説明

視認切替用メガネ、表示制御装置、制御プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】立体映像の鑑賞中における健康被害を抑制する。
【解決手段】鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える液晶シャッターメガネ10であって、液晶シャッターメガネ10を装着する鑑賞者の顔が傾いたときにおける液晶シャッターメガネ10の傾き量を検出する傾きセンサー15と、傾きセンサー15の検出結果から、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像態様を停止すべきか否かを判定する傾き判定部121とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元(3D)映像を鑑賞等するための視認切替用メガネ、表示制御装置、制御プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、2次元(2D)映像以外の、3次元映像の視聴方法等の研究が盛んになってきている。3次元映像を視聴等するには、例えば、3次元映像専用の左目用映像及び右目用映像を別々に表示し、偏光メガネやシャッターメガネ等で2つの映像を、左目及び右目のそれぞれの目のみで視覚する必要がある。
【0003】
また、シャッターメガネの場合、表示装置から交互に出力される右目用映像及び左目用映像の出力タイミングにあわせて、当該メガネの右目用シャッター及び左目用シャッターの開閉を制御する必要がある(例えば、特許文献1を参照)。シャッターメガネが右目用映像を受信する場合、その右目用映像を受信している間、右目用シャッターを開き、左目用映像を閉じるように制御する。これにより、右目用映像を右目のみで、左目用映像を左目のみで見ることが可能となり、鑑賞者は、3次元映像の製作者が意図する立体感を得ることができる。
【0004】
ところで、3Dコンソーシアム(3DC)安全ガイドライン部会による「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、立体映像を視聴したとき像が2重に見えたり、立体像が感じにくかったりする場合は、直ちに使用を中止し、表示機器やソフトの設定に間違いがないか確認調整し、それでも、2重像に見えたり、違和感を感じたりする等、立体視が成立しない場合は、利用を中止すべきである、とされている。
【0005】
その理由としては、上記ガイドラインでは、両眼視差を利用する立体機器は、利用者が右目と左目から入る視点の異なる2つの映像を脳の中で融合して始めて立体を感じさせることができ、システムの調整に不適切(左右の光軸のズレ、左右画像のサイズの違い、色や輝度の差、上下のズレ、左右の映像の光の混合(クロストークが大きいなど))があると、左右2つの映像は融合しにくいため、2重像に見えたり違和感を感じ、眼精疲労などを引き起こす原因となることがある、とされている。
【0006】
特に、鑑賞者の鑑賞姿勢に関し、両眼視差方式では表示面の水平方向と両目を水平にした姿勢で見るのが望ましい、とされている。これは、両眼が表示面に対して斜めになっていると、左右の眼に写る映像の上下の差異が大きくなり、融合困難となり、眼精疲労を引き起こす、また、直線偏光を利用した偏光メガネ方式では、傾けるとクロストークが大きくなり、眼精疲労を誘発しやすくなる、からであるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭62−174793号公報(1987年7月31日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したような、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を抑制するという観点から、鑑賞者が自身の鑑賞姿勢が立体映像を鑑賞するのに望ましいか否かを認識することができるようにすることは重要である。
【0009】
ところが、鑑賞者が自身の鑑賞姿勢を認識するための構成について、特許文献1には開示も示唆もされていない。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、その目的は、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の健康被害を抑制することができる視認切替用メガネ、表示制御装置、制御プログラムおよびコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る視認切替用メガネは、上記の課題を解決するために、鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える視認切替用メガネであって、上記視認切替用メガネを装着する鑑賞者の顔が傾いたときにおける上記視認切替用メガネの傾き量を検出する傾き検出手段と、上記傾き検出手段の検出結果から、上記鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像態様を停止すべきか否かを判定する判定手段とを備えている。
【0012】
3Dコンソーシアム(3DC)安全ガイドライン部会による「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢は、両眼視差方式の場合、表示面の水平方向と両目を水平にした姿勢で見るのが望ましい、とされている。
【0013】
上記の構成によれば、視認切替用メガネは鑑賞者の顔に装着され、鑑賞者の顔が水平方向、もしくは表示装置に対して相対的に傾いたとき、その傾きにより、視認切替用メガネも傾くことになる。傾き検出手段は、この視認切替用メガネの傾き量を検出する。この傾き量は、鑑賞者の鑑賞姿勢を表わす指標となる。
【0014】
一方、鑑賞者が立体映像を鑑賞する際には、視認切替用メガネは、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像様態を実行している。
【0015】
上記の構成では、判定手段は、傾き検出手段の検出結果である、視認切替用メガネの傾き量から、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像態様を停止すべきか否かを判定する。言い換えれば、判定手段は、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを判定する。
【0016】
この判定結果を用いることにより、例えば、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が立体映像を鑑賞するのに望ましいか否かを認識することができる。
【0017】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を抑制することができる。
【0018】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、上記初期鑑賞映像態様とは異なる、予め定められた第2次鑑賞映像態様実行されるように、上記鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える切り替え手段をさらに備えていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、判定手段が、初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合、言い換えれば、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、切り替え手段は、初期鑑賞映像様態から、初期鑑賞映像様態とは異なる第2次鑑賞映像様態を実行する。このような第2次鑑賞映像様態の実行は、鑑賞者の左右の目がそれぞれ視認する映像が、その実行時から変化することを意味する。
【0020】
このため、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その変化により、確実に認識することができる。
【0021】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を確実に抑制することができる。
【0022】
上記第2次鑑賞映像態様は、上記切り替え手段により上記左目用の映像および上記右目用の映像の一方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることが好ましい。
【0023】
上記の構成によれば、鑑賞者は、第2次鑑賞映像様態が実行されたとき、これまでの鑑賞していた立体映像が平面映像に切り替わることになる。このような立体映像から平面映像への切り替わりは、鑑賞者にとって非常に違和感のある切り替わりである。
【0024】
それゆえ、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その違和感により、確実に認識することができる。
【0025】
上記第2次鑑賞映像態様は、上記切り替え手段により左目用の映像および上記右目用の映像の両方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることが好ましい。
【0026】
上記の構成によれば、鑑賞者は、第2次鑑賞映像様態が実行されたとき、これまでの鑑賞していた立体映像が単なる2重に重なった平面映像に切り替わるため、鑑賞者は違和感を生じ、必ず気付くものといえる。
【0027】
それゆえ、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、確実に認識することができる。
【0028】
上記第2次鑑賞映像様態は、上記左目用の映像および上記右目用の映像の両方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されないという切り替えであることが好ましい。
【0029】
上記の構成によれば、鑑賞者は、第2次鑑賞映像様態が実行されたとき、これまでの鑑賞していた立体映像が単なる2重に重なった平面映像に切り替わるため、鑑賞者は違和感を生じ、必ず気付くものといえる。さらに、鑑賞者の目への負担を確実に止めることが可能になる。
【0030】
それゆえ、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、確実に認識することができ、かつ、鑑賞者の目への負担を軽減することが可能になる。
【0031】
上記判定手段は、上記傾き検出手段が検出した傾き量が予め定められた閾値を超えるか否かによって、上記初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定することが好ましい。
【0032】
上記の構成によれば、判定手段は、傾き検出手段が検出した傾き量と閾値との大小関係を比較するという、簡便な手法によって、初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定することができる。
