説明

触媒被覆膜製造装置、および、触媒被覆膜の製造方法

【課題】サクションローラの吸着面に吸着された電解質膜の表面に触媒電極層を形成して、触媒被覆膜を製造する技術において、比較的簡易な構成で、サクションローラの吸着力を向上させる。
【解決手段】触媒被覆膜製造装置100は、帯状の電解質膜Smを、吸着面に吸着しつつ、回転して搬送するサクションローラ30と、サクションローラ30の吸着面に吸着された電解質膜Smの表面に触媒ペーストを塗布する触媒ペースト塗布器70と、サクションローラ30の吸着面における、電解質膜Smが吸着されていない非被覆領域Dncの少なくとも一部に、この非被覆領域Dncの少なくとも一部を覆うためのカバーフィルム56を吸着させるカバーフィルム吸着機構(懸架ローラ50,52,54,カバーフィルム56)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒被覆膜製造装置、および、触媒被覆膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応によって発電する燃料電池がエネルギ源として注目されている。この燃料電池には、電解質膜として固体高分子膜を用いた固体高分子型燃料電池がある。そして、固体高分子型燃料電池では、一般に、電解質膜の両面に、それぞれ、触媒電極層とガス拡散層とをこの順に接合してなる膜電極接合体が備えられる。
【0003】
また、膜電極接合体は、一般に、電解質膜の両面に触媒電極層を形成してなる触媒被覆膜(CCM;Catalyst Coated Membrane)を用意し、その両面にそれぞれガス拡散層を接合することによって製造される。そして、上述した触媒皮被覆膜の製造方法の1つとして、サクションローラの吸着面に電解質膜を吸着させて、電解質膜の変形(膨潤、収縮)を抑制しつつ、この電解質膜の表面に、いわゆる触媒ペーストや触媒インク等を塗工して乾燥させる方法が知られている。
【0004】
ところで、上述した触媒被覆膜の製造工程では、一般に、サクションローラの吸着面に、帯状の電解質膜の一部を巻き付けて吸着させつつ、サクションローラを回転して、電解質膜を搬送し、この搬送の間に、サクションローラの吸着面に吸着された電解質膜の表面に、触媒ペーストや触媒インクを塗布して触媒電極層を形成する。そして、触媒電極層が形成された電解質膜は、サクションローラの吸着面から剥離される。このため、サクションローラの吸着面の一部には、電解質膜が被覆されずに露出する領域が生じる。そして、サクションローラの吸着面において、電解質膜が被覆されていない領域からも無用な吸引が行われると、この無用な吸引の分、サクションローラの吸着力、吸引効率を低下させてしまう。
【0005】
そこで、サクションローラの吸着面における電解質膜が被覆されない領域からの無用な吸引を抑制し、サクションローラの吸着力を向上させるために、サクションローラの吸着面における電解質膜が被覆されない領域を覆うカバーを設け、そのカバーの内部を、ポンプによって、サクションローラによる吸引力よりも大きな吸引力で吸引する技術が提案されている(下記特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−27738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献1に記載された技術では、上記カバーやポンプ等を要し、さらに、このポンプを駆動するために、比較的大きなエネルギが必要となる。このため、触媒被覆膜(電解質・電極接合体)を製造する製造装置の大型化、装置構成の複雑化や、触媒被覆膜の製造コストの上昇を招く。さらに、上記特許文献1に記載された技術では、上記ポンプの吸引力の調整が必要となるため、触媒被覆膜を製造する製造装置の制御の複雑化も招く。
【0008】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、サクションローラの吸着面に吸着された電解質膜の表面に触媒電極層を形成して、触媒被覆膜を製造する技術において、比較的簡易な構成で、サクションローラの吸着力、吸引効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
【0010】
[適用例1]
電解質膜の表面に触媒電極層を形成してなる触媒被覆膜を製造する触媒被覆膜製造装置であって、
シート状の部材を吸着する吸着面を有し、前記シート状の部材としての前記電解質膜を、前記吸着面に吸着しつつ、回転して搬送するサクションローラと、
前記吸着面に吸着された前記電解質膜の表面に、触媒材料および液体を含み、前記触媒電極層となる粘性材料を塗工する塗工部と、
前記吸着面における、前記電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、該領域の少なくとも一部を覆うためのカバーフィルムを吸着させるカバーフィルム吸着機構と、
