触媒担持体の製造方法
【課題】炭素を低温で燃焼させることのできる触媒担持体の製造方法を提供すること。
【解決手段】基材1とこれに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3の製造方法である。以下の水熱工程と含浸工程と焼成工程とを行う。水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理する。これにより、触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。含浸工程においては、基材1に前駆体ゾルを含浸させる。これにより基材1に前駆体を担持させる。焼成工程においては、前駆体を担持した基材1を焼成する。これにより前駆体を触媒材料に転化させる。
【解決手段】基材1とこれに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3の製造方法である。以下の水熱工程と含浸工程と焼成工程とを行う。水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理する。これにより、触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。含浸工程においては、基材1に前駆体ゾルを含浸させる。これにより基材1に前駆体を担持させる。焼成工程においては、前駆体を担持した基材1を焼成する。これにより前駆体を触媒材料に転化させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材とこれに担持された触媒材料とを有し、排ガスの浄化に用いることができる触媒担持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジン等の内燃機関においては、エンジンから排出される煤が問題になっている。そこで、エンジンの排気管に、煤等の炭素に対する燃焼促進作用を有する、白金アルミナ等よりなる触媒を備えた浄化装置を介在させ、排ガス中の煤を除去することが行われている。この浄化装置においては、触媒材料を担持させたセラミックハニカム構造体が容器に収納されており、この容器に煤を含んだ排ガスを透過させることにより排ガス中の煤を除去することができる。
【0003】
一般に、セラミックハニカム構造体は、浄化装置内において再生利用される。即ち、排ガスの浄化に用いられたハニカム構造体には煤が蓄積する。そこで、過剰な燃料を燃やしてハニカム構造体の温度を上昇させるという再生過程により、ハニカム構造体にたまった煤を燃焼除去することができる。
【0004】
ところが、白金アルミナからなる従来の触媒材料を担持したハニカム構造体は、600℃以上という高温で加熱されなければ煤が燃焼除去されない。このような燃焼除去による再生過程においてハニカム構造体を高温にするためには、燃料を多く消費してしまうため、燃費が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、再生時の燃焼温度の低下が可能なハニカム構造体に担持させる触媒材料の開発が要求されている。具体的には、例えばアルカリ元素を主成分とするアルカリ系触媒材料が提案されている(特許文献1参照)。かかる触媒材料を担持したハニカム構造体は、比較的低温で煤を燃焼させ、再生を行うことができるとされている。また、低温活性を示す材料として酸化銀が知られている(たとえば非特許文献1参照)。
また、複数の異なる結晶型を有するデラフォサイト型酸化物が混在した混合層を有する結晶構造よりなる酸化物を、排ガス清浄触媒として用いることが提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−271634号公報
【特許文献2】特開2000−25548号公報
【非特許文献1】John P.A.Neeft et al.,FUEL77,No.3,pp.111−119,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アルカリ系触媒材料は耐水性に問題があった。アルカリ系触媒材料は、アルカリ元素濃度と活性温度との間に正負の相関があり、アルカリ元素濃度が高くなればなるほど、煤を燃焼させる温度を低くすることができる。その一方、アルカリ元素濃度と水に対する触媒材料のアルカリ元素溶解量との関係には、正の関係があり、触媒中のアルカリ元素濃度が高濃度であればあるほど、水に溶出されやすくなる。これは、触媒が水と接触した時に、触媒中のアルカリ元素が水に溶出されやすくなることを意味する。そのため、触媒を担持させたハニカム触媒体が、被水すると、アルカリ元素が水に溶出する。コージェライト等のセラミックからなるハニカム触媒体は、アルカリ元素に腐食されやすいため、このとき、アルカリ系触媒材料がハニカム構造体を腐食するおそれがあった。
また、アルカリ元素が溶出した後、アルカリ系触媒材料は、触媒自体の性能が劣化してしまう。そのため、排ガスの浄化が十分に行われ難くなるという問題があった。
【0008】
また、酸化銀は、一度煤を燃焼させると自らの持つ酸素を放出して分解してしまう。そのため、容易には元の酸化物に戻らず、また分解した際に凝集してしまうために、大きく活性が低下する点や、硫黄が存在する環境で使用すると銀がむき出しとなっているために、硫化銀あるいは硫酸銀となって活性が失われるという問題があった。
また、デラフォサイト型酸化物が混在した混合層を有する結晶構造よりなる酸化物は、層間に吸蔵する酸素が酸素濃度を一定に保つ作用はあるものの、煤の燃焼触媒として採用した場合に煤を低温燃焼させる活性は有していなかった。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点を鑑みてなされたものであって、炭素を低温で燃焼させることのできる触媒担持体の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材と、該基材に担持された触媒材料とを有する触媒担持体の製造方法において、
アルミニウム源と、酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る水熱工程と、
上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる含浸工程と、
上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる焼成工程とを有することを特徴とする触媒担持体の製造方法にある(請求項1)。
【0011】
本発明においては、上記水熱工程と上記含浸工程と上記焼成工程とを行うことにより、上記触媒担持体を製造する。
上記水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理する。これにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。上記含浸工程においては、上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させる。これにより、上記基材に上記前駆体を担持させる。上記焼成工程においては、上記前駆体を担持した上記基材を焼成する。これにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる。
【0012】
上記触媒材料は、層状アルミナに銀が分散された構造を有すると考えられる。ここで、分散とは、例えば層状アルミナと面状の界面を形成している状態をいう。さらに層状アルミナに銀が分散された構造とは、アルミナと銀との層状構造を示し、層状構造は、薄片が互いに積層した構造を示す。
【0013】
上記基材に担持された上記触媒材料は、炭素に対する燃焼促進作用を示すことができる。そして、本発明の製造方法によって製造された上記触媒担持体においては、上記基材に担持された上記触媒材料が、上記基材に担持させることによってその特性をほとんど劣化させることなく、上記触媒材料が本来有する優れた上記燃焼促進作用を示すことができる。
【0014】
