説明

計測器無線アダプタ

【課題】デジタルデータ出力機能を有する複数の計測器に対応して、各計測器毎に異なる様々なデータ通信手順に一台で対応することができる計測器無線アダプタを提供する。
【解決手段】計測器11に接続され、計測器11が計測した計測結果のデジタルデータを無線通信によりデータ処理装置12に送信する計測器無線アダプタ10であって、複数の計測器11のそれぞれに対応する複数のデータ通信手順を記憶したメモリ15と、計測器無線アダプタ10に備えられたディップスイッチの設定操作、或いはデータ処理装置12からの設定指示により切り替え操作され、複数のデータ通信手順の中から、接続された計測器11に対応するデータ通信手順を選択して切り替える選択切替部17と、データ処理装置12から受信した設定指示内の通信パラメータに基づき、接続された計測器11に対応する新たなデータ通信手順を設定する通信手順設定部16とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、計測器無線アダプタに関し、特に、計測器で測定した測定データを、計測器から離れた場所にあるデータ処理装置等へ無線通信により送信する計測器無線アダプタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ノギスや温度計等の各種計測器で測定した測定データを、計測器から離れた場所にあるパーソナルコンピュータ等のデータ処理装置へ、無線通信により送信するための無線通信アダプタが知られている。
従来の無線通信アダプタは、ノギスや温度計等の各計測器毎に専用化されており、各計測器毎の無線通信アダプタを介して、各計測器毎の測定結果がデジタルデータとしてデータ処理装置へ無線送信されていた。データ処理装置は、無線通信アダプタを介して送信された各計測器からの測定データを収集・処理することにより、品質管理データや統計データを求めることができる。このように、無線通信アダプタを用いることにより、無線計測データ収集処理システムを構築することができる。
【0003】
一般的に、測定データをデジタルデータとして出力する機能を有する計測器は、データ出力方法として、クロック同期式のシリアル通信或いはRS−232C通信(非同期式のシリアル通信)を採用しているが、通信手順については各計測器により異なっている。
このため、それぞれの通信手順に対応する、各計測器毎に専用の無線通信アダプタを備える必要があることから、従来の無線通信アダプタにおいては、各計測器毎に専用のプログラムを内蔵しておくか、対応可能な通信手順を数種類内蔵しておき出荷時にスイッチ等で設定することにより、各計測器毎の専用機としていた。
【0004】
このような無線通信アダプタと同様な機能に関するものとして、例えば、「無線データ収集システム」(特許文献1参照)や「コンピュータ制御機器のリモート診断装置」(特許文献2参照)が知られている。
【特許文献1】特開2002−140783号公報
【特許文献2】特開平06−290071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の無線通信アダプタは、各計測器毎の専用機となるため、ユーザは、使用する計測器に対応して各計測器毎に一つずつ、それ専用の無線通信アダプタを用意しなければならなかった。同様に、製造メーカにおいても、各計測器毎に専用の無線通信アダプタを製造しなければならず、当然、在庫としても持つ必要があるため、製造・管理が煩雑となる上にスペースも必要となる。
【0006】
また、ユーザにおいては、使用中の計測器を別のものに変更しようとすると、変更した計測器に適合した専用の無線通信アダプタを購入し直す必要があり、この場合、適合する専用の無線通信アダプタが無いと、これまで使用していた無線計測データ収集処理システムが使用できなくなってしまうことになる。
この発明の目的は、デジタルデータ出力機能を有する複数の計測器に対応して、各計測器毎に異なる様々なデータ通信手順に一台で対応することができる計測器無線アダプタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、この発明に係る計測器無線アダプタは、計測器に接続され、前記計測器が計測した計測結果のデジタルデータを無線通信によりデータ処理装置に送信する計測器無線アダプタであって、複数の前記計測器のそれぞれに対応する複数のデータ通信手順を記憶した記憶手段と、該計測器無線アダプタに備えられたスイッチ手段の設定操作、或いは前記データ処理装置からの設定指示により切り替え操作され、前記複数のデータ通信手順の中から、接続された計測器に対応するデータ通信手順を選択して切り替える選択切替手段と、前記データ処理装置から受信した設定指示内の通信パラメータに基づき、接続された計測器に対応する新たなデータ通信手順を設定する通信手順設定手段とを有することを特徴としている。
【0008】
また、この発明において、接続された計測器と前記データ処理装置との間を直接接続状態にするスルー手段を有することが好ましい。
