角形ロッドのクランプ装置
【課題】 断面がほぼ六角形状の角形部を確実にクランプすることが可能であり且つ耐久性に優れ長期の寿命を有するクランプ装置を提供する。
【解決手段】 本発明によるクランプ装置は、夫々半径方向に切り欠いた挿入口を具備している一対の第1及び第2ギヤとそれらの間に揺動自在に配設された一対のアームとを有している。断面がほぼ六角形の角形部の一対の対向する平面部を一対のアームの夫々の平坦面と当接して角形部をクランプ状態とさせる。該一対のアームは夫々湾曲面を具備しており、これらの湾曲面は内側の周壁に形成されたカム面と摺接しており、クランプ状態において少なくとも部分的に両者間において面接触している。該一対の第1及び第2ギヤは夫々別個の第1及び第2モータによって可逆的に回転制御される。
【解決手段】 本発明によるクランプ装置は、夫々半径方向に切り欠いた挿入口を具備している一対の第1及び第2ギヤとそれらの間に揺動自在に配設された一対のアームとを有している。断面がほぼ六角形の角形部の一対の対向する平面部を一対のアームの夫々の平坦面と当接して角形部をクランプ状態とさせる。該一対のアームは夫々湾曲面を具備しており、これらの湾曲面は内側の周壁に形成されたカム面と摺接しており、クランプ状態において少なくとも部分的に両者間において面接触している。該一対の第1及び第2ギヤは夫々別個の第1及び第2モータによって可逆的に回転制御される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置に関するものであって、更に詳細には、自動車の車輪に設定されるトーを調整するためにタイロッドの長さを調節するタイロッド調整装置におけるオープンエンドレンチに使用するのに適したクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のトー調整又は設定を行う場合には、通常、自動車のタイロッドの長さを調整することによって行われる。図1に例示したように、自動車の車輪Wのトー調整又は設定を行う場合には、車輪Wの走行方向に互いに離隔して配置されている一対の距離センサSF及びSRによって夫々のセンサから車輪Wの対応する部分への距離を検知する。そして、検知された夫々の距離に基づいて車輪Wの前後方向に対する傾斜角度、即ちトー角度が測定される。このトー測定値が所望の値からずれている場合には、車輪Wを所定のトー値に設定するためにトー調整を行うことが必要である。トー調整を行う場合には、一般的には、車輪Wに作動連結されているタイロッド1の長さを調節することによって行われる。
【0003】
タイロッド1は、大略、ロッド本体2とロッドエンド部材3とから構成されている。そして、ロッド本体2の一端部は、ボールジョイント5を介してリレーロッド6に作動連結されており、更に、リレーロッド6は自動車のステアリングホイール(不図示)と作動連結されている。ロッド本体2の他端部には所定の長さにわたり雄螺子2aが螺設されており、この雄螺子2aにはロックナット4が螺合されている。更に、ロッド本体2は、雄螺子2aに隣接して断面がほぼ六角形状である角形部2bが一体的に形成されている。尚、注意すべきことであるが、ロッド本体2におけるこの角形部2bは、通常は、断面が円形状である棒鋼を部分的に鍛造して実質的に六角形状の断面に形成させたものである。従って、角形部2bは実質的に断面が六角形状であるが、通常は、正確に6個の平坦な側面によって断面形状が正確な六角形状に形成されているものではない。図1にも概略的に示されているように、この角形部2bは、実際には、鍛造によって形成された6個の平面部と、一対の隣接する平面部の間に存在する湾曲部とから形成されているのが一般的である。従って、この様な実情に鑑み、本明細書においては、角形部2bの断面形状を表現する上で「断面がほぼ六角形状」という表現を採用しているが、それは、タイロッド2のロッド本体2に形成されている角形部2bの形状が正確な六角形状の断面を有するものではないが、6個の平坦な側面によって形成される実質的に六角形状の断面を有するものであることを包含するためである。
【0004】
ロッドエンド部材3の一端部には所定の長さにわたり雌螺子3aが切られており、この雌螺子3aに対してロッド本体2の雄螺子2aが螺合されている。従って、ロッドエンド部材3に対してロッド本体2を正回転又は逆回転させることにより、ロッド本体2の雄螺子2aがロッドエンド部材3の雌螺子3a内にねじ込まれたり又は送り出されたりすることとなり、タイロッド1の全長を調節することが可能である。ロッドエンド部材3の他端部はボールジョイント7を介して車輪Wと動作連結されているナックルアーム(不図示)に連結されている。従って、タイロッド1の長さを調節することによって、車輪Wの向き、即ち前後方向に対する傾斜角度、が調整され、車輪Wのトー角度を適切な値に調整することが可能である。そして、この様にして車輪Wのトーが適切な値に調整された後に、ロックナット4をロッドエンド部材3に対して締め付ける。これにより、タイロッド1は調整された長さに固定される。
【0005】
上述したように、車輪Wのトー調整を行う場合には、タイロッド1の長さを調整するものであるが、その場合には、ロックナット4を緩めたり又は締め付けたりすることが必要であり、更に、ロッド本体2をロッドエンド部材3に対して正方向又は逆方向に回転させることが必要である。そのような場合に、ロックナット4及びロッド本体2の角形部2bと着脱自在に係合可能なオープンエンドレンチが使用されている。
【0006】
例えば、特開平1−295766号においては、自動車の車輪のトー調整を行う場合に使用可能なオープンエンドレンチ及びそれを具備するタイロッド調整装置が開示されている。更に、特開2001−232575号は、一対のクランプアームとピンとを使用するトー調整用のオープンエンドレンチを記載しているが、ピンが折れ易いという問題があり、その場合にはオープンエンドレンチ全体を解体して新たなピンを装着し、次いで組み直しをせねばならないという問題がある。更に、クランプ位置において、クランプアームの当接辺36bはロッド本体の角形部C3の角部と係合する(図10(A)における距離L1は距離L2より大きく設定されている)ものであるから、クランプ状態が一定しないという問題がある。更に、第一回転体31は、一対のブレーキシュー351によってその外周面と接触されて制動されるものであるが、その場合に両者の間で滑る場合があり、第一回転体31が確実に制動状態に維持させることが困難であるという問題がある。更に、特開2004−351603号は、タイロッド調整装置のオープンエンドレンチに使用可能な角形ロッドのロック装置を記載しており、この場合には、半径方向に延在するU字形状の溝を形成した一対のサイドギヤを相対的に回転させることによりロッド本体の角形部の角部をU字形状溝の側部に当接させることによりロッド本体をロック状態にさせるものである。
【0007】
【特許文献1】特開平1−295766号
【特許文献2】特開2001−232575号
【特許文献3】特開2004−351603号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであって、上述した如き従来技術の欠点を解消し、長手軸に沿った少なくとも一部に断面がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置を提供することを目的とする。本発明の別の目的とするところは、断面形状がほぼ六角形状の角形部を確実にクランプすることが可能なクランプ装置を提供することである。本発明の更に別の目的とするところは、タイロッド調整装置におけるオープンエンドレンチに使用して信頼性をもってタイロッドの角形部をクランプすることが可能なクランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、長手軸に沿った少なくとも一部に断面がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置において、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状に切除した第1挿入口が形成されており、表面上に第1周面と第1底面とで画定される第1凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第1回転支持部が設けられている第1ギヤ本体部と、前記第1挿入口を除き前記第1ギヤ本体部の円周上に設けられている第1ギヤ歯とを有する第1ギヤ、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状の切除した第2挿入口が形成されており、表面上に第2周面と第2底面とで画定される第2凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第2回転支持部が設けられている第2ギヤ本体部と、前記第2挿入口を除き前記第2ギヤ本体部の円周上に設けられている第2ギヤ歯とを有する第2ギヤ、
前記第1凹所と前記第2凹所とが協働して空胴を形成するように前記第1ギヤと前記第2ギヤとを同軸上で且つ相対的に回転自在に支持する回転支持手段、
前記空胴内に配置されており互いに一対の固定軸周りに揺動自在に設けられており夫々が平坦面と湾曲面を具備している一対のアーム、
を有しており、前記第2周面上に互いに離隔して一対のカム面が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが同軸周りに互いに回転される場合に、前記一対のアームの湾曲面と前記一対のカム面とが摺接して前記一対のアームが揺動されて前記一対のアームの夫々の前記平坦面が前記角形部の対向する一対の平面部と当接することにより前記角形ロッドをクランプ状態とさせることを特徴とするクランプ装置、が提供される。
【0010】
好適には、前記回転支持手段は、前記第2ギヤ本体部の表面側から軸方向に突出した円周状の突起部を有しており、前記円周状の突起部の内周面は前記第2周面を画定しており、且つ前記円周状の突起部の外周面は前記第1周面と摺動自在に嵌合されている。
【0011】
更に好適には、前記円周状の突起部の先端が前記第1底面と摺動自在に接触しており前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な位置を規制している。
【0012】
更に好適には、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持する。
【0013】
更に好適には、少なくとも前記角形ロッドがクランプ状態とされた場合に、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持する。
【0014】
更に好適には、前記一対のカム面は前記クランプ装置の中心軸周りに実質的に軸対称的に配置されている。
【0015】
更に好適には、前記第1底面に互いに離隔して一対のピンが植設されており、前記一対のアームに夫々設けられている貫通孔を介して前記一対のピンが挿通されており、前記一対のアームは夫々のピン周りに揺動可能である。
【0016】
更に好適には、前記第2底面内に互いに離隔して一対の円弧状の第3凹所が形成されており、前記一対のアームに夫々設けられているガイドピンが摺動自在に対応する第3凹所内に嵌合されている。
【0017】
更に好適には、前記一対のカム面の夫々の端部に第1段差部が形成されており、且つ前記一対のアームの夫々の湾曲面の端部に第2段差部が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが相対的に回転されて前記第1挿入口と前記第2挿入口とが整合状態とされるアンクランプ状態とされる場合に前記第1段差部と前記第2段差部とが互いに係合して前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な回転を停止させる。
【0018】
更に好適には、前記第1ギヤは第1駆動源に駆動連結されており且つ前記第2ギヤは前記第1駆動源とは別の第2駆動源に駆動連結されている。
【0019】
更に好適には、前記第1駆動源が可逆回転可能な第1モータであり、且つ前記第2駆動源が可逆回転可能な第2モータである。
【0020】
更に好適には、前記第1モータと前記第2モータとの駆動状態を夫々制御する駆動制御手段を有している。
【0021】
更に好適には、前記駆動制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとの夫々のトルクの大きさを調節することによりトルク差に応じて前記第1ギヤと前記第2ギヤとを一体的に回転させる。
【0022】
