説明

角膜および結膜病変を治癒させるためのプロスタグランジンF2αおよび類似体の使用

本発明は、角膜および結膜病変を治療する際に使用される組成物に関し、本組成物は、プロスタグランジンF2αもしくは類似体を治療量で含み、眼表面上への局所適用に適した形態であり、有害な防腐剤を含有していない。また、本発明は、本発明の組成物を投与することを含む、その治療を必要としている患者の眼表面疾患を治療する方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角膜および結膜病変の治療で使用される応答/溶液に関する。角膜および結膜病変は、ドライアイ症候群、アレルギー、損傷、白内障手術、レーシック(LASIK)もしくはレーザー屈折矯正角膜切除術(PRK)による屈折矯正手術、化学熱傷、外傷、刺激、細菌性、真菌性もしくはウイルス性感染または一部の薬物の副作用に起因している場合がある。角膜もしくは結膜病変は、角膜、結膜もしくは杯細胞の局所的破壊である。そのような病変は、局所性または多発性であり、それにより、角膜びらん、点状角膜症、上皮欠損、角膜潰瘍、角膜瘢痕、角膜菲薄化、角膜穿孔、角膜浮腫、角膜炎、結膜炎、創傷、小さな擦過傷などが生じることがある。本発明の組成物により、これらの病変の治癒過程を改善することができる。
【背景技術】
【0002】
角膜および結膜病変は、医師に相談する患者の中で最も多く診断されている疾患のうちの1つであり、失明の主な原因のうちの1つである。これらの病変の由来は様々であり得るが、主に、アレルギー、感染(細菌性、ウイルス性および真菌性)、ドライアイ症候群、手術および他の外傷に起因している。これらの病変は有害であり、非常につらい。これらの病変の症状は、乾燥、灼熱感、およびゴロゴロした(sandy−gritty)眼の刺激といったものである。痒み、チクチク感(scratchy)、ヒリヒリ感(stingy)または疲れ目のような症状も聞かれる。他の症状は、眼の痛み、赤み、引っ張られる感覚および眼の奥の圧迫感である。眼表面に対する損傷によって不快感や明るい光に対する感受性が高まる。視力の低下や最も深刻な場合には失明に至ることもある状態の悪化や潰瘍などの合併症を回避するために、眼表面の病変を極めて早急に治療し、治癒させる必要がある。ドライアイ症候群による病変の治療のために、多くの潤滑溶液や水和ヒドロゲルが存在する。しかし、これらの製品は症状を和らげるだけであり、病変の治癒過程を早めるものではない。より深い病変のために、いくつかのビタミンA溶液が存在し、それらにより治癒が促されることもあるが、効率には限界がある。さらに、ムチン分泌を高める組成物は関心が高い。ムチンは、上皮細胞(特に、角膜および結膜の上皮細胞)に保護および潤滑効果を与える細胞外タンパク質(膜貫通または分泌タンパク質)である。ムチンは、杯細胞および角膜上皮細胞小胞によって分泌され、ヒトの眼の結膜上皮表面で放出されることが実証されている(Greiner et. al., Mucus Secretory Vesicles in Conjunctival Epithelial Cells of Wearers of Contact Lenses, Archives of Ophthalmology, 98: 1843−1846 (1980)および Dilly et. al., Surface Changes in the Anaesthetic Conjunctiva in Man, with Special Reference to the Production of Mucus from a Non−Goblet−Cell Source, British Journal of Ophthalmology, 65: 833−842 (1981))。
【0003】
角膜および結膜病変の治療に対処する際の問題は、細胞増殖や、成長因子、ムチンおよびグリコシルアミノグリカンの分泌などの自然の治癒機構を活性化および促進することである。
【0004】
別の問題は、治癒過程を改善/向上させ、ドライアイ状態に関連するもしくは関連しない症状を和らげることである。
【0005】
キサラタン(登録商標)は、これまで世界中で最も処方されている抗緑内障薬である。キサラタン(登録商標)は、0.005%の濃度のラタノプロスト(プロスタグランジンF2α類似体)を含有する。この製品は、0.02%の塩化ベンザルコニウムによって防腐処理されている5mlの複数回投与用瓶で販売されている。キサラタン(登録商標)は緑内障の治療に対して高く評価されているが副作用があり、その副作用のいくつかは防腐剤の存在に起因している可能性がある。この生涯にわたる慢性疾患の治療の数ヶ月後に、キサラタン(登録商標)点眼薬は、眼表面を刺激し、傷つけ始める場合がある。従って、緑内障に罹患している人々は、その後に角膜および結膜病変にも罹患することがある。この製品の長期的な使用によってドライアイ状態も引き起こされると思われている(Erb et al. 2008; Eamon et Al. J Glaucoma, August 2008)。従って、キサラタン(登録商標)を含む防腐処理された薬の使用は、眼表面疾患に罹患している緑内障患者には勧められない。
【0006】