例えば、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理して得られる前駆体ゾルを、基材に担持させることなく焼成しても、炭素に対する優れた燃焼促進作用を有する触媒材料を得ることができる。そして、該触媒材料をバインタとしてのアルミナゾルを用いてスラリー化し、得られるスラリーに基材を浸漬してスラリーを基材にコートするという従来の担持方法によっても、基材に触媒材料が担持された触媒担持体を得ることができる。しかし、かかる触媒担持体の活性温度は触媒材料自身の活性温度に比べると100℃以上高い温度でしか煤を燃焼できなくなる。また、仮にバインダ無しで担持させた場合には、基材から容易に脱落してしまう。
【0015】
これに対し、本発明の製造方法によって製造される上記触媒担持体は、上記触媒材料が本来有する優れた触媒活性をほとんど損ねることなく、上記基材に担持された上記触媒担持体が炭素に対する優れた燃焼促進作用を発揮できる。そのため、上記触媒担持体は、基材に担持されていない状態の触媒材料と同程度の低温で炭素を燃焼させることができる。
【0016】
また、上記触媒担持体において、上記触媒材料は、上記焼成工程における焼成により上記基材に担持されている。そのため、使用中に上記基材から上記触媒材料が滑落することを防止することができる。
また、上記触媒材料は、従来のアルカリ系触媒材料よりも耐水性にも優れている。そのため、上記触媒担持体は、水分が存在する環境下においても、長期間安定して優れた触媒活性を示すことができる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、炭素を低温で燃焼させることのできる触媒担持体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記水熱工程においては、上述のごとく、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを、有機酸の共存下で水熱処理する。即ち、上記水熱工程においては、上記アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを、有機酸及び高温高圧の熱水の存在下で反応させる。具体的には、例えばアルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀と有機酸と水とを圧力容器内に封入して加熱することにより水熱処理を行うことができる。
【0019】
上記水熱処理は、温度150℃以上で行うことが好ましい(請求項2)。
温度150℃未満の場合には、銀イオンを安定に保持することができず、上記触媒材料の収率が低下するおそれがある。その結果、最終的に得られる上記触媒担持体の触媒活性が低下するおそれがある。また、経済的な観点からは、上記水熱処理は温度200℃以下で行うことが好ましい。
【0020】
上記アルミニウム源としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びオキシ水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を採用することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記水熱工程における上記アルミニウム源の反応性が高まり、上記触媒材料の上記前駆体をより生成し易くなる。
【0021】
上記アルミニウム源としては、δアルミナ、θアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種を採用することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記水熱処理の際に、銀と複合化したベーマイトを生成し易くなり、上記触媒材料の上記前駆体をより一層生成し易くなる。その結果、上記触媒材料の生成量が向上し、触媒活性により優れた上記触媒担持体を得ることができる。
【0022】
上記有機酸としては、例えば銀に対する還元作用を有するカルボン酸を用いることができる。上記水熱工程において、有機酸を用いることにより、粒径の大きなデラフォサイトが生成してしまうことを抑制することができる。デラフォサイトが生成すると、上記水熱工程において、触媒材料が沈殿し、ゾルを得ることができなくなる。
【0023】
また、経済的な観点から、上記有機酸としては、酢酸及び/又はクエン酸を採用することが好ましい(請求項5)。
【0024】
次に、上記含浸工程においては、上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる。
上記基材としては、例えばコージェライト、アルミナ、チタン酸アルミ、SiC、又はチタニア等を主成分とするものを採用することができる。
また、上記基材としては、例えばペレット形状、フィルタ形状、フォーム形状、フロースルー型のモノリス形状等を採用することができる。
【0025】
上記基材としては、セラミックスからなる多孔質体を採用することが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記多孔質体の内部に上記触媒材料を担持させることできる。そのため、上記触媒材料の担持量を向上させることができる。
【0026】
上記基材としては、外周壁と、該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁と、該隔壁により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセルとを有するセラミックハニカム構造体を採用することが好ましい(請求項7)。
また、上記基材は、コーディエライト又はSiCからなることが好ましい(請求項8)。
これらの場合には、上記触媒担持体を排ガス浄化用としてより好適なものにすることができる。
上記セラミックハニカム構造体としては、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルがハニカム構造体の両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
【0027】
上記含浸工程においては、上記前駆体ゾルに上記基材を浸漬することが好ましい(請求項9)。
この場合には、簡単な操作で上記前駆体ゾルを上記基材に含浸させ、上記前駆体を上記基材に担持させることができる。
【0028】
また、上記含浸工程においては、上記基材の例えば上記隔壁等の全体に上記前駆体を担持させることもできるが、部分的に担持させることもできる。
また、上記含浸工程においては、上記基材を上記前駆体ゾルに浸漬し、吸引により上記基材に上記前駆体を担持させることができる。例えば上記基材が微細な細孔を有する多孔質状である場合には、上述のごとく吸引を行うことにより、細孔内部にまで上記前駆体ゾルを浸透させ、上記前駆体を担持させることができる。
【0029】
次に、上記焼成工程においては、上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる。このとき、上記前駆体においては脱水反応が起こると考えられる。
上記焼成工程においては、上記基材を温度500℃以上で焼成することが好ましい(請求項10)。
焼成温度が500℃未満の場合には、上記触媒材料への転化が充分に行われにくくなるおそれがある。即ち、上記焼成工程において、上記前駆体の脱水反応が十分に行われず、上記触媒材料にプロトン(H+)が残存してしまうおそれがある。その結果、上記触媒材料の触媒活性が低下してしまうおそれがある。また、非常に高い温度で焼成を行うと、上記触媒材料における銀とアルミナとの積層周期が長くなり、銀−アルミナ界面が減少してしまうという観点から、焼成温度は1000℃以下であることがよい。
【0030】
上記触媒担持体は、内燃機関から排出される排ガスの排気経路に設けて排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタとして用いられることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記触媒担持体に担持された上記触媒材料が有する炭素に対する燃焼促進作用という優れた触媒活性を生かして、上記排ガス中に含まれる煤などの炭素を燃焼除去することができる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
次に、本発明の実施例について、図1〜図11を用いて説明する。
