説明

親展情報保護機能付きネットワークシステム、親展情報保護機能付きサーバ、およびネットワークシステム用親展情報保護方法

【課題】複数のクライアント端末でネットワークプリンタを共用する際に情報の漏えいを防止するための親展情報保護機能を提供する。
【解決手段】LAN5構内には複数のクライアント端末2とネットワークプリンタ8とセンターサーバ13を接続する。クライアント端末2から送信する印刷情報のパケットには親展情報部を設け、センターサーバ13は親展情報識別部において受信したパケットが親展情報か否かを識別し、親展情報のパケットであれば蓄積部に蓄積する。印刷実行者がネットワークプリンタ8の親展情報出力ボタンをプッシュすると、センターサーバは蓄積した親展情報のパケットをネットワークプリンタ8に送信し、ネットワークプリンタ8は受信したパケットにおける印刷情報をプリントし出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のクライアント端末でネットワークプリンタを共用する際に情報の漏えいを防止するための親展情報保護機能付きネットワークシステム、親展情報保護機能付きサーバ、およびネットワークシステム用親展情報保護方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、オフィスや学校などの施設においてパーソナルコンピュータなどコンピュータ端末が急速に普及し、1つの室内に複数台のコンピュータ端末が設置された環境が急速に増大しつつある。このような環境においては、部屋内に設置された数台ないし数十台程度のコンピュータ端末をクライアント端末としてLANに接続し、このLANの構内にプリンタサーバとともにネットワークプリンタを配設する形態をとるのが一般的である(たとえば、特許文献1参照)。この場合、ネットワークプリンタはクライアント端末から送信された印刷情報を先着順に印刷する。そして、複数のクライアント端末から印刷情報が送信された場合にはそれらを先着順に印刷し、一の印刷情報が印刷実行状態である場合には他の印刷情報は実行待ち状態にし、一の印刷情報の印刷が終了するとともに他の印刷情報を実行状態にして連続的に印刷をおこなう。
【0003】
【特許文献1】特開2003−015845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載した発明においては、クライアント端末から送信された印刷情報はただちにネットワークサーバで印刷処理される。このため、クライアント端末の利用者は、端末側で印刷実行ボタンをクリックしたのちにネットワークプリンタ側に回って印刷情報が正しく送信されたかどうかを確認することができない。一方、たとえばネットワークプリンタが実行待ち状態(アイドリング状態)のときクライアント端末の印刷ボタンを押したような場合、ネットワークプリンタが実行待ち状態から実行状態(即座に印刷できる状態)に移行すると同時に自動的に印刷が開始されることになる。このため、クライアント端末の利用者はネットワークプリンタが実行可能状態から実行状態に移行するまでに印刷ボタンを複数回クリックしてしまい、ネットワークプリンタが実行状態に移行すると同時に、同一の印刷情報が実行ボタンのクリックの回数分印刷されてしまうような事態が起こりやすい。また、複数のクライアント端末から比較的近い時間内に印刷が実行された場合、前記ネットワークプリンタはそれらの複数の印刷情報を連続して印刷し、複数の印刷情報に基づく印刷物を断続的に出力しトレイに積層することになる。このため、印刷を実行した各端末の利用者は、プリンタの前に集まって自分の印刷情報がプリントされるのを待ったり、トレイに積層した紙の中から自分の印刷情報がプリントされたものを探したりしなければならず、他の利用者に自分の印刷情報を視認されてしまいやすい。特に印刷情報が機密文書の場合にそのような事態が生ずることは、機密情報の漏えいにつながるという問題がある。
【0005】
