説明

解析装置及び解析方法

【課題】身体を動かしている時点において所望の動作をしているか否かを確認すること
ができる技術を提供すること。
【解決手段】記憶部125には、経過時間毎の角度変動量を特定する挙動情報が記憶さ
れており、ジャイロセンサ127より得られる情報から当該経過時間に対応する時点毎に
、挙動算出部122で角度変動量を算出し、算出した角度変動量と、記憶されている角度
変動量と、を挙動評価部で評価する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体の動作を解析する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、回転角速度、加速度、傾斜、方位を検出するセンサを有する姿勢角検
出用センサユニットを身体の各部に装着し、当該各部の動作に関する情報を取得すること
ができる技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2006−55532号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、身体の各部に装着した姿勢角検出用センサユニットから
得られる情報を加工して身体の動きを映像化することで、平衡障害や歩行障害などを視覚
的に把握することができるようにしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、身体の動きを計測する時点と、身体の動
きを評価する時点と、が異なっており、身体を動かしている時点において所望の動作をし
ているか否かを確認することはできない。
【0006】
そこで、本発明は、身体を動かしている時点において所望の動作をしているか否かを確
認することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の課題を解決するため、本発明は、ジャイロセンサを備え、ジャイロセンサの出力
と、予め記憶されている挙動情報と、を動作中に逐次比較し、これらが一致する場合に、
予め定められた通知を出力する解析装置を提供する。
【0008】
例えば、本発明は、取り付けた部分の動作を解析する解析装置であって、経過時間毎の
第一角度変動量を特定する挙動情報が記憶される記憶部と、ジャイロセンサと、前記ジャ
イロセンサから得られる情報から前記経過時間毎の第二角度変動量を算出する算出部と、
前記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一致しているか否かを前記経過時間毎に評
価する評価部と、前記評価部において、前記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一
致していると判断した場合に、予め定められた通知を行う出力部と、を備えること、を特
徴とする。
【0009】
また、加速度センサをさらに備え、前記挙動情報には、前記経過時間毎の第一位置変動
量を特定する情報が含まれており、前記算出部は、前記加速度センサより得られる情報か
ら前記時点毎に第二位置変動量をさらに算出し、前記評価部は、前記第二角度変動量が前
記第一角度変動量と一致しているか否か、および、前記第二位置変動量が前記第一位置変
動量と一致しているか否か、を前記時点毎に評価し、前記出力部は、前記評価部において
、前記第二角度変動量が前記第一角度変動量と一致していると判断した場合、および、前
記第二位置変動量が前記第一位置変動量と一致していると判断した場合、の少なくともい
ずれか一方のときに、予め定められた通知を行うようにすることも可能である。
【0010】
また、前記評価部は、予め定められた閾値の範囲内であれば、一致するとの判断を行う
ようにすることも可能である。
【0011】
また、ユーザの状況を検出するための状況検出センサをさらに備え、前記評価部は、前
記状況検出センサの出力に応じて一致すると判断する基準を変化させるようにすることも
可能である。
【0012】
また、情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、前記記憶部には、経過時間毎の第
一角度変動量を特定する挙動情報が複数記憶されており、前記入力部を介して、複数の前
記挙動情報から特定された一の前記挙動情報を、前記評価部における評価の対象とするこ
とができるようにすることも可能である。
【0013】
また、前記記憶部に記憶される挙動情報には識別情報が各々付加されており、前記入力
部を介して入力された識別情報により、複数の前記挙動情報から一の前記挙動情報を特定
することができるようにすることも可能である。
【0014】
また、前記記憶部に記憶される挙動情報には、ユーザの体型を特定する体型情報が各々
付加されており、前記入力部を介して入力された体型情報により、複数の前記挙動情報か