本例は、図1〜図3に示すごとく、基材1と、これに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3を製造する例である。
図1〜図3に示すごとく、触媒担持体3は、基材1として、外周壁11と、その内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁12と、この隔壁12により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセル2とを有するセラミックハニカム構造体を有している。
【0032】
上述のごとく、基材1において、セル2は、基材の両端面13、14に部分的に開口している。即ち、各セル2は、基材1の一方の端面13(14)に開口し、もう一方の端面14(13)に形成された栓部22によって閉塞している。
図1及び図2に示すように、本例においては、セル2の両端面13、14における開口部21と栓部22とは交互に配置されており、所謂市松模様を形成している。そして、基材1の隔壁12には、触媒材料10が担持されている。
【0033】
また、図3に示すごとく、本例の触媒担持体3においては、排ガス100の入口側となる上流側端面13及び排ガス100の出口となる下流側端面14に位置するセル2の端部は、栓部22が配置された部分(栓部22)と配置されていない部分(開口部21)とをそれぞれ交互に有している。そして、隔壁12には多数の空孔が形成され、排ガス100が通過できるようになっている。
【0034】
また、本例の基材1の全体サイズは、直径160mm、長さ100mmであり、セルサイズは、セル厚さ3mm、セルピッチ1.47mmである。また、基材1はコーディエライトからなり、そのセル2は、断面が四角形状のものを採用した。セル2は、その他にも例えば、三角形、六角形等の様々な断面形状を採用することができる。
【0035】
次に、本例の触媒担持体の製造方法について説明する。
本例においては、水熱工程と含浸工程と焼成工程とを行うことにより、基材1に触媒材料10が担持された触媒担持体3を作製する(図1〜図3参照)。
水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。
含浸工程においては、図9に示すごとく、基材1に前駆体ゾル5を含浸させてこの基材1に前駆体を担持させる。
焼成工程においては、前駆体が担持した基材を焼成することにより前駆体ゾルを触媒材料に転化させる。
【0036】
以下、本例の製造方法につき、詳細に説明する。
まず、以下のようにして基材として用いるセラミックハニカム構造体を作製する。
具体的には、まず、タルク、溶融シリカ、及び水酸化アルミニウムを所望のコーディエライト組成となるように秤量し、造孔剤、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌した。そして、得られた粘土質のセラミック材料を成形機にて押出成形し、ハニカム状の成形体を得た。
【0037】
次いでこの成形体を乾燥した後、所望の長さに切断し、図4に示すごとく、外周壁41と、その内側においてハニカム状に設けられた隔壁42と、隔壁42により仕切られていると共に両端面43、44に貫通してなる複数のセル2とを有する成形体4を作製した。
【0038】
次いで、成形体4を温度1400〜1450℃で2〜10時間加熱することにより仮焼して、ハニカム構造の仮焼体4を得た。この仮焼体は、図4に示される成形体4と実質的な形状は同じものである。
【0039】
次に、図5に示すごとく、ハニカム構造の仮焼体4の両端面43、44全体を覆うようにマスキングテープ5を貼り付けた。そして、図6および図7に示すごとく、レーザ発射手段501を備えた貫通穴形成装置50を用いて、仮焼体4の両端面43、44の栓詰めすべき部分225に対応するマスキングテープ5に、レーザ光500を順次照射し、マスキングテープ5を溶融又は焼却・除去して貫通穴221を形成した。
【0040】
これにより、セル2の端部における栓部22により栓詰めすべき部分225が貫通穴221により開口し、セル2の端部におけるその他の部分がマスキングテープ5で覆われた状態の仮焼体4を得た(図2及び図7参照)。
なお、本例においては、図7に示すごとく、セル2の両端面43、44に貫通穴221とマスキングテープ5で覆われた部分とが交互に配置するように、マスキングテープ5に貫通穴221を形成した。また、本例では、マスキングテープ5として、厚さ0.1mmの樹脂フィルムを用いた。
【0041】
次に、栓部22の材料である栓材の主原料となるタルク、溶融シリカ、アルミナ、及び水酸化アルミニウムを、所望の組成となるように秤量し、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌することにより、スラリー状の栓材を作製した。このとき、必要に応じて造孔材を添加することもできる。
【0042】
図8に示すごとく、スラリー状の栓材220を入れた容器229を準備した後、上記穴開け工程後のハニカム構造の仮焼体4の端面43を浸漬した。これにより、マスキングテープ5の貫通穴221からセル2の端部に栓材220を適量浸入させた(図7及び図8参照)。
また、仮焼体4のもう一方の端面44についても、図8と同様の工程を行った。このようにして、セル2の栓詰めすべき部分225内に栓材220が配置された仮焼体4を得た。
【0043】
次に、仮焼体4とその栓詰めすべき部分225に配置した栓材220とを同時に約1400〜1450℃で焼成した。これにより、マスキングテープ5は焼却除去され、図1に示すごとく、セル2の両端に、その端部を開口する複数の開口部21と、セル2の端部を閉塞する複数の栓部22とが形成されたセラミックハニカム構造体よりなる基材1を作製した。
【0044】
次に、以下のようにして、基材1に触媒材料を担持させて触媒担持体を作製する。
具体的には、まず、酸化銀11g、θアルミナ(Al源)5gをイオン交換水100ml中に分散させて、そこに、酢酸(有機酸)12gを加え攪拌した後、圧力容器に封入して、175℃で48時間、水熱処理を行った。これにより緑色の前駆体ゾルを得た。
【0045】
次に、図9に示すごとく、前駆体ゾル5中に、セラミックハニカム構造体よりなる基材1を浸漬し、基材1に前駆体ゾル5を含浸させた(含浸工程)。その後、過剰なゾルをエアブローで除去し、乾燥させた。さらに浸漬と乾燥を繰り返すことにより、触媒材料の前駆体を基材1に担持させた。
次に、前駆体が担持した基材1を温度500℃で4時間焼成した(焼成工程)。これにより、前駆体を触媒に転化させた。
このようにして、上記図1及び図2に示すごとく、基材1と、これに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3を得た。これを試料E1とする。
【0046】
本例の触媒担持体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。触媒材料10が担持した基材1の隔壁12を、この隔壁12と対向する上面から観察した様子(SEM写真)を図10(b)に示す。また、触媒材料が担持した隔壁12の断面を観察した様子(SEM写真)を図10(c)に示す。
図10(b)及び図10(c)に示すごとく、触媒材料10は、セル2の内面すなわち隔壁12および多孔質状の隔壁12の空孔内に100〜200ナノメートルの厚みで担持していることがわかった(図2参照)。
なお、図10においては、比較用として、触媒を担持させていない基材1の隔壁12を、この隔壁12と対向する上面から観察した様子(SEM写真)を図10(a)として示す。
【0047】
次に、上記試料E1について、煤の燃焼特性を評価した。
具体的には、まず、煤発生器を用いて、本例の触媒担持体(試料E1)に1g/L相当の煤を堆積させた。そして、これを管状炉内に配置し、酸素を10体積%含む窒素気流中で昇温速度10℃/分で昇温させ、このときのCO2発生量を観測した。
CO2発生量は、(株)堀場製作所製の触媒分析装置「SIGU−2000」により測定した。
その結果を図11(試料E1の線グラフ)に示す。
【0048】
また、本例においては、触媒材料自体の特性を調べるために、基材へ担持させていない状態の触媒材料を作製した。
具体的には、まず、上記試料E1の場合と同様にして前駆体ゾルを作製した。