眼表面疾患を有し、緑内障にも罹患している患者が緑内障に有効な治療を受けながら、眼表面病変もしくは疾患を治療する(および悪化させないようにする)には課題がある。
【0007】
米国特許出願公開第2005124699号は、角膜および/または結膜上皮細胞の障害を治療または予防するためのプロスタグランジンEの局所適用の使用について記載している。この特許は、より詳細には、プロスタグランジンE1もしくはE2の単独での使用、それらの併用、あるいは抗炎症薬との併用について記載している。プロスタグランジンF2αは、角膜および結膜障害のための治療薬候補として開示も示唆もされていない。
【0008】
プロスタグランジンEは、角膜および結膜病変の治療のために使用することができる。しかし、この治療に対してアレルギーまたは耐性がある場合に患者が代わりの治療薬を有することは常に有益である。
【発明の概要】
【0009】
本出願人は、上述した技術的な問題に対処し、角膜および/または結膜病変を治療する際に使用される新しい組成物を製剤化した。本組成物は、プロスタグランジンF2α類似体またはその誘導体を、治療量(好ましくは組成物全体の0.0001〜0.005%w/wの範囲の濃度)で含み、かつ、眼表面への局所適用に適した形態であり、あらゆる種類の有害な防腐剤を含有していない。
【0010】
本発明の組成物を、その潜在的毒性を評価するために、眼表面を変性させた動物モデルで試験した。予期したように、本出願人は、本発明の組成物が角膜表面に対して毒性徴候を全く示さず、驚くべきことに、本組成物が眼治癒特性を有することに気づいた。キサラタン(登録商標)には有効成分としてプロスタグランジン(PG)F2αが使用されているにも関わらず、キサラタン(登録商標)を用いた場合にはこのような治癒特性は観察されない。これについて最も考えられる理由は、PG類似体の治癒特性の遮蔽剤として作用し得るキサラタン(登録商標)に使用されている防腐剤の存在である。
【0011】
従って、本発明の組成物は、角膜および結膜病変を含む眼表面疾患、より具体的には、様々な由来(手術、PRK、LASIK、感染など)およびドライアイ症候群(医原性、免疫性もしくは環境的要因)に起因する創傷の治療に適している。
【0012】
本発明の組成物は、さらなる利点を有する。例えば、プロスタグランジンF2αは、長年にわたり眼科で使用されており、その毒性、副作用および薬物動態学的プロファイルはよく知られている。プロスタグランジンF2αを用いて開発される本発明の組成物は、この治療薬について蓄積されている全ての知識のおかげで、患者にすぐに入手可能となり得る。角膜および結膜病変の治療には緊急的必要性があるため、プロスタグランジンF2αの選択は適当であると思われる。
【0013】
本組成物の別の利点は、それを様々な作用機構と組み合わせ得るという点である。本発明の一実施形態では、本組成物は、乾燥の影響を是正するために低浸透圧性であってもよい。角膜細胞を浸透圧性流出から守るために、例えばエリスリトールなどの浸透圧保護剤を本組成物に添加してもよい。また、潤滑性および湿潤性を与えるために増粘剤および/または保湿剤を添加してもよい。
【0014】
別の実施形態では、本発明の組成物は、等浸透圧性である。
【0015】
プロスタグランジンは、点眼薬もしくは人工涙、ゲル、好ましくは、粘性ゲル、固体挿入物または軟膏として局所投与してもよい。
【0016】
本組成物は、水溶液またはミセル溶液などの溶液の形態、懸濁液の形態、あるいはアニオン性もしくはカチオン性乳濁液の形態であってもよい。好ましい実施形態によれば、本組成物は、カチオン性乳濁液である。
【0017】
いかなる理論にも関連づけたくはないが、本出願人は、プロスタグランジンF2αの効果を以下の機構によって説明することができることを示唆している:プロスタグランジンF2α類似体は、FP受容体(細胞表面のプロスタグランジンFの受容体)を活性化し得る。この結合により、杯細胞からのムチンMUC5ACの分泌を活性化し、このようにして、眼表面の水分補給を増加させて眼表面を保護する(Chung WC, Ryu SH, Sun H, Zeldin DC, Koo JS. CREB mediates prostaglandin F2alpha−induced MUC5AC overexpression. J Immunol. 2009; 182(4):2349−56)。プロスタグランジンは、創傷治癒の間に、細胞再構築および細胞形状の変化を促進するマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の分泌を同時に増加させ得る(Mietz H, Esser JM, Welsandt G, Kociok N, Hueber A, Joussen A, Esser P, Krieglstein GK. Latanoprost stimulates secretion of matrix metalloproteinases in tenon fibroblasts both in vitro and in vivo. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2003; 44(12):5182−8)。
【0018】