ら一の前記挙動情報を特定することができるようにすることも可能である。
【0015】
また、前記出力部は、振動、光及び音の少なくともいずれか一つで通知を行う用にする
ことも可能である。
【0016】
また、管理装置からの情報を受信可能な受信部をさらに備え、前記算出部は、前記管理
装置からの開始信号に応じて算出を開始するようにすることも可能である。
【0017】
また、前記記憶部に記憶される挙動情報は、前記管理部から送信されたものとすること
も可能である。
【0018】
また、本発明は、ジャイロセンサを取り付けた部分の動作を解析する解析方法であって
、前記ジャイロセンサより得られる情報から経過時間毎に第二角度変動量を算出する算出
過程と、前記第二角度変動量が、予め記憶されている前記経過時間毎の第一角度変動量と
一致しているか否かを前記経過時間毎に評価する評価過程と、前記評価過程において、前
記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一致していると判断した場合に、予め定めら
れた通知を行う出力過程と、を備えること、を特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、身体を動かしている時点において所望の動作をしてい
るか否かを確認することができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の第一の実施形態である解析装置100の概略図である。
【0021】
解析装置100は、リストバンド110と、解析部120と、を備えている。
【0022】
本実施形態においては、解析装置100を手首に装着するようにしているため、環状の
リストバンド110に解析部120を設けているが、このような態様に限定されず、例え
ば、足首に装着する場合には、リストバンド110の代わりにアンクルバンドを用いるこ
とも可能であり、また、頭部に装着する場合には帽子やヘアバンドを用いることも可能で
ある。その他にも、下着、シャツ、靴下、靴等の身体に装着されるものであればどのよう
なものであっても用いることが可能である。
【0023】
解析部120は、図2(解析部120の概略図)に示されているように、主制御部12
1と、挙動算出部122と、挙動評価部123と、時間計測部124と、記憶部125と
、加速度センサ126と、ジャイロセンサ127と、タイマ128と、出力部12と、入
力部130と、蓄電池131と、を備えている。
【0024】
主制御部121は、解析部120全体の処理を制御し、例えば、入力部130を介した
電源のオン又はオフの制御等を行う。
【0025】
挙動算出部122は、加速度センサ126及びジャイロセンサ127からの出力に基づ
いて、解析装置100が取り付けられる身体の部位の挙動を算出する。
【0026】
具体的には、加速度センサ126及びジャイロセンサ127からの出力に基づいて、基
準位置及び基準時間からの位置変位量及び角度変位量を所定の時間間隔で算出する。
【0027】
例えば、加速度センサ126で計測された加速度を、タイマ128を介して時間計測部
124で計測された時間で二回積分することにより、位置変位量を算出する。
【0028】
また、ジャイロセンサ127で計測された角速度を、タイマ128を介して時間計測部
124で計測された時間で積分することにより、角度変位量を算出する。
【0029】
挙動評価部123は、記憶部125の挙動情報記憶領域125aに記憶されている挙動
情報と、所定の経過時間で挙動算出部122において算出された位置変位量及び角度変位
量と、を比較して両者が一致(近似)する場合には、後述する出力部129を介して解析
装置100のユーザに通知を行う処理を制御する。
【0030】
時間計測部124は、タイマ128から得られる時間情報に基づいて、基準時間からの
経過時間を計測する。
【0031】
記憶部125には、挙動情報記憶領域125aが設けられている。
【0032】
挙動情報記憶領域125aには、基準時間からの経過時間毎に、基準位置からの位置変
位量及び角度変位量を特定した挙動情報が記憶される。なお、この挙動情報は、解析装置
100を取り付けた身体の部位がトレースする位置及び時間を特定するものである。
【0033】
例えば、挙動情報記憶領域125aには、図3(運動テーブル125b及び挙動テーブ
ル125cの概略図)に示すような、運動テーブル125bと、運動テーブル125bに
格納される運動ID毎の挙動テーブル125cと、が記憶されている。
【0034】
運動テーブル125bには、解析装置100を取り付けた身体の部位で行う運動を識別
するための識別情報を特定するための運動IDが格納される。
【0035】
挙動テーブル125cは、経過順序欄125dと、経過時間欄125eと、位置変位量
欄125fと、角度変位量欄125jと、を有する。
【0036】
経過順序欄125dには、解析装置100を取り付けた身体の部位を動かす順番を格納
