説明

角速度センサ装置

【課題】角速度の検出精度の低下が抑制された角速度センサ装置を提供する。
【解決手段】互いに直交の関係にあるx方向とy方向とに変位可能な振動子、該振動子をx方向に振動させる加振部、及び、振動子のy方向への変位量を検出する検出部を有する角速度センサ(10)と、該角速度センサ(10)を搭載する搭載部(30)と、角速度センサ(10)と外部素子とを電気的に中継するリード(40)と、該リード(40)と搭載部(30)を支持する支持部(50)と、を有し、リード(40)が外部素子に機械的に固定される角速度センサ装置(100)であって、搭載部(30)は、支持部(50)に片持ち支持された吊りリード(31)を有し、該吊りリード(31)の端部に角速度センサ(10)が搭載されており、吊りリード(31)の長手方向が、x方向若しくはy方向に沿っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角速度センサと、該角速度センサを搭載する搭載部と、角速度センサと外部素子とを電気的に中継するリードと、該リードと搭載部を支持する支持部と、を有する角速度センサ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に示されるように、角速度センサが取付部材に取り付けられてなる角速度センサの取付構造が提案されている。角速度センサは、振動体の検出振動に基づいて角速度の検出を行う角速度検出素子と、角速度検出素子を収納するパッケージと、角速度検出素子に電気的に接続されたリードフレーム(以下、単にリードと示す)と、を備えている。リードの一端部がパッケージに固定され、他端部が取付部材に固定されており、中間部が角速度センサの搭載方向に沿って取付部材へ向かって延びる延長部となっている。延長部は、延びる方向と直交する方向にバネ性を有して振動可能となっており、この延長部の振動方向は、振動体の検出振動の方向に沿った方向となっている。この延長部の振動により、外部振動に対する角速度検出素子(振動体)の防振がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4534912号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したように、特許文献1に示される角速度センサの取付構造では、角速度検出素子を収納するパッケージと取り付け部材とが、リードを介して固定されている。これによれば、取付部材に印加された振動が、リードを介して角速度検出素子に伝達されるため、角速度の検出精度が低下する虞がある。
【0005】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、角速度の検出精度の低下が抑制された角速度センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、互いに直交の関係にあるx方向とy方向とに変位可能な振動子、該振動子をx方向に振動させる加振部、及び、振動子のy方向への変位量を検出する検出部を有する角速度センサ(10)と、該角速度センサ(10)を搭載する搭載部(30)と、角速度センサ(10)と外部素子とを電気的に中継するリード(40)と、該リード(40)と搭載部(30)を支持する支持部(50)と、を有し、リード(40)が外部素子に機械的に固定される角速度センサ装置であって、搭載部(30)は、支持部(50)に片持ち支持された吊りリード(31)を有し、該吊りリード(31)の端部に角速度センサ(10)が搭載されており、吊りリード(31)の長手方向は、x方向、若しくは、y方向に沿っており、吊りリード(31)は、自身の長手方向がx方向に沿う場合、y方向に弾性を有し、自身の長手方向がy方向に沿う場合、x方向に弾性を有することを特徴とする。
【0007】
このように本発明によれば、角速度センサ(10)が、外部素子に機械的に固定されるリード(40)ではなく、支持部(50)に片持ち支持された吊りリード(31)に搭載されている。これによれば、角速度センサがリードに搭載された構成と比べて、外部素子に印加された外力が、角速度センサ(10)に伝達され難い。そのため、上記した外力による振動子のy方向への変位量の変動が抑制される。
【0008】
また、請求項1では、吊りリード(31)の長手方向が、x方向若しくはy方向に沿っている。そして、吊りリード(31)の長手方向が、x方向に沿う場合、吊りリード(31)はx方向に直交するy方向に弾性を有し、撓み易くなるので、y方向にバネ性を有することとなる。このため、外力が角速度センサ(10)に印加されたとしても、y方向に沿う振動が吊りリード(31)によって低減され、振動子のy方向への変位量の変動が抑制される。これとは反対に、吊りリード(31)の長手方向が、y方向に沿う場合、吊りリード(31)はy方向に直交するx方向に弾性を有し、撓み易くなるので、x方向にバネ性を有することとなる。このため、外力が角速度センサ(10)に印加されたとしても、x方向に沿う振動が吊りリード(31)によって低減され、振動子のx方向の振動の変化が抑制される。振動子のy方向への変位量は、振動子に印加されるコリオリ力に依存し、このコリオリ力は、x方向の振動に依存する。したがって、外力による振動子のy方向への変位量の変動が吊りリード(31)によって抑制される。このように、いずれの場合においても、外力による振動子のy方向への変位量の変動が抑制される。このため、角速度の検出精度の低下が抑制される。