更に好適には、本クランプ装置が自動車の車輪のトー調節を行う場合に該自動車のタイロッドを一時的にクランプするために使用されるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、角形ロッドを確実に且つ常に同じ状態でクランプすることが可能である。クランプ状態において、角形ロッドの対向する一対の平面部はアームの対応する平坦面と当接するものであるから、実質的に面接触状態でクランプすることが可能である。そうであるから、アームに無理な力が作用することが回避されアームが損傷を受けることは無い。従って、本クランプ装置においては、ピン等の部品が損傷される危険性は最小とされており、クランプ装置の分解、部品交換、再組立等の厄介な作業を行うことの必要性は極力回避されている。更に、アームの湾曲面が第2ギヤの第2周面に形成されているカム面と摺接するものであるから、第1ギヤと第2ギヤとを相対的に回転させる場合に滑らかに行うことが可能であり、更に、好適には、少なくともクランプ位置において、アームの湾曲面が第2ギヤの第2周面に形成されているカム面とが実質的に面接触状態にある場合には、アームを介して角形ロッドを安定してクランプ状態に維持することが可能である。更に、本発明の好適実施形態によれば、第1ギヤと第2ギヤとは夫々別の回転駆動源によって駆動されるものであるからブレーキを使用することは必要ではなく、更にいずれのギヤも制動状態に維持することは必要ではないので、動作の信頼性及び確実性が向上されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参考に、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明する。図2は、本発明の1実施例に基づいて構成されたクランプ装置10を示した概略側面図であり、クランプ装置10は、大略、第1ギヤ11と、第2ギヤ12と、一対のアーム13,14とが組み合わされて構成されている。図3(A)及び(B)に示されているように、第1ギヤ11は、基本的には、大略円形状の第1ギヤ本体11hと、該第1ギヤ本体11hの円周状の外周部に設けられている第1ギヤ歯11eとから構成されている。第1ギヤ本体11hは大略円盤の形状をしているが、その円周状の外周部の所定の区域から中心部へかけて半径方向に切り欠かれて、半径方向に延在している大略U字形状をした第1挿入口11bが形成されている。図示例においては、第1挿入口11bは、角形ロッドの1例であるロッド本体2を横方向に挿入することを容易とするために、外周端部近くにおいて半径方向外側に向かって広がる幅広の形状とされている。尚、第1挿入口11bの幅は、角形ロッドの1例であるロッド本体2の角形部2bがどのような角度位置であってもその中心位置に容易に挿入させることが可能であるような幅に設定されている。
【0025】
図3(A)に示されている第1ギヤ本体11hの面は表面側であり、その表面側には第1凹所11iが凹設されており、第1凹所11iは、円周状の第1内側周面11fと第1底面11cとによって画定されている。尚、図3(B)に示されているように、第1内側周面11fは第1ギヤ歯11eの一方の端部を越えて所定の距離D1にわたり外側へ延在しており、円周状の第1突起11gを形成している。更に、第1底面11cには互いに所定距離離隔して一対の固定ピン11d,11dが植設されている。又、図3(B)に示されているように、第1ギヤ本体11の裏面側には円筒形状の第1回転支持部11aが一体的に形成されている。この第1回転支持部11aは、その外周面が他の部品により摺動自在に支持されることにより第1ギヤ11がその中心軸周りに回転自在に支持される。
【0026】
図4(A)及び(B)は第2ギヤ12の1実施例を示しており、第2ギヤ12は、基本的には、大略円形状の第2ギヤ本体12hと、該第2ギヤ本体12hの円周状の外周部に設けられている第2ギヤ歯12eとから構成されている。第1ギヤ本体11hと同様に、第2ギヤ本体12bは、大略円盤の形状をしているが、その円周状の外周部の所定の区域から中心部へかけて半径方向に切り欠かれて、半径方向に延在している大略U字形状をした第2挿入口12bが形成されている。図示例においては、第2挿入口12bは、角形ロッドの1例であるロッド本体2を横方向に挿入することを容易とするために、外周端部近くにおいて半径方向外側に向かって広がる幅広の形状とされている。尚、第2挿入口12bの幅は、第1挿入口11bと同じく、角形ロッドの1例であるロッド本体2の角形部2bがどのような角度位置であってもその中心位置に容易に挿入させることが可能であるような幅に設定されている。
【0027】
図4(A)に示されている第2ギヤ本体12bの面は表面側であり、その表面側には第2凹所12iが凹設されており、第2凹所12iは、円周状の第2内側周面12fと第2底面12cとによって画定されている。尚、図4(B)に示されているように、第2内側周面12fは第2ギヤ歯12eの一方の端部を越えて所定の距離D2にわたり外側へ延在しており、円周状の第2突起12gを形成している。更に、第2底面12cには一対のガイド溝12d,12dが刻設されており、該一対のガイド溝12d,12dは所定の角度範囲にわたり大略軸対称的に配置されている。更に、第2内側周面12fには一対のカム面12fc,12fcが形成されており、これらは第2ギヤ12の中心O周りの所定の角度範囲θにわたりほぼ軸対称的に配置されている。そして、各カム面12fcは、図4(A)において、角度範囲θにわたり半時計方向に進むに従い、次第に半径方向内側、即ち中心Oに近づくように湾曲している曲面から形成されている。そして、各カム面12fcは、角度範囲θの限界において、急激に半径方向外側へ向かって方向を変化させており、その箇所において段差部12fdを形成している。又、図4(B)に示されているように、第2ギヤ本体12の裏面側には円筒形状の第2回転支持部12aが一体的に形成されている。この第2回転支持部11aは、その外周面が他の部品により摺動自在に支持されることにより第2ギヤ12がその中心軸周りに回転自在に支持される。
【0028】
図5(A)〜(D)は、本発明の1実施例に基づく一対の第1及び第2アーム13,14を示しており、図5(A)及び(B)に示されているように、第1アーム13は大略ウサギの耳の形状をしており、その基端部には第1貫通孔13bが穿設されており、ほぼ直線状に延在する第1平坦面13gと該第1平坦面13gに対向しており且つ湾曲した曲面を形成している第1湾曲面13cとを有している。第1湾曲面13cの下端部においては段差部13dが形成されている。更に、第1アーム13の一方の表面上には第1ガイドピン13aが植設されている。一方、図5(C)及び(D)に示されているように、第2アーム14も大略ウサギの耳の形状をしており、その基端部には第2貫通孔14bが穿設されており、ほぼ直線的に延在する第2平坦面14gと該第2平坦面14gに対向しており且つ湾曲した曲面を形成している第2湾曲面14cとを有している。第2湾曲面14cの上端部においては段差部14dが形成されている。更に、第2アーム14の一方の表面上には第2ガイドピン14aが植設されている。
【0029】
図5(A)〜(D)に示されている一対のアーム13,14を夫々第1ギヤ11の対応する固定ピン11d,11dを対応する貫通孔13b,14b内に挿通させ、更にこれらのアーム13,14の夫々のガイドピン13a,14aを夫々第2ギヤ12の対応するガイド溝12d,12d内に挿入させて、第1ギヤ11と第2ギヤとを夫々の表面側を合わせて一体化させることにより図2に示されているクランプ装置10が得られる。即ち、図1に示されているように、第2ギヤ12の第2突起12gの外周面を第1ギヤ11の第1内側周面11fと摺動自在に嵌合させるが、この場合に、第2突起12gの先端が第1ギヤ11の第1底面11cに接触するまで第2突起12gを第1ギヤ11の第1凹所11i内に挿入させる。そして、好適には、この場合には、図2に図示されているように、第1ギヤ11の第1突起11gが第2ギヤ12の第2突起12gの外側周面が終端しており第2ギヤ歯12eへ向かって半径方向外側へ延在している第2ギヤ本体12hの部分と当接状態となる。従って、この様に、第1ギヤ11と第2ギヤ12とを組み合わせることによって、第1ギヤ11の第1凹所11iと第2ギヤ12の第2凹所12iとが協働して両者の間に空胴が形成され、その空洞内に、一対のアーム13,14が夫々のピン11d、11d周りに揺動自在に配置される。
【0030】
次に、図6及び7を参照して、上述した如き構成を有する本クランプ装置10によって角形ロッドの1例であるタイロッド1のロッド本体2における角形部2bをクランプする動作について説明する。尚、図6及び7は、第1ギヤ11を取り外した状態を示した各概略正面図であり、第1ギヤ11は非回転状態に維持されていることを前提としている。
【0031】
図6は、本クランプ装置10のアンクランプ状態を示しており、第2ギヤ12及び一対のアーム13,14はそれらの初期位置(原点位置)にある。尚、図6においては第1ギヤ11は図示されていないが、第2ギヤ12と整合した同じ初期位置にあり、即ち第1ギヤ11の第1挿入口11bは第2ギヤ12の第2挿入口12bとは位置が整合して同じ回転位置(図示例においては、垂直上方に向かった位置)にある。このアンクランプ状態においては、一対のアーム13,14は固定ピン13b、14b回りに最大に開いた開放位置にある。この場合に、夫々のアーム13,14の平坦面13g,14gは、少なくとも、第2ギヤ12の第2挿入口12bの幅よりも後退した位置を取ることが好適である。何故ならば、アーム13,14の平坦面13g,14gが第2挿入口12bの幅よりも大きな幅を与えるように後退位置を取ることが可能であれば、第2挿入口12b内に角形ロッドを挿入させる場合に邪魔になることが無いからである。尚、図6においては、第2ギヤ12のみが図示されているが、前述したように、第1ギヤ11も第2ギヤ12と同じ回転位置にあり従って第1ギヤ11の第1挿入口11bは第2ギヤ12の第2挿入口12bと回転位置が整合しているので、上述した第2ギヤ12とアーム13,14との位置関係は、第1ギヤ11に対しても同じことである。
【0032】
図6に示されているアンクランプ状態においては、第1アーム13の第1湾曲面13cは第2ギヤ12の一方のカム面12fcと摺接している。しかしながら、この状態においては、第1湾曲面13cがカム面12fcと全面的に面接触していることは必ずしも必要ではなく、両者間に多少の隙間が存在することも可能である。この場合に重要なことは、第1アーム13の第1平坦面13gが角形ロッド(図示例においては、タイロッド1のロッド本体2)を第2挿入口12b(及び第1ギヤ11の第1挿入口11b)内に径方向(横方向)に挿入する場合に邪魔にならないことである。更に図6に示されているように、第1アーム13の第1段差部13dがカム面12fcの段差部12fdと当接しており、この当接状態により第1ギヤ11と第2ギヤ12との相対的な回転を阻止するストッパ機能が与えられている。即ち、第1アーム13の第1貫通孔13b内には第1ギヤ11の対応する固定ピン11dが遊嵌されているので、第1ギヤ11が第2ギヤ12に対して図6において時計方向に回転して第2ギヤ12と整合したアンクランプ位置となると、第1アーム13の第1段差部13dがカム面12fの段差部12fdと当接するので、第1段差部13dと段差部12fdとはストッパとして機能することとなる。
【0033】
第2アーム14についても同様に、その第2湾曲面14cは第2ギヤ12の他方のカム面12fcと摺接しているが、この状態においては、第2湾曲面14cがカム面12fcと全面的に面接触していることは必ずしも必要ではなく両者間に多少の隙間が存在することも可能である。そして、第2アーム14の第2平坦面14gは角形ロッドを第2挿入口12b(及び第1ギヤ11の第1挿入口11b)内に径方向に挿入する場合に邪魔にならないような後退した位置にある。又、第2アーム14の第2段差部14dが対応するカム面12fcの段差部12fdと当接しており、この当接状態により第1ギヤ11と第2ギヤ12との相対的な回転を阻止するストッパ機能が与えられている。
【0034】
更に、図6に示されているように、アンクランプ状態においては、一対のアーム13,14は初期位置に整合されている第1及び第2挿通口11b,12bに入ることのない退避した位置に位置されているので、角形ロッドであるロッド本体2の角形部2bは横方向、即ちロッド本体2の長手軸に対して垂直な方向に挿入させることが可能である。この場合に、第1及び第2挿入口11b、12bは、前述した如く、断面がほぼ六角形である角形部2bの断面における径方向の最大寸法(六角形の一つの山とそれに対向する山との間の距離)よりも多少大きい幅を有しているので、ロッド本体2の中心軸回りの角形部2bの回転位置に拘わらずに角形部2bは容易に第1及び第2挿入口11b,12b内に挿入させることが可能である。