する。ここでは、「1」からの連番(自然数)を入力する。
【0037】
経過時間欄125eには、位置変位量欄125f及び角度変位量欄125jで特定され
る変位量となる位置及び角度となるように解析装置100を取り付けた身体の部位を動か
す時間を格納する。ここでは、基準時間からの経過時間が格納されるようになっている。
【0038】
位置変位量欄125fには、加速度センサ126で検出される三軸の加速度から算出さ
れる各軸における位置の変位量がX軸欄125g、Y軸欄125h、Z軸欄125iのそ
れぞれに格納される。
【0039】
角度変位量欄125jには、ジャイロセンサ127で検出される三軸の角速度から算出
される各軸における角度の変位量がX軸欄125k、Y軸欄125l、Z軸欄125mの
それぞれに格納される。
【0040】
加速度センサ126は、三軸の加速度センサで、三軸(x、y、z)方向における加速
度を検出する。例えば、加速度センサ126として、三軸の振動型マイクロ加速度センサ
を使用する。
【0041】
ジャイロセンサ127は、三軸の角速度センサで、三軸(x、y、z)方向における角
速度を検出する。例えば、ジャイロセンサ127として、三軸の振動型マイクロジャイロ
センサを使用する。
【0042】
タイマ128は、所定の間隔でクロックを発生させ、時間を計測することができるよう
にしている。例えば、タイマ128としてRTC(Real Time Clock)等を利用すればよ
い。
【0043】
出力部129は、解析装置100を取り付けた身体の部位が、所定の時間、所定の位置
変位量及び所定の角度変位量となるように動かされた場合に、解析装置100のユーザに
通知するための情報を出力する装置である。本実施形態においては、バイブレータを使用
することで、振動で通知を行うようにされている。なお、このような態様に限定されるわ
けではなく、LEDなどの発光部材やスピーカ等で通知するようにしてもよい。
【0044】
入力部130は、解析装置100のユーザとの間のインターフェースであって、電源の
オン又はオフ、運動IDの特定、位置変位量及び角度変位量の測定開始又は終了、といっ
た指示の入力を受け付ける。
【0045】
例えば、本実施形態においては、図4(入力部130の概略図)に示すように、電源ボ
タン130aと、ディスプレイ130bと、選択ボタン130cと、開始ボタン130d
と、終了ボタン130eと、を備えており、電源ボタン130aで電源のオン又はオフを
入力し、ディスプレイ130b及び選択ボタン130cで運動IDの特定を行い、開始ボ
タン130d及び終了ボタン130eで位置変位量及び角度変位量の測定開始又は終了を
指示する。
【0046】
蓄電池131は、解析装置100に電力を供給するための電源であって、公知の方法で
繰り返し充電を行うことができるものを使用することが望ましい。
【0047】
以上のように構成される解析装置100は、いわゆるコンピュータに加速度センサ12
6及びジャイロセンサ127を備えることにより実現可能である。
【0048】
例えば、主制御部121,挙動算出部122挙動評価部123及び時間計測部124に
ついては、所定のプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することによ
り実現可能であり、記憶部125はメモリにより実現可能である。なお、主制御部121
,挙動算出部122挙動評価部123及び時間計測部124で行う処理については、AS
IC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Ga
te Array)等の集積ロジックICによりハード的に実行されるものであってもよい。
【0049】
以上のように構成される解析装置100の処理フローを図5に示すフローチャートを用
いて説明する。
【0050】
なお、解析装置100での処理は、入力部130の電源ボタン130aが押圧され、電
源がオンにされることでスタートする。
【0051】
まず、解析装置100の主制御部121は、運動IDの選択を求め(S10)、選択が
あった場合には、スタートボタン130dの押圧を求める(S11)。これらは、入力部
130のディスプレイ170に所定の情報を表示することにより行えばよい。
【0052】
そして、スタートボタン130dの押圧があった場合には、経路順番iを「1」に初期
化して(S12)、時間計測部124で経過時間の計測を開始する(S13)。なお、ス
タートボタン130dが押圧された時及び位置を基準時間及び基準位置とする。
【0053】
次に、時間計測部124で経路順番iの経過時間が経過したか否かを判定し(S14)
、経過した場合には、挙動算出部122において、加速度センサ126及びジャイロセン
サ127で検出した加速度及び角速度より、基準位置からの位置変位量と角度変位量とを