を備える触媒被覆膜製造装置。
【0011】
適用例1の触媒被覆膜製造装置では、カバーフィルム吸着機構によって、サクションローラの吸着面における、電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、カバーフィルムを吸着させ、上記領域からの吸引量を減少させる、すなわち、無用な吸引を抑制することができる。したがって、適用例1の触媒被覆膜製造装置によって、比較的簡易な構成で、サクションローラの吸着力、吸引効率を向上させることができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記カバーフィルムにおける、前記サクションローラの吸着面に吸着される側の面は、粘着性を有する、
触媒被覆膜製造装置。
【0013】
適用例2の触媒被覆膜製造装置では、サクションローラの吸着面上の異物を除去することができる。したがって、サクションローラの吸着面に設けられた細孔の目詰まりを抑制し、吸着力の低下を抑制することができる。
【0014】
[適用例3]
適用例1または2記載の触媒被覆膜製造装置であって、さらに、
前記カバーフィルムの表面に付着した異物を除去する異物除去部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【0015】
適用例3の触媒被覆膜製造装置では、上記異物除去部によって、カバーフィルムの表面に付着した異物を除去することができる。したがって、カバーフィルムからサクションローラ、さらに、触媒被覆膜への異物の付着を抑制することができる。
【0016】
[適用例4]
適用例3記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記異物除去部は、前記カバーフィルムの表面に接触するように配置され、前記カバーフィルムとの接触面が粘着性を有するローラを含む、
触媒被覆膜製造装置。
【0017】
適用例4の触媒被覆膜製造措置によって、比較的簡易に、上記異物除去部を構成することができる。
【0018】
[適用例5]
適用例1ないし4のいずれかに記載の触媒被覆膜製造装置であって、さらに、
前記電解質膜の表面に塗工された前記粘性材料を乾燥させる乾燥部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【0019】
適用例5の触媒被覆膜製造装置によって、電解質膜の表面に上記粘性材料を塗工しつつ、同時に、この粘性材料を乾燥させることができる。
【0020】
[適用例6]
適用例5記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記乾燥部として、前記サクションローラの内部に、該サクションローラを加熱する加熱部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【0021】
適用例6の触媒被覆膜製造装置では、サクションローラの外部に上記乾燥部を備えるよりも、装置の小型化を図ることができる。
【0022】
[適用例7]
電解質膜の表面に触媒電極層を形成してなる触媒被覆膜を製造する製造方法であって、
シート状の部材を吸着する吸着面を有するサクションローラにおける前記吸着面に、前記シート状の部材としての前記電解質膜を吸着させつつ、前記サクションローラを回転して、前記電解質膜を搬送する工程と、
前記吸着面に吸着された前記電解質膜の表面に、触媒および液体を含み、前記触媒電極層となる粘性材料を塗工する塗工工程と、
前記吸着面における、前記電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、該領域の少なくとも一部を覆うためのカバーフィルムを吸着させるカバーフィルム吸着工程と、
を備える製造方法。
【0023】
適用例7の製造方法では、カバーフィルム吸着工程によって、サクションローラの吸着面における、電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、カバーフィルムを吸着させ、上記領域からの吸引量を減少させることができる。したがって、適用例7の触媒被覆膜の製造方法によって、比較的簡易に、サクションローラの吸着力、吸引効率を向上させることができる。なお、本適用例の触媒被覆膜の製造方法においても、先に適用例2ないし6で説明した種々の付加的要素を適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例としての触媒被覆膜製造装置100の概略構成を示す説明図である。
【図2】第1変形例としての触媒被覆膜製造装置100Aの概略構成を示す説明図である。