本発明は上記の事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、複数のクライアント端末でネットワークプリンタを共用する環境においても印刷情報に係る機密を保持できるネットワークプリンタ用セキュリティシステムおよびネットワークプリンタ用セキュリティ方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は複数のクライアント端末でネットワークプリンタを共用する場合の情報の漏えいを防止するためのネットワークプリンタ用セキュリティシステムおよびネットワークプリンタ用セキュリティ方法に関し、本発明の上記目的は、LAN構内に接続された複数のクライアント端末と前記クライアント端末から送信された印刷情報を印刷するネットワークプリンタとを備えたネットワークシステムであって、前記クライアント端末から送信された前記印刷情報を受信するサーバに内蔵され前記印刷情報が親展情報である場合に一時的に蓄積する蓄積部と、前記ネットワークプリンタに設けられ前記蓄積部に蓄積された印刷情報を出力させるための出力信号を供給する出力部とを備えた親展情報保護機能付きネットワークシステムによって達成される。
【0007】
そして、本発明の上記目的は、前記サーバは前記LANを介して前記ネットワークプリンタと交信可能なセンターサーバである親展情報保護機能付きネットワークシステムや、前記サーバは前記ネットワークプリンタに内蔵されたプリンタサーバである親展情報保護機能付きネットワークシステムによって効果的に達成される。
【0008】
また、本発明の上記目的は、前記印刷情報には送信者を識別するための送信者情報部を含むとともに前記出力信号には印刷の実行者を識別するための印刷者情報を含み、前記サーバに前記送信者情報と前記印刷者情報とを照合する照合部を設け、前記照合部が前記印刷者情報を正当な印刷者のものと判断した場合に前記サーバは前記蓄積部に蓄積した前記印刷情報を出力する親展情報保護機能付きネットワークシステムや、前記照合部は、前記印刷者情報が前記送信者情報と同一であるか、又は前記送信者から認証を受けた者の印刷者情報であることを確認した場合に、前記印刷者情報を正当と判断する親展情報保護機能付きネットワークシステムや、前記印刷者情報は、テンキーによる暗証番号、電子カード、生体認証情報のうち少なくともいずれか一の手段によって入力される親展情報保護機能付きネットワークシステムによって一層効果的に達成される。
【0009】
さらに、本発明の上記目的は、複数のクライアント端末および前記クライアント端末から送信された印刷情報を印刷するネットワークプリンタと交信するサーバであって、前記印刷情報が親展情報かどうかを識別する親展情報識別部と、前記印刷情報が親展情報である場合に一時的に蓄積する蓄積部と、前記ネットワークプリンタから出力された印刷者情報を受信する印刷者情報受信部と、前記印刷者情報と前記印刷情報に含まれる送信者情報とを照合する照合部とを備えた親展情報保護機能付きサーバによって達成される。
【0010】
そして、本発明の上記目的は、LAN構内に設けられた複数のクライアント端末と前記クライアント端末から送信された印刷情報を一時的に蓄積するサーバと前記サーバから送信された前記印刷情報に基づいて印刷するネットワークプリンタとを備えたネットワークシステム用親展情報保護方法であって、前記クライアント端末から親展情報か否かを示す親展情報部を含む印刷情報を送信するステップと、前記サーバの蓄積部が前記印刷情報が親展情報か否かを識別するステップと、前記印刷情報が親展情報であった場合に前記サーバが前記印刷情報を蓄積するステップと、前記ネットワークプリンタから前記サーバに出力信号を送信するステップと、前記サーバは前記出力信号を受信すると蓄積された前記印刷情報を出力するステップとを備えたネットワークシステム用親展情報保護方法によって達成される。
【0011】
また、本発明の上記目的は、前記サーバは前記出力信号には印刷を実行する者を識別するための印刷者情報を含み、前記サーバが受信した前記出力信号の印刷者情報を前記印刷情報に含まれる送信者情報部と照合するステップと、前記サーバは前記印刷者情報が前記送信者情報と同一であるか、又は前記送信者から認証を受けた者の印刷者情報であることを確認した場合に、前記印刷情報を出力するステップとをさらに備えたネットワークシステム用親展情報保護方法や、前記サーバは前記LANを介して前記前記ネットワークプリンタと交信可能なセンターサーバまたは前記ネットワークプリンタに内蔵されたプリンタサーバであるネットワークシステムにおける親展情報保護方法によって効果的に達成される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、親展情報をサーバに蓄積することにより、印刷実行者がネットワークプリンタの前に待機した状態で印刷できるため、同一の印刷情報を複数回印刷してしまったり当事者以外の者に印刷情報を見られてしまったりする事態を防止することができる。