算出する(S15)。ここでの位置変位量及び角度変位量の算出は、例えば、特定の周期
で検出される加速度及び角速度を各々積分して、基準時間から経過時間まで加算すること
で算出することができる。
【0054】
そして、挙動評価部123は、ステップS15で算出された位置変位量及び角度変位量
と、挙動情報記憶領域125aの挙動テーブル125cに格納されている経路順番iの位
置変位量欄125f及び角度変位量欄125jに格納されている位置変位量及び角度変位
量と、を比較することでこれらが一致するか否かを判定する(S16)。なお、挙動評価
部123は、これらが完全に一致する場合、および、これらが所定の閾値の範囲内にある
場合に、これらが一致するものと判断する。
【0055】
そして、ステップS16において一致すると判断された場合には、挙動評価部123は
出力部129に通知を行うように指示を出し、出力部129は通知を行う(S17)。な
お、本実施形態では、出力部129をバイブレータで構成したので、出力部129は、振
動することで、解析装置100のユーザに通知を行う。
【0056】
次に、挙動評価部123は、次の経路順番i+1があるか否かを挙動テーブル125c
で確認し(S18)、次の経路順番i+1がある場合には、iに「1」をインクリメント
し(S19)、ステップS14に戻って処理を繰り返す。一方、次の経路順番i+1がな
い場合には処理を終了する。
【0057】
なお、主制御部121は、処理の途中で入力部130の電源ボタン130aが押圧され
た場合にも、処理を終了して電源をオフにする処理を行う。
【0058】
解析装置100において以上のような処理を行うことにより、例えば、図6(解析装置
100の使用例を示す概略図)に示されているように、ユーザの手首に解析装置100を
装着して、手に持ったダンベル150を、肘を軸に上下動させるトレーニングを行う場合
等に、予め定められた位置151a〜151dを所定のスピードで通るように腕を動かし
ているか否か、および、ユーザの腕の角度は適切か否か、等を予め定められた位置151
a〜151dで確認することができ、効率的なトレーニングを行うことが可能となる。
【0059】
図7は、本発明の第二の実施形態である解析システム300の概略図である。
【0060】
解析システム300は、図示するように、解析装置200と、管理装置240と、を備
えている。
【0061】
解析装置200は、リストバンド110と、解析部220と、を備えており、第一の実
施形態である解析装置100と比較して、解析部220が異なっているため、以下、解析
部220に関する事項について説明する。
【0062】
本実施形態に係る解析部220は、図8(解析部220の概略図)に示されているよう
に、第一の実施形態と比較して、主制御部221,時間計測部224、記憶部225およ
び入力部230が異なっており、また、アンテナ232及び受信部233が新たに設けら
れているため、以下、これらに関する事項について説明する。
【0063】
主制御部221は、第一の実施形態で行われている処理に加えて、アンテナ232を介
した通信処理も制御する。
【0064】
時間計測部224は、第一の実施形態と異なり、受信部233が管理装置240からの
スタート信号を受信することにより、経過時間の計測を開始する。
【0065】
記憶部225の挙動情報記憶領域225aには、管理装置240より受信した挙動テー
ブル125c(図3参照)が記憶される。なお、挙動テーブル125cに格納されるデー
タ構造については、第一の実施形態と同様である。
【0066】
入力部230は、第一の実施形態と異なり、電源ボタンのみが設けられている。
【0067】
受信部233は、無線を介して情報を送受信するためのインターフェースである。本実
施形態においては、特に、管理装置240より送信される挙動テーブル125c、スター
ト信号及びエンド信号を受信する。
【0068】
図9は、管理装置240の概略図である。
【0069】
管理装置240は、主制御部241と、記憶部242と、送信部243と、アンテナ2
44と、入力部245と、を備えている。
【0070】
主制御部241は、管理装置240での処理を制御する。特に、本実施形態においては
、入力部245を介して入力されたユーザの体型情報(本実施形態では、身長)に対応す
る挙動テーブル125cを記憶部242の送信情報記憶領域242aから抽出し、送信部
243を介して、抽出した挙動テーブル125cを解析装置200に送信する処理を制御
する。
【0071】
また、主制御部241は、入力部230を介して入力されたスタート指令に応じたスタ
ート信号、または、エンド指令に応じたエンド信号を生成し、送信部243を介して、解
析装置200に送信する。
【0072】
記憶部242には、送信情報記憶領域242aが設けられている。
【0073】
送信情報記憶領域242aには、第一の実施形態における挙動情報記憶領域225aと