次いで、前駆体ゾルを蒸発乾固させた後、温度500℃で焼成した。これにより、触媒材料を得た。これを試料C1とする。
【0049】
試料C1について、X線回折(XRD)を行った。その結果(X線回折スペクトル)を図12に示すようなブロードな銀の回折線が得られた。また、透過電子顕微鏡および電子線回折で確認した結果、触媒材料(試料C1)は、図13に示すような銀700と銀ベータアルミナ701が交互に積層した層状銀アルミナであることがわかった。また、ラマンスペクトルを調べた結果、図14に示すように700cm-1付近にダンベル状O−Ag−Oの振動に帰属されるスペクトルが観測された。したがって、触媒材料は、O−Ag−Oのダンベル構造を有する層状銀アルミナであることがわかった。
【0050】
なお、XRD測定によるX線回折スペクトルを求める方法として、以下の方法を採用した。
すなわち、装置としては、リガクRINT2000(理学電機(株)製)を用い、条件としては、線源:Cu−Kα、管電圧:50kV、管電流:100mA、DS:(1/2)°、SS:1°、RS:0.3mm、モノクロメータ、0.02°ステップスキャン、積分時間:0.5secとして、測定を行った。
【0051】
また、ラマンスペクトルの測定条件は、次の通りである。
即ち、評価装置:HORIBA JOBIN YVON社製HR−800、評価条件:532nm、50mW、100μmホール、D2スリット、600gr/mmである。
【0052】
次に、触媒材料(試料C1)自身の特性評価を示差熱熱重量同時測定装置によって行った。
具体的には、まず、触媒材料(試料C1)100重量部と炭素微粉5重量部とを乳鉢で混合した。次いで、この混合粉を加熱し、加熱時の加熱温度と重量変化を、示差熱熱重量同時測定装置を用いて測定した。
示差熱熱重量同時測定装置としては、(株)エスエスアイナノテクノロジー製のEXSTAR6000 TG/DTAを用いた。
この測定は、10vol%のO2ガスと90Vol%のN2ガスとからなる混合ガスを、100ml/minで上記混合粉にフローさせながら、昇温速度10℃/minで混合粉を加熱することによって行った。その結果を図11(試料C1の線グラフ)に示す。図11は、重量変化と加熱温度との関係を示す線図である。ここで、重量変化は燃焼速度として示してある。
【0053】
次に、本例においては、試料E1の比較用として、触媒材料をアルミナゾルによりディップコートした触媒担持体(試料C2)を作製し、その特性を評価した。
具体的には、まず、上記試料E1の場合と同様に、前駆体ゾルを作製した。
次いで、この前駆体ゾルを乾燥させ、固形分にし、この固形分を10wt%のアルミナを含むアルミナゾルに分散させて、前駆体が分散したアルミナゾルを得た。
【0054】
次いで、上記試料E1と同様にして作製したセラミックハニカム構造体からなる基材を、前駆体が分散した上述のアルミナゾル中に浸漬し、乾燥させた。さらに浸漬と乾燥を繰り返すことにより、前駆体を含むアルミナゾルを基材に担持させた。その後、基材を温度500℃で4時間焼成し、前駆体を触媒材料に転化させた。
【0055】
このようにして、基材にアルミナからなる接着層を形成すると共に、この接着層に触媒材料が分散して担持された触媒担持体を得た。これを試料C2とする。
試料C2についても、上記試料E1と同様にして、煤の燃焼特性を評価した。その結果を図11(試料C2の線グラフ)に示す。
【0056】
図11より知られるごとく、触媒材料自体(試料C1)は、温度200℃台という低温で炭素微粉末を燃焼することができ、優れた触媒活性を有することがわかる。
一方、試料C1と同様の触媒材料がアルミナからなる接着層により担持された触媒担持体(試料C2)においては、燃焼の立ち上がりが高温側に大きくシフトしており、触媒活性が低下していた。また、燃焼速度も遅くなっていた。
これに対し、上記水熱工程、上記含浸工程、及び上記焼成工程を行って作製した触媒担持体(試料E1)は、燃焼の立ち上がりが触媒材料自体(試料C1)によく一致しており、煤等の炭素を低温で燃焼できることがわかる。
即ち、本例の製造方法によれば、触媒材料が本来有する優れた触媒活性をほとんど損ねることなく、触媒材料が基材に担持された触媒担持体(試料E1)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1にかかる、触媒担持体の外観を示す斜視図。
【図2】実施例1にかかる、触媒担持体の長手方向の断面図。
【図3】実施例1にかかる、触媒担持体のセル内を排ガスが通過する様子を示す説明図。
【図4】実施例1にかかる、成形体の外観を示す斜視図。
【図5】実施例1にかかる、ハニカム構造の基材の端面にマスキングテープを配置する様子を示す説明図。
【図6】実施例1にかかる、マスキングテープに貫通穴を形成する様子を示す説明図。
【図7】実施例1にかかる、マスキングテープに貫通穴を形成した状態のハニカム構造を有する基材の断面図。
【図8】実施例1にかかる、基材を栓材に浸漬する様子を示す説明図。
【図9】実施例1にかかる、基材を触媒材料の前駆体ゾルに浸漬し、基材に前駆体を担持させる様子を示す説明図。
【図10】実施例1にかかる、触媒を担持させていない基材の隔壁を、この隔壁と対向する上面から観察した様子を示す写真代用図(a)、触媒材料が担持した基材の隔壁を、この隔壁と対向する上面から観察した様子を示す写真代用図(b)、触媒材料が担持した隔壁の断面を観察した様子を示す写真代用図(c)。
【図11】実施例1にかかる、触媒担持体(試料E1及び試料C2)及び触媒材料(試料C1)の煤の燃焼速度と加熱温度との関係を示す線図。
【図12】実施例1にかかる、触媒材料のXRDによるX線回折スペクトルを示す説明図図。
【図13】実施例1にかかる、層状に銀とアルミナが積層した触媒材料の構造を示す説明図。
【図14】実施例1にかかる、触媒材料のラマンスペクトルを示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 基材
11 外周壁
12 隔壁
2 セル
3 触媒担持体
【技術分野】
【0001】
本発明は、基材とこれに担持された触媒材料とを有し、排ガスの浄化に用いることができる触媒担持体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ディーゼルエンジン等の内燃機関においては、エンジンから排出される煤が問題になっている。そこで、エンジンの排気管に、煤等の炭素に対する燃焼促進作用を有する、白金アルミナ等よりなる触媒を備えた浄化装置を介在させ、排ガス中の煤を除去することが行われている。この浄化装置においては、触媒材料を担持させたセラミックハニカム構造体が容器に収納されており、この容器に煤を含んだ排ガスを透過させることにより排ガス中の煤を除去することができる。
【0003】
一般に、セラミックハニカム構造体は、浄化装置内において再生利用される。即ち、排ガスの浄化に用いられたハニカム構造体には煤が蓄積する。そこで、過剰な燃料を燃やしてハニカム構造体の温度を上昇させるという再生過程により、ハニカム構造体にたまった煤を燃焼除去することができる。
【0004】
ところが、白金アルミナからなる従来の触媒材料を担持したハニカム構造体は、600℃以上という高温で加熱されなければ煤が燃焼除去されない。このような燃焼除去による再生過程においてハニカム構造体を高温にするためには、燃料を多く消費してしまうため、燃費が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、再生時の燃焼温度の低下が可能なハニカム構造体に担持させる触媒材料の開発が要求されている。具体的には、例えばアルカリ元素を主成分とするアルカリ系触媒材料が提案されている(特許文献1参照)。かかる触媒材料を担持したハニカム構造体は、比較的低温で煤を燃焼させ、再生を行うことができるとされている。また、低温活性を示す材料として酸化銀が知られている(たとえば非特許文献1参照)。
また、複数の異なる結晶型を有するデラフォサイト型酸化物が混在した混合層を有する結晶構造よりなる酸化物を、排ガス清浄触媒として用いることが提案されている(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2001−271634号公報
【特許文献2】特開2000−25548号公報
【非特許文献1】John P.A.Neeft et al.,FUEL77,No.3,pp.111−119,1998
