例えば塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、α,α,α−トリフルオロトルエン等のハロゲン化溶媒;ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル溶媒;酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸tert−ブチル等のエステル溶媒;ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素溶媒;アセトニトリル等のニトリル溶媒を単独または混合して使用することができるが、収率および立体選択性が良好なことからトルエン、塩化メチレン、ジエチルエーテルまたはヘキサンが好ましく、トルエンが特に好ましい。混合溶媒とする場合には、任意の割合で混合すればよい。
溶媒の使用量は、化合物(VIII)1kgに対して通常1L〜100L、好ましくは10L〜50Lである。
【0137】
当該反応において、試薬の添加順序は特に限定はなく、化合物(II)、化合物(VIII)および化合物(IX)をそれぞれ同時または順次添加すればよい。
反応温度は使用する試薬にもよるが、通常−78℃〜100℃、好ましくは−78℃〜0℃である。
反応時間は、用いられる試薬や反応温度にも依存するが、通常25時間〜100時間である。
【0138】
得られた化合物(X)は、常法によって単離、精製することができる。例えば反応液を水に注いだ後、分液後、有機層を洗浄、減圧濃縮する、または反応液を濃縮することによって、化合物(X)を単離することができる。単離後、例えばシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して精製することもできるが、これに限定されるものではない。
【0139】
化合物(X)を単離、精製する際に、化合物(II)を容易に分離回収することができる。例えば、化合物(II)には、塩基性のアミンが存在するため、抽出操作において、酸性水溶液(例えば、塩酸、硝酸、硫酸等)で処理することによって、水層に塩として移行させることにより化合物(X)と分離することができる。当該水溶液を中和した後、有機溶媒(例えば、酢酸エチル、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン等)で抽出することにより、化合物(II)を分離回収することができる。また、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにおいて分離回収してもよい。
【0140】
このようにして分離回収された化合物(II)は、当該反応に再利用することができる。即ち、化合物(II)は非金属であるため、金属触媒等にみられる触媒活性の劣化が起こりにくく、回収することによって何回でも再利用することができ、経済的に有利である。
【0141】
化合物(X)は、自体公知の方法、例えば、1) Angew.Chem. Int. Ed. 2002, 41, 1790-1793.または 2) J. Am. Chem. Soc. 2004, 126,8120-8121.に記載の方法に準じて反応させることにより、化合物(XV)に導くことができる。
即ち、化合物(X)を、例えば、溶媒中または無溶媒下で、塩基または酸と反応させて、保護基(PGおよびPG)を除去し、次いで接触還元に付すかあるいは亜鉛末と反応させて、窒素―窒素結合を還元することにより、化合物(XV)を製造することができる。反応条件の詳細は、上記文献に記載の反応条件に準じて行なうことができるので、省略する。
【0142】
原料である化合物(VIII)は、市販品を使用することができる。
原料である化合物(IX)は、目的に応じて、公知化合物から制限なく選択することができる。
【0143】
化合物(X)および化合物(XV)は、アミン類、アミノ酸、医薬、農薬、食品添加物等の有用な合成中間体となり得る。
【実施例】
【0144】
以下、本発明について、実施例を挙げてさらに具体的に説明する。本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0145】
実施例1
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕ベンゾイミダゾール
【0146】
【化23】

【0147】
2−クロロベンズイミダゾール(304.8mg、2.0mmol)、(1R,2R)−N1,N1−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(307.8mg、2.2mmol)およびトリエチルアミン(0.3mL、2.2mmol)を、イソアミルアルコール(1.0mL)中、130℃で41時間攪拌した。その後、反応混合物に重曹水を添加し、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸カリウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(アンモニア含有クロロホルム/クロロホルム/メタノール=9/0/1→0/9/1)で精製し、表題化合物の白色固体303mgを得た。収率は59%であった。
mp. 230-232 ℃;
[α]D34 = −24.0 (c 0.69, CDCl3);
1H-NMR(δ,CDCl3): 7.40-7.26 (m, 2H), 7.04 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 7.03 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 5.45 (s, 1H), 3.42 (ddd, J1 = J2 = 10.5 Hz, J3 = 3.9 Hz, 1H), 2.76-2.64 (m, 1H), 2.36 (ddd, J1 =J2 = 10.5 Hz, J3 = 2.8 Hz, 1H ), 2.24 (s, 6H), 1.94-1.77 (m, 2H), 1.77-1.65 (m, 1H), 1.48-1.31 (m, 1H), 1.31-1.11 (m, 3H);
IR (KBr): 3265;
LRMS 〔FAB+〕 m/z = 259 (M+H+);
Anal. Calcd for C15H22N4: C, 69.73; H, 8.58; N, 21.69. Found: C, 69.74; H, 8.35; N, 21.71.
【0148】
実施例2
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕−5,6−ジクロロベンゾイミダゾール
【0149】
【化24】