同様に、運動テーブル125bと、運動テーブル125bに格納される運動ID毎の挙動
テーブル125cと、が記憶されている。これらのテーブルに格納されるデータ構造につ
いては第一の実施形態と同様である。
【0074】
また、送信情報記憶領域242aには、さらに、解析装置200のユーザの体型にあっ
た運動を選択するための情報が記憶される。
【0075】
具体的には、図10(選択テーブル242bの概略図)に示すような、選択テーブル2
42bが記憶される。
【0076】
選択テーブル242bは、体型情報欄242cと、運動ID欄242dと、を有してい
る。
【0077】
体型情報欄242cには、ユーザの体型を特定するための情報が格納される。例えば、
本実施形態においては、ユーザの身長の範囲を特定する情報が格納されている。
【0078】
運動ID欄242dには、体型情報欄242cで特定されるユーザの身長の範囲に対応
する運動IDが格納される。例えば、体型情報欄242cで入力された身長からおおよそ
の腕の長さが把握できるため、腕の長さに適する位置変位量及び角度変位量が格納されて
いる挙動テーブル125cを特定する運動IDを適宜選択して格納する。
【0079】
なお、このように、本実施形態では、ユーザの体型(身長)に合わせて最適な運動とな
るように経過順番、経過時間、位置変位量及び角度変位量を適宜選択して挙動テーブル1
25cを種々記憶させておく。
【0080】
送信部243は、アンテナ244を介して無線によるデータの送受信を行うためのイン
ターフェースである。
【0081】
入力部245は、ユーザからの入力を受け付けるための入力装置である。特に、本実施
形態においては、ユーザからの身長の入力を受け付け、また、スタート指令及びエンド指
令の入力を受け付ける。
【0082】
以上に記載した管理装置240については、いわゆるコンピュータにより実現可能であ
る。
【0083】
例えば、主制御部241は、外部記憶装置に記憶されている所定のプログラムをCPU
で実行することにより実現可能であり、記憶部242は、ハードディスク等の外部記憶装
置により実現可能であり、送信部243はNIC(Network Interface Card)により実現
可能であり、入力部245は、マウスやキーボードにより実現可能である。
【0084】
以上のように構成される解析装置200の処理フローを図11に示すフローチャートを
用いて説明する。
【0085】
なお、解析装置200での処理は、入力部230の電源ボタンが押圧され、電源がオン
にされることでスタートする。
【0086】
まず、解析装置200の主制御部221は、管理装置240より運動テーブル125c
が送信されてくるまで待機し(S20)、受信があった場合には、記憶部225の挙動情
報記憶領域225に記憶する(S21)。
【0087】
そして、解析装置200の主制御部221は、管理装置240よりスタート信号が送信
されてくるまで待機し(S22)、受信があった場合には、経路順番iを「1」に初期化
して(S23)、時間計測部224で経過時間の計測を開始する(S24)。なお、スタ
ート信号を受信した時及び位置を基準時間及び基準位置とする。
【0088】
次に、時間計測部224で経路順番iの経過時間が経過したか否かを判定し(S25)
、経過した場合には、挙動算出部122において、加速度センサ126及びジャイロセン
サ127で検出した加速度及び角速度より、基準位置からの位置変位量と角度変位量とを
算出する(S26)。
【0089】
そして、挙動評価部123は、ステップS25で算出された位置変位量及び角度変位量
と、挙動情報記憶領域225aの挙動テーブル125cに記憶されている経路順番iの位
置変位量欄125f及び角度変位量欄125jに格納されている位置変位量及び角度変位
量と、を比較することでこれらが一致するか否かを判定する(S27)。なお、挙動評価
部123は、これらが所定の閾値の範囲内にある場合には、一致するものと判断する。
【0090】
そして、ステップS27において一致すると判断された場合には、挙動評価部123は
出力部129に通知を行うように指示を出し、出力部129は通知を行う(S28)。な
お、本実施形態では、出力部129をバイブレータで構成したので、出力部129は、振
動することで、解析装置200のユーザに通知を行う。
【0091】
次に、挙動評価部123は、次の経路順番i+1があるか否かを挙動テーブル125c
で確認し(S29)、次の経路順番i+1がある場合には、iに「1」をインクリメント
し(S30)、ステップS25に戻って処理を繰り返す。一方、次の経路順番i+1がな
い場合には処理を終了する。
【0092】
なお、主制御部221は、処理の途中で受信部233を介して、管理装置240よりエ
ンド信号を受信した場合にも、処理を終了する。
【0093】
解析装置200において以上のような処理を行うことにより、第一の実施形態と同様に
