説明

計器用ステッピングモータ

【課題】 中間歯車の位置決めを不要とし、組み付け作業性に優れる計器用ステッピングモータを提供する。
【解決手段】 第1の支持軸10と、ロータ磁石2と、ロータ歯車3と、第1の歯車部4a及び第2の歯車4bとを有する中間歯車4と、第3の支持軸6と、出力歯車5と、ケース12と、励磁コイル9と、固定磁石(磁性部材)7とを備え、無励磁状態において固定磁石7の回転付勢力により可動当接部15aが固定当接部15bを押圧するように各歯車3〜5を連結してなる計器用ステッピングモータにおいて、中間歯車4は第1の歯車部4より先に第2の歯車部4bが噛み合うようにロータ歯車3及び出力歯車5の後に組み付けられるように構成され、第1の歯車部4aの歯数を第2の歯車部4bの歯数の自然数倍に設定してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば車両に搭載される指針式計器に組み込まれ、指針を駆動する計器用ステッピングモータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の計器用ステッピングモータとして、例えば下記特許文献1に記載のものが知られている。この計器用ステッピングモータは、第1の支持軸(ロータ用軸部材)と、この第1の支持軸に軸支され外周面に回転方向に沿って多極着磁されたロータ磁石(ロータ)と、このロータ磁石と同軸回転するように前記第1の支持軸に軸支されるロータ歯車(ロータギヤ)と、第2の支持軸(位置決め部材)と、この第2の支持軸に軸支され前記ロータ歯車と噛み合う第1の歯車部及びこの第1の歯車部と同軸回転するように第2の支持軸に軸支される第2の歯車部とを有する中間歯車と、第3の支持軸(指針軸)と、この第3の支持軸に軸支され第2の歯車部と噛み合う出力歯車(指針ギヤ)と、励磁信号入力に応じてロータ磁石を回転させる励磁コイルと、この励磁コイルを通じて形成される回転磁界をロータ磁石に導くヨーク(ステータ)と、励磁コイル、ロータ磁石、ロータ歯車、中間歯車、出力歯車、ヨークを収納すると共に第1,第2,第3の各回転軸を軸支するケース(ケース部材)とを備え、出力歯車には可動当接部(突起)が設けられ、ケースには可動当接部と当接することにより第3の支持軸の回転を停止させる固定当接部(ストッパ)が設けられている。
【0003】
このように構成される下記特許文献1記載の計器用ステッピングモータは、ヨークとロータ磁石との間に働くディテントトルクによってロータ磁石を保持することができるため、励磁コイルに対して励磁信号入力が無い無励磁状態のとき(例えば車両搭載時において電源遮断時)でも指針を所定位置にとどめておくことができる。
【0004】
一方、例えば下記特許文献2に記載の計器用ステッピングモータも知られている。この計器用ステッピングモータは、中間歯車を持たずロータ歯車と出力歯車とを直接噛み合わせる点と、ヨークを持たず励磁コイルにロータ磁石を直接駆動する点で、下記特許文献1記載の計器用ステッピングモータと異なっている。このようなタイプの計器用ステッピングモータにあっては、励磁信号入力の無い無励磁状態のときにロータ磁石を所定の回転方向に付勢する磁性部材(固定磁石)を備えており、この磁性部材の回転付勢力により出力歯車の可動当接部がケースの固定当接部を押圧するようにロータ歯車と出力歯車とを連結する必要がある。
【0005】
そして下記特許文献2に記載のヨークレス且つ2軸構成(一段減速構成)の計器用ステッピングモータに下記特許文献1に記載の中間歯車追加による3軸構成(二段減速構成)を採用することが考えられる。この場合、磁性部材の回転付勢力により出力歯車の可動当接部がケースの固定当接部を押圧するように三つの歯車(ロータ歯車と中間歯車と出力歯車)を連結する必要がある。このように連結するには、磁性部材の対するロータ磁石(ロータ歯車)の回転位置と、固定当接部に対する可動当接部(出力歯車)の回転位置とをそれぞれ定めた後、中間歯車をロータ歯車と出力歯車との間に挿入し、両歯車を連結すればよい。
【特許文献1】特開2001−327149号公報