【0013】
また、印刷情報が親展情報である場合にサーバの蓄積部に一時的に記憶することにより、印刷情報の蓄積を機密性の高い印刷情報のみに限定し、印刷作業全体が遅延する事態を防止しながら機密の保持を図ることができる。
【0014】
さらに、サーバに一時的に記憶した親展情報を出力する際、ネットワークプリンタに印刷者情報を入力するものとすることにより、サーバに蓄積された親展情報が複数あるような場合でも、それらの親展情報を正当な印刷者のみが出力できることとなり、ネットワークプリンタを使用する際の機密の保持を確実に図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
【0016】
図1に、本発明を実施するための一の最良の形態としてのネットワークシステムを示す。このネットワークシステム1はオフィスや学校など複数の利用者がひとつの構内で複数のコンピュータを利用する環境に設けられ、複数パーソナルコンピュータなど各種コンピュータ端末群によって形成されるクライアント端末2、2、・・・、2を備えている。このクライアント端末2、2、・・・、2は、一台の端末を一人の利用者が利用するものであってもよいし各端末を複数の利用者が共用するものであってもよい。このクライアント端末2は印刷を行う際に図2に示すような印刷画面が表示される。この印刷画面3上には、通常の印刷実行時に用いられる各種操作ボタンに加え、親展情報ボタン4が設けられている。この親展情報ボタン4はチェックボックスであり、前記クライアント端末2の利用者は送信情報を親展情報扱いとしたいときに前記親展情報ボタン4をクリックする。
【0017】
そして、前記クライアント端末2、2、・・・、2はLAN5によって接続され、構内ネットワークを形成する。なお、前記LAN5は、図1に示すようにルータ6などを介してWAN(広域ネットワーク)7に接続されていてもよい。
【0018】
そして、前記LAN5にはネットワークプリンタ8が接続されている。このネットワークプリンタ8は前記クライアント端末2、2・・・2のそれぞれから出力された各種の印刷情報を印刷する機能を持つ。また、図3に、前記ネットワークプリンタ8の操作パネル部の拡大図を示す。この操作パネル部9にはプリンタの動作状態や操作状態を表示するディスプレイ部10や通常の操作を行うための各種操作ボタン11に加え、前記蓄積部に蓄積された印刷情報を送信させる、出力部としての親展情報出力ボタン12が設けられている。
【0019】
そして、前記LAN5にはセンターサーバ13が接続されている。このセンターサーバ13はプリンタサーバであり、前記LAN7を介して前記クライアント端末2および前記ネットワークプリンタ5と信号やデータを交信する。なお、このセンターサーバ13は図1に示すように、前記ネットワークプリンタ5に対してパラレルに接続するもの(13A)でも、シリアルに接続するもの(13B)でもよい。そして、図4に前記センターサーバ13の内部構成のブロック図を示す。このセンターサーバ13は、信号およびデータの交信やサーバ全体の動作を制御する制御部14と、印刷情報の送受信を行う送受信部15と、受信した印刷情報が親展情報か否かを識別する進展情報識別部16と、印刷情報が親展情報であった場合にパケットを一時的に蓄積する蓄積部17と、前記ネットワークプリンタ8から送信された情報を受信するプリンタ信号受信部18とを備えている。
【0020】
また、前記クライアント端末2、2、・・・2と前記ネットワークプリンタ8とは、TCP/IPなど一定の通信プロトコルに即してデータが交信される。ただし用いられる通信プロトコルはTCP/IP以外のものたとえばIPX/SPXやDSLINKなどでもよく、また、これらの通信プロトコルが複数併用されてもよい。
【0021】