【0033】
それゆえ、判定手段による判定を効率よく行うことができる。
【0034】
上記傾き検出手段は、加速度センサーであり、上記判定手段は、上記加速度センサーが検出する加速度の時間的変化を基に、上記加速度センサーの加速度を上記傾き量として用いるべきか否かを決定する決定手段を有することが好ましい。
【0035】
鑑賞者は多様であり、例えば、突発的な顔の動作(うなずき等)を行う者や、立体映像を鑑賞している状態であっても顔が常に動いている者もいる。このような場合においても、判定手段が初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定しようとすれば、不必要に第2次鑑賞映像様態が実行されることになり、鑑賞者の利便性を低下させてしまうことになる。
【0036】
上記の構成によれば、傾き検出手段に加速度センサーを用いている。決定手段は、その加速度センサーが検出する加速度の時間的変化を基に、視認切替用メガネの傾き量として用いるべきか否かを決定する。加速度の時間的変化を見ることにより、上述したような、突発的な動作や常時動いている動作を特定することができるからである。
【0037】
決定手段は、このような突発的な動作や常時動いている動作による視認切替用メガネの傾き量は、判定手段による判定の対象とはしない。
【0038】
それゆえ、不必要な第2次鑑賞映像様態の実行が抑制され、鑑賞者の利便性を向上させることができる。
【0039】
上記傾き検出手段は、ジャイロセンサーであることが好ましい。
【0040】
ジャイロセンサーは、物体の各加速度から物体の傾きを検出する計測器である。
【0041】
それゆえ、上記の構成によれば、傾き検出手段による傾き量の検出を高速化することができる。
【0042】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、その判定結果を報知する報知部をさらに備えていることが好ましい。
【0043】
上記の構成によれば、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その報知部からの報知内容により、確実に認識することができる。
【0044】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、その判定結果を表わす判定信号を出力する出力部をさらに備え、上記出力部は、鑑賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示装置に表示することにより、上記視認切替用メガネを装着する鑑賞者に立体映像を鑑賞させる表示制御装置に、上記判定信号を出力することが好ましい。
【0045】
上記の構成によれば、視差切替用メガネは、出力部を用いて、判定手段の判定結果を表示制御装置に出力する。表示制御装置は、視差切替用メガネからその判定結果を受け取り、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを認識することができる。
【0046】
それゆえ、表示制御装置は、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かに応じ、表示装置に表示する視差映像を制御することができる。
【0047】
本発明に係る表示制御装置は、上記の課題を解決するために、鑑賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示装置に表示することにより、上記の視認切替用メガネを装着する鑑賞者に立体映像を鑑賞させる表示制御装置であって、上記判定信号を受け取ると、上記表示装置の表示態様を、上記視認切替用メガネの視認可否の切り替えタイミングと同期して上記左目用の映像および上記右目用の映像を交互に表示させる立体映像表示態様とは異なる、予め定められた第2次映像表示態様に変更する変更手段を備えている。
【0048】
上記の構成によれば、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定された場合、変更手段は、表示装置の表示態様を、立体映像表示態様から、その立体映像表示態様とは異なる第2次映像表示態様を変更する。このような立体映像表示態様から第2次映像表示態様への変更は、鑑賞者の左右の目がそれぞれ視認する映像が、その変更時から、大きく変化することを意味する。
【0049】
このため、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その大きな変化により、確実に認識することができる。
【0050】
また、複数の鑑賞者が同時に立体映像を鑑賞していた場合、そのうちのいずれかの鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないことを、残りの鑑賞者が知ることができ、注意を喚起することができる。
【0051】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を確実に抑制することができる。
【0052】
上記第2次映像表示態様は、上記左目用の映像および上記右目用の映像の一方が表示されるという表示態様であることが好ましい。
【0053】
上記の構成によれば、鑑賞者は、立体映像表示態様から第2次映像表示態様へ変更されたとき、これまでの鑑賞していた立体映像が平面映像に切り替わることになる。このような立体映像から平面映像への切り替わりは、鑑賞者にとって非常に違和感のある切り替わりである。
【0054】
それゆえ、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その違和感により、確実に認識することができる。
【0055】
上記第2次映像表示態様は、上記判定結果を上記鑑賞者に報知するための報知映像表示様態であることが好ましい。
【0056】
上記の構成によれば、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その判定結果を表わすメッセージの表示により、確実に認識することができる。
【0057】
上記第2次映像表示態様は、上記表示装置には映像が表示されないという表示態様であることが好ましい。
【0058】
上記の構成によれば、鑑賞者は、立体映像表示態様から第2次映像表示態様へ変更されたとき、これまでの鑑賞していた立体映像が突如消失することになる。このような消失は、鑑賞者が必ず気付くものといえる。
【0059】
それゆえ、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その切り替わりや消失により、確実に認識することができる。
【0060】
上記判定信号は、上記傾き検出手段が検出した傾き量を表わす傾き量信号を含み、上記第2次映像表示態様は、上記立体映像表示態様において、上記傾き量信号が表わす傾き量を用いて、上記左目用の映像および上記右目用の映像の各々に関し、上記鑑賞者に視認される映像の位置を変化させた表示態様であることが好ましい。
【0061】
上記の構成によれば、表示制御装置は、視差切替用メガネから受け取る判定信号に含まれる傾き量信号から、視差切替用メガネの傾き量を取得することができる。この傾き量は視差切替用メガネを装着する鑑賞者の鑑賞姿勢を表わす指標である。
【0062】
表示制御装置は、この傾き量を用いて、鑑賞者の鑑賞姿勢に応じ、表示装置に表示される映像もしくは表示装置の位置を変化させる、具体的には、左目用の映像および右目用の映像の表示装置における各々の位置を変化させる、もしくは表示装置自体の傾きを変化させる。
【0063】
このような映像の変化は、例えば、鑑賞者がその鑑賞姿勢のままで表示装置に表示される左目用の映像および右目用の映像を鑑賞し続けたとき、その鑑賞姿勢が鑑賞者にとって望ましい鑑賞姿勢となるよう、左目用の映像および右目用の映像の各々の位置を変化させる。
【0064】
すなわち、鑑賞者が自身の鑑賞姿勢を変えることなく、その代わりに、左目用の映像および右目用の映像の各々の位置を変えることにより、結果として、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものとなるようにする。
【0065】
それゆえ、鑑賞者が自ら鑑賞姿勢を変えることなく、立体映像の鑑賞中における鑑賞姿勢に起因する健康被害を抑制することができる。同時に、鑑賞者の利便性も向上させることができる。
【0066】
上記傾き検出手段が検出した傾き量は、上記鑑賞者の左右の目が並ぶ方向が水平方向から傾く傾き量であり、上記第2次映像表示態様は、上記左目用の映像と上記右目用の映像とを互いに鉛直方向に沿って反対の向きに移動させることにより、上記左目用の映像と上記右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線が上記水平方向から傾く量を、上記傾き検出手段が検出した傾き量に一致させた表示態様であることが好ましい。
【0067】
上記「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、両眼が表示面に対して斜めになっていると、左右の眼に写る映像の上下の差異が大きくなり、融合困難となり、眼精疲労を引き起こす、とされている。
【0068】
上記の構成によれば、鑑賞者の左右の目が並ぶ方向と左目用の映像と右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線とが一致する。すなわち、鑑賞者の両眼は表示装置の映像に対し、平行な状態で鑑賞することができる。
【0069】
それゆえ、鑑賞者が自ら鑑賞姿勢を変えることなく、立体映像を鑑賞することができる。
【0070】
上記傾き検出手段が検出した傾き量は、上記鑑賞者の左右の目が並ぶ方向が水平方向から傾く傾き量であり、上記第2次映像表示態様は、上記鑑賞者から見たとき、上記左目用の映像と上記右目用の映像とを、それら間の相対位置関係を維持しつつ、上記表示装置の中心を回転軸として回転移動させることにより、上記左目用の映像と上記右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線が上記水平方向から傾く量を、上記傾き検出手段が検出した傾き量に一致させた表示態様であることが好ましい。
【0071】
上記の構成によれば、鑑賞者の左右の目が並ぶ方向と左目用の映像と右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線とが一致する。すなわち、鑑賞者の両眼は表示装置の映像に対し、平行な状態で鑑賞することができる。
【0072】
それゆえ、鑑賞者が自ら鑑賞姿勢を変えることなく、立体映像を鑑賞することができる。
【0073】
上記回転移動は、上記表示装置に表示される上記左目用の映像および上記右目用の映像の回転移動であることが好ましい。
【0074】
上記の構成によれば、表示装置に表示される左目用の映像および右目用の映像そのものが回転する。すなわち、変更手段は、表示装置の表示態様の変更前後において、左目用の映像および右目用の映像は表示装置における相対位置を変化させる。
