説明

角質研削装置

【課題】 複数の研削子を紛失することなく収容することができる角質研削装置を提供すること。
【解決手段】 第一及び第二の研削子4,5の一方を、本体2に内蔵された電動機8によって回転させられる受部3に対して選択的に且つ着脱自在に取り付けると共に、他方を保護カバー6の内側に形成された保持部14に保持させることで、角質研削装置1の使用時において、使用されていない前記研削子4又は5を紛失することなく前記保護カバー6の内側に収容することができるばかりでなく、非使用時において、前記保持部14に研削子4又は5を保持させたまま、前記保護カバー6で前記受部3に取り付けられた前記研削子5又は4を覆うことで、これらの研削子4,5を保護することができるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固くなって角質化した皮膚等を研削するための角質研削装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の角質研削装置としては、例えば、本体ケース(本発明の本体に該当する)内に直流モータ(本発明の電動機に該当する)及び乾電池を設け、前記直流モータの軸に設けられたチャック(本発明の受部に該当する)に砥石(本発明の研削子に該当する)の軸を保持させることで、前記モータによって前記砥石を回転させ、爪や角質化した皮膚を削るものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。そして、これらの角質研削装置では、研削子を複数用意し、粗削りの場合と仕上げ削りの場合とで前記研削子を交換したり、また、研削対象によって前記研削子を交換したりしていた。
【特許文献1】実開昭56−89452号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような角質研削装置においては、使用している研削子は受部に取り付けられているので問題ないが、使用していない研削子は紛失してしまう虞があった。
【0004】
本発明は以上の問題点を解決し、複数の研削子を紛失することなく収容することができる角質研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の角質研削装置は、電動機を内蔵した本体と、前記電動機によって回転させられると共に前記本体に対して選択的且つ着脱自在に取り付けられる複数の研削子とを有する角質研削装置において、前記本体に取り付けられた一の前記研削子を覆う保護カバーを前記本体に対して着脱自在に取り付けると共に、前記保護カバーの内側に、他の前記研削子を保持する保持部を設けたものである。
【0006】
また、本発明の請求項2に記載の角質研削装置は、請求項1において、前記本体における前記研削子の受部を、前記本体の一側に偏らせて設けると共に、前記保護カバーにおける前記保持部を、前記保護カバーが前記本体に取り付けられた状態における他側に偏らせて設けたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明の請求項1に記載の角質研削装置は、以上のように構成することにより、複数の前記研削子のうち一つを前記本体に対して取り付け、前記本体に内蔵された電動機を作動させることで、一の前記研削子が回転し、この研削子によって人体の角質を削ることができる。また、この時使用されていない他の研削子は、前記本体に対して取り付けられる保護カバーの内側に形成された保持部に保持することができる。更に、前記角質研削装置を使用していない状態では、他の前記研削子を前記保持部に保持したまま、前記保護カバーで一の前記研削子を覆い、これらの研削子を保護することができる。
【0008】
また、本発明の請求項2に記載の角質研削装置は、以上のように構成することにより、前記受部に取り付けられた一の前記研削子と前記保護カバーの内側に保持された他の前記研削子とが干渉しないようにできるので、前記受部に一の前記研削子が取り付けられた状態の本体に対して、前記保護カバーの内側に形成された保持部に他の前記研削子を保持させた状態で、この保護カバーを確実に取り付けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図1乃至図4に基づいて説明する。なお、以下の説明において、図1乃至図3の姿勢に基づいて上下左右を規定する。1は角質研削装置である。この角質研削装置1は、本体2と、この本体2の受部3に対して着脱自在な第一の研削子4及び第二の研削子5と、保護カバー6とで構成されている。