一方、前記ネットワークシステム1において印刷情報はパケット化されて交信される。図5において、前記クライアント端末2から送信されるパケットの模式図を示す。このパケット19は、分割された印刷情報としての印刷情報本体部20にIPアドレスやMACアドレスなど通信プロトコルに即したアドレス情報部21や送信者を判別するための送信者情報部22や親展情報か否かを判別するための親展情報部23などが付加されて形成されている。
【0022】
そして、図6において、本発明に係るネットワークシステム1におけるデータの流れの模式図を示す。このネットワークシステム1においては、各クライアント端末2A、2B、2Cからそれぞれn個(nは任意の整数)のパケットA1、A2、・・・An、B1、B2、・・・Bn、C1、C2、・・・Cnはすべて前記LAN3を経てセンターサーバ5に送信される。なお、このうち前記クライアント端末2Aおよび2Bから送信された印刷情報は親展情報であり、前記クライアント端末2Cから送信された印刷情報は非親展情報である。そして、前記センターサーバ13が受信したパケット群は親展情報識別部16によって親展情報か否かの識別が行われたのち、親展情報である前記パケットA1、A2、・・・An、B1、B2・・・Bnは前記センターサーバ13の蓄積部17に蓄積され、非親展情報である前記パケットC1、C2、・・・C3は即座に前記ネットワークプリンタ8に転送される。前記蓄積部17に蓄積された親展情報を印刷するためには、前記ネットワークプリンタ8側で親展情報出力ボタン12をプッシュし、前記蓄積部17に蓄積された前記パケットA1、A2、…、Anや前記パケットB1、B2、…、Bnを出力させる。
【0023】
そして、図7に示すのは本発明の一の最良の形態に係るネットワークシステムにおける印刷手順を示すフローチャートである。以下、このフローチャートに即して印刷手順を説明する。
【0024】
まず、印刷情報2を親展情報として扱いたい場合(ステップS1)、クライアント端末2の利用者はクライアント端末2のブラウザ画面において親展情報ボタン4をクリックする(ステップS2)。そして、利用者がブラウザ画面の印刷「OK」ボタンをクリックすると(ステップS3)、印刷情報の送信が開始される。印刷情報はn個に分割され、分割されたそれぞれの印刷情報にはアドレス情報部21と、送信者情報部22と、親展情報部23とが付加されたパケットA1、A2、…、Anとして形成され、LAN5に送信される(ステップS4)。そして、パケットA1、A2、…Anはセンターサーバ5が受信する(ステップS5)。センターサーバ13においてはパケットの通信プロトコルの判別などを行うとともに親展情報識別部16において親展情報か否かを判別し(ステップS6)、親展情報である場合には蓄積部17に蓄積し(ステップS7)、親展情報でない場合には即座にネットワークプリンタ8に転送し(ステップS9)そのまま印刷する(ステップS10)。
【0025】
次に、蓄積部17に蓄積された印刷情報を取り出して印刷する際には、印刷実行者はネットワークプリンタ8の親展情報出力ボタン12をプッシュする(ステップS8)。これによりネットワークプリンタ8からセンターサーバ13に親展情報出力信号が送信され、前記出力信号を受信したセンターサーバ13は蓄積した印刷情報のパケットA1、A2、…Anをネットワークプリンタ8に送信する(ステップS9)。ネットワークプリンタ8はこの印刷情報のパケットA1、A2、…Anを受信して印刷情報をプリントし出力する(ステップS10)。
【0026】
このように、親展情報をセンターサーバ13に蓄積することにより、印刷実行者がネットワークプリンタ8の前に待機した状態で印刷できるため、同一の印刷情報を複数回印刷してしまったり当事者以外の者に印刷情報を見られてしまったりする事態を防止することができる。そして、印刷情報が親展情報である場合にセンターサーバ13の蓄積部に一時的に記憶するため、印刷情報の蓄積を機密性の高い印刷情報のみに限定し、印刷作業全体が遅延する事態を防止しながら機密の保持を図ることができる。
【0027】
次に、本発明の他の最良の形態について図面を参照して説明する。
【0028】
図8に本発明を実施するための他の最良の形態としてのネットワークシステムを示す。このネットワークシステム31は、サーバとしてネットワークプリンタ32に内蔵したプリンタサーバ(図示せず)を用い、このネットワークプリンタ32をLAN5に接続している。
【0029】
図9において、前記ネットワークプリンタ32の操作パネル部の拡大図を示す。この操作パネル部33には、出力部として、親展情報出力ボタン12に加え、プッシュ式のテンキー34とICカード用のカードリーダ35が設けられている。前記テンキー34や前記カードリーダ35には、前記ネットワークプリンタ32の前で印刷情報の出力を待ち受ける印刷実行者を識別するためのIDや暗証番号が入力され、これらの入力情報は印刷者情報として扱われる。
【0030】
そして、図10に前記プリンタサーバ(図示せず)の内部構成のブロック図を示す。このプリンタサーバは、図4で示した構成におけるプリンタ信号受信部18に代えて、前記操作パネル部33から入力された前記印刷者情報を受信する印刷者情報受信部36と、パケットの送信者情報部に記載された情報と前記印刷者情報とを照合する照合部37とを備えている。
【0031】
なお、前記ネットワーク31におけるデータの流れは図11に示すとおりであり、親展情報のパケットA1、A2、…、An、B1、B2、…、Bnはプリンタサーバ(図示せず)の蓄積部17に蓄積される。
【0032】
そして、その他の構成は図1ないし図6に示す一の最良の形態と同様である。
【0033】
次に、図12に示すフローチャートに即し、本発明の他の最良の形態に係るネットワークシステムにおける印刷手順を説明する。
【0034】
まず、印刷情報2を親展情報として扱いたい場合(ステップS11)、クライアント端末2の利用者はクライアント端末2のブラウザ画面において親展情報ボタン4をクリックする(ステップS12)。そして、利用者がブラウザ画面の印刷「OK」ボタンをクリックすると(ステップS13)、印刷情報の送信が開始される。印刷情報はn個に分割され、分割されたそれぞれの印刷情報にはアドレス情報部21と、送信者情報部22と、親展情報部23とが付加されたパケットA1、A2、…、Anとして形成され、LAN5に送信される(ステップS14)。そして、パケットA1、A2、…、Anはプリンタサーバ(図示せず)が受信する(ステップS15)。ネットワークプリンタ32においてはパケットの通信プロトコルの判別などを行うとともに親展情報識別部16において親展情報か否かを判別し(ステップS16)、親展情報である場合には蓄積部17に蓄積し(ステップS17)、親展情報でない場合にはプリンタサーバ(図示せず)からそのまま出力し(ステップS22)、印刷する(ステップS23)。
【0035】
次に、蓄積部17に蓄積された印刷情報を出力する際には、印刷実行者はプリンタの操作パネル33のカードリーダ35にICカード(図示せず)をスルーするとともにテンキー34に暗証番号を入力し(ステップS18)、親展情報出力ボタン12をプッシュする(ステップS19)。カードリーダ35やテンキー34から入力された情報は印刷者情報としてプリンタサーバ(図示せず)に送信され、プリンタサーバ(図示せず)の照合部37は蓄積されているパケットA1、A2、…、Anの送信者情報部22と印刷者情報とを照合し(ステップS20)、照合結果より、印刷情報の送信者が前記送信者情報の所有者と同一者または前記送信者から認証を受けた者であることを確認した場合には(ステップS21)、プリンタサーバ(図示せず)は蓄積部17に蓄積したパケットA1、A2、…Anを出力し(ステップS22)、ネットワークプリンタ32はパケットA1、A2、…、Anから形成した印刷情報を印刷する(ステップS23)。
【0036】
このように、サーバに一時的に記憶した親展情報を出力する際、ネットワークプリンタ32に印刷者情報を入力するものとしたことにより、サーバに蓄積された親展情報が複数あるような場合でも、それらの親展情報を正当な印刷者のみが出力できることとなり、ネットワークプリンタ32を使用する際に確実に機密の保持を図ることができる。
【0037】
また、親展情報を蓄積するサーバをネットワークプリンタ32に内蔵されたプリンタサーバ(図示せず)とし、サーバとプリンタを一体化させたことにより、ネットワークシステム31を構成するハードウェアの構成要件を少なくし、システムの簡素化を図ることができる。