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、アルカリ系触媒材料は耐水性に問題があった。アルカリ系触媒材料は、アルカリ元素濃度と活性温度との間に正負の相関があり、アルカリ元素濃度が高くなればなるほど、煤を燃焼させる温度を低くすることができる。その一方、アルカリ元素濃度と水に対する触媒材料のアルカリ元素溶解量との関係には、正の関係があり、触媒中のアルカリ元素濃度が高濃度であればあるほど、水に溶出されやすくなる。これは、触媒が水と接触した時に、触媒中のアルカリ元素が水に溶出されやすくなることを意味する。そのため、触媒を担持させたハニカム触媒体が、被水すると、アルカリ元素が水に溶出する。コージェライト等のセラミックからなるハニカム触媒体は、アルカリ元素に腐食されやすいため、このとき、アルカリ系触媒材料がハニカム構造体を腐食するおそれがあった。
また、アルカリ元素が溶出した後、アルカリ系触媒材料は、触媒自体の性能が劣化してしまう。そのため、排ガスの浄化が十分に行われ難くなるという問題があった。
【0008】
また、酸化銀は、一度煤を燃焼させると自らの持つ酸素を放出して分解してしまう。そのため、容易には元の酸化物に戻らず、また分解した際に凝集してしまうために、大きく活性が低下する点や、硫黄が存在する環境で使用すると銀がむき出しとなっているために、硫化銀あるいは硫酸銀となって活性が失われるという問題があった。
また、デラフォサイト型酸化物が混在した混合層を有する結晶構造よりなる酸化物は、層間に吸蔵する酸素が酸素濃度を一定に保つ作用はあるものの、煤の燃焼触媒として採用した場合に煤を低温燃焼させる活性は有していなかった。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点を鑑みてなされたものであって、炭素を低温で燃焼させることのできる触媒担持体の製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、基材と、該基材に担持された触媒材料とを有する触媒担持体の製造方法において、
アルミニウム源と、酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る水熱工程と、
上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる含浸工程と、
上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる焼成工程とを有することを特徴とする触媒担持体の製造方法にある(請求項1)。
【0011】
本発明においては、上記水熱工程と上記含浸工程と上記焼成工程とを行うことにより、上記触媒担持体を製造する。
上記水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理する。これにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。上記含浸工程においては、上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させる。これにより、上記基材に上記前駆体を担持させる。上記焼成工程においては、上記前駆体を担持した上記基材を焼成する。これにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる。
【0012】
上記触媒材料は、層状アルミナに銀が分散された構造を有すると考えられる。ここで、分散とは、例えば層状アルミナと面状の界面を形成している状態をいう。さらに層状アルミナに銀が分散された構造とは、アルミナと銀との層状構造を示し、層状構造は、薄片が互いに積層した構造を示す。
【0013】
上記基材に担持された上記触媒材料は、炭素に対する燃焼促進作用を示すことができる。そして、本発明の製造方法によって製造された上記触媒担持体においては、上記基材に担持された上記触媒材料が、上記基材に担持させることによってその特性をほとんど劣化させることなく、上記触媒材料が本来有する優れた上記燃焼促進作用を示すことができる。
【0014】
例えば、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理して得られる前駆体ゾルを、基材に担持させることなく焼成しても、炭素に対する優れた燃焼促進作用を有する触媒材料を得ることができる。そして、該触媒材料をバインタとしてのアルミナゾルを用いてスラリー化し、得られるスラリーに基材を浸漬してスラリーを基材にコートするという従来の担持方法によっても、基材に触媒材料が担持された触媒担持体を得ることができる。しかし、かかる触媒担持体の活性温度は触媒材料自身の活性温度に比べると100℃以上高い温度でしか煤を燃焼できなくなる。また、仮にバインダ無しで担持させた場合には、基材から容易に脱落してしまう。
【0015】
これに対し、本発明の製造方法によって製造される上記触媒担持体は、上記触媒材料が本来有する優れた触媒活性をほとんど損ねることなく、上記基材に担持された上記触媒担持体が炭素に対する優れた燃焼促進作用を発揮できる。そのため、上記触媒担持体は、基材に担持されていない状態の触媒材料と同程度の低温で炭素を燃焼させることができる。
【0016】
また、上記触媒担持体において、上記触媒材料は、上記焼成工程における焼成により上記基材に担持されている。そのため、使用中に上記基材から上記触媒材料が滑落することを防止することができる。
また、上記触媒材料は、従来のアルカリ系触媒材料よりも耐水性にも優れている。そのため、上記触媒担持体は、水分が存在する環境下においても、長期間安定して優れた触媒活性を示すことができる。
【0017】
以上のように、本発明によれば、炭素を低温で燃焼させることのできる触媒担持体の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
次に、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
上記水熱工程においては、上述のごとく、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを、有機酸の共存下で水熱処理する。即ち、上記水熱工程においては、上記アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを、有機酸及び高温高圧の熱水の存在下で反応させる。具体的には、例えばアルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀と有機酸と水とを圧力容器内に封入して加熱することにより水熱処理を行うことができる。
【0019】
上記水熱処理は、温度150℃以上で行うことが好ましい(請求項2)。
温度150℃未満の場合には、銀イオンを安定に保持することができず、上記触媒材料の収率が低下するおそれがある。その結果、最終的に得られる上記触媒担持体の触媒活性が低下するおそれがある。また、経済的な観点からは、上記水熱処理は温度200℃以下で行うことが好ましい。
【0020】
上記アルミニウム源としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びオキシ水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を採用することが好ましい(請求項3)。
この場合には、上記水熱工程における上記アルミニウム源の反応性が高まり、上記触媒材料の上記前駆体をより生成し易くなる。
【0021】
上記アルミニウム源としては、δアルミナ、θアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種を採用することが好ましい(請求項4)。
この場合には、上記水熱処理の際に、銀と複合化したベーマイトを生成し易くなり、上記触媒材料の上記前駆体をより一層生成し易くなる。その結果、上記触媒材料の生成量が向上し、触媒活性により優れた上記触媒担持体を得ることができる。
【0022】
上記有機酸としては、例えば銀に対する還元作用を有するカルボン酸を用いることができる。上記水熱工程において、有機酸を用いることにより、粒径の大きなデラフォサイトが生成してしまうことを抑制することができる。デラフォサイトが生成すると、上記水熱工程において、触媒材料が沈殿し、ゾルを得ることができなくなる。