【0035】
図7は、本クランプ装置10のクランプ状態を示しており、それは、図6に示されているアンクランプ状態から、第1ギヤ11(不図示)が図6に示した第2ギヤ12と整合した状態に維持されると仮定した場合に、第1ギヤ11に対して第2ギヤ12を矢印Aで示した如く時計方向に所定角度回転させて一対のアーム13,14により角形部2bをクランプしている状態である。第1ギヤ11は図6と図7とでは同じ回転位置にあると仮定しているので、一対のアーム13,14も本クランプ装置10の中心軸周りに回転していない。何故ならば、一対のアーム13,14は第1ギヤ11に植設されている一対の固定ピン11d,11dに夫々遊嵌されているからである。しかしながら、第1ギヤ11及び一対のアーム13,14と相対的に第2ギヤ12が図7に示されているように矢印Aの方向に所定角度回転されることにより、例えば、第1アーム13は、その第1湾曲面13cが対応するカム面12fcと摺接しているので、第2ギヤ12の矢印A方向の回転によって、対応する固定ピン11d周りに時計方向に揺動することとなる。何故ならば、対応するカム面12fdは第2ギヤ12の中心に近くづくような曲面を有しているからである。この場合に、同じく、第2アーム14も、その第2湾曲面14cが対応するカム面12fcと摺接しているので、第2ギヤの矢印A方向の回転により、対応する固定ピン11d周りに反時計方向に揺動する。何故ならば、対応するカム面12fdは第2ギヤ12の中心に近づくような曲面を有しており、これらの一対のカム面12fd,12fdは互いにクランプ装置10の中心軸に関して概略180度回転されて位置されているからである。
【0036】
以上の如く、第2ギヤ12の矢印A方向(時計方向)の回転により、一対のアーム13,14は互いに近接するように夫々の対応する固定ピン11d、11d周りに揺動する。その結果、第1アーム13の第1平坦面13gは角形部2bの対応する平面部と当接し、この場合の当接状態は、好適には、実質的に面接触状態となる。同様に、第2アーム14の第2平坦面14gも角形部2bの対応する平面部と当接するが、この場合の当接状態も、好適には、実質的に面接触状態となる。即ち、図7に示したクランプ状態においては、好適には、一対の第1及び第2アーム13,14の夫々の第1及び第2平坦面13g,14gが角形部2bの対応する一対の平面部と実質的に面接触状態となるように設定されている。この様に、クランプ状態において、一対のアーム13,14と断面がほぼ六角形の角形部の対応する一対の平面部とが実質的に面接触状態となることにより、角形部2b、従ってロッド本体2は一対のアーム13,14によって確実にクランプさせることが可能である。尚、従来技術によれば、断面がほぼ六角形の角形部2bの平面部ではなく角部をアーム等に当接させてクランプさせているが、その場合には、角部がアームの当接面において滑動することがあり安定して角形部をクランプすることが不可能であるという問題があったが、本発明においてはそのような従来技術の問題点を有するものではない。
【0037】
更に重要な点であるが、本発明の好適な実施例においては、図7に示されているように、第1アーム13の第1湾曲面13cは対応するカム面12fc上を摺接するものであり、且つ、少なくとも図7に示されているクランプ状態においては、第1湾曲面13cと対応するカム面12fcとは少なくとも部分的に面接触状態を維持していることである。そして、好適には、図7に図示されているように、第1湾曲面13cと対応するカム面12fcとの間の面接触している領域が少なくとも部分的に所定の角度範囲θ内に存在していることである。更に好適な実施例においては、この面接触している領域の全てが実質的にこの角度範囲θ内に位置されているものである。尚、この角度範囲θは、図7に示されているように、断面がほぼ六角形の角形部2bが一対のアーム13,14によってクランプ状態とされて、第1平坦面13gが角形部2bの対応する平面部と面接触しており、更に、第2平坦面14gが角形部2bの対応する平面部と面接触している場合において、ロッド本体2の中心軸Oと第1平坦面13g(第2平坦面14g)と対応する平面部との間の面接触の限界とを結んだ直線によって定義される角度範囲である。更に、第2アーム14の第2湾曲面14cも対応するカム面12fc上を摺接しており、且つ、少なくとも図7に示されているクランプ状態においては、第2湾曲面14cと対応するカム面12fcとは少なくとも部分的に面接触状態を維持している。そして、好適には、図7に示されているように、第2湾曲面14cと対応するカム面12fcとの間の面接触している領域は少なくとも部分的には所定の角度範囲θ内に存在している。更に好適な実施形態においては、この面接触している領域の実質的に全てがこの角度範囲θ内に位置されている。尚、この様なアームと対応するカム面との間の面接触している領域が中心軸Oに関して軸対称的であることが望ましい。又、面接触しているこれら2つの領域が両方とも所定の角度範囲θ内に存在することが望ましいが、適用場面によっては、これら2つの領域の内の少なくとも一方が少なくとも部分的に所定の角度範囲θ内に存在することで十分な場合も考えられる。
【0038】
この様な構成とした場合には、第2ギヤ12の回転によってそのカム面12fcとそれと面接触している第1湾曲面13cとを介して第1アーム13が時計回りに揺動される場合に、第2ギヤ12によるクランプ力は第1アーム13の第1平坦面13gと角形部2bの対応する平面部との間の面接触区域を介してロッド本体2の中心Oに向かって付与されることとなる。即ち、角形部2bに付与されるクランプ力は、面接触している表面にわたり分散されると共にアーム13,14を介してロッド本体2の中心Oに向かって付与されることとなる。その結果、アーム13,14に曲げモーメントが付与されることは可及的に回避されので、アーム13,14によって確実に角形部2bをクランプすることが可能となるばかりか、アーム13,14に無理な力が作用することが無いのでアーム13,14及びピン11dが不本意に破損される危険性は無い。その結果、本クランプ装置10の寿命は更に長期化されることとなり、ピンやアームの損傷によるクランプ装置10の分解、部品の交換、再組立などの厄介な作業が強いられることは無い。
【0039】
図7に示されているように、角形部2bがクランプ装置10にクランプされた状態において、第1ギヤ11と第2ギヤ12とを互いの回転位置を維持したまま両者を同じ方向に回転させることによって、角形部2bを介してロッド本体2を可逆的に回転させることが可能である。そして、ロッド本体2を所望の回転位置とさせた後に、第1ギヤ11に対して第2ギヤ12を矢印Aと反対方向に相対的に回転させて、両者を図6に示した整合状態(原点位置)とさせることにより角形部2bはアンクランプ状態とされる。この場合に、ガイドピン13a,14aは夫々対応するガイド溝12d,12d内に挿入されているので、一対のアーム13,14は互いに離隔する方向に揺動された夫々の初期位置に確実に復帰される。そして、クランプ装置10をロッド本体2に対して横方向に移動させてクランプ装置10からロッド本体2を離脱させることが可能である。
【0040】
この様に、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10は、ロッド本体2の角形部2bなどの断面がほぼ六角形の角形部を確実に且つ信頼性をもってクランプしたりアンクランプしたりする場合に使用することが可能なものである。次に、この様なクランプ装置10を自動車の車輪のトー調節を行うためのタイロッド調整装置のオープンエンドレンチに使用した場合の実施形態について特に図8乃至10を参照して説明する。
【0041】
図8及び9には、本発明の1実施例に基づいて構成されたタイロッド調整装置50が図示されており、このタイロッド調整装置50は、基本的に、一対の第1及び第2オープンエンドレンチ機構20,30を包含する二重オープンエンドレンチ構造を有している。第1オープンエンドレンチ機構20は、ロッド本体2の角形部2bをクランプしてロッド本体2を回転させるためのものであり、一方第2オープンエンドレンチ機構30は、ロックナット4をロック又はアンロックさせるためのものである。第1オープンエンドレンチ機構20は、一対の支持プレート21,22を有しており、これらの一対の支持プレート21,22は互いに取り付けられてそれらの間に収納空間を画定し、該収納空間内に、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10が収納され且つ支持プレート21,22に取り付けられている。これらの支持プレート21,22はベースハウジング23に装着されている。ベースハウジング23上には一対の可逆回転可能な第1及び第2モータ24,25が取り付けられており、これらの第1及び第2モータ24,25は、夫々、ベースハウジング23内に設けられている別々の駆動力伝達機構(不図示)を介して、支持プレート21,22内に設けられているクランプ装置10における第1及び第2ギヤ11,12に夫々連結されている。このベースハウジング23は、タイロッド調整装置50を適宜の三次元的位置に移動させることが可能なロボット装置に装着させることが可能である。
【0042】
更に、ベースハウジング23の側部にはサイドハウジング34が装着されており、このサイドハウジング34内を両方向矢印Bで示したように第1オープンエンドレンチ機構20に対して近遠移動自在に第2オープンエンドレンチ機構30が設けられている。即ち、第2オープンエンドレンチ機構30は、一対の支持プレート31,32を有しており、これらの支持プレート31,32は回転自在にロックギヤ33を保持しており、該ロックギヤ33は、支持プレート31,32の間の空間及びサイドハウジング34内に配設されている別の駆動力伝達機構(不図示)を介してサイドハウジング34上に装着されている第3モータ35と連結されている。従って、ロックギヤ33は、不図示の駆動力伝達機構を介して第3モータ35によって可逆的に駆動回転される。又、サイドハウジング34上にシリンダ装置36が装着されており、シリンダ装置36によって前進及び後退されるピストンロッド36aの先端部はL字形状ブラケット36bに連結されており、このL字形状ブラケット36bは連結ロッド36cを介して第2オープンエンドレンチ機構30に連結されている。従って、ピストンロッド36aの前進又は後退によって第2オープンエンドレンチ機構30を両方向矢印Bで示した方向に往復移動させることが可能である。尚、ロックギヤ33は、両方向矢印Bの一方の方向に移動されて、タイロッドのロックナット4と係合とさせ、一方、該一方の方向とは反対の方向に移動されて、ロックナット4から離脱させることが可能である。従って、ロックギヤ33は、例えば、1例として、前掲の特開2004−351603号の図4に開示されているような構造とさせることが可能である。
【0043】
図10に図示されているように、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10は、第1オープンエンドレンチ機構20の一対の支持プレート21,22の間に配設されている。図10に示されるように、一対の支持プレート21,22には、夫々、上部を開放した円形の貫通孔21a,22aが形成されている。貫通孔21aには、第1ギヤ11の円筒形状の第1回転支持部11aが挿入されて、第1ギヤ11を回転自在に支持している。一方、貫通孔22aには、第2ギヤ22の円筒形状の第2回転支持部23aが挿入されて、第2ギヤ12を回転自在に支持している。従って、クランプ装置10は、それらの円筒形状の第1及び第2回転支持部11a,12aが、夫々、一対の支持プレート21,22の貫通孔21a,22a内に回転自在に支持されることによって、その中心軸周りに回転させることが可能である。尚、貫通孔21a,22aの夫々の上部開放部分の幅は少なくとも第1及び第2ギヤ11,12の第1及び第2挿入口11b,12bの幅に設定されている。図10に示されているように、第1ギヤ11は、一対の中間ギヤ15,15‘を介して第1駆動ギヤ17と噛み合っており、第1駆動ギヤ17は、不図示の第1駆動力伝達機構を介して対応する第1モータ24に作動結合されている。従って、第1ギヤ11は、第1モータ24によって可逆的に駆動回転される。一方、第2ギヤ12は、一対の中間ギヤ16,16’を介して第2駆動ギヤ18と噛み合っており、第2駆動ギヤ18は、不図示の第2駆動力伝達機構を介して対応する第2モータ25に作動結合されている。従って、第2ギヤ12は、第2モータ25によって可逆的に駆動回転される。
【0044】