また、プロスタグランジンは、EGR−1(初期成長応答因子−1)の誘発によって創傷治癒を改善することができる(Xu W, Chou CL, Sun H, Fujino H, Chen QM, Regan JW. FP prostanoid receptor−mediated induction of the expression of early growth response factor−1 by activation of a Ras/Raf/mitogen−activated protein kinase signaling cascade. Mol Pharmacol. 2008; 73(1):111−8)。
【0019】
以下のスキーマは、プロスタグランジンF2αへの曝露に続くイベントのカスケードを示す。(+)は、「活性化」を表す。
PGF2α→(+)FP受容体→(+)PLC、PKC、Ca2+シグナル伝達
↓(+)
IPおよびDAG
↓(+) ↓(+)
Ca2+、PKCを増加させる
↓(+)
sPLA(創傷治癒活性を有する)

PGF2α→(+)EGF+EGFR→(+)細胞増殖
↓(+)
15−HETE(ムチンの分泌促進活性を有する)
↓(+)
LXA(抗炎症性であり、再上皮化を促進する)
【0020】
これらのカスケードの活性化により、病変の治癒に著しく寄与するムチンの分泌が生じ得る(Landreville S, Coulombe S, Carrier P, Gelb MH, Guerin SL, Salesse C. Expression of phospholipases A2 and C in human corneal epithelial cells. Invest Ophthalmol Vis Sci. 2004 Nov; 45(11):3997−4003; Gronert K. Lipid autacoids in inflammation and injury responses: a matter of privilege. Mol Interv. 2008; 8(1):28−35)。
【0021】
本発明によれば、本出願人は、有効成分としてプロスタグランジンF2αもしくは類似体およびそれらの誘導体、より好ましくは、限定されるものではないが、ラタノプロスト、酸非含有ラタノプロスト、15−ケト−ラタノプロスト、ラタノプロスト窒素酸化物、ウノプロストン、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロストおよび他の誘導体を選択した。
【0022】
一実施形態によれば、本組成物中のプロスタグランジンの濃度は、0.0001〜0.005%w/wの範囲に含まれている。
【0023】
別の実施形態によれば、本組成物は防腐処理されていない。
【0024】
一実施形態によれば、本組成物は、室温で安定である。
【0025】
別の実施形態によれば、本組成物は、穏やかな防腐剤によって防腐処理されている。穏やかな防腐剤は、ソルビン酸、ホウ酸、EDTA、硫酸亜鉛、過ホウ酸ナトリウム、puriteまたはポリヘキサメチレンビグアナイドであってもよい。
【0026】
眼科用組成物は、抗酸化剤(アスコルビン酸、ビタミンE、EDTA)を含有していてもよい。
【0027】
一実施形態によれば、本発明の組成物は無菌である。好ましい実施形態によれば、本発明の組成物は、熱または濾過によって滅菌されている。
【0028】
一実施形態によれば、本組成物は低浸透圧性である。
【0029】
本組成物は、プロスタグランジンF2αもしくは類似体およびそれらの誘導体と、ドライアイ症候群を取り除くために使用されるポリマー(限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコール、デキストラン、ポリカルボフィル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポビドン、PEG−400、カルボポール、ヒプロメロース、ポリソルベート80、ヒドロキシプロピルグアー、ヒアルロン酸、キトサンおよびデキストランなど)などの増粘剤および/または保湿剤との組み合わせであってもよい。これらのポリマーは、単独で添加しても、組成物中の他の成分と共に添加してもよい。
【0030】
本組成物を、例えば、グリセリン、デキストロース、プロピレングリコール、グルタミン酸塩、コリン、N−アセチルアスパラギン酸塩、グリシン、ベタイン、トレハロース、プロリン、L−カルニチン、サルコシン、アスパラギン、グリシン、ジメチルグリシン、タウリン、βアラニン、エリスリトール、グルコースおよびマルトースなどの浸透圧保護剤と組み合わせてもよい。本組成物は、1種または複数の浸透圧保護剤を有していてもよい。
【0031】
また、本組成物を、例えば、アセチルシステイン、ビタミンA、D、EおよびK、ルテイン、アロエベラ抽出物(例えばアロイン)、シアノコバラミンおよび誘導体などの他の治癒剤と組み合わせてもよい。
【0032】