【図3】第2変形例としての触媒被覆膜製造装置100Bの概略構成を示す説明図である。
【図4】第3変形例としての触媒被覆膜製造装置100Cの概略構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき説明する。
A.実施例:
図1は、本発明の一実施例としての触媒被覆膜製造装置100の概略構成を示す説明図である。この触媒被覆膜製造装置100は、固体高分子型燃料電池に用いられる膜電極接合体を構成する触媒被覆膜(CCM)を製造するための装置である。この触媒被覆膜は、電解質膜の表面に触媒電極層を形成したものである。
【0026】
図示するように、触媒被覆膜製造装置100は、巻き出しローラ10と、懸架ローラ20,22と、サクションローラ30と、巻き取りローラ40と、懸架ローラ50,52,54と、カバーフィルム56と、異物除去ローラ60と、触媒ペースト塗布器70と、を備えている。
【0027】
巻き出しローラ10は、ロール状に巻かれた帯状の電解質膜Smを巻き出す。本実施例では、電解質膜Smとして、固体高分子電解質であるナフィオン(登録商標)を用いるものとした。電解質膜Smとして、他の電解質膜を用いるものとしてもよい。
【0028】
懸架ローラ20は、巻き出しローラ10から巻き出された電解質膜Smを懸架し、サクションローラ30に導く。サクションローラ30は、その吸着面に電解質膜Smを吸着しつつ回転して電解質膜Smを搬送する。触媒ペースト塗布器70は、サクションローラ30の吸着面に吸着された電解質膜Smの表面に、触媒ペーストを塗布する。本実施例では、触媒ペーストとして、白金系触媒を担持したカーボンブラックと、ナフィオン微粒子とを、アルコール、および、水に分散させたものを用いるものとした。
【0029】
なお、本実施例では、サクションローラ30の内部に、サクションローラ30を加熱するためのヒータ32が備えられており、サクションローラ30を回転させて、触媒ペーストが塗布された電解質膜Smを搬送しつつ、サクションローラ30を介して、電解質膜Smに塗布された触媒ペーストを乾燥させ、電解質膜Smの表面に触媒電極層を形成し、触媒被覆膜Sccmを製造することができる。
【0030】
懸架ローラ22は、サクションローラ30によって搬送された帯状の触媒被覆膜Sccmを懸架し、巻き取りローラ40に導く。巻き取りローラ40は、帯状の触媒被覆膜Sccmを巻き取る。
【0031】
上述した触媒被覆膜製造装置100において、サクションローラ30の吸着面の一部には、電解質膜Sm(触媒被覆膜Sccm)が被覆されない領域(非被覆領域Dnc)が生じる。そして、サクションローラ30の吸着面において、非被覆領域Dncからも無用な吸引が行われると、この無用な吸引の分、サクションローラ30の吸着力、吸引効率を低下させてしまう。
【0032】
そこで、本実施例の触媒被覆膜製造装置100では、サクションローラ30の吸着面における、電解質膜Sm(触媒被覆膜Sccm)が吸着されていない非被覆領域Dncの少なくとも一部に、非被覆領域Dncの少なくとも一部を覆うためのカバーフィルムを吸着させるカバーフィルム吸着機構を備える。このカバーフィルム吸着機構は、懸架ローラ50,52,54、および、カバーフィルム56を有している。このカバーフィルム吸着機構によって、サクションローラ30の非被覆領域Dncの少なくとも一部にカバーフィルム56を吸着させ、非被覆領域Dncからの吸引量を減少させる、すなわち、無用な吸引を抑制することができる。
【0033】
また、本実施例の触媒被覆膜製造装置100では、カバーフィルム56は、サクションローラ30の吸着面に吸着される側の面が、粘着性を有しているものとした。このようなカバーフィルム56としては、例えば、微粘着フィルムであるソフタック(登録商標)(DIC株式会社製)を用いることができる。こうすることによって、サクションローラ30の吸着面上の異物を除去することができる。したがって、サクションローラ30の吸着面に設けられた細孔の目詰まりを抑制し、吸着力の低下を抑制することができる。
【0034】
また、本実施例の触媒被覆膜製造装置100では、カバーフィルム56の表面に付着した異物を除去する異物除去部として、カバーフィルム56の表面に接触するように配置され、カバーフィルム56との接触面が、カバーフィルム56の粘着性よりも高い粘着性を有する異物除去ローラ60を備えるものとした。このような異物除去ローラ60としては、例えば、粘着ゴムローラ(ECクリーナー、株式会社加貫ローラ製作所製)を用いることができる。こうすることによって、比較的簡易に、異物除去部を構成し、カバーフィルム56の表面に付着した異物を除去することができるので、カバーフィルム56からサクションローラ30、さらに、触媒被覆膜Sccmへの異物の付着を抑制することができる。
【0035】