【0010】
前記本体2は、上下に長く形成されると共に上方及び下方が開放した外殻体7と、この外殻体7内に設けられた電動機8及び減速機構9と、前記外殻体7の下方開口を閉塞するための蓋体10とを有して構成されている。そして、前記本体2内の前記電動機8と前記蓋体10との間には、前記電動機8に電力を供給するための電池11が収容されている。また、前記外殻体7の正面側には、スイッチ12が設けられている。また、前記減速機構9の出力軸9Aは、前記外殻体7の上方開口から、前記本体2の軸方向と略平行に突出していると共に、前記出力軸9Aの周囲は、カバー13によって覆われている。更に、前記出力軸9Aには、前記受部3が形成されている。なお、前記受部3が形成された出力軸9Aは、前記本体2の中心よりも右側に偏って設けられている。この出力軸9Aは、前記本体2の中心から、前記第一の研削子4の最大半径よりも長い距離偏っている。そして、前記カバー13の基端側には、係合受部13Aが形成されている。
【0011】
前記第一の研削子4は、取付部4Aと、研削部4Bと、これら取付部4Aと研削部4Bとの間に設けられたフランジ部4Cとで構成されている。前記取付部4Aは、前記出力軸9Aの受部3に対して係合されるものであり、前記受部3と係合した状態において、前記第一の研削子4の軸方向が、前記本体2の長さ方向と略平行となるように構成されている。また、前記研削部4Bは、先端が略球面状であると共に、全体として略円筒状に形成されている。そして、この研削部4Bの表面には、図示しない研削粒子が塗布されている。また、前記第二の研削子5は、取付部5Aと、研削部5Bと、これら取付部5Aと研削部5Bとの間に設けられたフランジ部5Cとで構成されている。前記取付部5Aは、前記出力軸9Aの受部3に対して係合されるものであり、前記第一の研削子4における取付部4Aと同形状に形成されている。そして、前記取付部5Aが前記受部3と係合した状態において、前記第二の研削子5の軸方向が、前記本体2の長さ方向と略平行となるように構成されている。また、前記研削部5Bは、全体として先端が丸められた略円錐状に形成されている。そして、この研削部5Bの表面には、図示しない研削粒子が塗布されている。なお、前記第一の研削子4の研削部4Bに塗布された研削粒子は、前記第二の研削子5の研削部5Bに塗布された研削粒子よりも粗いものである。即ち、前記第一の研削子4は粗削り用、第二の研削子5は仕上げ用である。そして、これら第一の研削子4及び第二の研削子5は、前記出力軸9Aの受部3に対して選択的に且つ着脱自在に取り付けられる。また、前記第一の研削子4のフランジ部4Cは、前記第二の研削子5のフランジ部5Cよりも径大に形成されている。
【0012】
更に、前記保護カバー6の内側には、保持部14が一体に設けられている。この保持部14は、前記本体2に取り付けられた状態において、この本体2の長さ方向と略平行となる略円筒状に形成されていると共に、前記第一の研削子4の取付部4A及び前記第二の研削子5の取付部5Aが挿入可能に形成されている。また、前記保持部14は、前記保護カバー6の中心よりも左側に偏って設けられている。なお、前記保持部14は、前記保護カバー6の中心から、前記第一の研削子4の最大半径よりも長い距離偏っている。更に、前記保護カバー6の開口端の内側には、前記係合受部13Aと係合する凸部15が形成されている。なお、前記保護カバー6は、前記本体2に対して中心がほぼ一致するように取り付けられる。また、前記保護カバー6を前記本体2に取り付けた状態において、前記保持部14の下端から前記カバー13までの垂直方向の距離は、前記第一及び第二の研削子4,5の研削部4A,5Aの軸方向長さよりも充分に長く形成されていると共に、前記カバー13の上端から前記保護カバー6の上面までの垂直方向の距離も、前記第一及び第二の研削子4,5の研削部4A,5Aの軸方向長さよりも充分に長く形成されている。
【0013】