【0150】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−5,6−ジクロロベンゾイミダゾールを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物の帯褐色固体181mgを得た。収率は30%であった。
1H-NMR (δ,CDCl3): 7.29 (s, 2H), 5.47 (s, 1H), 3.46-3.35 (m, 1H), 2.61-2.51 (m, 1H), 2.42-2.31 (m, 1H), 2.27 (s, 6H), 1.95-1.78 (m, 2H), 1.78-1.64 (m, 1H), 1.41-1.10 (m, 4H);
IR (KBr): 3308;
LRMS (FAB+) m/ z = 327 (M+H+);
Anal. Calcd for: C, 55.05; H, 6.16; N,17.12. Found: C,54.94; H, 6.29; N, 16.83.
【0151】
実施例3
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕キナゾリン−4−オン
【0152】
【化25】

【0153】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロキナゾリン−4−オンを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物327mgを得た。収率は68%であった。
mp: 117-121 ℃;
[α]D30 = -29.46 (c = 0.93, CHCl3);
1H-NMR (δ,CDCl3): 8.10 (dd, J1 = 7.94 Hz, J2 = 1.44 Hz, 1H), 7.52 (ddd, J1= J2 = 7.94 Hz, J3 = 1.44 Hz, 1H), 7.22 (d, 7.94 Hz, 1H), 7.12 (dd, J1 = J2 = 7.94 Hz, 1H), 3.69-3.57 (m, 1H), 2.52 (ddd, J1 = J2 =10.26 Hz, J3 = 2.92 Hz, 1H), 2.45-2.32 (m, 1H), 2.36 (s, 6H), 1.96-1.87 (m, 1H), 1.87-1.69 (m, 2H), 1.52-1.16 (m, 4H);
IR (KBr): 3254, 1679, 1606;
LRMS (FAB+) m/z = 287 (M+H+).
【0154】
実施例4
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕−5−フルオロキナゾリン−4−オン
【0155】
【化26】

【0156】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−5−フルオロキナゾリン−4−オンを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ,CDCl3): 7.43 (ddd, J1 =J2 = 8.0, J3 = 5.5 Hz, 1H), 7.04 (d, J = 8.0 Hz, 1H ), 6.73 (dd, J1 = 10.5, J2 = 8.0 Hz, 1H), 6.23 (bs, 1H), 3.60-3.51 (m, 1H), 2.51 (ddd, J1 = J2 = 10.5, J3 = 3.3 Hz), 2.41-2.30 (m, 1H), 2.38 (s, 6H), 1.97-1.89 (m, 1H), 1.80-1.72 (m, 1H), 1.42-1.18 (m, 4H);
IR (KBr): 3290, 1682, 1614;
LRMS (FAB+) m/z = 287 (M+H+).
【0157】
実施例5
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕−6−フルオロキナゾリン−4−オン
【0158】
【化27】

【0159】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−6−フルオロキナゾリン−4−オンを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ, CDCl3): 7.74 (dd, J1 =8.76, J2 = 2.92, 1H), 7.34-7.23 (m, 2H), 6.14 (bs, 1H), 3.56-3.40 (m, 1H), 2.58-2.46 (m, 1H), 2.46-2.27 (m, 1H), 2.42 (s, 6H), 2.00-1.89 (m, 1H), 1.89-1.82 (m, 1H), 1.45 -1.15 (m, 4H);
LRMS (FAB+) m/z = 305 (M+H+).
【0160】
実施例6
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕−7−フルオロキナゾリン−4−オン
【0161】
【化28】

【0162】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−7−フルオロキナゾリン−4−オンを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ, CDCl3): 8.09 (dd, J1 = 8.50 Hz, J2 = 6.46 Hz, 1H), 6.92 (dd, J1= 10.36 Hz, J2 = 2.34 Hz, 1H), 6.85 (ddd, J1 = J2= 8.50 Hz, J3 = 2.34 Hz, 1H), 3.51-3.40 (m, 1H), 2.47(ddd, J1= J2 =10.98 Hz, J3 = 3.66 Hz), 2.38 (s, 6H), 2.42-2.31 (m, 1H), 1.99-1.89 (m, 1H), 1.89-1.81 (m, 1H), 1.81-1.70 (m, 1H), 1.40-1.16 (m, 4H);
IR (KBr): 3254, 1680;
LRMS (FAB+) m/z = 305 (M+H+).
【0163】
実施例7
(R,R)−トランス−2−〔2−(N,N−ジメチルアミノ)シクロヘキシルアミノ〕−8−フルオロキナゾリン−4−オン
【0164】
【化29】

