説明

触媒の再生

(i)酸化マグネシウムを含む異性化触媒、並びに(ii)無機担体、並びに酸化モリブデン及び酸化タングステンの少なくとも1つを含むメタセシス触媒を含む使用済みの触媒混合物を再生する方法を開示する。この方法は、(a)使用済みの触媒混合物を酸素含有ガスの存在下でデコーキングして、デコーキングした触媒混合物を生成させ;そして(b)デコーキングした触媒混合物を100〜300℃の範囲の温度において水蒸気と接触させて再生した触媒混合物を生成させることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異性化触媒及びメタセシス触媒を含む触媒混合物を再生する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素の水蒸気分解は、エチレン、プロピレン、Cオレフィン(1−ブテン、2−ブテン類、イソブテン)、ブタジエンのようなオレフィン、並びにベンゼン、トルエン、及びキシレンのような芳香族物質を製造するために広く用いられている石油化学プロセスである。2−ブテン類には、シス−2−ブテン及び/又はトランス−2−ブテンが含まれる。オレフィンプラントにおいては、ナフサ、ガス油、又は全原油の他のフラクションのような炭化水素供給原料を水蒸気と混合する。この混合物は、予備加熱した後に熱分解炉中で昇温温度における厳しい熱分解にかける。熱分解炉からの分解流出流は、多種多様の(分子あたり1〜35個の炭素原子数の)気体状炭化水素を含む。この流出流は、脂肪族、芳香族、飽和、及び不飽和である炭化水素を含み、相当量の分子状水素を含む可能性がある。熱分解炉の分解生成物は、次にオレフィンプラントにおいて更に処理して、プラントの生成物として、水素、エチレン、プロピレン、分子あたり4又は5個の炭素原子を有する混合炭化水素、及び熱分解ガソリンのような種々の個別の生成物流を製造する。
【0003】
粗C炭化水素は、変化する量のn−ブタン、イソブタン、Cオレフィン、アセチレン類(エチルアセチレン及びビニルアセチレン)、及びブタジエンを含む可能性がある。Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, オンライン版 (2008)を参照。粗C炭化水素は、通常はブタジエン抽出又はブタジエン選択的水素化にかけて、存在するブタジエン及びアセチレン類の実質的に全部ではないにしても殆どを除去する。その後、Cラフィネート(ラフィネート−1と呼ばれる)を化学反応(例えばエーテル化、水和、又は二量体化)にかけて、イソブテンを他の化合物(例えば、メチルtert−ブチルエーテル、tert−ブチルアルコール、又はジイソブテン)に転化させる(例えば、米国特許6,586,649及び4,242,530を参照)。主としてn−ブタン、イソブタン、1−ブテン、及び2−ブテン類を含む残りのC流は、ラフィネート−2と呼ばれる。パラフィン(n−ブタン及びイソブタン)は、抽出蒸留によって線状ブテン類(1−ブテン及び2−ブテン類)から分離することができる。線状ブテン類は、エチレンと反応させて二重結合異性化及びメタセシス反応によってプロピレンを製造することができる(Appl. Ind. Catal. 3 (1984) 215)。例えば、酸化マグネシウム及びシリカ担持酸化タングステンの混合物を上記の変換のために用いてプロピレンを製造することができる。
【0004】
商業的なプラントにおいては、触媒は、おそらくは触媒細孔内及び触媒表面上のコークの形成のために時間と共に失活する傾向がある。したがって、触媒は周期的に再生する必要がある。米国特許4,605,810においては、600℃において空気を流し、次に600℃において窒素フラッシュを約15分間行い、場合によっては600℃において一酸化炭素を流し、最後に窒素フラッシュを行って触媒を所望の反応温度に冷却することによって、酸化マグネシウム及びシリカ上WOの混合床を再生する方法が教示されている。しかしながら、本発明者らは、かかる再生方法は、特に酸化マグネシウムの場合に触媒強度の大きな損失を引き起こすことを見出した。
【0005】
酸化マグネシウムそれ自体は、オレフィンの二重結合異性化触媒として有用であることが知られている(例えば、米国特許4,217,244及び5,134,103を参照)。
【0006】