、効率的なトレーニングを行うことが可能となり、さらに、本実施形態では、無線を介し
て解析装置200での処理を開始できるため、図12(解析システム300の使用例を示
す概略図)に示されているように、複数のユーザの手首に解析装置200を装着して、複
数のユーザに装着した解析装置200に同じ動作を特定する挙動テーブル125cを送信
し、同じタイミングでスタート信号を送ることにより、これらのユーザに同じ動作を同じ
タイミングでシンクロさせるようなトレーニングを効率的に行うことができるようになる

【0094】
なお、第二の実施形態においては、管理装置240において選択テーブル242bが記
憶されており、管理装置240に入力された身長から選択テーブル242bを介して選択
された挙動テーブル125cが解析装置200に送信されて記憶されるようになっている
が、このような態様に限定されるわけではなく、例えば、管理装置200の記憶部225
に選択テーブル242bを記憶しておき、管理装置200の入力部230を介して身長の
入力を受け付けて、好適な挙動テーブル125cを選択することができるようにすること
も可能である。
【0095】
図13は、本発明の第三の実施形態である解析装置における解析部420の概略図であ
る。
【0096】
本実施形態である解析装置は、第一の実施形態と同様に、リストバンド110に解析部
420が設けられているが、リストバンド110は第一の実施形態と同様に構成されてい
るため、説明を省略する。
【0097】
本実施形態に係る解析部420は、第一の実施形態と比較して、主制御部421と、記
憶部425と、入力部430と、が異なっているため、以下これらに関連する事項につい
て説明する。
【0098】
主制御部421は、第一の実施形態と同様の処理の他、本実施形態においては、後述す
る入力部430の登録開始ボタン430fが押圧されることにより、押圧された時点を基
準時間及び基準位置として、挙動算出部122において算出された位置変位量及び角度変
位量を、所定の時間間隔(例えば、5秒間隔)で記憶部425の挙動情報記憶領域425
aに新たに生成された挙動テーブル125cの所定の欄に逐次格納する処理を行う。そし
て、この処理は、入力部430の登録終了ボタン430gが押圧されるまで続けられる。
【0099】
そして、入力部430の登録終了ボタン430gが押圧されると、挙動テーブル125
cへの格納を終了するとともに、運動テーブル125bに新たなエントリを作成して、新
たに作成した挙動テーブル125cを識別するための運動IDを格納する。
【0100】
記憶部425は、上述のように、主制御部421の制御により新たな挙動テーブル12
5cの記憶と運動テーブル125bの更新とを行う。
【0101】
入力部430は、例えば、図14(入力部430の概略図)に示されているように、第
一の実施形態と同様に、電源ボタン130aと、ディスプレイ130bと、選択ボタン1
30cと、開始ボタン130dと、終了ボタン130eと、を備えているが、本実施形態
では、さらに、登録開始ボタン430fと、登録終了ボタン430gと、が設けられてい
る。
【0102】
以上のように構成される本実施形態に係る解析部420における挙動テーブル125c
の生成処理を図15に示すフローチャートを用いて説明する。
【0103】
解析部420における挙動テーブル125cの生成処理は、入力部430の登録開始ボ
タン430fが押圧されることにより処理が開始される。
【0104】
そして、主制御部421は、入力部430の登録開始ボタン430fが押圧されると、
挙動情報記憶領域425aに挙動テーブル125cを生成し(S40)、経路順番iを「
1」に初期化して(S41)、時間計測部124で経過時間の計測を開始する(S42)
。なお、登録開始ボタン430fが押圧された時及び位置を基準時間及び基準位置とする

【0105】
次に、時間計測部124で所定の経過時間が経過したか否かを判定し(S43)、経過
した場合には、挙動算出部122において、加速度センサ126及びジャイロセンサ12
7で検出した加速度及び角速度より、基準位置からの位置変位量と角度変位量とを算出す
る(S44)。
【0106】
そして、主制御部421は、ステップS40で生成した挙動テーブル125cに経路順
番iの行を生成して、ステップS43で計測した経過時間と、ステップS44で算出され
た位置変位量及び角度変位量と、をそれぞれ対応する欄に格納する(S45)。
【0107】
そして、登録終了ボタン430gが押圧されていない場合には(S46)、経路順番i
に「1」をインクリメントし(S47)、ステップS43に戻って処理を繰り返す。
【0108】
以上のように本実施形態である解析装置を構成したので、例えば、ある一定の動作を挙
動テーブル125cに記憶しておき、このような動作を繰り返すトレーニングを効率的に
行うことができるようになる。
【0109】