本組成物を、感染を止めるか上皮成長因子を活性化し得る他の薬剤、すなわち、例えば、15(S)−HETE、プロスタグランジンEおよびF1αなどの分泌促進剤または、プロスタグランジンF2αに相補的な作用機構によって病変の治癒を助け得る抗炎症薬と組み合わせてもよい。それらの薬剤は、例えば、クロラムフェニコール、シプロフロキサシン、ゲンタマイシン、エリスロマイシン、バンコマイシン、イミペネム、スルファジアジンなどの抗生物質;例えば、アムホテリシンB、ケトコナゾール、エコナゾール、フルコナゾール、イコナゾール(iconazole)などの抗真菌薬;例えば、イドクスウリジン、アシクロビル、ガンシクロビル、シドホビル、インターフェロン、DDI、AZT、ホスカルネット、ビダラビンなどの抗ウイルス薬;例えば、サリチル酸、インドメタシン、イブプロフェン、ジクロフェナク、フルルビプロフェン、ピロキシカムなどの非ステロイド性抗炎症薬または、限定されるものではないが、ベクロメタゾン、ベタメタゾン、コルチコステロン、コルチゾン、デキサメタゾン、パルミチン酸デキサメタゾン、ジフルプレドナート、フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、プレドニゾロン、プレドニゾン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロンなどのステロイド性治療薬などの抗炎症薬;ならびにそれらの類似体、誘導体、プロドラッグ、塩および親油性エステル、プロスタグランジンE2誘導体であってもよい。
【0033】
別の実施形態では、本治療薬を、限定されるものではないが、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンDおよびビタミンK、α−トコフェロール誘導体、レチノール誘導体、ルテイン、アロエベラ抽出物(例えばアロイン)、オメガ−3脂肪酸、シアノコバラミン、L−シスチン、ピリドキシン、アセチルシステイン、精油(例えば、キンセンカ、ヒマラヤスギ、ラベンダーの油)ならびにそれらの類似体および誘導体などの治癒剤と組み合わせてもよい。
【0034】
一実施形態によれば、例えば、リン酸もしくはホウ酸緩衝液などの適当な緩衝液を含めることによってpHを安定に保つために、本組成物は緩衝化されていてもよい。
【0035】
本発明の組成物は、増粘剤および/または保湿剤を含んでいてもよい。
【0036】
一実施形態によれば、本組成物は、単回使用バイアル、複数回投与用点眼器または防腐剤を含有していない複数回投与用点眼器に包装されている。
【0037】
(使用方法)
本発明の別の目的は、眼表面疾患を治療する方法であって、その治療を必要としている患者に、上記のような本発明の組成物、好ましくは組成物全体の重量に対して0.0001〜0.005重量%の範囲の治療量でプロスタグランジンF2αを含む本組成物を投与することを含む方法である。本実施形態では、本発明の組成物は、好ましくは1日当たり少なくとも1回で、最大1日当たり4回の点眼により投与される。
【0038】
本発明の別の目的は、眼表面疾患、好ましくは角膜および/または結膜病変を治療する方法であって、その治療を必要としている患者に、本発明の組成物、すなわち、プロスタグランジンF2αもしくは類似体またはそれらの誘導体を治療量で含む組成物を投与することを含む方法である。好ましい実施形態では、本発明の方法では、本組成物中のプロスタグランジンF2αもしくは類似体またはそれらの誘導体の治療量は、本組成物全体の重量に対して0.0001〜0.005重量%の範囲である。有利なことには、本発明の方法で使用される本組成物は、有害な防腐剤を含有していない。一実施形態では、プロスタグランジンF2α類似体は、ラタノプロスト、酸非含有ラタノプロスト、15−ケト−ラタノプロスト、ラタノプロスト窒素酸化物、ウノプロストン、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロストからなる群から選択される。一実施形態によれば、本組成物は、水溶液、粘性もしくは半粘性ゲル、懸濁液、固体挿入物またはアニオン性もしくはカチオン性乳濁液である。好ましくは、本組成物は、眼点滴薬、人工涙、ゲルまたは軟膏の形態である。本発明の方法で使用される本組成物は、等浸透圧性であっても低浸透圧性であってもよい。本組成物は、浸透圧保護剤または他の治癒剤、緩衝液、増粘剤、保湿剤および抗酸化剤をさらに含んでいてもよい。本方法で使用される本発明の組成物は、防腐処理されていなくても、防腐剤を含有していなくても、自己防腐性であっても、穏やかな防腐剤で防腐処理されていてもよい。本発明の方法によれば、本組成物を、1日当たり少なくとも1回で、最大1日当たり4回の点眼により投与してもよい。一実施形態では、本組成物は、3〜5日間投与される。本発明の方法によれば、本組成物は、抗緑内障薬、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬または抗真菌薬および他の分泌促進化合物をさらに含んでいてもよい。
【0039】
第1の実施形態によれば、当該患者は緑内障に罹患していない。本実施形態では、本発明の組成物中のプロスタグランジンF2α、好ましくはラタノプロストの治療量は、組成物全体の重量に対して、好ましくは0.0001〜0.004重量%(または0.004重量%未満)、好ましくは0.0005〜0.002重量%の範囲であり、本実施形態では、好ましくは、本組成物は、3〜5日間投与される。
【0040】