また、この発明において、前記スルー手段は、該計測器無線アダプタに備えられたスイッチ手段の設定操作、或いは前記データ処理装置からの設定指示内のスルー指示により機能し、接続された計測器に対応する新たなデータ通信手順が前記データ処理装置において設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、計測器に接続され、計測器が計測した計測結果のデジタルデータを無線通信によりデータ処理装置に送信する計測器無線アダプタは、記憶手段に、複数の計測器のそれぞれに対応する複数のデータ通信手順が記憶されており、選択切替手段が、アダプタ本体に備えられたスイッチ手段の設定操作、或いはデータ処理装置からの設定指示により切り替え操作され、複数のデータ通信手順の中から、接続された計測器に対応するデータ通信手順を選択して切り替え、通信手順設定手段が、データ処理装置から受信した設定指示内の通信パラメータに基づき、接続された計測器に対応する新たなデータ通信手順を設定する。これにより、デジタルデータ出力機能を有する複数の計測器に対応して、各計測器毎に異なる様々なデータ通信手順に一台で対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施の形態に係る計測器無線アダプタを用いた無線計測データ収集処理システムの概略説明図である。図1に示すように、計測器無線アダプタ10は、種類の異なる種々の計測器11(一例として10台、11a,11b,…,11j)に接続して、各計測器11による計測結果のデジタルデータ(計測データ)を無線通信により、ホスト機器であるデータ処理装置12へと送信することができ、各種計測器11及びデータ処理装置12と共に、無線計測データ収集処理システムを構築している。
【0011】
この計測器無線アダプタ10は、計測器11と接続するための接続ケーブル13を備えており、接続ケーブル13先端に設けられたコネクタ13aを計測器11に装着することにより、計測器無線アダプタ10と計測器11が接続される。コネクタ13aは、例えば、嵌合部等の機械的接続機構、及び、例えば、接続ピン等の電気的接続機構を備えており、コネクタ13aを介して、様々な種類の計測器11と計測器無線アダプタ10を接続し、計測器11から出力された測定結果のデジタルデータを計測器無線アダプタ10に入力させることができる。なお、接続ケーブル13は、各計測器11(例えば、11a,11b,…,11j)毎に専用のコネクタ13a(例えば、13a−a,13a−b,…,13a−j)を備えている(図1参照)。
【0012】
計測器無線アダプタ10の外殻を形成するアダプタケース10aの外表面には、電源スイッチ14a、測定スイッチ14b、及び動作状態確認用の発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)14cが配置されている。
計測器(測定器)11は、測定結果をデジタルデータとして出力することができる各種計測機器であり、例えば、ノギス、厚み計、温度計、湿度計、距離計、振動計、高さ測定器、深さ測定器、マイクロメータ、内径測定器、ダイヤルゲージ、各種形状測定器(表面荒さ測定器、輪郭形状測定器、真円度測定器、表面性状測定器等)、座標測定器、圧力測定器、騒音測定器、風速測定器、各種ガス濃度測定器、屈折率測定器、水分濃度測定器、粘度亜測定器等がある。
【0013】
データ処理装置12は、入力したデータの演算・記憶等のデータ処理を行う、例えば、パソコン(Personal Computer:PC)、携帯型情報端末(Personal Digital Assistant:PDA)、ハンディターミナル、携帯電話等であり、計測器無線アダプタ10を介して入力した各種計測器11からの出力データを収集・処理することにより、品質管理データや統計データを求めることができる。なお、パソコンは、本体に内蔵することにより、或いは内蔵せずに外部アダプタ等を用いることにより、ブルートゥース無線通信機能を備えている。
【0014】
図2は、図1の計測器無線アダプタの概略構成を示すブロック図である。図2に示すように、計測器無線アダプタ10は、メモリ(記憶手段)15、通信手順設定部16、選択切替部17、スルー部18、制御部19、及び無線通信部20を有している。
計測器11に接続された計測器無線アダプタ10には、コネクタ13aを介して計測器11から出力された計測データが入力する。また、計測器無線アダプタ10は、無線通信部20を介しデータ処理装置12との間で相互に無線通信を行い、計測器無線アダプタ10には、データ処理装置12から送信されたデータ通信手順の設定指示が入力する。
【0015】
メモリ15は、複数の計測器11のそれぞれに対応する複数のデータ通信手順を、予め記憶している。データ通信手順は、計測器11から出力された計測結果のデジタルデータを、計測器無線アダプタ10からデータ処理装置12へ無線通信により送信する際の、データ通信における取り決めであり、各計測器11毎に異なっている。
図3は、図2のメモリの記憶例を示す概念説明図である。図3に示すように、メモリ15には、一例として、最大10台の種類の異なった計測器11に適用することができる、データ通信手順1〜10の10種類のデータ通信手順が記憶されている。
【0016】