MgO含有触媒を再生する方法は公知である。米国特許3,962,126においては、フェノールアルキル化反応において用いた際に炭化し始めた炭化した酸化マグネシウム触媒を再活性化する方法が教示されている。この方法は、触媒を酸素含有ガス中で熱に曝露することによって触媒から炭素を燃焼させて部分的に再活性化した触媒を形成することを含み、その改良点は、部分的に再活性化した触媒を300℃より低い温度において、触媒の活性を回復させるのに十分な量の水と接触させることから実質的に構成される。
【0007】
米国特許4,217,244においては、酸化マグネシウムを含むオレフィン異性化触媒の再生方法が記載されている。再生は、触媒を不活性ガスでパージし、次に触媒を約1000°F(538℃)を超えない温度において酸素含有ガスで処理することを含む。
【0008】
米国特許5,134,103においては、触媒を425〜590℃においてか焼することを含む、使用済みの酸化マグネシウム異性化触媒の再生方法が開示されている。
米国特許出願公開2003/0004385においては、失活した酸化マグネシウム触媒を少なくとも約500℃の温度において乾燥不活性ガス(例えば窒素)及び酸化剤(例えば酸素)を含む流動ガスによってデコーキングして、全てのコークを触媒から実質的に完全に除去することが教示されている。再生は、好ましくは徐々に上昇する温度及び酸素濃度の幾つかの工程で行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6,586,649号明細書
【特許文献2】米国特許第4,242,530号明細書
【特許文献3】米国特許第4,605,810号明細書
【特許文献4】米国特許第4,217,244号明細書
【特許文献5】米国特許第5,134,103号明細書
【特許文献6】米国特許第3,962,126号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開2003/0004385号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】Kirk-Othmer Encyclopedia of Chemical Technology, オンライン版 (2008)
【非特許文献2】Appl. Ind. Catal. 3 (1984) 215
【発明の概要】
【0011】
本発明は、(i)酸化マグネシウムを含む異性化触媒、並びに(ii)無機担体、並びに酸化モリブデン及び酸化タングステンの少なくとも1つを含むメタセシス触媒を含む使用済みの触媒混合物を再生する方法である。この方法は、(a)使用済みの触媒混合物を酸素含有ガスの存在下でデコーキングして、デコーキングした触媒混合物を生成させ;そして(b)デコーキングした触媒混合物を100〜300℃の範囲の温度において水蒸気と接触させて再生した触媒混合物を生成させることを含む。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示において、触媒とは化学プロセスにおいて用いる前の新しい触媒を指す。触媒をプロセスにおいて所定時間使用し、その元々の活性の一部が失われた後は、この材料は使用済み触媒と呼ぶ。
【0013】
本発明は、(i)酸化マグネシウムを含む異性化触媒、並びに(ii)無機担体、並びに酸化モリブデン及び酸化タングステンの少なくとも1つを含むメタセシス触媒を含む使用済みの触媒混合物を再生する方法であって、(a)使用済みの触媒混合物を酸素含有ガスの存在下でデコーキングして、デコーキングした触媒混合物を生成させ;そして(b)デコーキングした触媒混合物を100〜300℃の範囲の温度において水蒸気と接触させて再生した触媒混合物を生成させることを含む上記方法である。この触媒混合物を用いて、エチレンを1−ブテン及び/又は2−ブテン類と反応させてプロピレンを製造することができる(米国特許5,300,718)。
【0014】
異性化触媒は酸化マグネシウム(マグネシア)を含む。異性化触媒は、オレフィンの二重結合異性化、例えば1−ブテンと2−ブテン類との間の転化を触媒することができる。多くの入手できる酸化マグネシウムを異性化触媒として用いることができる。異性化触媒には、シリカ、アルミナ、チタニアなどのような他の物質を含ませることができる。好ましくは、異性化触媒は、主として酸化マグネシウムを含み、例えば少なくとも95重量%の酸化マグネシウム、より好ましくは少なくとも98重量%の酸化マグネシウムを含む。
【0015】