【特許文献2】特開2001−041981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記特許文献1と2を組み合わせただけの構成では、中間歯車において、第1の歯車部と第2の歯車部のうち、どちらの歯車部が先に相手歯車に噛み合うかといった噛み合い順序と、第1の歯車部の歯数と第2の歯車部の歯数との相関関係について、特に考慮されていないため、ロータ歯車と出力歯車のそれぞれに対して中間歯車の回転位置(ロータ歯車と出力歯車のそれぞれに対して中間歯車のどの歯車が噛み合うか)をピンポイントで定める必要があり、組み付け作業性に難がある。なお中間歯車の位置決めを行わない場合、組み付け時に歯同士がぶつかりあって組み付け不能となったり、せっかく位置決めしたロータ歯車または出力歯車の位置がずれてしまう。
【0007】
本発明は前述した問題点に着目し、中間歯車の位置決めを不要とし、組み付け作業性に優れる計器用ステッピングモータを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、前述した課題を解決するため、第1の支持軸と、この第1の支持軸に軸支され外周面に回転方向に沿って多極着磁されたロータ磁石と、このロータ磁石と同軸回転するように前記第1の支持軸に軸支されるロータ歯車と、第2の支持軸と、この第2の支持軸に軸支され前記ロータ歯車と噛み合う第1の歯車部及びこの第1の歯車部と同軸回転するように前記第2の支持軸に軸支される第2の歯車とを有する中間歯車と、第3の支持軸と、この第3の支持軸に軸支され前記第2の歯車部と噛み合う出力歯車と、少なくとも前記ロータ磁石、ロータ歯車、中間歯車、出力歯車を収納すると共に前記第1,第2,第3の各回転軸を軸支するケースと、励磁信号入力に応じて前記ロータ磁石を回転させる励磁コイルと、前記励磁信号入力の無い無励磁状態のときに前記ロータ磁石を所定の回転方向に付勢する磁性部材とを備え、前記出力歯車に可動当接部が設けられ、前記ケースに前記可動当接部と当接することにより前記第3の支持軸の回転を停止させる固定当接部が設けられ、前記無励磁状態において前記ロータ磁石に作用する前記磁性部材の回転付勢力により前記可動当接部が前記固定当接部を押圧するように前記ロータ歯車と前記中間歯車と前記出力歯車とを連結してなる計器用ステッピングモータにおいて、前記中間歯車は前記第1の歯車が前記ロータ歯車に噛み合うより先に前記第2の歯車部が前記出力歯車に噛み合うように前記ロータ歯車及び前記出力歯車の後に組み付けられるように構成され、前記第1の歯車部の歯数を前記第2の歯車部の歯数の自然数倍に設定してなることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、前記ロータ磁石は前記励磁コイルにより直接駆動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、初期の目的を達成することができ、複数の表示パネルを重ねて用いる場合でも大型化を避けることが可能な表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を、ステッピングモータを用いた計器装置に基づいて説明する。図1から図5は、本発明の一実施形態を示すものである。
【0012】
本実施形態の計器装置Mに用いられるステッピングモータ1は、多極着磁されたロータ磁石2と、ロータ磁石2に固定されたロータ歯車3と、ロータ歯車3と噛み合う第1の歯車部4aとこの第1の歯車部4aと同軸上に設けられた第2の歯車部4bとを有する中間歯車4と、中間歯車4の第2の歯車部4bと噛み合う出力歯車5と、回転磁界を発生してロータ磁石2に回転力を与える2つの励磁コイル9と、ロータ磁石2の回転中心となる金属製(例えばステンレス製)の第1の支持軸10と、中間歯車4の回転中心となる金属製(例えばステンレス製)の第2の支持軸11と、出力歯車5の回転中心となる金属製(例えばステンレス製)の第3の支持軸6と、ロータ磁石2に対向配置された固定磁石(磁性部材)7と、ロータ磁石2、ロータ歯車3、中間歯車4、出力歯車5、励磁コイル9、固定磁石7を収容し、第1の支持軸10、第2の支持軸11、第3の支持軸6を支持するケース12とを有するものである。
【0013】
ロータ磁石2は、いわゆるプラスチックマグネットと呼ばれる磁性を有する合成樹脂からなり、その形状は円形で、中心に貫通孔を備えたドーナツ形状である。この貫通孔を、ロータ歯車3と第1の支持軸10が貫通している。ロータ磁石2は、その回転軸を中心として、放射方向に均等となるように、多くの磁極を備えている。本実施形態では、N極が2つ、S極が2つの計4つの磁極を備えている。従って、第1の支持軸10を中心の軸として、回転すると、ロータ磁石2の外周面に回転方向に沿って多極着磁されている。
【0014】