通信手順設定部16は、計測器無線アダプタ10とデータ処理装置12の間で行う通信手順の設定を行う。つまり、計測器無線アダプタ10を接続した計測器11のデータ通信手順が、予めメモリ15に記憶されているデータ通信手順とは異なっており、メモリ15に記憶されているデータ通信手順では対応することができない場合、通信手順設定部16は、データ処理装置12から受信した設定指示内の通信パラメータに基づいて、計測器無線アダプタ10を接続した計測器11に対応する新たなデータ通信手順を設定する。
選択切替部17は、予め計測器無線アダプタ10に記憶されている通信手順、或いは通信パラメータによる通信手順、或いはスルーモードによる通信手順のいずれかを選択し切り替える。
【0017】
図4は、選択切替部による選択切替処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すように、選択切替部17は、先ず、ディップスイッチ又はデータ処理装置12からの通信手順設定指示か否かを判断する(ステップS101)。判断の結果、通信手順設定指示である(Yes)場合、メモリ15から、予め記憶されている通信手順を選択し(ステップS102)、処理を終了する。一方、通信手順設定指示でない(No)場合、データ処理装置12からの通信パラメータによる通信手順設定指示か否かを判断する(ステップS103)。
【0018】
通信パラメータによる通信手順設定指示か否かの判断の結果、通信パラメータによる通信手順設定指示である(Yes)場合、メモリ15へ指定された通信手順を記憶し、通信手順としてメモリ15を選択した(ステップS104)後、処理を終了する。一方、通信パラメータによる通信手順設定指示でない(No)場合、ディップスイッチ又はデータ処理装置12からのスルー指示か否かを判断する(ステップS105)。
スルー指示か否かの判断の結果、スルー指示でない(No)場合、ステップS101へ戻り、ディップスイッチ又はデータ処理装置12からの通信手順設定指示か否かを判断する。一方、スルー指示である(Yes)場合、通信手順としてスルーモードを選択し(ステップS106)、その後、処理を終了する。
【0019】
図5は、ディップスイッチ又はデータ処理装置からの通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。図5に示すように、ディップスイッチ又はデータ処理装置からの通信手順設定指示の入力により、データ処理装置12は、計測器無線アダプタ10がディップスイッチにより設定されているか否かを判断する(ステップS201)。判断の結果、ディップスイッチにより設定されている(Yes)場合、ユーティリティプログラムにより通信手順切替指示不要モードへ移行し(ステップS202)、ディップスイッチにより設定されていない(No)場合、ユーティリティプログラムにより通信手順設定モードへ移行し(ステップS203)、通信手順切替指示を計測器無線アダプタ10へ出力する。
【0020】
計測器無線アダプタ10は、ディップスイッチによる切替設定か否かを判断する(ステップS204)。判断の結果、ディップスイッチによる切替設定でない(No)場合、データ処理装置12から入力した通信手順切替指示に基づき、指定された通信手順に設定し(ステップS205)、一方、ディップスイッチによる切替設定である(Yes)場合、ディップスイッチで指示された通信手順に設定する(ステップS206)。
【0021】
計測器無線アダプタ10は、指定された通信手順に設定した後、計測器11から出力された計測データを受信し(ステップS207)、受信した計測データに基づき、データ処理装置12用にデータ変換を行い(ステップS208)、データ変換された計測データをデータ処理装置12へ出力する。データ処理装置12は、データ変換された計測データの入力により、計測器無線アダプタ10に対し入力確認を行った後、入力した計測データに基づきデータ処理を行う(ステップS209)。
【0022】
図6は、通信パラメータによる通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。図6に示すように、通信パラメータによる通信手順設定指示の入力により、データ処理装置12は、ユーティリティプログラムにより通信パラメータによる通信手順設定モードへ移行し(ステップS301)、通信パラメータを設定指示により計測器無線アダプタ10へ出力する。
【0023】
計測器無線アダプタ10は、データ処理装置12から入力した通信パラメータに基づき、指定された通信手順を設定し(ステップS302)、設定後、計測器11から出力された計測データを受信し(ステップS303)、受信した計測データに基づき、データ処理装置12用にデータ変換を行う(ステップS304)。その後、データ変換された計測データをデータ処理装置12へ出力し、データ処理装置12は、データ変換された計測データの入力により、計測器無線アダプタ10に対し入力確認を行う。
【0024】
図7は、ディップスイッチ又はデータ処理装置からのスルー通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。図7に示すように、ディップスイッチ又はデータ処理装置からのスルー通信手順設定指示の入力により、データ処理装置12は、計測器無線アダプタ10はディップスイッチにより設定されているか否かを判断する(ステップS401)。判断の結果、ディップスイッチにより設定されている(Yes)場合、ユーティリティプログラムをスルーモードへ設定し(ステップS402)、ディップスイッチにより設定されていない(No)場合、ユーティリティプログラムにより、通信手順をスルー通信手順設定指示モードへ移行し(ステップS403)、スルー通信手順切替指示を計測器無線アダプタ10へ出力する。