第2の実施形態によれば、当該患者は緑内障に罹患している。本実施形態では、本発明の組成物中のプロスタグランジンF2α、好ましくはラタノプロストの治療量は、本組成物全体の重量に対して、好ましくは0.004〜0.005重量%、または0.004重量%超〜0.005重量%未満の範囲である。この疾患では、本用法は、好ましくは1日当たり1滴である。
【0041】
(製造方法)
水溶液
プロスタグランジンを適当な濃度で水に入れ、磁気撹拌によって混合する。プロスタグランジンが可溶化しにくい場合、この溶液を10分間高剪断ミキサーに供してもよい。また、可溶化を助けるために、界面活性剤または共溶媒を添加してもよく、あるいは、この溶液を50℃まで僅かに加熱してもよい。
【0042】
乳濁液
本発明の乳濁液を以下の工程に従って調製する:
− プロスタグランジンと飽和油(例えば、MCTなど)を混合して油相を調製する工程、
− 水溶性成分(浸透圧保護剤、増粘剤、緩衝液)と精製水を混合して水相を調製する工程、
− 油相と水相を合わせる工程、
− 得られた粗製乳濁液を好ましくは75℃で迅速に加熱する工程、
− 当業者に知られている任意の好適な手段(例えば、剪断混合)によって乳濁液の液滴直径を減少させる工程、
− 氷浴を用いて乳濁液を好ましくは約20℃に冷却する工程、
− 冷却した乳濁液を均質化する工程、
− 任意で、例えばNaOHまたはHClを用いてpHを生理的pHに調整する工程、
− 任意で、高圧蒸気滅菌によって乳濁液を滅菌する工程。
【0043】
(定義)
本発明の意味では、以下の用語は、以下の意味を有する:
【0044】
穏やかな防腐剤:
防腐剤は、使用期間中に組成物を微生物が存在しない状態に保つ化合物である。穏やかな防腐剤は、眼の表面に有害作用を有しない防腐剤である。穏やかな防腐剤としては、ソルビン酸、ホウ酸、EDTA、硫酸亜鉛、過ホウ酸ナトリウム、puriteまたはポリヘキサメチレンビグアナイドが挙げられる。穏やかな防腐剤としては、通常の濃度で使用される塩化ベンザルコニウム、チメロサール、ポリクオタニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、塩化セチルピリジニウム、臭化ベンゾドデシニウムは除外される。
【0045】
有害な防腐剤は、1回〜複数回の塗布後に眼表面に損傷を与えるかプロスタグランジンが角膜および結膜病変を治癒させることを妨げる遮蔽剤として機能する防腐剤である。有害な防腐剤としては、通常の濃度(すなわち、0.006%〜0.2%の範囲の濃度)で使用される塩化ベンザルコニウム、チメロサール、ポリクオタニウム、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロロブタノール、塩化セチルピリジニウム、臭化ベンゾドデシニウムが挙げられる。
【0046】
治療量とは、未治療の眼と比較して、眼の疾患の症状を減少または予防するように眼の疾患に対して治療効果を生じさせるのに十分な有効成分の量もしくは濃度を意味する。
【0047】
防腐剤を含有していない複数回投与用瓶は、無菌性を維持するための防腐剤の使用を回避することができる複数回投与用容器である。
【0048】
浸透圧保護剤:
浸透圧保護剤は、細胞内に浸透させることおよび浸透流束を調整することによって、浸透圧衝撃に供した際の細胞破裂または原形質分離を防止する化合物である。このような化合物としては、グリセリン、デキストロース、プロピレングリコール、グルタミン酸塩、コリン、N−アセチルアスパラギン酸塩、グリシン、ベタイン、トレハロース、プロリン、L−カルニチン、サルコシン、アスパラギン、グリシン、ジメチルグリシン、タウリン、βアラニン、エリスリトール、グルコースおよびマルトースが挙げられる。
【0049】
角膜および結膜病変は、アレルギー、医原性、免疫性もしくは環境要因によるドライアイ症候群、化学熱傷、ウイルス性、細菌性もしくは真菌性由来の感染、傷害もしくは手術(PRK、LASIK)または他の物理的および化学的傷害もしくは外傷によって引き起こされた角膜および結膜細胞/組織のあらゆる損傷、創傷、傷害または刺激として定義される。
【0050】
「防腐処理されていない」とは、欧州および米国薬局方抗菌効力試験(antimicrobial efficacy test)に合格していない点眼薬について述べている。一実施形態によれば、防腐処理されていない組成物は、いかなる防腐剤も含有していない。
【0051】
薬学的に許容される担体とは、製剤化された場合に、安全であり、かつ有効量のプロスタグランジンF2αの眼表面への適切な送達を提供する任意の媒体を指す。
【0052】
プロスタグランジンF2αまたはプロスタグランジンF2α類似体:
プロスタグランジンは、脂肪酸から酵素によって誘導され、かつ体内で重要な機能を有する脂質化合物群の構成要素である。すべてのプロスタグランジンF2αが、5炭素環を含む20個の炭素原子を含む。それらは、媒介物であり、様々な強力な生理作用を有する。プロスタグランジンの多くの異なるファミリーが存在し、それぞれのファミリーが、特定の作用を生じさせる特定の受容体に特異的である。プロスタグランジンF2αおよび類似体は、プロスタグランジンF2α受容体に結合する。この類似体は、例えば、5−6トランス、15−ケト、15−エピ、15(S)プロスタグランジンF2aなどの異なるイソ型、例えば、エステル、エーテル、アミド、窒素酸化物、ペプチジルなどの修飾プロスタグランジン、例えば、ラタノプロスト、トラボプロスト、ウノプロストンおよびビマトプロストなどを表わしてもよい。