【0009】
請求項2に記載のように、吊りリード(31)は、自身の長手方向に沿う複数の長手部(32)と、隣り合う2つの長手部(32)を連結する連結部(33)と、を有し、2つの長手部(32)の内の一方の長手部(32)の一端と、他方の長手部(32)の他端とが、連結部(33)を介して連結された構成が好ましい。これによれば、吊りリード(31)における短手方向のバネ性が向上されるので、角速度センサ(10)の防振性が向上される。この結果、外力による振動子のy方向への変位量の変動が抑制され、角速度の検出精度の低下が抑制される。
【0010】
請求項3に記載のように、搭載部(30)は、吊りリード(31)を複数有する構成が良い。これによれば、搭載部が1つの吊りリードを有する構成と比べて、角速度センサ(10)の搭載状態が安定化される。
【0011】
請求項4に記載のように、吊りリード(31)とリード(40)とが、y方向、若しくは、x方向に並んだ構成を採用することもできる。これによれば、角速度センサ装置(100)の構成が簡素化される。
【0012】
請求項5に記載のように、支持部(50)は、角速度センサ(10)を収納する収納空間を有するパッケージであり、該パッケージを構成する壁部に、吊りリード(31)とリード(40)とが支持された構成が良い。これによれば、角速度センサ(10)が収納空間に保護されるので、外部環境の変動によって、電気的な接続不良や、出力信号の特性変動などの不具合が、角速度センサ(10)に生じることが抑制される。
【0013】
角速度センサ(10)の具体的な構成としては、請求項6に記載のように、角速度センサ(10)は、振動子が形成されたセンサチップ(11)と、該センサチップ(11)の出力信号を処理する処理回路が形成された回路チップ(12)と、を有し、回路チップ(12)にセンサチップ(11)が積み重なったスタック構造を成した構成を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る角速度センサ装置の概略構成を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】リードフレームを説明するための平面図である。
【図4】角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【図5】角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【図6】吊りリードの変形例を示す平面図であり、(a)は吊りリードが1つの連結部を有する場合、(b)は吊りリードが2つの連結部を有する場合、(c)は連結部の平面形状が平行四辺形の場合を示す。
【図7】角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る角速度センサ装置の概略構成を示す平面図である。図2は、図1のII−II線に沿う断面図である。図3は、リードフレームを説明するための平面図である。以下においては、互いに直交の関係にある方向をx方向とy方向、これら2つの方向によって規定されるx−y平面に直交する方向をz方向と示す。
【0016】
角速度センサ装置100は、要部として、角速度センサ10と、搭載部30と、リード40と、支持部50と、を有する。図1及び図2に示すように、角速度センサ10は、接着剤70を介して搭載部30に固定され、搭載部30とリード40が、インサート成形により支持部50に支持されている。そして、角速度センサ10とリード40とがワイヤ71を介して電気的に接続され、角速度センサ10が外部素子(図示略)と電気的に接続可能となっている。
【0017】
角速度センサ10は、センサチップ11と回路チップ12と、を有する。図2に示すように、角速度センサ10は、回路チップ12にセンサチップ11が積み重なったスタック構造を成している。センサチップ11と回路チップ12とは、接着剤72を介して機械的に接続され、ワイヤ73を介して電気的に接続されている。そして、回路チップ12が、上記したワイヤ71を介してリード40と電気的に接続されている。
【0018】
センサチップ11は、2つの半導体基板13,14が、常温、真空雰囲気中にて直接接合されて成る。第1半導体基板13は第1半導体層15、絶縁層16、第2半導体層17が順次積層されて成るSOI基板であり、該第1半導体基板13における第2半導体基板14との対向面側にセンシング部18が周知の露光技術を用いて形成されている。第2半導体基板14は、単結晶シリコンから成り、第1半導体基板13との対向面側に、センシング部18を収納するキャップ19が形成されている。第2半導体基板14には、貫通電極(図示略)が形成されており、この貫通電極が、上記したワイヤ73の一端と電気的に接続されている。センシング部18の出力信号は、貫通電極とワイヤ73とを介して回路チップ12に出力される。