【0023】
また、経済的な観点から、上記有機酸としては、酢酸及び/又はクエン酸を採用することが好ましい(請求項5)。
【0024】
次に、上記含浸工程においては、上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる。
上記基材としては、例えばコージェライト、アルミナ、チタン酸アルミ、SiC、又はチタニア等を主成分とするものを採用することができる。
また、上記基材としては、例えばペレット形状、フィルタ形状、フォーム形状、フロースルー型のモノリス形状等を採用することができる。
【0025】
上記基材としては、セラミックスからなる多孔質体を採用することが好ましい(請求項6)。
この場合には、上記多孔質体の内部に上記触媒材料を担持させることできる。そのため、上記触媒材料の担持量を向上させることができる。
【0026】
上記基材としては、外周壁と、該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁と、該隔壁により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセルとを有するセラミックハニカム構造体を採用することが好ましい(請求項7)。
また、上記基材は、コーディエライト又はSiCからなることが好ましい(請求項8)。
これらの場合には、上記触媒担持体を排ガス浄化用としてより好適なものにすることができる。
上記セラミックハニカム構造体としては、全てのセルが両端面に開口した構造体を用いることもできるが、一部のセルがハニカム構造体の両端面に開口し、残りのセルは両端面に形成された栓部によって閉塞された構造体を用いることもできる。
【0027】
上記含浸工程においては、上記前駆体ゾルに上記基材を浸漬することが好ましい(請求項9)。
この場合には、簡単な操作で上記前駆体ゾルを上記基材に含浸させ、上記前駆体を上記基材に担持させることができる。
【0028】
また、上記含浸工程においては、上記基材の例えば上記隔壁等の全体に上記前駆体を担持させることもできるが、部分的に担持させることもできる。
また、上記含浸工程においては、上記基材を上記前駆体ゾルに浸漬し、吸引により上記基材に上記前駆体を担持させることができる。例えば上記基材が微細な細孔を有する多孔質状である場合には、上述のごとく吸引を行うことにより、細孔内部にまで上記前駆体ゾルを浸透させ、上記前駆体を担持させることができる。
【0029】
次に、上記焼成工程においては、上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる。このとき、上記前駆体においては脱水反応が起こると考えられる。
上記焼成工程においては、上記基材を温度500℃以上で焼成することが好ましい(請求項10)。
焼成温度が500℃未満の場合には、上記触媒材料への転化が充分に行われにくくなるおそれがある。即ち、上記焼成工程において、上記前駆体の脱水反応が十分に行われず、上記触媒材料にプロトン(H+)が残存してしまうおそれがある。その結果、上記触媒材料の触媒活性が低下してしまうおそれがある。また、非常に高い温度で焼成を行うと、上記触媒材料における銀とアルミナとの積層周期が長くなり、銀−アルミナ界面が減少してしまうという観点から、焼成温度は1000℃以下であることがよい。
【0030】
上記触媒担持体は、内燃機関から排出される排ガスの排気経路に設けて排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタとして用いられることが好ましい(請求項11)。
この場合には、上記触媒担持体に担持された上記触媒材料が有する炭素に対する燃焼促進作用という優れた触媒活性を生かして、上記排ガス中に含まれる煤などの炭素を燃焼除去することができる。
【実施例】
【0031】
(実施例1)
次に、本発明の実施例について、図1〜図11を用いて説明する。
本例は、図1〜図3に示すごとく、基材1と、これに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3を製造する例である。
図1〜図3に示すごとく、触媒担持体3は、基材1として、外周壁11と、その内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁12と、この隔壁12により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセル2とを有するセラミックハニカム構造体を有している。
【0032】
上述のごとく、基材1において、セル2は、基材の両端面13、14に部分的に開口している。即ち、各セル2は、基材1の一方の端面13(14)に開口し、もう一方の端面14(13)に形成された栓部22によって閉塞している。
図1及び図2に示すように、本例においては、セル2の両端面13、14における開口部21と栓部22とは交互に配置されており、所謂市松模様を形成している。そして、基材1の隔壁12には、触媒材料10が担持されている。
【0033】
また、図3に示すごとく、本例の触媒担持体3においては、排ガス100の入口側となる上流側端面13及び排ガス100の出口となる下流側端面14に位置するセル2の端部は、栓部22が配置された部分(栓部22)と配置されていない部分(開口部21)とをそれぞれ交互に有している。そして、隔壁12には多数の空孔が形成され、排ガス100が通過できるようになっている。
【0034】
また、本例の基材1の全体サイズは、直径160mm、長さ100mmであり、セルサイズは、セル厚さ3mm、セルピッチ1.47mmである。また、基材1はコーディエライトからなり、そのセル2は、断面が四角形状のものを採用した。セル2は、その他にも例えば、三角形、六角形等の様々な断面形状を採用することができる。
【0035】
次に、本例の触媒担持体の製造方法について説明する。
本例においては、水熱工程と含浸工程と焼成工程とを行うことにより、基材1に触媒材料10が担持された触媒担持体3を作製する(図1〜図3参照)。
水熱工程においては、アルミニウム源と酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る。
含浸工程においては、図9に示すごとく、基材1に前駆体ゾル5を含浸させてこの基材1に前駆体を担持させる。
焼成工程においては、前駆体が担持した基材を焼成することにより前駆体ゾルを触媒材料に転化させる。
【0036】
以下、本例の製造方法につき、詳細に説明する。
まず、以下のようにして基材として用いるセラミックハニカム構造体を作製する。
具体的には、まず、タルク、溶融シリカ、及び水酸化アルミニウムを所望のコーディエライト組成となるように秤量し、造孔剤、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌した。そして、得られた粘土質のセラミック材料を成形機にて押出成形し、ハニカム状の成形体を得た。
【0037】
次いでこの成形体を乾燥した後、所望の長さに切断し、図4に示すごとく、外周壁41と、その内側においてハニカム状に設けられた隔壁42と、隔壁42により仕切られていると共に両端面43、44に貫通してなる複数のセル2とを有する成形体4を作製した。
【0038】
次いで、成形体4を温度1400〜1450℃で2〜10時間加熱することにより仮焼して、ハニカム構造の仮焼体4を得た。この仮焼体は、図4に示される成形体4と実質的な形状は同じものである。
【0039】
次に、図5に示すごとく、ハニカム構造の仮焼体4の両端面43、44全体を覆うようにマスキングテープ5を貼り付けた。そして、図6および図7に示すごとく、レーザ発射手段501を備えた貫通穴形成装置50を用いて、仮焼体4の両端面43、44の栓詰めすべき部分225に対応するマスキングテープ5に、レーザ光500を順次照射し、マスキングテープ5を溶融又は焼却・除去して貫通穴221を形成した。
【0040】
これにより、セル2の端部における栓部22により栓詰めすべき部分225が貫通穴221により開口し、セル2の端部におけるその他の部分がマスキングテープ5で覆われた状態の仮焼体4を得た(図2及び図7参照)。