次に、本実施形態の作用について説明する。まず使用者は、前記本体2内に電池11を挿入し、前記蓋体10を取り付ける。また、前記保護カバー6を本体2から取り外し、前記第一及び第二の研削子4,5のうち、任意の一方を前記出力軸9Aの受部3に取り付ける。なお、ここでは前記第一の研削子4を前記受部3に取り付けた状態で説明する。そして、使用されない前記第二の研削子5は、前記保護カバー6の保持部14に保持される。そして、使用者が前記本体2を把持し、前記スイッチ12を操作することで、前記電池11から前記電動機8に電流が流れ、この電動機8が作動される。そして、この電動機8が作動すると、この電動機8の駆動力は前記減速機構9に伝達され、前記出力軸9Aを適宜の回転速度で回転させる。そして、前記出力軸9Aが回転することで、この出力軸9Aの受部3に取り付けられた第一の研削子4が回転する。更に、この回転する第一の研削子4を、身体の角質化した皮膚等に当てることで、前記皮膚が図示しない研削粒子によって削り落とされる。
【0014】
なお、このように前記第一の研削子4によって皮膚を研削している間、使用されない第二の研削子5は、前述したように、前記保護カバー6の保持部14に保持された状態で収容されている。そして、前記第二の研削子5を使用する際には、前記保護カバー6内の保持部14から前記第二の研削子5を取り外すと共に、前記受部3から前記第一の研削子4を取り外し、前記第二の研削子5の取付部5Aを前記出力軸9Aの受部3と係合させることで前記第二の研削子5を前記受部3に取り付け、更に前記第一の研削子4の取付部4Aを前記保護カバー6内の保持部14に挿入することで前記第一の研削子4を前記保持部14に保持させる。そして、前述した操作手順と同様にして、前記第二の研削子5によって角質化した皮膚を削り落とす。このように、前記第一及び第二の研削子4,5のうち、使用されていない一方の研削子が前記保持部14によって前記保護カバー6内に収容されるので、使用されていない研削子を紛失する虞を少なくすることができる。
【0015】
そして、角質化した皮膚の研削が終了した後、前記保護カバー6を、前記保持部14に研削子4又は5が取り付けられたまま、前記本体2に取り付ける。この際、前記カバー13の係合受部13Aに、前記保護カバー6の凸部15が係合することで、前記保護カバー6が前記本体2に対して取り付けられる。なお、前述したように、前記受部3が形成された出力軸9Aが、前記本体2の中心から右側に、径大に形成された前記第一の研削子4における最大半径となる前記フランジ部4Cの半径よりも長い距離偏っていることで、前記受部3に前記第一の研削子4を取り付けた状態において、この第一の研削子4全体が前記本体2の中心よりも右側に偏ることになる。そして、前記保持部14が、前記保護カバー6の中心から左側に、前記第一の研削子4における最大半径となる前記フランジ部4Cの半径よりも長い距離偏っていることで、前記保持部14に前記第二の研削子5を保持させた状態において、この第二の研削子5が前記第一の研削子4よりも径小に形成されていることと相まって、前記第二の研削子5全体が前記保護カバー6の中心よりも左側に偏ることになる。そして、前述したように、前記保護カバー6と前記本体2の中心がほぼ一致するので、前記第二の研削子5全体が前記本体2の中心よりも左側に偏った状態で保持されることになる。従って、前記受部3に取り付けられた第一の研削子4の全体、及び前記保持部14に保持された第二の研削子5の全体が、前記本体2の中心よりも、それぞれ右側及び左側に偏っており、これによって、前記第一の研削子4と第二の研削子5とが干渉することがないので、これらの研削子4,5を前記本体2と保護カバー6とで規定された空間内に確実に収容することができる。なお、前記受部3に第二の研削子5を取り付け、前記保持部14に第一の研削子4を保持させた状態であっても、同様に前記第一の研削子4と第二の研削子5とが干渉することなく、これらの研削子4,5を前記本体2と保護カバー6とで規定された空間内に確実に収容することができる。また、前述したように、前記保護カバー6を前記本体2に取り付けた状態における、前記保持部14の下端から前記カバー13までの垂直方向の距離が、前記第一及び第二の研削子4,5の研削部4A,5Aの軸方向長さよりも充分に長く形成されていると共に、前記カバー13の上端から前記保護カバー6の上面までの垂直方向の距離が、前記第一及び第二の研削子4,5の研削部4A,5Aの軸方向長さよりも充分に長く形成されていることで、前記受部3に取り付けられた前記研削子4,5が前記保護カバー6と干渉することがなく、また、前記保持部14に保持された前記研削子5,4が、前記カバー13と干渉することがないので、前記研削子4,5を前記本体2と保護カバー6とで規定された空間内に確実に収容することができる。