【0053】
治癒剤は、ヒトの体内の病変の自然治癒過程を開始、促進、改善、向上または寄与する化合物である。治癒剤としては、アセチルシステイン、ビタミンA、D、EおよびK、ルテイン、アロエベラ抽出物(例えばアロイン)、シアノコバラミンが挙げられる。
【0054】
緩衝液は、本組成物のpHを定められた値に維持する化合物である。緩衝液としては、リン酸、酢酸、クエン酸、炭酸もしくはホウ酸緩衝液またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0055】
増粘剤および/または保湿剤は、ドライアイ症候群を軽減するために使用される化合物である。増粘剤および/または保湿剤としては、限定されるものではないが、ポリビニルアルコール、デキストラン、ポリカルボフィル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポビドン、PEG−400、カルボポール、ヒプロメロース、ポリソルベート80、ヒドロキシプロピルグアー、ヒアルロン酸、キトサンおよびデキストランまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0056】
抗酸化剤は、空気中に存在する酸素による製品の悪化を予防または遅延させる化合物である。抗酸化剤としては、ビタミンC、ビタミンE、EDTA、亜硫酸水素ナトリウムまたはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0057】
分泌促進化合物は、例えば、ムチンの分泌を促進するプロスタグランジンEなどの別の物質を制御された方法で分泌させる物質である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】角膜の上皮除去から4日目のラットの眼表面瘢痕。
【図2】治療期間終了時に測定した角膜瘢痕面積。キサラタン(登録商標)または0.02%BAKと比較した際のp<0.05。
【図3】ゼロ日目の基本状態と比較した、治療から4日目の眼表面の表層上皮の生体外共焦点顕微鏡画像。
【図4】治療したラットの角膜のヘマトキシリン−エオシン染色。は角膜上の上皮に位置している。
【図5】実験期間の終了時の結膜中の杯細胞数。#PBSと比較した際のp<0.02、PBSまたは本発明のラタノプロスト乳濁液と比較した際のp<0.0001。
【図6】治療した眼の結膜上のMUC5ACの免疫組織学的局在。
【図7】擦過処理および点眼薬投与から2時間後の細胞生存および細胞移動に対する異なる治療の有効性。
【図8】擦過処理および点眼薬投与から24時間後の細胞生存および細胞移動に対する異なる治療の有効性。
【図9】単細胞層の縁部間の距離として測定した、擦過処理から2時間および24時間後の創傷閉鎖。PBSまたは本発明のラタノプロスト乳濁液と比較した際のp<0.01。**PBSまたは本発明のラタノプロスト乳濁液と比較した際のp<0.002。
【図10】治療した細胞のKi67免疫組織学的同定。分裂細胞が画像上に灰色〜白色で現れていることに留意されたい。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0059】
実施例1:生体内実験
プロトコルの簡単な説明:
100〜125gの体重の16匹の雄のSDラットを、4つの群(1群(Gp)につき4匹のラット)(Gp1:リン酸緩衝液(PBS);Gp2:0.02%塩化ベンザルコニウム(BAK);Gp3:キサラタン(登録商標);Gp4:ラタノプロスト乳濁液)に無作為に割り当てた。ケタミン/キシラジンおよび局所Oxybucaineをそれぞれ用いた全身および局所麻酔後に、50%エタノール溶液50μlの塗布後、各ラットの右側の眼の角膜上部を外科用メスで擦過した。角膜上部および角膜縁の上皮を除去した(D0)。擦過処理後すぐに、トブレックス(Tobrex)1滴を点眼した。擦過処理から2時間および5時間後に、異なる被験物質1滴を、右側の眼の角膜に適用した。このような後者の点眼を、4日間毎日繰り返し、4日目の最後の点眼後に、生体内共焦点顕微鏡(IVCM−HRT)を用いて角膜評価を行った。実験手順の最後に(治療の総継続期間は5日(D0〜D4)である)、動物を屠殺し、眼を回収して、治療した角膜組織の組織学的構成を特徴づけた。結膜の完全性および機能性をそれぞれ、杯細胞数の評価とMUC5ACの分泌プロファイルの免疫組織学的特徴づけによって評価した。
【0060】
結果:
4日目の角膜混濁は、キサラタン(登録商標)または0.02%BAK溶液によって繰り返し点眼した後に角膜の擦過傷が著しいことを実証していた。一方、本発明のラタノプロスト乳濁液は、このような視力を脅かす瘢痕を形成せず、角膜治癒を助けている。図1は、擦過処理および異なる被験物質の繰り返しの点眼から4日後の治療した角膜の画像を示す。極めて僅かな白色の瘢痕組織しか角膜上に存在していないことから、本発明のラタノプロスト乳濁液が安全な角膜創傷治癒を助けていることは明らかである。
【0061】
