説明

覆工セグメントの搬送システム

【課題】立坑上部に設置するクレーンと坑内搬送車輛とを連携して使用できるようにして、地上から切羽後部位置までのセグメント搬送を無人で自動運転できる覆工セグメントの搬送システムを提供する。
【解決手段】地上部からトンネル掘削坑3内へ覆工セグメント40を搬送するに際し、外部からの指令によって発進立坑2の上方からセグメントグラブ7により覆工セグメント40を把持してクレーンで吊下ろし、その途中を案内手段(垂直昇降ガイド6)によって前記セグメントグラブ7を案内させ、立坑底部で荷受位置に待機する坑内搬送台車36に、前記セグメントグラブ7から直接移載して切羽3aまで搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド工法によるトンネル構築現場における覆工セグメントを、地上部から切羽後部位置までほぼ自動的に搬送する覆工セグメントの搬送システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地中にトンネルを構築するシールド工法は、シールド掘削機により地山を掘削しつつそのシールド掘削機の内部で覆工用のセグメントを組立てて、覆工するとともに、このセグメントの前端に反力を取ってシールド掘削機を推進させる操作を繰り返してトンネルが形成されている。
【0003】
このようなシールド工法では、地上からシールド掘削機まで覆工用のセグメントを搬送する手段として、例えば地上にセグメントを貯留する資材貯蔵倉庫(ラック装置)を設置して、セグメントを管理保管し、この資材貯蔵倉庫から取出したセグメントをトンネル内に運び込むために、搬送台車によって前記倉庫から立坑位置まで搬送し、立坑内に設置した垂直搬送装置によって立坑底部に移動させ、その後に立坑からトンネル構内の軌道上をシールド掘削機後部位置まで移動させて運搬する方式が特許文献1によって知られている。また、市街地など資材(セグメントなど)の保管場所の設置スペースがとれない工事現場では、セグメントの受入れヤードで工場から運び込まれるセグメントを、立坑内を利用して設置した多段の収納棚に一旦保管して、供給要求に応じて順次取出して構内搬送台車に移し替え、シールド掘削機まで搬送するような方式が特許文献2によって開示されている。
【0004】
また、地上からシールド掘削機までセグメントを搬送するのに、トンネル坑内全域で無人の搬送台車を誘導するシステムについては、特許文献3によって知られるものがある。また、円弧状に形成されたセグメントを運搬するのに適したセグメントグラブについては、例えば特許文献4によって開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平2−194297号公報
【特許文献2】特開平10−331599号公報
【特許文献3】特開2000−186500号公報
【特許文献4】特開2000−53368号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、近時市街地などにおける地下トンネルの構築に際しては、発進基地の設置事情によって、覆工資材の受入れスペースを広くすることが困難な場合が多いので、前記先行技術におけるように地上部に大きな構造のセグメントなど覆工材の受入れ設備を設置することができない、という問題点がある。
【0007】
また、立坑の設置現場の事情からセグメントの搬入設備の設置スペースが十分に取れないという場合がある。そのために、前記先行技術に見られるように、地上部からトンネル内搬送台車へ送られるセグメントの運搬時におけるセグメントの向きを取扱が便利な向きに移動させること、つまり、地上部で例えば昇降装置の運搬台に搭載させたセグメントの向きを立坑内で搬送台車に搭載するとき、送り込まれた際の向きをそのまま保って搬送台車に移載するというような取扱ができない場合がある。例えばトンネルの掘削構築方向に対してセグメントを地上部から搬入するための昇降装置の昇降運搬台から水平面上で搬送台車への移載が、そのまま直進または直交する向きで行えず、斜め方向に移動させねばならないというような事情が生じる。このような工事現場では、前記特許文献1あるいは2で知られるような搬入システムの採用は困難である。
【0008】
一方、従前のようにセグメントを地上部で玉掛けして立坑内底部へクレーンで吊下ろして、立坑内で荷取り者の合図のもと搬送台車へ搭載する方法をとれば、掘進が進捗して遠距離まで搬入することになると、坑内での搬送台車の編成が2編成となり、それに伴い荷扱い作業者の人員を多く必要とする。また、立坑深さが深くなると、吊り荷の荷振れにより荷受個所での搬送台車への搭載操作が困難になるという問題点がある。したがって、このように覆工材(セグメントなど)のトンネル内への搬入条件が厳しい立坑では、通常の手段での搬入作業によると作業能率の低下が避けられないという問題点がある。