次に、上述した如き2個の駆動源を具備しており自動車のトー角度を調整するタイロッド調整装置50の動作を制御する本発明の1実施例に基づく制御システム40について図11乃至13を参照して以下に説明する。図11に示した如く、本制御システム40は、大略、トー測定部41と、トー調整部42と、メイン制御部43とから構成されている。そして、トー測定部41は、図1に例示したような一対の距離センサSF,SRとこれらの距離センサからの距離検知信号を処理してトー測定値を計算する計測用コンピュータ49とを包含している。又、トー調整部42は、可逆回転可能な一対の第1及び第2モータ24,25と、夫々のモータの絶対的な角度位置を検知するアブソリュートエンコーダなどの一対のエンコーダ44,45と、夫々のエンコーダからの信号に基づいてサーボ信号を対応するモータへ供給する一対のサーボコントローラ46,47と、これらのサーボコントローラをメイン制御部43からの信号に基づいて制御する調整制御部48とを包含している。尚、ここで注意すべきことであるが、この実施例に基づく制御原理においては、第1及び第2ギヤ11,12の夫々を可逆回転可能な一対の第1及び第2モータによって夫々独立的に回転制御する点である。即ち、前掲の従来技術においては、一対の第1及び第2ギヤ11,12のような一対の回転体の内の一方をブレーキによって制動状態とさせ、他方の回転体(ギヤ)を所望の方向に回転させて両者の間で相対的に回転方向における位相を制御するものである。この様な従来技術においては、ブレーキが緩みクランプ状態を一定に維持できないという問題があり動作上の信頼性に問題がある。一方、本発明のこの実施例においては、そのような従来技術のアプローチとは異なり、一対の第1及び第2ギヤ11,12は夫々別の独立した第1及び第2モータ24,25によって別々に駆動制御することが可能なものである。そして、本実施例においては、第1及び第2モータ24,25の夫々の駆動トルクを異ならせることによってトルク差を発生させ、このトルク差によって所望の方向にクランプ装置10を回転させるものである。
【0045】
上述した如く、本発明の好適な1実施例によれば、一対の第1及び第2モータ24,25によって発生されるトルク差を利用してクランプ装置10の回転制御を行うものであるが、この点について図12及び図13を参照して以下に説明する。
【0046】
図12(α)は、初期状態から第1及び第2ギヤ11,12を夫々反対方向に同一のトルクを付与して回転させてロッド本体2の角形部2bをクランプさせる状態が示されている。次いで、図12(β)に示されるように、例えば第1ギヤ11に付与する時計方向の回転トルクと比較して、第2ギヤ12に付与する反時計方向の回転トルクを一層増加させることにより、本クランプ装置10を結果的に反時計方向に回転させる。従って、この場合には、第1ギヤ11には時計方向の回転トルクが付与されているが、第2ギヤ12にはそれ以上の反時計方向の回転トルクが付与されるので、結果的に、第1ギヤ11と第2ギヤ12とは共に反時計方向に回転することとなる。従って、ロッド本体2は、本クランプ装置10によってクランプされたまま反時計方向に回転することとなる。ロッド本体2を回転させて、タイロッドの長さが調節され、その結果、車輪Wのトー角度が所望の角度に設定されると、第1ギヤ11にはそれまでと反対に反時計方向のトルクを付与し、一方第2ギヤ12には時計方向のトルクを付与して両者を互いに反対方向に回転させて第1及び第2ギヤ11,12をそれらの挿入口が整合されるアンクランプ状態とさせ、ロッド本体2をアンクランプ状態とさせる(図12(γ))。次いで、図12(δ)に示されているように、本クランプ装置10を初期位置へ復帰させる原点復帰動作を行う。
【0047】
以上の如く、本実施例によれば、一対の第1及び第2ギヤ11,12の相対的な回転制御を行う場合に、一方を一時的に制動状態に維持するためのブレーキを使用することは必要ではなく、夫々を回転駆動する夫々のモータのトルクを制御するものであるから、ブレーキの緩み又は滑りによる問題が発生することはなく確実にクランプを行うことが可能である。更に、第1及び第2ギヤ11,12に対して基本的に同一の構成を採用することが可能であり、製造及び組み付けが容易であるという作用効果もある。更に、夫々のモータにエンコーダを設けた場合には、夫々のモータの位相を検知してクランプ状態を確認することが可能となる利点もある。更に、ブレーキを使用する場合と異なり、一対のモータを使用する場合には、経年変化によるエラーの発生も極力回避することが可能である。
【0048】
以上、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、本発明はこれらの具体的実施の態様にのみ制限されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱すること無しに種々の変更を行うことが可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】トー検出用センサ及び自動車のタイロッド1を示した概略図。
【図2】本発明の1実施例に基づいて構成されたクランプ装置10の全体的構成を示した概略側面図。
【図3】(A)は第1ギヤ11の全体的構成を示した概略正面図、(B)は(A)中のIIIB−IIIB線に沿って取った概略断面図。
【図4】(A)は第2ギヤ12の全体的構成を示した概略正面図、(B)は(A)中のIVB−IVB線に沿って取った概略断面図。
【図5】(A)及び(B)は第1アーム13を示した概略正面図及び概略側面図、(C)及び(D)は第2アーム14を示した概略正面図及び概略側面図。
【図6】第1及び第2アーム13,14が第2ギヤ12内に組みつけられており、本クランプ装置10がアンクランプにある状態を示した概略図。
【図7】図6のアンクランプ状態から第2ギヤ12が第1ギヤ11に対して矢印A方向に回転されることにより本クランプ装置10がクランプとなった状態を示した概略図。
【図8】本クランプ装置10を組み込んだ本発明の1実施例に基づくタイロッド調整装置50を示した概略斜視図。
【図9】図8と同じタイロッド調整装置50の側面図。
【図10】図8及び9に示したタイロッド調整装置50内にクランプ装置10が組み込まれている状態を示した概略分解斜視図。
【図11】本発明の1実施例に基づくタイロッド調整装置50の制御回路40を示したブロック図。
【図12】(α)乃至(δ)は図11に示した制御回路40の動作を説明するのに有用な各概略図。
【図13】(A)及び(B)は図11に示した制御回路40の動作を説明するのに有用な各グラフ図。
【符号の説明】
【0050】
1:タイロッド
2:ロッド本体
2b:角形部
3:ロッドエンド部材
4:ロックナット
10:クランプ装置
11:第1ギヤ
12:第2ギヤ
13:第1アーム
14:第2アーム
20:第1オープンエンドレンチ機構
30:第2オープンエンドレンチ機構
40:制御回路
50:タイロッド調整装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置に関するものであって、更に詳細には、自動車の車輪に設定されるトーを調整するためにタイロッドの長さを調節するタイロッド調整装置におけるオープンエンドレンチに使用するのに適したクランプ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車のトー調整又は設定を行う場合には、通常、自動車のタイロッドの長さを調整することによって行われる。図1に例示したように、自動車の車輪Wのトー調整又は設定を行う場合には、車輪Wの走行方向に互いに離隔して配置されている一対の距離センサSF及びSRによって夫々のセンサから車輪Wの対応する部分への距離を検知する。そして、検知された夫々の距離に基づいて車輪Wの前後方向に対する傾斜角度、即ちトー角度が測定される。このトー測定値が所望の値からずれている場合には、車輪Wを所定のトー値に設定するためにトー調整を行うことが必要である。トー調整を行う場合には、一般的には、車輪Wに作動連結されているタイロッド1の長さを調節することによって行われる。
【0003】
タイロッド1は、大略、ロッド本体2とロッドエンド部材3とから構成されている。そして、ロッド本体2の一端部は、ボールジョイント5を介してリレーロッド6に作動連結されており、更に、リレーロッド6は自動車のステアリングホイール(不図示)と作動連結されている。ロッド本体2の他端部には所定の長さにわたり雄螺子2aが螺設されており、この雄螺子2aにはロックナット4が螺合されている。更に、ロッド本体2は、雄螺子2aに隣接して断面がほぼ六角形状である角形部2bが一体的に形成されている。尚、注意すべきことであるが、ロッド本体2におけるこの角形部2bは、通常は、断面が円形状である棒鋼を部分的に鍛造して実質的に六角形状の断面に形成させたものである。従って、角形部2bは実質的に断面が六角形状であるが、通常は、正確に6個の平坦な側面によって断面形状が正確な六角形状に形成されているものではない。図1にも概略的に示されているように、この角形部2bは、実際には、鍛造によって形成された6個の平面部と、一対の隣接する平面部の間に存在する湾曲部とから形成されているのが一般的である。従って、この様な実情に鑑み、本明細書においては、角形部2bの断面形状を表現する上で「断面がほぼ六角形状」という表現を採用しているが、それは、タイロッド2のロッド本体2に形成されている角形部2bの形状が正確な六角形状の断面を有するものではないが、6個の平坦な側面によって形成される実質的に六角形状の断面を有するものであることを包含するためである。
【0004】
ロッドエンド部材3の一端部には所定の長さにわたり雌螺子3aが切られており、この雌螺子3aに対してロッド本体2の雄螺子2aが螺合されている。従って、ロッドエンド部材3に対してロッド本体2を正回転又は逆回転させることにより、ロッド本体2の雄螺子2aがロッドエンド部材3の雌螺子3a内にねじ込まれたり又は送り出されたりすることとなり、タイロッド1の全長を調節することが可能である。ロッドエンド部材3の他端部はボールジョイント7を介して車輪Wと動作連結されているナックルアーム(不図示)に連結されている。従って、タイロッド1の長さを調節することによって、車輪Wの向き、即ち前後方向に対する傾斜角度、が調整され、車輪Wのトー角度を適切な値に調整することが可能である。そして、この様にして車輪Wのトーが適切な値に調整された後に、ロックナット4をロッドエンド部材3に対して締め付ける。これにより、タイロッド1は調整された長さに固定される。
【0005】
上述したように、車輪Wのトー調整を行う場合には、タイロッド1の長さを調整するものであるが、その場合には、ロックナット4を緩めたり又は締め付けたりすることが必要であり、更に、ロッド本体2をロッドエンド部材3に対して正方向又は逆方向に回転させることが必要である。そのような場合に、ロックナット4及びロッド本体2の角形部2bと着脱自在に係合可能なオープンエンドレンチが使用されている。
【0006】
例えば、特開平1−295766号においては、自動車の車輪のトー調整を行う場合に使用可能なオープンエンドレンチ及びそれを具備するタイロッド調整装置が開示されている。更に、特開2001−232575号は、一対のクランプアームとピンとを使用するトー調整用のオープンエンドレンチを記載しているが、ピンが折れ易いという問題があり、その場合にはオープンエンドレンチ全体を解体して新たなピンを装着し、次いで組み直しをせねばならないという問題がある。更に、クランプ位置において、クランプアームの当接辺36bはロッド本体の角形部C3の角部と係合する(図10(A)における距離L1は距離L2より大きく設定されている)ものであるから、クランプ状態が一定しないという問題がある。更に、第一回転体31は、一対のブレーキシュー351によってその外周面と接触されて制動されるものであるが、その場合に両者の間で滑る場合があり、第一回転体31が確実に制動状態に維持させることが困難であるという問題がある。更に、特開2004−351603号は、タイロッド調整装置のオープンエンドレンチに使用可能な角形ロッドのロック装置を記載しており、この場合には、半径方向に延在するU字形状の溝を形成した一対のサイドギヤを相対的に回転させることによりロッド本体の角形部の角部をU字形状溝の側部に当接させることによりロッド本体をロック状態にさせるものである。
【0007】
【特許文献1】特開平1−295766号
【特許文献2】特開2001−232575号