メタセシス触媒は無機担体を含む。好適な無機担体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア−アルミナ、シリカ−アルミナ、チタニア−アルミナ、ジルコニア−アルミナ、アルミナ−チタニア−ジルコニア、トリア、リン酸アルミニウム、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸トリウム、リン酸チタンなどが挙げられる。好ましい無機担体は、シリカ、好ましくは少なくとも90重量%のシリカ、より好ましくは少なくとも99重量%のシリカを含む。一般に、無機担体は少なくとも10m/g、好ましくは25m/g〜800m/gの表面積を有する。
【0016】
メタセシス触媒は、酸化モリブデン及び酸化タングステンの少なくとも1つを含む。メタセシス触媒は、乾燥混合、含侵、イオン交換、吸着などの任意の好都合な方法によって製造することができる。
【0017】
モリブデン又はタングステンの酸化物は、好ましくは高い正の酸化状態、例えば6価のモリブデン又は6価のタングステンで無機担体と組み合わせる。無機担体と組み合わせる酸化モリブデン又は酸化タングステンの割合は変化させることができるが、一般に触媒は少なくとも0.1重量%のモリブデン及び/又はタングステンの酸化物を含み、約0.2重量%〜約30重量%の量が好ましい。より好ましくは、メタセシス触媒は5〜10重量%のモリブデン及び/又はタングステンの酸化物を含む。
【0018】
メタセシス触媒には少量のアルカリ金属を含ませることができる。好適なアルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、及びこれらの混合物が挙げられる。ナトリウム及びカリウムが好ましい。アルカリ金属は、NaOH、KOHなどのような水酸化物の形態で存在させることができる。アルカリ金属の量は、100ppm〜1重量%、好ましくは1000〜5000ppmの範囲であってよい。
【0019】
異性化触媒及びメタセシス触媒は、任意の通常の形状、例えば球状、ペレット状、顆粒状、押出物、錠剤状などであってよい。好ましくは、これらの寸法は0.5〜10mm、より好ましくは1〜5mmの範囲である。固定床反応器が好ましく用いられる。反応器は、好ましくは下向流形態で運転する。
【0020】
異性化触媒及びメタセシス触媒の混合物を用いる。2つの触媒は、それらを反応器に充填する前にブレンドすることができる。或いは、それぞれの触媒の層を反応器内に装填することができる。例えば、床の上流の端部が実質的に純粋な異性化触媒であり、床の下流の端部が異性化触媒とメタセシス触媒の混合物であるように触媒床を構成することができる。下流の端部において、2つの触媒の重量比は約2:8〜8:2、通常は6:4〜4:6の範囲であってよい。
【0021】
混合物中の異性化触媒とメタセシス触媒との全体的な重量比は広範囲に変化させることができる。一般にこれは0.1:1〜100:1、好ましくは0.5:1〜20:1である。
【0022】
反応は、任意の好都合な圧力、好ましくは0〜500psig、通常は300〜400psigにおいて、メタセシス触媒の重量を基準として約0.01〜約1,000h−1、通常は10〜50h−1の範囲の重量空間速度(WHSV)で行うことができる。
【0023】
触媒混合物を用いてオレフィンを製造する。適用できる供給原料としては、分子あたり少なくとも3つの炭素原子を有する非環式モノ及びポリエン、並びにそのシクロアルキル及びアリール誘導体;分子あたり少なくとも4つの炭素原子を有する環式モノ及びポリエン、並びにそのアルキル及びアリール誘導体;上記のオレフィンの2以上の混合物;並びにエチレンと上記のオレフィンの1以上との混合物;が挙げられる。分子あたり3〜10個の炭素原子を有するかかる非環式オレフィン、及び分子あたり4〜10個の炭素原子を有するかかる環式オレフィンを用いて、多くの有用な反応が行われる。この反応に関する好ましい供給原料は、少なくとも4個の炭素原子を有する線状オレフィン及びエチレンを含む。特に好ましい供給原料は線状ブテンとエチレンの混合物である。かかる供給原料からプロピレンが製造される。
【0024】