【0075】
それゆえ、表示装置自体を回転させるといった特別な機構を別途設ける必要が無く、左目用の映像および右目用の映像を回転させるためのソフトウェアを用いた画像処理のみにより、上記の回転を実現することができる。
【0076】
上記表示装置は、上記表示装置の中心を回転軸とする回転動作が可能であり、上記回転移動は、上記左目用の映像および上記右目用の映像を表示する上記表示装置の回転動作に基づく回転移動であることが好ましい。
【0077】
上記の構成によれば、表示装置に表示される左目用の映像および右目用の映像そのものが回転する代わりに、表示装置自体が回転する。すなわち、変更手段は、表示装置の表示態様を変更する際、表示装置自体を回転させる。
【0078】
表示装置に表示される左目用の映像および右目用の映像そのものを回転させた場合、例えば、表示装置の四方の端部に表示されていた映像の一部が回転により途切れてしまう場合がある。このような場合、その途切れた映像の一部を補間する処理や、その途切れを防止するための各々の映像を縮小する処理が必要となる。このような処理は画像処理を行う演算装置の演算処理能力の如何によっては多大な処理時間を要するものとなる。
【0079】
上記の構成では、表示装置自体を回転させ、上で述べたような特別な画像処理が不要となる。それゆえ、左目用の映像および右目用の映像を回転させるためのソフトウェアを用いた特別な画像処理を要することなく、上記の回転を実現することができる。
【0080】
さらに、上記に記載の視認切替用メガネを動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム、および、当該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。また、上記に記載の表示制御装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム、及び、当該制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0081】
上記制御プログラムによれば、コンピュータで上記手段を実現することにより、コンピュータ上で視認切替用メガネあるいは表示制御装置を実現することができる。また、上記記録媒体によれば、記録媒体から読み出される制御プログラムを、汎用のコンピュータ上で実現することができる。
【発明の効果】
【0082】
本発明に係る視認切替用メガネは、以上のように、鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える視認切替用メガネであって、上記視認切替用メガネを装着する鑑賞者の顔が傾いたときにおける上記視認切替用メガネの傾き量を検出する傾き検出手段と、上記傾き検出手段の検出結果から、上記鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像態様を停止すべきか否かを判定する判定手段とを備えている。
【0083】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の健康被害を抑制することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】本発明の一実施形態に係る視認切替用メガネの要部構成を示すブロック図である。
【図2】鑑賞者の鑑賞姿勢の傾きを説明するための模式図であり、(a)は、鑑賞者が顔を傾けていない場合に対応し、(b)は、鑑賞者が顔を傾けた場合に対応するものである。
【図3】左目用液晶シャッターおよび右目用液晶シャッターの開閉状態の切り替えの一例を示すタイミングチャートである。
【図4】左目用液晶シャッターおよび右目用液晶シャッターの開閉状態の切り替えの一例を示すタイミングチャートである。
【図5】左目用液晶シャッターおよび右目用液晶シャッターの開閉状態の切り替えの一例を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の他の実施形態に係る表示制御装置の要部構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係る視認切替用メガネの要部構成を示すブロック図である。
【図8】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図9】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図10】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図11】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図12】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図13】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図14】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図15】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図16】加速度センサーを用いた傾き量の検出方法を説明するための模式図であり、(a)は、座標系を示し、(b)〜(d)はそれぞれ、1軸加速度センサーを用いた場合における、基本姿勢、レンズ面回転、レンズ面あおりの状態を示し、(e)〜(g)はそれぞれ、2軸加速度センサーを用いた場合における、基本姿勢、レンズ面回転、レンズ面あおりの状態を示すものである。
【図17】ディスプレイの表示態様の一例を示す模式図である。
【図18】本発明の視認切替用メガネおよび表示制御装置を含む3D映像鑑賞システムの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0085】
〔実施の形態1〕
本発明の実施の形態1について図1〜図5に基づいて説明すれば、以下のとおりである。説明の便宜上、図面に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0086】
(液晶シャッターメガネ10の構成)
図1に基づき、本発明の実施の形態1に係る液晶シャッターメガネ(視認切替用メガネ)10の要部構成について説明する。図1は、液晶シャッターメガネ10の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0087】
液晶シャッターメガネ10は、鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替えるために、液晶シャッター13を備えている。具体的には、液晶シャッター13は、左目用映像の表示タイミングに同期して開閉可能な左目用液晶シャッター131と、右目用映像の表示タイミングに同期して開閉可能な右目用液晶シャッター132と、を備えている。これにより、鑑賞者は、当該視差映像を立体映像として鑑賞することができる。
【0088】
また、液晶シャッターメガネ10は、その他、主として同期信号受信部11、シャッター制御部12、報知部14、傾きセンサー(傾き検出手段)15、操作部16および記憶部17を備えている。
【0089】
同期信号受信部11は、表示制御装置3から出力された同期信号(シャッター同期信号)を受信するものである。同期信号受信部11は、例えば赤外線を受信可能な赤外線受光素子、LED等からの光信号を受信可能な受光素子からなり、同期信号としての光信号を、シャッター制御部12が処理可能な信号(例えばデジタル信号)に変換して、シャッター制御部12に送信する。これにより、シャッター制御部12のシャッター開閉制御部122は、ディスプレイ(表示装置)2に表示される視差映像の表示タイミングにあわせて液晶シャッター13の開閉動作を制御することができる。そして、液晶シャッターメガネ10を着用している鑑賞者に3D映像の製作者が意図する立体感を提供することができる。
【0090】
シャッター制御部12は、主として、傾き判定部(判定手段)121およびシャッター開閉制御部122を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、液晶シャッターメガネ10を構成する部材を制御するものである。シャッター制御部12は、記憶部17に格納されているプログラムを、例えばRAM等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、シャッター開閉動作の制御といった各種処理を行う。
【0091】
傾き判定部121は、傾きセンサー15が検出する液晶シャッターメガネ10の傾き量を取得し、その傾き量から、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを判定する。
【0092】
液晶シャッターメガネ10は鑑賞者の顔に装着され、鑑賞者の顔がディスプレイ2に対し傾いたとき、その傾きにより、液晶シャッターメガネ10も傾くことになる。傾きセンサー15は、後述するように、この液晶シャッターメガネ10の傾き量を検出する。この傾き量は、鑑賞者の鑑賞姿勢を表わす指標である。
【0093】
3Dコンソーシアム(3DC)安全ガイドライン部会による「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢は、両眼視差方式の場合、表示面の水平方向と両目を水平にした姿勢で見るのが望ましい、とされている。
【0094】
傾き判定部121は、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が、この「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」にあるような望ましい鑑賞姿勢であるか否かを判定することになる。
【0095】
なお、シャッター制御部12のシャッター開閉制御部122は、鑑賞者が立体映像を鑑賞する際、通常、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという鑑賞映像態様(初期鑑賞映像様態)を実行している。
【0096】
傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定したということは、その鑑賞姿勢のままでは初期鑑賞映像様態を停止しなければならないことを意味する。したがって、傾き判定部121は、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定するものであるともいえる。
【0097】
傾きセンサー15は、液晶シャッターメガネ10の傾き量を検出する。上述したように、傾きセンサー15が検出する傾き量は、鑑賞者の鑑賞姿勢を表わす指標である。傾きセンサー15は、例えば加速度センサーやジャイロセンサーを用いることができる。
【0098】