4日目に、治療した眼のそれぞれについて、この白色領域の表面積を測定した(図2を参照)。キサラタン(登録商標)と比較した場合、明らかに、本発明のラタノプロスト乳濁液は極めて良好な治癒プロファイルを示している。さらに、本発明のラタノプロスト乳濁液は、PBSよりも改善された有効性を有する。
【0062】
IVCM(生体内共焦点顕微鏡)データによって、瘢痕組織が形成されておらず、角膜が実際に非常に良好に治癒されていることが確認される(図3の画像に見られる白色領域)。キサラタン(登録商標)および0.02%BAK溶液について4日目に得られた画像中に認められる瘢痕組織(反射性亢進)は、角膜浮腫と組織崩壊によるものであり、これにより、両被験物質の毒性が明らかに示されていることに留意されたい。一方、PBS対照でさえ僅かな浮腫(すなわち、細胞間のびまん性白色領域)を示しているため、本発明のラタノプロスト乳濁液で治療した眼にこの反射性亢進が存在しないことにより、プロスタグランジン類似体の有益な効果が実証されている。キサラタン(登録商標)中に存在するプロスタグランジン類似体は、防腐剤の有害作用から角膜上皮および角膜実質を保護することができなかったため、ラタノプロストの潜在的治癒効果がBAK(0.02%)の存在によって遮蔽および阻止されたことに留意されたい。
【0063】
治療した角膜のヘマトキシリン−エオシン染色により、本発明のラタノプロスト乳濁液の好ましい効果が確認された。上皮の菲薄化も、重要な炎症性浸潤物による角膜実質への大きな浸潤も、本発明の前記ラタノプロスト乳濁液で治療したラットの角膜には観察されなかった(図4を参照)。浮腫および炎症性浸潤物は、0.02%BAKおよびキサラタン(登録商標)で治療した動物では特に明白である。本発明のラタノプロスト乳濁液は、角膜治癒過程の改善および角膜完全性の保存に明らかに関連している。
【0064】
機能的な観点から、PBS(対照)、キサラタン(登録商標)および0.02%BAKで治療した眼と比較して、本発明のラタノプロスト乳濁液は有益な効果も有する。1視野当たりの生存細胞数が増加しているように、結膜の杯細胞は保存されている(図5)。杯細胞は、眼表面の保護で重要な役割を有するムチン分泌細胞である。従って、これらの細胞のMUC5AC分泌能力が維持されることが重要である。これを、治療した眼のMUC5AC免疫組織学的染色で確認した(図6)。ここでも、他の被験物質で治療した眼と比較して、本発明のラタノプロスト乳濁液は、より良好なMUC5AC染色を示した。本発明のラタノプロスト乳濁液は、自然治癒過程を改善し、制御できない線維化の負のシグナルを制御および軽減することもできた。
【0065】
実施例2:生体外実験
プロトコルの簡単な説明:
ヒトの角膜上皮(HCE)細胞(1ウェル当たり100000個の細胞)を、6ウェルプレートに播種し、集密状態まで培養した。集密状態になったら、黄色のチップで細胞単層に傷をつけ、溶媒を除去し、1/10希釈の異なる被験物質(PBS(リン酸緩衝液)、キサラタン(登録商標)(0.005%ラタノプロスト水溶液)、0.02%BAK(塩化ベンザルコニウム水溶液)および本発明のラタノプロスト乳濁液(0.005%ラタノプロストを含有)と共に30分インキューベートした。処理後、被験物質希釈物を除去し、新しい培養媒体で置き換えた。処理から2時間および24時間後に擦過傷の閉鎖を評価した。擦過処理から24時間後に、培養した細胞に対して増殖マーカー(Ki67)の免疫組織学的検査も行った。
【0066】
結果:
擦過処理から2時間および24時間後に、細胞単層の画像を撮影して、擦過傷閉鎖に対する異なる処理の有効性を評価した。明らかに、本発明のラタノプロスト乳濁液は、細胞生存および移動に対して好ましい効果を呈している(図7および図8)。死細胞数はより少なく、本発明のラタノプロスト乳濁液を用いた場合には擦過処理から24時間後に裂け目が完全に閉鎖したが、キサラタン(登録商標)、0.02%BAK溶液を用いた場合およびPBSを用いた場合でさえも、閉鎖は全く認められなかったか、ほんの僅かであった。
【0067】
試験における異なる条件に対するこれらのデータを寄せ集めると、本発明のラタノプロスト乳濁液により創傷閉鎖速度を速めることができると共に、キサラタン(登録商標)および0.02%BAK溶液の両方により生体外での創傷治癒過程が変化することが実証された。後の2つの被験物質を用いた場合、閉鎖は全く観察されず(図9を参照)、擦過処理から24時間後の創傷閉鎖率(%)が、キサラタン(登録商標)および0.02%BAK溶液のそれぞれについて極めて低い6%および8%に留まったことが実証された。一方、ラタノプロスト乳濁液の損傷閉鎖率(%)は85%である。このことは、Ki67(増殖マーカー)に対する免疫組織学データによって確認されている(図10を参照)。本発明のラタノプロスト乳濁液で処理したプレート内の擦過創傷縁部の近くに、Ki67陽性細胞(すなわち分裂細胞)がより多く存在していた。
【0068】
これは、角膜細胞に対する本発明の組成物の治癒特性を示している。
【0069】
実施例3:プロスタグランジンF2αの組成物
組成物1
【表1】

【0070】
組成物1は、3つの作用機構(プロスタグランジンF2α類似体、湿潤剤ポリソルベート80、角膜細胞を保護する低浸透圧効果を有する2種類の浸透圧保護剤)を組み合わせる。