【0165】
2−クロロベンズイミダゾールの代わりに2−クロロ−8−フルオロキナゾリン−4−オンを使用した以外は実施例1と同様に行い、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ, CDCl3): 7.88 (d, J = 7.9 Hz, 1H), 7.32-7.20 (m, 1H), 7.04 (ddd, J1 = J2= 7.90 Hz, J3 = 4.62 Hz, 1H), 6.56 (bs, 1H), 3.66-3.50 (m, 1H), 2.65- 2.50 (m, 1H), 2.44 (s, 6H), 2.01-1.89 (m, 1H), 1.89-1.71 (m, 1H), 1.55-1.14 (m, 4H);
IR (KBr): 3257, 1682;
LRMS (FAB+) m/z = 305 (M+H+).
【0166】
実施例8
(S)−2−エトキシカルボニル−4−ニトロ−3−フェニル酪酸エチル
【0167】
【化30】

【0168】
トランス−β−ニトロスチレン(34.3mg、0.23mmol)、マロン酸ジエチル(0.065mL、0.46mmol)および不斉触媒として以下の表1に示す化合物(10mol%)を使用し、トルエン(0.4mL)中、室温で攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=95/5→90/10→80/20)で精製し、表題化合物を得た。
1H-NMR (δ, CDCl3): 7.34-7.23 (m, 5H), 4.95-4.83 (m, 2H), 4.27-4.18 (m, 3H), 4.01 (q, J = 7.08 Hz), 3.82 (d, J = 9.28 Hz), 1.26 (t, J = 7.08 Hz), 1.05 (t, J = 7.08 Hz);
HPLC [Chiralcel AD-H, hexane/ EtOH = 9/1, 1 mL/min, 254 nm, retention times: (major) 11.7 min, (minor) 15.5 min].
【0169】
【表1】

【0170】
製造例1
(E)−N−シンナモイル−2−フルオロベンズアミド
【0171】
【化31】

【0172】
アルゴン雰囲気下、2−フルオロベンズアミド(1.41g、10.0mmol)、水素化ナトリウム(60%鉱油分散品、1.04g、25.0mmol)およびテトラヒドロフラン(3mL)を氷冷下で攪拌した。そこへ、塩化シンナモイル(1.68g、10.0mmol)のテトラヒドロフラン(3mL)溶液を添加し、混合物を室温まで温めた。1時間攪拌した後、混合物に希塩酸を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を重曹水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧濃縮した。残渣を酢酸エチル/n−ヘキサンから結晶化させ、表題化合物の白色固体1.91gを得た。収率は70%であった。
1H-NMR (δ, CDCl3): 8.97 (d, J = 12.6, 1H), 8.10 (ddd, J1 = J2 = 7.75 Hz, J3= 1.9 Hz, 1H), 7.92 (d, J = 15.5 Hz, 1H), 7.74 (d, J = 15.5, 1H), 7.70-7.54 (m, 3H), 7.47-7.32 (m, 4H), 7.21 (dd, J1 = 12.0, J2 = 8.60 Hz, 1H);
IR (KBr): 3368, 1708, 1677;
LRMS (FAB+) m/z = 270 (M+H+);
Anal Calcd for C16H12FNO2: C, 71.37; H, 4.49; N, 5.20. Found: C,71.53; H, 4.52; N, 5.24.
【0173】
実施例9
(S)−4,4−ジシアノ−N−(2−フルオロベンゾイル)−3−フェニル−ブタン酸アミド
【0174】
【化32】