なお、本例においては、図7に示すごとく、セル2の両端面43、44に貫通穴221とマスキングテープ5で覆われた部分とが交互に配置するように、マスキングテープ5に貫通穴221を形成した。また、本例では、マスキングテープ5として、厚さ0.1mmの樹脂フィルムを用いた。
【0041】
次に、栓部22の材料である栓材の主原料となるタルク、溶融シリカ、アルミナ、及び水酸化アルミニウムを、所望の組成となるように秤量し、バインダー、水等を加え、混合機にて混合撹拌することにより、スラリー状の栓材を作製した。このとき、必要に応じて造孔材を添加することもできる。
【0042】
図8に示すごとく、スラリー状の栓材220を入れた容器229を準備した後、上記穴開け工程後のハニカム構造の仮焼体4の端面43を浸漬した。これにより、マスキングテープ5の貫通穴221からセル2の端部に栓材220を適量浸入させた(図7及び図8参照)。
また、仮焼体4のもう一方の端面44についても、図8と同様の工程を行った。このようにして、セル2の栓詰めすべき部分225内に栓材220が配置された仮焼体4を得た。
【0043】
次に、仮焼体4とその栓詰めすべき部分225に配置した栓材220とを同時に約1400〜1450℃で焼成した。これにより、マスキングテープ5は焼却除去され、図1に示すごとく、セル2の両端に、その端部を開口する複数の開口部21と、セル2の端部を閉塞する複数の栓部22とが形成されたセラミックハニカム構造体よりなる基材1を作製した。
【0044】
次に、以下のようにして、基材1に触媒材料を担持させて触媒担持体を作製する。
具体的には、まず、酸化銀11g、θアルミナ(Al源)5gをイオン交換水100ml中に分散させて、そこに、酢酸(有機酸)12gを加え攪拌した後、圧力容器に封入して、175℃で48時間、水熱処理を行った。これにより緑色の前駆体ゾルを得た。
【0045】
次に、図9に示すごとく、前駆体ゾル5中に、セラミックハニカム構造体よりなる基材1を浸漬し、基材1に前駆体ゾル5を含浸させた(含浸工程)。その後、過剰なゾルをエアブローで除去し、乾燥させた。さらに浸漬と乾燥を繰り返すことにより、触媒材料の前駆体を基材1に担持させた。
次に、前駆体が担持した基材1を温度500℃で4時間焼成した(焼成工程)。これにより、前駆体を触媒に転化させた。
このようにして、上記図1及び図2に示すごとく、基材1と、これに担持された触媒材料10とを有する触媒担持体3を得た。これを試料E1とする。
【0046】
本例の触媒担持体を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した。触媒材料10が担持した基材1の隔壁12を、この隔壁12と対向する上面から観察した様子(SEM写真)を図10(b)に示す。また、触媒材料が担持した隔壁12の断面を観察した様子(SEM写真)を図10(c)に示す。
図10(b)及び図10(c)に示すごとく、触媒材料10は、セル2の内面すなわち隔壁12および多孔質状の隔壁12の空孔内に100〜200ナノメートルの厚みで担持していることがわかった(図2参照)。
なお、図10においては、比較用として、触媒を担持させていない基材1の隔壁12を、この隔壁12と対向する上面から観察した様子(SEM写真)を図10(a)として示す。
【0047】
次に、上記試料E1について、煤の燃焼特性を評価した。
具体的には、まず、煤発生器を用いて、本例の触媒担持体(試料E1)に1g/L相当の煤を堆積させた。そして、これを管状炉内に配置し、酸素を10体積%含む窒素気流中で昇温速度10℃/分で昇温させ、このときのCO2発生量を観測した。
CO2発生量は、(株)堀場製作所製の触媒分析装置「SIGU−2000」により測定した。
その結果を図11(試料E1の線グラフ)に示す。
【0048】
また、本例においては、触媒材料自体の特性を調べるために、基材へ担持させていない状態の触媒材料を作製した。
具体的には、まず、上記試料E1の場合と同様にして前駆体ゾルを作製した。
次いで、前駆体ゾルを蒸発乾固させた後、温度500℃で焼成した。これにより、触媒材料を得た。これを試料C1とする。
【0049】
試料C1について、X線回折(XRD)を行った。その結果(X線回折スペクトル)を図12に示すようなブロードな銀の回折線が得られた。また、透過電子顕微鏡および電子線回折で確認した結果、触媒材料(試料C1)は、図13に示すような銀700と銀ベータアルミナ701が交互に積層した層状銀アルミナであることがわかった。また、ラマンスペクトルを調べた結果、図14に示すように700cm-1付近にダンベル状O−Ag−Oの振動に帰属されるスペクトルが観測された。したがって、触媒材料は、O−Ag−Oのダンベル構造を有する層状銀アルミナであることがわかった。
【0050】
なお、XRD測定によるX線回折スペクトルを求める方法として、以下の方法を採用した。
すなわち、装置としては、リガクRINT2000(理学電機(株)製)を用い、条件としては、線源:Cu−Kα、管電圧:50kV、管電流:100mA、DS:(1/2)°、SS:1°、RS:0.3mm、モノクロメータ、0.02°ステップスキャン、積分時間:0.5secとして、測定を行った。
【0051】
また、ラマンスペクトルの測定条件は、次の通りである。
即ち、評価装置:HORIBA JOBIN YVON社製HR−800、評価条件:532nm、50mW、100μmホール、D2スリット、600gr/mmである。
【0052】
次に、触媒材料(試料C1)自身の特性評価を示差熱熱重量同時測定装置によって行った。
具体的には、まず、触媒材料(試料C1)100重量部と炭素微粉5重量部とを乳鉢で混合した。次いで、この混合粉を加熱し、加熱時の加熱温度と重量変化を、示差熱熱重量同時測定装置を用いて測定した。
示差熱熱重量同時測定装置としては、(株)エスエスアイナノテクノロジー製のEXSTAR6000 TG/DTAを用いた。
この測定は、10vol%のO2ガスと90Vol%のN2ガスとからなる混合ガスを、100ml/minで上記混合粉にフローさせながら、昇温速度10℃/minで混合粉を加熱することによって行った。その結果を図11(試料C1の線グラフ)に示す。図11は、重量変化と加熱温度との関係を示す線図である。ここで、重量変化は燃焼速度として示してある。
【0053】
次に、本例においては、試料E1の比較用として、触媒材料をアルミナゾルによりディップコートした触媒担持体(試料C2)を作製し、その特性を評価した。
具体的には、まず、上記試料E1の場合と同様に、前駆体ゾルを作製した。
次いで、この前駆体ゾルを乾燥させ、固形分にし、この固形分を10wt%のアルミナを含むアルミナゾルに分散させて、前駆体が分散したアルミナゾルを得た。
【0054】
次いで、上記試料E1と同様にして作製したセラミックハニカム構造体からなる基材を、前駆体が分散した上述のアルミナゾル中に浸漬し、乾燥させた。さらに浸漬と乾燥を繰り返すことにより、前駆体を含むアルミナゾルを基材に担持させた。その後、基材を温度500℃で4時間焼成し、前駆体を触媒材料に転化させた。
【0055】
このようにして、基材にアルミナからなる接着層を形成すると共に、この接着層に触媒材料が分散して担持された触媒担持体を得た。これを試料C2とする。
試料C2についても、上記試料E1と同様にして、煤の燃焼特性を評価した。その結果を図11(試料C2の線グラフ)に示す。
【0056】
図11より知られるごとく、触媒材料自体(試料C1)は、温度200℃台という低温で炭素微粉末を燃焼することができ、優れた触媒活性を有することがわかる。
一方、試料C1と同様の触媒材料がアルミナからなる接着層により担持された触媒担持体(試料C2)においては、燃焼の立ち上がりが高温側に大きくシフトしており、触媒活性が低下していた。また、燃焼速度も遅くなっていた。
これに対し、上記水熱工程、上記含浸工程、及び上記焼成工程を行って作製した触媒担持体(試料E1)は、燃焼の立ち上がりが触媒材料自体(試料C1)によく一致しており、煤等の炭素を低温で燃焼できることがわかる。
即ち、本例の製造方法によれば、触媒材料が本来有する優れた触媒活性をほとんど損ねることなく、触媒材料が基材に担持された触媒担持体(試料E1)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】実施例1にかかる、触媒担持体の外観を示す斜視図。