【0038】
なお、上記他の最良の形態においては、印刷者情報はカードリーダ35から読み込んだICカード情報とテンキー34から入力した暗証番号とによって形成したが、これに限定されず、他の手段、たとえば指紋や指の静脈といった生体認証情報によって形成することもできるし、生体認証以外の自他識別機能を持つ手段によって形成することも可能である。
【0039】
また、本最良の形態においては、一の最良の形態に示すとおり、サーバをセンターサーバ13とする場合、蓄積部17に蓄積された印刷情報はネットワークプリンタ8の親展情報出力ボタン12をプッシュするのみで出力され、他の最良の形態に示すとおり、サーバをネットワークプリンタ32に内蔵されたプリンタサーバ(図示せず)とする場合、蓄積部17に蓄積された印刷情報はカードリーダ35およびテンキー34に印刷者情報を入力しないと出力されないものとして形成したが、これに限定されず、本最良の形態で示した上述の組み合わせとは逆に、サーバをセンターサーバとする場合の蓄積部に蓄積された印刷情報の取り出しに印刷者情報が必要であったり、サーバをネットワークプリンタ32に内蔵されたプリンタサーバとする場合の蓄積部に蓄積された印刷情報の取り出しが親展情報出力ボタンのプッシュのみでよいという構成としてもよい。
【0040】
さらに、上記最良の形態においては、クライアント端末からの情報はネットワークプリンタ32が受信するものとして形成したが、このネットワークプリンタに代えて、コピー機やファクシミリなどであってもよく、またネットワークプリンタがコピー機やファクシミリの機能を併せ持つものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一の最良の形態としてのネットワークシステムの全体図である。
【図2】同上ネットワークシステムに用いるクライアント端末の印刷画面の模式図である。
【図3】同上ネットワークシステムに用いるネットワークプリンタの操作パネル部の拡大図である。
【図4】同上ネットワークシステムに用いるセンターサーバの内部構成を示すブロック図である。
【図5】同上ネットワークシステムにおいて送信されるパケットの模式図である。
【図6】同上ネットワークシステムにおけるデータの流れを示す模式図である。
【図7】同上ネットワークシステムにおける印刷手順を示すフローチャートである。
【図8】本発明の他の最良の形態としてのネットワークシステムの全体図である。
【図9】同上ネットワークシステムに用いるネットワークプリンタの操作パネル部の拡大図である。
【図10】同上ネットワークシステムに用いるプリンタサーバの内部構成を示すブロック図である。
【図11】同上ネットワークシステムにおけるデータの流れを示す模式図である。
【図12】同上ネットワークシステムにおける印刷手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0042】
1 ネットワークシステム
2 クライアント端末
5 LAN
8 ネットワークプリンタ
12 出力部としての親展情報出力ボタン
13 センターサーバ
17 蓄積部
19 印刷情報としてのパケット
22 送信者情報部
31 ネットワークシステム
32 ネットワークプリンタ
34 出力部としてのテンキー
35 出力部としてのカードリーダ
37 照合部
2A、2B、2C クライアント端末
A1、A2、…、An 印刷情報としてのパケット
B1、B2、…、Bn 印刷情報としてのパケット
C1、C2、…、Cn 印刷情報としてのパケット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LAN構内に接続された複数のクライアント端末と前記クライアント端末から送信された印刷情報を印刷するネットワークプリンタとを備えたネットワークシステムであって、
前記クライアント端末から送信された前記印刷情報を受信するサーバに内蔵され前記印刷情報が親展情報である場合に一時的に蓄積する蓄積部と、
前記ネットワークプリンタに設けられ前記蓄積部に蓄積された印刷情報を出力させるための出力信号を供給する出力部と、
を備えたことを特徴とする親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項2】