【0019】
センシング部18は、図2に示すように、絶縁層16を介さずに第1半導体層15に対して第2半導体層17が浮遊した浮遊部20と、絶縁層16を介して第1半導体層15に第2半導体層17が固定された固定部21と、を有する。浮遊部20は、第1半導体層15に対してx方向及びy方向に変位(振動)可能だが、固定部21は、第1半導体層15に対して変位不可能となっている。
【0020】
図示しないが、浮遊部20は、x方向において、逆位相で振動する対を成す2つの振動子と、該振動子の一部によって構成される加振用可動電極及び検出用可動電極と、を有する。そして、固定部21は、x方向において加振用可動電極と対向する加振用固定電極と、y方向において検出用可動電極と対向する検出用固定電極と、を有する。加振用可動電極と加振用固定電極との間に働く静電引力によって、振動子がx方向に振動している状態で、z方向に角速度が印加されると、y方向に沿うコリオリ力が振動子に発生する。このコリオリ力によって振動子がy方向に変位(振動)すると、その変位(振動)によって振動子の一部である検出用可動電極もy方向に変位(振動)する。この結果、検出用可動電極と検出用固定電極との電極間隔が変動し、これら2つの電極によって構成されるコンデンサの静電容量が変動する。この静電容量の変動が、センサチップ11の出力信号として、回路チップ12に出力される。
【0021】
回路チップ12は、図2に示すように、半導体から成る回路基板22と、該回路基板22の一面側に形成された、センシング部18の駆動及びセンサチップ11の出力信号を処理する回路部23と、を有する。回路部23は、図示しないが、電圧生成部とCV変換回路を有する。電圧生成部にて生成された電圧が、ワイヤ73を介して、上記した加振用可動電極(振動子)と加振用固定電極とに印加される。加振用可動電極(振動子)には、一定電圧が印加され、加振用固定電極には、極性が周期的に変化する電圧が印加される。
【0022】
ワイヤ73を介して、センサチップ11から回路チップ12に静電容量の変動を含む電気信号が入力されると、その静電容量の変動が、上記したCV変換回路によって電圧に変換される。この電圧に変換された信号が、ワイヤ71を介してリード40に出力される。加振用可動電極、加振用固定電極、及び、電圧生成部が、特許請求の範囲に記載の加振部に相当し、検出用可動電極、検出用固定電極、及び、C−V変換回路が、特許請求の範囲に記載の検出部に相当する。
【0023】
搭載部30は、角速度センサ10を搭載するものである。搭載部30は、複数の吊りリード31を有しており、接着剤70を介して、吊りリード31に角速度センサ10が機械的に接続されている。図1に示すように、吊りリード31は、平面形状が矩形状を成し、支持部50に片持ち支持されている。そして、長手方向がx方向に沿い、x方向に直交するy方向に撓み易くなっている。これにより、吊りリード31は、y方向にバネ性を有している。
【0024】
リード40は、角速度センサ10と外部素子とを電気的に中継するものである。本実施形態に係るリード40は、y方向に延びた平板が、断面形状がクランク形状を成すように屈曲されて成り、一端の一部が支持部50に支持されている。リード40の他端が、連結部材(図示略)を介して、プリント基板などの外部素子と機械的及び電気的に接続される。図2に示すように、固定された2つの端部を連結する中央部は、宙に浮いている。
【0025】
支持部50は、搭載部30とリード40を支持するものである。本実施形態に係る支持部50は、角速度センサ10を収納する収納空間を有するパッケージであり、該パッケージを構成する壁部51に、搭載部30の吊りリード31とリード40とが支持されている。図2に示すように、リード40の一端の一部、リード40と角速度センサ10との電気的な接続部位、及び、センサチップ11と回路チップ12との電気的な接続部位が、収納空間内に設けられている。
【0026】
本実施形態に係る搭載部30(吊りリード31)とリード40とは、リードフレームを支持部50にインサート成形した後、図3に破線で示すように、各リード31,40を連結していたフレーム41を除去することで、電気的に分離される。このフレーム41の除去後、リード40を屈曲することで、リード40の断面形状がクランク状に成形される。なお、図3では、便宜上、搭載部30とリード40とにハッチングを入れている。
【0027】
次に、本実施形態に係る角速度センサ装置100の作用効果を説明する。上記したように、角速度センサ10が、外部素子に機械的に固定されるリード40ではなく、支持部50に片持ち支持された吊りリード31に搭載されている。これによれば、角速度センサがリードに搭載された構成と比べて、外部素子に印加された外力が、角速度センサ10に伝達され難い。そのため、上記した外力による振動子のy方向への変位量の変動が抑制される。