【0016】
以上のように本発明は、第一及び第二の研削子4,5の一方を、本体2に内蔵された電動機8によって回転させられる受部3に対して選択的に且つ着脱自在に取り付けると共に、他方を保護カバー6の内側に形成された保持部14に保持させることで、角質研削装置1の使用時において、使用されていない前記研削子4又は5を紛失することなく前記保護カバー6の内側に収容することができるばかりでなく、非使用時において、前記保持部14に研削子4又は5を保持させたまま、前記保護カバー6で前記受部3に取り付けられた前記研削子5又は4を覆うことで、これらの研削子4,5を保護することができるものである。また、前記受部3を、この受部3に取り付けられる前記研削子4又は5全体が前記本体2の中心よりも右側となる程度に偏らせて設けると共に、前記保持部14を、この保持部に取り付けられる前記研削子5又は4全体が前記保護カバー6の中心よりも左側となる程度に偏らせて設け、前記本体2と保護カバー6の中心がほぼ一致するように前記本体2に対して前記保護カバー6を取り付けられるので、前記受部3に取り付けられた研削子4又は5と、前記保持部14に保持された前記研削子5又は4とが干渉せず、前記受部3に前記研削子4又は5を、前記保持部14に前記研削子5又は4を取り付けたまま、前記保護カバー6を前記本体2に対して確実に取り付けることができるものである。
【0017】
なお、本発明は以上の実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、前記受部を右側に、前記保持部を左側に偏らせているが、それぞれ逆方向に偏らせるようにしてもよい。また、上記実施形態では、研削子を二つ設けたが、三つ以上設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0018】
上記実施形態では、研削子として、研削粒子が塗布されたものを用いており、角質化した皮膚の研削に適したものであるが、前記研削子の形状及び研削粒子を適宜選択することで、爪用のヤスリとして、或いは爪の表面を磨く爪磨きとして使用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の一実施例を示す角質研削装置の正面図である。
【図2】同上、保護カバーを取り外した状態の正面図である。
【図3】同上、断面図である。
【図4】同上、研削子の外観図であり、(a)は第一の研削子、(b)は第二の研削子である。
【符号の説明】
【0020】
1 角質研削装置
2 本体
3 受部
4 第一の研削子(研削子)
5 第二の研削子(研削子)
6 保護カバー
8 電動機
14 保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動機を内蔵した本体と、前記電動機によって回転させられると共に前記本体に対して選択的且つ着脱自在に取り付けられる複数の研削子とを有する角質研削装置において、前記本体に取り付けられた一の前記研削子を覆う保護カバーを前記本体に対して着脱自在に取り付けると共に、前記保護カバーの内側に、他の前記研削子を保持する保持部を設けたことを特徴とする角質研削装置。
【請求項2】
前記本体における前記研削子の受部を、前記本体の一側に偏らせて設けると共に、前記保護カバーにおける前記保持部を、前記保護カバーが前記本体に取り付けられた状態における他側に偏らせて設けたことを特徴とする請求項1記載の角質研削装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−149864(P2006−149864A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−347508(P2004−347508)
【出願日】平成16年11月30日(2004.11.30)
【出願人】(000109325)ツインバード工業株式会社 (176)
【Fターム(参考)】