【0025】
計測器無線アダプタ10は、ディップスイッチによる切替設定か否かを判断する(ステップS404)。判断の結果、ディップスイッチによる切替設定である(Yes)場合、ディップスイッチによる設定により、一方、ディップスイッチによる切替設定でない(No)場合、データ処理装置12から入力したスルー通信手順切替指示に基づき、指定されたスルー通信手順により、スルーモードに設定する(ステップS405)。スルーモードに設定された計測器無線アダプタ10は、計測器11から出力された計測データを受信し(ステップS406)、その後、受信した計測データをデータ処理装置12へ出力する(ステップS707)。
【0026】
図8は、計測器無線アダプタに入力する設定指示のフレーム構成を示す説明図である。図8に示すように、設定指示は、次のようなフレーム構成を有している。
計測器無線アダプタ番号(例えば、1〜7)
データ通信手順(例えば、1〜10)
計測機器番号(任意番号)
通信パラメータ設定モード(YES/NO)
スルー指示モード(YES/NO)
【0027】
そして、通信パラメータとして、
インターフェイスの種別(クロック同期式通信、RS−232C通信)
データ語長
パリティ(奇数、偶数、無し)
その他
である。
【0028】
選択切替部17は、メモリ15に記憶されている複数(一例として、10種類)のデータ通信手順の中から、計測器無線アダプタ10が接続された計測器11に対応するデータ通信手順を選択して、その選択したデータ通信手順に切り替える。この選択切替部17は、例えば、アダプタケース10a(図1参照)に内蔵されたディップスイッチ(スイッチ手段)の設定操作、或いはデータ処理装置12からの設定指示により、切り替え操作される。
【0029】
スルー部18は、例えば、アダプタケース10a(図1参照)に備えられたディップスイッチの設定操作、或いはデータ処理装置12からの設定指示内のスルー指示により機能し、計測器無線アダプタ10を通過した状態、恰も、データ処理装置12と計測器11が直接ケーブル接続されたかのような状態にする。これにより、計測器無線アダプタ10を接続した計測器11に対応する新たなデータ通信手順が、データ処理装置12において設定される。
制御部19は、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを備えており、計測器無線アダプタ10の全体の動作を制御する。
【0030】
無線通信部20は、計測器無線アダプタ10とデータ処理装置12との間で相互に無線通信を行うことができる、例えば、汎用無線通信規格であるブルートゥース(Bluetooth)を用いた無線通信機能を備えている。これにより、計測器無線アダプタ10に入力した、各種計測器11による測定結果のデジタルデータを、ブルートゥース無線通信によりデータ処理装置12へ送信すると共に、ブルートゥース無線通信によりデータ処理装置12から送信された指示情報等を受信することができる。
データ処理装置12は、計測器無線アダプタ10のデータ通信手順切替指示、通信パラメータ等の送信指示、及びスルー指示等の各送信機能を実現するユーティリティプログラムを有している。このユーティリティプログラムにより、設定指示(図8参照)が行われて、計測器11のデータ通信手順に沿った通信機能を実現させる。
【0031】
上述したように、計測器無線アダプタ10は、データ処理装置12との間の無線通信に、一般的に広く普及しているブルートゥース無線通信規格を採用したことにより、データ処理装置12側で高価な無線機器等を購入する必要が無く、安価で市場に出回っているブルートゥース無線アダプタを使用することができる。ブルートゥース無線通信機能を内蔵したデータ処理装置12を使用する場合は、ブルートゥース無線アダプタを新たに購入する必要が無い。
【0032】
なお、無線通信方法は、ブルートゥース無線通信規格に限るものではなく、計測器無線アダプタ10とデータ処理装置12が相互に送受信することが可能なものであれば良い。
また、1台のデータ処理装置12で、計測器無線アダプタ10を接続した複数の計測器11と同時に無線通信を行うことができる。
また、各計測器11毎のデータ通信手順は、例えば、計測器無線アダプタ10に設けたディップスイッチの操作で、メモリ15に予め記憶されているデータ通信手順を選択切り替えることにより設定することができる。
【0033】
なお、メモリ15に予め記憶されているデータ通信手順で対応することができない場合には、パソコン(データ処理装置12)で容易に作成することができる通信パラメータを設定指示によって計測器無線アダプタ10に送信することにより、新たなデータ通信手順を設定することができる。また、通信パラメータにおいて実現することができない複雑なデータ通信手順等の場合には、データ処理装置12から直接、計測器11のインターフェイス回路を制御するスルー部18を介するように、データ処理装置12においてプログラムすることにより、接続対象の計測器11に対応するデータ通信手順を設定することができる。