ここで、傾きセンサー15が検出する傾き量について説明する。図2は、鑑賞者の鑑賞姿勢の傾きを説明するための模式図であり、図2(a)は、鑑賞者が顔を傾けていない場合に対応し、図2(b)は、鑑賞者が顔を傾けた場合に対応するものである。
【0099】
先ず、図2(a)においては、鑑賞者21が液晶シャッターメガネ10を装着している。ディスプレイ2には左目用の映像33Lと右目用の映像33Rとが交互に表示される。左目用の映像33Lは、液晶シャッターメガネ10の左目用液晶シャッター131を通して、鑑賞者21の左目21Lに映し出される。一方、右目用の映像33Rは、液晶シャッターメガネ10の右目用液晶シャッター132を通して、鑑賞者21の右目21Rに映し出される。
【0100】
ここで、鑑賞者21の顔がディスプレイ2に対し、傾いていない。具体的には、鑑賞者21の左目21Lと右目21Rとが並ぶ方向31は、ディスプレイ2の水平方向32から傾いておらず、鑑賞者21の鑑賞姿勢は、ディスプレイ2の水平方向と鑑賞者21の左目21Lと右目21Rとが並ぶ方向31を水平にした姿勢で見ているといえる。
【0101】
鑑賞者21は、左目用の映像33Lと右目用の映像33Rとから、立体映像33を立体視することができる。
【0102】
これに対し、図2(b)においては、鑑賞者21の顔はディスプレイ2に対し、傾いている。具体的には、鑑賞者21の左目21Lと右目21Rとが並ぶ方向31´が、ディスプレイ2の水平方向32から角度θ(傾き量)だけ傾いている。この場合、鑑賞者21の鑑賞姿勢は、ディスプレイ2の水平方向と鑑賞者21の左目21Lと右目21Rとが並ぶ方向31を水平にした姿勢で見ているとはいえない。つまり、鑑賞者21の鑑賞姿勢は望ましいものではないといえる。
【0103】
傾きセンサー15は、鑑賞者21の左目21Lと右目21Rとが並ぶ方向31、31´がディスプレイ2の水平方向から傾く角度を検出する。この角度は、図2(a)の場合であれば0度であるといえる。傾きセンサー15は、このようにして検出する角度を傾き量とし、シャッター制御部12に出力する。
【0104】
シャッター開閉制御部122は、同期信号受信部11が受信した同期信号にあわせて左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉動作を制御する。これにより、表示タイミングにあわせた開閉動作の制御を実現することができる。すなわち、シャッター開閉制御部122は、同期信号を基に、鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像様態を実行している。
【0105】
一方、シャッター開閉制御部122は、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、同期信号にあわせた上記の初期鑑賞映像様態に代えて、予め定められた鑑賞映像様態(第2次鑑賞映像様態)が実行されるよう、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉動作を制御する。この第2次鑑賞映像様態については後述する。
【0106】
報知部14は、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、その旨を鑑賞者に報知するものである。この報知は、音(ビープ音)によって行われてもよいし、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132のいずれかまたは両方に画像を映し出したり、光を当てたりすることによって行われてもよい。
【0107】
操作部16は、電源のオン/オフの切替指示等、鑑賞者の操作を受け付けるものである。
【0108】
記憶部17は、シャッター制御部12が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記憶するものである。記憶部17は、例えばROMフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。
【0109】
また、記憶部17は、初期鑑賞映像様態に代えて第2次鑑賞映像様態が実行される際、シャッター開閉制御部122が制御すべき左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉動作の内容についても記憶している。
【0110】
(傾きセンサー15の傾き量の閾値)
傾き判定部121は、上述したように、傾きセンサー15が検出する傾き量から、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを判定する。この判定の際、実際には、傾き量がどのくらいの大きさであれば、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定することができるか、を示す閾値が必要となる。傾き判定部121は、この閾値と傾きセンサー15が検出する傾き量との大小比較により、上記の判定を行うことができる。
【0111】
例えば、「3DC安全ガイドライン(2010年4月20日改訂)」によれば、その鑑賞姿勢に関する項目<GL−3>および<GL−4>にはそれぞれ、下記(a)および(b)の記述があることから、鑑賞姿勢が傾くと疲労を誘発することは間違いない。
【0112】
(a)両眼が表示面に対して斜めになっていると、左右の眼に写る映像の上下の差異が大きくなり、融合困難となり、眼精疲労を引き起こす。
【0113】
(b)画面を斜め方向からみると台形ひずみが大きくなり、適切な立体像が得られにくくなるため、疲労や酔いの原因になる場合がある。
【0114】
本実施形態では、例えば、傾きセンサー15が検出する傾き量である図2(b)の角度θが−5度〜5度の範囲内であれば鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであり、この−5度〜5度の範囲から外れた場合に鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定するようにすればよい。この場合、傾き判定部121は、傾きセンサー15が検出する傾き量と−5度および5度との大小比較を行い、その比較結果から上記の判定を行うことになる。
【0115】
なお、上で述べた−5度〜5度の範囲は単なる一例であり、鑑賞者ごとにその範囲の最適値が異なるのはいうまでもない。疲労の感じ方には個人差があるので、疲労を感じ易い人には、より狭い範囲を設定することにより、立体映像が鑑賞されないように制御することができる。
【0116】
(傾き量決定部)
鑑賞者は多様であり、例えば、突発的な顔の動作(うなずき等)を行う者や、立体映像を鑑賞している状態であっても顔が常に動いている者もいる。このような場合において、上で述べたような範囲から繰り返し外れ、その度に、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定すると、不必要に第2次鑑賞映像様態が実行されることになる。このことは、鑑賞者にしてみれば非常に煩わしいことである。
【0117】
そこで、傾き判定部121は、傾きセンサー15が検出する傾き量を上記の判定に用いるべきか否かを決定する傾き量決定部(決定手段)121aを有することが好ましい。例えば、傾きセンサー15が加速度センサーであった場合、この傾き量決定部121aは、以下のようにして、傾きセンサー15である加速度センサーが検出する加速度を傾き判定部121が行う判定に用いるべきか否かを決定すればよい。
【0118】
(a)突発的な顔の動作(うなずき等)がある鑑賞者
・一定の時間(例えば0.5秒間)、加速度の値をモニターしておき、その間変化がない場合、静止状態であると判定する。この場合、傾き量決定部121aは、その加速度は傾き判定部121が行う判定に用いるべきではないと決定する。
【0119】
・3軸加速度センサーを利用する場合、x方向、y方向およびz方向の各出力から加速度ベクトルの絶対値を求め、その絶対値が約1G(G:重力加速度)であれば静止状態であると判定する。この場合、傾き量決定部121aは、その加速度は傾き判定部121が行う判定に用いるべきではないと決定する。
【0120】
(b)ディスプレイ2を視聴している状態であっても顔が常に動いている鑑賞者
・一定の時間(例えば0.5秒間)、加速度の値を積分し、積分した値が約1Gであれば、正常視聴状態であると判定する。この場合、傾き量決定部121aは、その加速度は傾き判定部121が行う判定に用いるべきではないと決定する。
【0121】
・一定の時間(例えば0.5秒間)、z方向の加速度の差分をモニターしておき、加速度の差分の符号(プラスおよびマイナス)が一定時間の間2回以上変化する場合、正常視聴状態であると判定する。この場合、傾き量決定部121aは、その加速度は傾き判定部121が行う判定に用いるべきではないと決定する。
【0122】
なお、上で述べた決定は単なる一例であり、鑑賞者ごとにその決定のやり方に差が生じるのはいうまでもない。疲労の感じ方には個人差があるので、疲労を感じ易い人には、より上記の判定結果が出易いように、制御することができる。
【0123】
(第2次鑑賞映像様態の内容)
上述したように、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、初期鑑賞映像様態に代えて第2次鑑賞映像様態が実行される。図3〜図5は、この第2次鑑賞映像様態を実行される際、シャッター開閉制御部122が制御すべき左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉動作の内容を説明するためのタイミングチャートである。
【0124】
図3では、鑑賞者の左右の目の並びが水平に対して傾いていない場合、鑑賞者が装着している液晶シャッターメガネ10も傾かない。よって、傾きセンサー15は液晶シャッターメガネ10の傾きを検出しない。
【0125】
これを受けて、シャッター開閉制御部122は、右目用の映像である画像1Rがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131を閉じ、右目用液晶シャッター132を開ける。次に、左目用の映像である画像1Lがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131を開け、右目用液晶シャッター132を閉じる。右目用の映像である画像2R、左目用の映像である画像2Lについても、同様に、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉が制御される。
【0126】
このようにして、左目用液晶シャッター131はディスプレイ2に左目用の映像である画像1L、2Lが表示されているときだけ光を透過するので鑑賞者の左目には画像1L、画像2Lだけが映し出される。同様に、右目用液晶シャッター132はディスプレイ2に右目用の映像である画像1R、2Rが表示されているときだけ光を透過するので鑑賞者の右目には画像1R、画像2Rだけが映し出される。したがって、鑑賞者には立体映像が見える。
【0127】