ロータ歯車3は、合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)からなり、前述したように、ロータ磁石2の回転に伴って同軸回転する。また、第1の支持軸10がロータ歯車3を貫通することで第1の支持軸10に支持されている。
【0015】
中間歯車4は、合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)からなり、第1の歯車部4aと第2の歯車部4bとを一体に備えている。第1の歯車部4aは、ロータ歯車3と噛み合う。また、第2の歯車部4bは、出力歯車5と噛み合う。第1の歯車部4aと第2の歯車部4bとは、回転中心となる第2の支持軸11によって同軸上に支持され、且つ互いに同軸回転する。
【0016】
出力歯車5も、ロータ歯車3、中間歯車4と同様に、合成樹脂、例えばPOM(ポリアセタール)からなり、中間歯車4の第2の歯車部4bと噛み合う。出力歯車5は、回転中心となる第3の支持軸6が設けられている。
【0017】
また、図2中、出力歯車5の下側の面には、第1の突起部(可動当接部)15aが一体に設けられている。この第1の突起部15aは、後述する、ケース12に設けた第2の突起部(固定当接部)15bと当接し、出力歯車5の回転を所定の位置で止めるものである。なお第1の突起部(可動当接部)15aと第2の突起部(固定当接部)15bは、ストッパ手段15を構成するものである。
【0018】
本実施形態では、中間歯車4、出力歯車5は、ロータ磁石2の回転を減速させて伝達するものである。
【0019】
励磁コイル9は、銅などの導電性を有する金属線を、合成樹脂からなるボビン9aに巻き付けて形成したものである。励磁コイル9は、ボビン9aに設けた端子9bを介して、制御手段に接続され、この制御手段を通じた励磁信号入力に応じてロータ磁石2を回転させる回転磁界を発生させる。
【0020】
ボビン9aは、断面形状が長方形の貫通孔を備えた筒体である。そして、励磁コイル9は、ロータ磁石2の周囲に配置され、ボビン9aの前記貫通孔内に、ロータ磁石2の一部が入り込んだ状態で、ロータ磁石2の円盤面の一部と前記貫通孔の内周面が対向している。
【0021】
そして、2つの励磁コイル9には、図示しない制御手段から出力される駆動波形が、それぞれ入力されることによって、ロータ磁石2に回転磁界が発生し、ロータ磁石2に回転力を与えるものである。
【0022】
ケース12は、合成樹脂、例えばPBT(ポリブチレンテレフタレート)からなり、上下に分割されている。各ケース12に設けた係止爪12aを引っ掛けることで、上下に分割したケース12を固定している。このケース12には、出力歯車5に設けた第1の突起部15aに当接する第2の突起部15bが一体に設けられていると共に固定磁石7をロータ磁石2に対向する所定位置で固定保持している。ケース12は、第1の支持軸10、第2の支持軸及び第3の支持軸6を回転可能に支持している。
【0023】
固定磁石7は、N,S2極が半径方向に着磁された円筒状の磁石からなり、励磁信号入力の無い無励磁状態のときにロータ磁石2を所定の回転方向に付勢するものである。
【0024】
図4は、ステッピングモータ1を計器装置Mに用いたものである。本実施形態の計器装置Mは、車両の速度を指針14を用いて表示するものである。
【0025】
指針14は、第3の支持軸6に装着されるものである。この指針14の背後には、指針14が指示する目盛や文字などの指標部17aを備えた表示板17が設けられている。指針14は、ステッピングモータ1に設けたストッパ手段15と固定磁石7とによって、所定の位置、本実施形態では、車速の「0」を示す位置に安定的に留められている。
【0026】
図5は、無励磁状態におけるロータ歯車3、中間歯車4、出力歯車5の連結態様を模式的に示す説明図であり、ストッパ手段15を構成する第1の突起部15aと第2の突起部15bとが当接することによって、指針14が所定の位置に当接している状態である。第1の突起部15aと第2の突起部1bとは、ロータ磁石2に作用する固定磁石7の回転付勢力により、互いに離間しないように(互いに押圧状態となるように)設定されている。
【0027】