前記サーバは前記LANを介して前記前記ネットワークプリンタと交信可能なセンターサーバであることを特徴とする請求項1に記載の親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項3】
前記サーバは前記ネットワークプリンタに内蔵されたプリンタサーバであることを特徴とする請求項1に記載の親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項4】
前記印刷情報には送信者を識別するための送信者情報部を含むとともに、前記出力信号には印刷の実行者を識別するための印刷者情報を含み、前記サーバに前記送信者情報と前記印刷者情報とを照合する照合部を設け、前記照合部が前記印刷者情報を正当な印刷者のものと判断した場合に、前記サーバは前記蓄積部に蓄積した前記印刷情報を出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項5】
前記照合部は、前記印刷者情報が前記送信者情報と同一であるか、又は前記送信者から認証を受けた者の印刷者情報であることを確認した場合に、前記印刷者情報を正当と判断することを特徴とする請求項4に記載の親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項6】
前記印刷者情報は、テンキーによる暗証番号、電子カード、生体認証情報のうち少なくともいずれか一の手段によって入力されることを特徴とする請求項4または5に記載の親展情報保護機能付きネットワークシステム。
【請求項7】
複数のクライアント端末および前記クライアント端末から送信された印刷情報を印刷するネットワークプリンタと交信するサーバであって、
前記印刷情報が親展情報かどうかを識別する親展情報識別部と、
前記印刷情報が親展情報である場合に一時的に蓄積する蓄積部と、
前記ネットワークプリンタから出力された印刷者情報を受信する印刷者情報受信部と、
前記印刷者情報と前記印刷情報に含まれる送信者情報とを照合する照合部と、
を備えたことを特徴とする親展情報保護機能付きサーバ。
【請求項8】
LAN構内に設けられた複数のクライアント端末と前記クライアント端末から送信された印刷情報を一時的に蓄積するサーバと前記サーバから送信された前記印刷情報に基づいて印刷するネットワークプリンタとを備えたネットワークシステム用親展情報保護方法であって、
前記クライアント端末から親展情報か否かを示す親展情報部を含む印刷情報を送信するステップと、
前記サーバの蓄積部が前記印刷情報が親展情報か否かを識別するステップと、
前記印刷情報が親展情報であった場合に前記サーバが前記印刷情報を蓄積するステップと、
前記ネットワークプリンタから前記サーバに出力信号を送信するステップと、
前記サーバは前記出力信号を受信すると蓄積された前記印刷情報を出力するステップと、
を備えたことを特徴とするネットワークシステム用親展情報保護方法。
【請求項9】
前記サーバは前記出力信号には印刷を実行する者を識別するための印刷者情報を含み、
前記サーバが受信した前記出力信号の印刷者情報を前記印刷情報に含まれる送信者情報部と照合するステップと、
前記サーバは前記印刷者情報が前記送信者情報と同一であるか、又は前記送信者から認証を受けた者の印刷者情報であることを確認した場合に前記印刷情報を出力するステップと、
をさらに備えたことを特徴とする請求項8に記載のネットワークシステム用親展情報保護方法。
【請求項10】
前記サーバは前記LANを介して前記前記ネットワークプリンタと交信可能なセンターサーバまたは前記ネットワークプリンタに内蔵されたプリンタサーバであることを特徴とする請求項8または9に記載のネットワークシステムにおける親展情報保護方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2006−4047(P2006−4047A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−177900(P2004−177900)
【出願日】平成16年6月16日(2004.6.16)
【出願人】(504145995)株式会社ダブリュシーエル (3)
【Fターム(参考)】