図16は、本発明の第四の実施形態である解析装置の解析部520の概略図である。
【0110】
本実施形態である解析装置は、第一の実施形態と同様に、リストバンド110に解析部
520が設けられているが、リストバンド110は第一の実施形態と同様に構成されてい
るため、説明を省略する。
【0111】
本実施形態に係る解析部520は、第一の実施形態と比較して、挙動評価部521と、
記憶部525と、が異なっており、また、脈拍計測部534と、脈拍センサ535と、が
新たに設けられている、以下これらに関連する事項について説明する。
【0112】
挙動評価部523は、第一の実施形態と同様に、記憶部525の挙動情報記憶領域12
5aに記憶されている挙動情報と、所定の経過時間で挙動算出部122において算出され
た位置変位量及び角度変位量と、を比較して両者が一致(近似)するか否かを判断するが
、本実施形態においては、後述する脈拍計測部534で算出された脈拍数に応じて、一致
するか否かの判断(基準)を変化させるようにしている。
【0113】
具体的には、本実施形態では、記憶部525に補正情報記憶領域525nが設けられて
おり、この領域には、脈拍数の範囲を特定する情報と、脈拍数の範囲毎に対応する補正値
と、が記憶されており、挙動評価部523は、脈拍計測部534で算出された脈拍数に応
じた補正値を抽出して、該補正値を用いて一致すると判断する閾値を変化させるようにし
ている。
【0114】
脈拍計測部534は、後述する脈拍センサ535から得られる出力と、タイマ128か
ら得られる時間情報と、から所定期間の脈拍数を算出する。
【0115】
記憶部525には、挙動情報記憶領域125a(第一の実施形態と同様)の他に、補正
情報記憶領域525nが設けられている。
【0116】
補正情報記憶領域525nには、脈拍数の範囲を特定する情報と、脈拍数の範囲毎に対
応する補正値と、が記憶されている。例えば、本領域には、図17(補正テーブル525
oの概略図)に示すような補正テーブル525oが記憶されている。
【0117】
図示するように補正テーブル525oには、脈拍数欄525pと、補正値欄525qと
、が設けられている。
【0118】
脈拍数欄525pには、脈拍数の範囲が格納される。
【0119】
補正値欄525qには、脈拍数の範囲毎の補正値が格納されている。当該補正値は、挙
動評価部523において、位置変位量及び角度変位量が挙動情報記憶領域125aに一致
してものと判断するための閾値の範囲を広げるための補正値(閾値への加算値)が格納さ
れる。
【0120】
ここで、この補正値については、脈拍数が大きくなるにつれて、一致するものと判断す
るための閾値の範囲が広くなるようにする(一致するとの判断が緩くなるようにする)。
【0121】
脈拍センサ535は、脈拍を検知するためのセンサであって、例えば、感圧センサをリ
ストバンド110の内側面の所定の位置に配置すればよい。
【0122】
以上のように本実施形態を構成したので、ユーザの疲れの度合いを脈拍により検出して
トレーニングによる負荷を軽減するようにすることができるようになる。
【0123】
なお、本実施形態においては、ユーザの脈拍を検出するようにしているが、このような
態様に限定されず、例えば、呼吸数、心拍数、血圧等のユーザの状況を検出するセンサを
設けてこれらの出力に応じて閾値の範囲を変化させることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】第一の実施形態である解析装置の概略図。
【図2】解析部の概略図。
【図3】運動テーブル及び挙動テーブルの概略図。
【図4】入力部の概略図。
【図5】解析装置の処理フローを示すフローチャート。
【図6】解析装置の使用例を示す概略図。
【図7】第二の実施形態である解析システムの概略図。
【図8】解析部の概略図。
【図9】管理装置の概略図。
【図10】選択テーブルの概略図。
【図11】解析装置の処理フローを示すフローチャート。
【図12】解析システムの使用例を示す概略図。
【図13】第三の実施形態である解析装置における解析部の概略図。
【図14】入力部の概略図。
【図15】解析部における挙動テーブルの生成処理を示すフローチャート。
【図16】第四の実施形態である解析装置の解析部の概略図。
【図17】補正テーブルの概略図。
【符号の説明】
【0125】
100、200 解析装置
300 解析システム
120、220、420、520 解析部
121、221、421 主制御部
122 挙動算出部
123、523 挙動評価部
124、224、 時間計測部
534 脈拍計測部
125、225、425 記憶部
126 加速度センサ
127 ジャイロセンサ
535 脈拍センサ
240 管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
取り付けた部分の動作を解析する解析装置であって、