【0175】
(E)−N−シンナモイル−2−フルオロベンズアミド(26.9mg、0.1mmol)、マロノニトリル(13.2mg、0.2mmol)および不斉触媒として以下の表2に示す化合物(10mol%)を、トルエン(1.0mL)中、室温で27時間攪拌した。反応混合物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=4/1)で精製し、表題化合物の白色固体を得た。
1H-NMR (δ, CDCl3): 9.06 (d, J = 14.35 Hz), 8.06 (dd, J1 = J2 = 7.75, 1H), 7.62 (dd, J1= 10.56, J2 = 4.82 Hz, 1H), 7.51-7.37 (m, 5H), 7.35 (dd, J1= J2 = 7.45, 1 H), 7.21 (dd, J1 = 12.32 Hz, J2= 8.28 Hz), 4.59 (d, J = 5.7 Hz, 1H), 3.89 (d, t, J1 = 7.22 Hz, J2 = 5.70 Hz, 1H), 3.73 (d, J = 7.22 Hz, 2H);
13C-NMR(δ, CDCl3): 172.4, 162.0 (d, J = 3.60 Hz), 160.6 (d, J = 249.5 Hz), 136.0, 135,8 (d, J = 10.8 Hz), 132.4, 129.3, 129.2, 128.1, 125.5 (d, J = 2.4 Hz), 124.3 (d, J = 9.60 Hz), 116.6 (d, J = 24.0 Hz), 114.6 (d, J = 37.1 Hz), 41.4, 40.2, 28.8;
IR (KBr): 3245, 1730, 1675;
LRMS (FAB+) m/z = 336 (M+H+);
HPLC [Chiralcel OD-H, hexane/ 2-propanol = 7/3, 1.0 mL/min, retention times: (minor) 20.4 min, (major) 26.6 min.].
【0176】
【表2】

【0177】
製造例2
1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル
【0178】
【化33】

【0179】
アルゴン雰囲気下、水素化ナトリウム(60%鉱油分散品、887mg、22.0mmol)、炭酸ジメチル(15mL)および3,4−ジヒドロナフタレン−1(2H)−オン(1.46g、10.0mmol)の混合物を80℃で3.5時間攪拌した。反応混合物を希塩酸でクエンチし、酢酸エチルで抽出した。有機層を炭酸ナトリウムで乾燥し、濾過後、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/0→5/1)で精製し、表題化合物の白色固体を得た。
【0180】
実施例10
N,N’−ビス(tert−ブチルオキシカルボニル)−2−ヒドラジノ−[1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレン]−2−カルボン酸メチルエステル
【0181】
【化34】

【0182】
ジ−tert−ブチルアゾジカルボキシラート(47.8mg、0.21mmol)のトルエン(2.0mL)溶液に、室温下、1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレン−2−カルボン酸メチルエステル(46.7mg、0.23mmol)と不斉触媒として以下の表3に示す化合物(10mol%)を添加した。混合物を室温で5時間攪拌した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=90/10→50/50)で精製し、表題化合物の白色固体を得た。
Rf 0.53 (silica gel, hexane/ EtOAc = 5/1);
HPLC [Chiralcel OD-H, hexane/ EtOAc = 95/5, 0.5 mL/min, 254 nm, retention times: (major) 15.5 min, (minor) 18.6 min.].
【0183】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0184】
本発明によれば、非金属である化合物(II)を不斉触媒として用い、化合物(V)に求核試薬(VI)を共役付加させることにより、化合物(VII)を高収率かつ高立体選択的に製造することができる。
また、化合物(II)を不斉触媒として用い、化合物(VIII)に化合物(IX)を付加させることにより、化合物(X)を高収率かつ高立体選択的に製造することができる。得られた化合物(X)は、窒素−窒素結合を切断することにより、容易に化合物(XV)に導くことができる。
さらに、化合物(II)は非金属であるため、金属廃液の処理等をする必要がなく、環境に優しい触媒である。さらに非金属であるため、回収再利用も容易に行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I):
【化1】


〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環を示し;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示す。〕
で表される複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項2】
一般式(II):
【化2】


〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
環Aは、置換基を有してもよい芳香族環と縮合したイミダゾール環、または置換基を有してもよい芳香族環と縮合したピリミジン−4−オン環を示し;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表される複素環骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項3】
とRが、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基である、請求項1または2に記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項4】
とRが、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい炭素数3〜6のシクロアルカンを形成する、請求項1〜3のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項5】
とRが共に水素原子である、請求項1〜4のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項6】
とC**が、共にR配置または共にS配置である、請求項2〜5のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項7】
一般式(III):
【化3】


〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
、R、RおよびR10は、同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表されるキナゾリン−4−オン骨格を有する化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項8】
下記式:
【化4】