以上説明した第1実施例の触媒被覆膜製造装置100によれば、カバーフィルム吸着機構によって、サクションローラ30の吸着面における非被覆領域Dncの少なくとも一部に、カバーフィルム56を吸着させ、非被覆領域Dncの少なくとも一部からの吸引量を減少させる、すなわち、無用な吸引を抑制することができる。したがって、触媒被覆膜製造装置100によって、比較的簡易な構成で、サクションローラ30の吸着力、吸引効率を向上させることができる。
【0036】
B.変形例:
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこのような実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々なる態様での実施が可能である。例えば、以下のような変形が可能である。
【0037】
B1.変形例1:
上記実施例では、サクションローラ30の内部にヒータ32を備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。
【0038】
図2は、第1変形例としての触媒被覆膜製造装置100Aの概略構成を示す説明図である。第1変形例の触媒被覆膜製造装置100Aでは、サクションローラ30の内部にヒータ32を備える代わりに、サクションローラ30の外部に、電解質膜Smの表面に塗布された触媒ペーストを乾燥させるためのヒータ32Aを備える。こうすることによっても、電解質膜Smの表面に触媒ペーストを塗工しつつ、同時に、この触媒ペーストを乾燥させることができる。ただし、上記実施例の触媒被覆膜製造装置100によれば、サクションローラ30の外部にヒータ32Aを備えるよりも、装置の小型化を図ることができる。
【0039】
また、サクションローラ30の内部に、ヒータ32の代わりに、サクションローラ30を加熱するための他の装置、例えば、熱媒循環装置を備えるようにしてもよい。
【0040】
B2.変形例2:
上記実施例では、電解質膜Smの表面に触媒インクを塗布して乾燥させることによって、触媒被覆膜Sccmを製造するものとしたが、本発明は、これに限られない。
【0041】
図3は、第2変形例としての触媒被覆膜製造装置100Bの概略構成を示す説明図である。第2変形例の触媒被覆膜製造装置100Bでは、触媒ペースト塗布器70の代わりに、触媒インク噴霧塗布器70Bを備える。なお、触媒インクとは、上記実施例における触媒ペーストと同様の材料を含み、触媒ペーストよりも粘度が低く、触媒インク噴霧塗布器70Bから噴霧可能な粘性材料である。
【0042】
B3.変形例3:
上記実施例では、触媒被覆膜製造装置100は、電解質膜Smの一方の表面に触媒電極層を形成し、巻き取りローラ40に巻き取るものとしたが、本発明は、これに限られない。
【0043】
図4は、第3変形例としての触媒被覆膜製造装置100Cの概略構成を示す説明図である。図1との比較から分かるように、触媒被覆膜製造装置100Cは、概ね、上記実施例の触媒被覆膜製造装置100を2つ連続して配置した構成を備えている。具体的には、触媒被覆膜製造装置100Cは、巻き出しローラ10と、電解質膜Smの一方の表面に触媒電極層を形成して、触媒被覆膜Sccm1を製造する第1段の触媒電極層形成機構と、触媒被覆膜Sccm1の表裏を反転させる反転ローラ80a,80bと、触媒被覆膜Sccm1の裏面に触媒電極層を形成して、触媒被覆膜Sccm2を製造する第2段の触媒電極層形成機構と、巻き取りローラ40と、を備えている。
【0044】
そして、第1段の触媒電極層形成機構は、触媒被覆膜製造装置100と同様に、懸架ローラ20a,22aと、サクションローラ30aと、懸架ローラ50a,52a,54aと、カバーフィルム56aと、異物除去ローラ60aと、触媒ペースト塗布器70aと、を備えている。また、第2段の触媒電極層形成機構も、触媒被覆膜製造装置100と同様に、懸架ローラ20b,22bと、サクションローラ30bと、懸架ローラ50b,52b,54bと、カバーフィルム56bと、異物除去ローラ60bと、触媒ペースト塗布器70bと、を備えている。また、サクションローラ30a,30bの内部には、それぞれ、サクションローラ30a,30bを加熱するためのヒータ32a,32bが備えられている。
【0045】
以上説明した第3変形例の触媒被覆膜製造装置100Cによれば、電解質膜Smの両面に、連続的に触媒電極層を形成することができる。
【0046】
B4.変形例4:
上記実施例では、カバーフィルム56は、サクションローラ30の吸着面に吸着される側の面が、粘着性を有するものとしたが、本発明は、これに限られない。カバーフィルム56は、サクションローラ30の吸着面に吸着される側の面が、粘着性を有していないものとしてもよい。ただし、カバーフィルム56における、サクションローラ30の吸着面に吸着される側の面が、粘着性を有することによって、先に説明したように、サクションローラ30の吸着面に設けられた細孔の目詰まりを抑制し、吸着力の低下を抑制することができる。