【特許文献3】特開2004−351603号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は以上の点に鑑みなされたものであって、上述した如き従来技術の欠点を解消し、長手軸に沿った少なくとも一部に断面がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置を提供することを目的とする。本発明の別の目的とするところは、断面形状がほぼ六角形状の角形部を確実にクランプすることが可能なクランプ装置を提供することである。本発明の更に別の目的とするところは、タイロッド調整装置におけるオープンエンドレンチに使用して信頼性をもってタイロッドの角形部をクランプすることが可能なクランプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、長手軸に沿った少なくとも一部に断面がほぼ六角形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置において、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状に切除した第1挿入口が形成されており、表面上に第1周面と第1底面とで画定される第1凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第1回転支持部が設けられている第1ギヤ本体部と、前記第1挿入口を除き前記第1ギヤ本体部の円周上に設けられている第1ギヤ歯とを有する第1ギヤ、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状の切除した第2挿入口が形成されており、表面上に第2周面と第2底面とで画定される第2凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第2回転支持部が設けられている第2ギヤ本体部と、前記第2挿入口を除き前記第2ギヤ本体部の円周上に設けられている第2ギヤ歯とを有する第2ギヤ、
前記第1凹所と前記第2凹所とが協働して空胴を形成するように前記第1ギヤと前記第2ギヤとを同軸上で且つ相対的に回転自在に支持する回転支持手段、
前記空胴内に配置されており互いに一対の固定軸周りに揺動自在に設けられており夫々が平坦面と湾曲面を具備している一対のアーム、
を有しており、前記第2周面上に互いに離隔して一対のカム面が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが同軸周りに互いに回転される場合に、前記一対のアームの湾曲面と前記一対のカム面とが摺接して前記一対のアームが揺動されて前記一対のアームの夫々の前記平坦面が前記角形部の対向する一対の平面部と当接することにより前記角形ロッドをクランプ状態とさせることを特徴とするクランプ装置、が提供される。
【0010】
好適には、前記回転支持手段は、前記第2ギヤ本体部の表面側から軸方向に突出した円周状の突起部を有しており、前記円周状の突起部の内周面は前記第2周面を画定しており、且つ前記円周状の突起部の外周面は前記第1周面と摺動自在に嵌合されている。
【0011】
更に好適には、前記円周状の突起部の先端が前記第1底面と摺動自在に接触しており前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な位置を規制している。
【0012】
更に好適には、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持する。
【0013】
更に好適には、少なくとも前記角形ロッドがクランプ状態とされた場合に、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持する。
【0014】
更に好適には、前記一対のカム面は前記クランプ装置の中心軸周りに実質的に軸対称的に配置されている。
【0015】
更に好適には、前記第1底面に互いに離隔して一対のピンが植設されており、前記一対のアームに夫々設けられている貫通孔を介して前記一対のピンが挿通されており、前記一対のアームは夫々のピン周りに揺動可能である。
【0016】
更に好適には、前記第2底面内に互いに離隔して一対の円弧状の第3凹所が形成されており、前記一対のアームに夫々設けられているガイドピンが摺動自在に対応する第3凹所内に嵌合されている。
【0017】
更に好適には、前記一対のカム面の夫々の端部に第1段差部が形成されており、且つ前記一対のアームの夫々の湾曲面の端部に第2段差部が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが相対的に回転されて前記第1挿入口と前記第2挿入口とが整合状態とされるアンクランプ状態とされる場合に前記第1段差部と前記第2段差部とが互いに係合して前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な回転を停止させる。
【0018】
更に好適には、前記第1ギヤは第1駆動源に駆動連結されており且つ前記第2ギヤは前記第1駆動源とは別の第2駆動源に駆動連結されている。
【0019】
更に好適には、前記第1駆動源が可逆回転可能な第1モータであり、且つ前記第2駆動源が可逆回転可能な第2モータである。
【0020】
更に好適には、前記第1モータと前記第2モータとの駆動状態を夫々制御する駆動制御手段を有している。
【0021】
更に好適には、前記駆動制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとの夫々のトルクの大きさを調節することによりトルク差に応じて前記第1ギヤと前記第2ギヤとを一体的に回転させる。
【0022】
更に好適には、本クランプ装置が自動車の車輪のトー調節を行う場合に該自動車のタイロッドを一時的にクランプするために使用されるものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、角形ロッドを確実に且つ常に同じ状態でクランプすることが可能である。クランプ状態において、角形ロッドの対向する一対の平面部はアームの対応する平坦面と当接するものであるから、実質的に面接触状態でクランプすることが可能である。そうであるから、アームに無理な力が作用することが回避されアームが損傷を受けることは無い。従って、本クランプ装置においては、ピン等の部品が損傷される危険性は最小とされており、クランプ装置の分解、部品交換、再組立等の厄介な作業を行うことの必要性は極力回避されている。更に、アームの湾曲面が第2ギヤの第2周面に形成されているカム面と摺接するものであるから、第1ギヤと第2ギヤとを相対的に回転させる場合に滑らかに行うことが可能であり、更に、好適には、少なくともクランプ位置において、アームの湾曲面が第2ギヤの第2周面に形成されているカム面とが実質的に面接触状態にある場合には、アームを介して角形ロッドを安定してクランプ状態に維持することが可能である。更に、本発明の好適実施形態によれば、第1ギヤと第2ギヤとは夫々別の回転駆動源によって駆動されるものであるからブレーキを使用することは必要ではなく、更にいずれのギヤも制動状態に維持することは必要ではないので、動作の信頼性及び確実性が向上されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、添付の図面を参考に、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明する。図2は、本発明の1実施例に基づいて構成されたクランプ装置10を示した概略側面図であり、クランプ装置10は、大略、第1ギヤ11と、第2ギヤ12と、一対のアーム13,14とが組み合わされて構成されている。図3(A)及び(B)に示されているように、第1ギヤ11は、基本的には、大略円形状の第1ギヤ本体11hと、該第1ギヤ本体11hの円周状の外周部に設けられている第1ギヤ歯11eとから構成されている。第1ギヤ本体11hは大略円盤の形状をしているが、その円周状の外周部の所定の区域から中心部へかけて半径方向に切り欠かれて、半径方向に延在している大略U字形状をした第1挿入口11bが形成されている。図示例においては、第1挿入口11bは、角形ロッドの1例であるロッド本体2を横方向に挿入することを容易とするために、外周端部近くにおいて半径方向外側に向かって広がる幅広の形状とされている。尚、第1挿入口11bの幅は、角形ロッドの1例であるロッド本体2の角形部2bがどのような角度位置であってもその中心位置に容易に挿入させることが可能であるような幅に設定されている。
【0025】
図3(A)に示されている第1ギヤ本体11hの面は表面側であり、その表面側には第1凹所11iが凹設されており、第1凹所11iは、円周状の第1内側周面11fと第1底面11cとによって画定されている。尚、図3(B)に示されているように、第1内側周面11fは第1ギヤ歯11eの一方の端部を越えて所定の距離D1にわたり外側へ延在しており、円周状の第1突起11gを形成している。更に、第1底面11cには互いに所定距離離隔して一対の固定ピン11d,11dが植設されている。又、図3(B)に示されているように、第1ギヤ本体11の裏面側には円筒形状の第1回転支持部11aが一体的に形成されている。この第1回転支持部11aは、その外周面が他の部品により摺動自在に支持されることにより第1ギヤ11がその中心軸周りに回転自在に支持される。
【0026】
図4(A)及び(B)は第2ギヤ12の1実施例を示しており、第2ギヤ12は、基本的には、大略円形状の第2ギヤ本体12hと、該第2ギヤ本体12hの円周状の外周部に設けられている第2ギヤ歯12eとから構成されている。第1ギヤ本体11hと同様に、第2ギヤ本体12bは、大略円盤の形状をしているが、その円周状の外周部の所定の区域から中心部へかけて半径方向に切り欠かれて、半径方向に延在している大略U字形状をした第2挿入口12bが形成されている。図示例においては、第2挿入口12bは、角形ロッドの1例であるロッド本体2を横方向に挿入することを容易とするために、外周端部近くにおいて半径方向外側に向かって広がる幅広の形状とされている。尚、第2挿入口12bの幅は、第1挿入口11bと同じく、角形ロッドの1例であるロッド本体2の角形部2bがどのような角度位置であってもその中心位置に容易に挿入させることが可能であるような幅に設定されている。
【0027】
図4(A)に示されている第2ギヤ本体12bの面は表面側であり、その表面側には第2凹所12iが凹設されており、第2凹所12iは、円周状の第2内側周面12fと第2底面12cとによって画定されている。尚、図4(B)に示されているように、第2内側周面12fは第2ギヤ歯12eの一方の端部を越えて所定の距離D2にわたり外側へ延在しており、円周状の第2突起12gを形成している。更に、第2底面12cには一対のガイド溝12d,12dが刻設されており、該一対のガイド溝12d,12dは所定の角度範囲にわたり大略軸対称的に配置されている。更に、第2内側周面12fには一対のカム面12fc,12fcが形成されており、これらは第2ギヤ12の中心O周りの所定の角度範囲θにわたりほぼ軸対称的に配置されている。そして、各カム面12fcは、図4(A)において、角度範囲θにわたり半時計方向に進むに従い、次第に半径方向内側、即ち中心Oに近づくように湾曲している曲面から形成されている。そして、各カム面12fcは、角度範囲θの限界において、急激に半径方向外側へ向かって方向を変化させており、その箇所において段差部12fdを形成している。又、図4(B)に示されているように、第2ギヤ本体12の裏面側には円筒形状の第2回転支持部12aが一体的に形成されている。この第2回転支持部11aは、その外周面が他の部品により摺動自在に支持されることにより第2ギヤ12がその中心軸周りに回転自在に支持される。
【0028】
図5(A)〜(D)は、本発明の1実施例に基づく一対の第1及び第2アーム13,14を示しており、図5(A)及び(B)に示されているように、第1アーム13は大略ウサギの耳の形状をしており、その基端部には第1貫通孔13bが穿設されており、ほぼ直線状に延在する第1平坦面13gと該第1平坦面13gに対向しており且つ湾曲した曲面を形成している第1湾曲面13cとを有している。第1湾曲面13cの下端部においては段差部13dが形成されている。更に、第1アーム13の一方の表面上には第1ガイドピン13aが植設されている。一方、図5(C)及び(D)に示されているように、第2アーム14も大略ウサギの耳の形状をしており、その基端部には第2貫通孔14bが穿設されており、ほぼ直線的に延在する第2平坦面14gと該第2平坦面14gに対向しており且つ湾曲した曲面を形成している第2湾曲面14cとを有している。第2湾曲面14cの上端部においては段差部14dが形成されている。更に、第2アーム14の一方の表面上には第2ガイドピン14aが植設されている。
【0029】