一方、鑑賞者の左右の眼の並びが水平に対して所定の角度(例えば、5度)を超えて傾いている場合、鑑賞者が装着している液晶シャッターメガネ10も傾く。よって、傾きセンサー15は液晶シャッターメガネ10の傾きを検出(図中「傾き検出」で示されたタイミング)し、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定する。
【0128】
これを受けて、シャッター開閉制御部122は、右目用の映像である画像3Rがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に閉じる。次に、左目用の映像である画像3Lがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に開ける。右目用の映像である画像4R、左目用の映像である画像4Lについても、同様に、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132の開閉が制御される。
【0129】
このようにして、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132はディスプレイ2に左目用の映像である画像3L、画像4Lが表示されているときだけ光を透過するので鑑賞者の左右の目に画像3L、画像4Lだけが映し出される。したがって、鑑賞者には立体映像が見えない。
【0130】
すなわち、図3のタイミングチャートは、第2次鑑賞映像様態が、左目用の映像および右目用の映像の一方が鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることを表わしている。もちろん、鑑賞者の左右の目に画像3R、画像4Rだけが映し出されるようにしても構わない。
【0131】
図4では、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合(図中「傾き検出」で示されたタイミング)、つまり、鑑賞者の左右の目の並びが水平に対して所定の角度(例えば、5度)を超えて傾いている場合、鑑賞者が装着している液晶シャッターメガネ10も傾く。よって、傾きセンサー15は液晶シャッターメガネ10の傾きを検出する。
【0132】
これを受けて、シャッター開閉制御部122は、右目用の映像である画像3Rがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に閉じる。同様に、左目用の映像である画像3Lがディスプレイ2に表示されても引き続き、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に閉じる。右目用の映像である画像4R、左目用の映像である画像4Lについても、同様に、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132は共に閉じられている。
【0133】
このようにして、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132はディスプレイ2に左目用の映像である画像3L、画像4L、右目用の映像である画像3R、画像4Rのいずれが表示されているときでも光を透過せず、鑑賞者の左右の目には、画像3L、画像4L、画像3R、画像4Rのいずれも映し出されることはない。したがって、鑑賞者には映像が全く見えない。
【0134】
すなわち、図4のタイミングチャートは、第2次鑑賞映像様態が、左目用の映像および右目用の映像の両方が鑑賞者の左右の目の両方に視認されないという切り替えであることを表わしている。
【0135】
図5では、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合(図中「傾き検出」で示されたタイミング)、つまり、鑑賞者の左右の目の並びが水平に対して所定の角度(例えば、5度)を超えて傾いている場合、鑑賞者が装着している液晶シャッターメガネ10も傾く。よって、傾きセンサー15は液晶シャッターメガネ10の傾きを検出する。
【0136】
これを受けて、シャッター開閉制御部122は、右目用の映像である画像3Rがディスプレイ2に表示されると、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に開ける。同様に、左目用の映像である画像3Lがディスプレイ2に表示されても引き続き、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132を共に開ける。右目用の映像である画像4R、左目用の映像である画像4Lについても、同様に、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132は共に開けられている。
【0137】
このようにして、左目用液晶シャッター131および右目用液晶シャッター132はディスプレイ2に左目用の映像である画像3L、画像4L、右目用の映像である画像3R、画像4Rのいずれが表示されているときでも光を透過し、鑑賞者の左右の目には、画像3L、画像4L、画像3R、画像4Rのいずれも映し出されることになる。したがって、鑑賞者には立体映像が見えない。
【0138】
すなわち、図5のタイミングチャートは、第2次鑑賞映像様態が、左目用の映像および右目用の映像の両方が鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることを表わしている。
【0139】
(液晶シャッターメガネ10の効果)
以上のように、傾き判定部121は、傾きセンサー15が検出する液晶シャッターメガネ10の傾き量から、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを判定する。この判定結果を用いることにより、例えば、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が立体映像を鑑賞するのに望ましいか否かを認識することができる。
【0140】
さらに、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、シャッター開閉制御部122は、それまでの初期鑑賞映像様態とは異なる第2次鑑賞映像様態を実行し、鑑賞者の左右の目がそれぞれ視認する映像を変化させる。
【0141】
このため、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その変化により、確実に認識することができる。
【0142】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を抑制することができる。
【0143】
〔実施の形態2〕
本発明の実施の形態2では、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定された場合、その判定結果が液晶シャッターメガネから表示制御装置に出力され、その出力を受けて、表示制御装置がディスプレイの表示態様を変更する実施の形態である。
【0144】
(表示制御装置50の構成)
図6に基づき、本発明の実施の形態2に係る表示制御装置50の要部構成について説明する。図6は、表示制御装置50の要部構成の一例を示すブロック図である。
【0145】
表示制御装置50は、視差映像をディスプレイ2に表示し、液晶シャッターメガネ10aを介して鑑賞者に立体映像を鑑賞させるものである。表示制御装置50は、これらの構成を実現するために、主として、制御部51、同期信号出力部56、傾き検出信号受信部57、および、記憶部58を備えている。
【0146】
制御部51は、主として、映像出力制御部52、同期信号出力制御部53、映像変更制御部(変更手段)54、および、ディスプレイ駆動制御部55を備え、例えば制御プログラムを実行することにより、表示制御装置50を構成する部材を制御するものである。制御部51は、記憶部58に格納されているプログラムを、例えばRAM(Random Access Memory)等で構成される一次記憶部(不図示)に読み出して実行することにより、後述する映像変更制御やディスプレイ駆動制御、シャッター同期信号の出力制御等の各種処理を行う。
【0147】
映像出力制御部52は、例えば後述する図18の記録再生装置5によって再生された視差映像を映像ソースとして受信し、当該視差映像である左目用の映像および右目用の映像をディスプレイ2に交互に出力する。すなわち、映像出力制御部52は、この出力により、左目用の映像および右目用の映像を交互にディスプレイ2に表示させる。そして、鑑賞者は、ディスプレイ2に表示される視差映像を液晶シャッターメガネ10aを介して鑑賞することにより、当該視差映像を立体映像として鑑賞することができる。
【0148】
また、映像出力制御部52は、左目用の映像および右目用の映像それぞれのディスプレイ2での表示タイミング(左目用の映像および右目用の映像の切替タイミング)を示す表示タイミング信号を同期信号出力制御部53に送信する。
【0149】
映像変更制御部54は、映像出力制御部52が出力する左目用の映像および右目用の映像がディスプレイ2に表示される際における表示態様(ディスプレイの表示態様)を変更するものである。映像変更制御部54は、鑑賞者が液晶シャッターメガネ10aを装着し、立体映像を鑑賞する際、映像変更制御部54は、液晶シャッターメガネ10aの視認可否の切り替えタイミングと同期して、左目用の映像および右目用の映像を交互にディスプレイ2に表示させる。このときのディスプレイ2の表示態様を「立体映像表示態様」と呼ぶ。
【0150】
一方、映像変更制御部54は、傾き検出信号受信部57を用いて、液晶シャッターメガネ10aから傾き検出信号(判定信号)を受け取ると、ディスプレイ2の表示態様を、上記の立体映像表示態様から予め定められた第2次映像表示態様に変更する。
【0151】
また、映像変更制御部54は、映像出力制御部52を介することなく、ディスプレイ2に所定の映像を直接出力することも可能である。この所定の映像は、例えば、後述する「警告メッセージ」である。なお、このような映像変更制御部54が直接ディスプレイ2に出力し、表示させる所定の映像が加わった上記の立体映像表示態様についても、上記の第2次映像表示態様と呼ぶこととする。
【0152】
さらに、映像変更制御部54は、ディスプレイ駆動制御部55を用いて、ディスプレイ2を所定の回転動作させるディスプレイ駆動装置4を制御することも可能である。この所定の回転動作は、例えば、後述するディスプレイの中心を回転軸とする回転動作である。なお、このような映像変更制御部54がディスプレイ駆動制御部55を用いて、ディスプレイ2を所定の回転動作させた表示態様についても、上記の第2次映像表示態様と呼ぶこととする。
【0153】
同期信号出力制御部53は、映像出力制御部52から表示タイミング信号を受信すると、同期信号出力部56を制御することにより、当該表示タイミング信号を、液晶シャッターメガネ10aがディスプレイ2に表示される視差映像との同期をとるためのシャッター同期信号として出力させる。
【0154】