で表されるキナゾリン−4−オン骨格を有する光学活性化合物、その互変異性体またはそれらの塩。
【請求項9】
一般式(IV)
【化5】


〔式中、
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環(当該複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成していてもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよい低級アルケニル基、置換基を有してもよい低級アルキニル基、置換基を有してもよいアラルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示すか、あるいはRとRがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく;
およびRは、同一または異なって、それぞれ水素原子または置換基を有してもよい低級アルキル基を示し;
11、R12、R13およびR14は、同一または異なって、それぞれ水素原子、ハロゲン原子、水酸基、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよい低級アルコキシ基を示し;
およびC**は不斉炭素を示す。〕
で表されるベンズイミダゾール骨格を有する化合物またはそれらの塩。
【請求項10】
下記式:
【化6】


で表されるベンズイミダゾール骨格を有する光学活性化合物またはそれらの塩。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の化合物、その互変異性体またはそれらの塩の存在下、一般式(V):
【化7】


〔式中、
15、R16およびR17は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいヘテロアリール基、置換基を有してもよいヘテロ原子または電子吸引基を示すか、あるいはR16とR17は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環を形成してもよく(但し、R15とR16が同じ基を示す場合を除く。);
EWGは、ニトロ基、シアノ基、−COR18、−SO19、−COOR20、−CONHCOR21および−PO(OR22)(OR23)(ここで、R18、R19、R20、R21、R22およびR23は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR18とR15またはR18とR17は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有していてもよく、かつ電子吸引基を含む同素環を形成してもよい。)から選ばれる電子吸引基を示す。〕
で表される化合物またはその塩に、一般式(VI):
H−Nu(VI)
〔式中、Nuは、−CR24(COR25)(COR26)、−CR27(CN)、−OR28、−SR29、−NR3031、−C(NO)R3233(ここで、R24は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するヘテロ原子、置換基を有してもよい低級アルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;R25およびR26は、同一または異なって、それぞれ水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、モノ−低級アルキルアミノ基またはジ−低級アルキルアミノ基を示し;R24とR25は、それらがそれぞれ結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよい同素環または置換基を有してもよい複素環(当該同素環および複素環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成してもよく;R27は、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有するヘテロ原子、置換基を有してもよい低級アルキル基または置換基を有してもよいアリール基を示し;R28、R29、R30、R31、R32およびR33は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR30とR31は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)またはアジド基を示す。〕
で表される求核試薬を共役付加させることを特徴とする、一般式(VII):
【化8】


〔式中、C***は不斉炭素を示し、他の各記号は前記と同義を示す。〕
で表される化合物またはその塩の製造方法。
【請求項12】
一般式(VIII):
【化9】


〔式中、PGおよびPGは、同一または異なって、それぞれ保護基を示す。〕
で表される化合物に、一般式(IX):
【化10】


〔式中、
34は、水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示し;
35およびR36は、同一または異なって、それぞれ電子吸引基を示し(但し、R35とR36が同じ基を示す場合を除く。);
34とR35は、それらが結合する炭素原子と一緒になって、置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環(当該環は、芳香族炭化水素環と縮合してもよい。)を形成してもよい。〕
で表される化合物を付加させることを特徴とする、一般式(X):
【化11】


〔式中、C****は不斉炭素を示し、他の各記号は前記と同義を示す。〕
で表される化合物またはその塩の製造方法。
【請求項13】
PGおよびPGが、同一または異なって、それぞれ−CO37または−CONR3839(ここで、R37、R38およびR39は、同一または異なって、それぞれ置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR38とR39は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)である、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
35およびR36が、同一または異なって、それぞれシアノ基、ニトロ基、−P(=O)R4041、−SO42、−CO43、−CONR4445または−COR46(ここで、R40、R41、R42、R43、R44、R45およびR46は、同一または異なって、それぞれ水素原子、置換基を有してもよい低級アルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいアリール基または置換基を有してもよいヘテロアリール基を示すか、あるいはR44とR45は、それらが結合する窒素原子と一緒になって、置換基を有してもよい複素環を形成してもよい。)である、請求項12または13に記載の製造方法。
【請求項15】
34とR35が形成する、置換基を有してもよく、かつ電子吸引基を含む環が、それぞれ置換基を有してもよい、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、1−インダノンまたは1,2,3,4−テトラヒドロ−1−オキソナフタレンである、請求項12〜14のいずれかに記載の製造方法。

【公開番号】特開2010−248089(P2010−248089A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−96449(P2009−96449)
【出願日】平成21年4月10日(2009.4.10)
【出願人】(504132272)国立大学法人京都大学 (1,269)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】