【0034】
また、計測器無線アダプタ10は、どのような計測器11に対しても通信が可能であり、喩え、異なった種類の計測器11に交換して使用する場合でも、各計測器11に合わせて計測器無線アダプタ10を新たに購入する必要が無く、各計測器11毎に接続ケーブル13を代えるだけで、1台の計測器無線アダプタ10をそのまま使用することができる。なお、計測器無線アダプタ10と計測器11を接続する接続ケーブル13は、各計測器11毎に専用のものが用意されており、計測器無線アダプタ10及び計測器11に対し、容易に着脱することができる構造を有している。
【0035】
また、1台のデータ処理装置12で複数(例えば、7台)の計測器無線アダプタ10との同時通信ができるが、計測器無線アダプタ10と共に提供されるユーティリティプログラムにより、データ処理装置12で計測器無線アダプタ10を個別に登録・管理することができるので、各計測器11毎のデータの処理を効率良く行うことができる。
更に、計測器無線アダプタ10は、データ処理装置12に計測データを送信した際、計測データを受け取ったデータ処理装置12からの応答により、計測器無線アダプタ10の発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)14cで知らせることができる。
【0036】
これにより、計測データが確実にデータ処理装置12に送信できたことを、その場で確認することができる。データ処理装置12では、ユーティリティプログラムにより自動的に応答を返すことで、新たなプログラムを必要としない。なお、LED14cの代わりにブザー等の他の告知手段を用いても良い。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】この発明の一実施の形態に係る計測器無線アダプタを用いた無線計測データ収集処理システムの概略説明図である。
【図2】図1の計測器無線アダプタの概略構成を示すブロック図である。
【図3】図2のメモリの記憶例を示す概念説明図である。
【図4】選択切替部による選択切替処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】ディップスイッチ又はデータ処理装置からの通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。
【図6】通信パラメータによる通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。
【図7】ディップスイッチ又はデータ処理装置からのスルー通信手順設定指示に基づく処理を示すシーケンスチャートである。
【図8】計測器無線アダプタに入力する設定指示のフレーム構成を示す説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 計測器無線アダプタ
10a アダプタケース
11,11a,11b,…,11j 計測器
12 データ処理装置
13 接続ケーブル
13a,13a−a,13a−b,…,13a−j コネクタ
14a 電源スイッチ
14b 測定スイッチ
14c LED
15 メモリ
16 通信手順設定部
17 選択切替部
18 スルー部
19 制御部
20 無線通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測器に接続され、前記計測器が計測した計測結果のデジタルデータを無線通信によりデータ処理装置に送信する計測器無線アダプタであって、
複数の前記計測器のそれぞれに対応する複数のデータ通信手順を記憶した記憶手段と、
該計測器無線アダプタに備えられたスイッチ手段の設定操作、或いは前記データ処理装置からの設定指示により切り替え操作され、前記複数のデータ通信手順の中から、接続された計測器に対応するデータ通信手順を選択して切り替える選択切替手段と、
前記データ処理装置から受信した設定指示内の通信パラメータに基づき、接続された計測器に対応する新たなデータ通信手順を設定する通信手順設定手段と
を有する計測器無線アダプタ。
【請求項2】
接続された計測器と前記データ処理装置との間を直接接続状態にするスルー手段を有する請求項1に記載の計測器無線アダプタ。
【請求項3】
前記スルー手段は、該計測器無線アダプタに備えられたスイッチ手段の設定操作、或いは前記データ処理装置からの設定指示内のスルー指示により機能し、接続された計測器に対応する新たなデータ通信手順が前記データ処理装置において設定される請求項2に記載の計測器無線アダプタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−146224(P2009−146224A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−323935(P2007−323935)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【出願人】(500040012)株式会社ディジ・テック (3)
【Fターム(参考)】