同期信号出力部56は、同期信号出力制御部53から受信したシャッター同期信号を出力するものである。同期信号出力部56は、例えば赤外線を出力可能な赤外線発光素子、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD;Laser Diode)等の半導体発光素子からなり、シャッター同期信号を赤外線等の光信号に変換して出力する。
【0155】
このように、表示制御装置50がシャッター同期信号を出力し、当該シャッター同期信号を液晶シャッターメガネ10aが受信することにより、液晶シャッターメガネ10aにおいて液晶シャッター13の開閉動作をディスプレイ2に表示される視差映像に同期させることができる。これにより、鑑賞者に3D映像の製作者が意図する立体感を提供することができる。
【0156】
傾き検出信号受信部57は、液晶シャッターメガネ10aから出力される傾き検出信号を受信するものである。傾き検出信号受信部57は、例えば赤外線を受信可能な赤外線受光素子、LED等からのレーザ光を受信可能なレーザ光受光素子からなり、傾き信号としての光信号を、映像変更制御部54が処理可能な信号(例えばデジタル信号)に変換して、映像変更制御部54に送信する。なお、同期信号と傾き検出信号とが混線することのないように、互いに異なる周波数帯域を用いることが好ましい。
【0157】
ディスプレイ駆動制御部55は、ディスプレイ2を回転動作させるためのディスプレイ駆動装置を用いて、ディスプレイ2を回転動作させる。このディスプレイ2の回転動作は、鑑賞者が視認する表示面の中心を回転軸とする回転動作であってもよいし、その表示面と直交するディスプレイ2の側面のいずれかの中心を回転軸とする回転動作であってもよい。ディスプレイ駆動装置4は、このような回転動作を実現する機構を備えている。
【0158】
記憶部58は、制御部51が実行する(1)各部の制御プログラム、(2)OSプログラム、(3)アプリケーションプログラム、および、(4)これらプログラムを実行するときに読み出す各種データを記録するものである。記憶部58は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶装置によって構成されるものである。
【0159】
また、記憶部58は、映像変更制御部54が変更すべき第2次映像表示態様の内容についても記憶している。
【0160】
(液晶シャッターメガネ10aの構成)
図7に基づき、本発明の実施の形態2に係る液晶シャッターメガネ(視認切替用メガネ)10aの要部構成について説明する。図7は、液晶シャッターメガネ10aの要部構成の一例を示すブロック図である。
【0161】
液晶シャッターメガネ10aが上記の実施の形態1の液晶シャッターメガネ10と異なる点は、傾き検出信号出力部18をさらに備えている点である。以下、上記の実施の形態1と同様の部分については、同一符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0162】
上述したように、傾き判定部121は、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましい鑑賞姿勢であるか否かを判定する。傾き検出信号出力部18は、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、その判定結果を表わす傾き検出信号(判定信号)を表示制御装置50に出力する。この傾き検出信号は、上で述べたように、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定したことを表わすと共に、さらに、傾きセンサー15が検出した傾き量を表わす傾き量信号を含んでいてもよい。
【0163】
傾き検出信号出力部18は、例えば赤外線を出力可能な赤外線発光素子、発光ダイオード(LED;Light Emitting Diode)や半導体レーザ(LD;Laser Diode)等の半導体発光素子からなり、シャッター同期信号を赤外線等の光信号に変換して出力する。
【0164】
このように、液晶シャッターメガネ10aが傾き検出信号を出力し、当該傾き検出信号を表示制御装置50が受信することにより、液晶シャッターメガネ10aの傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定したとき、表示制御装置50においてディスプレイ2の表示態様を立体映像表示態様から第2次映像表示態様へ変更させることができる。
【0165】
(第2次映像表示態様の内容)
上述したように、液晶シャッターメガネ10aの傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、表示制御装置50の映像変更制御部54は、ディスプレイ2の表示態様を、立体映像表示態様から第2次映像表示態様へ変更する。図9〜図15は、この立体映像表示態様から変更される第2次映像表示態様の内容を説明するための模式図である。なお、図8は、立体映像表示態様を表わす模式図であり、左目用の映像101Lと、右目用の映像101Rとがディスプレイ2aに交互に表示される表示態様である。
【0166】
図9では、左目用の映像101Lのみがディスプレイ2bに表示されている。すなわち、図9の表示態様は、左目用の映像101Lおよび右目用の映像101Rのうち左目用の映像101Lのみが表示されるという第2次映像表示態様である。もちろん、右目用の映像101Rのみが表示されるという第2次映像表示態様であってもよい。
【0167】
図10は、左目用の映像101Lと、右目用の映像101Rとがディスプレイ2cに交互に表示されており、さらに、警告メッセージ102もディスプレイ2cに表示されている。すなわち、図10の表示態様は、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した判定結果を鑑賞者に報知するためのメッセージが表示されるという表示態様である。
【0168】
図11では、左目用の映像101Lおよび右目用の映像101Rのいずれもがディスプレイ2dに表示されていない。すなわち、図11の表示態様は、ディスプレイ2dに映像が表示されないという表示態様である。
【0169】
図12では、左目用の映像101Lのみがディスプレイ2eに表示されており、さらに、警告メッセージ103もディスプレイ2eに表示されている。すなわち、図12の表示態様は、傾き判定部121が鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した判定結果を鑑賞者に報知するためのメッセージが表示され、かつ、平面映像が表示されるという表示態様(報知映像表示様態)である。なお、鑑賞者に対し、鑑賞姿勢が望ましいものではないということを報知することが可能であれば警告メッセージの代わりに、警告マーク、画面の点滅動作等の映像表示様態であってもよい。
【0170】
図13では、左目用の映像101Lと、右目用の映像101Rとがディスプレイ2fに交互に表示されているが、傾き量信号が表わす傾き量を用いて、左目用の映像101Lおよび右目用の映像101Rの各々に関し、ディスプレイ2fにおける位置を変化させている。その変化後の映像が左目用の映像101L´および右目用の映像101R´である。
【0171】
すなわち、図13の表示態様は、左目用の映像101Lと右目用の映像101Rとを互いに鉛直方向に沿って反対の向き34に移動させることにより、左目用の映像101Lと右目用の映像101Rとの間において互いに対応する点同士を結ぶ直線が水平方向32から傾く量を、傾きセンサー15が検出した傾き量に一致させた表示態様である。
【0172】
図14でも、左目用の映像101Lと、右目用の映像101Rとがディスプレイ2gに交互に表示されているが、傾き量信号が表わす傾き量を用いて、左目用の映像101Lおよび右目用の映像101Rの各々に関し、ディスプレイ2gにおける位置を変化させている。その変化後の映像が左目用の映像101L´´および右目用の映像101R´´である。なお、傾き量信号が表わす傾き量は、鑑賞者の左右の目が並ぶ方向が水平方向から傾く傾き量である。
【0173】
すなわち、図14の表示態様は、鑑賞者から見たとき、左目用の映像101Lと右目用の映像101Rとを、それら間の相対位置関係を維持しつつ、ディスプレイ2gの中心を回転軸として回転移動させることにより、左目用の映像101Lと右目用の映像101Rとの間において互いに対応する点同士を結ぶ直線35が水平方向32から傾く量を、傾きセンサー15が検出した傾き量に一致させた表示態様である。
【0174】
また、図14の表示態様は、左目用の映像101Lから左目用の映像101L´´へ、および、右目用の映像101Rから右目用の映像101R´´への回転移動によるものである。
【0175】
図15の表示態様は、図14の表示態様とは異なり、左目用の映像101Lおよび右目用の映像101Rを表示するディスプレイ2h自体の回転動作に基づくものである。
【0176】
(表示制御装置50および液晶シャッターメガネ10aの効果)
以上のように、傾き判定部121は、傾きセンサー15が検出する液晶シャッターメガネ10の傾き量から、立体映像を鑑賞する鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものであるか否かを判定する。この判定結果を用いることにより、例えば、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が立体映像を鑑賞するのに望ましいか否かを認識することができる。
【0177】
さらに、鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定した場合、映像変更制御部54は、ディスプレイ2の表示態様を、立体映像表示態様から、その立体映像表示態様とは異なる第2次映像表示態様を変更する。
【0178】
このため、鑑賞者は、自身の鑑賞姿勢が望ましいものではないと判定されたことについて、その大きな変化により、確実に認識することができる。
【0179】
また、複数の鑑賞者が同時に立体映像を鑑賞していた場合、そのうちのいずれかの鑑賞者の鑑賞姿勢が望ましいものではないことを、残りの鑑賞者が知ることができ、注意を喚起することができる。
【0180】
それゆえ、立体映像の鑑賞中における鑑賞者の鑑賞姿勢に起因する健康被害を確実に抑制することができる。
【0181】
〔傾き量の検出方法〕
上述したように、傾きセンサー15は、加速度センサーを用いることができる。ここでは、この加速度センサーを用いた場合における傾き量の検出方法について説明する。図16は、加速度センサーを用いた傾き量の検出方法を説明するための模式図であり、(a)は、座標系を示し、(b)〜(d)はそれぞれ、1軸加速度センサーを用いた場合における、基本姿勢、レンズ面回転、レンズ面あおりの状態を示し、(e)〜(g)はそれぞれ、2軸加速度センサーを用いた場合における、基本姿勢、レンズ面回転、レンズ面あおりの状態を示すものである。
【0182】