【図2】実施例1にかかる、触媒担持体の長手方向の断面図。
【図3】実施例1にかかる、触媒担持体のセル内を排ガスが通過する様子を示す説明図。
【図4】実施例1にかかる、成形体の外観を示す斜視図。
【図5】実施例1にかかる、ハニカム構造の基材の端面にマスキングテープを配置する様子を示す説明図。
【図6】実施例1にかかる、マスキングテープに貫通穴を形成する様子を示す説明図。
【図7】実施例1にかかる、マスキングテープに貫通穴を形成した状態のハニカム構造を有する基材の断面図。
【図8】実施例1にかかる、基材を栓材に浸漬する様子を示す説明図。
【図9】実施例1にかかる、基材を触媒材料の前駆体ゾルに浸漬し、基材に前駆体を担持させる様子を示す説明図。
【図10】実施例1にかかる、触媒を担持させていない基材の隔壁を、この隔壁と対向する上面から観察した様子を示す写真代用図(a)、触媒材料が担持した基材の隔壁を、この隔壁と対向する上面から観察した様子を示す写真代用図(b)、触媒材料が担持した隔壁の断面を観察した様子を示す写真代用図(c)。
【図11】実施例1にかかる、触媒担持体(試料E1及び試料C2)及び触媒材料(試料C1)の煤の燃焼速度と加熱温度との関係を示す線図。
【図12】実施例1にかかる、触媒材料のXRDによるX線回折スペクトルを示す説明図図。
【図13】実施例1にかかる、層状に銀とアルミナが積層した触媒材料の構造を示す説明図。
【図14】実施例1にかかる、触媒材料のラマンスペクトルを示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1 基材
11 外周壁
12 隔壁
2 セル
3 触媒担持体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材に担持された触媒材料とを有する触媒担持体の製造方法において、
アルミニウム源と、酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る水熱工程と、
上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる含浸工程と、
上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる焼成工程とを有することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記水熱処理は、温度150℃以上で行うことを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記アルミニウム源としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びオキシ水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記アルミニウム源としては、δアルミナ、θアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記有機酸としては、酢酸及び/又はクエン酸を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記基材としては、セラミックスからなる多孔質体を採用することを特徴とする触媒担持体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記基材としては、外周壁と、該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁と、該隔壁により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセルとを有するセラミックハニカム構造体を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記基材は、コーディエライト又はSiCからなることを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記含浸工程においては、上記前駆体ゾルに上記基材を浸漬することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、上記焼成工程においては、上記基材を温度500℃以上で焼成することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、上記触媒担持体は、内燃機関から排出される排ガスの排気経路に設けて排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタとして用いられることを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項1】
基材と、該基材に担持された触媒材料とを有する触媒担持体の製造方法において、
アルミニウム源と、酸化銀及び/又は炭酸銀とを有機酸の共存下で水熱処理することにより、上記触媒材料の前駆体が分散された前駆体ゾルを得る水熱工程と、
上記基材に上記前駆体ゾルを含浸させて上記基材に上記前駆体を担持させる含浸工程と、
上記前駆体を担持した上記基材を焼成することにより上記前駆体を上記触媒材料に転化させる焼成工程とを有することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、上記水熱処理は、温度150℃以上で行うことを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2において、上記アルミニウム源としては、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びオキシ水酸化アルミニウムから選ばれる1種以上のアルミニウム化合物を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は2において、上記アルミニウム源としては、δアルミナ、θアルミナ、及びγアルミナから選ばれる少なくとも1種を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項において、上記有機酸としては、酢酸及び/又はクエン酸を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項において、上記基材としては、セラミックスからなる多孔質体を採用することを特徴とする触媒担持体。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項において、上記基材としては、外周壁と、該外周壁の内側においてハニカム状に設けられた多孔質の隔壁と、該隔壁により仕切られていると共に少なくとも部分的に両端面に貫通してなる複数のセルとを有するセラミックハニカム構造体を採用することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項において、上記基材は、コーディエライト又はSiCからなることを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項において、上記含浸工程においては、上記前駆体ゾルに上記基材を浸漬することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項において、上記焼成工程においては、上記基材を温度500℃以上で焼成することを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか一項において、上記触媒担持体は、内燃機関から排出される排ガスの排気経路に設けて排ガスを浄化する排ガス浄化フィルタとして用いられることを特徴とする触媒担持体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図10】
【公開番号】特開2010−94575(P2010−94575A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265081(P2008−265081)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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