【0009】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、立坑上部に設置するクレーンと坑内搬送車輛とを連携して使用できるようにして、地上から切羽後部位置までのセグメント搬送を無人で自動運転できる覆工セグメントの搬送システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記目的を達成するために、本発明による覆工セグメントの搬送システムは、
地上部からトンネル掘削坑内へ覆工セグメントを搬送するに際し、外部からの指令によって発進立坑の上方からセグメントグラブにより覆工セグメントを把持してクレーンで吊下ろし、その途中を案内手段によって前記セグメントグラブを案内させ、立坑底部で荷受位置に待機する坑内搬送台車に、前記セグメントグラブから直接移載して切羽まで搬送することを特徴とするものである(第1発明)。
【0011】
前記発明において、前記セグメントグラブの案内手段は、立坑上部から搬送台車の荷受位置上部までガイドレールが配置され、セグメントグラブには前記ガイドレールに係合して昇降案内されるガイドローラを備える構成であるのがよい(第2発明)。
【0012】
前記発明において、セグメントグラブを吊下げて搬送するクレーンは、発進立坑の上部に架構される天井クレーンであるのがよい(第3発明)。
【0013】
また、前記発明において、前記荷受位置から切羽までの覆工セグメントの搬送は、坑内搬送台車による自動運転により行われるのがよい(第4発明)。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、立坑上部に設けられたクレーンによって坑内搬送台車に覆工セグメントを積込んで坑内に搬入するに際し、クレーンによって揚降されるセグメントグラブを用いて立坑に立設される案内手段にて昇降案内させ、荷受位置に待機する搬送台車上に導いて、セグメントグラブから搬送台車に直接積込むようにすることで、その操作を自動的に行えることになり、搬入作業が人手を介さずにできるようになって、作業の能率向上を図ることができる。また、危険作業を回避でき作業環境の改善を促進できるという効果が得られる。
【0015】
また、セグメントグラブを立坑上部から搬送台車の荷受け位置上部までガイドレールを配置して、このガイドレールによりそのセグメントグラブを案内するようにしたことで、天井クレーンを用いてセグメントグラブが吊下ろされる際に、そのセグメントグラブの吊下げ姿勢を安定させることができ、荷振れを生じることなく搬入できて運転操作を容易にし、自動化を促進するという効果が得られる。併せて吊下げ姿勢の向きを変えることも可能になり、現場の条件に応じて資材の搬入を容易にするという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明による覆工セグメントの搬送システムの具体的な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0017】
図1には、本発明の一実施形態に係る覆工セグメントの搬送システムの概要図が示されている。図2には立坑の平面図が、図3には図2のA−A視図が、図4には使用されるセグメントグラブの正面図が、図5には図4のセグメントグラブの平面図が、図6には図4の左側面図が、図7にはセグメントグラブのガイドローラ部分を表わす図が、それぞれ示されている。
【0018】
この実施形態の覆工セグメントの搬送システム1としては、発進立坑2の地上部には、その立坑2上部を跨いで架設される天井クレーン4と、立坑2の壁面に支持されて内部に立設される垂直昇降ガイド6と、前記天井クレーン4によって吊下げられて前記垂直昇降ガイド6により案内されるセグメントグラブ7と、立坑2の底部2aから掘削坑3内の切羽部3aまで覆工資材を運搬する坑内の搬送台車36とその軌道、および前記天井クレーン4によるセグメント40の坑内搬入および搬送台車36による掘削坑内搬送を制御する制御手段とで構成されている。
【0019】
また、この実施形態では、掘削坑3(トンネル)の掘削軸Tに対して立坑2の上方に架設される天井クレーン4の走行軸線Cが、現場の事情でその横行方向を30°変位した状態で設置されている。
【0020】
前記天井クレーン4は、立坑2の上部を覆う仮設建屋内(図示省略)に、その構築構造体に支持されて立坑2の上部を走行してその立坑2の隣接地上部におけるセグメント集積個所5で、工場から搬入された覆工用のセグメント40を取り込めるように架設されている。この天井クレーン4のクラブ4aからはセグメントグラブ7(詳細については後述)が吊下げられ、このセグメントグラブ7を立坑2内に立設された垂直昇降ガイド6に案内されて、立坑底部2aの荷受位置Pに待機する搬送台車36直上位置まで吊下ろせるようにされている。
【0021】