図16(a)に示すように、液晶シャッターメガネ10には、加速度センサーである傾きセンサー15が設けられている。例えば、1軸加速度センサーであれば、図16(b)に示すように、鑑賞者が基本姿勢をとった場合、z方向の加速度42は1G41となる。このことから、鑑賞者の顔が傾いていないことがわかる。
【0183】
図16(c)に示すように、レンズ面回転が起こった場合、z方向の加速度43は1G×cosθとなり、1G41との大小比較により、鑑賞者の顔が傾いていることがわかる。
【0184】
図16(d)に示すように、レンズ面あおりが起こった場合も、z方向の加速度44は1G×cosφとなり、1G41との大小比較により、鑑賞者の顔が傾いていることがわかる。
【0185】
次に、2軸加速度センサーであれば、図16(e)に示すように、鑑賞者が基本姿勢をとった場合、x方向の加速度は0G、z方向の加速度45は1G41となる。このことから、鑑賞者の顔が傾いていないことがわかる。
【0186】
図16(f)に示すように、レンズ面回転が起こった場合、x方向の加速度46は1G×sinθ、z方向の加速度47は1G×cosθとなり、x方向の加速度46とz方向の加速度47との絶対値と1G41との大小比較により、鑑賞者の顔が傾いていることがわかる。
【0187】
図16(g)に示すように、レンズ面あおりが起こった場合も、x方向の加速度は0G、z方向の加速度48は1G×cosφとなり、x方向の加速度とz方向の加速度48との絶対値と1Gとの大小比較により、鑑賞者の顔が傾いていることがわかる。
【0188】
〔レンズ面あおりの場合〕
図17は、図16(d)および(g)に示したレンズ面あおりが起きた場合における、ディスプレイ2の第2次映像表示態様の一例を示す模式図である。
【0189】
図17に示すように、鑑賞者21の顔が矢印61の向きに傾いたとき、映像変更制御部54はディスプレイ駆動制御部55を用いて、ディスプレイ駆動装置4を制御する。その制御により、ディスプレイ2は矢印62の向きに回転動作し、その位置がディスプレイ2iの位置へ変更される。
【0190】
〔3D映像鑑賞システムの概略構成〕
最後に、液晶シャッターメガネ10、10aと表示制御装置3、50とを含む3D映像鑑賞システム1、1aを図18により説明する。図18は、3D映像鑑賞システム1、1aの概略構成図である。
【0191】
3D映像鑑賞システム1、1aは、記録再生装置5によって再生され、表示制御装置3、50と接続されたディスプレイ2において表示される視差映像を、液晶シャッターメガネ10、10aを装着する鑑賞者には3次元映像(3D映像、立体映像)を鑑賞させるものである。
【0192】
図示するように、3D映像鑑賞システム1、1aは、おもに表示制御装置3、50と、ディスプレイ2と、液晶シャッターメガネ10、10aと、記録再生装置5と、中継器6と、操作部7とを備える。図8では、表示制御装置3、50とディスプレイ2とが一体に構成されている。
【0193】
表示制御装置3、50は、例えば記録再生装置5によって再生される映像をディスプレイ2に表示させるものである。ディスプレイ2は、表示制御装置3、50から出力される映像を表示するものである。ディスプレイ2としては、LCD(液晶ディスプレイ)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、またはCRT(cathode-ray tube)ディスプレイなどが挙げられる。
【0194】
液晶シャッターメガネ10、10aは、表示制御装置3、50とともに用いられるものであり、偏光板、液晶層、及び偏光板の三層構造を備え、液晶層で2つの透過偏光を切り替えることにより、鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替えることができるようになっている。より具体的には、液晶シャッターメガネ10、10aは、光の通過及び遮断を制御するシャッター駆動信号により左右目用のシャッターを開閉させ、そのシャッター駆動信号は、表示装置から出力される所望の映像信号のフィールド周波数に同期がとれており、かつ信号幅も映像信号に対応したものとなっている。したがって、このシャッター駆動信号によりシャッターを開閉することにより、鑑賞者は、複数の映像信号のうち、選択された「1つの映像信号に対応した映像」だけをシャッター開状態で見ることができ、かつ、それ以外の映像はシャッター閉状態で見ることができない、所望の映像だけを鑑賞することができる。
【0195】
なお、立体映像を鑑賞するために鑑賞者が着用するメガネとしては、液晶シャッターメガネ10、10aに限らず、他の仕組みを用いて視認可否を可能にするものであってもよい。例えば、回転するプレートがメガネの左右の目の前に取り付けられており、シャッターを閉じるタイミングにおいて、プレートがメガネの右または左の目を覆うという構成であってもよい。
【0196】
また、同図では、液晶シャッターメガネ10、10aは、中継器6を介して、表示制御装置3、50とケーブルを介して有線接続されている。しかしながら、液晶シャッターメガネ10、10aは、中継器6、および/または、表示制御装置3、50と、無線接続されていてもよい。
【0197】
また、同図では、中継器6には2台の液晶シャッターメガネ10、10aが接続されている。しかしながら、液晶シャッターメガネ10、10aの台数は2台に限定されず、単数、または3台以外の複数であってよい。
【0198】
操作部7は、鑑賞者が表示制御装置3、50、および記録再生装置5を動作させるための指示信号を入力するものであり、例えば、表示制御装置3、50を遠隔操作するリモコンや、表示制御装置3、50自体に設けられた操作ボタン、あるいは、表示制御装置3、50に接続された、マウスやキーボードなどで構成されてよい。操作部7を用いて鑑賞者により入力された指示信号は、図示しない入出力制御部を介して、表示制御装置3、50、および/または、記録再生装置5の各部に送られる。これにより、鑑賞者は、表示制御装置3、50、記録再生装置5を操作することができる。
【0199】
記録再生装置5は、BD(Blu-Ray(登録商標) Disc)あるいはDVD(Digital Versatile Disc)、HDD(Hard Disc Drive)等の情報記録媒体に記録された映像情報を再生するものであり、公知の記録再生装置であってよい。
【0200】
なお、同図では、記録再生装置5によって再生された映像信号が表示制御装置3、50に入力されるものとして説明している。しかしながら、記録再生装置5ではなく、IP(Internet Protocol)ネットワークを使ってリアルタイム放送や映画などのコンテンツを配信するサービスを利用して受信した映像データに対応する映像が表示制御装置3、50に入力され、ディスプレイ2に表示されてもよい。その一例として、決められた放送スケジュールにしたがって番組をリアルタイムに配信する放送タイプのサービスであるリニアTV、または、受信側からの配信要求に応じて、該コンテンツ処理装置にユニキャストでコンテンツを配信するサービスであるVoD(Video on Demand)を利用して取得した映像データに対応する映像が表示制御装置3、50に入力され、ディスプレイ2に表示されてもよい。また、地上波デジタル放送またはケーブルテレビによる映像を表示制御装置3、50に入力し、ディスプレイ2に表示してもよい。
【0201】
中継器6は、表示制御装置3、50、液晶シャッターメガネ10、10a、および記録再生装置5を互いに接続するためのものである。ただし、液晶シャッターメガネ10、10aおよび記録再生装置5を表示制御装置3、50に直接接続するとき、あるいは、表示制御装置3、50と液晶シャッターメガネ10、10aとを無線接続にするとき、または、記録再生装置5が表示制御装置3、50に内蔵されているとき、などには、中継器6は特に必要ではない。
【0202】
〔補足〕
最後に、液晶シャッターメガネ10、10aのシャッター制御部12および表示制御装置50の制御部51の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0203】
すなわち、シャッター制御部12および制御部51は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、前記プログラムを格納したROM(read only memory)、前記プログラムを展開するRAM(random access memory)、前記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本発明の目的は、上述した機能を実現するソフトウェアであるシャッター制御部12および制御部51の制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体を、液晶シャッターメガネ10、10aおよび表示制御装置50に供給し、そのコンピュータ(又はCPUやMPU)が記録媒体に記録されているプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0204】
前記記録媒体としては、例えば、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フロッピー(登録商標)ディスク/ハードディスク等の磁気ディスクやコンパクトディスク−ROM/MO/MD/デジタルビデオデイスク/コンパクトディスク−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む)/光カード等のカード系、あるいはマスクROM/EPROM/EEPROM/フラッシュROM等の半導体メモリ系などを用いることができる。
【0205】
また、液晶シャッターメガネ10、10aおよび表示制御装置50を通信ネットワークと接続可能に構成し、前記プログラムコードを通信ネットワークを介して供給してもよい。この通信ネットワークとしては、特に限定されず、例えば、インターネット、イントラネット、エキストラネット、LAN、ISDN、VAN、CATV通信網、仮想専用網(virtual private network)、電話回線網、移動体通信網、衛星通信網等が利用可能である。また、通信ネットワークを構成する伝送媒体としては、特に限定されず、例えば、IEEE1394、USB、電力線搬送、ケーブルTV回線、電話線、ADSL回線等の有線でも、IrDAやリモコンのような赤外線、Bluetooth(登録商標)、802.11無線、HDR、携帯電話網、衛星回線、地上波デジタル網等の無線でも利用可能である。なお、本発明は、前記プログラムコードが電子的な伝送で具現化された、搬送波に埋め込まれたコンピュータデータ信号の形態でも実現され得る。
【0206】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0207】