供給原料を反応器に導入する前に、触媒混合物を、例えば酸素含有ガスの流動流中で、250℃〜600℃、好ましくは300℃〜500℃において約0.5〜30時間加熱することなどによる好適な方法で活性化することができる。触媒混合物は、約400〜約700℃の範囲の温度において、一酸化炭素、水素、又は炭化水素のような還元性ガスで処理してその活性を向上させることができる。かかる還元処理は好ましくは500〜650℃において行う。かかる場合によって用いる還元処理は、好適には約1分間〜約30時間の範囲の時間行うことができる。活性化の後、触媒混合物を不活性ガスでフラッシュして、吸着している酸素又は他の気体を床から除去することが時には推奨される。
【0025】
触媒混合物をオレフィンの製造において用いる場合には、これは時間と共に失活する傾向がある。したがって、触媒混合物を時々再生することが必要である。
本発明は触媒混合物を再生する方法である。この方法は、使用済みの触媒混合物を酸素含有ガスの存在下でデコーキングして、デコーキングした触媒混合物を生成させることを含む。気体中の酸素濃度は重要ではない。これは0.1〜100モル%の範囲であってよい。一般に、空気、又は酸素と窒素の混合物を用いる。必要な場合には、低レベルの酸素を含む気体混合物を用いて、か焼中の発熱を減少させ、所謂「ホットスポット」を抑止して、酸素濃度を時間と共に増加させる。1つの好ましい方法においては、酸素含有ガス中でか焼する前に、使用済みの触媒混合物を不活性ガス(例えば窒素、アルゴン等)中で処理して有機物質を熱分解する。
【0026】
酸素含有ガスに水蒸気を含ませることができる。例えば、これに5〜90モル%の水蒸気を含ませることができる。好ましくは、これに10〜50モル%の水蒸気を含ませる。
一般に、デコーキング温度は、350〜1000℃、より好ましくは450〜800℃の範囲である。デコーキング工程は、好ましくは比較的均一な温度及び均一なコーク及び有機堆積物の除去を達成するのに十分な条件下で行う。
【0027】
デコーキングを行う圧力は重要ではない。通常は、大気圧か又はそれよりも僅かに高い圧力において行う。
デコーキング工程は、定置炉、固定床反応器、回転炉、又はベルトか焼炉内で行うことができる。A. B. Stiles, Catalyst Manufacture, Marcel Dekker (1983), pp.51-57を参照。回転炉は、水平方向に対して僅かに傾斜しており、その軸の周りをゆっくりと回転する円筒形の容器である。処理する材料をシリンダーの上端中に供給する。炉を回転させると、材料は徐々に下端に向かって下方向に移動し、所定量の混合を受ける。熱ガスを、時には触媒と同じ方向に(並流)、しかしながら通常は反対方向に(対向流)、炉に沿って流す。ベルトか焼炉においては、触媒をベルト上に装填し、均一に薄い層で展開する。次に、触媒をベルトによって、雰囲気の温度及び組成が制御されている加熱区域を通して移動させる。好ましくは、触媒混合物は、オレフィンを製造する反応を行うものと同じ反応器内でデコーキングする。
【0028】
デコーキングした触媒混合物は、一般に0.5重量%未満、より好ましくは0.1重量%未満の炭素を含む。
再生方法は、デコーキングした触媒混合物を、100〜300℃の範囲の温度において水蒸気と接触させて、再生した触媒混合物を生成させること(水蒸気処理工程)を含む。好ましくは、水蒸気処理工程は150〜250℃の範囲の温度において行う。一般に、キャリアガスと水蒸気の混合物を用いる。好適なキャリアガスとしては、窒素、空気、及びこれらの混合物が挙げられる。窒素が好ましいキャリアガスである。
【0029】
キャリアガスに対する用いる水蒸気の量は重要ではない。一般に、水蒸気とキャリアガスとのモル比は9:1〜1:9である。
【実施例】
【0030】
実施例1:
触媒の失活:
反応器(外径3/4インチ、長さ16インチ)に、頂部において7.5gの新しいMgO円筒形ペレット(直径5mm、長さ5mm)、底部において22.5gの新しいMgOペレット及び7.5gの新しいWO/シリカ円筒形ペレット(直径5mm、長さ5mm)のブレンドを充填した。1:1のモル比の2−ブテン類とエチレンを含む供給ガスを反応器の頂部に供給した。WO/シリカに対する2−ブテン類の重量空間速度は10h−1であった。反応温度を500℃に昇温し、500℃において保持した。圧力は5psigであった。高い反応温度を用いて触媒の失活を促進した。触媒床は、30時間でその活性の50%超を失った。30時間において供給ガスを停止した。
【0031】
失活した触媒のデコーキング:
上記の反応器を大気圧に減圧した。触媒床を、450℃において窒素で15分間パージした。約75モル%の窒素及び約25モル%の空気を含む気体混合物を、0.9L/分の流速で反応器に供給した。この時間の間に、約50℃の温度の上昇が観察された。流れを1時間保持した。気体混合物の内容を約50モル%の窒素及び約50モル%の空気に変え、か焼を更に1時間継続した。最後に、気体混合物の内容を約25モル%の窒素及び約75モル%の空気に変え、か焼を更に1時間継続した。触媒床を窒素流下で200℃に冷却した。
【0032】
デコーキングした触媒の水蒸気処理:
窒素の流速を約0.9L/分に保持しながら、ポンプを用いて水を25mL/時の速度で触媒床に導入した。水蒸気処理の後、触媒床を350℃において窒素で2時間パージした。床の頂部上の再生した酸化マグネシウムペレットの粉砕強度を測定した(装置:Chatillon, モデル150L)。10個のペレットの粉砕強度測定値の平均値を表1に示す。
【0033】
プロピレン製造試験:
上記の方法によって再生した触媒混合物を18〜30メッシュに粉砕し、反応器(外径3/4インチ、長さ16インチ)に充填し、反応温度を340〜450℃に保持した他は上記に記載のものと同じ反応条件下でプロピレンの製造に関して試験した。試験は5時間続けた。2−ブテン類の転化率及びプロピレンへの選択率を表1に示す。
【0034】
比較例2:
水蒸気処理を省略した他は実施例1の手順を繰り返した。床の頂部上の再生した酸化マグネシウムペレットの粉砕強度は9psigであった。
【0035】
比較例3:
触媒床を、反応器の頂部において7.5gの新しいMgO顆粒(メッシュサイズ18〜30、新しいMgOペレットを粉砕することによって製造した)、反応器の底部において22.5gの新しいMgO顆粒及び7.5gの新しいWO/シリカ顆粒(18〜30メッシュ)から構成した他は実施例1におけるプロピレン製造試験手順を繰り返した。2−ブテン類の転化率及びプロピレンへの選択率を表1に示す。
【0036】
本発明によれば、新しいMgOペレットと同等の粉砕強度を有するMgOを含む再生触媒混合物が製造される。再生した触媒混合物は、新しい触媒混合物とほぼ同等の活性及び選択率を有する。本発明によれば、その性能に影響を与えることなく、触媒混合物、特に酸化マグネシウムの消耗が減少する。
【0037】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)酸化マグネシウムを含む異性化触媒、並びに(ii)無機担体、並びに酸化モリブデン及び酸化タングステンの少なくとも1つを含むメタセシス触媒を含む使用済みの触媒混合物を再生する方法であって、(a)使用済みの触媒混合物を酸素含有ガスの存在下でデコーキングして、デコーキングした触媒混合物を生成させ;そして(b)デコーキングした触媒混合物を100〜300℃の範囲の温度において水蒸気と接触させて再生した触媒混合物を生成させることを含む上記方法。
【請求項2】
工程(b)を150〜250℃の範囲の温度において行う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
異性化触媒が95重量%の酸化マグネシウムを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
メタセシス触媒が酸化タングステンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
無機担体がシリカである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
使用済みの触媒混合物を、線状ブテン及びエチレンからプロピレンを製造するプロセスから回収する、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2012−513895(P2012−513895A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544406(P2011−544406)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/006147
【国際公開番号】WO2010/077265
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(505341095)ライオンデル ケミカル テクノロジー、 エル.ピー. (61)
【氏名又は名称原語表記】LYONDELL CHEMICAL TECHNOLOGY, L.P.
【Fターム(参考)】