前記セグメントグラブ7は、図4〜7に示されているように、天井クレーン4のクラブ4aから複数本のロープにて吊下げられる長方形に形成された吊下げ支持枠11と、この吊下げ支持枠11の長手両端部の各両外側にて基端を枢支されて回動自在に垂下支持される左右一対のセグメント保持枠12,12と、前記吊下げ支持枠11に搭載されて前記各セグメント保持枠12の枢支位置よりそれぞれ上方に延長された操作桿13端と連結してそのセグメント保持枠12を回動操作するパワーシリンダ14とで構成されている。
【0022】
前記吊下げ支持枠11は、その幅寸法が取扱う覆工セグメント40の幅寸法よりやや広い寸法にされている。前記セグメント保持枠12,12は、中央から所要寸法離れた対称位置で吊下げ支持枠11の両側の主部材11a,11aを貫通して軸受支持され平行する枢支軸15,15に、それぞれ基端部を取り付けられて所要長さの脚部材12a,12aを一対、その脚部材12a,12aの下端を横梁材12bで接続して内側にセグメント40を受入れられる寸法でU字型の枠体に形成されている。かかるセグメント保持枠12,12が前記吊下げ支持枠11の長手方向両端部で対称に吊設されている。なお、それらセグメント保持枠12,12の脚部材12a,12a内側面および横梁材12bの上面には、緩衝材として例えばウレタン樹脂のプレートが貼り付けられている。また、吊下げ支持枠11の中央には、両側の主部材11a,11a中間部を相互に接続する繋ぎ部材11c,11c上に一対のブラケット16,16が立設され、このブラケット16,16によって支持される回転軸により吊滑車17が回転自在に支持されている。このセグメントグラブ7は、前記吊滑車17を巡るロープでもって天井クレーン4により吊下げ操作される。また、吊下げ支持枠11の中央部には、前記繋ぎ部材11c,11c上に立設されるフレーム18に支持されて筒状の振れ止め19,19が立設され、天井クレーン4による走行時にクレーンのクラブから垂下する振れ止め部材(図示せず)と契合して横振れを止められるようにされている。なお、前記パワーシリンダ14は吊下げ支持枠11上に立設されたブラケット14aに基端を支持されており、前記セグメント保持枠12の操作桿13は、基端部を枢支軸15上に取付けられ、前記パワーシリンダと先端部を連結されて、パワーシリンダの伸縮作動によって前記枢支軸15を介してセグメント保持枠12を揺動させるようになされている。
【0023】
このように構成されるセグメントグラブ7には、前記一対のセグメント保持枠12,12の開閉方向と直交する向きで、その吊下げ支持枠11の一方の主部材11aの側面部に、突設された取付片21,21に基端を取付けられて適宜寸法横方向に突出す支持部材22が設けられ、この支持部材22により所定の間隔で一対のガイドローラ23,23が、その回転軸24,24を前記吊下げ支持枠11の主部材11aと平行するようにして付設されている。また、図示省略するが吊下げ支持枠11上には前記一対のセグメント保持枠12,12を操作するパワーシリンダ14,14の制御盤が搭載されている。また、各セグメント保持枠12,12には取扱うセグメント40の有無を検知する光電センサ(図示せず)がそれぞれ付設され、前記制御盤内の制御部に信号が伝達するようにされている。なお、前記パワーシリンダ14は電動シリンダとされている。
【0024】
前記垂直昇降ガイド6(本発明の案内手段に対応)は、二本一対のガイドレール30,30を多数の横繋ぎ部材31で繋いで枠体に形成されてなり、立坑2の側壁部に基端を支持される複数のサポート部材34により支持されて、前記天井クレーン4によって吊下げられるセグメントグラブ7で搬入するセグメント40を立坑底部2aにおける荷受位置Pに待機する坑内の搬送台車36に直接移載できるようにほぼ垂直に立設され、前記セグメントグラブ7を昇降案内するようにされている。この垂直昇降ガイド6は、前記天井クレーン4の荷下ろし位置P'(走行方向とクラブの横行方向の交点)でのセグメントグラブ7の吊下げ姿勢から立坑底部2aでの荷受位置Pでの搬送台車36上での積込み姿勢に合致できるようにされている。そのために、前記垂直昇降ガイド6は、図8(a)〜(c)にて示されるように、前記ガイドレール30,30の上部案内部位32を適宜区間で約30°変位させてねじらせた形状にされている。そして、この垂直昇降ガイド6は、前記荷受位置Pに待機する搬送台車36の側部所要位置に立設されている。また、前記一対のガイドレール30,30は、相対向する側面部を溝型にされて、その溝部30aに沿って前記セグメントグラブ7に付設されるガイドローラ23を案内するようにされている。また、前記ガイドレール30の上部案内部位32頂部には、前記セグメントグラブ7に付設のガイドローラ23,23の導入を容易にする上方を広げてなるローラガイド33がそれぞれに付されている。図中符号35はガイドレール30の上部案内部位32を支持する上部ステー、35aは作業用踊り場である。