すなわち、ロータ磁石2と固定磁石7とは、例えば固定磁石7のS極がロータ磁石2のS極と反発しあう位置関係に設定されている。このため、ロータ磁石2には、CCW(反時計方向〜図5中、矢印参照)の回転力が働き、ロータ歯車3に噛み合う中間歯車4には、ロータ磁石2及びロータ歯車と反対のCW(時計方向〜図5中、矢印参照)の回転力が働き、中間歯車4と噛み合う出力歯車5には中間歯車4と反対のCCW(反時計方向〜図5中、矢印参照)の回転力が働く。このため第1の突起部15aが第2の突起部15bに押しつけられた状態で指針14が停止する。
【0028】
ここで中間歯車4の歯数設定と組み付け順序について説明する。
まず本実施形態では、中間歯車4の第1の歯車部4aは66枚、第2の歯車部4bは11枚、すなわち第1の歯車部4aは第2の歯車部4bの自然数倍に設定されている(ちなみにロータ歯車3の歯数は12枚に、出力歯車5は90枚に設定されている)。
【0029】
各歯車3〜5の組み付けは、まずケース12にロータ歯車3と、出力歯車5をセットする(下側ケース12による仮保持状態となる)。この際、ロータ歯車3の回転位置は、固定磁石7とロータ磁石2との位置関係に基づいて所定位置に位置決めされる。また出力歯車5の回転位置は、固定当接部15bに対する可動当接部15aの位置関係に基づいて所定位置に位置決めされる。なおロータ歯車3と出力歯車5の位置決めは、製造ラインにて適宜手法を用いて行われ、またここで各所定位置とは、全歯車3〜5のセット(組み付け)が完了した状態で、最終的に固定磁石7の回転付勢力により可動当接部15aが固定当接部15bを押圧する状態となるための位置を指すもので、必ずしも図5に示す位置に限定されない。次に中間歯車4をロータ歯車3と出力歯車5との間に挿入するようにセットする(この場合、下側ケース12による仮保持状態となり、上側ケース12の組み付けをもって本組み付けとなる)。中間歯車4は、大径となる第1の歯車部4aがロータ歯車3に噛み合うよりも先に小径となる第2の歯車部4bが出力歯車5の噛み合うようにを構成しているため、第2の歯車部4bが出力歯車5に噛み合った後、第1の歯車部4aがロータ歯車3に噛み合う。
【0030】
ここで、第1の歯車部4aと第2の歯車部4bの位置関係に注目して注目してみると、前記のように第1の歯車部4aは66枚、第2の歯車部4bは11枚に設定されているため、第1の歯車部4aには、第2の歯車部4bの個々の歯に対応した噛み合い点EP1〜EP11が中間歯車4のラジアル方向に11個形成される。この噛み合い点EP1〜EP11は、隣接する噛み合い点EP1〜EP11の間隔が全て一定であり、個々の噛み合い点EP1〜EP11間には6枚の歯が位置している。また各噛み合い点EP1〜EP11は、ロータ歯車3との正規の噛み合い位置として、機械的(性能的)に等価であり、ロータ歯車3の所定歯と、どの噛み合い点EP1〜EP11が噛み合っても全て同じ機能を果たす。
【0031】
従って、まず最初に第2の歯車部4bを出力歯車5の所定歯と噛み合わせておくようにすれば、噛み合い点EP1〜EP11の何れかが必ずロータ歯車3の所定歯と噛み合うため、ロータ歯車3と出力歯車5のそれぞれに対して中間歯車4の回転位置を定める必要がなく、組み付け作業性を向上させることができ、また組み付け時に歯同士がぶつかりあって組み付け不能となったり、せっかく位置決めしたロータ歯車3または出力歯車5の位置がずれてしまうといった問題も解消することができる。
【0032】
なお第1の歯車部4aを第2の歯車部4bの自然数倍に設定しても、第2の歯車部4bより先に第1の歯車部4aを噛み合わせてしまうと、せっかくの噛み合い点EP1〜EP11を無視することになり、目的とするメリットは得られない。
【0033】
同様に第1の歯車部4bより先に第2の歯車部4aを噛み合わせたとしても、第1の歯車部4aを第2の歯車部4bの自然数倍に設定していなければ、噛み合い点が制限されてしまい、目的とするメリットは得られない。
【0034】
以上のように、本発明によれば、第1の支持軸10と、この第1の支持軸10に軸支され外周面に回転方向に沿って多極着磁されたロータ磁石2と、このロータ磁石2と同軸回転するように第1の支持軸10に軸支されるロータ歯車3と、第2の支持軸11と、この第2の支持軸11に軸支されロータ歯車3と噛み合う第1の歯車部4a及びこの第1の歯車部4aと同軸回転するように第2の支持軸に軸支される第2の歯車4bとを有する中間歯車4と、第3の支持軸6と、この第3の支持軸6に軸支され第2の歯車部4bと噛み合う出力歯車5と、少なくともロータ磁石2、ロータ歯車3、中間歯車4、出力歯車5を収納すると共に第1,第2,第3の各回転軸10,11,6を軸支するケース12と、励磁信号入力に応じてロータ磁石2を回転させる励磁コイル9と、励磁信号入力の無い無励磁状態のときにロータ磁石2を所定の回転方向に付勢する固定磁石(磁性部材)7とを備え、出力歯車5に可動当接部15aが設けられ、ケース12に可動当接部15aと当接することにより第3の支持軸6の回転を停止させる固定当接部15bが設けられ、無励磁状態においてロータ磁石2に作用する固定磁石7の回転付勢力により可動当接部15aが固定当接部15bを押圧するようにロータ歯車3と中間歯車4と出力歯車5とを連結してなる計器用ステッピングモータにおいて、中間歯車4は第1の歯車部4aがロータ歯車3に噛み合うより先に第2の歯車部4bが出力歯車5に噛み合うようにロータ歯車3及び出力歯車5の後に組み付けられるように構成され、第1の歯車部4aの歯数を第2の歯車部4bの歯数の自然数倍に設定してなることにより、ロータ歯車3と出力歯車5のそれぞれに対して中間歯車4の回転位置を定める必要がなく、組み付け作業性を向上させることができ、また組み付け時に歯同士がぶつかりあって組み付け不能となったり、せっかく位置決めしたロータ歯車3または出力歯車5の位置がずれてしまうといった問題も解消することができる。
【0035】
また本発明は、ロータ磁石3がヨーク等の磁性部材を介さずに励磁コイル9により直接駆動されるタイプのステッピングモータに好適である。
【0036】
なお本実施形態では、第1の歯車部4aは第2の歯車部4bの自然数倍に設定するにあたり、中間歯車4の第1の歯車部4aを66枚、第2の歯車部4bは11枚に設定したが、各歯車部4a,4bの数は自然数倍であれば任意に設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態のステッピングモータの上面図。
【図2】図1中のA−A線の断面図。
【図3】同実施形態の上ケースを取り外したステッピングモータの上面図。
【図4】同実施形態のステッピングモータを用いた計器装置の正面図。
【図5】同実施形態の説明図。
【符号の説明】
【0038】
1 ステッピングモータ
2 ロータ磁石
3 ロータ歯車
4 中間歯車
4a 第1の歯車
4b 第2の歯車
5 出力歯車
6 出力軸
7 固定磁石(磁性部材)
9 励磁コイル
10 第1の支持軸
11 第2の支持軸
12 ケース部材
14 指針
15 ストッパ手段
15a 第1の突起部
15b 第2の突起部
17 表示板
EP1〜11 噛み合い点
M 計器装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の支持軸と、
この第1の支持軸に軸支され外周面に回転方向に沿って多極着磁されたロータ磁石と、
このロータ磁石と同軸回転するように前記第1の支持軸に軸支されるロータ歯車と、
第2の支持軸と、
この第2の支持軸に軸支され前記ロータ歯車と噛み合う第1の歯車部及びこの第1の歯車部と同軸回転するように前記第2の支持軸に軸支される第2の歯車とを有する中間歯車と、
第3の支持軸と、
この第3の支持軸に軸支され前記第2の歯車部と噛み合う出力歯車と、
少なくとも前記ロータ磁石、ロータ歯車、中間歯車、出力歯車を収納すると共に前記第1,第2,第3の各回転軸を軸支するケースと、
励磁信号入力に応じて前記ロータ磁石を回転させる励磁コイルと、
前記励磁信号入力の無い無励磁状態のときに前記ロータ磁石を所定の回転方向に付勢する磁性部材とを備え、
前記出力歯車に可動当接部が設けられ、前記ケースに前記可動当接部と当接することにより前記第3の支持軸の回転を停止させる固定当接部が設けられ、前記無励磁状態において前記ロータ磁石に作用する前記磁性部材の回転付勢力により前記可動当接部が前記固定当接部を押圧するように前記ロータ歯車と前記中間歯車と前記出力歯車とを連結してなる計器用ステッピングモータにおいて、
前記中間歯車は前記第1の歯車が前記ロータ歯車に噛み合うより先に前記第2の歯車部が前記出力歯車に噛み合うように前記ロータ歯車及び前記出力歯車の後に組み付けられるように構成され、
前記第1の歯車部の歯数を前記第2の歯車部の歯数の自然数倍に設定してなることを特徴とする計器用ステッピングモータ。
【請求項2】
前記ロータ磁石は前記励磁コイルにより直接駆動されることを特徴とする請求項1記載の計器用ステッピングモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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