【0028】
また、本実施形態では、吊りリード31の長手方向がx方向に沿い、x方向に直交するy方向にバネ性を有している。このため、外力が角速度センサ10に印加されたとしても、y方向に沿う振動が吊りリード31によって低減され、振動子のy方向への変位量の変動が抑制される。このため、角速度の検出精度の低下が抑制される。
【0029】
リード40は、y方向に延びた平板を、断面形状がクランク形状を成すように屈曲されて成る。そして、固定された2つの端部を連結する中央部が宙に浮いている。このため、リード40は、y方向に直交するx方向に撓み易く、x方向にバネ性を有している。これによれば、外力が角速度センサ10に印加されたとしても、x方向に沿う振動がリード40によって低減され、振動子のx方向の振動の変化が抑制される。振動子のy方向への変位量は、振動子に印加されるコリオリ力に依存し、このコリオリ力は、x方向の振動に依存する。したがって、外力による振動子のy方向への変位量の変動がリード40によって抑制される。
【0030】
搭載部30は、複数の吊りリード31を有する。これによれば、搭載部が1つの吊りリードを有する構成と比べて、角速度センサ10の搭載状態が安定化される。
【0031】
角速度センサ10、リード40と角速度センサ10との電気的な接続部位、及び、センサチップ11と回路チップ12との電気的な接続部位が、収納空間内に設けられている。これによれば、外部環境の変動によって、電気的な接続不良や、出力信号の特性変動などの不具合が、角速度センサ10に生じることが抑制される。
【0032】
吊りリード31とリード40とは、リードフレームを加工してなる。これによれば、リード31,40が別部材から成る構成と比べて、角速度センサ装置100の製造が簡素化される。
【0033】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記した実施形態になんら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することが可能である。
【0034】
本実施形態では、吊りリード31の平面形状が矩形であり、その長手方向がx方向に沿う例を示した。しかしながら、図4に示すように、吊りリード31の長手方向がy方向に沿う構成を採用することもできる。この場合、吊りリード31は、x方向に撓み易く、x方向にバネ性を有する。そのため、吊りリード31によって、x方向の振動を低減することができる。上記したように、振動子のy方向への変位量は、x方向の振動に依存する。したがって、外力による振動子のy方向への変位量の変動が吊りリード31によって抑制される。図4は、角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【0035】
本実施形態では、図1に示すように、複数の吊りリード31がy方向に並び、複数のリード40がx方向に並んだ例を示した。しかしながら、図4に示すように、吊りリード31とリード40とが、x方向に並んだ構成を採用することもできる。これによれば、角速度センサ装置100の構成が簡素化される。また、支持部50の壁部51におけるy方向に沿う部位にて、吊りリード31を支持しなくとも良いので、その厚さを薄くすることができる。そのため、本実施形態で示した構成と比べて、角速度センサ装置100の体格の増大が抑制される。なお、図示しないが、吊りリード31とリード40とが、y方向に並んだ構成を採用することもできる。
【0036】
本実施形態では、図1に示すように、搭載部30が4つの吊りリード31を有する例を示した。しかしながら、吊りリード31の数としては上記例に限定されず、図5に示すように、搭載部30が6つの吊りリード31を有しても良い。図5は、角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【0037】
本実施形態では、吊りリード31は、平面形状が矩形である例を示した。しかしながら、吊りリード31の平面形状としては、上記例に限定されない。例えば、図6に示すように、吊りリード31は、自身の長手方向に沿う複数の長手部32と、2つの長手部32を連結する少なくとも1つの連結部33と、を有し、2つの長手部32の内の一方の長手部32の一端と、他方の長手部32の他端とが、連結部33を介して連結された構成を採用することもできる。図6の(a)に示す吊りリード31は、2つの長手部32と、1つの連結部33とを有し、長手部32と連結部33それぞれの平面形状が矩形を成している。図6の(b)に示す吊りリード31は、3つの長手部32と、2つの連結部33とを有し、長手部32と連結部33それぞれの平面形状が矩形を成している。図6の(c)に示す吊りリード31は、2つの長手部32と、1つの連結部33とを有し、長手部32の平面形状が矩形を成し、連結部33の平面形状が平行四辺形を成している。これらによれば、吊りリード31の短手方向のバネ性が向上されるので、角速度センサ10の防振性が向上される。この結果、外力による振動子のy方向への変位量の変動が抑制され、角速度の検出精度の低下が抑制される。図7に、図6の(a)に示す吊りリード31を採用した場合の角速度センサ装置100を示す。図6は、吊りリードの変形例を示す平面図であり、(a)は吊りリードが1つの連結部を有する場合、(b)は吊りリードが2つの連結部を有する場合、(c)は連結部の平面形状が平行四辺形の場合を示す。図7は、角速度センサ装置の変形例を示す平面図である。