【0025】
一方、立坑底部2aには、掘削坑3のシールドマシン8位置に通じる搬送台車36の走行軌道が敷設され、この軌道上を走行する坑内搬送駆動車37(バッテリーロコ)により運転される複数台の搬送台車36が配されている。前記搬送台車36にはセグメントグラブ7によって運び込まれる複数枚のセグメント40を積み重ねた状態でそのまま搭載できるように、セグメントの支持台が配置されている。また、前記坑内搬送駆動車37は、例えば前記特開2000−186500号によって知られるような無線操縦により運転され、立坑荷受P位置から切羽3aのシールドマシン8までを往復走行できるようにされている。
【0026】
また、前記地上部から立坑2を通じて搬送台車36への荷受位置Pまでの搬入操作については、天井クレーン4の自動制御による自動運転とセグメントグラブ7によるセグメント40の作動を自動的に行わせ、搬送台車36による坑内自動搬送と連携させて地上部における取り込みからトンネル内の切羽手前への搬送を自動的に行えるようにする制御手段を備えた制御盤(図示せず)が地上部に設けられている。
【0027】
次に、図9に示されるセグメントの搬送フローチャートに基づき搬送の手順を説明する。
【0028】
S1〜S3:作業者が地上部において立坑2隣接部のセグメント集積個所5に予め搬入されて所定数(1回の搬入荷重に応じた量、例えばセグメント3個分)ずつ積み重ねて搬入準備されたセグメント40を、天井クレーン4を運転操作して、クラブ4aから吊下げられているセグメントグラブ7を作動させる(ステップS1)。セグメントグラブ7を降下させて、パワーシリンダ14を作動させて左右セグメント保持枠12,12を開き、搬送準備されたセグメント40を掬い込み把持させる(S2)。次いで、セグメントグラブ7を自動ポイント位置(自動運転可能な高さ位置)まで上昇移動させる(S3)。この操作までは作業者による操作によって行われる。
【0029】
S4〜S6:作業者が自動運転スタートの指令信号を発する(自動運転スイッチを入れる)(S4)。自動運転モードに移行すると、天井クレーン4のホイストが巻上げ作動してセグメントグラブ7を巻上げる(S5)。その後に天井クレーン4が走行を開始するとともに、クラブ4aが横行を開始して立坑2の上部へ高速で移動する(S6)。
【0030】
S7〜S8:天井クレーン4は目的位置P'(立坑降下位置)に近づくと走行並びに横行速度を減速させる(S7)。エンコーダの働きで横行するクラブ4a(吊下げられているセグメントグラブ7)の位置をセグメントグラブ7の立坑降下位置に合致させる(S8)。
【0031】
S9〜S11:天井クレーン4は、セグメントグラブ7を立坑2への降下位置に合致する走行方向と横行方向の交点位置に合わせたならば、ホイストを下降動作に切換えて降下させ、その直下に位置する垂直降下ガイド6のガイドレール30,30頂端部のローラ受入れガイド32にセグメントグラブ7付設のガイドローラ23,23を受入れられるようにする(S9)。続いて、そのセグメントグラブ7を降下させると、ガイドローラ23,23が垂直降下ガイド6のガイドレール30,30に案内されてそのまま降下される。このセグメントグラブ7の降下時には、空中吊下げ状態であるにもかかわらず、付設されるガイドローラ23,23がローラ受入れガイド32,32によって確実にガイドレール30,30内に導入されて案内され、しかも吊下げ姿勢から降下するまでの間に、ガイドレール30,30の上部部位32がねじられて荷受位置Pでの受入れ姿勢に対応する向きに変えられて降下する(S10)。また、セグメントグラブ7の吊姿勢が途中で変更されても、ガイドレール30による案内で荷振れを起こすことなく安定姿勢で降下させることができる。やがて、最下位に達する前のセグメントグラブ干渉エリア(搬送台車36上にセグメント40が搭載される高さ位置よりやや上の位置)に到達すると、下降を停止して待機させる(S11)。こうすることにより、搬送台車36の積荷と接触するのを回避できる。
【0032】
S12〜S14:立坑底部2aの荷受位置Pに空荷の搬送台車36が到達すると、当該位置に設置されている搬送台車36到達と積荷の有無を検知する検知手段(センサ)による信号が、地上部に設置されている制御装置に伝達されて荷受け要求の信号が天井クレーン4の制御部に与えられる(S12)。すると、ホイストが駆動してセグメントグラブ7を搬送台車36上の降下停止位置まで下降させて停止する(S13)。次いで、セグメントグラブ7のパワーシリンダ14,14を作動させて左右両セグメント保持枠12,12を同時に開き、把持していたセグメント40を搬送台車36の支持台上に移載する(S14)。
【0033】