図5(A)〜(D)に示されている一対のアーム13,14を夫々第1ギヤ11の対応する固定ピン11d,11dを対応する貫通孔13b,14b内に挿通させ、更にこれらのアーム13,14の夫々のガイドピン13a,14aを夫々第2ギヤ12の対応するガイド溝12d,12d内に挿入させて、第1ギヤ11と第2ギヤとを夫々の表面側を合わせて一体化させることにより図2に示されているクランプ装置10が得られる。即ち、図1に示されているように、第2ギヤ12の第2突起12gの外周面を第1ギヤ11の第1内側周面11fと摺動自在に嵌合させるが、この場合に、第2突起12gの先端が第1ギヤ11の第1底面11cに接触するまで第2突起12gを第1ギヤ11の第1凹所11i内に挿入させる。そして、好適には、この場合には、図2に図示されているように、第1ギヤ11の第1突起11gが第2ギヤ12の第2突起12gの外側周面が終端しており第2ギヤ歯12eへ向かって半径方向外側へ延在している第2ギヤ本体12hの部分と当接状態となる。従って、この様に、第1ギヤ11と第2ギヤ12とを組み合わせることによって、第1ギヤ11の第1凹所11iと第2ギヤ12の第2凹所12iとが協働して両者の間に空胴が形成され、その空洞内に、一対のアーム13,14が夫々のピン11d、11d周りに揺動自在に配置される。
【0030】
次に、図6及び7を参照して、上述した如き構成を有する本クランプ装置10によって角形ロッドの1例であるタイロッド1のロッド本体2における角形部2bをクランプする動作について説明する。尚、図6及び7は、第1ギヤ11を取り外した状態を示した各概略正面図であり、第1ギヤ11は非回転状態に維持されていることを前提としている。
【0031】
図6は、本クランプ装置10のアンクランプ状態を示しており、第2ギヤ12及び一対のアーム13,14はそれらの初期位置(原点位置)にある。尚、図6においては第1ギヤ11は図示されていないが、第2ギヤ12と整合した同じ初期位置にあり、即ち第1ギヤ11の第1挿入口11bは第2ギヤ12の第2挿入口12bとは位置が整合して同じ回転位置(図示例においては、垂直上方に向かった位置)にある。このアンクランプ状態においては、一対のアーム13,14は固定ピン13b、14b回りに最大に開いた開放位置にある。この場合に、夫々のアーム13,14の平坦面13g,14gは、少なくとも、第2ギヤ12の第2挿入口12bの幅よりも後退した位置を取ることが好適である。何故ならば、アーム13,14の平坦面13g,14gが第2挿入口12bの幅よりも大きな幅を与えるように後退位置を取ることが可能であれば、第2挿入口12b内に角形ロッドを挿入させる場合に邪魔になることが無いからである。尚、図6においては、第2ギヤ12のみが図示されているが、前述したように、第1ギヤ11も第2ギヤ12と同じ回転位置にあり従って第1ギヤ11の第1挿入口11bは第2ギヤ12の第2挿入口12bと回転位置が整合しているので、上述した第2ギヤ12とアーム13,14との位置関係は、第1ギヤ11に対しても同じことである。
【0032】
図6に示されているアンクランプ状態においては、第1アーム13の第1湾曲面13cは第2ギヤ12の一方のカム面12fcと摺接している。しかしながら、この状態においては、第1湾曲面13cがカム面12fcと全面的に面接触していることは必ずしも必要ではなく、両者間に多少の隙間が存在することも可能である。この場合に重要なことは、第1アーム13の第1平坦面13gが角形ロッド(図示例においては、タイロッド1のロッド本体2)を第2挿入口12b(及び第1ギヤ11の第1挿入口11b)内に径方向(横方向)に挿入する場合に邪魔にならないことである。更に図6に示されているように、第1アーム13の第1段差部13dがカム面12fcの段差部12fdと当接しており、この当接状態により第1ギヤ11と第2ギヤ12との相対的な回転を阻止するストッパ機能が与えられている。即ち、第1アーム13の第1貫通孔13b内には第1ギヤ11の対応する固定ピン11dが遊嵌されているので、第1ギヤ11が第2ギヤ12に対して図6において時計方向に回転して第2ギヤ12と整合したアンクランプ位置となると、第1アーム13の第1段差部13dがカム面12fの段差部12fdと当接するので、第1段差部13dと段差部12fdとはストッパとして機能することとなる。
【0033】
第2アーム14についても同様に、その第2湾曲面14cは第2ギヤ12の他方のカム面12fcと摺接しているが、この状態においては、第2湾曲面14cがカム面12fcと全面的に面接触していることは必ずしも必要ではなく両者間に多少の隙間が存在することも可能である。そして、第2アーム14の第2平坦面14gは角形ロッドを第2挿入口12b(及び第1ギヤ11の第1挿入口11b)内に径方向に挿入する場合に邪魔にならないような後退した位置にある。又、第2アーム14の第2段差部14dが対応するカム面12fcの段差部12fdと当接しており、この当接状態により第1ギヤ11と第2ギヤ12との相対的な回転を阻止するストッパ機能が与えられている。
【0034】
更に、図6に示されているように、アンクランプ状態においては、一対のアーム13,14は初期位置に整合されている第1及び第2挿通口11b,12bに入ることのない退避した位置に位置されているので、角形ロッドであるロッド本体2の角形部2bは横方向、即ちロッド本体2の長手軸に対して垂直な方向に挿入させることが可能である。この場合に、第1及び第2挿入口11b、12bは、前述した如く、断面がほぼ六角形である角形部2bの断面における径方向の最大寸法(六角形の一つの山とそれに対向する山との間の距離)よりも多少大きい幅を有しているので、ロッド本体2の中心軸回りの角形部2bの回転位置に拘わらずに角形部2bは容易に第1及び第2挿入口11b,12b内に挿入させることが可能である。
【0035】
図7は、本クランプ装置10のクランプ状態を示しており、それは、図6に示されているアンクランプ状態から、第1ギヤ11(不図示)が図6に示した第2ギヤ12と整合した状態に維持されると仮定した場合に、第1ギヤ11に対して第2ギヤ12を矢印Aで示した如く時計方向に所定角度回転させて一対のアーム13,14により角形部2bをクランプしている状態である。第1ギヤ11は図6と図7とでは同じ回転位置にあると仮定しているので、一対のアーム13,14も本クランプ装置10の中心軸周りに回転していない。何故ならば、一対のアーム13,14は第1ギヤ11に植設されている一対の固定ピン11d,11dに夫々遊嵌されているからである。しかしながら、第1ギヤ11及び一対のアーム13,14と相対的に第2ギヤ12が図7に示されているように矢印Aの方向に所定角度回転されることにより、例えば、第1アーム13は、その第1湾曲面13cが対応するカム面12fcと摺接しているので、第2ギヤ12の矢印A方向の回転によって、対応する固定ピン11d周りに時計方向に揺動することとなる。何故ならば、対応するカム面12fdは第2ギヤ12の中心に近くづくような曲面を有しているからである。この場合に、同じく、第2アーム14も、その第2湾曲面14cが対応するカム面12fcと摺接しているので、第2ギヤの矢印A方向の回転により、対応する固定ピン11d周りに反時計方向に揺動する。何故ならば、対応するカム面12fdは第2ギヤ12の中心に近づくような曲面を有しており、これらの一対のカム面12fd,12fdは互いにクランプ装置10の中心軸に関して概略180度回転されて位置されているからである。
【0036】
以上の如く、第2ギヤ12の矢印A方向(時計方向)の回転により、一対のアーム13,14は互いに近接するように夫々の対応する固定ピン11d、11d周りに揺動する。その結果、第1アーム13の第1平坦面13gは角形部2bの対応する平面部と当接し、この場合の当接状態は、好適には、実質的に面接触状態となる。同様に、第2アーム14の第2平坦面14gも角形部2bの対応する平面部と当接するが、この場合の当接状態も、好適には、実質的に面接触状態となる。即ち、図7に示したクランプ状態においては、好適には、一対の第1及び第2アーム13,14の夫々の第1及び第2平坦面13g,14gが角形部2bの対応する一対の平面部と実質的に面接触状態となるように設定されている。この様に、クランプ状態において、一対のアーム13,14と断面がほぼ六角形の角形部の対応する一対の平面部とが実質的に面接触状態となることにより、角形部2b、従ってロッド本体2は一対のアーム13,14によって確実にクランプさせることが可能である。尚、従来技術によれば、断面がほぼ六角形の角形部2bの平面部ではなく角部をアーム等に当接させてクランプさせているが、その場合には、角部がアームの当接面において滑動することがあり安定して角形部をクランプすることが不可能であるという問題があったが、本発明においてはそのような従来技術の問題点を有するものではない。
【0037】
更に重要な点であるが、本発明の好適な実施例においては、図7に示されているように、第1アーム13の第1湾曲面13cは対応するカム面12fc上を摺接するものであり、且つ、少なくとも図7に示されているクランプ状態においては、第1湾曲面13cと対応するカム面12fcとは少なくとも部分的に面接触状態を維持していることである。そして、好適には、図7に図示されているように、第1湾曲面13cと対応するカム面12fcとの間の面接触している領域が少なくとも部分的に所定の角度範囲θ内に存在していることである。更に好適な実施例においては、この面接触している領域の全てが実質的にこの角度範囲θ内に位置されているものである。尚、この角度範囲θは、図7に示されているように、断面がほぼ六角形の角形部2bが一対のアーム13,14によってクランプ状態とされて、第1平坦面13gが角形部2bの対応する平面部と面接触しており、更に、第2平坦面14gが角形部2bの対応する平面部と面接触している場合において、ロッド本体2の中心軸Oと第1平坦面13g(第2平坦面14g)と対応する平面部との間の面接触の限界とを結んだ直線によって定義される角度範囲である。更に、第2アーム14の第2湾曲面14cも対応するカム面12fc上を摺接しており、且つ、少なくとも図7に示されているクランプ状態においては、第2湾曲面14cと対応するカム面12fcとは少なくとも部分的に面接触状態を維持している。そして、好適には、図7に示されているように、第2湾曲面14cと対応するカム面12fcとの間の面接触している領域は少なくとも部分的には所定の角度範囲θ内に存在している。更に好適な実施形態においては、この面接触している領域の実質的に全てがこの角度範囲θ内に位置されている。尚、この様なアームと対応するカム面との間の面接触している領域が中心軸Oに関して軸対称的であることが望ましい。又、面接触しているこれら2つの領域が両方とも所定の角度範囲θ内に存在することが望ましいが、適用場面によっては、これら2つの領域の内の少なくとも一方が少なくとも部分的に所定の角度範囲θ内に存在することで十分な場合も考えられる。
【0038】
この様な構成とした場合には、第2ギヤ12の回転によってそのカム面12fcとそれと面接触している第1湾曲面13cとを介して第1アーム13が時計回りに揺動される場合に、第2ギヤ12によるクランプ力は第1アーム13の第1平坦面13gと角形部2bの対応する平面部との間の面接触区域を介してロッド本体2の中心Oに向かって付与されることとなる。即ち、角形部2bに付与されるクランプ力は、面接触している表面にわたり分散されると共にアーム13,14を介してロッド本体2の中心Oに向かって付与されることとなる。その結果、アーム13,14に曲げモーメントが付与されることは可及的に回避されので、アーム13,14によって確実に角形部2bをクランプすることが可能となるばかりか、アーム13,14に無理な力が作用することが無いのでアーム13,14及びピン11dが不本意に破損される危険性は無い。その結果、本クランプ装置10の寿命は更に長期化されることとなり、ピンやアームの損傷によるクランプ装置10の分解、部品の交換、再組立などの厄介な作業が強いられることは無い。
【0039】
図7に示されているように、角形部2bがクランプ装置10にクランプされた状態において、第1ギヤ11と第2ギヤ12とを互いの回転位置を維持したまま両者を同じ方向に回転させることによって、角形部2bを介してロッド本体2を可逆的に回転させることが可能である。そして、ロッド本体2を所望の回転位置とさせた後に、第1ギヤ11に対して第2ギヤ12を矢印Aと反対方向に相対的に回転させて、両者を図6に示した整合状態(原点位置)とさせることにより角形部2bはアンクランプ状態とされる。この場合に、ガイドピン13a,14aは夫々対応するガイド溝12d,12d内に挿入されているので、一対のアーム13,14は互いに離隔する方向に揺動された夫々の初期位置に確実に復帰される。そして、クランプ装置10をロッド本体2に対して横方向に移動させてクランプ装置10からロッド本体2を離脱させることが可能である。
【0040】