経過時間毎の第一角度変動量を特定する挙動情報が記憶される記憶部と、
ジャイロセンサと、
前記ジャイロセンサより得られる情報から前記経過時間に対応する時点毎に第二角度変
動量を算出する算出部と、
前記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一致しているか否かを前記時点毎に評価
する評価部と、
前記評価部において、前記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一致していると判
断した場合に、予め定められた通知を行う出力部と、
を備えること、
を特徴とする解析装置。
【請求項2】
請求項1に記載の解析装置であって、
加速度センサをさらに備え、
前記挙動情報には、前記経過時間毎の第一位置変動量を特定する情報が含まれており、
前記算出部は、前記加速度センサより得られる情報から前記時点毎に第二位置変動量を
さらに算出し、
前記評価部は、前記第二角度変動量が前記第一角度変動量と一致しているか否か、およ
び、前記第二位置変動量が前記第一位置変動量と一致しているか否か、を前記時点毎に評
価し、
前記出力部は、前記評価部において、前記第二角度変動量が前記第一角度変動量と一致
していると判断した場合、および、前記第二位置変動量が前記第一位置変動量と一致して
いると判断した場合、の少なくともいずれか一方のときに、予め定められた通知を行うこ
と、
を特徴とする解析装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の解析装置であって、
前記評価部は、予め定められた閾値の範囲内であれば、一致するとの判断を行うこと、
を特徴とする解析装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載の解析装置であって、
ユーザの状況を検出するための状況検出センサをさらに備え、
前記評価部は、前記状況検出センサの出力に応じて一致すると判断する基準を変化させ
ること、
を特徴とする解析装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載の解析装置であって、
情報の入力を受け付ける入力部をさらに備え、
前記記憶部には、経過時間毎の第一角度変動量を特定する挙動情報が複数記憶されてお
り、
前記入力部を介して、複数の前記挙動情報から特定された一の前記挙動情報を、前記評
価部における評価の対象とすることができるようにしたこと、
を特徴とする解析装置。
【請求項6】
請求項5に記載の解析装置であって、
前記記憶部に記憶される挙動情報には識別情報が各々付加されており、
前記入力部を介して入力された識別情報により、複数の前記挙動情報から一の前記挙動
情報を特定することができるようにされていること、
を特徴とする解析装置。
【請求項7】
請求項5に記載の解析装置であって、
前記記憶部に記憶される挙動情報には、ユーザの体型を特定する体型情報が各々付加さ
れており、
前記入力部を介して入力された体型情報により、複数の前記挙動情報から一の前記挙動
情報を特定することができるようにされていること、
を特徴とする解析装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載の解析装置であって、
前記出力部は、振動、光及び音の少なくともいずれか一つで通知を行うものであること

を特徴とする解析装置。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載の解析装置であって、
管理装置からの情報を受信可能な受信部をさらに備え、
前記算出部は、前記管理装置からの開始信号に応じて算出を開始するものであること、
を特徴とする解析装置。
【請求項10】
請求項9に記載の解析装置であって、
前記記憶部に記憶される挙動情報は、前記管理部から送信されたものであること、
を特徴とする解析装置。
【請求項11】
ジャイロセンサを取り付けた部分の動作を解析する解析方法であって、
前記ジャイロセンサより得られる情報から経過時間毎に第二角度変動量を算出する算出
過程と、
前記第二角度変動量が、予め記憶されている前記経過時間毎の第一角度変動量と一致し
ているか否かを前記経過時間毎に評価する評価過程と、
前記評価過程において、前記第二角度変動量が、前記第一角度変動量と一致していると
判断した場合に、予め定められた通知を行う出力過程と、
を備えること、
を特徴とする解析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−73211(P2008−73211A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−255624(P2006−255624)
【出願日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】