【0038】
本実施形態では、リード40は、y方向に延びた平板を、断面形状がクランク形状を成すように屈曲された例を示した。しかしながら、リード40は、x方向に延びた平板を、断面形状がクランク形状を成すように屈曲された構成を採用することもできる。この場合、リード40は、y方向に撓み易く、y方向にバネ性を有する。そのため、リード40によって、y方向の振動を低減することができる。これにより、外力による振動子のy方向への変位量の変動がリード40によって抑制される。
【0039】
本実施形態では、角速度センサ10に、x方向若しくはy方向の振動が印加されることが抑制された角速度センサ装置100を例示した。しかしながら、本発明の適用としては、角速度センサに限らず、加速度センサにも適用することができる。例えば、加速度の検出方向がx方向の場合、加速度センサを支持する吊りリードの長手方向を、y方向に沿わせるようにすれば良い。これによれば、外力が加速度センサに印加されたとしても、x方向に沿う振動が吊りリード31によって低減されるので、加速度の検出精度の低下が抑制される。
【符号の説明】
【0040】
10・・・角速度センサ
30・・・搭載部
31・・・吊りリード
40・・・リード
50・・・支持部
100・・・角速度センサ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交の関係にあるx方向とy方向とに変位可能な振動子、該振動子をx方向に振動させる加振部、及び、前記振動子の前記y方向への変位量を検出する検出部を有する角速度センサ(10)と、
該角速度センサ(10)を搭載する搭載部(30)と、
前記角速度センサ(10)と外部素子とを電気的に中継するリード(40)と、
該リード(40)と前記搭載部(30)を支持する支持部(50)と、を有し、
前記リード(40)が前記外部素子に機械的に固定される角速度センサ装置であって、
前記搭載部(30)は、前記支持部(50)に片持ち支持された吊りリード(31)を有し、
該吊りリード(31)の端部に前記角速度センサ(10)が搭載されており、
前記吊りリード(31)の長手方向は、前記x方向、若しくは、前記y方向に沿っており、
前記吊りリード(31)は、自身の長手方向が前記x方向に沿う場合、前記y方向に弾性を有し、自身の長手方向が前記y方向に沿う場合、前記x方向に弾性を有することを特徴とする角速度センサ装置。
【請求項2】
前記吊りリード(31)は、自身の長手方向に沿う複数の長手部(32)と、隣り合う2つの長手部(32)を連結する連結部(33)と、を有し、2つの前記長手部(32)の内の一方の長手部(32)の一端と、他方の長手部(32)の他端とが、前記連結部(33)を介して連結されていることを特徴とする請求項1に記載の角速度センサ装置。
【請求項3】
前記搭載部(30)は、前記吊りリード(31)を複数有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の角速度センサ装置。
【請求項4】
前記吊りリード(31)と前記リード(40)とが、前記支持部(50)にインサート成形されており、
前記吊りリード(31)と前記リード(40)とが、前記y方向、若しくは、前記x方向に並んでいることを特徴とする請求項1〜3いずれか1項に記載の角速度センサ装置。
【請求項5】
前記支持部(50)は、前記角速度センサ(10)を収納する収納空間を有するパッケージであり、
該パッケージを構成する壁部(51)に、前記吊りリード(31)と前記リード(40)とが支持されていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載の角速度センサ装置。
【請求項6】
前記角速度センサ(10)は、前記振動子が形成されたセンサチップ(11)と、該センサチップ(11)の出力信号を処理する処理回路が形成された回路チップ(12)と、を有し、
前記回路チップ(12)に前記センサチップ(11)が積み重なったスタック構造を成していることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項に記載の角速度センサ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−44524(P2013−44524A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−180036(P2011−180036)
【出願日】平成23年8月21日(2011.8.21)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】