この様に、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10は、ロッド本体2の角形部2bなどの断面がほぼ六角形の角形部を確実に且つ信頼性をもってクランプしたりアンクランプしたりする場合に使用することが可能なものである。次に、この様なクランプ装置10を自動車の車輪のトー調節を行うためのタイロッド調整装置のオープンエンドレンチに使用した場合の実施形態について特に図8乃至10を参照して説明する。
【0041】
図8及び9には、本発明の1実施例に基づいて構成されたタイロッド調整装置50が図示されており、このタイロッド調整装置50は、基本的に、一対の第1及び第2オープンエンドレンチ機構20,30を包含する二重オープンエンドレンチ構造を有している。第1オープンエンドレンチ機構20は、ロッド本体2の角形部2bをクランプしてロッド本体2を回転させるためのものであり、一方第2オープンエンドレンチ機構30は、ロックナット4をロック又はアンロックさせるためのものである。第1オープンエンドレンチ機構20は、一対の支持プレート21,22を有しており、これらの一対の支持プレート21,22は互いに取り付けられてそれらの間に収納空間を画定し、該収納空間内に、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10が収納され且つ支持プレート21,22に取り付けられている。これらの支持プレート21,22はベースハウジング23に装着されている。ベースハウジング23上には一対の可逆回転可能な第1及び第2モータ24,25が取り付けられており、これらの第1及び第2モータ24,25は、夫々、ベースハウジング23内に設けられている別々の駆動力伝達機構(不図示)を介して、支持プレート21,22内に設けられているクランプ装置10における第1及び第2ギヤ11,12に夫々連結されている。このベースハウジング23は、タイロッド調整装置50を適宜の三次元的位置に移動させることが可能なロボット装置に装着させることが可能である。
【0042】
更に、ベースハウジング23の側部にはサイドハウジング34が装着されており、このサイドハウジング34内を両方向矢印Bで示したように第1オープンエンドレンチ機構20に対して近遠移動自在に第2オープンエンドレンチ機構30が設けられている。即ち、第2オープンエンドレンチ機構30は、一対の支持プレート31,32を有しており、これらの支持プレート31,32は回転自在にロックギヤ33を保持しており、該ロックギヤ33は、支持プレート31,32の間の空間及びサイドハウジング34内に配設されている別の駆動力伝達機構(不図示)を介してサイドハウジング34上に装着されている第3モータ35と連結されている。従って、ロックギヤ33は、不図示の駆動力伝達機構を介して第3モータ35によって可逆的に駆動回転される。又、サイドハウジング34上にシリンダ装置36が装着されており、シリンダ装置36によって前進及び後退されるピストンロッド36aの先端部はL字形状ブラケット36bに連結されており、このL字形状ブラケット36bは連結ロッド36cを介して第2オープンエンドレンチ機構30に連結されている。従って、ピストンロッド36aの前進又は後退によって第2オープンエンドレンチ機構30を両方向矢印Bで示した方向に往復移動させることが可能である。尚、ロックギヤ33は、両方向矢印Bの一方の方向に移動されて、タイロッドのロックナット4と係合とさせ、一方、該一方の方向とは反対の方向に移動されて、ロックナット4から離脱させることが可能である。従って、ロックギヤ33は、例えば、1例として、前掲の特開2004−351603号の図4に開示されているような構造とさせることが可能である。
【0043】
図10に図示されているように、本発明の1実施例に基づくクランプ装置10は、第1オープンエンドレンチ機構20の一対の支持プレート21,22の間に配設されている。図10に示されるように、一対の支持プレート21,22には、夫々、上部を開放した円形の貫通孔21a,22aが形成されている。貫通孔21aには、第1ギヤ11の円筒形状の第1回転支持部11aが挿入されて、第1ギヤ11を回転自在に支持している。一方、貫通孔22aには、第2ギヤ22の円筒形状の第2回転支持部23aが挿入されて、第2ギヤ12を回転自在に支持している。従って、クランプ装置10は、それらの円筒形状の第1及び第2回転支持部11a,12aが、夫々、一対の支持プレート21,22の貫通孔21a,22a内に回転自在に支持されることによって、その中心軸周りに回転させることが可能である。尚、貫通孔21a,22aの夫々の上部開放部分の幅は少なくとも第1及び第2ギヤ11,12の第1及び第2挿入口11b,12bの幅に設定されている。図10に示されているように、第1ギヤ11は、一対の中間ギヤ15,15‘を介して第1駆動ギヤ17と噛み合っており、第1駆動ギヤ17は、不図示の第1駆動力伝達機構を介して対応する第1モータ24に作動結合されている。従って、第1ギヤ11は、第1モータ24によって可逆的に駆動回転される。一方、第2ギヤ12は、一対の中間ギヤ16,16’を介して第2駆動ギヤ18と噛み合っており、第2駆動ギヤ18は、不図示の第2駆動力伝達機構を介して対応する第2モータ25に作動結合されている。従って、第2ギヤ12は、第2モータ25によって可逆的に駆動回転される。
【0044】
次に、上述した如き2個の駆動源を具備しており自動車のトー角度を調整するタイロッド調整装置50の動作を制御する本発明の1実施例に基づく制御システム40について図11乃至13を参照して以下に説明する。図11に示した如く、本制御システム40は、大略、トー測定部41と、トー調整部42と、メイン制御部43とから構成されている。そして、トー測定部41は、図1に例示したような一対の距離センサSF,SRとこれらの距離センサからの距離検知信号を処理してトー測定値を計算する計測用コンピュータ49とを包含している。又、トー調整部42は、可逆回転可能な一対の第1及び第2モータ24,25と、夫々のモータの絶対的な角度位置を検知するアブソリュートエンコーダなどの一対のエンコーダ44,45と、夫々のエンコーダからの信号に基づいてサーボ信号を対応するモータへ供給する一対のサーボコントローラ46,47と、これらのサーボコントローラをメイン制御部43からの信号に基づいて制御する調整制御部48とを包含している。尚、ここで注意すべきことであるが、この実施例に基づく制御原理においては、第1及び第2ギヤ11,12の夫々を可逆回転可能な一対の第1及び第2モータによって夫々独立的に回転制御する点である。即ち、前掲の従来技術においては、一対の第1及び第2ギヤ11,12のような一対の回転体の内の一方をブレーキによって制動状態とさせ、他方の回転体(ギヤ)を所望の方向に回転させて両者の間で相対的に回転方向における位相を制御するものである。この様な従来技術においては、ブレーキが緩みクランプ状態を一定に維持できないという問題があり動作上の信頼性に問題がある。一方、本発明のこの実施例においては、そのような従来技術のアプローチとは異なり、一対の第1及び第2ギヤ11,12は夫々別の独立した第1及び第2モータ24,25によって別々に駆動制御することが可能なものである。そして、本実施例においては、第1及び第2モータ24,25の夫々の駆動トルクを異ならせることによってトルク差を発生させ、このトルク差によって所望の方向にクランプ装置10を回転させるものである。
【0045】
上述した如く、本発明の好適な1実施例によれば、一対の第1及び第2モータ24,25によって発生されるトルク差を利用してクランプ装置10の回転制御を行うものであるが、この点について図12及び図13を参照して以下に説明する。
【0046】
図12(α)は、初期状態から第1及び第2ギヤ11,12を夫々反対方向に同一のトルクを付与して回転させてロッド本体2の角形部2bをクランプさせる状態が示されている。次いで、図12(β)に示されるように、例えば第1ギヤ11に付与する時計方向の回転トルクと比較して、第2ギヤ12に付与する反時計方向の回転トルクを一層増加させることにより、本クランプ装置10を結果的に反時計方向に回転させる。従って、この場合には、第1ギヤ11には時計方向の回転トルクが付与されているが、第2ギヤ12にはそれ以上の反時計方向の回転トルクが付与されるので、結果的に、第1ギヤ11と第2ギヤ12とは共に反時計方向に回転することとなる。従って、ロッド本体2は、本クランプ装置10によってクランプされたまま反時計方向に回転することとなる。ロッド本体2を回転させて、タイロッドの長さが調節され、その結果、車輪Wのトー角度が所望の角度に設定されると、第1ギヤ11にはそれまでと反対に反時計方向のトルクを付与し、一方第2ギヤ12には時計方向のトルクを付与して両者を互いに反対方向に回転させて第1及び第2ギヤ11,12をそれらの挿入口が整合されるアンクランプ状態とさせ、ロッド本体2をアンクランプ状態とさせる(図12(γ))。次いで、図12(δ)に示されているように、本クランプ装置10を初期位置へ復帰させる原点復帰動作を行う。
【0047】
以上の如く、本実施例によれば、一対の第1及び第2ギヤ11,12の相対的な回転制御を行う場合に、一方を一時的に制動状態に維持するためのブレーキを使用することは必要ではなく、夫々を回転駆動する夫々のモータのトルクを制御するものであるから、ブレーキの緩み又は滑りによる問題が発生することはなく確実にクランプを行うことが可能である。更に、第1及び第2ギヤ11,12に対して基本的に同一の構成を採用することが可能であり、製造及び組み付けが容易であるという作用効果もある。更に、夫々のモータにエンコーダを設けた場合には、夫々のモータの位相を検知してクランプ状態を確認することが可能となる利点もある。更に、ブレーキを使用する場合と異なり、一対のモータを使用する場合には、経年変化によるエラーの発生も極力回避することが可能である。
【0048】
以上、本発明の具体的実施の態様について詳細に説明したが、本発明はこれらの具体的実施の態様にのみ制限されるべきものではなく、本発明の範囲を逸脱すること無しに種々の変更を行うことが可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】トー検出用センサ及び自動車のタイロッド1を示した概略図。
【図2】本発明の1実施例に基づいて構成されたクランプ装置10の全体的構成を示した概略側面図。
【図3】(A)は第1ギヤ11の全体的構成を示した概略正面図、(B)は(A)中のIIIB−IIIB線に沿って取った概略断面図。
【図4】(A)は第2ギヤ12の全体的構成を示した概略正面図、(B)は(A)中のIVB−IVB線に沿って取った概略断面図。
【図5】(A)及び(B)は第1アーム13を示した概略正面図及び概略側面図、(C)及び(D)は第2アーム14を示した概略正面図及び概略側面図。
【図6】第1及び第2アーム13,14が第2ギヤ12内に組みつけられており、本クランプ装置10がアンクランプにある状態を示した概略図。
【図7】図6のアンクランプ状態から第2ギヤ12が第1ギヤ11に対して矢印A方向に回転されることにより本クランプ装置10がクランプとなった状態を示した概略図。
【図8】本クランプ装置10を組み込んだ本発明の1実施例に基づくタイロッド調整装置50を示した概略斜視図。
【図9】図8と同じタイロッド調整装置50の側面図。
【図10】図8及び9に示したタイロッド調整装置50内にクランプ装置10が組み込まれている状態を示した概略分解斜視図。
【図11】本発明の1実施例に基づくタイロッド調整装置50の制御回路40を示したブロック図。
【図12】(α)乃至(δ)は図11に示した制御回路40の動作を説明するのに有用な各概略図。
【図13】(A)及び(B)は図11に示した制御回路40の動作を説明するのに有用な各グラフ図。
【符号の説明】
【0050】
1:タイロッド
2:ロッド本体
2b:角形部
3:ロッドエンド部材
4:ロックナット
10:クランプ装置
11:第1ギヤ
12:第2ギヤ
13:第1アーム
14:第2アーム
20:第1オープンエンドレンチ機構
30:第2オープンエンドレンチ機構
40:制御回路