【0047】
B5.変形例5:
上記実施例では、触媒被覆膜製造装置100は、異物除去部として、異物除去ローラ60を備えるものとしたが、本発明は、これに限られない。異物除去部として、他の構成を採用するようにしてもよい。また、異物除去ローラ60を省略するようにしてもよい。ただし、触媒被覆膜製造装置100が異物除去ローラ60を備えることによって、先に説明したように、カバーフィルム56からサクションローラ30、さらに、触媒被覆膜Sccmへの異物の付着を抑制することができる。
【符号の説明】
【0048】
100,100A,100B,100C…触媒被覆膜製造装置
10…巻き出しローラ
20,20a,20b,22,22a,22b…懸架ローラ
30,30a,30b…サクションローラ
32,32a,32b,32A…ヒータ
40…巻き取りローラ
50,50a,50b,52,52a,52b,54,54a,54b…懸架ローラ
56,56a,56b…カバーフィルム
60,60a,60b…異物除去ローラ
70,70a,70b…触媒ペースト塗布器
70B…触媒インク噴霧塗布器
80a,80b…反転ローラ
Sm…電解質膜
Sccm,Sccm1,Sccm2…触媒被覆膜
Dnc…非被覆領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電解質膜の表面に触媒電極層を形成してなる触媒被覆膜を製造する触媒被覆膜製造装置であって、
シート状の部材を吸着する吸着面を有し、前記シート状の部材としての前記電解質膜を、前記吸着面に吸着しつつ、回転して搬送するサクションローラと、
前記吸着面に吸着された前記電解質膜の表面に、触媒材料および液体を含み、前記触媒電極層となる粘性材料を塗工する塗工部と、
前記吸着面における、前記電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、該領域の少なくとも一部を覆うためのカバーフィルムを吸着させるカバーフィルム吸着機構と、
を備える触媒被覆膜製造装置。
【請求項2】
請求項1記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記カバーフィルムにおける、前記サクションローラの吸着面に吸着される側の面は、粘着性を有する、
触媒被覆膜製造装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の触媒被覆膜製造装置であって、さらに、
前記カバーフィルムの表面に付着した異物を除去する異物除去部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【請求項4】
請求項3記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記異物除去部は、前記カバーフィルムの表面に接触するように配置され、前記カバーフィルムとの接触面が粘着性を有するローラを含む、
触媒被覆膜製造装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の触媒被覆膜製造装置であって、さらに、
前記電解質膜の表面に塗工された前記粘性材料を乾燥させる乾燥部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【請求項6】
請求項5記載の触媒被覆膜製造装置であって、
前記乾燥部として、前記サクションローラの内部に、該サクションローラを加熱する加熱部を備える、
触媒被覆膜製造装置。
【請求項7】
電解質膜の表面に触媒電極層を形成してなる触媒被覆膜を製造する製造方法であって、
シート状の部材を吸着する吸着面を有するサクションローラにおける前記吸着面に、前記シート状の部材としての前記電解質膜を吸着させつつ、前記サクションローラを回転して、前記電解質膜を搬送する工程と、
前記吸着面に吸着された前記電解質膜の表面に、触媒材料および液体を含み、前記触媒電極層となる粘性材料を塗工する塗工工程と、
前記吸着面における、前記電解質膜が吸着されていない領域の少なくとも一部に、該領域の少なくとも一部を覆うためのカバーフィルムを吸着させるカバーフィルム吸着工程と、
を備える製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−104405(P2012−104405A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−252696(P2010−252696)
【出願日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】