【0071】
組成物2
【表2】

【0072】
組成物2は、3つの作用機構(プロスタグランジンF2α類似体、ビタミンA、および角膜細胞を保護する低浸透効果を有する潤滑剤)を組み合わせる。
【0073】
組成物3
【表3】

【0074】
組成物3も、いくつかの作用機構(プロスタグランジンF2α類似体、水分蒸散を防止する油、滑沢剤であるグリセリン)を組み合わせる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
角膜および結膜病変を含む眼表面疾患の治療に使用される組成物であって、治療量のプロスタグランジンF2αもしくは類似体を含み、前記眼表面への局所適用に適した形態である組成物。
【請求項2】
有害な防腐剤を含有していない、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水溶液、粘性もしくは半粘性ゲル、懸濁液、固体挿入物またはアニオン性もしくはカチオン性乳濁液である、請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
眼点滴薬、人工涙、ゲルまたは軟膏の形態である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
無菌である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
等浸透圧性または低浸透圧性である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
浸透圧保護剤または他の治癒剤をさらに含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記プロスタグランジンF2α類似体は、ラタノプロスト、酸非含有ラタノプロスト、15−ケト−ラタノプロスト、ラタノプロスト窒素酸化物、ウノプロストン、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロストからなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記治療量は、前記組成物全体の重量に対して0.0001〜0.005重量%、好ましくは0.0001〜0.005重量%未満、より好ましくは0.0001〜0.002重量%の範囲のプロスタグランジン類似体濃度である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
防腐処理されていない、防腐剤を含有していない、自己防腐性である、あるいは穏やかな防腐剤で防腐処理されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
抗緑内障薬、抗炎症薬、抗生物質、抗ウイルス薬または抗真菌薬および他の分泌促進化合物をさらに含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
緩衝液、増粘剤、保湿剤および抗酸化剤を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
1日当たり少なくとも1回で、1日当たり最大4回の点眼により前記組成物を投与することを含む、その治療を必要としている患者の角膜および結膜病変を含む眼表面疾患の治療に使用され、前記組成物中のプロスタグランジンF2α類似体の前記治療量は、前記組成物全体の重量に対して0.0001〜0.005重量%の範囲である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
その治療を必要としている患者の角膜および結膜病変を含む眼表面疾患の治療に使用される組成物であって、前記患者は緑内障に罹患しており、プロスタグランジンF2α類似体の前記治療量は、前記組成物全体の重量に対して0.004〜0.005重量%である、請求項1〜12のいずれか1項または請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
その治療を必要としている患者の角膜および結膜病変を含む眼表面疾患の治療で使用される組成物であって、前記患者は緑内障に罹患しておらず、プロスタグランジンF2α類似体の前記治療量は、前記組成物全体の重量に対して0.0001重量%〜0.004重量%であり、前記組成物は、3〜5日間投与される、請求項1〜12のいずれか1項または請求項13もしくは14に記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2013−511494(P2013−511494A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539340(P2012−539340)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2010/067846
【国際公開番号】WO2011/061298
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(312001247)ノバガリ ファーマ エスエー (3)
【Fターム(参考)】