50:タイロッド調整装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手軸に沿った少なくとも一部に断面が角形形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置において、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状に切除した第1挿入口が形成されており、表面上に第1周面と第1底面とで画定される第1凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第1回転支持部が設けられている第1ギヤ本体部と、前記第1挿入口を除き前記第1ギヤ本体部の円周上に設けられている第1ギヤ歯とを有する第1ギヤ、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状の切除した第2挿入口が形成されており、表面上に第2周面と第2底面とで画定される第2凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第2回転支持部が設けられている第2ギヤ本体部と、前記第2挿入口を除き前記第2ギヤ本体部の円周上に設けられている第2ギヤ歯とを有する第2ギヤ、
前記第1凹所と前記第2凹所とが協働して空胴を形成するように前記第1ギヤと前記第2ギヤとを同軸上で且つ相対的に回転自在に支持する回転支持手段、
前記空胴内に配置されており互いに一対の固定軸周りに揺動自在に設けられており夫々が平坦面と湾曲面を具備している一対のアーム、
を有しており、前記第2周面上に互いに離隔して一対のカム面が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが同軸周りに互いに回転される場合に、前記一対のアームの湾曲面と前記一対のカム面とが摺接して前記一対のアームが揺動されて前記一対のアームの夫々の前記平坦面が前記角形部の対向する一対の平面部と当接することにより前記角形ロッドをクランプ状態とさせることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記回転支持手段は、前記第2ギヤ本体部の表面側から軸方向に突出した円周状の突起部を有しており、前記円周状の突起部の内周面は前記第2周面を画定しており、且つ前記円周状の突起部の外周面は前記第1周面と摺動自在に嵌合されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記円周状の突起部の先端が前記第1底面と摺動自在に接触しており前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な位置を規制していることを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の内のいずれか1項において、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持することを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項4において、少なくとも前記角形ロッドがクランプ状態とされた場合に、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持することを特徴とするクランプ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の内のいずれか1項において、前記一対のカム面は前記クランプ装置の中心軸周りに実質的に軸対称的に配置されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6内のいずれか1項において、前記第1底面に互いに離隔して一対のピンが植設されており、前記一対のアームに夫々設けられている貫通孔を介して前記一対のピンが挿通されており、前記一対のアームは夫々のピン周りに揺動可能であることを特徴とするクランプ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の内のいずれか1項において、前記第2底面内に互いに離隔して一対の円弧状の第3凹所が形成されており、前記一対のアームに夫々設けられているガイドピンが摺動自在に対応する第3凹所内に嵌合されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の内のいずれか1項において、前記一対のカム面の夫々の端部に第1段差部が形成されており、且つ前記一対のアームの夫々の湾曲面の端部に第2段差部が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが相対的に回転されて前記第1挿入口と前記第2挿入口とが整合状態とされるアンクランプ状態とされる場合に前記第1段差部と前記第2段差部とが互いに係合して前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な回転を停止させることを特徴とするクランプ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の内のいずれか1項において、前記第1ギヤは第1駆動源に駆動連結されており且つ前記第2ギヤは前記第1駆動源とは別の第2駆動源に駆動連結されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項11】
請求項10において、前記第1駆動源が可逆回転可能な第1モータであり、且つ前記第2駆動源が可逆回転可能な第2モータであることを特徴とするクランプ装置。
【請求項12】
請求項11において、前記第1モータと前記第2モータとの駆動状態を夫々制御する駆動制御手段を有していることを特徴とするクランプ装置。
【請求項13】
請求項12において、前記駆動制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとの夫々のトルクの大きさを調節することによりトルク差に応じて前記第1ギヤと前記第2ギヤとを一体的に回転させることを特徴とするクランプ装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の内のいずれか1項において、本クランプ装置が自動車の車輪のトー調節を行う場合に該自動車のタイロッドを一時的にクランプするために使用されるものであることを特徴とするクランプ装置。
【請求項1】
長手軸に沿った少なくとも一部に断面が角形形状の角形部を具備する角形ロッドのクランプ装置において、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状に切除した第1挿入口が形成されており、表面上に第1周面と第1底面とで画定される第1凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第1回転支持部が設けられている第1ギヤ本体部と、前記第1挿入口を除き前記第1ギヤ本体部の円周上に設けられている第1ギヤ歯とを有する第1ギヤ、
中心部から円周上の所定の区域にかけてU字形状の切除した第2挿入口が形成されており、表面上に第2周面と第2底面とで画定される第2凹所が設けられており、前記表面とは反対側の裏面上に第2回転支持部が設けられている第2ギヤ本体部と、前記第2挿入口を除き前記第2ギヤ本体部の円周上に設けられている第2ギヤ歯とを有する第2ギヤ、
前記第1凹所と前記第2凹所とが協働して空胴を形成するように前記第1ギヤと前記第2ギヤとを同軸上で且つ相対的に回転自在に支持する回転支持手段、
前記空胴内に配置されており互いに一対の固定軸周りに揺動自在に設けられており夫々が平坦面と湾曲面を具備している一対のアーム、
を有しており、前記第2周面上に互いに離隔して一対のカム面が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが同軸周りに互いに回転される場合に、前記一対のアームの湾曲面と前記一対のカム面とが摺接して前記一対のアームが揺動されて前記一対のアームの夫々の前記平坦面が前記角形部の対向する一対の平面部と当接することにより前記角形ロッドをクランプ状態とさせることを特徴とするクランプ装置。
【請求項2】
請求項1において、前記回転支持手段は、前記第2ギヤ本体部の表面側から軸方向に突出した円周状の突起部を有しており、前記円周状の突起部の内周面は前記第2周面を画定しており、且つ前記円周状の突起部の外周面は前記第1周面と摺動自在に嵌合されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項3】
請求項2において、前記円周状の突起部の先端が前記第1底面と摺動自在に接触しており前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な位置を規制していることを特徴とするクランプ装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の内のいずれか1項において、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持することを特徴とするクランプ装置。
【請求項5】
請求項4において、少なくとも前記角形ロッドがクランプ状態とされた場合に、前記一対のカム面の各々は、前記一対のアームの対応する湾曲面と少なくとも部分的に面接触状態を維持することを特徴とするクランプ装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の内のいずれか1項において、前記一対のカム面は前記クランプ装置の中心軸周りに実質的に軸対称的に配置されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項7】
請求項1乃至6内のいずれか1項において、前記第1底面に互いに離隔して一対のピンが植設されており、前記一対のアームに夫々設けられている貫通孔を介して前記一対のピンが挿通されており、前記一対のアームは夫々のピン周りに揺動可能であることを特徴とするクランプ装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の内のいずれか1項において、前記第2底面内に互いに離隔して一対の円弧状の第3凹所が形成されており、前記一対のアームに夫々設けられているガイドピンが摺動自在に対応する第3凹所内に嵌合されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の内のいずれか1項において、前記一対のカム面の夫々の端部に第1段差部が形成されており、且つ前記一対のアームの夫々の湾曲面の端部に第2段差部が形成されており、前記第1ギヤと前記第2ギヤとが相対的に回転されて前記第1挿入口と前記第2挿入口とが整合状態とされるアンクランプ状態とされる場合に前記第1段差部と前記第2段差部とが互いに係合して前記第1ギヤと前記第2ギヤとの相対的な回転を停止させることを特徴とするクランプ装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の内のいずれか1項において、前記第1ギヤは第1駆動源に駆動連結されており且つ前記第2ギヤは前記第1駆動源とは別の第2駆動源に駆動連結されていることを特徴とするクランプ装置。
【請求項11】
請求項10において、前記第1駆動源が可逆回転可能な第1モータであり、且つ前記第2駆動源が可逆回転可能な第2モータであることを特徴とするクランプ装置。
【請求項12】
請求項11において、前記第1モータと前記第2モータとの駆動状態を夫々制御する駆動制御手段を有していることを特徴とするクランプ装置。
【請求項13】
請求項12において、前記駆動制御手段は、前記第1モータと前記第2モータとの夫々のトルクの大きさを調節することによりトルク差に応じて前記第1ギヤと前記第2ギヤとを一体的に回転させることを特徴とするクランプ装置。
【請求項14】
請求項1乃至13の内のいずれか1項において、本クランプ装置が自動車の車輪のトー調節を行う場合に該自動車のタイロッドを一時的にクランプするために使用されるものであることを特徴とするクランプ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−89191(P2010−89191A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−259730(P2008−259730)
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(503198231)有限会社狐塚製作所 (1)
【出願人】(000117467)安全自動車株式会社 (16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月6日(2008.10.6)
【出願人】(503198231)有限会社狐塚製作所 (1)
【出願人】(000117467)安全自動車株式会社 (16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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