なお、本発明は、以下のようにも表現することができる。すなわち、本発明は、映像表示装置に表示される映像を鑑賞者に対して表示・非表示の状態に変更することが可能な右目用シャッターおよび左目用シャッターを有する表示状態変更手段の動作を制御することが可能であり、かつ、前記映像表示装置に表示される映像の表示タイミングを示す同期信号を受信する手段を備え、かつ前記シャッターの開閉動作が前記同期信号に同期して行われ、かつ、自身の姿勢を検出する姿勢検出手段を備える表示制御装置であって、前記姿勢検出手段により検出された前記表示制御装置の姿勢に応じて、鑑賞者の視聴する映像を変更する表示制御装置である。
【0208】
前記表示状態変更手段の動作として、前記表示装置の前記右目用シャッターと前記左目用シャッターの開閉動作を同時に行うことが好ましい。
【0209】
前記表示状態変更手段の動作として、前記右目用シャッターと前記左目用シャッターを両方とも閉状態に保つことが好ましい。
【0210】
前記表示状態変更手段の動作として、前記右目用シャッターと前記左目用シャッターを両方とも開状態に保つことが好ましい。
【0211】
前記表示制御装置が前記表示制御装置に対応した映像表示装置への信号送信手段を供えており、前記信号送信手段を通じて受信された前記表示制御装置の姿勢に応じて、前記映像表示装置の表示する映像を変更させる変更手段を有することが好ましい。
【0212】
本発明は、上記の表示装置に対応可能な立体映像表示装置であって、上記変更手段によって、映像表示を、3D映像表示から2D映像表示へ切り替える手段を有する立体映像表示装置である。
【0213】
上記変更手段によって、映像表示画面中に前記鑑賞者に対する警告メッセージを表示することが好ましい。
【0214】
上記変更手段によって、前記鑑賞者の希望する映像を前記表示装置に表示しないことが好ましい。
【0215】
上記変更手段によって、前記警告メッセージの表示を含み、かつ、前記3D映像から2D映像への変更と、前記鑑賞者の希望する映像を映像表示装置に表示しない変更のうち少なくとも1つを含むことが好ましい。
【0216】
上記変更手段によって、右目用映像と左目用映像の位置が変更されることが好ましい。
【0217】
上記変更手段によって変更される右目用映像と左目用映像の配置が、前記鑑賞者の右目と左目を通る直線に略平行になるようにそれぞれ平行移動される変更であることが好ましい。
【0218】
上記変更手段によって変更される右目用映像と左目用映像の配置が、前記表示装置の映像表示部を中心として、前記鑑賞者の右目と左目を通る直線に略平行になるように回転される変更であることが好ましい。
【0219】
上記変更手段によって変更される回転が、前記表示装置は物理的に動かず、前記表示装置に表示される映像のみの回転であることが好ましい。
【0220】
上記変更手段によって変更される回転が、前記表示装置の物理的な回転であることが好ましい。
【0221】
前記検出される姿勢が、前記表示制御装置に加わる加速度から求められることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0222】
本発明の表示制御装置は、立体映像の鑑賞中における健康被害を抑制することができ、特に立体映像の出力を行うことが可能な液晶表示装置、またはプラズマ等の自発光型表示装置に好適に適用することができる。
【符号の説明】
【0223】
2 ディスプレイ(表示装置)
3、50 表示制御装置
10、10a 液晶シャッターメガネ(視認切替用メガネ)
14 報知部
15 傾きセンサー(傾き検出手段)
54 映像変更制御部(変更手段)
121 傾き判定部(判定手段)
121a 傾き量決定部(決定手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える視認切替用メガネであって、
上記視認切替用メガネを装着する鑑賞者の顔が傾いたときにおける上記視認切替用メガネの傾き量を検出する傾き検出手段と、
上記傾き検出手段の検出結果から、上記鑑賞者の左目に左目用の映像のみが視認され、右目に右目用の映像のみが視認されるという初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定する判定手段と
を備えていることを特徴とする視認切替用メガネ。
【請求項2】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、上記初期鑑賞映像様態とは異なる、予め定められた第2次鑑賞映像様態が実行されるように、上記鑑賞者の左右の目の視認可否を切り替える切り替え手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の視認切替用メガネ。
【請求項3】
上記第2次鑑賞映像様態は、上記切り替え手段により上記左目用の映像および上記右目用の映像の一方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることを特徴とする請求項2に記載の視認切替用メガネ。
【請求項4】
上記第2次鑑賞映像様態は、上記切り替え手段により上記左目用の映像および上記右目用の映像の両方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されるという切り替えであることを特徴とする請求項2に記載の視認切替用メガネ。
【請求項5】
上記第2次鑑賞映像様態は、上記左目用の映像および上記右目用の映像の両方が上記鑑賞者の左右の目の両方に視認されないという切り替えであることを特徴とする請求項2に記載の視認切替用メガネ。
【請求項6】
上記判定手段は、上記傾き検出手段が検出した傾き量が予め定められた閾値を超えるか否かによって、上記初期鑑賞映像様態を停止すべきか否かを判定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の視認切替用メガネ。
【請求項7】
上記傾き検出手段は、加速度センサーであり、
上記判定手段は、上記加速度センサーが検出する加速度の時間的変化を基に、上記加速度センサーの加速度を上記傾き量として用いるべきか否かを決定する決定手段を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の視認切替用メガネ。
【請求項8】
上記傾き検出手段は、ジャイロセンサーであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の視認切替用メガネ。
【請求項9】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、その判定結果を報知する報知部をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の視認切替用メガネ。
【請求項10】
上記判定手段が上記初期鑑賞映像様態を停止すべきと判定した場合に、その判定結果を表わす判定信号を出力する出力部をさらに備え、
上記出力部は、鑑賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示装置に表示することにより、上記視認切替用メガネを装着する鑑賞者に立体映像を鑑賞させる表示装置に、上記判定信号を出力することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の視認切替用メガネ。
【請求項11】
鑑賞者の左右の目の視差を利用した視差映像を表示装置に表示することにより、請求項10に記載の視認切替用メガネを装着する鑑賞者に立体映像を鑑賞させる表示制御装置であって、
上記判定信号を受け取ると、上記表示装置の表示態様を、上記視認切替用メガネの視認可否の切り替えタイミングと同期して上記左目用の映像および上記右目用の映像を交互に表示させる立体映像表示態様とは異なる、予め定められた第2次映像表示態様に変更する変更手段を備えていることを特徴とする表示制御装置。
【請求項12】
上記第2次映像表示態様は、上記左目用の映像および上記右目用の映像の一方が表示されるという表示態様であることを特徴とする請求項11に記載の表示制御装置。
【請求項13】
上記第2次映像表示態様は、上記判定結果を上記鑑賞者に報知するための報知映像表示様態であることを特徴とする請求項11に記載の表示制御装置。
【請求項14】
上記第2次映像表示態様は、上記表示装置には映像が表示されないという表示態様であることを特徴とする請求項11に記載の表示制御装置。
【請求項15】
上記判定信号は、上記傾き検出手段が検出した傾き量を表わす傾き量信号を含み、
上記第2次映像表示態様は、上記立体映像表示態様において、上記傾き量信号が表わす傾き量を用いて、上記左目用の映像および上記右目用の映像の各々に関し、上記表示装置における位置を変化させた表示態様であることを特徴とする請求項11に記載の表示制御装置。
【請求項16】
上記傾き検出手段が検出した傾き量は、上記鑑賞者の左右の目が並ぶ方向が水平方向から傾く傾き量であり、
上記第2次映像表示態様は、上記左目用の映像と上記右目用の映像とを互いに鉛直方向に沿って反対の向きに移動させることにより、上記左目用の映像と上記右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線が上記水平方向から傾く量を、上記傾き検出手段が検出した傾き量に一致させた表示態様であることを特徴とする請求項15に記載の表示制御装置。
【請求項17】
上記傾き検出手段が検出した傾き量は、上記鑑賞者の左右の目が並ぶ方向が水平方向から傾く傾き量であり、
上記第2次映像表示態様は、上記鑑賞者から見たとき、上記左目用の映像と上記右目用の映像とを、それら間の相対位置関係を維持しつつ、上記表示装置の中心を回転軸として回転移動させることにより、上記左目用の映像と上記右目用の映像との間において互いに対応する点同士を結ぶ直線が上記水平方向から傾く量を、上記傾き検出手段が検出した傾き量に一致させた表示態様であることを特徴とする請求項15に記載の表示制御装置。
【請求項18】
上記回転移動は、上記表示装置に表示される上記左目用の映像および上記右目用の映像の回転移動であることを特徴とする請求項17に記載の表示制御装置。
【請求項19】
上記表示装置は、上記表示装置の中心を回転軸とする回転動作が可能であり、
上記回転移動は、上記左目用の映像および上記右目用の映像を表示する上記表示装置の回転動作に基づく回転移動であることを特徴とする請求項17に記載の表示制御装置。
【請求項20】
請求項1〜10のいずれか1項に記載の視認切替用メガネを動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項21】
請求項11〜19のいずれか1項に記載の表示制御装置を動作させる制御プログラムであって、コンピュータを上記の各手段として機能させるための制御プログラム。
【請求項22】
請求項20または21に記載の制御プログラムを記録しているコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−222698(P2012−222698A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88494(P2011−88494)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】