S15〜S16:搬入したセグメント40をセグメントグラブ7から搬送台車36上に移載すると、そのセグメントグラブ7のセグメント保持枠12,12に付設されるセンサによって、保持していたセグメント40が放されたことを検知して天井クレーン4の制御部に吊荷開放の信号が送られると、セグメントグラブ7を開いた状態で所定高さまで巻上げる(S15)。こうしてセグメントグラブ7の開放されたセグメント保持枠12,12が搬送台車36上のセグメント40を交わして上昇することにより、セグメントグラブ7の上昇を妨げない位置に達した後、セグメントグラブ7を閉じる(パワーシリンダ14,14を元に戻す)(S16)。
【0034】
S17〜S19:ステップS16でセグメントグラブ7を閉じると、そのセグメントグラブ7を上昇させて垂直昇降ガイド6のガイドレール30による案内から脱出させる(S17)。その後は、天井クレーン4を作動させて所定高さまでセグメントグラブ7を巻上げた後、この天井クレーン4を走行・横行させ(S18)、天井クレーンの走行原点位置まで復帰させる(S19)。そして、次のセグメント40取り込み指令まで待機させる。
【0035】
こうしてセグメント40が地上部から立坑底部2aの荷受位置Pに待機する複数の搬送台車36に順次積込まれると、セグメント40を積載した搬送台車36は、駆動車37による牽引で地上の制御部の指令によって自動走行して坑内を移動し、シールドマシン8の後部位置まで送り込まれる。シールドマシン8後部位置で荷下ろしした搬送台車36は、再び立坑2の荷受位置Pまで戻されると、前記要領でセグメント40を受取り、坑内を走行して再度切羽3a後部に送り込まれる。以後この操作を繰り返して覆工セグメント40の搬送が行われる。
【0036】
このように本実施形態のセグメントの搬送システムによれば、セグメント集積個所においてセグメントを立坑内に搬入するためのセグメントグラブへ取り込む操作を作業者が行った後に自動運転指令の指示を制御部に与えると、以後掘削坑内でのシールドマシンまでの搬送をすべて自動で行うことができ、特に立坑内での上下搬送から坑内での水平搬送への移行を自動化でき、作業の安全性の確保と作業効率の向上を図ることができる。そして、その自動化によって、大深度での作業や坑内搬送距離が長くなる場合にコストダウンが期待でき工費の低減化を図ることができる。その他に、揚重個所ではガイド装置を使用して荷振れが解消され、安全性が高められ、グラブから搬送台車への移載を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る覆工セグメントの搬送システムの概要図
【図2】立坑の平面図
【図3】図2のA−A視図
【図4】使用されるセグメントグラブの正面図
【図5】図4のセグメントグラブの平面図
【図6】図4の左側面図
【図7】セグメントグラブのガイドローラ部分を表わす図
【図8】垂直昇降ガイドの上部背面図(a)とその右側面図(b)および平面図(c)
【図9】セグメントの搬送フローチャート
【符号の説明】
【0038】
2 立坑
3 掘削坑
4 天井クレーン
6 垂直昇降ガイド
7 セグメントグラブ
8 シールドマシン
11 吊下げ支持枠
12 セグメント保持枠
13 操作桿
14 パワーシリンダ
23 ガイドローラ
30 ガイドレール
32 上部案内部位
36 搬送台車
40 セグメント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地上部からトンネル掘削坑内へ覆工セグメントを搬送するに際し、外部からの指令によって発進立坑の上方からセグメントグラブにより覆工セグメントを把持してクレーンで吊下ろし、その途中を案内手段によって前記セグメントグラブを案内させ、立坑底部で荷受位置に待機する坑内搬送台車に、前記セグメントグラブから直接移載して切羽まで搬送することを特徴とする覆工セグメントの搬送システム。
【請求項2】
前記セグメントグラブの案内手段は、立坑上部から搬送台車の荷受位置上部までガイドレールが配置され、セグメントグラブには前記ガイドレールに係合して昇降案内されるガイドローラを備える構成である請求項1に記載の覆工セグメントの搬送システム。
【請求項3】
セグメントグラブを吊下げて搬送するクレーンは、発進立坑の上部に架構される天井クレーンである請求項1に記載の覆工セグメントの搬送システム。
【請求項4】
前記荷受位置から切羽までの覆工セグメントの搬送は、坑内搬送台車による自動運転により行われる請求項1に記載の覆工セグメントの搬送システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−225913(P2006−225913A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−39115(P2005−39115)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【出願人】(390022611)株式会社コシハラ (15)
【Fターム(参考)】